JP5278443B2 - シール構造 - Google Patents
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Description
本発明は、少なくとも2つの部材の結合面に、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着する性質のペースト状ガスケットが介在されてシールされるシール構造に関する。
従来から自動車等の車両に搭載される内燃機関(エンジン)では、シリンダブロック等にタイミングチェーンカバー、オイルパン等を結合する場合、前記2つの部材の結合面にシールを介在させるようにしている。
このシールとしては、ゴム製ガスケットを用いるようにしていたが、近年では、例えば液状ガスケットを用いるようになってきている(例えば特許文献1参照。)。
特許文献1に係る従来例には、内燃機関のシリンダブロックおよびシリンダヘッドとチェーンカバーとの結合部分に液状ガスケットを介在させた構造が開示されている。
この特許文献1に係る従来例では、シリンダブロックおよびシリンダヘッドやチェーンカバーの素材についてなんら言及しておらず、これらに対する液状ガスケットの接着力についてもなんら言及していない。
ところで、特許文献2に係る従来例では、金属製のスリーブ20とエラストマーからなる樹脂カバー36との結合面に固形のガスケット37を配置した構成において、段落番号0043に記載されているように、前記ガスケット37を樹脂カバー36と同系材料(ナイロン系エラストマー)で形成し、両者の接合力を高めるためのプライマーを用いることなく、前記両者を接触させるようにしている。
この特許文献2に係る従来例では、金属製のスリーブ20と樹脂カバー36との熱膨張係数の差に起因する前記両者の寸法変化によって、ガスケット37のシール性が損なわれることを防止することを目的としている。
但し、この特許文献2に係る従来例の段落番号0053には、樹脂カバー36と固形のガスケット37との間に、両者の接合力を高めるためのプライマー61を配置することが記載されている。このガスケット37はプライマー61を介して熱溶着される。但し、プライマー61の素材については言及されていない。
また、特許文献3に係る従来例では、マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる基材に、プラズマ電解酸化被膜を形成した構造のマグネシウム部材が開示されている。プラズマ電解酸化被膜は、基材側に形成される微細な空孔を含む緻密層と、その上に形成される粗大な空孔を含む多孔質層との積層構造になっている。
この特許文献3に係る従来例には、前記マグネシウム部材の場合、基材上のプラズマ電解酸化被膜に液状ガスケットを塗布すると、多孔質層の粗大な空孔によって液状ガスケットの密着力が確保されるようになる、と記載されている。
特開2002−276462号公報
特開2007−107484号公報
特開2007−308757号公報
特許文献2に係る従来例では、固形のガスケット37を用いていて、本発明のようなペースト状ガスケットを用いるものではなく、特許文献2に係る従来例と本発明とは発明の前提構成が異なる。
しかも、この特許文献2に係る従来例に開示されているプライマー61が何であるかは不明であるが、このプライマー61の役割は、固形のガスケット37を樹脂カバー36に熱溶着させるためのものであって、本発明のようにペースト状ガスケットを樹脂やマグネシウム合金等のような部材に強く接着させるようなものとは異なる。
また、特許文献3に係る従来例は、あくまでもマグネシウム部材に関する発明であって、本発明のようなシール構造とは異なるうえ、本発明の下記するような目的思想が開示されていないし、また、示唆もされていない。
このような事情に鑑み、本発明は、少なくとも2つの部材の結合面に、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着する性質のペースト状ガスケットが介在されてシールされるシール構造において、ペースト状ガスケットが接着しにくい材料からなる一方部材にペースト状ガスケットを強く接着させるようにし、少なくとも2つの部材の結合部分のシール性を向上することを目的としている。
本発明は、少なくとも2つの部材の結合面に、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着される性質のペースト状ガスケットが介在されてシールされるシール構造であって、前記少なくとも2つの部材のうちの少なくとも一方部材が、その結合面に官能基が存在する密度の少ない材料で形成され、前記少なくとも2つの部材のうちの残りの部材は、アルミニウム合金または鉄系金属とされ、この一方部材の結合面に金属溶射膜が形成され、この金属溶射膜上に前記ペースト状ガスケットが接着され、前記金属溶射膜の表面は、前記ペースト状ガスケットの塗布前にプラズマ処理が施されている、ことを特徴としている。
