JP5273100B2 - 車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置 - Google Patents

車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置 Download PDF

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本発明は車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置に係り、特に、故障の誤判定を防止しつつ車両の駆動開始から短時間で故障有無判定が行われるようにする技術に関するものである。
作動油を用いて変速制御が行われる自動変速機の作動油温度を計測する油温センサの故障を検出する際に、車両の駆動累積時間が予め定められた所定時間以上になったらその油温センサの故障有無判定を実施する油温センサ故障検出装置が知られている(特許文献1参照)。すなわち、自動変速機の変速特性は、作動油温度によって変化する作動油の粘性に大きく影響されるため、油温センサによって作動油温度を検出し、その作動油温度に応じて例えば摩擦係合装置の係合解放タイミング等の変速制御を行う必要がある一方、その油温センサが故障すると変速制御を適切に行うことができなくなって変速ショック等の変速不良を生じるようになるため、その故障を速やかに検出する必要がある。
図8は、このような従来の油温センサ故障検出装置の作動の一例を説明するフローチャートで、作動油温度Toil がある程度高くならないと故障有無判定を適切に行うことができないことから、車両の駆動累積時間truisekiが予め定められた実行許可判定値tr1以上になったら故障有無判定の実行を許可するようになっている。具体的に説明すると、図8のフローチャートはイグニッションスイッチ(車両の駆動を可能とするメインスイッチ)がON操作された場合に実行され、ステップR1では、所定の駆動累積時間カウント開始条件が成立したか否かを判断し、成立したらステップR2で駆動累積時間truisekiのカウント(計時)を開始する。駆動累積時間カウント開始条件は、駆動に伴う自動変速機内やトルクコンバータ内の作動油の攪拌などで作動油温度Toil が上昇する条件で、例えば以下の(1) 〜(4) を全て満足するように定められる。
(1) アクセル操作量が所定値以上
(2) トルクコンバータのスリップ回転速度(エンジン回転速度NE−タービン回転速度NT)が所定値以上
(3) シフトレバーがD等の動力伝達ポジション
(4) 車速Vが所定値以上
ステップR3では、所定の駆動累積時間リセット条件が成立するか否か判断し、成立した場合にはステップR8で故障有無判定の実行を不許可にするとともに、ステップR9で駆動累積時間truisekiをリセットして0にした後、ステップR1以下を繰り返す。駆動累積時間リセット条件は、作動油温度Toil が低下する条件で、従来はイグニッションスイッチがOFF操作された場合である。この駆動累積時間リセット条件が成立しない場合は、ステップR3に続いてステップR4を実行し、駆動累積時間truisekiのカウントを継続する。また、ステップR5では、駆動累積時間truisekiが予め定められた実行許可判定値tr1以上か否かを判断し、truiseki≧tr1になったらステップR6で故障有無判定の実行を許可するが、truiseki<tr1の間はステップR7で故障有無判定の実行を不許可にする。実行許可判定値tr1は一定値であっても良いが、特許文献1のように駆動開始時の作動油温度Toil すなわち大気温度等をパラメータとして設定されるようにしても良い。
図9は、上記図8のフローチャートに従って信号処理が行われた場合の作動油温度Toil や駆動累積時間truiseki等の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1は、ステップR5の判断がYES(肯定)になってステップR6で故障有無判定の実行が許可された時間である。故障有無判定は、油温センサによって検出された作動油温度Toil が予め定められた正常判定値Ts以上の場合に正常と判定するように定められ、前記駆動累積時間truisekiの実行許可判定値tr1は、作動油温度Toil が正常判定値Tsを上回るのに十分な時間が定められる。具体的には、例えば信号待ちなどでシフトレバーが動力伝達を遮断するNポジションへ操作されるなどして、作動油温度Toil が多少低下しても、正常判定値Tsを下回って故障と判定されることが無いように比較的長めの時間が設定される。図9の時間t2〜t3は、信号待ちなどでシフトレバーが一時的にNポジションへ操作された時間である。
特開2006−177412号公報
しかしながら、このような油温センサ故障検出装置においては、故障有無判定を実施できるようになるまでの所要時間が長く、その間に油温センサの故障に起因して誤った変速制御が行われ、変速ショック等を生じる可能性があった。これに対し、前記実行許可判定値tr1を、例えば図10に示すように作動油温度Toil が正常判定値Tsを僅かに上回るぎりぎりの時間に設定すれば、必要最小限の時間で故障有無判定を実施できるようになるが、直後にシフトレバーがNポジションへ操作されて動力伝達が遮断されると、作動油温度Toil が低下して正常判定値Tsを下回り、誤って故障と判定される可能性がある。すなわち、自動変速機が動力遮断状態とされ、その自動変速機等による作動油の攪拌に伴う発熱量が減少するだけでも、自動変速機自体の放熱作用やオイルクーラーの冷却作用等により作動油温度が低下する場合があるのである。図10のNG領域は、このような作動油温度の低下により油温センサが誤って故障と判定される時間帯である。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、その目的とするところは、作動油温度が所定温度以上になってから油温センサの故障を検出する場合に、誤った故障判定が行われることを抑制しつつ車両の駆動開始から短時間で故障有無判定を実行できるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、作動油を用いて変速制御が行われる自動変速機の作動油温度を計測する油温センサの故障を検出する際に、車両の駆動累積時間が予め定められた所定時間以上になったらその油温センサの故障有無判定を実施する油温センサ故障検出装置において、前記駆動累積時間としてカウントされない非駆動状態となった場合に、前記故障有無判定の実行を禁止するとともに、その非駆動状態に伴って前記作動油温度が低下する低下量を推定し、その低下量に基づいてその駆動累積時間を減算することを特徴とする。
