JP5279357B2 - 複合粒子、その製造方法、分散液、磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法 - Google Patents

複合粒子、その製造方法、分散液、磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合粒子、その製造方法、分散液、磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法に関する。詳しくは、医療材料をはじめとする広範な産業分野において適用できる複合粒子、その製造方法、特に検体液中の標的物質の有無、濃度を磁気検出する磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法に好適な磁性粒子、及びその製造方法に関する。
近年、様々な産業分野への応用を指向して、複合粒子に関する研究開発が盛んに行われている。例えば、高分子化合物と磁性体から構成される磁性粒子は多種多様な用途が期待されており、特に、医薬、診断薬など、医療・診断分野における基剤としての用途について注目が集められている。
磁性粒子を医療・診断分野に応用する例として、磁気バイオセンサーがある。磁気バイオセンサーとは近年提案されている高感度センシング方式のひとつで、検出部の表面近傍に位置する磁性粒子の有無、数を検知することにより検体液中の標的物質の有無、濃度を検出する。
磁気バイオセンサーの例として、特許文献1にはSQUID(超電導量子干渉計)、特許文献2にはホール効果素子、特許文献3には磁気抵抗効果素子、特許文献4には磁気インピーダンス素子などが開示されている。
磁気バイオセンサーに使用する磁性粒子は、一般的に、(1)粒子径が小さく単分散性に優れる、(2)粒子毎の磁性体含有率が高く飽和磁化が大きい、(3)分散安定性に優れる、ことの3つの特性を備える場合に好適である。
上記の(1)の「粒子径が小さく単分散性に優れる」ことは磁気バイオセンサーにおける標的物質の検出速度と定量性の向上に関係する。また、(2)の「粒子毎の飽和磁化が大きい」ことは標的物質の検出感度の向上に関係する。(3)の「分散安定性に優れる」ことは標的物質の検出感度と再現性の向上に関係する。
しかしながら多くの場合、上記した3つの特性はトレードオフの関係にあり、すべてを満足する磁性粒子を製造することは難しい。このような背景のもと、比較的分子設計や選択の自由度が高い高分子化合物のような非磁性物質と磁性体から構成される磁性粒子が報告されている。
特許文献5では、ミニエマルション重合法を利用することによって、高分子化合物と磁性体から構成される磁性粒子を得る手法が開示されている。また、非特許文献1では、ソープフリー乳化重合法を利用することによって、高分子化合物と磁性体から構成される磁性粒子を得る手法が開示されている。
特許文献5と非特許文献1に開示される手法では、磁性粒子における磁性体の含有率を高めることによって飽和磁化の増大を意図しているが、磁気バイオセンサーに適用するためには未だ磁性体毎の飽和磁化の大きさが不足している。
特許文献5と非特許文献1に開示される手法で優れている点は、磁性粒子の表面を非磁性物質である高分子化合物で厚くコーティングすることで磁性粒子の分散安定性を高めることに成功している点である。
一般に、ある程度以上の飽和磁化を有する磁性粒子は、磁性粒子から漏れる浮遊磁界のため分散安定性が著しく低下する。そこで、磁性粒子の分散安定性を向上させるために、磁性粒子に非磁性物質から構成されるコーティング層を設けることで、磁性粒子から漏れる浮遊磁界を減じる方法が有効であるとする考えが一般的である。
しかしながら、磁気バイオセンサーでは、磁性粒子から漏れる浮遊磁界を信号として検知することで、磁性粒子の有無、数を検知するため、上記のような非磁性物質から構成されるコーティング層を磁性粒子に設けることは、磁性粒子から漏れる浮遊磁界が減じられるため好ましくない。
一方、磁気バイオセンサーにおいて、磁性粒子の標的物質以外の物質に対する非特異吸着は、ノイズの増加や再現性の低下を引き起こすことが知られている。そこで上記した3つの特性に加え、非特異吸着が起こらない、あるいはその程度が小さい磁性粒子の開発が求められている。非特異吸着を低減する有力な方法として、粒子表面を非特異吸着抑制能を有する材料で被覆する方法が提案されている。しかしながら、特許文献5と非特許文献1に開示される手法で製造した磁性粒子では、その表面に非磁性物質から構成される厚いコーティング層が存在するため、この上さらに非特異吸着抑制能を有する材料の被覆層を設けることは、磁性粒子の浮遊磁界を検出する上で不利となる。このような理由から、以下に挙げる3つの特性に加え、磁性粒子に設けられる非磁性物質から構成されるコーティング層の厚みが可能な限り薄い磁性粒子が求められている。
一方、定量的なイムノアッセイとして、放射免疫分析法(RIA:radio immunoassay、またはIRMA:immunoradiometric assay)が古くから知られている。この方法では、放射性核種によって、競合する抗原あるいは抗体を標識し、比放射能の測定結果から抗原が定量的に測定される。つまり抗原などの標的物質を標識してこれを間接的に測定する。この方法は感度が高いことから、臨床診断において大きな貢献を果たしたが、放射性核種の安全性を考慮する必要があり、専用の施設や装置が必要になる。そこで、より扱いやすい方法として、例えば、蛍光物質、酵素、電気化学発光分子、磁性粒子などの各種複合粒子からなる標識を用いる方法が提案されてきた。
蛍光標識、酵素標識、電気化学発光標識等を標識として用いた場合は、光学的な測定方法に用いられ、光の吸収率や透過率、あるいは発光光量を計測することによって、標的物質の検出が行われる。標識に酵素を用いる酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immunoassay)は、抗原−抗体反応をさせた後に、酵素標識抗体を反応させ、その酵素に対する基質を添加して発色させ、その吸光度により比色定量する方法である。
また、磁性粒子を標識とし、磁気センサ素子によって間接的に生体分子を検出するバイオセンサの研究報告も幾つかの研究機関によってなされている。この検出方法で用いられる磁気センサ素子には種々のものが挙げられる。磁気抵抗効果素子を用いたもの、ホール素子を用いたもの、ジョセフソン素子を用いたもの、コイルを用いたもの、磁気インピーダンスが変化する素子を用いたもの、フラックスゲート素子を用いたものなどが提案されている(特許文献1から7、非特許文献2から6)。
このように、近年、様々な産業分野中でも医療・診断分野への応用を指向して、複合粒子に関する研究開発が盛んに行われている。
特開2001−033455号公報 WO03−067258号公報 米国特許5981297号明細書 特開平10‐234694号広報 特開2004−099844 特開2005−315744号公報 特開2006−208368号公報 第14回高分子ミクロスフェア討論会 講演要旨集p145 H.A.Ferreira,et al,J. Appl. Phys.,93 7281 (2003) Pierre−A.Besse,et al,Appl. Phys. Lett.80 4199 (2002) Seung Kyun Lee,et al,Appl. Phys. Lett.81 3094 (2002) Richard Luxton,et al, Anal. Chem.16 1127 (2001) Horia Chiriac,et al, J. Magn. Magn. Mat.293 671 (2005)
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、粒子径が小さく単分散性に優れ、粒子毎の磁性体含有率が高く飽和磁化が大きく、分散安定性に優れ、非特異吸着抑制能を有する複合粒子およびその製造方法を提供することである。
また、本発明は、上記の複合粒子を用いた分散液を提供することである。
さらに、本発明は、上記の複合粒子を用いた磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法を提供することである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、磁性体が分散した分散液を分散質とする単分散エマルションから、分散質から液体成分のみを高分子化合物の存在下で分留する手法が有効であることを見出し、本発明に至った。
上記の課題を解決する複合粒子の製造方法は、
(1)第1の液体と固体微粒子とを混合して混合液を調製する工程、
(2)前記混合液と第2の液体を混合して、前記第1の液体と前記固体微粒子とからなる分散質を含有するエマルションを調製する工程、
(3)前記エマルションに高分子化合物を混合する工程、
(4)前記エマルションを分留して前記分散質から前記第1の液体を抽出し、前記固体微粒子と前記高分子化合物を含む複合粒子を生成する工程
とを含有し、前記分散質が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であり、前記エマルションのpHを、前記高分子化合物が前記第2の液体に可溶性の状態を示すpHから不溶性の状態を示すpHに変化させる工程を有することを特徴とする。
また、上記の課題を解決する複合粒子は、複数個の磁性体から形成される概球状の多核粒子の周囲が、薄膜状の高分子化合物によって取り囲まれた構造を有する複合粒子であって、前記複合粒子の数平均乾燥粒子径(Dn)と重量平均乾燥粒子径(Dw)から算出される多分散度指数(Dw/Dn)が1.2以下であり、前記複合粒子に含有される磁性体の含有量が50wt%以上90wt%以下であり、且つ前記磁性体から形成される概球状の多核粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることを特徴とする。
また、上記の課題を解決する分散液は、複合粒子を水あるいは水溶液に分散して成る分散液であって、前記分散液が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.2以下であり、前記複合粒子が複数個の磁性体から形成される概球状の多核粒子の周囲が薄膜状の高分子化合物によって取り囲まれた構造を有する複合粒子であって、前記複合粒子の数平均乾燥粒子径(Dn)と重量平均乾燥粒子径(Dw)から算出される多分散度指数(Dw/Dn)が1.2以下であり、前記複合粒子に占める磁性体の含有量が50wt%以上90wt%以下であり、且つ前記磁性体から形成される概球状の多核粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることを特徴とする。
また、上記の課題を解決する磁気バイオセンシング装置は、上記の複合粒子Aと、磁気センサーを有することを特徴とする。
また、上記の課題を解決する磁気バイオセンシング方法は、上記の複合粒子Aの表面に、標的物質捕捉体を結合して標的物質捕捉能を有する複合粒子Bを得る工程、前記標的物質捕捉能を有する複合粒子Bと検体を接触させ前記検体中の標的物質を捕捉する工程、前記標的物質を捕捉した複合粒子Bを磁気センサーにより検出して、検体中の標的物質の有無または濃度を測定する工程を有することを特徴とする。
なお、本発明における磁気バイオセンシング方法および磁気バイオセンシング装置の説明において、複合粒子を2種類の複合粒子A、複合粒子Bに分けて説明する。複合粒子Aは上記の工程(1)から工程(4)を有する製造方法により得られた複合粒子を表す。また、複合粒子Bは、上記の複合粒子Aの表面に、標的物質捕捉体を結合して標的物質捕捉能を有する複合粒子を表す。
本発明は、粒子径が小さく単分散性に優れ、粒子毎の磁性体含有率が高く飽和磁化が大きく、分散安定性に優れ、非特異吸着抑制能を有する複合粒子およびその製造方法を提供することができる。
また、本発明は、上記の複合粒子を用いた分散液を提供することができる。
さらに、本発明は、上記の複合粒子を用いた磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法を提供することができる。
本発明によれば、医療材料をはじめとする広範な産業分野において適用できる複合粒子、特に検体液中の標的物質の有無、濃度を磁気検出する磁気バイオセンサーに好適な磁性粒子、及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る複合粒子の製造方法は、
(1)第1の液体と固体微粒子とを混合して混合液を調製する工程、
(2)前記混合液と第2の液体を混合して、前記第1の液体と固体微粒子とからなる分散質を含有するエマルションを調製する工程、
(3)前記エマルションに高分子化合物を混合する工程、
(4)前記エマルションを分留して前記分散質から前記第1の液体を抽出し、前記固体微粒子と前記高分子化合物を含む複合粒子を生成する工程
とを含有し、前記分散質が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であることを特徴とする。
前記複合粒子を含有するエマルションがミニエマルションであることが好ましい。
前記第2の液体に分散剤が含有されることが好ましい。
前記第1の液体が前記第2の液体に不溶な有機溶剤またはモノマーであることが好ましい。
前記第2の液体が水あるいは水溶液であることが好ましい。
前記高分子化合物が、前記第2の液体のpHの違いに応じて、不溶性の状態と可溶性の状態を示すことが好ましい。
上記の工程に加え、前記エマルションのpHを、前記高分子化合物が前記第2の液体に可溶性の状態を示すpHから不溶性の状態を示すpHに変化させる工程を有することが好ましい。
前記高分子化合物が疎水性部位と親水性部位を有する両親媒性高分子化合物であることが好ましい。
前記高分子化合物がカルボキシル基を有することが好ましい。
前記高分子化合物がアミノ基を有することが好ましい。
前記固体微粒子が無機材料を含む微粒子であることが好ましい。
前記無機材料が磁性体であることが好ましい。
前記磁性体の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることが好ましい。
前記磁性体が、強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物であることが好ましい。
前記強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物がフェライトであることが好ましい。
前記強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物が白金鉄であることが好ましい。