なお、結合面に官能基の存在する密度が少ない材料とは、一般的に公知のように、例えば樹脂材料あるいはマグネシウム合金等が挙げられる。前記密度が少ないという文言は、例えば鉄系金属やアルミニウム合金等の場合に比べての相対的な表現である。また、金属溶射膜とは、一般的に公知のように、金属溶射により生成される膜のことであり、当該金属溶射膜の主要な組成金属としては、アルミニウム系、鉄系金属等、任意である。
このような樹脂材料やマグネシウム合金等に対しては、前記のペースト状ガスケットの接着力が弱いことが知られているが、前記構成のように、前記一方部材と前記ペースト状ガスケットとを金属溶射膜を介して強く接着させるようにしている。
これにより、一方部材と金属溶射膜との接着力、金属溶射膜とペースト状ガスケットとの接着力がそれぞれ強くなる。そのため、前記少なくとも2つの部材の結合部分において前記各接着部位のシール性が向上する。
そして、前記構成のように、一方部材の結合面に金属溶射膜を形成するとき、溶射される金属粒子の熱で前記結合面が溶けるとともに、この溶けた結合面に溶射される金属粒子が食い込むことになり、その金属粒子に次々と金属粒子が金属結合することにより膜が成長するようになる。つまり、このような金属粒子のアンカー効果でもって一方部材に対する金属溶射膜の接着力が強くなる。
一般的に公知のように、金属溶射膜に対するペースト状ガスケットの接着力は比較的強いので、前記一方部材に前記ペースト状ガスケットが強く接着される結果になる。
しかも、金属溶射膜は、溶射により生成されるものであって、型を用いて成形するものではないので、成形面に離型剤が付着しない等、ペースト状ガスケットの塗布前に洗浄等する必要がなくなる。
ところで、前記少なくとも2つの部材のうちの残りの部材を、アルミニウム合金または鉄系金属としている。このアルミニウム合金または鉄系金属は、一般的に公知のように、表面に官能基の存在する密度が多い材料である。そのため、このような材料の表面にペースト状ガスケットを塗布すると、ペースト状ガスケットが強く接着するようになる。
したがって、前記の構成によれば、一方部材側に上述したように強く接着されるペースト状ガスケットが前記残りの部材に対して強く接着するから、前記少なくとも2つの部材の結合部分におけるすべての接着部位のシール性が向上する。さらに、本発明では、前記金属溶射膜の表面にプラズマ処理を施している。これにより、金属溶射膜に対するペースト状ガスケットの接着力が高まる。というのは、前記の金属溶射膜の表面にプラズマ処理を施すと、この金属溶射膜の表面の不純物や酸化膜が除去されて、当該表面が粗くなるとともに、当該表面に多数の官能基が付加される。これにより、金属溶射膜の表面積が増したうえに、表面に官能基が存在する密度が高くなるから、その金属溶射膜にペースト状ガスケットを塗布すると、前記金属溶射膜の官能基とペースト状ガスケットの官能基との結合の密度が高くなって、ペースト状ガスケットの接着力が強くなる。このことから、ペースト状ガスケットの塗布後に、少なくとも2つの部材を結合する過程において、前記一方部材の取り扱い姿勢に関係なく、その部材からペースト状ガスケットが垂れ落ちる心配がなくなる。そのため、結合作業が容易に行えるようになる。また、一方部材とそれの結合相手部材との結合面に介在されるペースト状ガスケットによるシール性が向上する。
好ましくは、前記一方部材の結合面は、前記金属溶射膜の形成前にプラズマ処理が施されている。
この構成のように、前記一方部材の結合面にプラズマ処理を施すと、金属溶射膜の接着力が高まる。
というのは、前記の樹脂材料やマグネシウム合金等からなる一方部材にプラズマ処理を施すと、この一方部材の表面の酸化膜が除去されて、当該表面が粗くなるとともに、当該表面に多数の官能基が付加される。
これにより、前記一方部材の表面積が増したうえに、表面に官能基が存在する密度が高くなるから、当該一方部材に金属溶射膜を形成すると、前記一方部材の材料としての樹脂材料やマグネシウム合金等の官能基と金属溶射膜の官能基との結合の密度が高くなって、金属溶射膜の接着力が強くなる。
このことから、樹脂材料やマグネシウム合金を材料とする一方部材と金属溶射膜との接合面のシール性が良好となる。
好ましくは、前記ペースト状ガスケットが、シリコンゴム系のFIPGとされる。
