以下に図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。図1は、漏洩ケーブルの製造工程を示すケーブル方向に対して直交方向の断面図である。漏洩ケーブルの製造工程は、第1ケーブル基材10を成形する第1ケーブル基材成形工程と、第2ケーブル基材11を成形する第2ケーブル基材成形工程と、絶縁体形成工程と、外部導体形成工程と、を備えている。
第1ケーブル基材成形工程は、図1(a)に示すように、導体材料で形成される第1外部導体基材12と、第1外部導体基材12の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される第1絶縁基材14と、第1絶縁基材14に積層され、導体材料で形成される内部導体16と、を有する第1ケーブル基材10を成形する工程である。
第1外部導体基材12は、金属シートや金属テープ等の導体材料で形成される。第1外部導体基材12は、例えば、長尺の銅箔テープ等で形成されることが好ましい。
第1絶縁基材14は、第1外部導体基材12の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される。第1絶縁基材14は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が矩形状に形成されることが好ましい。第1絶縁基材14は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂等の絶縁材料で形成される。ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等は、誘電正接が小さいので、漏洩ケーブルの減衰量低下を抑制できる。第1絶縁基材14は、例えば、長尺の合成樹脂シートや合成樹脂テープ等で形成される。第1絶縁基材14は、合成樹脂を発泡させた発泡合成樹脂シート等で形成されることが好ましい。第1絶縁基材14を発泡合成樹脂シートで形成することにより、第1絶縁基材14中の空気層が増えるので、漏洩ケーブルの誘電損失をより低減することができる。
第1絶縁基材14と第1外部導体基材12とは、例えば、合成樹脂系接着剤で接着される。合成樹脂系接着剤には、ポリエチレン接着剤等を用いることが好ましい。第1絶縁基材14は、例えば、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が、第1外部導体基材12の幅と略同じとなるように形成される。
内部導体16は、第1絶縁基材14に積層され、金属シートや金属テープ等の導体材料で形成される。内部導体16は、例えば、長尺の銅箔テープ等で形成されることが好ましく、第1外部導体基材12と同じ導体材料で形成されることが製造コストの点からより好ましい。
内部導体16と第1絶縁基材14とは、例えば、ポリエチレン接着剤等で接着される。内部導体16は、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が、第1絶縁基材14の幅より小さくなるように形成される。
第2ケーブル基材成形工程は、図1(a)に示すように、導体材料で形成され、電磁波を放射と取り込みするスロット20が設けられた第2外部導体基材22と、第2外部導体基材22の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される第2絶縁基材24と、を有する第2ケーブル基材11を成形する工程である。
第2外部導体基材22は、第1外部導体基材12と同様に、長尺の銅箔テープ等で形成され、電磁波を放射と取り込みするスロット20が設けられる。スロット20は、第2外部導体基材22のケーブル方向である長手方向に周期的に設けられ、ケーブル内部を伝送される電気信号エネルギの一部を電磁波として外部へ放射あるいは外部の電気信号エネルギの一部を取り込む機能を有している。図2は、第2外部導体基材22の長手方向に設けられたスロット20の構成を示す図である。スロット20は、細長い開口形状に形成され、第2外部導体基材22の長手方向に沿って複数設けられることが好ましい。図2では、漏洩同軸ケーブル(LCX)で一般的に使用されているジグザクスロット配列型を例示しているが、これに限定されることなく、漏洩同軸ケーブルに用いられている公知の電磁界漏れ機構を用いることができる。
スロット20は、銅箔等をエッチングして形成されることが好ましい。スロット20は、例えば、銅箔等に感光レジスト等のエッチングレジストを設け、スロット形状が印刷されたフォトマスクを用いて露光と現像とを行ってスロット20を設ける部位のエッチングレジストを除去し、塩化第二鉄等のエッチング液で銅箔等をエッチングすることにより形成される。エッチング法には、例えば、プリント配線基板等の製造で行われているエッチング処理方法を用いることができる。
勿論、スロット20は、一般的な、金型を用いた打抜きによるプレス加工で形成されてもよい。但し、プレス加工の場合には、高価な金型を製作する必要があり、金型は消耗品でありスロット20の打抜き回数に制限があり交換する必要がある。更に、スロット20をプレス加工で形成する場合には、金型を上下させながら銅箔等の金属テープを引き取って打抜き作業を行うため、プレス加工に時間がかかる。これに対して、スロット20を上述したエッチング処理で形成する場合には、スロット形状が印刷されたフォトマスク等を繰り返し用いてスロット20を形成することができるので、漏洩ケーブルの製造コストをより低減することができる。