上記の工程に加え、前記高分子化合物にアフィニティーリガンドを吸着する工程を有することが好ましい。
上記の工程に加え、
(5)前記複合粒子に重合開始基を吸着する工程、
(6)前記重合開始基からモノマーを重合して前記モノマーの重合体を得る工程
とを有することが好ましい。
前記重合開始基がラジカル重合開始基であることが好ましい。
前記重合開始基がリビングラジカル重合開始基であることが好ましい。
前記リビングラジカル重合開始基が光イニファータ重合開始基であることが好ましい。
前記リビングラジカル重合開始基が原子移動ラジカル重合開始基であることが好ましい。
前記モノマーの重合体が親水性を有することが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部に非特異吸着抑制能を有する官能基を含むことが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部にカルボキシル基を含有することが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部に下記一般式(1)に示すカルボキシベタイン構造を含有することが好ましい。
(式中、m、nは1から10の整数を示す。)
上記の工程に加え、
(7)前記モノマーの重合体にアフィニティーリガンドを吸着する工程を有することが好ましい。
また、本発明に係る複合粒子は、複数個の磁性体から形成される概球状の多核粒子の周囲が、薄膜状の高分子化合物によって取り囲まれた構造を有する複合粒子であって、前記複合粒子の数平均乾燥粒子径(Dn)と重量平均乾燥粒子径(Dw)から算出される多分散度指数(Dw/Dn)が1.2以下であり、前記複合粒子に含有される磁性体の含有量が50wt%以上90wt%以下であり、且つ前記磁性体から形成される概球状の多核粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることを特徴とする。
前記複合粒子の少なくとも一部に中空構造を有することが好ましい。
前記複合粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が50nmから300nmの範囲にあることが好ましい。
前記高分子化合物がカルボキシル基を有することが好ましい。
前記高分子化合物がアミノ基を有することが好ましい。
前記磁性体が強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物であることが好ましい。
前記強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物がフェライトであることが好ましい。
前記強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物が白金鉄であることが好ましい。
前記高分子化合物にアフィニティーリガンドが吸着していることが好ましい。
前記複合粒子の周囲に非特異吸着抑制能を有するモノマーの重合体が吸着していることが好ましい。
前記モノマーの重合体が親水性を有することが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部に非特異吸着抑制能を有する官能基を含むことが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部にカルボキシル基を含有することが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部に下記一般式(1)に示すカルボキシベタイン構造を含有することが好ましい。
(式中、m、nは1から10の整数を示す。)
前記モノマーの重合体にアフィニティーリガンドが吸着していることが好ましい。
また、本発明に係る分散液は、複合粒子を水あるいは水溶液に分散して成る分散液であって、前記分散液が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.2以下であり、前記複合粒子が複数個の磁性体から形成される概球状の多核粒子の周囲が薄膜状の高分子化合物によって取り囲まれた構造を有する複合粒子であって、前記複合粒子の数平均乾燥粒子径(Dn)と重量平均乾燥粒子径(Dw)から算出される多分散度指数(Dw/Dn)が1.2以下であり、前記複合粒子に占める磁性体の含有量が50wt%以上90wt%以下であり、且つ前記磁性体から形成される概球状の多核粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることを特徴とする。
前記複合粒子の少なくとも一部に中空構造を有することが好ましい。
前記複合粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が50nmから300nmの範囲にあることが好ましい。
前記高分子化合物がカルボキシル基を有することが好ましい。
前記高分子化合物がアミノ基を有することが好ましい。
前記磁性体が強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物であることが好ましい。
前記強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物がフェライトであることが好ましい。
前記強磁性金属若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物が白金鉄であることが好ましい。
前記高分子化合物にアフィニティーリガンドが吸着していることが好ましい。
前記複合粒子の周囲に非特異吸着抑制能を有するモノマーの重合体が吸着していることが好ましい。
前記モノマーの重合体が親水性を有することが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部に非特異吸着抑制能を有する官能基を含むことが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部にカルボキシル基を含有することが好ましい。
前記モノマーの重合体の少なくとも一部に下記一般式(1)に示すカルボキシベタイン構造を含有することが好ましい。
(式中、m、nは1から10の整数を示す。)
前記モノマーの重合体にアフィニティーリガンドが吸着していることが好ましい。
また、本発明に係る磁気バイオセンシング装置は、上記の複合粒子Aと、磁気センサーを有することを特徴とする。
また、本発明に係る磁気バイオセンシング方法は、上記の複合粒子Aの表面に、標的物質捕捉体を結合して標的物質捕捉能を有する複合粒子Bを得る工程、前記標的物質捕捉能を有する複合粒子Bと検体を接触させ前記検体中の標的物質を捕捉する工程、前記標的物質を捕捉した複合粒子Bを磁気センサーにより検出して、検体中の標的物質の有無または濃度を測定する工程を有することを特徴とする。
前記標的物質を捕捉した複合粒子Bを磁気センサーの表面に固定する工程、前記磁気センサー表面に固定された複合粒子Bに静磁界を印加する工程を含むことが好ましい。
次に、本発明に係る複合粒子の製造方法について説明する。
本発明の複合粒子の製造方法は、
(1)第1の液体と固体微粒子とを混合して混合液を調製する工程、
(2)前記混合液と第2の液体を混合して、前記第1の液体と固体微粒子とからなる分散質を含有するエマルションを調製する工程、
(3)前記エマルションに高分子化合物を混合する工程、
(4)前記エマルションを分留して前記分散質から前記第1の液体を抽出し、前記固体微粒子と前記高分子化合物を含む複合粒子を生成する工程
とを含有し、前記分散質が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であることを特徴とする。
本発明における第1の液体と第2の液体は、実質的に混和しない組み合わせの液体を選択する。好ましくは第1の液体が有機溶剤であり、第2の液体が水、又は水溶液である。
このような有機溶剤として、例えば、炭化水素系(ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、ジクロロエタン等)、エーテル類(エチルエーテル、ジエチルエーテル、イソブチルエーテルなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられ、特に炭化水素や芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素が好適である。ただし本発明の有機溶剤はこれらに限定されない。本発明の目的を達成可能な範囲において、有機溶剤は単独で使用しても良いし、複数を混合して使用しても良い。
第1の液体としてモノマーを使用することもできる。
モノマーとは、水あるいは水溶液に不溶性で、且つ重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物でである。例えば、ラジカル重合において用いられるモノマーの具体例としては、以下が挙げられる。
即ち、スチレン、クロルスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の重合性不飽和芳香族類;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの重合性不飽和カルボン酸類;スチレンスルホン酸ソーダ等の重合性不飽和スルホン酸もしくはその塩;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコール−ジ−(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル等の重合性カルボン酸エステル類;
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の不飽和カルボン酸アミド類、重合性不飽和ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、共役ジエン類;
ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタクリレートのなどの高分子量セグメントに、ビニル基、メタクリロイル基、ジヒドロキシル基などの重合可能な官能基を持つマクロモノマー類等である。
また、付加重合に用いられるモノマーの具体例としては、以下が挙げられる。
即ち、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ジシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナートのような脂肪族、又は芳香族イソシアナート類、ケテン類、エポキシ基含有化合物類、ビニル基含有化合物類等である。
また、上記化合物群と反応させるモノマーとしては、活性化水素を有する官能基、例えば水酸基又はアミノ基を有する化合物が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、メチレングリコシド、ショ糖、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンのようなポリオール類;
エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジイソプロピルメチレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、1,3,5−トリアミノベンゼンのようなポリアミン類;
オキシム類等が挙げられる。
本発明において、モノマーは、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また、モノマーの他、架橋剤となりうる多官能性化合物を共存させても良い。多官能性化合物の例としては以下が挙げられる。即ち、N−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールマレイミド、N−エチロールマレイミド、N−メチロールマレインアミド酸、N−メチロールマレインアミド酸エステル、ビニル芳香族酸のN−アルキロールアミド(例えばN−メチロール−p−ビニルベンズアミド等)、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド等である。
さらに、上述のモノマーのうち、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジプロペニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコール、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー類は、架橋剤としても使用することが出来る。尚、多官能性化合物は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
本発明における第1の液体は、有機溶剤とモノマーを混合して用いても良い。
本発明の第1の液体としてモノマーを用いる場合には、ミニエマルションの分散質から第1の液体を分留した後、前記モノマーを重合することができる。
本発明で使用可能な重合開始剤の例としては、以下が挙げられる。即ち、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2’−アゾビス−(2−メチルプロパンニトリル)、
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、
2,2’−アゾビス−(2−メチルブタンニトリル)、
1,1’−アゾビス−(シクロヘキサンカルボニトリル)、
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス−(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド等のアゾ(アゾビスニトリル)タイプの開始剤、
過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過硫酸塩(例えば過硫酸アンモニウム)、過酸エステル(例えばt−ブチルペルオクテート、α−クミルペルオキシピバレート及びt−ブチルペルオクテート)等の過酸化物タイプの開始剤
が挙げられる。
また、アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキシ二硫酸ナトリウム、第三ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、第三ブチルヒドロペルオキシド/Naヒドロキシメタンスルフィン酸が挙げられる。