第2発明は、第1発明の車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置において、(a) 前記駆動累積時間は、少なくとも前記自動変速機を経て駆動輪へ動力が伝達される動力伝達ポジションへシフトレバーが操作されていることを条件としてカウントが行われ、(b) そのシフトレバーが、前記自動変速機の動力伝達を遮断する動力遮断ポジションへ操作されると、前記故障有無判定の実行を禁止するとともに、前記作動油温度の低下量を推定して前記駆動累積時間を減算することを特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明の車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置において、前記非駆動状態に伴う前記作動油温度の低下量は、前記自動変速機からの放熱およびオイルクーラーによる冷却を考慮して算出されることを特徴とする。
第4発明は、作動油を用いて変速制御が行われる自動変速機の作動油温度を計測する油温センサの故障を検出する際に、車両の駆動累積時間が予め定められた所定時間以上になったらその油温センサの故障有無判定を実施する油温センサ故障検出装置において、前記駆動累積時間としてカウントされない非駆動状態となった場合に、前記故障有無判定の実行を禁止するとともに、その非駆動状態の継続時間が予め定められたリセット時間に達しなかった場合はその駆動累積時間を維持したままカウントを再開するが、その非駆動状態の継続時間がそのリセット時間に達したらその駆動累積時間をリセットして0からカウントし直すことを特徴とする。
第1発明の油温センサ故障検出装置においては、駆動累積時間としてカウントされない非駆動状態となった場合に、故障有無判定の実行を禁止するとともに、その非駆動状態に伴って作動油温度が低下する低下量を推定し、その低下量に基づいて駆動累積時間を減算するため、非駆動状態に伴う作動油温度の低下量に応じて駆動累積時間が必要最小限だけ減算されることになる。これにより、駆動累積時間が所定時間に達する前においては、故障の誤判定を防止しつつ車両の駆動開始から故障有無判定を行うことができるようになるまでの所要時間が短縮される。また、駆動累積時間が所定時間以上の場合、駆動累積時間の減算に伴って所定時間を下回ると、故障有無判定を実施できなくなって故障の誤判定が防止される一方、減算に拘らず駆動累積時間が所定時間以上のままであれば、駆動状態へ戻った時に直ちに故障有無判定の実行が許可されるため、故障有無判定を高い頻度で適切に行うことができる。
第2発明は、少なくともシフトレバーが動力伝達ポジションへ操作されていることを条件として駆動累積時間のカウントが行われる場合で、N(ニュートラル)等の動力遮断ポジションへ操作された場合には、作動油温度の低下量を推定して駆動累積時間が減算されることにより、第1発明の効果が適切に得られる。すなわち、自動変速機が動力遮断状態とされ、その自動変速機やトルクコンバータ等による作動油の攪拌に伴う発熱量が減少するだけでも、自動変速機自体の放熱作用やオイルクーラーの冷却作用等によって作動油温度が低下する場合があるが、その作動油温度の低下に起因する油温センサの誤った故障判定を適切に防止しつつ、故障有無判定を実行できるようになるまでの所要時間の短縮を含めて、その故障有無判定の実行頻度を増大させることができる。
第3発明は、非駆動状態に伴う作動油温度の低下量が、自動変速機からの放熱およびオイルクーラーによる冷却を考慮して算出されるため、その作動油温度の低下量を高い精度で算出できるとともに、その低下量に応じて駆動累積時間が適切に減算される。
第4発明は、駆動累積時間としてカウントされない非駆動状態となった場合に、故障有無判定の実行を禁止するとともに、その非駆動状態の継続時間が予め定められたリセット時間に達したら駆動累積時間をリセットして0からカウントし直すため、非駆動状態の継続時間が長くなって作動油温度が大きく低下した場合の誤った故障判定が適切に防止される。一方、非駆動状態の継続時間が予め定められたリセット時間に達しなかった場合には、駆動状態へ戻った時に駆動累積時間を維持したままカウントが再開されるが、この場合の作動油温度の低下量は比較的小さいため、その作動油温度の低下に起因する油温センサの誤った故障判定を抑制しつつ、故障有無判定を実行できるようになるまでの所要時間が短縮されるとともに、駆動累積時間が既に所定時間以上の場合には、駆動状態へ戻った時に直ちに故障有無判定の実行が許可され、故障有無判定を高い頻度で行うことができる。
本発明の一実施例である車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置を備えている車両用駆動装置の概略構成図である。 図1の車両用駆動装置が備えている油温センサ故障検出装置の機能ブロック線図である。 図2の油温センサ故障検出装置において故障有無判定の実行許可、不許可を決定する際の信号処理を具体的に説明するフローチャートである。 図3のフローチャートに従って故障有無判定の実行許可、不許可が行われる際の作動油温度Toil および駆動累積時間truiseki等の変化を示すタイムチャートの一例である。 本発明の他の実施例を説明する図で、図2に対応する油温センサ故障検出装置の機能ブロック線図である。 図5の油温センサ故障検出装置において故障有無判定の実行許可、不許可を決定する際の信号処理を具体的に説明するフローチャートである。 図6のフローチャートに従って故障有無判定の実行許可、不許可が行われる際の作動油温度Toil および駆動累積時間truiseki等の変化を示すタイムチャートの一例である。 従来の油温センサに関する故障有無判定の実行許可、不許可を決定する際の信号処理の一例を説明するフローチャートである。 図8のフローチャートに従って故障有無判定の実行許可、不許可が行われる際の作動油温度Toil および駆動累積時間truiseki等の変化を示すタイムチャートの一例である。 図9において、駆動累積時間truisekiの判定値tr1を、作動油温度Toil が判定値Tsを僅かに上回る時間に設定した場合のタイムチャートの一例である。
