以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電気掃除機100の全体構成を示す概略図である。図2は、電気掃除機100の掃除機本体1のみを示す斜視図である。図1及び図2に基づいて、電気掃除機100の概略構成について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。電気掃除機100は、塵埃等のゴミを吸引する床用吸込み具65をホース61を介して掃除機本体1に接続し、吸引したゴミを紙パック等(図9参照)が収容されている集塵部20に捕集し、ゴミを捕集した後の空気を掃除機本体1から排気するものである。
図1に示すように、電気掃除機100は、掃除機本体1と、掃除機本体1の前面に設けられた本体吸気口10に着脱自在に装着されるホースユニット60とで構成されている。ホースユニット60は、本体吸気口10に接続される蛇腹状のホース61と、先端側に設けられた手元ハンドル62と、手元ハンドル62の先端側に接続される伸縮自在の延長管64と、延長管64の先端に接続される着脱自在の床用吸込み具65とで構成されている。床用吸込み具65から吸い込まれた塵埃等のゴミを含む空気は、延長管64及びホース61を通過し、掃除機本体1へと吸い込まれるようになっている。
また、手元ハンドル62には、電源操作部63が設けられている。この電源操作部63には、ユーザからの指示を受け付ける動作スイッチ66が設けられており、動作スイッチ66が操作されることによって、電気掃除機100の動作が開始・終了するようになっている。掃除機本体1の外観構成は、図2に示すように、円筒状の上ケース3と、有底円筒状の下ケース4と、上面が緩やかな円弧状に形成された上蓋5とで構成されている。上蓋5の後部側は、図示省略のヒンジを介して掃除機本体1に連結され、掃除機本体1の上面開口部を開閉するようになっている。また、上蓋5には、解除ボタン7が設けられている。この解除ボタン7は、上蓋5をロックするラッチボタンとなっている。
掃除機本体1の前面側には、本体吸気口10が設けられている。この本体吸気口10には、ホースユニット60が接続され、このホースユニット60を介して空気が吸い込まれ、掃除機本体1の内部に進入するようになっている。本体吸気口10は、吸込口8(図3参照)に連通するホース接続口11と、その両側から斜め上方に延設された門型の本体ハンドル12とで構成されており、空気の進入口となるものである。つまり、本体吸気口10には、取付具等を用いてホースユニット60が接続され、このホースユニット60を介して空気が吸い込まれ、掃除機本体1の内部に進入するようになっている。ホース接続口11は、掃除機本体1内部に形成されている吸込口8と連通している。本体ハンドル12は、掃除機本体1と一体的に形成されているハンドル部材である。
また、掃除機本体1の背面側には、延設部13が設けられている。延設部13の後面側には、排気口14が設けられている。排気口14は、掃除機本体1内部の空気の出口となるものである。つまり、排気口14は、掃除機本体1内にゴミとともに吸い込まれ、ゴミが除去された後の空気を掃除機本体1の外部に排出するものである。なお、本体吸気口10及び排気口14の形成位置を特に限定するものではなく、掃除機本体1の形状に応じて形成位置を決定すればよい。
下ケース4には、コード15を出し入れする開口部が形成されている。このコード15は、掃除機本体1内部の図示省略のコードリールに巻かれ、掃除機本体1内部に収容されるようになっており、商用電源等に接続され、掃除機本体1に電力を伝達する機能を有している。なお、図2では、コード15の先端にプラグを設けて図示している。また、下ケース4の底面には、複数の車輪16が設けられている。この車輪16は、回転することによって掃除機本体1を移動させるようになっている。
図3は、掃除機本体1の内部構成の一例を説明するための概略図である。図4は、電気掃除機100の掃除機本体1を上面から見た状態を示す平面図である。図3及び図4に基づいて、掃除機本体1の内部構成の一例について説明する。なお、図4では、掃除機本体1内の空気の流れを矢印で表している。掃除機本体1の内部には、2つの開口部が開口面を地面と略垂直となるように形成されている。この開口部のうち前面側に形成されているものが吸込口8であり、背面側に形成されているものが排気口14に連通する排気口連通口(図示省略)である。吸込口8は、本体吸気口10から吸い込まれた塵埃等を含む空気の進入口となるものである。
掃除機本体1内部には、オゾン発生部30がオゾン発生部保持体31によって取り付けられている。このオゾン発生部30は、オゾン発生部保持体31の内部に位置し、電動送風機50の駆動時に通風路9内の吸引風の主流を通気させずに、負圧となるように設置されているものとする。オゾン発生部保持体31は、本体吸気口10の開口面と略垂直な開口面を有している。なお、オゾン発生部30は、詳細について図7で説明するが、プラズマ放電素子によってオゾンを発生させるようになっているものとする。
掃除機本体1には、集塵部20及び電動送風機50が搭載されている。集塵部20は、2つの開口部を有し、一方の開口部の開口面がオゾン発生部保持体31と略垂直に位置し、他方の開口部の開口面がその対面に位置し、内部に紙パック等を収容可能になっており、掃除機本体1から脱着自在な構成となっている。電動送風機50は、モータ等で構成されており、掃除機本体1内に空気を吸い込むための動力源となるものである。この電動送風機50は、集塵部20のオゾン発生部保持体31と略垂直に位置している開口部の対面に位置している開口部側に設置されている。また、電動送風機50及びオゾン発生部30は、同一の電源(たとえば、家庭用電源等)から供給された電力により駆動するように設計されているとよい。
掃除機本体1内部には、本体吸気口10から吸い込まれた空気(吸引風)の通風路9が形成されている。この通風路9は、本体吸気口10、オゾン発生部保持体31及び集塵部20が順に風上側から風下側に配置することで形成されており、電動送風機50の動作によって吸引風が流れる風路となっている。通風路9には、この通風路9以外に分岐路を設けてもよいが、電動送風機50の吸引力に与える影響が軽微、圧力損失を大きくしないように構成されていることが望ましい。つまり、通風路9に金属メッシュ等の圧損体を備えたり、吸引風を循環させたりすることがあり、また、電動送風機50の起動時に負圧となり吸引風が通気しづらかったり、通気しなかったりすることがあるため、通風路9を電動送風機50の吸引力に与える影響が軽微な構成とすることが望ましいのである。
なお、通風路9に金属メッシュを備える場合には、その金属メッシュに抗菌加工、妨カビ加工又は防臭加工等のうち少なくとも1つ以上を施しておけば、掃除機本体1内部の衛生面を更に向上できる。また、金属メッシュを通過してしまうような微細な塵埃(細塵)を捕集するためのフィルタ等を備えるようにしてもよい。また、掃除機本体1の内部には、電気掃除機100の全体を統括制御する制御部51が電動送風機50の下流側に配置されている。この制御部51は、オゾン発生部30を制御し、オゾンの発生を調整する機能を有している(図5で詳細に説明する)。
