JP5274382B2 - 受信機 - Google Patents

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Description

本発明は、OFDMA(0rthognal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)システムに於ける受信機に関する。より具体的には、本発明は、受信機に於ける受信レベルを制御する技術に関する。
無線受信装置に於いては、受信信号のレベルが、当該無線受信装置内の受信回路の構成により決定されるダイナミックレンジ(以下「受信ダイナミックレンジ」という。)内にある場合に、受信信号が正しく復調される。このため、受信信号のレベルが受信ダイナミックレンジ内に維持される様に、受信信号の利得を制御するAGC(Auto Gain Control)機能を用いることで受信信号のレベルを制御している無線受信装置がある。
ところで、所定の周波数帯域内で複数のサブキャリアを用いて通信を行うOFDMAに於いては、1サブチャネルを構成するサブキャリア(副搬送波)の数及びサブキャリアの周波数がそれぞれ可変であるので、サブチャネル毎に受信信号のレベルを制御することができない。このため、受信帯域全域で一律にAGC動作を実行する必要性がある。そのために、通信可能であったサブチャネルが、AGC動作の適用によって通信不可能になってしまう場合がある。
その様な一例として、図6は、3台の移動局MS#1〜MS#3のそれぞれから送信される無線信号の基地局BSに於ける受信信号のレベルを示す。同図(A)に示される様に、移動局MS#3の受信レベルは基地局BSの受信ダイナミックレンジを超えており、逆に、移動局MS#1の受信レベルは受信ダイナミックレンジ内にある。そこで、移動局MS#3の受信レベルが受信ダイナミックレンジ内に収まる様に受信信号に対してAGC動作を適用すると、同図(B)に示す様に、受信帯域全域の受信レベルが一律に低下し、それまで受信可能であった移動局MS#1から送信される無線信号が受信できない状況が発生する。
この様な問題点を回避するために、サブチャネルないしはサブキャリア毎に送信信号のレベルを制御する送信電力制御により、各サブチャネルの受信レベルを制御している先行技術がある(例えば、特許文献1を参照。)。
この場合に於いて、レピータ装置の様な中継装置を設置する場合には、送信電力制御は基地局とレピータ装置間で行われ、レピータ装置は固定利得で動作をするため、レピータ装置を介して通信を行う移動局での送信電力制御は一様になる。例えば、基地局からの送信信号のレベルが微弱な環境下でレピータ装置が基地局に対して最大送信電力レベルで通信を行う様な場合には、基地局は、レピータ装置を介して通信を行う移動局に対して、最大送信電力レベルで通信をすることを要求し、移動局は、この要求に応じて、最大送信電力レベルをレピータ装置に送信する。このため、移動局とレピータ装置間の電波の伝搬環境(例えば、距離)によっては、ダイナミックレンジが不足してしまい、レピータ装置を介した通信環境を使用できなくなってしまう。
これに対して、OFDMAの送信電力制御によらずに、受信信号の信号レベルを好適に制御することが可能なOFDMA受信装置が、特許文献2に開示されている。
この場合には、OFDMA受信装置は、1)アンテナで受信した受信信号に対する利得を決定する受信利得決定部と、2)受信利得決定部により決定された利得に応じて、受信信号の受信レベルを制御するAGCアンプと、3)AGCアンプにより制御された受信レベルを示すRSSIをサブキャリア毎に検出するRSSI検出部と、4)受信信号の復調に要する受信レベルの範囲を示す復調可能レンジをサブチャネル毎に取得すると共に、RSSI検出部により検出された各RSSIが復調可能レンジ内にあるかを判定するRSSI判定部を備えている。そして、受信利得決定部は、RSSI検出部により検出されたRSSIの内で最大のRSSIとその最大のRSSIが検出されたサブチャネルの復調可能レンジとに基づいて、利得を制御している。