なお、前記のFIPGは、一般的に公知のように、Formed In Place Gasketの略である。そして、シリコンゴム系のFIPGは、例えば線状または帯状に塗布することが可能であるとともに、塗布直後に形が崩れにくく、また、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着するという性質があるので、前記結合面への塗布作業が容易となるとともに、結合面のシール性が向上する。
本発明によれば、少なくとも2つの部材の結合面に、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着する性質のペースト状ガスケットが介在されてシールされるシール構造において、ペースト状ガスケットが接着しにくい材料からなる一方部材にペースト状ガスケットを強く接着させることが可能となり、少なくとも2つの部材の結合部分のシール性を向上することが可能になる。
1 内燃機関
2 シリンダブロック
2a シリンダブロックのねじ孔
3 シリンダヘッド
3a シリンダヘッドのねじ孔
6 タイミングチェーンカバー
6a タイミングチェーンカバーのフランジ
6b フランジの貫通孔
15 ボルト
20 ペースト状ガスケット
21 金属溶射膜
2 シリンダブロック
2a シリンダブロックのねじ孔
3 シリンダヘッド
3a シリンダヘッドのねじ孔
6 タイミングチェーンカバー
6a タイミングチェーンカバーのフランジ
6b フランジの貫通孔
15 ボルト
20 ペースト状ガスケット
21 金属溶射膜
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図5に本発明の一実施形態を示している。ここで、図1および図2を参照して、本発明の特徴を適用する対象となる内燃機関の概略構成について説明する。
図1および図2において、1は内燃機関の全体を示しており、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はシリンダヘッドカバー、5はオイルパン、6はタイミングチェーンカバー、7はPCVプレート、8はオイルシールリテーナである。
タイミングチェーンカバー6は、クランクプーリ11と吸気カムプーリ12や排気カムプーリ13とに巻き掛けられるタイミングチェーン(あるいはタイミングベルト)14を外部から隠蔽保護するものである。PCVプレート7は、PCV装置のブローバイガス取り出し部分に取り付けられるものである。オイルシールリテーナ8は、シリンダブロック2から突出するクランクシャフト9の後端の外周面との間を密封するためのオイルシール(図示省略)を保持するものである。
これらのタイミングチェーンカバー6、PCVプレート7、オイルシールリテーナ8は、適宜の樹脂材料で形成されることがある。また、シリンダヘッドカバー4やオイルパン5についても適宜の樹脂材料で形成されることがある。これらの樹脂材料としては、エンジニアリングプラスチックス全般、例えばポリプロピレン、ポリアミド等がある。
その一方で、これらの樹脂材料からなる部品が取り付けられる相手となるシリンダブロック2やシリンダヘッド3等については、アルミニウム合金あるいは鋳鉄等のような金属材料で形成される。
この実施形態では、樹脂材料からなる部品をタイミングチェーンカバー6とする例を挙げる。このタイミングチェーンカバー6は、シリンダブロック2やシリンダヘッド3に対してボルト15等の締結部材で固定されるようになっている。
具体的に、図2および図3に示すように、タイミングチェーンカバー6の外周には、外向きに突出するフランジ6aが設けられており、このフランジ6aには、ボルト15が適宜の隙間を持つ状態でルーズに挿入されるための貫通孔6bが設けられている。
また、タイミングチェーンカバー6の取り付け相手となるシリンダブロック2およびシリンダヘッド3の前面には、ボルト15をねじ込むためのねじ孔2a,3aが設けられている。
そして、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3にタイミングチェーンカバー6を取り付けるには、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aの外側から貫通孔6bにボルト15を差し込み、このボルト15をシリンダブロック2およびシリンダヘッド3のねじ孔2a,3aにねじ込むようにすればよい。
このタイミングチェーンカバー6とシリンダブロック2およびシリンダヘッド3との結合面には、シール性を確保するために、ペースト状ガスケット20が介在される。