なお、個々の成分、例えば還元成分は、混合物からなる、例えばヒドロキシメタンスルフィン酸のナトリウム塩と二亜硫酸ナトリウムとの混合物等のレドックス系開始剤を用いることもできる。
重合開始剤は単独で用いても良いし、複数を組み合わせて用いることも可能である。
これらの重合開始剤は乳化前に第1の液体、あるいは第2の液体に添加しておいても良いし、乳化後に添加しても良い。乳化後に添加する場合には、分留前と分留後のいずれの時期に添加しても良い。
一方、第2の液体には必要に応じて分散剤を含有させることができる。本発明を達成できる範囲において特に分散剤は指定しないが、良好なエマルションを形成させるために低分子分散剤を用いることが好ましい。本発明においては便宜上、重量平均分子量が1000以下の分散剤を低分子分散剤と表現する。重量平均分子量が1000より大きい分散剤を使用する場合、第2の液体の粘性が大きくなり良好なエマルションが得られにくい。
このような分散剤の例として、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤、ノニオン性分散剤等が挙げられる。
アニオン性分散剤には例えば以下のようなものがある。即ち、ドデシルベンゼンスルホネート、デシルベンゼンスルホネート、ウンデシルベンゼンスルホネート、トリデシルベンゼンスルホネート、ノニルベンゼンスルホネート並びにこれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等である。
カチオン性分散剤には例えば以下のようなものがある。即ち、セチルトリメチルアンモニウムプロミド、塩化ヘキサデシルピリジニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム等である。
また、ノニオン性分散剤には、例えばポリビニルアルコールの他、市販されている各種のものが挙げられる。上述したもののうち、アニオン性分散剤が特に好適である。
また、前記分散剤は目的に応じて重合性分散剤とすることもできる。重合性分散剤とはモノマーと重合可能な反応性基を有する分散剤で、反応性基の例としてビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基等がある。反応性分散剤の具体的な例としては、特開平9−279073号公報に記載されるもの等がある。
本発明の目的を達成可能な範囲において、分散剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。分散剤の使用量については特に指定はないが、分散剤の使用量が多いほどミニエマルションの粒子径が小さくなり、それにともなって複合粒子の粒子径が小さくなる傾向にある。
本発明において用いられる固体微粒子は、金属材料、酸化物材料、半導体材料等の無機材料を含有する粒子であり、目的とする複合粒子に応じて適宜材料を選択することができる。
特に、本発明の製造方法を磁性粒子の製造方法として適用する場合には、固体微粒子を磁性体とすることができる。磁性体は目的に応じて任意に選択できるが、磁性体に5000エールステッドの強い磁場をかけた後、ゼロ磁場に戻したときの磁化(残留磁化)が5000エールステッドの磁場をかけたときの磁化(飽和磁化)の1/3以下となる磁性体が好ましい。
このような磁性体として、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、ガドリニウム等の強磁性金属、若しくはそれらの少なくとも1つを含む合金または酸化物などが挙げられる。具体的には、鉄を主成分としコバルト、タングステン、クロム、ニッケル、アルミニウムなどを添加した磁石鋼、鉄と白金及び/またはネオジム及び/またはサマリウムなどとの合金、サマリウムとコバルトの合金、四三酸化鉄(Fe)、CoFe、γ−三二酸化鉄(γ−Fe)等の各種フェライト類などが挙げられる。
磁気バイオセンサーの用途に用いる場合には、飽和磁化の高い磁性粒子が要求される傾向にあるため、これらのうちバルク状態で強磁性体に分類されるものが好ましい。また、磁性粒子から作られる磁性体が体液のような水系溶液中に分散されることや表面に抗体などが修飾されることから反応性に乏しいものが好ましい。更に、本発明がエマルションを利用して複合粒子を製造する為の固体微粒子を容易に形成するものが好ましい。こうした観点からすると、より好ましくはフェライト類であり、特にはFe(マグネタイト)が好ましい。また同様の観点から鉄の合金が好ましく、特に白金鉄が好ましい。ただし本発明の目的を達成可能な範囲において磁性体の種類は限定されない。
なお本発明においては、目的に応じて、シランカップリング剤に代表される各種カップリング剤、もしくは高級脂肪酸等の公知の表面処理剤により表面処理した磁性体を用いることができる。表面処理の目的とは、例えば疎水化処理や親水化処理が挙げられる。
固体微粒子の重量平均乾燥粒子経(Dw)は、目的とする複合粒子のDwより小さい範囲において特に指定しない。一方で、固体微粒子を磁性体とする場合には、Dwが小さすぎると熱揺らぎの影響で大きな飽和磁化を示すことができないため、通常、2nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは6nm以上の磁性体を用いる。ただし、Dwが20nm以下が好ましい。Dwが20nmより大きくなると、浮遊磁界の影響が大きくなり良好なミニエマルションが形成されないため好ましくない。
本発明におけるエマルションとは、1ピークの粒子径分布を有し、且つ、数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であることを特徴とする。前記エマルションの単分散性が結果物である複合粒子の単分散性に寄与するため、より好ましくはDhw/Dhnが1.2以下である。
本発明のエマルションはミニエマルションであっても良い。本発明におけるミニエマルションとは、1ピークの粒子径分布を有し、且つ、重量流体力学粒子径(Dhw)がサブミクロン領域(50nmから1000nm)で、且つ、数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される多分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下の単分散エマルションである。ミニエマルションの単分散性が結果物である複合粒子の単分散性に寄与するため、より好ましくはDhwが50nmから500nmであり、Dhw/Dhnが1.2以下の単分散エマルションである。本発明のエマルションがミニエマルションである場合、後述する分留が簡便に行えるため好ましい。
本発明ではエマルションを安定化する目的で、第1の液体に可溶であり、且つ、第2の液体に対する溶解度が0.01g/L以下であるハイドロホーブ(共界面活性剤)を第1の液体に共存させておいても良い。
本発明で用いられるハイドロホーブの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
(a)ヘキサデカン、スクアラン、シクロオクタン等のC8〜C30の直鎖、分岐鎖、環状アルカン類、
(b)ステアリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等のC8〜C30アルキルアクリレート、
(c)セチルアルコール等のC8〜C30アルキルアルコール、
(d)ドデシルメルカプタン等のC8〜C30アルキルチオール、
(e)ポリウレタン、ポリエステル、ポリスチレン等のポリマー類、
(f)長鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸類、長鎖脂肪族又は芳香族カルボン酸エステル類、長鎖脂肪族又は芳香族アミン類、ケトン類、ハロゲン化アルカン類、シラン類、シロキサン類、イソシアネート類などである。
また、過酸化ラウロイルなどの長鎖の油溶性開始剤を使用することもできる。このうち好ましくは、炭素数が12以上のものであり、より好ましくは炭素数12〜20のアルカン類である。
本発明のエマルションは従来公知の乳化方法によって調製することができる。
従来公知の方法には、例えば、断続振とう法、プロペラ型攪拌機、タービン型攪拌機糖のミキサーを利用する攪拌法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法等などがある。また、比較的サイズの大きい単分散エマルションを得る方法として、SPG膜を利用した膜乳化や、マイクロチャネル乳化法やマイクロ流路分岐乳化法などのマイクロリアクターを利用した方法などが挙げられる。これらの方法は、単独で用いることも、あるいは複数を組み合わせて用いることも可能である。また、本発明のミニエマルションは1段階の乳化によって調製しても良いし、多段階の乳化によって調製しても良い。
本発明に用いられる高分子化合物は、第2の液体のpHの違いに応じて、不溶性の状態と可溶解性の状態を示すことを特徴とする。特に、エマルションの分散質と相互作用し、且つ前記分散質の分散安定性を向上させたり、固体微粒子が分散質から脱離することを防止する目的で、疎水性部と親水性部を有する両親媒性高分子化合物が好適である。
両親媒性高分子化合物における疎水性部の例として、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類等からを含む重合体、あるいは共重合体が挙げられるが、本発明の目的を達成可能な範囲においてこれらに限定されない。
両親媒性高分子化合物における親水性部としては、pHに対して解離度を変化させる官能基を有する部位を含む重合体、あるいは共重合体であることが好ましい。このような部位を含有する両親媒性高分子化合物は、前記官能基が解離している場合には水、あるいは水溶液に対する親和性が向上し、解離していない場合には水、あるいは水溶液に対する親和性が低下するため、pH変化に対して水、あるいは水溶液に対する溶解性が変化する。このような官能基としては、例えばカルボキシル基や、アミノ基等が挙げられるが、本発明の目的を達成可能な範囲においてこれらに限定されない。
本発明において、高分子化合物の溶解性は以下に説明する溶解度試験によって評価できる。
高分子化合物を任意のpHに調製した第2の液体に対して2wt%になるように混合して、25℃、24時間振とうしてから24時間放置する。そして、高分子化合物を含む第2の液体の550nmにおける透過光を評価し、透過率が99%以上である場合を可溶性、99%未満である場合を不溶性とした。透過率を評価する装置として、例えば、U−2001型ダブルビーム分光光度計(日立製作所)などがある。
本発明における高分子化合物の重量平均分子量は、500以上1000000以下であり、好ましく用いられる範囲としては1000以上100000以下である。1000000を超えると分子内、分子間の絡まりあいが多くなりすぎエマルションの粘度が増大するため好ましくない。また、500未満である場合、エマルションの分散安定性の向上や、固体微粒子の分散質からの脱離を防止する効果が小さくなるため好ましくない。
重量平均分子量の測定方法は、光散乱法、X線小核散乱法、沈降平衡法、拡散法、超遠心法や各種クロマトグラフィーにより測定することができるが、本発明の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本発明における分留とは、エマルションの分散質から対象となる液体成分を優先的に抽出する操作である。例えば、上記分散質が固体微粒子と有機溶剤から構成される場合には、分留によって有機溶剤のみを分散質から抽出する。仮に、液体成分が複数の有機溶剤やモノマーから構成される場合には、構成成分の沸点差等を利用して、いずれかの液体成分のみを優先的に抽出することも可能である。また、本発明における分留では、液体成分の抽出の度合いを目的に応じて適宜、変化させても良い。
分留は、従来知られる何れの方法でも実施可能である。例えば、エバポレータ―等の減圧装置を利用して沸点の低い液体成分を優先的に分留する減圧分留、目的の液体成分と相溶性を示す溶剤をエマルションに加えることで液体成分を抽出する分留、透析法を利用して液体成分を抽出する分留などがある。減圧装置を利用した減圧分留を用いる場合には分留の度合いを減圧条件等により簡便に制御できる利点がある。本発明では、複数の分留方法を組み合わせても良い。
本発明の複合粒子の製造方法における好ましい一実施態様は、以下の工程を有する。
(1)第1の液体と固体微粒子を混合して混合液を調製する工程、
(2)前記混合液と第2の液体を混合してエマルションを調製する工程、
(3)前記エマルションに高分子化合物を混合する工程、
(4)前記エマルションの分散質から第1の液体を分留する工程、とを含有し、
且つ、前記エマルションのpHを、前記高分子化合物が前記第2の液体に可溶性な状態を示すpHから不溶性の状態を示すpHに変化させて、前記高分子化合物を前記分散質に付着させる工程を含有し、前記エマルションが1ピークの粒子径分布を有し、且つ、数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であることを特徴とする。
本発明の複合粒子の製造方法における好ましい一実施態様について図1に基づいて説明する。図1は、本発明の複合粒子の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
(工程A:混合液)
混合液Aは第1の液体11に固体微粒子13を分散させることによって調製する。
(工程B:エマルション形成)
混合液Aを第2の液体12と混合して乳化することによってエマルションを形成する。ここで形成されるエマルションは、単分散性に優れるエマルションであり、より好ましくはミニエマルションである。15は分散質である。
(工程C:中間状態)
エマルションBに高分子化合物14を混合すると、高分子化合物14はエマルションの分散質15と相互作用してエマルションを分散安定化する。さらに、高分子化合物14は分散質15からの固体微粒子13の脱離を防止するブロッキング剤としても働く。
(工程D:複合粒子16の分散液)
複合粒子16の分散液Dについて説明する。中間状態Cを分留することによって、分散質15から第1の液体11のみを抽出する。このようにすると、固体微粒子13はエマルションの分散質15を鋳型にして凝集することになるので、サイズ均一性の高い複合粒子16となる。複合粒子16の表面には、高分子化合物14が吸着しているため、複合粒子16は分散安定性を示す。
(工程E:複合粒子17の分散液)