再び、図1に戻り、第2絶縁基材24は、第2外部導体基材22の一方の面に積層され、第1絶縁基材14と同様にしてポリエチレン樹脂等の絶縁材料で形成される。第2絶縁基材24は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が矩形状に形成されることが好ましい。第2絶縁基材24は、例えば、長手方向に対して直交方向の幅が、第1絶縁基材14の幅と略同じになるように形成され、第2外部導体基材22の幅より小さくなるように形成される。第2絶縁基材24と第2外部導体基材22とは、例えば、ポリエチレン接着剤等で接着される。第2絶縁基材24は、第2外部導体基材22の両側縁である両長手縁が第2絶縁基材24から突出するようにして第2外部導体基材22に積層される。
絶縁体形成工程は、図1(b)に示すように、第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とを重ね合わせ、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とで内部導体16を挟持して包み、内部導体16を囲む絶縁体を形成する工程である。
第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とは、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とを対向させて重ね合される。そして、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とで内部導体16を挟持して包むことにより、内部導体16の外周に第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とからなる絶縁体が形成される。第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とは、例えば、ポリエチレン樹脂系接着剤で接着されることが好ましい。勿論、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とは、熱圧着されてもよいし、対向面を当接させるだけでもよい。
第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とは、内部導体16とスロット20とが対面して位置するように重ね合わされることが好ましい。内部導体16とスロット20とを対面して位置させることにより、漏洩ケーブルからの電磁波の放射を効率的に行うことができる。
外部導体形成工程は、図1(c)から図1(e)に示すように、第1外部導体基材12と第2外部導体基材22とを絶縁体を包んで接続し、絶縁体を囲む外部導体を形成する工程である。
まず、図1(c)に示すように、第2外部導体基材22の両端部である両長手縁が、第1ケーブル基材10側に例えば略90度で折り曲げられる。そして、図1(d)に示すように、第2外部導体基材22の一端部が折り曲げられて第1外部導体基材12の一端部と接続される。次に、図1(e)に示すように、第2外部導体基材22の他端部が折り曲げられて第1外部導体基材12の他端部と接続される。そして、第1外部導体基材12と第2外部導体基材22とが、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とからなる絶縁体を包んで接続されることにより外部導体が形成される。第1外部導体基材12と第2外部導体基材22とは、接触した状態のままでもよいし、曲げやねじれ等の変形に耐える為に機械特性を向上させる目的で、例えば、導電性接着剤による接着や溶接等により接続される。
以上により、漏洩ケーブル30の製造が完了する。漏洩ケーブル30は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が略矩形状に形成され、平面形状の外観を有している。そのため、漏洩ケーブル30によれば、ホテルやオフィス等の人目につく場所に設置する場合でも、丸型の漏洩ケーブルよりも壁等からの突出感を抑えることができる。
次に、漏洩ケーブル30を製造する漏洩ケーブル製造装置について説明する。図3は、漏洩ケーブル製造装置31の構成を示す図である。漏洩ケーブル製造装置31は、送り出し部32と、圧着部34と、折り曲げ部36と、押圧部38と、接続部40と、巻き取り部42と、制御部(図示せず)と、を備えている。
送り出し部32は、第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とを送り出す機能を有している。送り出し部32は、例えば、送り出しローラ等で構成される。
圧着部34は、第1ケーブル基材10と、第2ケーブル基材11とを重ね合わせ、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とを圧着する機能を有している。圧着部34は、例えば、圧着ローラ等で構成される。また、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とを熱圧着する場合には、圧着部34には、加熱圧着ロール等が用いられる。
折り曲げ部36は、第1ケーブル基材10に重ね合された第2ケーブル基材11における第2外部導体基材22の両端部の長手縁を折り曲げる機能を有している。折り曲げ部36は、例えば、曲げガイド等で構成される。図4は、曲げガイド44の構成を示す上面図である。