特開2000−332723号公報 特開2008−289046号公報
以上の様に、送信電力制御を用いる場合に於いて、レピータ装置の様な中継器を介して移動局が基地局と通信を行う場合には、送信電力レベルは基地局とレピータ装置間の信号伝搬環境により一様に決定されるため、移動局とレピータ装置間の伝搬環境(例えば、距離)によっては受信ダイナミックレンジが不足してしまい、レピータ装置を介した通信環境を使用することができなくなってしまう。加えて、移動局の信号を受信するレピータ装置の受信回路に於いて、当該受信回路内に実装される低雑音増幅器に入力される信号レベルが飽和領域に達してしまうと受信信号が圧縮され、通信環境を全く使用することができなくなる場合がある。又、受信ダイナミックレンジを確保するためにAGC動作を用いたとしても、フィードバック型/フィードフォワード型の制御が行われるために、受信信号に於ける先頭部分のレベル制御が追従できずに、一部の信号を正しく受信することができない状況が発生する。
この発明は斯かる問題点の認識を踏まえて成されたものであり、その目的は、複雑なAGC動作を適用することなく、広い受信ダイナミックレンジを有する受信機を提供することにある。
本発明の主題に係る受信機は、アンテナと、前記アンテナで受信した受信信号を入力信号とし且つ互いに異なる受信利得を有する複数の受信部と、前記複数の受信部の内で最も受信利得が大きい受信部が少なくとも飽和状態となったか否かを検出して、前記飽和状態が検出されない場合には前記最も受信利得が大きい受信部を選択する様に指令する第1切替信号を出力する一方、前記飽和状態が検出された場合には前記最も受信利得が大きい受信部を選択しない様に指令する第2切替信号を出力する切替信号発生部と、前記第1及び第2切替信号の指令内容に応じて前記複数の受信部の内から一つの受信部の出力信号を選択する信号選択回路を備えることを特徴とする。
本発明の主題によれば、最も受信利得が大きい受信部を飽和させてしまっても、他の受信部を選択することで受信信号の伝搬路を確保することが出来るので、受信ダイナミックレンジの拡大を図ることが出来る。
加えて、複数の受信部の中から正常に動作している受信部を選択する制御であるため、サブキャリア毎の信号処理等が伴わず、比較的簡易な手法であるため、複雑なデジタル信号処理を必要としないと言う効果も期待される。
以下、この発明の様々な具体化を、添付図面を基に、その効果・利点と共に、詳述する。
本発明の実施の形態1に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の別例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態4に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。 3台の移動局のそれぞれから送信される無線信号の基地局に於ける受信信号の受信レベルを示す図である。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。従って、基地局等の受信装置は、一つのアンテナ毎に、図1に示される回路構成を併設する。
図1に於いて、1はアンテナ、2はサーキュレータ、4及び5は第1及び第2受信部、44及び54は第1及び第2A/Dコンバータ、102は遅延回路、7は遅延回路102を通過した2つの受信信号の何れか一方を選択する信号選択回路、8は受信信号のレベルを調整するAGCスケーリング回路、100は信号選択回路7の切替信号を出力する受信電力検出回路(切替信号発生部に該当。)である。
ここで、サーキュレータ2の二つの出力端子T1,T2の通過損失には、素子の特性(方向性)により、レベル差が生じる。そこで、図1の構成例に於いては、通過損失が少ない方のサーキュレータ2の出力端子T1が第1受信部4と接続され、通過損失が大きい方のサーキュレータ2の出力端子T2が第2受信部5に接続される。加えて、サーキュレータ2と第2受信部5との間には、必要に応じて、利得調整用の減衰器を挿入しても良い。