複合粒子17の分散液Eについて説明する。複合粒子16の分散液DのpHを調節することによって、高分子化合物14を不溶化する。不溶化した高分子化合物14は複合粒子16の表面に析出し、堆積して薄膜を形成し、複合粒子17が得られる。複合粒子17の表面に形成される薄膜は、pH調製による高分子化合物14の不溶化度合いの制御や、操作時間を変化させることによって、その膜厚を制御することができる。
次に、本発明における複合粒子について、図2に基づいて説明する。図2は、本発明の複合粒子の一実施態様を示す模式図である。
本発明の複合粒子は、複数個の固体微粒子13(ここでは磁性体)から形成される球状の多核粒子の周囲が薄膜状の高分子化合物14によって取り囲まれた構造を有する複合粒子である。ここで、多核粒子を構成する固体微粒子13以外の部分はマトリックス部材21である。マトリックス部材21は、既に説明したモノマーの重合体、あるいは固体微粒子13の表面修飾剤、もしくはその両方である。
複合粒子が磁気バイオセンサーに用いる磁性粒子である場合には、その単分散性が極めて重要である。単分散性が十分でなければ磁気バイオセンサーにおける標的物質の定量性を再現することができない。そのため、好ましくは複合粒子のDwと数平均乾燥粒子径(Dn)から算出される多分散度指数(Dw/Dn)が1.2以下、さらに好ましくは1.1以下である。
また、磁気バイオセンサーにおいて十分な検出感度を再現するためには、複合粒子当たりの飽和磁化が十分大きくなければならない。飽和磁化の大きさは、複合粒子に含有される固体微粒子13の含有率に依存し、含有率は50wt%以上90wt%未満である。50wt%より含有率が低い場合には十分な飽和磁化を得ることができず、90wt%以上である場合には、複合粒子の崩壊や固体微粒子13が複合粒子表面に露出することによる分散性の低下等が懸念される。
さらに、本発明における複合粒子に含有される固体微粒子13が磁性体である場合には、固体微粒子13のDwは20nm以下であることを特徴とする。Dwが20nmより大きい場合には、複合粒子表面への固体微粒子13の露出が生じる可能性があるため分散性の劣化等が懸念される。
複合粒子のDwには特に制限はないが、複合粒子を磁気バイオセンサーに用いる磁性粒子として適用する場合には、Dwは50nm以上で300nm未満であることが好ましい。Dwが50nmより小さい場合には、複合粒子当たりの飽和磁化を十分な大きさに維持することができないため、十分な検出感度を再現することが難しい。また、Dwが300nm以上である場合には、複合粒子の運動性が低下するため、検出速度が著しく低下する懸念が生じる。
前記複合粒子は、複数個の磁性体から形成される概球状の多核粒子の周囲が薄膜状の高分子化合物によって取り囲まれた構造を有する。
また、本発明の複合粒子は、平均アスペクト比(長径/短径)を1.0から1.5の範囲、より好ましくは1.0から1.2の範囲として、真球性を高めたものとするのが好ましい。このような真球状の複合粒子は、例えば液体に分散させて用いる場合に良好な流動性を示すため有利である。
高分子化合物14の薄膜が複合粒子表面に形成されているか否かは、従来公知の方法によって測定、あるいは算出することが可能であるが、透過型電子顕微鏡(TEM)にて視覚的に確認する方法が好ましい。しかしながら、前記薄膜の厚みが薄くTEMによる評価が困難である場合には、電気泳動法、及び表面元素分析に基づく表面分析法を組み合わせて確認することができる。
本発明の複合粒子は、それらの一部、あるいは全部が内部に中空構造のような空孔を有しても良い。中空構造を有する場合、複合粒子の比重が小さくなるため沈降やそれにともなう凝集が抑制される場合がある。
中空構造を有する複合粒子を製造する方法として従来公知の方法が適用可能である。中空構造は分留過程において、エマルションの油滴(分散質)の壁面に磁性体が濃縮して凝集し、その凝集構造が凍結されるために生じると考られるため、分留速度を通常より大きくする方法が簡便性の点で好ましい。また、通常の分留速度であっても、油滴のマグネタイト組成を減じることによって同様の効果を得ることが可能である。
複合粒子に占める固体微粒子13の含有量は、従来公知の方法によって測定、あるいは算出することが可能であるが、熱重量測定法に基づいて測定することが好ましい.
また、本発明における複合粒子、及び固体微粒子13のDw、及びDnは従来公知の方法によって測定、あるいは算出することが可能であるが、乾燥状態の複合粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することによって得られる値から評価することが好ましい。
次に、本発明の分散液について説明する。
本発明における分散液は、複合粒子を水あるいは水溶液に分散して成る分散液であって、前記分散液が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.2以下であり、前記複合粒子が複数個の磁性体から形成される概球状の多核粒子の周囲が薄膜状の高分子化合物によって取り囲まれた構造を有する複合粒子であって、前記複合粒子の数平均乾燥粒子径(Dn)と重量平均乾燥粒子径(Dw)から算出される多分散度指数(Dw/Dn)が1.2以下であり、前記複合粒子に占める磁性体の含有量が50wt%以上90wt%以下であり、且つ前記磁性体から形成される概球状の多核粒子の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることを特徴とする。
分散液を磁気バイオセンサーに用いる検体液に含有される組成物として適用する場合には、その分散性安定性が極めて重要である。そのため、前記分散液は1ピークの粒子径分布を有する。また、単分散性が十分でなければ磁気バイオセンサーにおける標的物質の定量性を再現することができないため、好ましくは分散液のDhw/Dhnが1.2以下であり、さらに好ましくは1.1以下である。
本発明のエマルション、及び分散液の粒子径分布、及びDhn、Dhwは従来公知の粒子径計測手法によって測定することができるが、動的光散乱法に基づいて測定することが好ましい。具体的な測定装置としては、大塚電子(株)製ダイナミック光散乱光度計DLS−8000を用いることができる。
本発明では、第1の液体と固体微粒子を混合して混合液を調製する工程、前記混合液と第2の液体を混合してエマルションを調製する工程、前記エマルションに高分子化合物を混合する工程、前記エマルションの分散質から第1の液体を分留する工程に加え、さらに前記複合粒子に重合開始基を吸着する工程、前記重合開始基からモノマーを重合して前記モノマーの重合体を得る工程、を経ることによって複合粒子を得ても良い。
ここで前記エマルションは1ピークの粒子径分布を有し、且つ、数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であることを特徴とする。
本発明における重合開始基としては、ラジカル重合開始基やカチオン重合開始基、アニオン重合開始基など従来公知の重合開始基を適用することが可能であるが、重合の簡便さからラジカル重合開始基を好適に利用することができる。ラジカル重合開始基の例として、アゾ化合物や過酸化物などの自己分解性を有する構造を含む官能基であっても良いし、ジオールを含有する官能基とCe4+の組み合わせのように、触媒等を添加することで活性種を生成する構造、を含む官能基であっても良い。ただし、本発明における重合開始基はこれらに限定されるものではない。
本発明は、重合開始基がリビングラジカル重合開始基である場合に特に好ましく実施することができる。リビングラジカル重合によって形成されるモノマーの重合体は、通常のラジカル重合により形成されるモノマーの重合体と比較して、分子量分布が小さいため、表面に均一な鎖長を有するモノマーの重合体をグラフト化することができる。また、重合反応においてリビングラジカル重合開始基から活性種が一様に生成するため、従来のラジカル重合開始基を使用する場合と比べてより高密度にモノマーの重合体をグラフト化することができる。粒子表面に均一な鎖長を有するモノマーの重合体を高密度にグラフト化することは、非特異吸着抑制能の向上、及び分散性の向上に大きく寄与することが一般的に知られている。
本発明のリビングラジカル重合開始基としては、例えば、光イニファータ重合開始基や原子移動ラジカル重合開始基、ニトロキシド媒介重合開始基などが挙げられる。これらの中で、重合可能なモノマー種が限定されるニトロキシド媒介重合開始基を用いることは好ましくない。一方、重合可能なモノマー種の範囲が広く、重合が特に簡便であるという利点から光イニファータ重合開始基を用いることが好ましい。より好ましくは、高い反応制御性を有する原子移動ラジカル重合開始基を用いることである。
光イニファータ重合開始基としては、紫外光照射により重合反応に関与する活性種を生成する下記の一般式(2)に示すようなジチオカルバメート化合物を用いることができる。即ち、表面にジチオカルバメート化合物、例えば、N,N−ジエチルジチオカルバメート基を吸着させた粒子を反応溶媒に分散させた後、モノマーを添加し、ここへ紫外光を照射することによって鎖長の揃ったモノマーの重合体を粒子表面にグラフト化することができる。
(式中、R及びRは炭素数1以上のアルキル基、置換アルキル基、アリール基又は置換アリール基を表す。)
また、原子移動ラジカル重合開始基としては、公知のものを使用できるが、主に反応性の高い炭素ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物、ハロゲン化スルホニル化合物等を含有する官能基が挙げられる。原子移動ラジカル重合においては、これらの官能基に対して遷移金属錯体が触媒として機能することによってリビング重合を開始することができる活性種を生成する。即ち、表面に原子移動ラジカル重合開始基、例えば有機ハロゲン化物が吸着した粒子を反応溶媒に分散させた後、モノマーと触媒である遷移金属錯体を添加し、場合によっては加熱することにより鎖長の揃ったモノマーの重合体を粒子表面にグラフト化することができる。
遷移金属錯体としては、ハロゲン化金属とリガンドからなる錯体を使用することができる。ハロゲン化金属の金属種としては、例えば、原子番号22番のTiから30番のZnまでの遷移金属が好ましく、これらの中でも特に、Fe,Co,Ni,Cuを用いることが好ましい。
遷移金属錯体の使用量は、モノマーの重合体を形成するモノマーの使用量に対して、0.0001質量%以上10質量%以下の割合で添加することが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上5質量%以下である。
また、リガンドとしてはハロゲン化金属に配位可能であれば特に限定されない。例えば、2、2’−ビピリジル、4,4’−ジ−(n−ヘプチル)−2,2’−ビピリジル、2−(N−ペンチルイミノメチル)ピリジン、(−)−スパルテイン、トリス(2−ジメチルアミノエチル)アミン、エチレンジアミン、ジメチルグリオキシム、1,4,8,11−テトラメチル−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、1,10−フェナントロリン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチル(2−アミノエチル)アミン等を使用することができる。
重合開始基の複合粒子に対する吸着様式として、化学吸着と物理吸着が挙げられる。化学吸着とは共有結合を介した吸着様式、物理吸着とはファンデルワールス力を介した吸着様式を意味する。これらの中でも、より強固な結合力を有する化学吸着を適用することが好ましい。化学吸着の例としては、アミド結合、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル結合、チオエステル結合、ウレタン結合などが挙げられるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、本発明の目的を達成可能な範囲において、複数の吸着様式を組み合わせて適用しても良い。
本発明において、モノマーを重合することによってモノマーの重合体を得る。本発明のモノマーとして、水に対して高い親和性を有するものを適用することが好ましい。水溶液中でモノマーの重合体に対する生体分子等の非特異吸着の主な原因は、生体分子中に含有される疎水性アミノ酸部位とモノマーの重合体との疎水性相互作用が挙げられる。即ち、モノマーの重合体が親水性を有することにより、モノマーの重合体に対する生体分子の非特異吸着を低減することが可能となる。
また、本発明のモノマーとして、その構造中に非特異吸着抑制能を有する官能基を含むものを使用することが好ましい。非特異吸着抑制能を有する官能基として、例えば、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2‐ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシイソプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、カルボキシル基、スルホニル基、ホスホニル基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、アミド基、メチルアミド基、エチルアミド基、イソプロピルアミド基、ピロリドン基、エチレングリコール基およびその重合体、コリン基、ホスファチジルコリン基及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの中で、カルボキシル基を少なくとも一部に含有するモノマーを使用することがより好ましい。その中でも、高い非特異吸着抑制能を示すことが知られている下記一般式(1)に示すようなカルボキシベタイン構造を有するモノマーがより好ましい。カルボキシル基を活性エステル化することにより、ここを基点として他の物質、例えば、標的物質を認識する抗体や酵素等を固定化することが可能となる。
(式中、m、nは1から10の整数を示す。)
本発明において、モノマーを重合する際、複合粒子に吸着していないフリーな重合開始剤を反応溶液中に共存させても良い。フリーな重合開始剤から生成するフリーポリマーの分子量及び分子量分布は、複合粒子17にグラフト化された高分子化合物の分子量及び分子量分布と同じとして見積もることができる。また、フリーポリマーの分子量及び分子量分布は、GPC(東ソー社製、商品名:AS−8020、溶離液:水、標準ポリマー:ポリエチレンオキシド)により測定できる。
フリーな重合開始剤としては、重合開始基と同種のものを選択することが好ましい。例えば、光イニファータ重合開始基としてN,N−ジエチルジチオカルバメート基を導入した粒子に対しては、N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸をフリーな重合開始種として用いることが好ましい。