図5は、電気掃除機100の電気的な構成を示す概略ブロック図である。図5に基づいて、電気掃除機100の電気的な構成、特に制御部51の機能について説明する。この図5に示すように、掃除機本体1の内部には、オゾン発生部30(特に、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子)の状態を検出するオゾン発生部状態検出手段41と、電動送風機50の負荷状態を検出する電流検出手段42と、電動送風機50の温度を検出する温度検出手段43と、集塵部20の着脱を検出する集塵部検出手段44と、上蓋5の開閉状態を検出する上蓋開閉検出手段45と、ホースユニット60の着脱状態を検出するホースユニット着脱検出手段46とが搭載されており、各検出手段からの情報が制御部51に送られるようになっている。
オゾン発生部状態検出手段41は、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子の短絡等の異常を検出する機能を有している。電流検出手段42は、電気掃除機100の風路(床用吸込み具65から排気口14に至るまでの間における風路)のどこかが密閉されたり、ゴミによる目詰まりが発生したりした場合に急激に上昇する電動送風機50の負荷状態(つまり、電流値)を検出する機能を有している。温度検出手段43は、電気掃除機100の風路のどこかが密閉されたり、ゴミによる目詰まりが発生したりした場合に急激に上昇する電動送風機50の温度を検出する機能を有している。
これらの各検出手段で検出した情報は、後述する各判定手段で受け取り、各判定手段がCPU52に伝達するようになっている。なお、各種検出手段の設置位置を特に限定するものではない。ただし、好ましい設置位置がある検出手段については、適宜説明するものとする。また、オゾン発生部30の駆動/停止(つまり、オゾンの発生及びオゾン発生の停止)の最適なタイミングについては、図20及び図21に基づいて詳細に説明するものとする。
制御部51は、各種検出手段や動作スイッチ66からの情報によって、電気掃除機100の掃除機本体1内におけるオゾンの発生及び電動送風機50の駆動を制御する機能を有している。具体的には、制御部51を構成するCPU(中央処理装置)52がオゾン発生部駆動手段30aを介してオゾンの発生/オゾン発生の停止タイミングを調節したり、電動送風機駆動手段50aを介して電動送風機50の駆動を制御したりしているのである。なお、後述する制御データを格納しておくEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)やフラッシュメモリ等で構成された着脱自在の記憶部55を搭載しておくとよい。
電気掃除機100の制御部51は、CPU52と、図示省略のROM(リード・オンリ・メモリ)と、図示省略のRAM(ランダム・アクセス・メモリ)とを主要部として構成されている。ROMは、CPU52が実行するプログラムや各種固定データを記憶している。RAMは、CPU52がプログラムを実行する際に各種データを一時的に格納するメモリとして機能する。また、制御部51は、動作スイッチ判定手段66aと、オゾン発生部駆動手段30aと、オゾン発生部状態判定手段41aと、電流判定手段42aと、電動送風機駆動手段50aと、集塵部有無判定手段44aと、温度判定手段43aと、上蓋開閉判定手段45aと、ホースユニット着脱判定手段46aを有しており、それらがバスを通じてCPU52に接続されている。
動作スイッチ判定手段66aは、動作スイッチ66の操作の種類を判定し、その情報をCPU52に送る機能を有している。オゾン発生部駆動手段30aは、たとえばDSP((Digital Signal Processor)等で構成され、CPU52からの指示に基づいてオゾン発生部30を駆動させ、オゾンを発生させたり、オゾンの発生を停止させたりする機能を有している。電流判定手段42aは、電流センサ等で構成された電流検出手段42が検出した電流情報をCPU52に送る機能を有している。電動送風機駆動手段50aは、CPU52からの指示に基づいて電動送風機50を駆動させたり、停止させたりする機能を有している。
オゾン発生部状態判定手段41aは、オゾン発生部状態検出手段41が検出した情報をCPU52に送る機能を有している。集塵部有無判定手段44aは、マイクロスイッチ等で構成された集塵部検出手段44からの集塵部20の着脱状態の情報をCPU52に送る機能を有している。温度判定手段43aは、温度センサ等で構成された温度検出手段43が検出した温度情報をCPU52に送る機能を有している。上蓋開閉判定手段45aは、マイクロスイッチ等で構成され、上蓋5の開閉状態を検出し、その情報をCPU52に送る機能を有している。ホースユニット着脱判定手段46aは、ホースユニット60の着脱状態を検出し、その情報をCPU52に送る機能を有している。
図6は、オゾン発生部30及びオゾン発生部保持体31を前面側からみた状態を拡大して示す前面図である。図6に基づいて、オゾン発生部30及びオゾン発生部保持体31について詳細に説明する。オゾン発生部30は、上述したようにオゾン発生部保持体31の内部に納められた形で収納される。そして、オゾン発生部30は、オゾン発生部保持体31に設けられている突起部32等により固定される。オゾン発生部30から発生されたオゾンは、オゾン発生部保持体31内部に形成されているオゾン流入経路33を導通し、オゾン通気口34から通風路9へと拡散する。
このオゾン通気口34は、オゾン発生部保持体31と通風路9とが連通するように形成されている。また、オゾン通気口34は、開口面が地面(水平面)に対し所定の角度を有し、集塵部20の方向へ向いている。つまり、オゾン発生部保持体31は、通風路9及び集塵部吸引口22を介して集塵部20と連通するように形成されている(図8参照)。このような構成とすることで、オゾン通気口34と集塵部20との間に圧損体を存在させないようにでき、オゾン発生部30から集塵部20までの間でオゾンの拡散が妨げられることがない。このとき、オゾン通気口34は、2個以上の貫通孔で形成したり、メッシュを設けたりすることが望ましい。なお、オゾン流入経路33は、チューブ等を用いて構成してもよい。
図7は、オゾン発生部30の構成例を示す概略構成図である。図7に基づいて、オゾン発生部30からオゾンを発生させる仕組みについて説明する。図7では、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子にコロナ放電方式を採用してオゾンを発生させるようになっている場合を例に示している。図7に示すように、オゾン発生部30は、針状突起電極35と接地電極36とで構成されており、針状突起電極35と接地電極36との間に高電圧を印加し、コロナ放電を発生させて、この放電エネルギーによって空気中の酸素の一部をオゾンに変え、オゾンを発生させるようになっている。
オゾン発生部30は、上述したオゾン発生部駆動手段30aにより高圧電源が供給されることで駆動されるようになっている。したがって、オゾン発生部30には、高電圧が印加されることになるため、オゾン発生部30の不具合時に熱を発生することがある。そこで、電気掃除機100では、オゾン発生部状態検出手段41を設け、オゾン発生部30の状態を監視しているのである。なお、オゾン発生部30の発熱による影響を低減するために、オゾン発生部保持体31は、難燃性材料で構成されていることが望ましい。
ここでは、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子にコロナ放電方式を採用し、オゾンを発生させる場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、オゾン発生部30に沿面放電方式やバリア放電方式を採用し、オゾンを発生させるようにしてもよく、電気掃除機100の能力や製造コスト等によって決定するとよい。また、オゾン発生部30の形状も特に限定するものではなく、オゾン発生部保持体31の形状や大きさ、採用したオゾンを発生させる方式等によって決定するとよい。なお、オゾン発生部30の異常は、オゾン発生部状態検出手段41によって検出されるようになっている。