このペースト状ガスケット20は、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着する性質を有し、例えば一般的に公知のFIPG(Formed In Place Gasket)が用いられる。ここでのFIPGは、例えばシリコンゴム系で接着成分を有するもの、例えば株式会社スリーボンド製の商品名TB1280E,TB1285等が好適に用いられる。
ところで、前記したように、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3をアルミニウム合金や鋳鉄等の金属材料とし、タイミングチェーンカバー6を樹脂材料としているので、次のような工夫をしている。
そもそも、タイミングチェーンカバー6を樹脂材料とする場合、この樹脂材料に対してFIPGからなるペースト状ガスケット20の接着力が弱い、つまり親和性が悪いことが知られている。というのは、樹脂材料は、一般的に公知のように、表面に官能基としてのヒドロキシ基が存在する密度が少ない。そのために、樹脂材料のヒドロキシ基とペースト状ガスケット20のヒドロキシ基とが水素結合する密度が極めて少なくなり、結果的に接着力が弱くなるのである。
そこで、この実施形態では、図3に示すように、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aに対するペースト状ガスケット20の接着力を強くするために、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aにペースト状ガスケット20を塗布する前に、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aの結合面の全域に金属溶射膜21を形成しておき、この金属溶射膜21上にペースト状ガスケット20を塗布接着させるように工夫している。
要するに、金属溶射膜21は、タイミングチェーンカバー6にペースト状ガスケット20を強く接着させるためのつなぎとしての役割を果たす。この金属溶射膜21の主要な組成金属としては、例えばアルミニウム系、鉄系金属等、任意である。また、金属溶射膜21の膜厚については、任意であるが、その形成対象となる部材の溶融度合い等を考慮して適宜に設定することができる。
しかも、この実施形態では、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aの表面つまり結合面に対し、前記金属溶射膜21の形成前にプラズマ処理を施すとともに、前記金属溶射膜21の表面に対し、前記ペースト状ガスケット20の塗布前にプラズマ処理を施すようにしている。
このように、樹脂材料からなるタイミングチェーンカバー6のフランジ6aにプラズマ処理を施すと、前記樹脂表面の酸化膜が除去されて、当該表面が粗くなるとともに、当該表面に多数の官能基としてのヒドロキシ基が付加される。これにより、樹脂材料の表面積が増したうえに、表面にヒドロキシ基が存在する密度が高くなるから、その樹脂材料に金属溶射膜21を溶射すると、前記樹脂材料のヒドロキシ基と金属溶射膜21の金属系官能基との結合密度が高くなって、金属溶射膜の接着力が強くなる。
同様に、金属溶射膜21にプラズマ処理を施すと、前記金属溶射膜21の表面の不純物や酸化膜が除去されて、当該表面が粗くなるとともに、当該表面に多数の官能基としてのヒドロキシ基が付加される。これにより、金属溶射膜21の表面積が増したうえに、表面にヒドロキシ基が存在する密度が高くなるから、この金属溶射膜21にペースト状ガスケット20を塗布すると、前記金属溶射膜21の金属系官能基および付加されたヒドロキシ基と、ペースト状ガスケット20のヒドロキシ基との結合の密度が高くなって、ペースト状ガスケット20の接着力が強くなる。
次に、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3にタイミングチェーンカバー6を取り付ける際の作業について詳しく説明する。
まず、取り付け前の準備工程として、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aの結合面に、金属溶射膜20を形成してから、その上にペースト状ガスケット21を塗布接着する。
具体的には、フランジ6aの結合面にプラズマ処理を施すことによりフランジ6aの結合面を改質し、その直後にフランジ6aの結合面に金属溶射膜21を形成し、この金属溶射膜21にプラズマ処理を施すことにより金属溶射膜21の表面を改質し、その直後に金属溶射膜21の表面にペースト状ガスケット20を塗布する。