フリーな重合開始剤は、モノマーの重合体33を形成するモノマーに対して、0.0001モル当量以上0.1モル当量以下の割合で添加することが好ましい。より好ましくは、0.0005モル当量以上0.05モル当量以下である。
本発明におけるアフィニティーリガンドとは、生理活性物質など、特定の標的物質に対して親和性を有する物質である。特に、本発明のアフィニティー粒子を磁気バイオセンサーに適用する場合には、アフィニティーリガンドは、検体液中の標的物質の選択に係わる物質であり、例えば、検体液中の標的物質と選択的に直接反応する物質(いわゆるレセプター)、標的物質の反応に係わる物質(例えば、標的物質の反応に選択的に触媒作用をもたらす物質)等である。また、この捕捉部材は、検出の有無や程度の表示に係わる機能、例えば、レセプターが放出する物質や残余の物質と反応し発色する機能等を兼ねるものであってもよい。本発明に使用される捕捉部材には、酵素、糖鎖、触媒、抗体、抗体断片、抗原、核酸などが挙げられるがこれに限る物ではない。
一方、前記検体液中の標的物質とは、検出対象となる物質であり、捕捉部材と選択的に結合する物質、捕捉部材と選択的に直接反応する物質、捕捉部材の反応に係わる物質(例えば、捕捉部材の反応に選択的に触媒作用をもたらす物質)等である。標的物質は生体物質に限るものではなく、またそのサイズも限定されるものではない。ただし標的物質とが、糖、蛋白質、アミノ酸、抗体、抗原や疑似抗原、ビタミン、核酸などの生物に含有される生体物質、及び、その関連物質や人工的に合成された擬似生体物質や場合によってはこれらの断片である場合に、本発明の目的を良好に達成することができる。
本発明において、アフィニティーリガンドの標的物質への結合能を阻害することのない限りにおいて、高分子化合物、あるいはモノマーの重合体への捕捉部材の結合される位置や結合方法は特に限定されない。例えば、アフィニティーリガンドがタンパク質である場合、そのカルボキシル末端または/及びアミノ末端や、アフィニティーリガンドの機能を阻害しない限りにおいてはランダムな位置にて高分子化合物、あるいはモノマーの重合体と結合することができる。また、アフィニティーリガンドの高分子化合物、あるいはモノマーの重合体への結合方法の一例としては、物理吸着や化学結合などの方法が挙げられる。
アフィニティーリガンドの高分子化合物、あるいはモノマーの重合体への物理吸着は、高分子化合物、あるいはモノマーの重合体とアフィニティーリガンドを混合しておくことで非特異的に吸着させることが可能であり、操作の簡便性という点で好ましい。
一方、アフィニティーリガンドの高分子化合物、あるいはモノマーの重合体への結合方法として、共有結合のような化学結合を利用することもできる。前記化学結合は物理吸着に比べ結合が強固であるため好ましい。高分子化合物、あるいはモノマーの重合体にアフィニティーリガンドを共有結合的に固定する方法としては、例えば、アフィニティーリガンドがタンパク質である場合、タンパク質配列中に含まれるアミノ酸が持つアミノ基と、高分子化合物に荷電性官能基として付与されたカルボキシル基とを、従来公知の方法で反応させる方法などがある。
次に、本発明の磁気バイオセンシング装置および磁気バイオセンシング方法について説明する。
本発明に係る磁気バイオセンシング装置は、上記の複合粒子Aと、磁気センサーを有することを特徴とする。
また、本発明に係る磁気バイオセンシング方法は、上記の複合粒子Aの表面に、標的物質捕捉体を結合して標的物質捕捉能を有する複合粒子Bを得る工程、前記標的物質捕捉能を有する複合粒子Bと検体を接触させ前記検体中の標的物質を捕捉する工程、前記標的物質を捕捉した複合粒子Bを磁気センサーにより検出して、検体中の標的物質の有無または濃度を測定する工程を有することを特徴とする。
前記標的物質を捕捉した複合粒子Bを磁気センサーの表面に固定する工程、前記磁気センサー表面に固定された複合粒子Bに静磁界を印加する工程を含むことが好ましい。
次に、上記複合粒子の検出について図3乃至図6に基づいて説明する。
図3は、本発明の磁気バイオセンシング方法に用いるTMR(トンネル磁気抵抗)センサーの模式図である。図4は、本発明における複合粒子A(平均粒径175nm)の磁化曲線を示す図である。図5は、磁気センサー上に置かれた複合粒子がつくる磁界を示す模式図である。図6は、本発明の複合粒子Bが磁気センサー上につくる磁界分布の一例を示す図である。
本発明では、磁気センサーによる上記複合粒子の検出を介して、該複合粒子に固定された標的物質の有無または濃度の測定を行う。
i)磁気センサー
用いる磁気センサーは、複合粒子B102からの漏れ磁界を検出できる構成であれば良く、例えば、磁気抵抗効果素子、ホール素子、磁気インピーダンス素子、フラックスゲート素子などが挙げられる。
ii)磁気センサー上への複合粒子固定
複合粒子A101の表面に標的物質捕捉体103を準備して作製した複合粒子B102および標的物質104を、前記磁気センサー上に固定する。このとき、磁気センサーの検出領域表面100に、標的物質104を捕捉可能な材料を準備しておくことも好ましい。さらに、センサーの非検出領域表面に、標的物質104または複合粒子B102に対応する付着防止材料を準備しておくことも好ましい。
iii)複合粒子の検出
前記磁気センサー表面100に固定された複合粒子B102からの漏れ磁界を磁気センサーで検出することで、複合粒子B102に固定された標的物質の検出を行う。このとき、例えばセンサーの検出困難方向成分を主とする静磁界を複合粒子B102に印加することで、該磁気センサーの検出能を飽和させずに、複合粒子B102からのより大きな漏れ磁界を得ることができる。
但し、測定方法は複合粒子B102からの漏れ磁界を検出できれば良く、上記測定方法に限定されない。例えば(1)外から強い磁界Hをかけて複合粒子B102の磁化をある方向にそろえたあと、Hを小さく(またはゼロに)した状態で、複合粒子B102の残留磁化または磁化の緩和を観察してもよい。あるいは(2)印加磁界強度が検出能を飽和させない範囲であれば、用いる磁気センサーの検出可能方向のバイアス磁界を利用する、などの手法も用いることができる。
更に、複合粒子B102の検出を介して標的物質104の検出を行う場合、標的物質捕捉体を複合粒子B102表面および磁気センサー表面100に準備し、標的物質104をその間に挟む形で固定する構成を用いることも好ましい。
以下ではTMRセンサーを例にして、標的物質の検出について詳細に述べるが、本発明の磁気センサーはこれに限るものではない。
まず、図3のように、第1の磁性膜402と第2の磁性膜404、その間にトンネル絶縁膜403からなる構成のTMR素子部400と、該素子を挟む形で上部配線401、下部配線401を有し、素子面内方向に磁気異方性を持つTMRセンサーを用いる。このとき磁気センサーは、素子面内方向の磁界を検出することが可能であり、上下配線を通して測定される素子の電気抵抗が、磁界の大きさに依存して変化するという特徴を有する。
次に、磁化mを持つ1個の複合粒子A101がTMRセンサー表面100上に固定された場合について考える。
ここで例えば、平均粒径175nmの本発明による複合粒子A101の磁化曲線は図4のようになっている。複合粒子A101の磁化は、外部印加磁界がおよそ0から1kOeの領域で急峻な立ち上がりを示し、約7kOeでほぼ飽和する。飽和磁化の大きさは、約2.5×10−13[emu/bead]である。
次に、複合粒子A101の磁化がTMRセンサー感磁部膜面に対して鉛直方向を向いた場合に、TMRセンサ−106が複合粒子A101から受ける磁界について考える(図5(a)は断面図、(b)は平面図)。図5の白抜きの矢印は、TMRセンサー感磁部106が受ける、複合粒子からの漏れ磁界Hの面内方向成分を示す。TMRセンサー感磁部106が検出し難いよう、センサー感磁部膜面に垂直な方向に直流磁界を印加(不図示)することで、図5のような状態を作ることができる。直流磁界を印加する磁界印加手段は、所望の磁界が印加できればどのようなものでもよく、永久磁石でも電磁石でもよい。
一般に、磁化mを持つ複合粒子の中心から距離rのところにある点について考えた場合、真空の透磁率をμとすると、その点に複合粒子から生じる漏れ磁界Hは、下記の(1)式で表される。
ここで(1)式より、直径175nmの複合粒子A101がTMRセンサー感磁部106につくる漏れ磁界の面内成分の大きさを算出できる。ここで、TMRセンサー感磁部106上の保護膜や配線等を考えてTMR感磁部106上面は、TMRセンサー表面100から15nm下に存在するとする。更に、複合粒子B102の検出を介して標的物質の検出を行う場合、複合粒子A101とTMRセンサー表面100の間に、捕捉体と抗原104が挟まることになる。その高さは抗原や抗体の種類により異なるが、一般的な例として抗体の厚みが各15nm、抗原の径が数十nm前後を想定することができる。ウィルスや細菌の種類、或いは抗体の状態によってはこの範囲外の状況もありえるが、一例としてこの合計高さが50nm程度の場合、磁界分布は図6のようになる。
図6の状態でも、TMRセンサー感磁部106の、少なくとも複合粒子B102の投影面積付近では、検知可能な磁界ができていることが確認できる。
式(1)から明らかなように、複合粒子が周囲に作る磁界は、複合粒子の磁化に比例し、複合粒子からの距離の三乗で減衰する。このため、磁性体含有量が多く、さらにコアを取り巻くシェル厚の薄い、本複合粒子A101は、磁気センサーによる検出に適していると言える。
バイオセンサーなどで標的物質が非磁性物質である場合、本複合粒子B102に固定することで、上記複合粒子の検出を介して標的物質を間接的に検出することが可能となる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(磁性体の合成)
FeCl6HOとFeCl4HOを等モルとなるように水に溶解させて溶解液とした。この溶解液を室温に保持して激しく攪拌しながら、28%アンモニア水を加えてマグネタイトの懸濁液とした。この懸濁液にオレイン酸を加え、70℃で1時間、110℃で1時間攪拌することでスラリーとした。スラリーを大量の水とエタノールで洗浄し、次いで減圧乾燥することによって粉末の疎水化マグネタイトとした。
得られた疎水化マグネタイトを透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価したところ、重量平均乾燥粒子経(Dw)が8nmであった。
FeCl6HOとFeCl4HOをモル濃度で1:1.5となるように用いた場合、FeCl6HOFeCl4HOをモル濃度で1:2.5となるように用いた場合、及びFeCl6HOとFeCl4HOをモル濃度で1:5.0となるように用いた場合において、上記と同様にして疎水化マグネタイトを作製したところ、それぞれDwが12nmと、Dwが17nm、Dwが26nmの疎水化マグネタイトを得た。
(高分子化合物1の合成)
スチレンとメタクリル酸をトルエンに溶解させて溶解液とし、30分間、窒素バブリングした。その後、溶解液にアゾビスイソブチロニトリルを加え、60℃で2時間攪拌した。次に、溶解液を大量のメタノールに滴下し、析出物をろ過収集することによって、スチレン由来の疎水性部とメタクリル酸由来の親水性部を有する高分子化合物1を合成した。なお、メタクリル酸由来の親水性部はカルボキシル基である。
高分子化合物1をサイズ排除クロマトグラフィー(GPC)にて評価したところ、重量平均分子量が8200であった。
また高分子化合物の水に対する溶解性を調べたところ、pH10より低いpH領域では水に不溶、pH10以上のpH領域では水に可溶であった。
(高分子化合物2の合成)
スチレンと4ビニルピリジンをトルエンに溶解させて溶解液とし、30分間、窒素バブリングした。その後、溶解液にアゾビスイソブチロニトリルを加え、60℃で2時間攪拌した。次に、溶解液を大量のメタノールに滴下し、析出物をろ過収集することによって、スチレン由来の疎水性部と4ビニルピリジン由来の親水性部を有する高分子化合物2を合成した。なお、4ビニルピリジン由来の親水性部はアミノ基である。
高分子化合物1をサイズ排除クロマトグラフィー(GPC)にて評価したところ、重量平均分子量が6800であった。
また高分子化合物の水に対する溶解性を調べたところ、pH3以下のpH領域では水に可溶、pH3より大きいpH領域では水に不溶であった。
(高分子化合物3の合成)
4−クロロメチルスチレンとメタクリル酸をトルエンに溶解させて溶解液とし、30分間、窒素バブリングした。その後、溶解液にアゾビスイソブチロニトリルを加え、60℃で2時間攪拌した。次に、溶解液を大量のメタノールに滴下し、析出物をろ過収集することによって、4−クロロメチルスチレン由来の疎水性部とメタクリル酸由来の親水性部を有する高分子化合物1を合成した。なお、メタクリル酸由来の親水性部はカルボキシル基である。
高分子化合物3をサイズ排除クロマトグラフィー(GPC)にて評価したところ、重量平均分子量が7300であった。
また高分子化合物の水に対する溶解性を調べたところ、pH10より低いpH領域では水に不溶、pH10以上のpH領域では水に可溶であった。
実施例1
Dwが8nmの疎水化マグネタイト3.0gをヘキサン6gに分散させてヘキサン混合液を調製した。次に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.01gを蒸留水30gに溶解させてSDS水溶液を調整した。また、1gの高分子化合物1を、水酸化ナトリウムを用いてpH11に調製した蒸留水50gに溶解させて高分子化合物水溶液を調整した。
ヘキサン混合液とSDS水溶液を混合して混合液とし、この混合液を寒剤で冷却しながら、超音波ホモジナイザーで4分間せん断することによってエマルションを調製した。得られたミニエマルションをDLS8000にて評価したところ、Dhwが230nm、Dhnが211nm、Dhw/Dhnが1.09であり、ミニエマルションに分類されるエマルションであることを確認した。
得られたミニエマルションに高分子化合物水溶液を加え、30分間室温で攪拌した後、25mlのエタノールを30分間かけて加え、さらに70℃に昇温して1時間攪拌した。次いで、ミニエマルションを室温に冷却し、0.03N HCl水溶液をミニエマルションのpHが7.5になるまで30分間かけて加え、さらに70℃に昇温して1時間攪拌することで複合粒子1の分散液を得た。最後に複合粒子1の分散液を、3日間蒸留水中で透析して精製した。