本発明は、内燃機関等のエンジンを走行用の駆動源として備えている車両に好適に適用されるが、電動モータを走行用の駆動源として備えている電気自動車や、エンジンおよび電動モータを走行用の駆動源として備えているハイブリッド車両など、自動変速機を有する種々の車両に適用され得る。
自動変速機は、複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチやブレーキ)によって変速制御が行われる遊星歯車式、平行軸式等の有段の自動変速機、或いは油圧シリンダによって可変プーリのV溝幅を変化させて変速するベルト式無段変速機など、作動油を用いて変速制御が行われる種々の自動変速機を採用できる。前進走行と後進走行とを油圧によって切り換える前後進切換装置であっても良い。この自動変速機は、例えばアクセル操作量や車速等の運転状態に応じて自動的に変速されるように構成されるが、運転者のシフトレバー操作等による変速指令を電気的に検出し、その変速指令に従って油圧切換等により変速するものでも良い。
車両の駆動累積時間は、駆動に伴う自動変速機内やトルクコンバータ内の作動油の攪拌などで作動油温度Toil が所定温度以上まで上昇する運転状態の累積時間で、例えば以下の(1) 〜(4) の何れか或いは全てを満足する場合にカウントされるように構成される。
(1) アクセル操作量が所定値以上
(2) トルクコンバータのスリップ回転速度(エンジン回転速度NE−タービン回転速度NT)が所定値以上
(3) シフトレバーがD等の動力伝達ポジション
(4) 車速Vが所定値以上
上記駆動累積時間がカウントされない非駆動状態は、例えば第2発明のようにシフトレバーがN等の動力遮断ポジションへ操作されただけでも良いが、上記(1) 〜(4) の条件の一部または全部を満たさない場合でも良いなど、作動油温度が低下する種々の運転状態を定めることができる。また、イグニッションスイッチ等の車両の駆動を可能とするメインスイッチがOFF操作された場合など、一定の条件下で駆動累積時間をリセットすることも可能である。
故障有無判定の実行が許容される駆動累積時間の所定時間は、予め一定時間が定められても良いが、駆動開始時の作動油温度Toil すなわち大気温度やエンジン冷却水温度等をパラメータとして、それ等の温度が高い程短くすることもできるなど、作動油温度に影響する他の物理量や運転状態などをパラメータとして異なる時間が設定されても良い。
第1発明の油温センサ故障検出装置は、例えば(a) 非駆動状態になったか否かを判定する非駆動状態判定手段と、(b) 該非駆動状態判定手段により非駆動状態になったと判定された場合に駆動累積時間のカウントを停止するカウント停止手段と、(c) 非駆動状態に伴う作動油温度の低下量を算出する非駆動時油温低下量算出手段と、(d) その作動油温度の低下量に基づいて予め定められたマップや演算式、或いは直前の油温上昇時の履歴などから減算時間を求め、駆動累積時間からその減算時間を減算する駆動累積時間減算手段と、を有して構成される。また、第4発明の油温センサ故障検出装置は、例えば(a) 非駆動状態になったか否かを判定する非駆動状態判定手段と、(b) 該非駆動状態判定手段により非駆動状態になったと判定された場合に駆動累積時間のカウントを停止するカウント停止手段と、(c) 非駆動状態の継続時間をカウントする非駆動継続時間カウント手段と、(d) その非駆動状態の継続時間が予め定められたリセット時間に達したら前記駆動累積時間をリセットする駆動累積時間リセット手段と、を有して構成される。非駆動状態判定手段は、例えばシフトレバーがNポジションへ操作されただけで非駆動状態と判断してカウントを停止する場合、そのNポジションへ操作されたか否かを判定するNポジション判定手段などである。
非駆動状態に伴う作動油温度の低下量を算出する非駆動時油温低下量算出手段は、例えばエンジンのアイドル回転速度、エンジン冷却水温度、エンジン吸入空気温度、エンジン効率、エンジン昇温特性、外気温(大気温度)、自動変速機の昇温特性、トルクコンバータの昇温特性、作動油の油量、比熱、比重、車両搭載時の自動変速機への風当り特性(放熱特性)、オイルクーラーの冷却特性、オイルクーラーの作動油流量、冷却水流量、等を用いて発熱量や放熱量を逐次計算することにより作動油温度の低下量を推定することができる。
駆動累積時間リセット手段が駆動累積時間をリセットするリセット時間は、予め一定時間が定められても良いが、例えば駆動累積時間が短い場合はリセット時間も短く、駆動累積時間が長い場合はリセット時間も長くするなど、駆動累積時間に応じて定められるようにしても良い。大気温度やエンジンのアイドル回転速度など作動油温度に影響する他の物理量や運転状態などをパラメータとしてリセット時間が設定されても良い。また、駆動累積時間が、故障有無判定の実行を許可する所定時間以上か否かによって異なるリセット時間が定められても良い。
駆動累積時間による故障有無判定の実行許可、不許可は、車両の運転継続中常に行われるようになっていても良いが、例えば作動油温度が十分に高くなって、信号待ちなどで自動変速機が動力遮断状態とされても、作動油温度の低下に起因して故障の誤判定を発生する恐れがなくなれば、故障有無判定の実行許可、不許可を行う必要はなく、例えば一定の駆動累積時間を超えたら当該制御を終了し、以後は故障有無判定が適宜実行されるようにしても良い。