曲げガイド44は、重ね合された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とが挿入される挿入口46から、重ね合された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とが送り出される送出口48まで送り出し方向に収束したテーパ状に形成される。曲げガイド44の挿入口46は、第2外部導体基材22が挿入可能なように第2外部導体基材22の幅より大きく設けられる。また、曲げガイド44の送出口48は、第2外部導体基材22の幅より小さい幅で形成され、第2絶縁基材24の幅より大きい幅で形成される。それにより、重ね合された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11が挿入口46から送出口48まで送られる間に、第2外部導体基材22における両端部の長手縁が上方へ、例えば略90度に折り曲げられる。なお、折り曲げ部36は、曲げガイド44に限定されることなく、例えば、曲げローラ等で構成されてもよい。
押圧部38は、上方に折り曲げられた第2外部導体基材22における両端部の長手縁を、更に、第1外部導体基材12の近傍まで内側に折り曲げる機能を有している。押圧部38は、例えば、押圧ロールやプレス機等で構成される。
また、折り曲げ部36と押圧部38とは、一体で構成されてもよい。例えば、重ね合された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とを送り出す送り出し方向に向かって収斂し、直交方向の断面が円形状に形成された中空状の筒体を用いることにより、第2外部導体基材22における両端部の長手縁は、筒体の挿通時に筒体内周面で湾曲して第1外部導体基材12側に向けて折り曲げられる。
接続部40は、第1外部導体基材12側に折り曲げられた第2外部導体基材22の長手縁を、第1外部導体基材12と接合する機能を有している。接続部40は、例えば、スポット溶接等の溶接装置や接着装置等で構成される。
巻き取り部42は、製造された漏洩ケーブル30を巻き取る機能を有している。巻き取り部42は、例えば、回転モータ等に連結されたドラムで構成され、ドラムを回転モータで回転させることより製造された漏洩ケーブル30を巻き取ることができる。
制御部(図示せず)は、送り出し部32と、圧着部34と、折り曲げ部36と、押圧部38と、接続部40と、巻き取り部42と、を制御する機能を有している。制御部は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ等で構成される。
次に、漏洩ケーブル製造装置31の動作について、第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11との送り出しから漏洩ケーブル30の完成まで一連の連続した製造工程で行う場合について説明する。また、図5は、漏洩ケーブル30の一連の製造工程における各工程における第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とを側方から見た模式図である。
第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とは、送り出しローラ等の送り出し部32で送り出される(図5の矢印A)。送り出し部32から送り出された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とは、圧着ローラ等の圧着部34で圧着されて重ね合される(図5の矢印B)。重ね合された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とは、曲げガイド等の折り曲げ部36で第2外部導体基材22における両端部の長手縁が上方に、例えば、略90度で折り曲げられる(図5の矢印C)。重ね合された第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11とは、押圧ローラ等の押圧部38で上方に折り曲げられた第2外部導体基材22の長手縁が、更に内側に折り曲げられる(図5の矢印D)。そして、内側に折り曲げられた第2外部導体基材22における両端部の長手縁と第1外部導体基材12とは、溶接装置等の接続部40で接続される(図5の矢印E)。製造された漏洩ケーブル30は、ドラム等の巻き取り部42で巻き取られる。なお、上記の漏洩ケーブル製造装置31では、第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11との送り出しから漏洩ケーブル30の完成まで一連の連続した製造工程で行う製造装置について説明したが、勿論、漏洩ケーブル30の製造工程における各工程を別々に行ってもよい。
また、漏洩ケーブル30には、外傷や屋外環境から保護するために外被を設けることが好ましい。図6は、外被を有する漏洩ケーブルの製造工程を示す図である。なお、同様な要素は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
第1ケーブル基材成形工程は、図6(a)に示すように、上述した第1ケーブル基材10を成形する工程と同様の工程である。
第2ケーブル基材成形工程は、図6(a)に示すように、導体材料で形成され、電磁波を放射と取り込みするスロット20が設けられた第2外部導体基材22と、第2外部導体基材22の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される第2絶縁基材24と、第2外部導体基材22の他方の面に設けられる外被層52と、を有する第2ケーブル基材11aを成形する工程である。
外被層52は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂で形成される。外被層52は、例えば、長尺な合成樹脂シートや合成樹脂テープ等で形成される。外被層52は、第2外部導体基材22のケーブル方向である長手方向の幅より大きい幅で形成される。そして、外被層52は、外被層52の両端部である長手縁が第2外部導体基材22の両端から突出するようにしてポリエチレン樹脂接着剤等で第2外部導体基材22に接着される。