第1及び第2受信部4,5は、1)受信信号を低雑音増幅する低雑音増幅器40,50、2)無線受信周波数信号をベースバンド信号に変換する周波数変換回路41,51、3)ベースバンド信号の不要波成分を除去する帯域通過フィルタ42,52、及び、4)ベースバンド信号を増幅するベースバンド増幅器43,53を備えている。尚、第1及び第2受信部4,5は共に集積回路として提供され、第1及び第2受信部4,5の通過利得は共に同一である。
次に、図1に示される回路の動作について記載する。
アンテナ1により受信された受信信号はサーキュレータ2に入力され、サーキュレータ2は、第1受信部4への入力信号、第2受信部5への入力信号、及び受信電力検出回路100への入力信号に、受信信号を分配する。
第1受信部4に於いては、低雑音増幅器40は、第1受信部4に入力された入力信号に対して低雑音増幅を行い、その後、周波数変換回路41は、低雑音増幅された上記入力信号をベースバンド信号に周波数変換する。更に、帯域通過フィルタ42は、ベースバンド信号中の不要波成分を低減し、ベースバンド増幅器43は、帯域通過フィルタ42を通過した後のベースバンド信号を増幅し、増幅後のベースバンド信号を、A/Dコンバータ44に、アナログベースバンド信号として供給する。
第2受信部5に於ける信号処理は、第1受信部4に於ける上記の信号処理と同様であるので、ここではその記載を省略する。
受信電力検出回路100は、第1受信部4(低雑音増幅器40)が飽和する信号レベル若しくは第1A/Dコンバータ44がオーバーフローする信号レベルを閾値として保有しており、第1受信部4に入力される信号のレベルを検出した上で、第1受信部4に入力される信号(検出信号)のレベルが上記閾値を超えたか否かに応じて、信号選択回路7の切替制御を行う切替信号のレベルを変更して出力する。即ち、受信電力検出回路100は、1)上記検出信号が上記閾値以下の場合には、第1受信部4の出力のA/D変換及び遅延処理後の信号を選択する様に信号選択回路7を制御する切替信号(例えば、そのレベルは“1”とする。第1切替信号に該当。)を出力し、2)上記検出信号が上記閾値を超える場合には、逆に第2受信部5の出力のA/D変換及び遅延処理後の信号を選択する様に信号選択回路7を制御する切替信号(例えば、そのレベルは“0”とする。第2切替信号に該当。)を出力する。
第1及び第2A/Dコンバータ44,54は、その各々に入力されたアナログベースバンド信号に対してアナログ・デジタル変換を行う。その後、遅延回路102は、第1及び第2A/Dコンバータ44,54の各出力信号に対して遅延調整を行い、その出力信号を信号選択回路7に出力する。
信号選択回路7は、受信電力検出回路100から出力される切替信号のレベルに応じて、2つの系統から入力される受信信号の一方を選択する。
AGCスケーリング回路8は、信号選択回路7から出力された信号に対して、必要に応じて信号レベルの調整を行い、その後、AGCスケーリング回路8の出力は、受信データとして、信号処理される。
尚、図1に於いて、第1及び第2受信部4,5の出力側に第1及び第2A/Dコンバータ44,54を設けないで、信号選択回路7とAGCスケーリング回路8との間に、A/Dコンバータを設けることとしても良い。この場合の受信電力検出回路100が保有する閾値は、第1受信部4が飽和する信号レベルとなる。因みに、この変形例は、後述する実施の形態2に於いても妥当する。
又、図2は、本発明の実施の形態1に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の別例(図1の変形例)を示すブロック図である。この変形例では、基地局等の受信装置は、一つのアンテナ毎に、3つの受信部(従って、受信利得が3つである。)を有する回路構成を併設する。図2に於いては、先ず、通過損失が少ない方の第1サーキュレータ2aの出力端子T1が第1受信部4と接続され、通過損失が大きい方の第1サーキュレータ2aの出力端子T2が後述する第2サーキュレータ2bの入力端子に接続される。