油温センサの故障有無判定は、例えば作動油温度の検出値が予め定められた正常判定値以上であれば正常、正常判定値に満たない場合は故障と判断するように構成されるが、予め定められた正常温度範囲内であれば正常、その正常温度範囲から上下の何れかに逸脱している場合には故障と判断するように構成することもできる。正常判定値や正常温度範囲は、予め一定の値或いは温度範囲が定められても良いが、作動油温度に影響する大気温度等の物理量や運転状態などをパラメータとして異なる値や温度範囲が設定されても良い。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置110(図2参照)を備えている車両用駆動装置10の概略構成図である。この車両用駆動装置10は、車両の左右方向(横置き)に搭載するFF車両に好適に用いられるもので、走行用の動力源であるエンジン(E/G)12の出力は、流体式動力伝動装置であるトルクコンバータ(T/C)14から自動変速機(A/T)16に伝達され、所定の変速比で変速された後に、リングギヤ18を介して差動歯車装置20に伝達され、更に左右一対の車軸22を経て左右一対の駆動輪24に伝達される。エンジン12はガソリンエンジン等の内燃機関で、自動変速機16は、複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチおよびブレーキ)の係合、解放によって変速される遊星歯車式の有段の自動変速機であり、駆動輪24へ動力を伝達する複数の前進ギヤ段および後進ギヤ段を成立させることができるとともに、動力伝達を遮断するニュートラルを成立させることができる。
上記自動変速機16は、エンジン12によって機械的に回転駆動されるオイルポンプ26から出力される作動油によって一部の摩擦係合装置が係合させられることにより所定のギヤ段が成立させられる。オイルポンプ26から出力される作動油はまた、トルクコンバータ14に供給されるとともに、エンジン12や自動変速機16の摺動部位等の潤滑に用いられる一方、一部はオイルクーラー28へ供給されて冷却された後オイルパンに戻され、再びオイルポンプ26により汲み上げられて各部へ供給される。オイルクーラー28は、例えば車両の前端部分に配設されるラジエータ等に設けられる。
このような車両用駆動装置10は、エンジン12の出力制御や自動変速機16の変速制御等を実行する電子制御装置100を備えている。電子制御装置100は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUによりRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理が行われることにより、上記エンジン12の出力制御や自動変速機16の変速制御などを実行する。必要に応じてエンジン制御用や変速制御用等に分けて構成される。
上記電子制御装置100には、イグニッションスイッチ(IGスイッチ)50のON、OFF操作を表す信号、アクセル操作量センサ54により検出されたアクセルペダル52の操作量であるアクセル操作量Accを表す信号、エンジン回転速度センサ56により検出されたエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、冷却水温センサ58により検出されたエンジン12の冷却水温度Twを表す信号、吸入空気量センサ60により検出されたエンジン12の吸入空気量Qを表す信号、吸入空気温度センサ62により検出された吸入空気の温度Taを表す信号、スロットル弁開度センサ64により検出された電子スロットル弁の開度θthを表す信号、車速センサ66により検出された車速Vに対応する信号、ブレーキスイッチ70により検出された常用ブレーキ用のブレーキペダル68の踏込み操作Bonを表す信号、レバーポジションセンサ74により検出されたシフトレバー72のレバーポジション(操作位置)Pshを表す信号、タービン回転速度センサ76により検出されたタービン回転速度NTを表す信号、油温センサ78により検出された作動油温度Toil を表す信号、アップシフトスイッチ80によって検出されるアップシフト指令Rupを表す信号、ダウンシフトスイッチ82によって検出されるダウンシフト指令Rdnを表す信号、などがそれぞれ供給される。作動油温度Toil は、前記オイルポンプ26によりオイルパンから汲み上げられて自動変速機16やトルクコンバータ14等へ供給される作動油の温度である。
シフトレバー72は、例えば運転席の近傍に配設され、5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、または「S」へ手動操作されるようになっている。「P」ポジションは、自動変速機16内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし、且つメカニカルパーキング機構によって機械的に駆動輪24の回転を阻止(ロック)するための駐車ポジションであり、「R」ポジションは自動変速機16を前記後進ギヤ段として後進走行するための後進走行ポジションであり、「N」ポジションは自動変速機16内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態とするための中立ポジションであり、「D」ポジションは自動変速機16の全ての前進ギヤ段を用いて変速制御を行う自動変速モード(Dレンジ)を成立させる前進走行ポジションであり、「S」ポジションは前進ギヤ段の変速範囲を制限した複数種類の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能なシーケンシャルモードを電気的に成立させる前進走行ポジションである。この「S」ポジションには、シフトレバー72の操作毎に変速レンジをアップ側にシフトさせるためのアップシフト位置「+」、シフトレバー72の操作毎に変速レンジをダウン側にシフトさせるためのダウンシフト位置「−」が備えられており、それ等の操作が前記アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82によって検出される。アップシフト位置「+」およびダウンシフト位置「−」は何れも不安定で、シフトレバー72はスプリング等の付勢手段により自動的に「S」ポジションへ戻されるようになっている。