絶縁体形成工程により、図6(b)に示すように、第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11aとを重ね合わせ、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とで内部導体16を挟持して包み、内部導体16を囲む絶縁体を形成する。そして、外部導体形成工程により、図6(c)から図6(e)に示すように、第1外部導体基材12と第2外部導体基材22とを絶縁体を包んで接続し、絶縁体を囲む外部導体を形成する。
外被形成工程は、外被層52で外部導体を包み、外被層52の一方と他方とを接続し、外部導体を囲む外被を形成する工程である。外被層52の一方と他方との重なり部分は、例えば、熱ロール等の加熱装置を用いて熱融着され、第1外部導体基材12と第2外部導体基材22とを接続して形成された外部導体の外周に外被が設けられる。以上により、外被を有する漏洩ケーブル30aの製造が完了する。
次に、漏洩ケーブルにおける電磁波の漏洩量を測定した。まず、製造した漏洩ケーブルについて説明する。
電磁波漏洩量を測定する漏洩ケーブルには、外被を有する漏洩ケーブル30aを用いた。まず、図6(a)に示すように、長尺状の銅箔テープで形成される第1外部導体基材12と、第1外部導体基材12の一方の面に積層され、長尺状のポリエチレン樹脂テープで形成される第1絶縁基材14と、第1絶縁基材14に積層され、長尺状の銅箔テープで形成される内部導体16と、を有する第1ケーブル基材10を成形した。
第1外部導体基材12には、幅20mm(X1)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。第1絶縁基材14には、幅20mm(X1)、厚さ2mmのポリエチレン樹脂製絶縁体テープを使用した。内部導体16には、幅3mm(X2)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。そして、第1外部導体基材12と、第1絶縁基材14と、内部導体16とをポリエチレン系接着剤で接着し、第1ケーブル基材10を成形した。
次に、図6(a)に示すように、長尺状の銅箔テープで形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられた第2外部導体基材22と、第2外部導体基材22の一方の面に積層され、長尺状のポリエチレン樹脂テープで形成された第2絶縁基材24と、第2外部導体基材22の他方の面に設けられ、長尺状のポリエチレン樹脂テープで形成された外被層と、を有する第2ケーブル基材11aを成形した。
第2外部導体基材22には、幅38mm(X3)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。そして、銅箔テープをエッチングしてスロット20を形成した。まず、銅箔テープにエッチングレジスト層を設け、スロット形状が印刷されたフォトマスクを用いて現像、露光し、スロット形成部位のエッチングレジスト層を除去した。次に、塩化第二鉄を含むエッチング液でスロット形成部位の銅箔をエッチングして除去し、スロット20を形成した。スロット20の形状は、幅2mm(S1)、長さ15mm(S2)とし、上述した図2に示すようにジグザグスロット配列型でケーブル方向に沿ってスロット20を周期的に複数形成した。
第2絶縁基材24には、幅20mm(X4)、厚さ2mmのポリエチレン樹脂テープを使用した。外被層52には、ポリエチレン樹脂テープを使用した。そして、第2外部導体基材22と、第2絶縁基材24と、外被層52とをポリエチレン接着剤で接着し、第2ケーブル基材11aを成形した。
次に、図6(b)に示すように、第1ケーブル基材10と第2ケーブル基材11aとを重ね合わせて、第1絶縁基材14と第2絶縁基材24とで内部導体16を挟持して包み絶縁体を形成した。そして、図6(c)から図6(e)に示すように、第2外部導体基材22と外被層52との両端部を第1ケーブル基材10側に略90度で折り曲げた後、更に、第2外部導体基材22と外被層52との一端部を折り曲げて、第2外部導体基材22と第1外部導体基材12とを接続し、第2外部導体基材22と外被層52との他端部を折り曲げて、第2外部導体基材22と第1外部導体基材12とを接続して外部導体を形成した。外被層52の一方と他方との重なり部分を熱ロールを用いて熱融着し、外被を形成した。なお、内部導体16は、漏洩ケーブル30aの厚み方向(高さ方向)の略中央に位置している。
次に、電磁波漏洩量の測定方法について説明する。図7は、電磁波漏洩量の測定方法を示す図であり、図7(a)は、電磁波漏洩量の測定系の構成を示す図であり、図7(b)は、電磁波漏洩量の測定結果を示すグラフである。
床面に金属板53を敷き、金属板53上に製造した漏洩ケーブル30aを配置した。漏洩ケーブル30aの入力端にはコネクタ54を取り付け、反対側にインピーダンス50Ωの終端器56を取り付けて反射を防止した。漏洩電磁波を受信する側には、周波数2.4GHz用の標準ダイポールアンテナ58を、漏洩ケーブル30aから1.5m離して配置した。
発信器60から周波数2.4GHzの電気信号を、電力供給用コード61を介して漏洩ケーブル30aのコネクタ54に供給し、ダイポールアンテナ58を介して漏洩ケーブル30aから漏洩した電磁波をパワーメータ62で測定した。なお、ダイポールアンテナ58により漏洩ケーブル30aの長手方向の軸に直角な偏波を受信するように、ダイポールアンテナ58を漏洩ケーブル30aの長手方向と直角になるように配置した。
ダイポールアンテナ58を漏洩ケーブル30aの長手方向に3m移動させて、結合損失を測定した。結合損失Lは、漏洩ケーブル30aの入力電力P1と、ダイポールアンテナ58の受信電力P2との比であり、数1式で表される。
