JP5271038B2 - 防虫用フィルタシステム - Google Patents

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Description

本発明は、空調用の給気に同伴した虫などの異物が侵入することを嫌う施設に用いられる空調換気用外気導入ダクトに配設する防虫用フィルタシステムに関するものである。
一般的に、医薬品工場や食品工場、または半導体工場などの清浄空間を必要とする施設では、空調換気用外気導入ダクトにより外気を強制的に導入し、施設内の換気を行っている。そのため、外気と共に虫なども一緒に、施設内に導入してしまう。そこで、防虫対策として、上記空調換気用外気導入ダクト内に、フィルタや防虫網などを介在させることによって、虫などが清浄空間内に侵入することを防止している。
上記の防虫対策としては、例えば、下記特許文献1のような防虫用フィルタ装置に、その対策法が開示されている。
このフィルタ装置は、建家壁開口部に固定したガラリ枠の外気側にガラリ本体を取付け、かつ、このガラリ枠の室内側に、一側が室内側に回動されて開状態とされる保持枠を開閉自在に設けると共に、この保持枠にフィルタを保持枠の開状態において挿脱自在に保持せしめ、又、上記ガラリ本地と保持枠との間に、防虫網又は防虫網とシャッタを配設し構成されている、さらに、上記防虫網又は防虫網とシャッタを上記ガラリ枠に磁気止めにより着脱自在に取り付けられている。
この従来のフィルタ装置は、上記ガラリ本体の外気側にガラリ本体が、室内側にフィルタを保持した上記保持枠とが、それぞれ配設されるとともに、上記ガラリ本体と上記保持枠との間の外気側に上記防虫網が、室内側に上記シャッターとが、それぞれ上記ガラリ本体に磁気止めされ配設されている。そして、長期の利用により、経時的に増大した付着物の除去や清掃を行う場合には、上記ガラリ枠に開閉自在に設けられ、一側が室内側に回動される上記保持枠を室内側に回動して開状態にし、上記フィルターを取り外し清掃後、再度上記保持枠に取り付けてから、この保持枠を外気側に回動して閉状態にする。また、上記フィルタを取り外した際には、上記ガラリ枠に磁気止めされている上記防虫網および上記シャッタを室内側から取り外し清掃することができる。
特開昭61−176784号公報
ところが、上記従来のフィルタ装置は、上記フィルタを清掃する際に、上記保持枠の一側を上記ガラリ枠の外方に回動させることにより、取り外しおよび取り付けを行う構造になっているとともに、上記ガラリ枠に磁気止めされている上記防虫網および上記シャッタを室内側から手を入れて取り外しおよび取り付ける構造になっている。一方、このフィルタ装置を設置する場所は、天井付近の壁面など高い場所が多く、取り外しおよび取り付け作業の際には、高所用の脚立を用意したり、足場を組む必要がある。そのため、作業を行う準備段階において手間がかかるとともに、上記フィルタを取り外す場合には、高所作業により危険を伴う。また、高所用の脚立を利用したときには、施設内の足場の悪い場所や安定感のない場所での作業を強いられる場合も多く、さらに危険が増すという問題がある。
また、上記ガラリ枠の屋外側に取り付けられている上記防虫網に、経年的に付着した虫を取り除くなどの清掃をする場合には、室内側の上記フィルタから順番に取り外さなければならず、手間がかかるとともに、長時間の高所作業を強いられるため、さらに危険が増大するという問題もある。