得られた複合粒子1をTEMにて評価したところ、Dwが170nm、Dnが167nm、Dw/Dnが1.02であった。TEMによる画像からは、複合粒子1表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子1表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析(リガク社製、Thermo Plus)により評価したところ、複合粒子1中のマグネタイト含有率は82wt%であった。なお、複合粒子1のTEM画像を図7に示す。
複合粒子1の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが172nm、Dhnが159nm、Dhw/Dhnが1.08であった。また、磁性粒子のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOM(マイクロテックニチオン)によって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子1表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子1を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子1表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例2
Dwが8nmの疎水化マグネタイト3.0gをヘキサン6gに分散させてヘキサン混合液を調製した。次に、0.01gのSDSを蒸留水30gに溶解させてSDS水溶液を調整した。また、1gの高分子化合物2を、塩酸水溶液を用いてpH1.5に調製した蒸留水50gに溶解させて高分子化合物水溶液を調整した。
ヘキサン混合液とSDS水溶液を混合して混合液とし、この混合液を寒剤で冷却しながら、超音波ホモジナイザーで4分間せん断することによってエマルションを調製した。得られたミニエマルションをDLS8000にて評価したところ、Dhwが217nm、Dhnが1.97nm、Dhw/Dhnが1.10であり、ミニエマルションに分類されるエマルションであることを確認した。
得られたミニエマルションに高分子化合物水溶液を加え、30分間室温で攪拌した後、25mlのエタノールを30分間かけて加え、さらに70℃に昇温して1時間攪拌した。次いで、ミニエマルションを室温に冷却し、0.03N NaOH水溶液をミニエマルションのpHが6.0になるまで30分間かけて加え、さらに70℃に昇温して1時間攪拌することで複合粒子2の分散液を得た。最後に複合粒子2の分散液を、3日間蒸留水中で透析して精製した。
得られた複合粒子2をTEMにて評価したところ、Dwが166nm、Dnが150nm、Dw/Dnが1.11であった。TEMによる画像からは、複合粒子2表面に高分子化合物2のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物2は複合粒子2表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA分析により評価したところ、複合粒子2中のマグネタイト含有率は81wt%であった。
複合粒子2の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが165nm、Dhnが1.47nm、Dhw/Dhnが1.12であった。また、複合粒子2のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、アミノ基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子2表面に高分子化合物2の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子2を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子2表面に高分子化合物2が存在することが確認できた。
実施例3
Dwが12nmの疎水化マグネタイトを用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子3をTEMにて評価したところ、Dwが181nm、Dnが163nm、Dw/Dnが1.11であった。TEMによる画像からは、複合粒子3表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子3表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子3中のマグネタイト含有率は85wt%であった。
複合粒子3の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが184nm、Dhnが166nm、Dhw/Dhnが1.11であった。また、複合粒子3のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子3表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子3を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子3表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例4
Dwが17nmの疎水化マグネタイトを用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子4をTEMにて評価したところ、Dwが194nm、Dnが175nm、Dw/Dnが1.11であった。TEMによる画像からは、複合粒子4表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子4表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子4中のマグネタイト含有率は86wt%であった。
複合粒子4の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが192nm、Dhnが170nm、Dhw/Dhnが1.13であった。また、複合粒子4のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子4表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子4を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子4表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例5
疎水化マグネタイトを2.0g、SDSを0.02g用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子5をTEMにて評価したところ、Dwが52nm、Dnが46nm、Dw/Dnが1.12であった。TEMによる画像からは、複合粒子5表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子5表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子5中のマグネタイト含有率は80wt%であった。
複合粒子5の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが52nm、Dhnが46nm、Dhw/Dhnが1.14であった。また、複合粒子5のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子5表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子5を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子5表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例6
疎水化マグネタイトを4.5g用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子6をTEMにて評価したところ、Dwが282nm、Dnが245nm、Dw/Dnが1.15であった。TEMによる画像からは、複合粒子6表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子6表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子6中のマグネタイト含有率は82wt%であった。
複合粒子6の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが286nm、Dhnが247nm、Dhw/Dhnが1.16であった。また、複合粒子6のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子6表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子6を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子6表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例7
Dwが8nmの疎水化マグネタイト3.0gをスチレン1.5gとクロロホルム4.5gに分散させてスチレン/クロロホルム混合液を調製した。次に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.01gを蒸留水30gに溶解させてSDS水溶液を調整した。また、1gの高分子化合物1を、水酸化ナトリウムを用いてpH11に調製した蒸留水50gに溶解させて高分子化合物水溶液を調整した。
スチレン/クロロホルム混合液とSDS水溶液を混合して混合液とし、この混合液を寒剤で冷却しながら、超音波ホモジナイザーで4分間せん断することによってエマルションを調製した。得られたミニエマルションをDLS8000にて評価したところ、Dhwが172nm、Dhnが158nm、Dw/Dnが1.09であり、ミニエマルションに分類されるエマルションであることを確認した。
得られたミニエマルションに高分子化合物水溶液を加え、30分間室温で攪拌した後、エバポレーターを用いて、ミニエマルションからクロロホルムを選択的に抽出した。クロロホルム抽出を終えたミニエマルションを30分間、窒素バブリングし、70℃に昇温して過硫酸カリウムを加えて6時間攪拌することで複合粒子7を得た。最後に複合粒子7の分散液を、3日間蒸留水中で透析し、pHを6.5に調製した。
得られた複合粒子7をTEMにて評価したところ、Dwが151nm、Dnが134nm、Dw/Dnが1.12であった。TEMによる画像からは、複合粒子7表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は磁性粒子表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子7中のマグネタイト含有率は53wt%であった。
複合粒子7の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが154nm、Dhnが132nm、Dhw/Dhnが1.17であった。また、複合粒子7のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子7表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子7を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子7表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例8
磁性体として疎水化白金鉄微粒子(戸田工業社製)を用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。
この疎水化白金鉄微粒子は白金鉄微粒子を界面活性剤(非開示)で表面修飾して疎水化したもので、ヘキサンなどの疎水性有機溶媒に対して良好な分散性を有する。また、この微粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)にて評価したところ、重量平均乾燥粒子経(Dw)が4nmであった。
この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子8をTEMにて評価したところ、Dwが191nm、Dnが175nm、Dw/Dnが1.09であった。TEMによる画像からは、複合粒子8表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子8表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子8中のマグネタイト含有率は76wt%であった。
複合粒子8の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが194nm、Dhnが178nm、Dhw/Dhnが1.09であった。また、複合粒子8のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOMによって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子8表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子8を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子8表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例9
Dwが8nmの疎水化マグネタイト3.0gを、ヘキサン3gとクロロホルム3gから構成される混合有機溶媒に分散させて、ヘキサン/クロロホルム混合液を調製した。次に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.01gを蒸留水30gに溶解させてSDS水溶液を調整した。また、1gの高分子化合物1を、水酸化ナトリウムを用いてpH11に調製した蒸留水50gに溶解させて高分子化合物水溶液を調整した。
ヘキサン/クロロホルム混合液とSDS水溶液を混合して混合液とし、この混合液を寒剤で冷却しながら、超音波ホモジナイザーで4分間せん断することによってエマルションを調製した。得られたミニエマルションをDLS8000にて評価したところ、Dhwが205nm、Dhnが184nm、Dhw/Dhnが1.11であり、ミニエマルションに分類されるエマルションであることを確認した。