電子制御装置100は、エンジン12の出力制御や自動変速機16の変速制御等を実行する他に、作動油温度Toil を検出する油温センサ78の故障を検出するために、図2に示す油温センサ故障検出装置110の機能を備えている。油温センサ78によって検出される作動油温度Toil は、自動変速機16の変速制御で用いられるもので、油圧式摩擦係合装置の係合解放タイミングなどが作動油温度Toil によって制御されるため、この油温センサ78が故障すると係合解放タイミングがずれて変速ショック等を生じるようになる。このため、油温センサ78が故障した場合には、それをできるだけ速やかに検出して、代替え手段に切り換えるなどの対応が実施される。
上記油温センサ故障検出装置110は、前記電子制御装置100の信号処理によって実現される機能として、駆動累積時間カウント手段120、故障有無判定実行制限手段130、および故障有無判定手段132を備えている。故障有無判定手段132は、油温センサ78によって検出された作動油温度Toil が図4に示す予め定められた正常判定値Ts以上であれば正常と判定し、正常判定値Tsに満たない場合は故障と判定する。駆動累積時間カウント手段120および故障有無判定実行制限手段130は、図3に示すフローチャートに従って信号処理を実行するようになっており、故障有無判定手段132による故障有無判定の実行を許可或いは不許可とするステップS6、S7、およびS8は故障有無判定実行制限手段130に相当し、それ以外の各ステップは駆動累積時間カウント手段120に相当する。駆動累積時間カウント手段120は、機能的にNポジション判定手段122、駆動累積時間カウント停止手段124、非駆動時油温低下量算出手段126、および駆動累積時間減算手段128を備えており、図3のフローチャートのステップS3はNポジション判定手段122に相当し、ステップS9は駆動累積時間カウント停止手段124に相当し、ステップS11は非駆動時油温低下量算出手段126に相当し、ステップS12は駆動累積時間減算手段128に相当する。
図3のフローチャートは、イグニッションスイッチ50がON操作された場合に実行され、イグニッションスイッチ50がOFF操作されると、駆動累積時間truisekiをリセットして一連の信号処理を終了する。ステップS1では、所定の駆動累積時間カウント開始条件が成立したか否かを判断し、成立したらステップS2で駆動累積時間truisekiのカウント(計時)を開始する。駆動累積時間カウント開始条件は、駆動に伴う自動変速機16内やトルクコンバータ14内の作動油の攪拌などで作動油温度Toil が上昇する条件で、例えば以下の(1) 〜(4) を全て満足するように定められる。
(1) アクセル操作量Accが所定値以上
(2) トルクコンバータ14のスリップ回転速度(エンジン回転速度NE−タービン回転速度NT)が所定値以上
(3) シフトレバー72がDまたはSの前進走行ポジション
(4) 車速Vが所定値以上
ステップS3では、シフトレバー72がNポジションへ操作されたか否かを判断し、Nポジションへ操作された場合はステップS8以下を実行するが、DまたはSの前進走行ポジションのままであればステップS4以下を実行する。ステップS4では、駆動累積時間truisekiのカウントを継続し、ステップS5では、駆動累積時間truisekiが予め定められた実行許可判定値tr1以上か否かを判断する。そして、truiseki≧tr1であれば、ステップS6で前記故障有無判定手段132による故障有無判定の実行を許可するが、truiseki<tr1の場合はステップS7を実行し、故障有無判定手段132による故障有無判定の実行を不許可にする。実行許可判定値tr1は請求項1に記載の所定時間に相当し、一定値であっても良いが、駆動開始時の作動油温度Toil すなわち大気温度である吸入空気温度Ta等をパラメータとして設定されるようにしても良い。
図4は、上記図3のフローチャートに従って信号処理が行われた場合の作動油温度Toil や駆動累積時間truiseki等の変化を示すタイムチャートの一例で、時間t1は、ステップS1の判断がYES(肯定)になって駆動累積時間truisekiのカウントが開始された時間である。また、時間t2は、駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1以上になり、ステップS5の判断がYESになってステップS6で故障有無判定の実行が許可された時間である。
前記ステップS3の判断がYESの場合、すなわちシフトレバー72がNポジションへ操作された場合は、ステップS8を実行し、前記ステップS7と同様に故障有無判定手段132による故障有無判定の実行を不許可にするとともに、ステップS9で駆動累積時間truisekiのカウントを停止する。また、ステップS10では、シフトレバー72がDまたはSの前進走行ポジションへ戻されたか否かを判断し、それ等の前進走行ポジションへ戻されるとステップS11以下を実行する。図4の時間t3は、シフトレバー72がNポジションへ操作されてステップS3の判断がYESになり、ステップS8で故障有無判定の実行が不許可になるとともに、ステップS9で駆動累積時間truisekiのカウントが停止させられた時間である。また、時間t4は、シフトレバー72がDまたはSの前進走行ポジションへ戻されてステップS10の判断がYESになった時間である。