さらに、屋外側にある上記防虫網を取り外した際には、屋外と屋内との遮断がなくなるため、外気からの虫や塵芥の侵入を許してしまう。それを防ぐために、外気の導入を一時中断したり、または外気を遮断するための設備を設けるなどの対策を講じる必要がある。しかし、この場合には、施設内での作業を中断する必要が生じてしまうため、作業効率を下げてしまうととともに、新たな設備を設けることによりコストが掛かってしまうという問題もある。また、作業効率を下げないための対策として、稼働時間外での交換作業が考えられるが、この場合にも、余計な人件費が掛かってしまうという問題もある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、清浄空間を必要とする施設における空調換気用外気導入ダクトに取り付けられるフィルタ装置において、このフィルタ装置のフィルタ濾材を交換する際に、施設内に給気を行いながら、かつ虫などの異物の侵入を防止できる防虫用フィルタシステムを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、空調換気用外気導入ダクトに、この空調換気用外気導入ダクトの中間に介装されて、その一部を形成するフィルタケーシングと、このフィルタケーシング内に、着脱自在に設けられるフィルタ固定枠と、このフィルタ固定枠に挟持され、上記フィルタケーシングの開口部を覆うフィルタ濾材とからなる第一のフィルタ装置を設け、かつ、上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ濾材よりも屋外側に、外部からの虫の侵入を遮断する第二のフィルタ装置を着脱自在に設けてなり、上記第一のフィルタ装置が上方に配設された上記フィルタケーシングの底部に、上記フィルタ濾材の交換の際に、上記フィルタ固定枠を上記フィルタケーシングから抜き差し可能とする扉を開閉自在に設け、かつ上記扉の内壁側に、他端部が上記フィルタ固定枠の下端部の両端近傍を支持するとともに、一端部が回動自在に支承されて、上記フィルタ濾材の交換の際に、上記他端部の支持を解除可能とする落下防止ストッパを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の防虫用フィルタシステムにおいて、上記第二のフィルタ装置は、上記フィルタケーシング内に、着脱自在に設けられるフィルタ固定枠と、このフィルタ固定枠に挟持され、上記フィルタケーシングの開口部を覆うフィルタ濾材とからなり、上記第二のフィルタ装置が上方に配設された上記フィルタケーシングの底部に、上記フィルタ濾材の交換の際に、上記フィルタ固定枠を上記フィルタケーシングから抜き差し可能とする扉を開閉自在に設け、かつ上記扉の内壁側に、他端部が上記フィルタ固定枠の下端部の両端近傍を支持するとともに、一端部が回動自在に支承されて、フィルタ濾材の交換の際に、上記上記他端部の支持を解除可能とする落下防止ストッパを設けたことを特徴とするものである。
さらに、請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の防虫用フィルタシステムにおいて、上記第二のフィルタ装置は、ロール式フィルタ濾材からなることを特徴とするものである。
そして、請求項に記載の本発明は、請求項1または2に記載の防虫用フィルタシステムにおいて、少なくとも上記第一のフィルタ装置の上記フィルタケーシングの底部の上記扉の外方に、上記フィルタ固定枠を抜き出す際に、上記フィルタ固定枠を被包するとともに、上記フィルタ濾材に捕捉された虫の飛散を防止する袋部材を着脱自在に設けたことを特徴とするものである。
そして、請求項に記載の本発明は、請求項1〜のいずれか1項に記載の防虫用フィルタシステムにおいて、少なくとも上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ固定枠の下方に、上記フィルタ濾材から落下した虫の死骸を集積する虫受け皿を設けたことを特徴とするものである。