得られたミニエマルションに高分子化合物水溶液を加え、30分間室温で攪拌した後、25mlのエタノールを30分間かけて加え、さらに70℃に昇温して1時間攪拌した。次いで、ミニエマルションを室温に冷却し、0.03N HCl水溶液をミニエマルションのpHが7.5になるまで30分間かけて加え、さらに70℃に昇温して1時間攪拌することで複合粒子9の分散液を得た。最後に複合粒子9の分散液を、3日間蒸留水中で透析して精製した。
得られた複合粒子9をTEMにて評価したところ、Dwが181nm、Dnが160nm、Dw/Dnが1.13であり、内部に中空構造を有することが確認された。TEMによる画像からは、複合粒子9表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子9表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子9中のマグネタイト含有率は81wt%であった。なお、複合粒子9のTEM画像を図8a、図8bに示す。図8aは実施例9で得られる複合粒子の透過型電子顕微鏡写真、図8bは図8aを画像処理してそのコントラストを強調した透過型電子顕微鏡写真である。
本実施例はマグネタイト3.0gを分散する有機溶剤として、クロロホルム3gとヘキサン3gから構成される混合溶剤を用いている点が、実施例1と異なる。ヘキサンと比較してクロロホルムは水親和性が大きいため、実施例1のように有機溶剤としてヘキサンのみを使用する場合よりも、本実施例のような混合溶剤を用いる場合の方が、分留速度が大きくなるために、図8Aおよび図8Bのような中空構造が生じたものと考えられる。
複合粒子9の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが186nm、Dhnが160nm、Dhw/Dhnが1.16であった。また、複合粒子9のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOM(マイクロテックニチオン)によって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子9表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子9を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子9表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
実施例10
高分子化合物1の代わりに高分子化合物3を用いた以外は実施例1と同様の条件で実験を行った。この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子10をTEMにて評価したところ、Dwが208nm、Dnが194nm、Dw/Dnが1.07であった。TEMによる画像からは、複合粒子10表面に高分子化合物3のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物3は複合粒子10表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子10中のマグネタイト含有率は84wt%であった。
複合粒子10の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが221nm、Dhnが204nm、Dhw/Dhnが1.08であった。また、複合粒子10のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOM(マイクロテックニチオン)によって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子10表面に高分子化合物3の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子10を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、クロロ基に由来するシグナルが観測されたことより、複合粒子10表面に高分子化合物3が存在することが確認できた。
次に、1.0gの複合粒子10を蒸留水20g中に分散させた後、0.5g N,N−ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムを蒸留水5gに溶解した水溶液を加え、粒子表面に露出しているクロロ基とN,N−ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムとを水中で反応させることにより、粒子表面にN,N−ジメチルジチオカルバメート基を導入した複合粒子11を得た。複合粒子11のFT−IR測定(Perkin Elmer製)を行ったところ、N,N−ジメチルジチオカルバメート基に由来するC=S伸縮振動ピークが観測された。また、複合粒子11を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子表面にS原子由来のシグナルが観測された。これらの分析より、複合粒子表面にN,N−ジメチルジチオカルバメート基が吸着していることが確認できた。
得られた0.25gの複合粒子11を遮光条件下で蒸留水100g中に分散させた後、フリーな重合開始剤として0.1mmol N,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸、モノマーとして100mmol N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン(以下、MCB)を加え、30分間以上窒素バブリングを行うことにより反応系内の酸素を除去した後、高圧水銀ランプ(400W、理工科学産業株式会社製)を用いて上記分散液に紫外光を照射した。40分間紫外光を照射した後、遠心分離を繰り返して余剰のMCBとフリーのポリマーとを除去し、蒸留水で洗浄することによって、ポリ(MCB)がグラフトされた複合粒子12の水分散液を得た。
複合粒子12の分散液をDLS8000にて評価したところ、ポリ(MCB)をグラフト化することにより、複合粒子11と比較して粒子径が増大することが確認され、Dhwが268nm、Dhnが244nm、Dhw/Dhnが1.10であった。
また、フリーな重合開始剤として加えておいたN,N−ジエチルジチオカルバミド酢酸から生成した高分子の分子量と分子量分布を測定したところ、数平均分子量が1.17×10で、分子量分布が1.38であった。このことから、複合粒子12表面にグラフト化されたポリ(MCB)は鎖長の揃った高分子化合物であることが推察される。
0.01M PBS緩衝液中において、0.1wt%の複合粒子12分散液をDLS−8000、及びFPAR−1000(大塚電子製)にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示したことから、高い分散安定性を有していることを確認した。
さらに、0.01M PBS緩衝液中において、複合粒子12に対する牛血清アルブミン(以下、BSA)の吸着量を紫外・可視分光光度計(Perkin Elmer製)を用いて評価したところ、複合粒子11に比べて複合粒子12では、BSAの吸着量が著しく抑制されることを確認した。
実施例11
高分子化合物1の代わりに高分子化合物3を用いた以外は実施例1と同様の条件で実験を行った。この場合においてもミニエマルションに分類されるエマルションを得られることが確認された。
得られた複合粒子13をTEMにて評価したところ、Dwが208nm、Dnが194nm、Dw/Dnが1.07であった。TEMによる画像からは、複合粒子13表面に高分子化合物3のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物3は複合粒子表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析により評価したところ、複合粒子13中のマグネタイト含有率は84wt%であった。
複合粒子13の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが221nm、Dhnが204nm、Dhw/Dhnが1.08であった。また、複合粒子13のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOM(マイクロテックニチオン)によって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子13表面に高分子化合物3の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子13を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、クロロ基に由来するシグナルが観測されたことより、複合粒子13表面に高分子化合物3が存在することが確認できた。
次に、0.25gの複合粒子13を含有した水分散液を透析により分散媒をメタノールに置換して複合粒子13を再分散させた後、フリーな重合開始剤として0.10mMベンジルクロライドを加え、その後0.10mM CuCl、0.30mM 2,2’−ビピリジルを加えた。30分間以上窒素バブリングを行うことにより反応系内の酸素を除去した後、系内を窒素で置換し、モノマーとして100mM MCBを加えることにより、原子移動ラジカル重合を行い40℃で4時間反応させた。反応後、遠心分離を繰り返して触媒として加えた銅錯体や余剰のMCBを除去し、メタノールで洗浄した後に蒸留水で洗浄することによって、ポリ(MCB)がグラフトされた複合粒子14の水分散液を得た。
複合粒子14の水分散液をDLS8000にて評価したところ、Dhwが262nm、Dhnが241nm、Dhw/Dhnが1.09であった。
また、フリーな重合開始剤として加えておいたベンジルクロライドから生成した高分子の分子量と分子量分布を測定したところ、数平均分子量が1.02×10で、分子量分布が1.27であった。このことから、複合粒子14表面にグラフト化されたポリ(MCB)は鎖長の揃った高分子化合物であることが推察される。
0.01M PBS緩衝液中において、0.1wt%の複合粒子14の分散液をFPAR−1000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示したことから、高い分散安定性を有していることを確認した。
0.01M PBS緩衝液中において、複合粒子14に対するBSAの吸着量を紫外・可視分光光度計(Perkin Elmer製)を用いて評価したところ、複合粒子13に比べて複合粒子14では、BSAの吸着量が著しく抑制されることを確認した。
実施例12
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中に抗リゾチーム(Rabbit−Poly)を溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1に抗リゾチーム(Rabbit−Poly)を化学吸着させ、複合粒子15を得た。
複合粒子15の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが176nm、Dhnが162nm、Dhw/Dhnが1.09であった。
実施例13
複合粒子12で作製したポリ(MCB)をグラフト化した後の磁性粒子を、蒸留水に分散させ、さらにこの分散液に、スクシンイミジルビオチンをN,N’ジメチルホルムアミドに溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子12にスクシンイミジルビオチンを化学吸着させ、複合粒子16を得た。
複合粒子16の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが276nm、Dhnが240nm、Dhw/Dhnが1.15であった。
実施例14
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中にストレプトアビジンを溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1にストレプトアビジンを化学吸着させ、複合粒子17を得た。
複合粒子17の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが192nm、Dhnが169nm、Dhw/Dhnが1.14であった。
実施例15
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中に5’末端アミノ化DNA(15mer)を溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1に5’末端アミノ化DNA(15mer)を化学吸着させ、複合粒子18を得た。
複合粒子18の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが174nm、Dhnが151nm、Dhw/Dhnが1.15であった。
実施例16
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中に抗リゾチーム(Mouse−Mono)を溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1に抗リゾチーム(Mouse−Mono)を化学吸着させた複合粒子19を得た。
複合粒子19の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが181nm、Dhnが157nm、Dhw/Dhnが1.19であった。
実施例17
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中にニワトリ卵白リゾチーム(HEL)を溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1にニワトリ卵白リゾチーム(HEL)を化学吸着させ、複合粒子20を得た。
複合粒子20の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが178nm、Dhnが153nm、Dhw/Dhnが1.16であった。
実施例18
