JP5272933B2 - めっき基板の製造方法 - Google Patents
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これらの中で、3層フレキシブル銅張り積層基板を用いた場合には、サブトラクティブ法によって基板上に所望の配線パターンを形成するため、簡単、かつ低コストでプリント配線板を製造することができる。このことより、従来では3層フレキシブル銅張り積層板の使用が主流となっていた。
また、このように高密度化された配線を有するフレキシブル配線板は、より小さな曲率半径の屈曲部で使用されるようになるが、このため、フレキシブル配線板の配線に対する耐屈性の向上が望まれている(特許文献5 第3頁、特許文献6 第3頁、特許文献7 第3頁 参照)。
2層フレキシブル銅張り積層基板では、用いる銅箔の耐屈性向上を図るべく、例えば、その表面を100℃以上で加熱したカーボン量18ppm以下の銅箔を用いる方法(特許文献8 第1頁参照)や、伸び率が20〜40%の電解銅箔を圧下率40〜80%の圧延加工して得られた銅箔を用いる方法(特許文献9 第1、2頁参照 )が提案されている。
しかし、これらの方法は、いずれも銅箔自体に対してしか適用することができず、こうして得た銅箔を用いてキャスト基板を作成し、これを用いざるを得ない。しかし、前記したような厚さ14μm以下の銅箔を得ようとすると、得られた銅箔は極めて高価なものにならざるを得ず、現実的なものとなっていない。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、その表面にめっき法で設けられた導電層を有する長尺の絶縁性樹脂フィルムを基材として用い、巻き出し工程、表面処理工程、洗浄工程、電気銅めっき工程、温水洗浄工程、および巻き取り工程を順次行なうことによりめっき基板を製造するに際して、電気銅めっき工程にて前記基材上に銅めっき膜を設け、次いで温水洗浄工程にて温水洗浄槽内で前記銅めっき膜に超音波振動を付与することを特徴とするめっき基板の製造方法が提供される。
また、本発明の方法では、電気銅めっきを施して得ためっき基板を温水洗浄する際に、同一槽内で超音波振動をめっき基板に付与する。したがって、超音波振動を付与するための新たな槽の新設は不要であり、既設のめっき装置をそのまま適用できるので装置が大がかりなものとはならない。
また、本発明の方法で得られるめっき基板では銅めっき膜の再結晶化は完了しているため、皮膜特性の安定しためっき基板となる。
本発明において超音波を用いるのは、製品寸法特性を劣化させることなく、銅めっき膜の再結晶化を完了させるためである。
前記基材は、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート等の絶縁性樹脂フィルム、好ましくはポリイミドフィルムの表面にスパッタ法、蒸着法等の乾式めっき法により形成し、あるいは、無電解めっき法により、Ni、Co、Cr、Mo、W、Cu、Zn、及びこれらを主成分とする合金製の薄膜を形成して得られる。
銅めっきに際しては、まず、ロールから巻き出された基材の導電層表面に付着している汚れや油、ゴミ等を表面処理工程で除去し、その後洗浄工程で水洗して導電層表面を清浄化する。
表面が清浄化された基材は銅めっき工程で銅めっきが施される。銅めっき工程で使用しうるめっき液としては、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液、ピロ燐酸銅など各種の市販のめっき液を用いうるが、排水処理や取り扱い性を考慮すると硫酸銅めっき液を用いることが好ましい。
銅めっき条件は、原則として用いる銅めっき液に推奨される条件とすることが好ましいが、銅めっき液として硫酸銅めっき液を用いる場合には、浴温は30〜70℃、電流密度を1〜10A/dm2とすることが推奨される。
銅めっき膜が設けられためっき基板は、表面に付着しているめっき液などを除去するために、温水洗浄工程で洗浄される。用いうる温水の温度は、めっき浴温度と同一、もしくは少し上とすることが洗浄効果を上げるためにより好ましい。したがって、めっき液として硫酸銅めっき液を用いる場合には、温水の温度は30〜70℃とすることが好ましい。
超音波処理時間は、前記の出力と同様に前記洗浄槽の処理長に影響されるが、前記出力範囲の超音波発振子を用いる場合には、5〜60秒で銅めっき膜の再結晶化は完了する。これより短い時間では、洗浄槽内で再結晶化は完了せず、これより長くかけても電力の無駄となるのみである。
なお、本発明の方法を適用する連続めっき装置では、横型、縦型を問わず、基材を搬送する際に巻き出し工程から巻き取り工程の間で10〜300N/mの範囲の張力を掛けると良好な結果が得られる。
銅の結晶子サイズは、X線回折装置を用いて、200面の結晶子サイズの測定を行った。用いたXRD装置はPANalytical社製 型式X’Pert PROであり、XRD測定条件は40kV、20mAでスキャンレート0.5°/分、スキャンステップ0.02°、2θを43°から95°とした。
MIT耐折性は、JIS−P−8115のMIT試験法のパターンをフォトリソグラフィーにて形成し、これらをJIS−P−8115のMIT試験機にセットし、R=0.38mm、荷重500g、屈折回転数175rpmの条件下で電圧が無限大になり装置が停止するまでの屈折回数を求め、MIT耐折性を評価した。
ポリイミド樹脂フィルム表面に、銅をターゲットとして用いたスパッタリング法により膜厚500〜3000Åの銅シード層を形成した。これを基材として以下の処理を行った。めっき装置としては、縦型めっき装置を用いた。
基材表面をアルカリ洗浄し、その後30℃の温水で温水洗浄し、銅シード層の上に銅めっきを施した。