請求項1〜6のいずれかに記載の防虫用フィルタシステムによれば、フィルタ装置のフィルタケーシング内を遮断する第二のフィルタ装置を、上記フィルタケーシング内に着脱自在に設けられた第一のフィルタ装置のフィルタ濾材よりも屋外側に設けたため、先ず第二のフィルタ装置を装着せずに、第一のフィルタ装置のみを使用し、経時的に増大する虫や塵芥の付着により、上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ濾材を交換する際に、上記第二のフィルタ装置を装着して遮断することによって、屋外側からの虫の侵入を阻止することができるとともに、交換作業後は、上記第二のフィルタ装置を抜き取ることにより、屋外側の流路を開放することができる。これにより、施設内で通常行われる作業を一時中断せずに、交換作業を行うことができるとともに、交換作業を稼働時間外で行う必要もない。その結果、生産効率を下げることなく、またはコストを掛けることなく交換作業を行うことができる。
また、上記フィルタ濾材の交換作業の際には、上記第一のフィルタ装置または上記第二のフィルタ装置のどちらか一方により、上記フィルタケーシング内の外気の流れを遮断するため、上記フィルタケーシング内の流速を著しく減少させることがない。これにより、従来のフィルタ装置のように、常にフィルタ濾材と防虫網との二重のフィルタリングによる流路の遮断がなく、しかも、外気を給気する際に、この二重のフィルタリングによって生じる負荷に対応した大型の給気ファンを設ける必要もない。さらに、交換の際に生じる給気ファンの負荷の変動を検知して、上記給気ファンを制御する装置を別途設ける必要もない。その結果、フィルタ濾材の交換作業の手間を軽減することができるとともに、設備に掛かるコストを抑えることができる。
請求項1および請求項2に記載の本発明によれば、上記第二のフィルタ装置を上記第一のフィルタ装置と同様の上記フィルタケーシング内に着脱自在に設けられるフィルタ固定枠と、このフィルタ固定枠に挟持されたフィルタ濾材とにより構成するため、経時的に増大する虫や塵芥の付着により、上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ濾材を交換する際には、上記フィルタケーシング内に上記第二のフィルタ装置を装着した後に、上記第一のフィルタ装置を上記フィルタケーシング内から抜き取るのみで作業が完了する。また、上記フィルタケーシング内に装着した上記第二のフィルタ装置のフィルタ濾材に、経時的に増大する虫や塵芥の付着により交換する際には、上記第一のフィルタ装置を上記フィルタケーシング内に装着後、上記第二のフィルタ装置を上記フィルタケーシング内から抜き取ることにより交換作業が終了する。これにより、交換作業を簡便に行うことができるとともに、交換作業にかかる時間も短縮することができる。
請求項3に記載の本発明によれば、上記第二のフィルタ装置として、ロール式フィルタ濾材を用いているため、経時的に増大する虫や塵芥の付着により、上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ濾材を交換する際には、上記ロール式フィルタ濾材を引き出して遮断することにより、屋外側からの虫の侵入を阻止するとともに、交換作業後は、上記ロール式フィルタ濾材を巻き上げることにより、屋外側の流路を開放することができる。これにより、交換作業をより簡便に行うことができる。
請求項1および2に記載の本発明によれば、第一のフィルタ装置が上方に配設された上記フィルタケーシングの底部、および上記第二のフィルタ装置が上方に配設された上記フィルタケーシングの底部に、上記フィルタ固定枠を抜き差しする扉を開閉自在に設けるとともに、上記フィルタ固定枠の下端部の両端近傍を支持および解除可能とする落下防止ストッパを設けたため、上記フィル濾材の交換の際に、上記フィルタケーシングの下方から上記フィルタ固定枠を安全に抜き差しすることができ、さらに高所用の脚立などに上がることを避けることができる。これにより、簡便に交換作業を行うことができるとともに、交換作業に伴う危険性も低減できる。