更に、通過損失が少ない方の第2サーキュレータ2bの出力端子T3が第2受信部5と接続され、通過損失が大きい方の第2サーキュレータ2bの出力端子T4が第3受信部6に接続される。そして、図1の場合と同様に、第1〜第3受信部4,5,6は共に同一の集積回路構成及び同一の動作を備えており、且つ、第1〜第3受信部4,5,6の通過利得も共に同一である。従って、図2の回路に於いては、第1受信部4、第2受信部5及び第3受信部6の順序で、各受信部4〜6の受信利得は段々と小さくなる。図2の場合の受信部の選択方法としては、通常は先ず、第1受信電力検出回路100aは、信号選択回路7が第1受信部4の系統からの受信信号を選択する。次に、第1受信部4が正常に受信信号を受信出来ない状態(即ち、第1受信部4に入力する信号の検出信号のレベルが、低雑音増幅器40の電流レベルないしはA/Dコンバータ44がオーバーフローする信号レベルで定まる第1閾値を超えている場合に該当する。)となった場合には、第1受信電力検出回路100aは信号選択回路7へ出力している切替信号のレベルを変更した上で、第2受信電力検出回路100bは、第2受信部5が正常に受信信号を受信出来るか否かを、同回路100bが保有する第2閾値との大小関係により同様に判断する。そして、第2受信部5が正常に受信信号を受信出来ることを同回路100bが確認した場合(第2受信部5に入力する信号の検出信号のレベル≦閾値)には、信号選択回路7が第2受信部5の系統からの受信信号を選択する様に、第2受信電力検出回路100bは、切替信号のレベルを設定して当該切替信号を信号選択回路7へ出力する。他方、第2受信部5が正常に受信信号を受信出来ないことを第2受信電力検出回路100bが確認した場合(第2受信部5に入力する信号の検出信号のレベル>閾値)には、信号選択回路7が第3受信部6の系統からの受信信号を選択する様に、第2受信電力検出回路100bは、切替信号のレベルを設定して当該切替信号を信号選択回路7へ出力する。尚、図2の場合に於いても、第1、第2及び第3A/Dコンバータ44,54,64を設ける代わりに、信号選択回路7とAGCスケーリング回路8との間に、A/Dコンバータを設けることとしても良い。
以上の様に、本実施の形態では、アンテナから受信した信号をサーキュレータによって異なる二つレベルの信号に変換することで、アンテナからA/Dコンバータまでの受信利得が異なる複数の受信部を構成することが可能となる。又、複数の受信部の内で信号利得が最も大きい受信部に入力される信号レベルを検出し、受信部の飽和信号レベル若しくはA/Dコンバータがオーバーフローする信号レベルを閾値として切替信号を出力する受信電力検出回路を用いて、各A/Dコンバータから出力されたデジタル信号を選択することで受信ダイナミックレンジの広い受信機を構成することが可能となる。
又、本実施の形態によれば、従来技術の様なフィードバック系を用いた場合と比べて、回路規模の削減化及びそれに伴う消費電力の削減化(省エネルギー化)を図り得ると言う利点も得られる。
又、本実施の形態によれば、集積化された複数の受信部4,5,6を用いることから、比較的安価で且つ実装面積等にも影響の少ない回路構成を実現することが出来る。この点は、後述する各実施の形態2〜4に於いても同様に妥当する。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。図3の回路構成が図1の回路構成と相違する特徴点は、図1の受信電力検出回路100に代えて、第2受信部5よりも受信利得の大きな第1受信部4の低雑音増幅器40に供給される電流レベルを検出して切替信号を出力する電流検出回路(切替信号発生部に該当。)101を設けた点にある。尚、本実施の形態に於いても、実施の形態1で記載した図2の様な変形例に於ける技術的思想を適用しても良い。
本実施の形態では、アンテナ1の端子から信号選択回路7までの信号処理過程は、実施の形態1と同じであるため、ここでは、それらの記載を省略する。