図8は、集塵部20を拡大して示す側面図である。図8に基づいて、集塵部20について詳細に説明する。図8に示すように、集塵部20は、開閉扉21、集塵部吸引口22、紙パック23、フィルタ24及び集塵部排気口25で構成されており、順に空気が流れるようになっている。開閉扉21は、開閉することによって、集塵部20の内部と外部を連通させたり、遮断したりするものである。集塵部20が取り外されたとき、開閉扉21は、閉じられた状態となり、集塵部20に堆積しているゴミ及び内部に拡散したオゾンの漏洩を抑止する。一方、集塵部20が取り付けられたとき、つまり電気掃除機100へ接続されたとき、開閉扉21は、開いた状態となり、オゾン通気口34及び集塵部吸引口22を介して集塵部20とオゾン発生部保持体31とが接続される。
集塵部吸引口22は、集塵部20へ流入する空気の入口となるものであり、開閉扉21によって開放されたり、遮断されたりする。紙パック23は、集塵部20内部に着脱可能となっており、吸引したゴミを蓄積するものである。フィルタ24は、バックアップフィルタとして機能し、活性炭、ゼオライト等の脱臭材が添着された不織布、コルゲート、ハニカム等の形状を有した脱臭フィルタ、又は、高捕集効率を有する濾材、たとえば高分子濾材や、HEPA(High Efficiency Particulate Air)濾材、ULPA(Ultra Low Penetoration Air)濾材等をプリーツ状に折ったプリーツフィルタ等で構成されており、紙パック23の下流側に配置され、紙パック23を通過してしまうような細塵や臭気成分を捕集するものである。
集塵部排気口25は、電動送風機50側に接続され、集塵部20から流出する空気の出口となるものである。フィルタ24及び集塵部排気口25が保持される部分が蓋となるようにしておき、集塵部20の電気掃除機100からの着脱に応じて開閉可能としておくとよい。なお、この蓋を開くことで、紙パック23も交換できるようにしておくとよい。電気掃除機100の起動時においては、電気掃除機100の内部に吸引された吸引風は、集塵部吸引口22、紙パック23、フィルタ24、集塵部排気口25を順に通過し、電動送風機50へと導かれ、排気口14から外部に廃棄されるようになっている。
図9は、紙パック23の一例を側面から見た状態を拡大して示す縦断面図である。図9に基づいて、集塵部20に設置可能な紙パック23の一例について説明する。図9に示すように、紙パック23は、外装紙26と、臭気吸着部27とで構成されている。外装紙26は、紙パック23の外郭を構成するものである。臭気吸着部27は、その内部に蓄積されるゴミの塵壊から発生する臭気及びオゾンの臭気を吸着するものであり、紙パック23の最内層を構成することが望ましい。また、臭気吸着部27には、活性炭及び酸化マンガン(触媒)のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
なお、外装紙26と臭気吸着部27との間に1枚以上の層を更に形成し、紙パック23を3層以上の構造としてもよい。このような場合でも、臭気吸着部27は紙パック23の最内層を構成することが望ましい。また、外装紙26と臭気吸着部27とは、一体として構成されていてもよく、別体として構成されていてもよい。外装紙26と臭気吸着部27とを別体として構成する場合においては、臭気吸着部27を紙パック23の最内層に設けなくてもよく、フィルタ24で臭気吸着部27の代わりをしてもよい。ただし、この場合には、フィルタ24に脱臭機能を設ける必要がある。
紙パック23は、図9に示す形状に限定するものではなく、電気掃除機100に対応した形状であればよい。また、紙パック23を必ずしも設けなくてもよく、電気掃除機100に対応させて設置を決定すればよい。ただし、紙パック23を設けない場合や、図9で示す形状とは異なる形状の紙パック23を設ける場合には、フィルタ24で紙パック23の代わりを果たすように、つまりバックアップフィルタとして機能させるとよい。この場合には、集塵性能を備えたフィルタ24を用いるものとする。
次に、電気掃除機100の動作について説明する。電気掃除機100では、電動送風機50の起動時に、吸引風がホースユニット60、本体吸気口10、オゾン発生部保持体31、集塵部20を順に導通し、吸引風に含まれるゴミが集塵部20に内包されている紙パック23に遮られ、吸引風と分離され、紙パック23内に蓄積される。集塵部20内の紙パック23に蓄積されたゴミからは、不快臭気が発生する。電動送風機50が稼働していない状態において、不快臭気成分により、集塵部20とそれ以外の電気掃除機100の内部空間には、濃度勾配が生じ、濃度平衡となるよう電気掃除機100の内部を不快臭気成分が滞留することになる。
電気掃除機100の内部に滞留した不快臭気は、電動送風機50を再稼動させた際に、排気臭となって電気掃除機100の外部に放出され、ユーザに不快感を与える原因となる。これに対し、この実施の形態1に係る電気掃除機100では、本体吸気口10と集塵部20との間にオゾン発生部30を設け、電動送風機50の動作に応じたタイミングでオゾンを発生させるようにしている。また、オゾン発生部保持体31内部にオゾンを予め満たしておくようにすることもできる。そして、電動送風機50の停止時にもオゾンの発生を継続させ、集塵部20中へオゾンを導き、集塵部20内の不快臭を酸化することもできる。
一般的には、脱臭にはその接触確率から、臭気濃度及びオゾン濃度が共に高い状態であることが要求されている。電気掃除機100の機内に蓄積される塵埃臭気成分は、主として電気掃除機100の停止時、その中でも特に電気掃除機100の起動直後であって、電気掃除機100内部の温度が電動送風機50の廃熱により上昇しているときに多く排出される。つまり、電動送風機50の停止直後に最も塵埃臭気成分が増加するのである。このときに、多量のオゾンを発生させることで、オゾンと臭気成分との接触確率を高めることができる。したがって、電気掃除機100では、オゾン発生部30の駆動/停止を最適なタイミングで実行できるように、制御部51によりオゾン発生部30が制御されている(図20及び図21参照)。
図10は、オゾン発生時間に対するオゾン減衰率の変化を示すグラフである。図10に基づいて、オゾン発生部30におけるオゾン発生時間と、オゾン減衰率との関係について説明する。この図10では、縦軸にオゾン減衰率(%)を、横軸にオゾン発生時間(hr)をそれぞれ示している。上述したように、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子にコロナ放電を採用した場合、使用時間とともに針状突起電極35が磨耗し、発生するオゾン量が低下してしまうことになる。
すなわち、図10から、オゾン発生時間が500時間程度で、オゾンの発生量(オゾン減衰率)が50%以下になってしまうということがわかる。したがって、図10に示すようなコロナ放電方式でプラズマ放電させるオゾン発生部30とした場合、針状突起電極35の磨耗を考慮して、印加する電圧値を上げるような制御を加えるか、もしくは、オゾン発生時間を可能な限り短く制御することが望ましい。そこで、後述するが、電気掃除機100では、オゾン発生部30の停止を最適なタイミングで実行できるようになっている。