請求項に記載の本発明によれば、少なくとも第一のフィルタ装置の上記フィルタケーシングの底部の上記扉の外方に、上記フィルタ濾材を被包する袋部材を着脱自在に設けたため、上記フィルタ濾材の交換をする際に、虫や塵芥などを上記施設内に飛散させることなく作業を行うことができる。その結果、清浄空間を必要とする施設において、清潔に交換作業を行うことができる。
請求項に記載の本発明によれば、少なくとも第一のフィルタ装置の上記フィルタ固体枠の下方に、上記フィルタ濾材などから落下した虫の死骸や塵芥などを集積する虫受け皿を設けているため、上記フィルタ濾材または上記フィルタケーシング内に、経時的に付着または堆積した虫や塵芥などが剥がれ落ちたとしても、上記虫受け皿で集積することができるとともに、溜まった虫の死骸や塵芥を上記フィルターケーシング内より簡便に取り出すことができる。これにより、上記フィルタケーシング内の清掃を簡単に行うことができる。
(第1の実施形態)
図1〜図3は、本発明の防虫用フィルタシステム1の第1の実施形態を示すものである。
図1に示すように、防虫フィルタシステム1は、清浄空間を必要とする施設の壁面tに貫設して、外気Wをこの施設内に導入するための空調換気用外気導入ダクト7の中間に介装されるフィルタケーシング2内の屋内側に第一のフィルタ装置5を着脱自在に設けるとともに、屋外側に第一のフィルタ装置5と同一の構成を有する第二のフィルタ装置5’を着脱自在に設けたものである。
図2および図3に示すように、フィルタケーシング2は、空調換気用外気導入ダクト7と同一の開口面積から形成されている。このフィルタケーシング2の両側壁には、この側壁の長手方向に延在する側扉12、12’が、第一のフィルタ装置5と第二のフィルタ装置5’のそれぞれ位置に、開閉自在に設けられている。
そして、第一のフィルタ装置5および第二のフィルタ装置5’には、フィルタケーシング2の内方に突出した枠体2b、2b’が、内壁に周設されている。この枠体2b、2b’には、外気Wが通る開口部2a、2a’が形成されている。また、枠体2b、2b’の屋外側の周壁には、偏心カム機構11、11’により圧接されたフィルタ固定枠3、3’が設けられている。このフィルタ固定枠3、3’は、四辺形状の枠を構成するそれぞれの辺に、トルクヒンジにより平板が開閉自在に接続されている。この平板は、上記四辺形の枠を構成するそれぞれの辺と同一の面積を有するとともに、長手方向の両端部が45°の角度で切断され、当該平板を閉状態にしたときに、隣接する上記平板同士が干渉しないように形成されている。そして、フィルタ固定枠3、3’には、上記四辺形の枠を構成するそれぞれの辺と上記平板との間に、四辺を挟持されたフィルタ濾材4、4’が設けられている。また、偏心カム機構11、11’は、フィルタ固定枠3、3’の四隅の近傍に、回転自在に設けられている。
さらに、第一のフィルタ装置5および第二のフィルタ装置5’のフィルタ固定枠3、3’の下方には、外気導入方向に対して直交して延在する扉8、8’が、フィルタケーシング2の底部に開閉自在に設けられている。この扉8、8’の内壁側には、フィルタ固定枠3、3’の下方に載置される虫受け皿10、10’が設けられている。この虫受け皿10、10’は、扉8、8’の長手方向に延設されているガイド部材10a、10a’に載置されている。そして、フィルタ固定枠3、3’の下端部の両端近傍には、このフィルタ固定枠3、3’の下端部を支持する落下防止ストッパ13、13’が設けられている。この落下防止ストッパ13、13’は、一端部がフィルタケーシング2に、水平方向に回動自在に支持されているとともに、他端部がフィルタ固定枠3、3’の下端部の両端近傍を支持している。さらに、フィルタケーシング2の底部に設けられた扉8、8’の外方には、扉8、8’の長手方向の対向する位置に、フック部材9a、9a’が複数間隔をおいて設けられている。