(数1)
L=10log(P1/P2)
図7(b)は、横軸にアンテナ位置(m)を取り、縦軸に結合損失L(dB)を取り、各アンテナ位置における結合損失Lの測定結果を示すグラフである。漏洩ケーブル30aの長手方向に沿って約75dBの結合損失が確認され、電磁波の漏洩が確認できた。
次に、図面を用いて本発明に係る第2実施形態について説明する。
図8は、漏洩ケーブルの製造工程を示す図である。なお、同様な要素は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。漏洩ケーブルの製造工程は、ケーブル基材70を成形するケーブル基材成形工程と、絶縁体形成工程と、外部導体形成工程と、を備えている。
ケーブル基材成形工程は、図8(a)に示すように、導体材料で形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられた外部導体基材72と、外部導体基材72の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される第1絶縁基材74と、第1絶縁基材74に積層され、導体材料で形成される内部導体16と、第1絶縁基材74と所定間隔を設けて外部導体基材72に積層され、絶縁材料で形成される第2絶縁基材76と、を有するケーブル基材70を成形する工程である。
外部導体基材72は、銅箔シートや銅箔テープ等の導体材料で形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられる。スロット20は、上述した第1実施形態の第2外部導体基材22と同様にして形成される。
第1絶縁基材74は、外部導体基材72の一方の面に積層され、ポリエチレン樹脂等の絶縁材料で形成される。第1絶縁基材74は、合成樹脂テープや合成樹脂シート等で形成される。第1絶縁基材74は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が矩形状に形成されることが好ましい。第1絶縁基材74と外部導体基材72とは、例えば、ポリエチレン樹脂接着剤等で接着される。第1絶縁基材74は、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が外部導体基材72の幅より小さくなるように形成される。
内部導体16は、第1絶縁基材74に積層され、銅箔テープ等の導体材料で形成される。内部導体16と第1絶縁基材74とは、例えば、ポリエチレン樹脂接着剤で接着される。内部導体16は、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が第1絶縁基材74の幅より小さくなるように形成される。内部導体16は、スロット20と対面するように設けられることが好ましい。
第2絶縁基材76は、第1絶縁基材74と所定間隔を設けて外部導体基材72の一方の面に積層され、ポリエチレン樹脂等の絶縁材料で形成される。第2絶縁基材76は、合成樹脂テープや合成樹脂シート等で形成される。第2絶縁基材76は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が矩形状に形成されることが好ましい。第2絶縁基材76は、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が外部導体基材72の幅より小さくなるように形成される。所定間隔は、第1絶縁基材74の厚みと第2絶縁基材76の厚みとを合わせた厚みに比べて同じかまたは大きく設けられる。所定間隔は、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とを合わせた厚みと略同じであることが好ましい。
絶縁体形成工程は、図8(b)から図8(c)に示すように、外部導体基材72を折り曲げることにより第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とで内部導体16を挟持して包み、内部導体16を囲む絶縁体を形成する工程である。
まず、図8(b)に示すように、外部導体基材72の両側を上方に向けて、例えば略90度の角度で折り曲げる。そして、図8(c)に示すように、第2絶縁基材76側を更に折り曲げて、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とで内部導体16を挟持するようにして包み、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とからなる絶縁体を形成する。第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とは、例えば、ポリエチレン樹脂系接着剤で接着されることが好ましい。勿論、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とは、熱圧着されてもよいし、対向面を当接させるだけでもよい。
外部導体形成工程は、図8(d)に示すように、外部導体基材72で絶縁体を包み、外部導体基材72の一端部と他端部とを接続し、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とからなる絶縁体を囲む外部導体を形成する工程である。
外部導体基材72の一端部が折り曲げられた後、外部導体基材72の他端部と接続されて外部導体が形成される。外部導体基材72の一端部と他端部とは、例えば、導電性接着剤による接着や溶接等により接続される。
以上により、漏洩ケーブル80の製造が完了する。なお、漏洩ケーブル80は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が略矩形状に形成され、平面形状の外観を有している。