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中にアミノエタンチオールを溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1にアミノエタンチオールを化学吸着させ、複合粒子Aを得た。
複合粒子Aの分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが181nm、Dhnが154nm、Dhw/Dhnが1.18であった。
実施例19
複合粒子1を、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド水溶液と1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩水溶液の混合液に分散させ、さらにこの分散液に、リン酸バッファー中に抗PSAを溶解させた溶解液を加えることで、複合粒子1に抗PSAを化学吸着させ、複合粒子Bを得た。
複合粒子Bの分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが189nm、Dhnが162nm、Dhw/Dhnが1.17であった。
実施例20
Dwが8nmの疎水化マグネタイト0.24gをヘキサン60gに分散させてヘキサン混合液を調製した。次に、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)0.6gを蒸留水1000gに溶解させてSDS水溶液を調整した。また、2gの高分子化合物1を、水酸化ナトリウムを用いてpH11に調製した蒸留水50gに溶解させて高分子化合物水溶液を調整した。
ヘキサン混合液とSDS水溶液を高速ミニキット(SPGテクノ製)にて膜乳化することによってエマルションを調整した。得られたエマルションを光学顕微鏡にて評価したところ、Dhwが1020nm、Dhnが887nm、Dhw/Dhnが1.15であり、単分散エマルションであることを確認した。
得られたエマルションに高分子化合物水溶液を加え、30分間室温で攪拌した後、40℃にて7日間攪拌することによって複合粒子20の分散液を得た。最後に複合粒子20の分散液を、3日間蒸留水中で透析して精製した。
得られた複合粒子20をTEMにて評価したところ、Dwが192nm、Dnが160nm、Dw/Dnが1.20であった。TEMによる画像からは、複合粒子20表面に高分子化合物1のコーティング層を明確に確認できなかったことから、高分子化合物1は複合粒子20表面に存在しないか、極めて薄い薄膜を形成しているかの何れかであると推察される。また、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定:Thermogravimetry/Differential Thermal Analysis)分析(リガク社製ThermoPlus)により評価したところ、複合粒子20中のマグネタイト含有率は81wt%であった。
複合粒子20の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示し、Dhwが208nm、Dhnが170nm、Dhw/Dhnが1.22であった。また、磁性粒子のpH2からpH13における水溶液中の電気泳動移動度をZEECOM(マイクロテックニチオン)によって評価したところ、カルボキシル基を有する粒子に典型的な挙動を示したことから、複合粒子20表面に高分子化合物1の薄膜が形成していることが確認できた。また、複合粒子20を凍結乾燥してXPSにより表面元素分析したところ、複合粒子20表面に高分子化合物1が存在することが確認できた。
比較例1
Dwが26nmの疎水化マグネタイトを用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。この場合、良好な単分散エマルションが形成されず、得られた磁性粒子も凝集してしまった。
比較例2
疎水化マグネタイトを5.5g用いた以外は実施例1と同様の条件にて実験を行った。この場合、良好な単分散エマルションが形成されなかった。
得られた磁性粒子をTEMにて評価したところ、Dwが347nm、Dnが275nm、Dw/Dnが1.26であり、十分な単分散性を達成することができなかった。また、磁性粒子の分散液をDLS8000にて評価したところ、1ピークの粒子径分布を示さず、磁性粒子の分散性が十分でないことが確認された。
実施例21
(i)磁気センサー
本実施例では、まず、TMR素子を用いた複合粒子A101の検出について述べる。
図9は本実施形態のTMRセンサーの構成を説明するための模式図である。TMR素子として、本実施例では図9に示すように、Si基板270上に下地膜としてTa膜271、Cu膜272、Ta膜273の多層膜、下部磁性体膜220として、PtMn膜221、CoFe膜222、Ru膜223、CoFeB膜224の多層膜、スピントンネル膜230として、MgO膜、感磁部となる上部磁性体膜210としてCoFeB膜を順次形成した多層膜を用いる。
上部磁性体膜210の上部に保護膜としてPt膜274および検出電流を流すための上部配線275を配する。更に、センサー表面100にはAu膜を準備する。
ここでは、前記構成で、素子面内方向に磁気異方性を有するTMRセンサーを使用する。このため、素子面内方向の磁界を検出することが可能であり、磁界の大きさに依存して素子の電気抵抗が変化するという特徴を有する。
本実施例では素子上面の面積が6μm×6μm、容易軸方向に磁界を印加した際の磁気抵抗変化率は100%程度)(図10)のTMRセンサーを用いる。
(ii)センサー上への複合粒子固定
実施例18のチオール表面を有する複合粒子A101をEtOH溶媒で希釈し、TMRセンサー表面100上に滴下する。Au−SH固定後、TMRセンサー表面100を洗浄することで、TMRセンサー表面100に複合粒子を固定する(図11(a))。
(iii)複合粒子の検出
使用するTMRセンサーにとって検出困難方向の磁界である、センサー表面鉛直方向に1kOeの外部磁場Hを印加する。これで、複合粒子A102の磁化はほぼ膜面に垂直な方向を向く。ここで素子の電気抵抗値を測定すると、複合粒子B102からの漏れ磁界を反映した素子抵抗が得られる。この値を、複合粒子B102の無い状態における素子抵抗と比較することで、複合粒子の有無、または濃度を検出することが可能である。
図11(c)に、TMR素子抵抗の、固定粒子数による変化を示す。これは、センサー上に複合粒子Aを50個(図11(a))および15個(図11(b))固定した場合と、固定粒子が無い場合について測定したものである。図11(a)は、複合粒子Bの固定と、対応するTMRセンサーの出力例を示す透過型電子顕微鏡写真である。図11(b)は、複合粒子Bの固定と、対応するTMRセンサーの出力例を示す透過型電子顕微鏡写真である。
センサー表面鉛直方向に1kOeの磁界Hを印加した場合の素子抵抗比(H=ゼロのときの抵抗RH⊥−0に対する、H=1kOeの際の抵抗値RH⊥=1kの変化分のパーセント表示:(RH⊥−1000−RH⊥−0)/RH⊥−0)を縦軸にしている。個数を反映した出力の増大が確認できる。このようにして、TMRセンサーの出力変化より、固定粒子数を読み取ることができる。
実施例22
次に本実施例では、TMR素子による複合粒子B102の検出を介して行う、前立腺特異抗原の検出について述べる。
i)磁気センサー
実施例21と同様のTMRセンサー表面100に、標的物質104に対応した一次抗体103(b)を準備する。検体と接触し得る、TMRセンサー表面100以外の領域には、標的物質に対応した非特異付着防止材を準備する。
ii)センサー上への複合粒子固定
標的物質のTMRセンサー上への固定について、図12を参考に、構成を説明する。標的物質である抗原104が、磁気センサー表面100に準備された一次抗体103(b)と複合粒子B102表面に準備された二次抗体103(a)にはさまれる構成を準備する。このように、標的物質である抗原104と、実施例19の複合粒子B102をTMRセンサー表面100に固定することで、複合粒子B102の検出を介して標的物質104の検出を行うことが可能である。
上述したTMRセンサ−および標的物質の固定を利用して、以下のプロトコールにしたがって前立腺癌のマーカーとして知られている前立腺特異抗原(PSA)の検出を試みることが可能となる。なお、TMRセンサー表面100には、PSAを認識する一次抗体103(b)を準備しておく。
(1)抗原(被検体)であるPSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(被検体溶液)をTMRセンサー表面100と接触するように準備された流路内に注入し、5分間インキュベートする。
(2)リン酸緩衝生理食塩水を流路内に流し、未反応のPSAを除去する。
(3)抗PSA抗体(二次抗体)で表面修飾された複合粒子Bを含むリン酸緩衝生理食塩水を流路内に注入し、5分間インキュベートする。
(4)未反応の該標識抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
上記プロトコールによって、抗PSA抗体(二次抗体)103(a)、抗原104及び一次抗体103(b)を介してTMRセンサー表面100に、複合粒子B102が固定される。つまり、被検体の中に抗原104が存在しない場合には、複合粒子B102はTMRセンサー表面100上に固定されないので、複合粒子B102の有無を検出することによって、抗原があるか否かを検出することが可能となる。
(iii)測定手順
実施例19と同様の検出方法にて、TMRセンサ−表面100に固定された複合粒子の有無、または濃度を検出する。この検出を介して、標的物質である抗原104の有無または濃度の測定が可能となる。
なお、本実施例では上記ii)において、TMRセンサーと流路が各一つ形成されている場合について説明したが、複数個の検出部と、一つ以上の流路を有し、各検出部で異なる抗原−抗体反応が生じるようにすることで、一度に複数の抗原を検出することも可能である。
本発明の複合粒子は、粒子径が小さく単分散性に優れ、粒子毎の磁性体含有率が高く飽和磁化が大きく、分散安定性に優れ、非特異吸着抑制能を有するので、医療材料をはじめとする広範な産業分野において適用できる複合粒子、特に検体液中の標的物質の有無、濃度を磁気検出する磁気バイオセンサーに好適な磁性粒子として利用することができる。
本発明の複合粒子の製造方法の一実施態様を示す工程図である。 本発明の複合粒子の一実施態様を示す模式図である。 本発明の磁気バイオセンシング方法に用いるTMRセンサーの模式図である。 本発明における複合粒子A(平均粒径175nm)の磁化曲線を示す図である。 磁気センサー上に置かれた複合粒子がつくる磁界を示す模式図である。 本発明の複合粒子Bが磁気センサー上につくる磁界分布の一例を示す図である。 実施例1で得られる磁性粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例9で得られる複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 図8aを画像処理してそのコントラストを強調した透過型電子顕微鏡写真である。 実施例19で用いるTMRセンサーの構成例を示す図である。 実施例19で用いるTMRセンサーの磁気抵抗変化曲線例を示す図である。 実施例19における複合粒子Bの固定と、対応するTMRセンサーの出力例を示す透過型電子顕微鏡写真である。 実施例19における複合粒子Bの固定と、対応するTMRセンサーの出力例を示す透過型電子顕微鏡写真である。 実施例19における複合粒子Bの固定と、対応するTMRセンサーの出力例を示す図である。 実施例20における複合粒子Bの固定を示す模式図である。
符号の説明
11 第1の液体
12 第2の液体
13 固体微粒子
14 高分子化合物
15 分散質
16 複合粒子
17 複合粒子
21 マトリックス部材
100 磁気センサー表面
101 複合粒子A
102 複合粒子B
103 標的物質捕捉体
103(a) 標的物質捕捉体(二次抗体)
103(b) 標的物質捕捉体(一次抗体)
104 標的物質
106 磁気センサー
210 上部磁性体膜
220 下部磁性体膜
221 PtMn膜
222 CoFe膜
223 Ru膜
224 CoFeB膜
230 スピントンネル膜
270 Si基板
271 Ta膜
272 Cu膜
274 Pt膜
275 上部配線
400 TMRセンサ−
401 下部電極
402 第1の磁性膜
403 トンネル絶縁膜
404 第2の磁性膜
405 上部電極

Claims (6)

  1. 複合粒子の製造方法であって、
    (1)第1の液体と固体微粒子とを混合して混合液を調製する工程、
    (2)前記混合液と第2の液体を混合して、前記第1の液体と前記固体微粒子とからなる分散質を含有するエマルションを調製する工程、
    (3)前記エマルションに高分子化合物を混合する工程、
    (4)前記エマルションを分留して前記分散質から前記第1の液体を抽出し、
    前記固体微粒子と前記高分子化合物を含む複合粒子を生成する工程とを含有し、前記分散質が1ピークの粒子径分布を有し、且つ数平均流体力学粒子径(Dhn)と重量平均流体力学粒子径(Dhw)から算出される分散度指数(Dhw/Dhn)が1.5以下であり、前記エマルションのpHを、前記高分子化合物が前記第2の液体に可溶性の状態を示すpHから不溶性の状態を示すpHに変化させる工程を有することを特徴とする複合粒子の製造方法。
  2. 前記複合粒子を含有するエマルションがミニエマルションであることを特徴とする請求項1に記載の複合粒子の製造方法。
  3. 前記第1の液体が前記第2の液体に不溶な有機溶剤またはモノマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合粒子の製造方法。
  4. 前記高分子化合物が、前記第2の液体のpHの違いに応じて、不溶性の状態と可溶性の状態を示すことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の複合粒子の製造方法。
  5. 前記高分子化合物が疎水性部位と親水性部位を有する両親媒性高分子化合物であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載の複合粒子の製造方法。
  6. 前記固体微粒子が磁性体を含む微粒子であり、該磁性体の重量平均乾燥粒子径(Dw)が20nm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかの項に記載の複合粒子の製造方法。
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