以上の構成からなる防虫用フィルタシステム1において、図2および図3に示す第1の実施形態の防虫用フィルタシステム1のフィルタ濾材4を交換するには、まず第二のフィルタ装置の下方の扉8’を開いて、フィルタ固定枠3’を挿入する。そして、フィルタ固体枠3’の下端部を落下防止ストッパ13’で支持して、扉8’を閉じる。さらに、フィルタケーシング2の両側壁の側扉12’を開けて、偏心カム機構11’をそれぞれ回転させ、フィルタ固定枠3’の周壁をフィルタケーシング2内の枠体2b’の周壁に圧接して固定する。そして、フィルタ固定枠3’の下方に、虫除け皿10’を側扉12’より挿入し、扉8’の内壁に設けられたガイド部材10a’に載置して、側扉12’を閉じる。
次いで、第一のフィルタ装置5のフィルタケーシング2の両側壁に設けられた側扉12を開いて、フィルタ固定枠3の四隅近傍を圧接している偏心カム機構11をそれぞれ回転させ、枠体2bの周壁の圧接を解除する。そして、フィルタケーシング2の底部に設けられた蓋8を開く。このとき、フィルタ固定枠3は、その下端部を支持している落下防止ストッパ13により支持されているのため、下方に落下することはない。さらに、扉8の内壁部に載置されている虫受け皿10を、フィルタケーシング2の側扉12より外方に引き出し、堆積した虫rや塵芥を処分する。
そして、扉8の外方に設けられたフック部材9aに、袋部材9を取り付けて、落下防止ストッパ13を回動させ、フィルタ固定枠3の下端部の支持を解除し、フィルタ固定枠3を下方より引き抜くとともに、フィルタ固定枠3を袋部材9の中に納めて、フック部材9aから袋部材9を取り外す。次いで、袋部材9の開口部を閉塞させて、施設外へと移動させる。移動後に、袋部材9の中で、フィルタ固定枠3に挟持されているフィルタ濾材4を取り外し、フィルタ固定枠3のみを袋部材9aより取り出すとともに、フィルタ濾材4は、袋部材9と共に廃棄する。
ここで、第1の実施例においては、第二のフィルタ装置5’にフィルタ濾材4’を挟持したフィルタ固定枠3’を装着してあるため、袋部材9より取り出したフィルタ固定枠3は、新しいフィルタ濾材4を挟持した後、第二のフィルタ装置5’のフィルタ濾材4’を交換するまでは保管しておくことになる。
(第2の実施形態)
そして、図4および図8は、本発明の防虫用フィルタシステム1の第2の実施形態を示すものである。
図4及び図8に示すように、フィルタケーシング2は、空調換気用外気導入ダクト7と同一の開口面積から形成されている。このフィルタケーシング2の内部には、屋内側に第一のフィルタ装置5が設けられ、屋外側に第二のフィルタ装置として、ロール式フィルタ濾材6が設けられている。また、フィルタケーシング2の両側壁には、この側壁の長手方向に延在する側扉12が、第一のフィルタ装置5の位置に開閉自在に設けられている。
また、第一のフィルタ装置5には、フィルタケーシング2の内方に突出した枠体2bが、内壁に周設されている。この枠体2bには、外気Wが通る開口部2aが形成されている。また、枠体2bの屋外側の周壁には、偏心カム機構11により圧接されたフィルタ固定枠3が設けられている。このフィルタ固定枠3は、四辺形状の枠を構成するそれぞれの辺に、トルクヒンジにより平板が開閉自在に接続されている。この平板は、上記四辺形の枠を構成するそれぞれの辺と同一の面積を有するとともに、長手方向の両端部が45°の角度で切断され、当該平板を閉状態にしたときに、隣接する上記平板同士が干渉しないように形成されている。そして、フィルタ固定枠3には、四辺を挟持されたフィルタ濾材4が設けられている。また、偏心カム機構11は、フィルタ固定枠3の四隅の近傍に回転自在に設けられている。