次に、漏洩ケーブル製造装置31により、ケーブル基材70の送り出しから漏洩ケーブル80の完成まで一連の連続した製造工程で行う場合について説明する。図9は、漏洩ケーブル80の一連の製造工程における各段階のケーブル基材70を側方から見た模式図である。
ケーブル基材70は、送り出しローラ等の送り出し部32で送り出される(図9の矢印A)。送り出し部32から送り出されたケーブル基材70は、曲げガイド等の折り曲げ部36で外部導体基材72における両端部の長手縁が上方に、例えば、略90度で折り曲げられる(図9の矢印B)。次に、ケーブル基材70は、押圧ローラ等の押圧部38で上方に折り曲げられた外部導体基材72の長手縁が、更に内側に折り曲げられるとともに、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とが圧着される(図9の矢印C)。そして、内側に折り曲げられた外部導体基材72の一端部と他端部とが、溶接装置等の接続部40で接続される(図9の矢印D)。製造された漏洩ケーブル80は、ドラム等の巻き取り部42で巻き取られる。
なお、漏洩ケーブル80には、保護のために外被を設けることが好ましい。図10は、外被を有する漏洩ケーブルの製造工程を示す図である。なお、同様な要素は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
ケーブル基材成形工程は、図10(a)に示すように、導体材料で形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられた外部導体基材72と、外部導体基材72の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される第1絶縁基材74と、第1絶縁基材74に積層され、導体材料で形成される内部導体16と、第1絶縁基材74と所定間隔を設けて外部導体基材72に積層され、絶縁材料で形成される第2絶縁基材76と、外部導体基材72の他方の面に設けられる外被層82と、を有するケーブル基材70aを成形する工程である。
外被層82は、ポリエチレン樹脂等の合成樹脂で形成され、外部導体基材72にポリエチレン樹脂接着剤等で接着される。外被層82は、外部導体基材72における第1絶縁基材74側の長手縁より外側に突出するように形成され、外部導体基材72における第2絶縁基材76側の長手縁より内側に位置するように形成されることが好ましい。
絶縁体形成工程により、図10(b)から図10(c)に示すように、外部導体基材72を折り曲げることにより第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とで内部導体16を挟持して包み、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とからなる絶縁体を形成する。そして、外部導体形成工程により、図10(d)に示すように、外部導体基材72の一端部と他端部とを接続して第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とからなる絶縁体を包み、外部導体を形成する。
外被形成工程は、外被層82で外部導体を包み、外被層82の一方と他方とを接続し、外部導体を囲む外被を形成する工程である。外被層82の一方と他方との重なり部分は、例えば、熱ロール等の加熱装置を用いて熱融着され、外部導体基材72の一方と他方とを接続して形成された外部導体の外周に外被が設けられる。以上により、外被を有する漏洩ケーブル80aの製造が完了する。
次に、漏洩ケーブルを製造し、漏洩ケーブルにおける電磁波の漏洩量を測定した。まず、製造した漏洩ケーブル80aについて説明する。
まず、図10(a)に示すように、外部導体基材72と、外部導体基材72の一方の面に積層される第1絶縁基材74と、第1絶縁基材74に積層される内部導体16と、第1絶縁基材74と所定間隔を設けて外部導体基材72に積層される第2絶縁基材76と、外部導体基材72の他方の面に設けられる外被層82と、を有するケーブル基材70aを成形した。
外部導体基材72には、幅64mm(Y1)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。第1実施形態の第2外部導体基材22と同様に、銅箔テープをエッチングしてスロット20を形成した。スロット20は、外部導体基材72における一端の長手縁から30mm(Y2)の位置に設けられた。第1絶縁基材74には、幅20mm(Y3)、厚さ2mmのポリエチレン樹脂テープを使用した。内部導体16には、幅3mm(Y4)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。第2絶縁基材76には、幅20mm(Y5)、厚さ2mmのポリエチレン樹脂テープを使用した。外被層82には、ポリエチレン樹脂テープを使用した。
まず、第1絶縁基材74が、外部導体基材72に積層される。第1絶縁基材74は、第1絶縁基材74の中心位置がスロット形成位置(外部導体基材72における一端部の長手縁から30mmの位置)となるように外部導体基材72に積層される。そして、内部導体16が、第1絶縁基材74の中心に位置し、スロット20と対面するように第1絶縁基材74に積層される。第2絶縁基材76は、第2絶縁基材76の中心位置が外部導体基材72における他端部の長手縁から10mmの位置となるように外部導体基材72に積層される。したがって、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76との間の所定間隔は、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76との厚みを合わせた4mm(Y6)である。外被層82は、外部導体基材72の一端部の長手縁から所定量だけ突出するとともに、外部導体基材72の他端部の長手縁から所定量だけ内側に位置するようにして外部導体基材72に積層される。そして、外部導体基材72と、第1絶縁基材74と、第2絶縁基材76と、外被層82とをポリエチレン系接着剤で接着し、ケーブル基材70aを成形した。