図11は、電気掃除機100の集塵部20内におけるオゾン発生量の経時的な変化を示すグラフである。図11に基づいて、電気掃除機100の集塵部20内におけるオゾン発生量の経時的な変化の特徴について説明する。この図11では、縦軸にオゾン濃度を、横軸にオゾン発生時間をそれぞれ示している。図11に示すように、オゾン発生部30からオゾンを発生させているオゾン発生時間がある特定の時間Xを超えるとオゾン濃度が低下し始める傾向が確認できる。これは、オゾン発生部保持体31内の酸素量がオゾン生成により減少し、結果的にオゾンの生成を妨げる方向に働くためである。
たとえば、電気掃除機100がOFFされたような場合にオゾンを発生させる時、オゾン発生時間を単純に長時間とするだけでは、脱臭効果を向上させることは困難である。このような点を考慮して、オゾン発生部30の駆動を制御することが望ましい。なお、オゾンを発生させておく時間、つまりある特定の時間(X)は、オゾン発生部保持体31の体積の増加や、オゾン通気口34の開口面積の増加、酸素供給口の設置等により変動するものとする。
コロナ放電方式や沿面放電方式、バリア放電方式等のいずれかをオゾン発生部30に採用してもよいが、オゾンの発生量が安定しており、小型で簡易な形状でも十分に高いオゾン濃度を発生させることが可能な負電圧を用いた直流コロナ放電方式をオゾン発生部30に採用するのがより適しているといえる。なお、オゾン発生部30に印加する電圧としては、正電圧、又は、交流電圧が考えられるが、オゾンは、電子及び負イオンとの反応により生成されるため、負電圧を印加することが望ましい。
図12は、オゾン発生部30の供給電流に対するオゾン発生量を示すグラフである。図12に基づいて、オゾン発生部30における供給電流と、オゾン発生量との関係について説明する。この図12では、縦軸にオゾン発生量(mg/m3 )を、横軸に供給電流(−μA)をそれぞれ示している。なお、この図12では、図7で示したコロナ放電によってオゾンを発生させるコロナ放電方式のプラズマ放電素子で構成されたオゾン発生部30についての供給電流に対するオゾン発生量のグラフを表している。
図12に示すように、オゾン発生量は、オゾン発生部30に供給される電流に伴って増加するという傾向がある。つまり、供給電流が40のときのオゾン発生量よりも、供給電流が100のときのオゾン発生量の方が多くなっている。したがって、オゾン発生部30に供給する電流値により、オゾン濃度を推定することができ、印加電圧又は供給電流の制御によって比較的簡単にオゾン発生量を調節することが可能である。また、コロナ放電を用いた場合は、イオン(マイナスイオンやプラスイオン)も同時に発生するため、イオンとオゾンとの相乗効果も期待できる。ただし、オゾンの発生量は、温度及び湿度に依存することに留意する必要がある。
図13は、一定電圧印加時のオゾン発生量の温度依存性を示すグラフである。図13に基づいて、一定電圧印加時において、オゾン発生部30から発生するオゾンの量と温度との関係について説明する。この図13では、縦軸にオゾン濃度を、横軸に温度(℃)をそれぞれ示している。図13に示すように、オゾン発生部30から発生するオゾンの濃度は、温度が向上するに伴って低下していることがわかる。つまり、オゾン発生部30近傍の温度によって、オゾン濃度が影響するということである。したがって、より細かい範囲でオゾン濃度を制御するためには、オゾン発生部30近傍の温度を測定することが望ましい。
図14は、一定電圧印加時のオゾン発生量の湿度依存性を示すグラフである。図14に基づいて、一定電圧印加時において、オゾン発生部30から発生するオゾンの量と湿度との関係について説明する。この図14では、縦軸にオゾン濃度を、横軸に相対湿度(%)をそれぞれ示している。図14に示すように、オゾン発生部30から発生するオゾンの濃度は、相対湿度が向上するに伴って低下していることがわかる。つまり、オゾン発生部30近傍の相対湿度によって、オゾン濃度が影響するということである。したがって、より細かい範囲でオゾン濃度を制御するためには、オゾン発生部30近傍の相対湿度を測定することが望ましい。
オゾンによる脱臭効果を高めるためには、高濃度のオゾンを発生させることが重要となる。そのためには、図13及び図14からも分かるように、オゾン発生部30近傍の温度及び湿度の影響を考慮しなければならない。つまり、オゾン発生部30近傍の温度及び湿度の上昇に応じて、オゾン発生部駆動手段30aを制御し、発生させるオゾンの濃度を一定範囲内(たとえば、0.1ppm/min以上)に維持することが望ましいのである。なお、オゾン発生部30近傍の温度又は湿度のいずれかを検出するようにしてもよいが、オゾンの発生量をより高精度に制御するためには温度及び湿度の双方を検出することが望ましい。
同時に、電気掃除機100の外部にオゾンが漏洩してしまうことを防止する対策も重要となる。電気掃除機100の外部へオゾンが漏洩すると、オゾンによる臭気発生がユーザに不快感を与えると懸念されるからである。たとえば、オゾン発生が行われている状態において、ユーザがホース61や集塵部20を取り外してしまうと、ユーザが鼻で感じられる程のオゾンが漏洩する可能性あるため、ホース61を取り外したり、集塵部20を取り出したり、上蓋5を開放したりした際にオゾン発生を停止するような制御を実行することが望ましい(詳細については、図21で説明する)。
なお、ユーザが手動でオゾン発生をON/OFFできるようにしておいてもよい。そうすれば、オゾンによる脱臭効果が不十分であると感じた際には、ユーザ自らがオゾン発生をONとすることで、オゾンによる脱臭効果を更に高めることができる。一方、オゾンによる脱臭が必要無いと感じた際には、ユーザ自らがオゾン発生をOFFとすることで、消費電力を抑えることが可能となり、より汎用性が増し、ユーザの煩わしさの低減を行うことができる。また、ホース61を取り外されている状態、集塵部20が取り出されている状態及び上蓋5が開放されている状態では、オゾン発生部30への電源供給の停止を継続するようにしておくとよい。
図15は、コロナ放電方式を採用したオゾン発生部30のV−I特性を示すグラフである。図15に基づいて、コロナ放電方式のプラズマ放電素子で構成されたオゾン発生部30のV−I特性について説明する。この図15では、縦軸に電流値(−μA)を、横軸に電圧値(−kV)をそれぞれ示している。図15に示すように、オゾン発生部30への印加電圧が−3[kV]以上でない場合、放電が起きずに電流が流れないため、オゾンが発生しない。また、印加電圧が−10[kV]を越えた場合、放電が不安定になるとともに、電極の磨耗が激しくなり、オゾン発生量の安定性が損なわれる。
このようなコロナ放電方式のプラズマ放電素子を採用したオゾン発生部30を搭載した場合、印加電圧は−3[kV]から−10[kV]までの間で制御することが望ましい。したがって、電気掃除機100においては、たとえば家庭用電源から電力を得るような場合、一定の高電圧を印加することが可能な回路設計をオゾン発生部駆動手段30aに搭載しておくことが望ましい。つまり、オゾン発生量は、図12で説明したようにオゾン発生部30に印加される電圧又は供給される電流の制御によって調節することができるために、オゾン発生部駆動手段30aを搭載しておけば比較的容易に制御することができるのである。
また、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子に多量のゴミが付着すると放電の妨げとなり、オゾン発生量が低下する。したがって、オゾン通気口34が形成される部分における通風路9は、集塵部20の方向が高くなっていることが望ましい。そこで、オゾン通気口34は、その開口面が地面(水平面)に対して所定の角度で傾斜(斜角)させ、かつ、その開口面が集塵部20の方向を向くように形成するとよい。これにより、吸引風の流入が妨げられることなく、かつ、オゾンの拡散が集塵部20方向に向かいやすくなる。また、オゾン通気口34を2個以上の貫通孔で形成したり、メッシュを設けたりする構造にするとオゾン発生部30へ流入するゴミを更に防止できる。