本構成では、複数の受信部の内で、アンテナからA/Dコンバータまでの受信利得が最も大きい第1受信部4の低雑音増幅器40に供給される電流レベルが、電流検出回路101により検出される。電流検出回路101は、第1受信部4が飽和する際に流れる電流レベル若しくは第1A/Dコンバータ44がオーバーフローする際に流れる電流レベルを閾値として保有している。そして、同回路101は、1)検出した電流レベルがその閾値以内の場合には、信号選択回路7が第1受信部4の系統からの受信信号を選択する様に信号選択回路7を制御するレベルを有する切替信号(例えば、レベルが“1”の場合。第1切替信号に該当。)を出力する一方、2)検出した電流レベルが上記閾値を超えている場合には、信号選択回路7が第2受信部5の系統からの受信信号を選択する様に信号選択回路7を制御するレベルを有する切替信号(例えば、レベルが“0”の場合。第2切替信号に該当。)を出力する。
本実施の形態によれば、上記の切替信号を用いて信号選択回路102を選択動作させることで、受信ダイナミックレンジの広い受信機を提供することが可能となる。
又、本実施の形態に於いても、従来技術との比較に於いて、回路規模の削減化及びそれに伴う消費電力の削減化(省エネルギー化)を図り得る。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。図4の回路構成が図1の回路構成と相違する特徴点は、図1の受信電力検出回路100及び遅延回路102を設ける代わりに、第1及び第2A/Dコンバータ44,54から出力されるデジタルベースバンド信号同士を比較・選択することで信号選択回路7の選択動作を制御する信号を発する信号検出比較回路(切替信号発生部に該当。)103を設けた点にある。その他の構成要素は、図1の対応する構成要素と同一である。尚、本実施の形態に於いても、実施の形態1で記載した図2の様な変形例に於ける技術的思想を適用しても良い。
次に、図4の回路の動作について記載する。但し、本実施の形態に於ける、アンテナ端からA/Dコンバータまでの信号処理過程は、実施の形態1のそれと同じであるため、ここでは、その記載を省略する。
各受信部4,5の受信利得は通常一定であるため、それぞれのA/Dコンバータ44,54から出力されるデジタルベースバンド信号を比較すると、一定のレベル差が生じている。そこで、信号検出比較回路103は、予め、それぞれのデジタルベースバンド信号レベルの差分(一定値)を、デジタル信号レベルで記録しておく。1)それぞれの受信部4,5が正常に動作している場合には、それぞれのA/Dコンバータ44,54から出力されるデジタルベースバンド信号のレベル差は記録された値に保たれているため、信号利得の最も大きな第1受信部4を通過した受信信号を選択する切替信号(第1切替信号に該当。)が、信号検出比較回路103より信号選択回路7に出力され、その結果、信号選択回路7は、第1受信部4を通過した受信信号を選択する。2)第1受信部4が飽和動作若しくは第1A/Dコンバータ44のオーバーフローによるダイナミックレンジ不足の状態になると、第1A/Dコンバータ44から出力されるデジタル信号は固定値となるため、当該デジタル信号を、他方の第2A/Dコンバータ54から出力されるデジタル信号と比較すると、レベル差が通常時の記録された値よりも小さくなる。この場合には、信号検出比較回路103は、第2受信部5で処理された受信信号を選択する様に制御する切替信号(第2切替信号に該当。)を信号選択回路7へ出力し、その結果、信号選択回路7は、第2受信部5で処理された受信信号を選択する。即ち、信号検出比較回路103は、1)第1及び第2A/D変換器44,54の信号レベルの差分が所定レベル(予め記録された値)にある場合には、第1受信部4の出力のA/D変換後の信号を選択する様に信号選択回路7を制御し、2)第1及び第2A/D変換器44,54の信号レベルの差分が上記所定レベルよりも小さくなる場合には、逆に第2受信部5の出力のA/D変換後の信号を選択する様に信号選択回路7を制御する。