そして、フィルタケーシング2の内部の屋外側に設けられたロール式フィルタ濾材6は、フィルタケーシング2の上部に設けられたロールボックス6bに巻装されている。さらに、ロール式フィルタ濾材6の引き出し側の端部には、幅方向に延在する框6cが設けられているとともに、引き出し方向の両側端部には、小突起が延設されている。また、この小突起を係合する溝2cが、フィルタケーシング2の両側壁に形成されている。また、框6cには、ロール式フィルタ濾材6をフィルタケーシング2の下方に引き出すワイヤ部材6aが設けられている。
さらに、第一のフィルタ装置5のフィルタ固定枠3の下方には、その下端部に延在する虫受け皿10が設けられている。この虫受け皿10は、フィルターケーシング2の底部に設けられたガイド部材10aに載置されている。また、フィルタ固定枠3の下端部には、このフィルタ固定枠3の下端部を支持する落下防止ストッパ13が設けられている。この落下防止ストッパ13は、一端部がフィルタケーシング2に、水平方向に回動自在に支持されているとともに、他端部がフィルタ固定枠3の下端部を支持している。
以上の構成からなる防虫用フィルタシステム1において、図4に示す第2の実施形態の防虫用フィルタシステム1のフィルタ濾材4を交換するには、まずロール式フィルタ濾材6の框6cに垂下しているワイヤ6aにより、ロール式フィルタ濾材6をロールボックス6bより引き出す。この際に、ロール式フィルタ濾材6の両側端部に形成された小突起は、フィルタケーシング2の両側壁に形成された溝2cに案内されて、ロール式フィルタ濾材6が下方へと引き出される。
次いで、フィルタケーシング2の両側壁に設けられた側扉12を開いて、フィルタ固定枠3の四隅近傍を圧接している偏心カム機構11をそれぞれ回転させ、枠体2bの周壁の圧接を解除する。そして、どちらか一方の側扉12よりフィルタ固定枠3を引き出す。このとき、図6に示すように、フィルタ濾材4の下方に設けられた虫受け皿10も、開いた側扉12より引き出し、堆積した虫rや塵芥などを処理するとともに、フィルターケーシング2内も併せて清掃する。
そして、取り外したフィルタ固定枠3に挟持されているフィルタ濾材4を取り外し、新しいフィルタ濾材4を再びフィルタ固定枠3に挟持して取り付ける。その後、フィルタ固定枠3をフィルタケーシング2の側扉12より挿入し、偏心カム機構11により枠体2bの周壁に圧接して固定するとともに、側壁12より、虫受け皿10を挿入して、ガイド部材10a上に配置する。そして、フィルタケーシング2の両側壁の側扉12をそれぞれ閉めてから、ロール式フィルタ濾材6を巻き上げて、屋外側を開放する。
(第3の実施形態)
さらに、図5〜7は、本発明の防虫用フィルタシステム1の第2の実施形態の応用例を示すものである。
図5に示すように、第2の実施形態の応用例においては、フィルタケーシング2の底部に、外気導入方向に対して直交して延在する扉8が開閉自在に設けられている。この扉8の内壁側には、フィルタ濾材4の下方に載置される虫受け皿10のガイド部材10aが、扉8の長手方向に延設されている。
また、図5に示すように、フィルタケーシング2の底部に設けられた扉8の外方には、扉8の長手方向の対向する位置に、フック部材9aが複数間隔をおいて設けられている。このフック部材9aには、図7に示すように、フィルタ固定枠3を被包する袋部材9が、着脱自在に設けられる。この袋部材9は、フィルタ濾材4に付着した虫rや塵芥なども被包するビニール素材により形成されている。
以上の構成からなる防虫用フィルタシステム1において、図5に示す応用例の防虫用フィルタシステム1のフィルタ濾材4を交換するには、上記の第2の実施形態と同様に、まずロール式フィルタ濾材6をロールボックス6bより引き出し、屋外側を遮断するとともに、フィルタケーシング2の両側壁の側扉12を開く。そして、フィルタ固定枠3を圧接している偏心カム機構11を回転させ、枠体2bの周壁の圧接を解除する。次いで、フィルタケーシング2の底部に設けられた蓋8を開く。このとき、フィルタ固定枠3は、その下端部を支持している落下防止ストッパ13により支持されているため、下方に落下することはない。さらに、図6に示すように、扉8の内壁部に載置されている虫受け皿10を、フィルタケーシング2の側扉12より外方に引き出し、堆積した虫rや塵芥を処分する。