次に、上述した図10(b)から図10(d)に示すように、外部導体基材72の一端部の長手縁と、第2絶縁基材76が積層された外部導体基材72の他端部の長手縁とを上方に向けて略90度の角度で折り曲げ、更に、第2絶縁基材76が積層された外部導体基材72の他端部の長手縁を略90度の角度で折り曲げて、第1絶縁基材74と第2絶縁基材76とで内部導体16を挟持して包み、外部導体基材72の一端部の長手縁を折り曲げて、外部導体基材72の他端部の長手縁と接続した。また、外被層の一方と他方との重なり部分は、熱ロールにより熱融着した。なお、内部導体16は、漏洩ケーブル80aの厚み方向(高さ方向)の略中央に位置している。
次に、製造した漏洩ケーブル80aについて電磁波の漏洩量を測定した。なお、電磁波漏洩量の測定方法は、上述した第1実施形態の測定方法と同じである。電磁波漏洩量を測定した結果、75dB程度の結合損失が漏洩ケーブル80aの長手方向に沿って観測され、電磁波の漏洩が確認できた。
次に、図面を用いて本発明に係る第3実施形態について説明する。
図11は、漏洩ケーブルの製造工程を示す図である。なお、同様な要素は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。漏洩ケーブルの製造方法は、ケーブル基材90を成形するケーブル基材成形工程と、絶縁体形成工程と、外部導体形成工程と、を備えている。
ケーブル基材成形工程は、図11(a)に示すように、導体材料で形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられた外部導体基材92と、外部導体基材92の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される絶縁基材94と、絶縁基材94に積層され、導体材料で形成される内部導体16と、を有するケーブル基材90を成形する工程である。
外部導体基材92は、銅箔シートや銅箔テープ等の導体材料で形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられる。スロット20は、上述した第1実施形態の第2外部導体基材22と同様にして形成される。
絶縁基材94は、外部導体基材92の一方の面に積層され、ポリエチレン樹脂等の絶縁材料で形成される。絶縁基材94は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が矩形状に形成されることが好ましい。絶縁基材94は、長尺の合成樹脂シートや合成樹脂テープ等で形成される。絶縁基材94と外部導体基材92とは、例えば、ポリエチレン樹脂接着剤等で接着される。絶縁基材94は、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が外部導体基材92の幅より小さくなるように形成される。
内部導体16は、絶縁基材94に積層され、銅箔テープ等の導体材料で形成される。内部導体16と絶縁基材94とは、例えば、ポリエチレン樹脂接着剤で接着される。内部導体16は、ケーブル方向である長手方向に対して直交方向の幅が絶縁基材94の幅より小さくなるように形成される。内部導体16は、スロット20と対面するように設けられることが好ましい。
絶縁体形成工程は、絶縁基材94を折り曲げることにより、絶縁基材94の一方と他方とで内部導体16を挟持して包み、内部導体16を囲む絶縁体を形成する工程である。
まず、図11(b)に示すように、外部導体基材92の両側を上方に向けて、例えば略90度の角度で折り曲げる。そして、絶縁基材94を更に折り曲げて、絶縁基材94の一方と他方とで内部導体16を挟持するようにして包み、絶縁基材94の一方と他方とからなる絶縁体を形成する。絶縁基材94の一方と他方とは、例えば、ポリエチレン樹脂系接着剤で接着されることが好ましい。勿論、絶縁基材94の一方と他方とは、熱圧着されてもよいし、対向面を当接させるだけでもよい。
外部導体形成工程は、外部導体基材92で絶縁体を包み、外部導体基材92の一端部と他端部とを接続し、絶縁体を囲む外部導体を形成する工程である。
外部導体基材92の一端部が折り曲げられた後、外部導体基材92の他端部と接続されて外部導体が形成される。外部導体基材92の一端部と他端部とは、例えば、導電性接着剤による接着や溶接等により接続される。
以上により、漏洩ケーブル100の製造が完了する。漏洩ケーブル100は、ケーブル方向に対して直交方向の断面が略矩形状に形成されるとともに、一方の側縁が曲率を有する長手縁で形成され、平面形状の外観を有している。
次に、漏洩ケーブル製造装置31により、ケーブル基材90の送り出しから漏洩ケーブル100の完成まで一連の連続した製造工程で行う場合について説明する。図12は、漏洩ケーブル100の一連の製造工程における各段階のケーブル基材90を側方から見た模式図である。
ケーブル基材90は、送り出しローラ等の送り出し部32で送り出される(図12の矢印A)。送り出し部32から送り出されたケーブル基材90は、曲げガイド等の折り曲げ部36で外部導体基材92における両端部の長手縁が上方に、例えば、略90度で折り曲げられる(図12の矢印B)。次に、ケーブル基材90は、押圧ローラ等の押圧部38で上方に折り曲げられた外部導体基材92の長手縁が、更に内側に折り曲げられるとともに、絶縁基材94が折り曲げられ、絶縁基材94の一方と他方とが押圧される(図12の矢印C)。そして、内側に折り曲げられた外部導体基材92の一端部と他端部とが、溶接装置等の接続部40で接続される(図12の矢印D)。製造された漏洩ケーブル100は、ドラム等の巻き取り部42で巻き取られる。