用いためっき浴組成は、硫酸銅160g/l、硫酸200g/l、塩素50mg/lの基本浴組成に、添加剤として市販のエンソン製「ST2000」を使用し、キャリア成分とレベラー成分を含む添加剤成分を20ml/l、ブライトナー成分を含む補正剤成分が2.0ml/lとなるようにした。浴温は28℃であり、基材の搬送速度を1m/分とした、めっき槽内ではエアバブリングによるめっき液の攪拌はせず、めっき液の噴流のみで銅めっき皮膜を形成した。
銅めっき皮膜形成時の電流密度は8A/dm2とし、得られる銅めっき皮膜の厚さを1μm、7μm、14μmとし、温水洗浄槽での温水温度を30℃、70℃とし、超音波振動子の出力を0、150W(0.1W/cm2)、600W(1.2W/cm2)、1000W(10W/cm2)とし、超音波処理時間を、5秒、30秒、60秒として製造試験を行った。
得られた銅めっき皮膜の結晶子径を求めた。温水温度を30℃として得られた結果を表1に示し、温水温度を70℃として得られた結果を表2に示した。
実施例1において、超音波処理時間を0秒とした以外は、実施例1と同様にして銅めっき皮膜の結晶子径を求めた。温水温度を30℃として得られた結果を表1に示し、温水温度を70℃として得られた結果を表2に示した。
実施例1と同じ基材を準備し搬送張力による製品寸法特性を調べた。めっき条件は実施例1と同一としたが、超音波処理条件を、出力10W/cm2、浴温70℃、時間60秒に固定し、搬送張力を10〜300N/mの範囲で4水準設定した。
得られた各めっき基板は各々枚葉に切り出し四隅につけたマーキング間の長さを測定し、その後銅めっき皮膜を溶解除去し、再度四隅のマーキング間の長さを測定してめっき基板の伸縮率を算出した。この伸縮率が小さいほど、またばらつきが小さいほど寸法変化率は小さいと判断され、好ましいめっき基板とされる。なお、同一条件で3回計測し、その平均値を表3に示した。表3において、伸縮率の+は基材の伸び、−は基材の縮みを示す。
得られた結果を表3に示した。
実施例2において、めっき後に超音波処理をすることなく、温水洗浄し、乾燥して得た銅めっき基板を枚葉に切り出してサンプルを得、表3に示した張力をかけながらオーブン内で、温度180℃で1分間加熱した。その後、実施例2と同様にして伸縮率を算出した。
得られた結果を表3に示した。
銅めっき皮膜形成時の電流密度は8A/dm2とし、得られる銅めっき皮膜の厚さを7μmとし、温水洗浄槽での温水温度を70℃とし、超音波振動子の出力を600W(1.2W/cm2)とし、超音波処理時間を30秒とした以外は実施例1と同様にしてめっき基板を得た。そして、JIS−P−8115のMIT試験法のパターンをフォトリソグラフィーにて形成し、これらをJIS−P−8115のMIT試験機にセットし、R=0.38mm、荷重500g、屈折回転数175rpmの条件下で完全に断線して通電不能となる状態までの屈折回数を求めた。
得られた結果を表4、図1に示した。なお、表4には、n=20で求めた値の平均値、最大値、最小値を記載した。
実施例1において、銅めっき皮膜形成時の電流密度は8A/dm2とし、得られる銅めっき皮膜の厚さを7μmとし、温水洗浄槽での温水温度を70℃とし、超音波振動子の出力を0W(0W/cm2)とした以外は、実施例1と同様にしてめっき基板を得、前記同様にしてMIT耐折性を求めた。得られた結果を表4、図1に示した。
また、表3より、比較例2では、加熱処理をしたため、搬送張力が大きくなるほど、伸縮率の値は大きくなり、ばらつきも大きくなったが、実施例2では、超音波処理をしたため、搬送張力が大きくなっても伸縮率の増加は抑制され、さらにばらつきも小さく維持されていた。
さらに、表4、及び図1より、比較例3では、超音波処理しなかったため、再結晶化完了までに数週間を要し、かつその進行度はめっき基板面内で不均一であるため、MIT測定を実施すると測定値にバラつきが生じることがわかる。一方、実施例3では、超音波処理をしたため、めっき皮膜の再結晶化が水洗槽内で促進・完了し、MIT測定を実施するとばらつきの極めて少ない測定結果が得られることがわかる。
Claims (6)
- その表面にめっき法で設けられた導電層を有する長尺の絶縁性樹脂フィルムを基材として用い、巻き出し工程、表面処理工程、洗浄工程、電気銅めっき工程、温水洗浄工程、および巻き取り工程を順次行なうことによりめっき基板を製造するに際して、
電気銅めっき工程にて前記基材上に銅めっき膜を設け、次いで温水洗浄工程にて温水洗浄槽内で前記銅めっき膜に超音波振動を付与することを特徴とするめっき基板の製造方法。 - 前記超音波振動を与える際に、浴温を30〜70℃とし、超音波発振子の出力を0.1〜10W/cm2とし、超音波振動を与える時間を5〜60秒とすることを特徴とする請求項1記載のめっき基板の製造方法。
- 前記超音波振動を与える際に、前記めっき基板に10〜300N/mの張力をかけることを特徴とする請求項2記載のめっき基板の製造方法。
- 前記電気銅めっき工程で用いられるめっき液が硫酸銅めっき液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のめっき基板の製造方法。
- 前記電気銅めっき工程でのめっき電流密度が1〜10A/dm2であり、形成されるめっき膜の厚さが1〜14μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のめっき基板の製造方法。
- 前記絶縁性樹脂フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のめっき基板の製造方法。
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