次に、実施の形態1に係る電気掃除機100の脱臭性能について説明する。図16は、TVOC(総揮発性有機化合物)除去性能の経時的な変化を示すグラフである。図16に基づいて、電気掃除機100の臭気吸着部27の有無による脱臭性能の差を、オゾンのみの構成の場合、臭気吸着部27のみの構成の場合、及び、オゾン+臭気吸着部27の構成の場合でのTVOC除去性能の経時的な変化について説明する。この図16では、縦軸にTVOC残存率(%)を、横軸に経過時間(s)をそれぞれ示している。なお、ここでは、オゾンの発生量は一定であるものとし、臭気吸着部27の成分も同様のものを用いている。
オゾンのみの構成の場合(図で示す線(イ))では、酸化が空気中のみでしか起こらないため、TVOCの除去性能が顕著には現れない。また、臭気吸着部27のみの構成(図で示す線(ロ))では、吸着性能に限界があり、一定量の吸着反応の後、TVOC除去性能が得られなくなってしまう。これらに対し、オゾン+臭気吸着部27を組み合わせた構成の場合(図で示す線(ハ))では、臭気吸着部27の吸着性能を回復し、その性能を長期間維持することが可能となる。このとき、活性炭や酸化マンガンといったオゾン分解を促し、かつ臭気吸着性能が高い物質を臭気吸着部27に添着しておくと、電気掃除機100の外部へのオゾンの漏洩抑制も期待できる。
図17は、電気掃除機100の排気不快臭をサンプリングしGC/MS(ガスクロマトグラフィー/質量分析法)で測定した結果を示すグラフである。図17に基づいて、電気掃除機100の排気不快臭について、臭気吸着部27がある状態でオゾンを0.3PPm×6分発生させた場合と、オゾンの発生がない場合とを比較して説明する。図17(a)がオゾンの発生がない場合を、図17(b)がオゾンの発生がある場合をそれぞれ示しており、ともに縦軸が排気不快臭気成分(%)を、横軸が経過時間(time)をそれぞれ示している。なお、ここでは、主にVOC(揮発性有機化合物)成分についての分析を行っている場合を例に示している。
図17(a)及び図17(b)に示すように、掃除機本体1内にオゾンを発生させることで、掃除機本体1内にオゾンを発生させない場合に比べて、主にアセトアルデヒド(図で示す矢印(ニ))、EMK(エチルメチルケトン)(図で示す矢印(ホ))といった臭気成分の減衰が確認できた。このときのアセトアルデヒドの除去率は43[%]であり、EMKの除去率は25[%]であった。なお、図17(a)及び図17(b)で表記されている数字は、経過時間を表している。
図18は、アセトアルデヒドの除去率の経時的な変化を示すグラフである。図18に基づいて、アセトアルデヒド10[ppm]に対し、オゾンを発生させ、空気中で反応させた場合のアセトアルデヒドの除去率の経時的な変化について説明する。この図18では、縦軸にアセトアルデヒド除去率(%)を、横軸にオゾン濃度(ppb)をそれぞれ示している。また、図18には、15分後におけるアセトアルデヒド除去率(線(へ))、30分後におけるアセトアルデヒド除去率(線(ト))、及び、45分後におけるアセトアルデヒド除去率(線(チ))を示している。
オゾン濃度5[ppm]を45分発生させても、臭気吸着部27を設けずにオゾンを空気中で反応させた場合のアセトアルデヒドの除去率は約23[%]にしかならない。また、オゾン濃度5[ppm]を30分発生させても、臭気吸着部27を設けずにオゾンを空気中で反応させた場合のアセトアルデヒドの除去率は約18[%]にしかならない。さらに、オゾン濃度5[ppm]を15分発生させても、臭気吸着部27を設けずにオゾンを空気中で反応させた場合のアセトアルデヒドの除去率は約9[%]にしかならない。つまり、いずれの場合も、図17で示したように臭気吸着部27がある状態でのアセトアルデヒド除去率の43[%]には到達しない。このことから、臭気吸着部27が効果的に作用していることが分かる。
図19は、臭気吸着部27上でのオゾンによる酸化の効果を説明するための説明図である。図19に基づいて、臭気吸着部27上でのオゾンによる酸化の効果について説明する。図19では、(ア)が臭気成分Aを、(イ)が臭気成分Bを、(ウ)がオゾンをそれぞれ表している。まず、ゴミから発生された臭気成分Aは、臭気吸着部27によってトラップ(吸着保持)される。これに対し、オゾン発生を行うことで、臭気成分Aとオゾンが高確率で反応し、臭気吸着部27上にトラップされていた臭気成分Aが酸化され、臭気成分Bへと変化することになる。
臭気成分Bは、その性質が異なるため、臭気吸着部27から一旦離れ、以前吸着していた部分とは異なる部分(異なる吸着サイト)へとトラップされたり、そのまま空気中へと留まったりする。そうすると、酸化される前に臭気成分Aがトラップされていた部分は、新たな臭気成分Aをトラップすることが可能となる。したがって、このようなサイクルを経るため、臭気吸着部27が回復することになる。このとき、勿論同時に、空気中でもオゾンは臭気成分と酸化反応を行っており、オゾンと臭気吸着部27の併用による相乗効果として現れることになる。
ここで、オゾン発生部30の駆動及び停止のタイミングについて詳細に説明する。図20は、オゾン発生部30の駆動タイミングを説明するためのタイミングチャートである。図21は、オゾン発生部30の停止タイミングを説明するためのタイミングチャートである。まず、図20に基づいて、オゾン発生部30を駆動させて、オゾンを発生させるタイミングについて説明し、それから、図21に基づいて、オゾン発生部30を停止させて、オゾンの発生を停止させるタイミングについて説明する。なお、図20及び図21では、オゾン発生部駆動手段30aをDSPとして図示している。
図20には、オゾン発生部30の駆動タイミングが2パターン示されている。図20(a)に示す第1のパターンは、電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t1)経過後にオゾンを発生させるようにしている。具体的には、電動送風機50を駆動するための信号(以下、動作開始信号という)がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t1)経過した後に、オゾンを発生させるための信号(以下、発生開始信号という)がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30を駆動(ON)させて、オゾンを発生させるようになっている。
このように、電動送風機50の駆動直後から所定時間(t1)経過後にオゾンを発生させるようになっているので、集塵部20内の紙パック23に蓄積されたゴミから発生する不快臭気の脱臭を効率的に実行することができる。そして、電動送風機50の駆動中、オゾンの発生を継続させることで、更に効率的に紙パック23内に蓄積されたゴミの不快臭気を脱臭することができる。なお、所定時間(t1)は、予め設定されていてもよく、変更可能にしておいてもよい。また、電気掃除機100の運転状況に応じて、所定時間(t1)の値を変化させてもよい。さらに、ユーザが任意に所定時間(t1)を設定できるようにしておいてもよい。