この準備工程において、第1のプラズマ処理と、金属溶射処理と、第2のプラズマ処理と、ペースト状ガスケット20の塗布処理とは、所定の時間差をもって連続的に行うようにすることができる。
つまり、例えば図4に示すように、第1プラズマ照射ノズル51、金属溶射ノズル52、第2プラズマ照射ノズル53、ガスケット塗布ノズル54を、それぞれ所定間隔ずらして一列に配置した状態で図示していないスライダ等に保持させておき、このスライダによって各ノズル51〜54をフランジ6aの周方向に沿わせて所定速度で動かすのである。
この場合、フランジ6aが第1プラズマ照射ノズル51によりプラズマ処理された直後に、金属溶射ノズル52により金属溶射膜21が形成され、その直後に金属溶射膜21の表面が第2プラズマ照射ノズル53によりプラズマ処理され、その直後にガスケット塗布ノズル54により金属溶射膜21上にペースト状ガスケット20が帯状に塗布されるようになる。
このように、先頭に位置する第1プラズマ照射ノズル51が移動すると、その移動ラインを、金属溶射ノズル52、第2プラズマ照射ノズル53、ガスケット塗布ノズル54が追いかけるようになっているので、それぞれの処理が一本のライン上で行われるようになる等、位置ずれが防止されるようになる。
参考までに、前記のプラズマ処理は、所定の圧力(低気圧または大気圧)のガスに対し直流または交流電界により放電を発生させて、高度に電離したガス状態のプラズマを適宜の照射ノズル(図示省略)からジェット噴射して、対象面(タイミングチェーンカバー6のフランジ6aや金属溶射膜21)に照射させる。
このプラズマ処理の放電条件は、特に限定はないが、前記圧力を10(Torr)以下とすることが好ましい。また、電源のプラズマ励磁電界周波数は、50(Hz)等の定周波交流、1(kHz)〜100(kHz)程度の交流、13.56(MHz)等のラジオ波、2.45(GHz)等のマイクロ波等のいずれかが利用できる。また、前記ガスは、例えばアルゴンガス、酸素、空気、窒素、ヘリウムガス、フッ素系ガス、アンモニア等を利用できるが、そのうち、アンモニア、酸素、アルゴンガス、窒素等のいずれかとするのが好ましい。さらに、プラズマ処理の形態については、ICP高密度プラズマ照射、RIE汎用プラズマ照射、大気圧プラズマ照射等、任意である。
このような準備工程が終わってから、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aをシリンダブロック2およびシリンダヘッド3の前面に押し付けることにより、フランジ6a側に塗布接着したペースト状ガスケット20の外面がシリンダブロック2およびシリンダヘッド3の前面に接着されるようになる。このシリンダブロック2およびシリンダヘッド3は、上述したようにアルミニウム合金または鉄系金属で形成されているので、一般的に公知のように、ペースト状ガスケット20が強く接着するようになる。
このとき、タイミングチェーンカバー6の外周縁をシリンダブロック2およびシリンダヘッド3の周縁に合致させると、タイミングチェーンカバー6側の貫通孔6bと、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3側のねじ孔2a,3aとが略一致するようになる。
この取り付け過程においては、予めタイミングチェーンカバー6のフランジ6aに対するペースト状ガスケット20の接着力を高めているから、タイミングチェーンカバー6の取り扱い姿勢に関係なく、ペースト状ガスケット20がフランジ6aから垂れ落ちる心配がない。そのため、タイミングチェーンカバー6の取り付け作業が容易に行えるようになる。
この状態で、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aの外側から貫通孔6bにボルト15を差し込み、このボルト15をシリンダブロック2およびシリンダヘッド3のねじ孔2a,3aにねじ込む。
以上説明したように、本発明の特徴を適用した実施形態では、ペースト状ガスケット20が接着しにくい材料からなるタイミングチェーンカバー6のフランジ6aに、金属溶射膜21をつなぎとしてペースト状ガスケット20を強く接着させるようにしている。
これにより、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aと金属溶射膜21との接着力、金属溶射膜21とペースト状ガスケット20との接着力がそれぞれ強くなる。しかも、ペースト状ガスケット20とアルミニウム合金または鉄系金属からなるシリンダブロック2およびシリンダヘッド3との接着力はもともと強い。