ステップS11では、Nポジションへのシフト操作に伴って自動変速機16が動力遮断状態(ニュートラル状態)とされることにより、その自動変速機16の内部やトルクコンバータ14の内部の作動油の攪拌による発熱量が低下することに伴う作動油温度Toil の低下量ΔToil を算出する。この低下量ΔToil は、駆動開始時からの攪拌等による発熱量および放熱量を逐次計算することによって求めることが可能であり、DまたはSポジションの駆動状態の時の自動変速機16内の作動油の攪拌等による発熱量Qat、およびトルクコンバータ14内の作動油の攪拌等による発熱量Qtcは、それぞれ次式(1) 、(2) で表すことができる。また、両者を合わせた総発熱量Qall は次式(3) で表される。これ等の式のTEはエンジントルク、NEはエンジン回転速度、ηtcはトルクコンバータ14の効率、ηatは自動変速機16の効率であり、ηtc、ηatは車両毎に予め一定値が設定され、エンジン回転速度NEはエンジン回転速度センサ56によって検出され、エンジントルクTEは吸入空気量Qやエンジン回転速度NE等から計算で求められる。
Qat=∫{TE×NE×ηtc×(1−ηat) }dt ・・・(1)
Qtc=∫{TE×NE×(1−ηtc)}dt ・・・(2)
Qall =∫{TE×NE×(1−ηtc×ηat)}dt ・・・(3)
一方、自動変速機16の表面からの放熱量Qair およびオイルクーラー28の冷却による放熱量Qcoolは、それぞれ次式(4) 、(5) で表され、作動油の予想温度Toilmは、これ等の放熱量Qair 、Qcoolや前記総発熱量Qall を用いて次式(6) に従って求めることができる。これ等の式のAatは自動変速機16の放熱部表面積、Tair は大気温度、Vcoolはオイルクーラー28の作動油流量、cATFは作動油の比熱、ρATFは作動油の比重、Vwはオイルクーラー28の冷却水流量、Twは冷却水温度であり、放熱部表面積Aat、比熱cATF、比重ρATFは予め一定値が設定され、大気温度Tair は吸入空気温度センサ62によって検出される吸入空気温度Taが用いられ、冷却水温度Twは冷却水温センサ58によって検出され、作動油流量Vcoolおよび冷却水流量Vwはエンジン回転速度NEに応じて予め定められた演算式やマップから求められる。また、放熱量Qair 、Qcoolは、作動油予想温度Toilmを用いて求められるが、駆動開始当初の初期温度は大気温度Tair を用いて求められ、このようにして求めた放熱量Qair 、Qcoolに基づいて作動油予想温度Toilmが式(6) に従って算出されることにより、以後はその作動油予想温度Toilmを用いて放熱量Qair 、Qcoolが算出される。
Qair =∫{Aat×(Toilm−Tair )}dt ・・・(4)
Qcool=∫{Vcool×Toilm×cATF×ρATF−Vw×Tw}dt
・・・(5)
Toilm=(Qall −Qair −Qcool)/Vat/(cATF×ρATF)
・・・(6)
一方、シフトレバー72がNポジションへ操作され、自動変速機16が動力遮断状態になると、その自動変速機16内の作動油の攪拌等による発熱量Qat、およびトルクコンバータ14内の作動油の攪拌等による発熱量Qtcは、何れも略0と見做すことができる。したがって、シフトレバー72がNポジションへ操作された後の作動油温度Toil の低下量ΔToil は、上記放熱量Qair 、Qcoolを用いて次式(7) で表すことができる。なお、自動変速機16が動力遮断状態とされた非駆動状態においても、発熱量Qat、Qtcを計算して低下量ΔToil をより高い精度で算出することもできるなど、低下量ΔToil の計算方法は、車両各部の発熱特性や放熱特性などを考慮して適宜定められる。
ΔToil =−(Qair +Qcool)/Vat/(cATF×ρATF)
・・・(7)
図3に戻って、次のステップS12では、上記低下量ΔToil に基づいて駆動累積時間truisekiを減算する。この減算時間は、シフトレバー72がDまたはSポジションへ操作されて自動変速機16が駆動状態とされた場合に、その低下量ΔToil 分だけ作動油温度Toil を上昇させるのに必要な時間が理想で、例えば低下量ΔToil や作動油予想温度Toilm等をパラメータとして予め定められたマップや演算式などから算出しても良いが、直前の作動油温度Toil の上昇時の履歴を記憶しておいて、その昇温速度などから求めることもできる。また、ステップS13では、上記ステップS12で減算された後の駆動累積時間truisekiを用いてカウントを再開し、ステップS3以下の実行を繰り返す。図4の時間t5は、上記ステップS11〜S13の実行により低下量ΔToil に応じて減算された後の駆動累積時間truisekiを用いてカウントを再開し、その駆動累積時間truisekiが再び実行許可判定値tr1以上となって前記ステップS5の判断がYESになり、ステップS6で故障有無判定の実行が許可された時間である。
このように、本実施例の油温センサ故障検出装置110においては、シフトレバー72がNポジションへ操作された場合、すなわち自動変速機16が動力遮断状態とされて車両が非駆動状態となった場合に、ステップS8で故障有無判定の実行を不許可にするとともに、ステップS11でその非駆動状態に伴って作動油温度Toil が低下する低下量ΔToil を算出し、ステップS12でその低下量ΔToil に基づいて駆動累積時間truisekiを減算し、ステップS13でその減算された後の駆動累積時間truisekiからカウントを再開する。すなわち、非駆動状態に伴う作動油温度Toil の低下量ΔToil に応じて、駆動累積時間truisekiが必要最小限だけ減算されることになる。
したがって、駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1に達する前においては、作動油温度Toil の低下に拘らず駆動累積時間truisekiを減算することなくカウントを再開することにより、作動油温度Toil が正常判定値Tsに達する前に故障有無判定の実行が許可され、誤って故障判定が行われることを防止しつつ、車両の駆動開始から故障有無判定を行うことができるようになるまでの所要時間が短縮される。また、図4のタイムチャートに示すように駆動累積時間truisekiが既に実行許可判定値tr1を超えている場合は、その駆動累積時間truisekiの減算に伴って実行許可判定値tr1を下回ると、シフトレバー72がDまたはSポジションへ操作されて駆動状態に戻っても、ステップS7で故障有無判定の実行が不許可となって故障の誤判定が防止される一方、減算に拘らず駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1以上のままであれば、駆動状態へ戻った時に直ちに故障有無判定の実行が許可されるため、故障有無判定を高い頻度で適切に行うことができる。