図20(b)に示す第2のパターンは、電動送風機50を停止(OFF)させた直後から所定時間(t2)経過後にオゾンを発生させるようにしている。具体的には、電動送風機50を停止(OFF)するための信号(以下、動作停止信号という)がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を停止(OFF)させた直後から所定時間(t2)経過した後に、発生開始信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30を駆動(ON)させて、オゾンを発生させるようになっている。
上述したように、電動送風機50が稼働していない状態においては、紙パック23内に蓄積されたゴミの不快臭気成分により、集塵部20とそれ以外の電気掃除機100の内部空間には、濃度勾配が生じ、濃度平衡となるよう電気掃除機100の内部を不快臭気成分が滞留することになる。そこで、電動送風機50の停止直後から所定時間(t2)経過後にオゾンを発生させるようになっているので、掃除機本体1の内部に滞留している不快臭気の脱臭を効率的に実行することができる。そして、電動送風機50の停止後、オゾンの発生を継続させることで、更に効率的に不快臭気を脱臭することができる。
所定時間(t2)経過後におけるオゾンの発生は、所定の時間が経過した後に停止させるとよい(図21の停止タイミングで説明する)。つまり、掃除機本体1の内部に滞留している不快臭気を十分に脱臭できる時間を予め設定しておき、その時間が経過した後にオゾンの発生を停止させるとよいのである。なお、所定時間(t2)は、予め設定されていてもよく、変更可能にしておいてもよい。また、電気掃除機100の運転状況に応じて、所定時間(t2)の値を変化させてもよい。さらに、ユーザが任意に所定時間(t2)を設定できるようにしておいてもよい。
図21には、オゾン発生部30の停止タイミングが4パターン示されている。図21(a)に示す第1のパターンは、電気掃除機100の通常動作時におけるオゾンの発生停止パターンを示しており、電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t1)経過後にオゾンを発生させ、電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t3)経過後にオゾンの発生を停止させるようにしている。なお、図21(a)で示す所定時間(t1)の値は、図20(a)で示した所定時間(t1)の値と同じ値であってもよく、違う値であってもよい。
具体的には、動作開始信号がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t1)経過した後に、発生開始信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30を駆動(ON)させて、オゾンを発生させ、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t3)経過した後、オゾン発生を停止させるための信号(以下、発生停止信号という)がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30の駆動を停止(OFF)させて、オゾンの発生を停止させるようになっている。
このように、電動送風機50の駆動直後から所定時間(t1)経過後にオゾンを発生させ、電動送風機50の駆動直後から所定時間(t3)経過後にオゾンの発生を停止させるようになっているので、集塵部20内の紙パック23に蓄積されたゴミから発生する不快臭気の脱臭を実行した後に、オゾンの過剰発生を効率的に防止することができる。したがって、オゾンの酸化力による掃除機本体1の構成部材の損傷を低減することが可能になる。なお、所定時間(t3)は、予め設定されていてもよく、変更可能にしておいてもよい。また、電気掃除機100の運転状況に応じて、所定時間(t3)の値を変化させてもよい。さらに、ユーザが任意に所定時間(t3)を設定できるようにしておいてもよい。
図21(b)に示す第2のパターンは、電気掃除機100の通常停止時におけるオゾンの発生停止パターンを示しており、電動送風機50を停止(OFF)させた直後から所定時間(t2)経過後にオゾンを発生させ、電動送風機50を停止(OFF)させた直後から所定時間(t4)経過後にオゾンの発生を停止させるようにしている。なお、図21(b)で示す所定時間(t2)の値は、図20(b)で示した所定時間(t2)の値と同じ値であってもよく、違う値であってもよい。
具体的には、動作停止信号がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を停止(OFF)させた直後から所定時間(t2)経過した後に、発生開始信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30を駆動(ON)させて、オゾンを発生させ、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を停止(OFF)させた直後から所定時間(t4)経過した後、発生停止信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30の駆動を停止(OFF)させて、オゾンの発生を停止させるようになっている。
このように、電動送風機50の停止直後から所定時間(t2)経過後にオゾンを発生させ、電動送風機50の停止直後から所定時間(t4)経過後にオゾンの発生を停止させるようになっているので、集塵部20内の紙パック23に蓄積されたゴミから発生する不快臭気の脱臭を実行した後に、オゾンの過剰発生を効率的に防止することができる。したがって、オゾン臭気を低減するとともに、オゾンが掃除機本体1の外部に漏洩してしまうのを防止することが可能になる。なお、所定時間(t4)は、予め設定されていてもよく、変更可能にしておいてもよい。また、電気掃除機100の運転状況に応じて、所定時間(t4)の値を変化させてもよい。さらに、ユーザが任意に所定時間(t4)を設定できるようにしておいてもよい。
図21(c)に示す第3のパターンは、電気掃除機100の異常動作時(たとえば、電気掃除機100の動作中にホースユニット60が取り外された時や、電動送風機50の温度が所定の値を超えた時、電動送風機50の電流値が所定の値を超えた時、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子に異常が発生した時、電気掃除機100の動作中に集塵部20が取り外された時、電気掃除機100の動作中に上蓋5が開放された時等)におけるオゾンの発生停止パターンを示しており、異常を検出した直後から所定時間(t5)経過後にオゾンの発生を停止させ、異常を検出した直後から所定時間(t6)経過後に電動送風機50を停止(OFF)させるようにしている。この所定時間(t6)は、所定時間(t5)よりも長く設定されているものとする。
具体的には、電動送風機50の駆動中、オゾンの発生は継続されている場合(図20(a)参照)において、異常が検出された直後から所定時間(t5)経過した後に、発生停止信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30の駆動を停止(OFF)させて、オゾンの発生を停止させ、異常が検出された直後から所定時間(t6)が経過しても異常が継続していれば、動作停止信号がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を停止(OFF)させるようになっている。
このように、電気掃除機100に異常が発生した場合には、異常を検出した直後から所定時間(t5)経過後にオゾンの発生を停止させ、異常を検出した直後から所定時間(t6)経過後に電動送風機50の駆動を停止(OFF)させるようになっているので、掃除機本体1の外部へ漏洩するゴミの不快臭気を脱臭しつつ、掃除機本体1の外部に漏洩してしまうオゾンの量を低減することができる。特に、掃除機本体1の内部が外部と連通してしまうような異常が発生した場合に有効な制御である。