以上の様に、本実施の形態によれば、受信部の低雑音増幅器の飽和による受信利得の低下又はA/Dコンバータのオーバーフローによる受信利得の低下をデジタルベースバンド信号のレベル差として比較するため、アナログ部での検出回路が不要となる。これにより、実装面積を削減した(小型化)、広い受信ダイナミックレンジを有する受信機を提供することが可能となる。
又、本実施の形態に於いても、従来技術との比較に於いて、回路規模の削減化及びそれに伴う消費電力の削減化(省エネルギー化)を図り得る。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4に係る受信装置のアンテナ毎の回路構成の一例を示すブロック図である。図5の回路構成が図1の回路構成と相違する特徴点は、図1の受信電力検出回路100を設ける代わりに、最も受信利得が大きな第1受信部4の出力側に第1A/Dコンバータ44Aを設けた点にある。即ち、本実施の形態に係る受信装置は、第1A/Dコンバータ44Aが出力するオーバーフロー検出信号を信号選択回路7の選択信号として用いることを特徴とする。その他の構成要素は、図1の対応する構成要素と同一である。尚、本実施の形態に於いても、実施の形態1で記載した図2の様な変形例に於ける技術的思想を適用しても良い。
本実施の形態に於ける、アンテナ端から信号選択回路までの信号処理過程は実施の形態1のそれと同じであるため、ここでは、その動作の記載を省略する。
最近のA/Dコンバータの中には、A/Dコンバータから出力されるデジタル信号レベルが最大レベルとなり信号処理がオーバーフローとなった場合に、アラーム信号を出力する機能を備えるものがある。本構成では、この様な機能を備えるA/Dコンバータを、最も受信利得が大きな第1受信部4の出力側の第1A/Dコンバータ44Aとして用いる。
即ち、アンテナからA/Dコンバータまでの受信利得が最も大きい第1受信部4の出力端に接続される第1A/Dコンバータ44Aが、オーバーフロー処理となった場合に、第1A/Dコンバータ44Aから出力されるアラーム信号は、オーバーフロー検出信号として、信号選択回路7に入力され、このオーバーフロー検出信号の入力の有無に応じて、信号選択回路7は、受信信号を選択する。換言すれば、1)第1A/D変換器44Aからアラーム信号が出力されていない場合(第1切替信号が出力されている状態に該当。)には、信号選択回路7は、第1受信部4の出力のA/D変換後の信号を選択する様に制御され、2)第1A/D変換器44Aからアラーム信号(第2切替信号に該当。)が出力されると、信号選択回路7は、第2受信部5の出力のA/D変換後の信号を選択する様に切り替え制御される。
これにより、第1A/Dコンバータ44Aが受信信号のレベルに起因してオーバーフロー状態になっても、受信信号を、第2受信部5の出力端に接続される第2A/Dコンバータ54の信号に切替えることが可能となり、より広い受信ダイナミックレンジを有する受信機を提供することが可能となる。
又、本実施の形態に於いても、従来技術との比較に於いて、回路規模の削減化及びそれに伴う消費電力の削減化(省エネルギー化)を図り得る。
更に、本実施の形態によれば、実施の形態1及び2と異なり、図1〜図3の様な新たな検出回路を設けなくて済み、第1A/D変換器44Aが検出回路の機能を兼ねるので、受信機の小型化を図ることが出来ると言う利点も得られる。
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
本発明は、例えば、無線通信システムに於ける基地局又は中継局の受信機に適用して好適である。
1 アンテナ、2 サーキュレータ、4,5,6 受信部、7 信号選択回路、8 AGCスケーリング回路、40,50,60 低雑音増幅器(LNA)、41,51,61 周波数変換器、42,52,62 帯域通過フィルタ、43,53,63 ベースバンド増幅器、44,44A,54,64 A/Dコンバータ、100 受信電力検出回路、101 電流検出回路、102 遅延回路、103 信号検出比較回路。

Claims (6)

  1. アンテナと、
    前記アンテナで受信した受信信号を入力信号とし且つ互いに異なる受信利得を有する複数の受信部と、