ここで、自動変速機16が動力遮断状態とされ、その自動変速機16やトルクコンバータ14による作動油の攪拌に伴う発熱量が減少するだけでも、自動変速機16自体の放熱作用やオイルクーラー28の冷却作用等によって作動油温度Toil が低下し、その作動油温度Toil の低下に起因して誤った故障判定が行われる可能性がある。これに対し、本実施例ではシフトレバー72が動力伝達ポジションであるDまたはSポジションへ操作されていることを条件として駆動累積時間truisekiのカウントが行われるとともに、動力遮断状態となるNポジションへ操作された場合には、作動油温度Toil の低下量ΔToil を推定して駆動累積時間truisekiが減算されるため、動力遮断に伴う作動油温度Toil の低下に起因する誤った故障判定を適切に防止しつつ、故障有無判定を実行できるようになるまでの所要時間の短縮を含めて、その故障有無判定の実行頻度を増大させることができる。
また、本実施例では非駆動状態に伴う作動油温度Toil の低下量ΔToil が、自動変速機16の表面からの放熱量Qair およびオイルクーラー28の冷却による放熱量Qcoolを考慮して算出されるため、その低下量ΔToil を高い精度で算出できるとともに、その低下量ΔToil に応じて駆動累積時間truisekiが適切に減算される。これにより、油温センサ78の故障の誤判定を適切に防止しつつ、故障有無判定を実行できるようになるまでの所要時間の短縮を含めて、その故障有無判定の実行頻度を増大させることができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図5〜図7は、それぞれ前記図2〜図4に対応する図で、本実施例の油温センサ故障検出装置140は、駆動累積時間カウント手段142が前記実施例1と相違する。すなわち、この駆動累積時間カウント手段142は、前記非駆動時油温低下量算出手段126および駆動累積時間減算手段128の代わりに非駆動継続時間カウント手段144および駆動累積時間リセット手段146を備えている。図6のフローチャートのステップS20は非駆動継続時間カウント手段144に相当し、ステップS21およびS22は駆動累積時間リセット手段に相当する。
図6のフローチャートにおいて、駆動累積時間truisekiのカウント開始後にシフトレバー72がNポジションへ操作されてステップS3の判断がYESになった場合には、前記ステップS9に続いてステップS20を実行し、シフトレバー72がNポジションへ操作された後の非駆動状態の継続時間である非駆動継続時間thikudoをカウントする。次のステップS21では、その非駆動継続時間thikudoが予め定められたリセット時間tr2以上になったか否かを判断し、thikodo<tr2の間は前記ステップS10以下を実行する。すなわち、ステップS10でシフトレバー72がDまたはSポジションへ戻し操作されたか否かを判断し、NポジションのままであればステップS9以下を繰り返す一方、DまたはSポジションへ戻し操作された場合はステップS13を実行し、ステップS9で停止させられた時の駆動累積時間truisekiを維持したままカウントを再開して、ステップS3以下の実行を繰り返す。
図7のタイムチャートの実線は、このように非駆動継続時間thikudoがリセット時間tr2に達する前にシフトレバー72がDまたはSポジションへ戻し操作され、駆動累積時間truisekiを維持したままカウントを再開した場合である。時間t4は、シフトレバー72がDまたはSポジションへ戻し操作されてステップS10の判断がYESとなり、ステップS13で駆動累積時間truisekiのカウントが再開された時間である。この場合は、駆動累積時間truisekiが既に実行許可判定値tr1を超えており、駆動累積時間truisekiのカウントの再開に伴ってステップS3、S4、S5に続いてステップS6が実行されることにより、直ちに故障有無判定の実行が許可される。
前記非駆動継続時間thikudoがリセット時間tr2以上になり、ステップS21の判断がYESになった場合には、ステップS22を実行し、駆動累積時間truisekiをリセットして0にした後、ステップS1以下を繰り返す。図7のタイムチャートの破線は、このように非駆動継続時間thikudoがリセット時間tr2に到達し、駆動累積時間truisekiが0にリセットされた場合である。時間t5は、非駆動継続時間thikudoがリセット時間tr2に達して駆動累積時間truisekiがリセットされた時間であり、時間t6はステップS1の判断がYESになって駆動累積時間truisekiのカウントが0から新たに開始された時間である。また、時間t7は、時間t2と同様に駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1以上になり、ステップS5の判断がYESになってステップS6で故障有無判定の実行が許可された時間である。
上記リセット時間tr2は、例えば図7のタイムチャートのように、駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1以上になって故障有無判定の実行が許可された直後(時間t3)に、信号待ちなどでシフトレバー72がNポジションへ操作された場合に、作動油温度Toil が正常判定値Tsを下回るようになる時間より短い一定時間が定められる。このように、作動油温度Toil が正常判定値Tsを下回るようになる時間より短い時間をリセット時間tr2として設定すれば、非駆動に伴って必ずしも直ちに故障有無判定の実行を不許可にする必要はない。一方、駆動累積時間truisekiが長くなれば、作動油温度Toil が正常判定値Tsよりも十分に高くなり、非駆動状態になって作動油温度Toil が多少低下しても故障有無判定を適切に行うことができるため、その駆動累積時間truisekiが短い場合はリセット時間tr2も短く、駆動累積時間truisekiが長い場合はリセット時間tr2も長くするなど、駆動累積時間truisekiに応じて定められるようにしても良い。駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1を超えた後の経過時間に応じてリセット時間tr2を設定したり、大気温度Tair やエンジン12のアイドル回転速度など作動油温度Toil に影響する他の物理量や運転状態などをパラメータとしてリセット時間tr2が設定されても良い。