たとえば、電気掃除機100の動作中にホースユニット60が取り外された時や、電気掃除機100の動作中に集塵部20が取り外された時、電気掃除機100の動作中に上蓋5が開放された時等の異常が発生した場合に、異常の発生と同時にオゾンの発生を停止させてしまうと、掃除機本体1内部に滞留していた不快臭気が脱臭されないまま外部に漏洩してしまうことになってしまう。そこで、所定時間(t5)が経過するまでは、オゾンを発生させ、ゴミの不快臭気を脱臭した上で、オゾンの過剰発生を防止するため、オゾンの発生を停止させるようにしているのである。なお、このような異常は、ホースユニット着脱検出手段46や、集塵部検出手段44、上蓋開閉検出手段45からの検出情報に基づいて、制御部51が判断するようになっている。
また、電気掃除機100の風路のどこかが密閉されたり、ゴミによる目詰まりが発生したりした場合には、電動送風機50の温度の値及び電流の値が急激に上昇することになる。したがって、電動送風機50の温度が所定の値を超えた時や、電動送風機50の電流値が所定の値を超えた時等の異常が発生した場合に、異常の発生と同時にオゾンの発生を停止させてしまうと、異常の状態がすぐに解消したようなときに、掃除機本体1内部に滞留していた不快臭気が脱臭されないことになってしまう。そこで、所定時間(t5)が経過するまでは、異常状態の回復を待ち、異常状態が継続しているときに、オゾンの発生を停止させるようにしているのである。なお、このような異常は、温度検出手段43や、電流検出手段42からの検出情報に基づいて、制御部51が判断するようになっている。
さらに、オゾン発生部30を構成するプラズマ放電素子の短絡等の異常が発生した場合には、オゾン発生部30を駆動させても、オゾンが発生しなくなったり、オゾンの発生量が低減したりすることになる。したがって、このような異常が発生した場合に、異常の発生と同時にオゾンの発生を停止させてしまうと、完全にオゾンを発生させなくなることになり、掃除機本体1内部に滞留していた不快臭気が脱臭されないことになってしまう。そこで、所定時間(t5)が経過するまでは、オゾン発生部30の異常の種類に関わらず、オゾンを発生させるようにしているのである。なお、このような異常は、オゾン発生部状態検出手段41からの検出情報に基づいて、制御部51が判断するようになっている。
このような異常な状態が継続している場合に、電動送風機50を駆動させておくと、ゴミから新たに発生する不快臭気が掃除機本体1の外部に漏洩してしまう可能性が高くなるとともに、安全性の観点からも好ましくない。そこで、異常を検出したときから所定時間(t6)経過後に電動送風機50の駆動を停止させるようにしている。なお、所定時間(t5)及び(t6)は、予め設定されていてもよく、変更可能にしておいてもよい。また、電気掃除機100の運転状況に応じて、所定時間(t5)及び(t6)の値を変化させてもよい。さらに、ユーザが任意に所定時間(t5)及び(t6)を設定できるようにしておいてもよい。
また、電気掃除機100に何らかの異常が発生している場合には、その異常をユーザに報知できるようにしておくとよい。たとえば、手元ハンドル62や掃除機本体1にLED(light−emitting diode:発光ダイオード)や、液晶ディスプレイ、蛍光管、エレクトロルミネセンス、プラズマディスプレイ等で構成され、異常の状態を視覚的に報知できる表示手段、ブザーや音声等で異常の状態を聴覚的に報知できる音声手段等を設けるようにするとよい。
図21(d)に示す第4のパターンは、電動送風機50の駆動(ON)/停止(OFF)がユーザによって所定の時間内で繰り返し操作された時におけるオゾンの発生停止パターンを示しており、電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t1)経過後にオゾンを発生させ、電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t7)経過するまでに電動送風機50が停止(OFF)され、停止直後から所定時間(t8)経過するまでに電動送風機50が再度駆動(ON)された場合において、所定時間(t1)経過後、オゾンを発生させている時間が所定時間(t9)を超えたときにオゾンの発生を停止させるようにしている。なお、図21(d)で示す所定時間(t1)の値は、図20(a)で示した所定時間(t1)の値と同じ値であってもよく、違う値であってもよい。
具体的には、動作開始信号がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t1)経過した後に、発生開始信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30を駆動(ON)させて、オゾンを発生させる。そして、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を駆動(ON)させた直後から所定時間(t7)までの間に動作停止信号がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を停止(OFF)させ、その直後から所定時間(t8)経過するまでに動作開始信号がCPU52から電動送風機駆動手段50aに伝達され、電動送風機駆動手段50aが電動送風機50を再度駆動(ON)させる。
このとき、オゾン発生部駆動手段30aは、オゾン発生部30を所定時間(t1)経過した後から継続して駆動させている。このオゾン発生部30の積算駆動時間が所定時間(t9)を超えたときに、発生停止信号がCPU52からオゾン発生部駆動手段30aに伝達され、オゾン発生部駆動手段30aがオゾン発生部30の駆動を停止(OFF)させて、オゾンの発生を停止させるようになっている。つまり、電動送風機50の駆動/停止が所定時間内で繰り返された場合には、その都度、オゾン発生部30の駆動を停止させるのではなく、駆動時間が所定時間(t9)を超えたときにオゾン発生部30の駆動を停止させるようにしているのである。
このように、所定時間で電動送風機50の駆動/停止が繰り返された場合には、その都度、オゾンの発生を停止させるのではなく、積算駆動時間が所定時間(t9)を超えたときにオゾンの発生を停止させるようになっているので、オゾンを中途半端に発生させることなく、集塵部20内の紙パック23に蓄積されたゴミから発生する不快臭気の脱臭を実行した後に、オゾンの過剰発生を効率的に防止することができる。なお、所定時間(t7)〜(t9)は、予め設定されていてもよく、変更可能にしておいてもよい。また、電気掃除機100の運転状況に応じて、所定時間(t7)〜(t9)の値を変化させてもよい。さらに、ユーザが任意に所定時間(t7)〜(t9)を設定できるようにしておいてもよい。
以上のように、実施の形態1に係る電気掃除機100は、オゾン発生部30の駆動/停止を電動送風機50の状況や異常の発生に応じて、制御するようになっているので、オゾンによる脱臭効果を効率的に発揮することができるとともに、オゾンの発生を最適な時間で停止することができる。したがって、掃除機本体1の外部にオゾンが漏洩することを抑制できるとともに、ユーザの使い勝手を損なわずに、安定した脱臭効果を実現することができ、安全性も向上させているのである。なお、所定時間(t1)〜(t9)については、記憶部55に格納しておくとよい。
実施の形態2.