    前記複数の受信部の内で最も受信利得が大きい受信部が少なくとも飽和状態となったか否かを検出して、前記飽和状態が検出されない場合には前記最も受信利得が大きい受信部を選択する様に指令する第1切替信号を出力する一方、前記飽和状態が検出された場合には前記最も受信利得が大きい受信部を選択しない様に指令する第2切替信号を出力する切替信号発生部と、
    前記第1及び第2切替信号の指令内容に応じて前記複数の受信部の内から一つの受信部の出力信号を選択する信号選択回路と
    を備えることを特徴とする、
    受信機。
  2. 請求項1記載の受信機であって、
    前記複数の受信部の各々の出力端毎に設けられ、且つ、対応する受信部により周波数変換されたアナログベースバンド信号をデジタルベースバンド信号に変換する複数のA/Dコンバータを更に備えており、
    前記切替信号発生部は、前記最も受信利得が大きい受信部が前記飽和状態となったか否かの検出に加えて、前記複数のA/Dコンバータの内で前記最も受信利得が大きい受信部に設けられたA/Dコンバータがオーバーフロー状態となったか否かをも検出し、前記飽和状態又は前記オーバーフロー状態が検出されない場合には前記第1切替信号を出力する一方、前記飽和状態又は前記オーバーフロー状態が検出された場合には前記第2切替信号を出力することを特徴とする、
    受信機。
  3. 請求項2記載の受信機であって、
    前記切替信号発生部は、前記最も受信利得が大きい受信部に入力される受信電力レベルを検出し、当該受信部の飽和信号レベル又は当該受信部に対応する前記A/Dコンバータがオーバーフローする際の信号レベルを閾値として保有しており、検出した記受信電力レベルが前記閾値以内の場合には前記第1切替信号を出力する一方、検出した記受信電力レベルが前記閾値を超える場合には前記第2切替信号を出力することを特徴とする、
    受信機。
  4. 請求項2記載の受信機であって、
    前記切替信号発生部は、前記最も受信利得が大きい受信部の低雑音増幅器に流れる電流レベルを検出し、当該受信部が飽和する際に流れる電流レベル又は当該受信部に対応する前記A/Dコンバータがオーバーフローする際に流れる電流レベルを閾値として保有しており、検出した記電流レベルが前記閾値以内の場合には前記第1切替信号を出力する一方、検出した記電流レベルが前記閾値を超える場合には前記第2切替信号を出力することを特徴とする、
    受信機。
  5. 請求項2記載の受信機であって、
    前記切替信号発生部は、前記最も受信利得が大きい受信部に対応するA/Dコンバータの出力信号レベルと次に受信利得が大きい受信部に対応するA/Dコンバータの出力信号レベルとの差分が所定値の場合には前記第1切替信号を出力する一方、前記差分が前記所定値よりも小さい場合には前記第2切替信号を出力することを特徴とする、
    受信機。
  6. アンテナと、
    前記アンテナで受信した受信信号を入力信号とし且つ互いに異なる受信利得を有する複数の受信部と、
    前記複数の受信部の各々の出力端毎に設けられ、且つ、対応する受信部により周波数変換されたアナログベースバンド信号をデジタルベースバンド信号に変換する複数のA/Dコンバータと、
    第1切替信号及び第2切替信号の指令内容に応じて前記複数の受信部の内から一つの受信部の出力信号を選択する信号選択回路と
    を備えており、
    前記複数のA/Dコンバータの内で最も受信利得が大きい受信部に対応するA/Dコンバータは、当該A/Dコンバータに於ける信号処理がオーバーフロー状態となったか否かを検出しており、前記オーバーフロー状態が検出されない場合には前記最も受信利得が大きい受信部を選択する様に指令する前記第1切替信号を出力する一方、前記オーバーフロー状態が検出された場合には前記最も受信利得が大きい受信部を選択しない様に指令する前記第2切替信号を出力することを特徴とする、
    受信機。
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