本実施例では、シフトレバー72がNポジションへ操作された場合、すなわち自動変速機16が動力遮断状態とされて車両が非駆動状態となった場合に、ステップS8で故障有無判定の実行を不許可にするとともに、非駆動継続時間thikudoが予め定められたリセット時間tr2に達したら駆動累積時間truisekiをリセットして0からカウントし直すため、図7に破線で示すように非駆動継続時間thikudoが長くなって作動油温度Toil が大きく低下し、正常判定値Tsを下回った場合でも、駆動累積時間truisekiが改めて実行許可判定値tr1に達するまで故障有無判定の実行が不許可とされることにより、油温センサ78の誤った故障判定が適切に防止される。
一方、非駆動継続時間thikudoが予め定められたリセット時間tr2に達しなかった場合には、図7に実線で示すように駆動状態へ戻った時に駆動累積時間truisekiを維持したままカウントが再開されるが、この場合の作動油温度Toil の低下量は比較的小さいため、その作動油温度Toil の低下に起因する油温センサ78の誤った故障判定が抑制されるとともに、駆動累積時間truisekiが既に実行許可判定値tr1を超えている場合には、駆動状態へ戻った時に直ちに故障有無判定の実行が許可されるため、故障有無判定を高い頻度で行うことができる。駆動累積時間truisekiが実行許可判定値tr1に達する前であれば、駆動累積時間truisekiを維持したままカウントが再開されることにより、車両の駆動開始から故障有無判定を行うことができるようになるまでの所要時間が短縮される。
また、シフトレバー72が動力伝達ポジションであるDまたはSポジションへ操作されていることを条件として駆動累積時間truisekiのカウントが行われるとともに、動力遮断状態となるNポジションへ操作された場合には、非駆動継続時間thikudoをカウントしてリセット時間tr2に達したら駆動累積時間truisekiをリセットするため、動力遮断に伴う作動油温度Toil の低下に起因する誤った故障判定を抑制しつつ、故障有無判定を実行できるようになるまでの所要時間の短縮を含めて、その故障有無判定の実行頻度を増大させることができる点は、前記実施例1と同様である。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用駆動装置 16:自動変速機 28:オイルクーラー 72:シフトレバー 78:油温センサ 100:電子制御装置 110、140:油温センサ故障検出装置 120、142:駆動累積時間カウント手段 122:Nポジション判定手段 124:駆動累積時間カウント停止手段 126:非駆動時油温低下量算出手段 128:駆動累積時間減算手段 144:非駆動継続時間カウント手段 146:駆動累積時間リセット手段 Toil :作動油温度 ΔToil :低下量 truiseki:駆動累積時間 thikudo:非駆動継続時間 tr1:実行許可判定値(所定時間) tr2:リセット時間

Claims (4)

  1. 作動油を用いて変速制御が行われる自動変速機の作動油温度を計測する油温センサの故障を検出する際に、車両の駆動累積時間が予め定められた所定時間以上になったら該油温センサの故障有無判定を実施する油温センサ故障検出装置において、
    前記駆動累積時間としてカウントされない非駆動状態となった場合に、前記故障有無判定の実行を禁止するとともに、該非駆動状態に伴って前記作動油温度が低下する低下量を推定し、該低下量に基づいて該駆動累積時間を減算する
    ことを特徴とする車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置。
  2. 前記駆動累積時間は、少なくとも前記自動変速機を経て駆動輪へ動力が伝達される動力伝達ポジションへシフトレバーが操作されていることを条件としてカウントが行われ、
    該シフトレバーが、前記自動変速機の動力伝達を遮断する動力遮断ポジションへ操作されると、前記故障有無判定の実行を禁止するとともに、前記作動油温度の低下量を推定して前記駆動累積時間を減算する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置。
  3. 前記非駆動状態に伴う前記作動油温度の低下量は、前記自動変速機からの放熱およびオイルクーラーによる冷却を考慮して算出される
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置。
  4. 作動油を用いて変速制御が行われる自動変速機の作動油温度を計測する油温センサの故障を検出する際に、車両の駆動累積時間が予め定められた所定時間以上になったら該油温センサの故障有無判定を実施する油温センサ故障検出装置において、
    前記駆動累積時間としてカウントされない非駆動状態となった場合に、前記故障有無判定の実行を禁止するとともに、該非駆動状態の継続時間が予め定められたリセット時間に達しなかった場合は該駆動累積時間を維持したままカウントを再開するが、該非駆動状態の継続時間が該リセット時間に達したら該駆動累積時間をリセットして0からカウントし直す
    ことを特徴とする車両用自動変速機の油温センサ故障検出装置。
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