図22は、本発明の実施の形態2に係る電気掃除機200の掃除機本体1を上面から見た状態を示す平面図である。図22に基づいて、掃除機本体1の内部構成の一例について説明する。なお、この実施の形態2では上述した実施の形態1との相違点を中心に説明するものとし、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。また、図22では、掃除機本体1内の空気の流れを矢印で表している。この図22で示す電気掃除機200の一例は、旋回気流を発生させ、遠心力を利用して空気とゴミを分離させるサイクロン分離構造(遠心分離手段70)を採用したものである。
実施の形態1では、電気掃除機100が集塵部20に紙パック23を設けた紙パック方式である場合を例に示したが、実施の形態2では、電気掃除機200が紙パック23を設けないサイクロン分離方式である場合を例に示している。また、電気掃除機200の集塵部20aには、ゴミを蓄積するための集塵室73が設けられている。そして、この電気掃除機200は、旋回室71又は集塵室73にゴミの有無を検出するためのゴミセンサ等で構成されたゴミ検出手段75が設けられている。このゴミセンサは、たとえばフォトカプラ等で構成するとよい。
遠心分離手段70は、ゴミと空気を分離する旋回室71と、集塵室73とで構成されている。旋回室71では、旋回流が発生するようになっている。そして、空気とともに旋回室71内に吸い込まれたゴミは、旋回流の遠心力が作用することによって、旋回室71の内周側壁面に沿って旋回し、旋回室71から流出し、集塵室73に蓄積される。また、集塵室73から流出する吸引風の出口には、金属メッシュ18が設けられており、ゴミを集塵室73から流出させないようにしている。
また、集塵室73と電動送風機50との間の通風路9には、金属メッシュ18を通過した細塵を捕集するためのフィルタ19が設けられるようになっている。このフィルタ19は、実施の形態1で説明したフィルタ24と同様に、活性炭、ゼオライト等の脱臭材が添着された不織布、コルゲート、ハニカム等の形状を有した脱臭フィルタ、又は、高捕集効率を有する濾材、たとえば高分子濾材や、HEPA濾材、ULPA濾材等をプリーツ状に折ったプリーツフィルタ等で構成するとよい。
この電気掃除機200は、紙パック23を設けないために、図22に示すように臭気吸着部27aを吸引口接続部2と集塵部4との間に別途設けるようにするとよい。この臭気吸着部27aとオゾン発生部保持体31との位置関係を特に限定するものではないが、臭気吸着部27aは、吸引風の主流が通気しない位置、つまり通風路9の内壁面側に設置されていることが望ましい。また、電気掃除機200では、本体吸気口10から集塵部20までの通風路9にはフィルタ等の圧損体を設けておらず、容易に吸引風が通気するとともに、オゾン発生部30から発生したオゾンが容易に臭気吸着部27a及び集塵室73へと拡散するようになっている。
次に、電気掃除機200の動作について説明する。電気掃除機200では、電動送風機50の起動時に、吸引風がホースユニット60、本体吸気口10、オゾン発生部保持体31、旋回室71、集塵室73、フィルタ19を順に導通し、吸引風に含まれるゴミが旋回室71で吸引風と遠心分離され、集塵室73内に蓄積される。このように、電気掃除機200は、サイクロン分離構造としたことで、紙パック23の交換が不要となるとともに、圧損の低下が少なくなり、吸引力が向上する。
また、電気掃除機100では、紙パック23に臭気吸着部27を内包させていたが、電気掃除機200では、臭気吸着部27aをオゾン発生部30により近い位置(図22では、オゾン発生部30の下流側における旋回室71内)に設けるようにしているため、更に少ないオゾン量で不快臭を低減することができる。臭気吸着部27aは、オゾン発生部30により近い位置に設ければよく、設置位置を特に限定するものではないが、オゾン発生部30により近い位置であり、かつ、通風路9の圧損とならない位置に設けるようにすることが望ましい。
さらに、電気掃除機200では、オゾン発生部30の駆動/停止のタイミングについても実施の形態1に係る電気掃除機100と同様に制御するようになっている。ただし、電気掃除機200にはゴミ検出手段75(図22参照)を、制御部51にはゴミ検出手段75が検出したゴミ情報をCPU52に送る機能を有する図示省略のゴミ判定手段をそれぞれ設け、ゴミの判定によって、オゾン発生部30の駆動/停止のタイミングを制御するとよい。つまり、図21(c)に示すように、電動送風機50の駆動中にゴミが存在しない状態を異常であるとしてオゾン発生部30を停止させればよい。なお、集塵部検出手段44の代用として、ゴミ検出手段75を利用するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態2に係る電気掃除機200は、オゾン発生部30の駆動/停止を電動送風機50の状況や異常の発生に応じて、制御するようになっているので、オゾンによる脱臭効果を効率的に発揮することができるとともに、オゾンの発生を最適な時間で停止することができる。したがって、掃除機本体1の外部にオゾンが漏洩することを抑制できるとともに、ユーザの使い勝手を損なわずに、安定した脱臭効果を実現することができ、安全性も向上させているのである。