これらのことから、シリンダブロック2およびシリンダヘッド3とタイミングチェーンカバー6との結合部分におけるすべての接着部位のシール性が向上する。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲で包含されるすべての変形や応用が可能である。以下で例を挙げる。
(1)上記実施形態では、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aにペースト状ガスケット20を塗布接着してから、それをペースト状ガスケット20を塗布していないシリンダブロック2およびシリンダヘッド3に接合させる形態にしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図6に示すように、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aとシリンダブロック2およびシリンダヘッド3との両方にペースト状ガスケット20を塗布接着しておいて、両者のペースト状ガスケット20どうしを接着させるようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、タイミングチェーンカバー6のフランジ6aに金属溶射膜21を形成する前と、この金属溶射膜21にペースト状ガスケット20を塗布接着する前とにプラズマ処理を施すようにした例を挙げている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図示しないが、例えばタイミングチェーンカバー6のフランジ6aに金属溶射膜21を形成する前のみにプラズマ処理を行うようにしてもよいし、また、金属溶射膜21にペースト状ガスケット20を塗布接着する前のみにプラズマ処理を施すようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、樹脂製のタイミングチェーンカバー1を金属製のシリンダブロック2およびシリンダヘッド3に結合する例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。
例えば図1に示すシリンダヘッドカバー4、オイルパン5、PCVプレート7、オイルシールリテーナ8等を適宜の樹脂材料で形成する場合には、これらを金属製部材としての例えばシリンダブロック2やシリンダヘッド3に取り付ける際に、それらの結合面に前記したシール構造を適用することが可能である。
また、シリンダヘッドカバー4、オイルパン5、PCVプレート7、オイルシールリテーナ8等については、マグネシウム合金を材料として製造される場合がある。このマグネシウム合金は、一般的に公知のように、樹脂材料と同様、表面に官能基が存在する密度が少ない。しかし、その場合も、上記実施形態と同様に金属溶射膜21を形成しておいてからペースト状ガスケット20を塗布するようにすればよいので、上記実施形態と何も変わらない。さらに、シリンダブロック2やシリンダヘッド3についてもマグネシウム合金で製造する場合がある。この場合には、シリンダブロック2やシリンダヘッド3の結合面にペースト状ガスケット20を接着する前に金属溶射膜21を形成しておくようにするのが好ましい。これらの場合も、前記(2)の記載内容を適用することができる。
本発明のシール構造は、内燃機関1の構成要素(例えばシリンダヘッドカバー4、オイルパン5、PCVプレート7、オイルシールリテーナ8等)の結合部分に適用することができる。また、本発明のシール構造は、内燃機関1以外のいろいろな装置の少なくとも2つの部材間の結合部分に適用することができる。
Claims (3)
- 少なくとも2つの部材の結合面に、塗布後に弾性を有する状態で固まって接着される性質のペースト状ガスケットが介在されてシールされるシール構造であって、
前記少なくとも2つの部材のうちの少なくとも一方部材が、その結合面に官能基が存在する密度の少ない材料で形成され、
前記少なくとも2つの部材のうちの残りの部材は、アルミニウム合金または鉄系金属とされ、
前記一方部材の結合面に金属溶射膜が形成され、この金属溶射膜上に前記ペースト状ガスケットが接着され、
前記金属溶射膜の表面は、前記ペースト状ガスケットの塗布前にプラズマ処理が施されている、ことを特徴とするシール構造。 - 請求項1に記載のシール構造において、
前記一方部材の結合面は、前記金属溶射膜の形成前にプラズマ処理が施されている、ことを特徴とするシール構造。 - 請求項1または2に記載のシール構造において、
前記ペースト状ガスケットが、シリコンゴム系のFIPGとされる、ことを特徴とするシール構造。
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