なお、漏洩ケーブル100には、保護のために外被を設けることが好ましい。図13は、外被を有する漏洩ケーブルの製造工程を示す図である。なお、同様な要素は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
ケーブル基材成形工程は、図13(a)に示すように、導体材料で形成され、電磁波を放射するスロット20が設けられた外部導体基材92と、外部導体基材92の一方の面に積層され、絶縁材料で形成される絶縁基材94と、絶縁基材94に積層され、導体材料で形成される内部導体16と、外部導体基材92の他方の面に設けられる外被層102と、を有するケーブル基材90aを成形する工程である。
外被層102は、ポリエチレン樹脂等で形成され、外部導体基材92にポリエチレン樹脂接着剤等で接着される。外被層102は、外部導体基材92における一端部の長手縁より外側に突出するように形成され、外部導体基材92における絶縁基材94側の長手縁より内側に位置するように形成されることが好ましい。
絶縁体形成工程により、図13(b)から図13(c)に示すように、外部導体基材92と絶縁基材94を折り曲げることにより絶縁基材94の一方と他方とで内部導体16を挟持して包み絶縁体を形成する。そして、外部導体形成工程により、図13(d)に示すように、外部導体基材92の一端部と他端部とを接続して絶縁体を包み、外部導体を形成する。
外被形成工程は、外被層102で外部導体を包み、外被層102の一方と他方とを接続し、外部導体を囲む外被を形成する工程である。外被層102の一方と他方との重なり部分は、例えば、熱ロール等の加熱装置を用いて熱融着され、外部導体の外周に外被が設けられる。
以上により、外被を有する漏洩ケーブル100aの製造が完了する。漏洩ケーブル100aは、ケーブル方向に対して直交方向の断面が略矩形状に形成されるとともに、一方の側縁が曲率を有する長手縁で形成されているので、例えば、黒色等に着色された外被が形成されており、スロット20が設けられた面が外観から判別できない場合でも、曲率を有する長手縁を基準にしてスロット形成面を容易に判別することができる。
次に、漏洩ケーブルにおける電磁波の漏洩量を測定した。まず、製造した漏洩ケーブ漏洩ケーブル100aについて説明する。
まず、図13(a)に示すように、外部導体基材92と、外部導体基材92の一方の面に積層される絶縁基材94と、絶縁基材94に積層される内部導体16と、外部導体基材92の他方の面に設けられる外被層102と、を有するケーブル基材90aを成形した。
外部導体基材92には、幅54mm(Z1)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。スロット20の形成は、第1実施形態の第2外部導体基材22と同様に、銅箔テープをエッチングして行った。外部導体基材92における一端部の長手縁から20mm(Z2)の位置にスロット20を設けた。絶縁基材94には、幅44mm(Z3)、厚さ2mmのポリエチレン樹脂製絶縁体テープを使用した。内部導体16には、幅3mm(Z4)、厚さ0.1mmの銅箔テープを使用した。外被層102には、ポリエチレン樹脂テープを使用した。
まず、絶縁基材94が、外部導体基材92に積層される。絶縁基材94は、外部導体基材72における一端部の長手縁から10mm(Z5)の位置から外部導体基材92における他端部の長手縁の部位に積層される。そして、内部導体16が、スロット20と対面するように絶縁基材94に積層される(外部導体基材92における一端の長手縁から20mm(Z2)の位置)。外被層102は、外部導体基材92の一端部の長手縁から所定量だけ突出するとともに、外部導体基材92の他端部の長手縁から所定量だけ内側に位置するようにして外部導体基材92に積層される。そして、外部導体基材92と、絶縁基材94と、外被層102とをポリエチレン系接着剤で接着し、ケーブル基材90aを成形した。
次に、上述した図13(b)から図13(d)に示すように、外部導体基材92の一端部の長手縁と、絶縁基材94が積層された外部導体基材92の他端部の長手縁とを上方に向けて略90度の角度で折り曲げ、更に、絶縁基材94が積層された外部導体基材92の他端部の長手縁を略90度の角度で折り曲げて、折り曲げられた絶縁基材94の一方と他方とで内部導体16を挟持して包み、外部導体基材92の一端部の長手縁を折り曲げて、外部導体基材92の他端部の長手縁と接続した。また、外被層102の一方と他方との重なり部分は、熱ロールにより熱融着した。なお、内部導体16は、漏洩ケーブル100aの厚み方向(高さ方向)の略中央に位置している。
次に、製造した漏洩ケーブル100aについて電磁波の漏洩量を測定した。なお、電磁波漏洩量の測定方法は、上述した第1実施形態の測定方法と同じである。電磁波漏洩量を測定した結果、75dB程度の結合損失が漏洩ケーブル100aの長手方向に沿って観測され、電磁波の漏洩が確認できた。
以上、上記構成における漏洩ケーブルの製造方法によれば、断面矩形状の絶縁基材を重ねて内部導体を取り囲む絶縁体を形成することにより、合成樹脂の押出しで形成するための高価な押出し装置等を用いずに絶縁体を形成することができるので、漏洩ケーブルの製造コストをより低減することができる。
上記構成における漏洩ケーブルの製造方法によれば、電磁波を放射及び取り込みをするスロットをエッチィング法で形成することにより、高価な打抜き用金型を用いずにスロット形成できるので、漏洩ケーブルの製造コストをより低減することができる。