そして、図5に示すように、扉8の外方に設けられたフック部材9aに、袋部材9を取
り付ける。次いで、図6および図7に示すように、落下防止ストッパ13を回動させて、フィルタ固定枠3の下端部の支持を解除する。そして、フィルタ固定枠3を下方より引き抜くとともに、フィルタ固定枠3を袋部材9の中に納め、フック部材9aから袋部材9を取り外す。次いで、袋部材9の開口部を閉塞させて、施設外へと移動させる。移動後に、袋部材9の中で、フィルタ固定枠3に挟持されているフィルタ濾材4を取り外し、フィルタ固定枠3のみを袋部材9aより取り出すとともに、フィルタ濾材4は、袋部材9と共に廃棄する。
さらに、袋部材9より取り出したフィルタ固定枠3に、新しいフィルタ濾材4を挟持してから、フィルタケーシング2の底部の扉8よりフィルタ固定枠3を挿入し、落下防止ストッパ13を回動させて、フィルタ固定枠の下端部を支持する。そして、フィルタケーシング2の底部の扉8を閉めてから、側扉12より虫受け皿10を挿入し、ガイド部材10a上に配置する。次いで、フィルタケーシング2の両側壁の側扉12をそれぞれ閉めてから、ロール式フィルタ濾材6を巻き上げて、屋外側を開放する。
上述の第1の実施形態の防虫用フィルタシステム1によれば、第二のフィルタ装置5’が、第一のフィルタ装置5と同一の構成を有するため、先ず第二のフィルタ装置5’を装着させずに第一のフィルタ装置5を使用し、経時的に増大する虫や塵芥の付着により、第一のフィルタ装置5のフィルタ濾材4を交換する際には、フィルタケーシング2内に第二のフィルタ装置5’を装着した後に、第一のフィルタ装置5をフィルタケーシング2内から抜き取るのみで作業が完了する。また、同様にフィルタケーシング2内に装着した第二のフィルタ装置5’のフィルタ濾材4’を交換する際には、第一のフィルタ装置5をフィルタケーシング2内に装着後、第二のフィルタ装置5’をフィルタケーシング2内から抜き取ることにより交換作業が完了する。これにより、交換作業を簡便に行うことができ、施設内で通常行われる作業を一時中断せずに、また、稼働時間外での交換作業の必要もない。その結果、生産効率を下げることなく、またはコストを掛けることなく交換作業を行うことができる。
さらに、第一のフィルタ装置5と第二のフィルタ装置5’が、いずれも同じ構成を有しているため、相互に構成部品を共有することできるとともに、製造する部品点数を減らすことができる。これにより、製造コストを抑えることができるとともに、ランニングコストも抑えることができる。
また、交換作業を行う際には、第一のフィルタ装置5と第二のフィルタ装置5’とを入れ替えるのみにより作業が完了するため、作業時間を短縮することができるとともに、フィルタケーシング2内の流速を著しく減少させることがない。これにより、従来のフィルタ装置のように、常にフィルタ濾材と防虫網との二重のフィルタリングによる流路の遮断がなく、しかも、外気を給気する際に、この二重のフィルタリングによって生じる負荷に対応した大型の給気ファンを設ける必要もない。さらに、交換の際に生じる給気ファンの負荷の変動を検知して、上記給気ファンを制御する装置を別途設ける必要もない。その結果、フィルタ濾材の交換作業の手間を軽減することができるとともに、設備に掛かるコストを抑えることができる。
そして、第2の実施形態の防虫用フィルタシステム1によれば、第二のフィルタ装置5’をロール式フィルタ濾材6により構成し、第一のフィルタ装置5のフィルタ濾材4よりも屋外側に設けたため、経時的に増大する虫rの付着により、フィルタ濾材4を交換する場合には、屋外側からの虫rの侵入を阻止することができるとともに、交換作業後は、ロール式フィルタ濾材6を巻き上げることにより、屋外側の流路を開放することができる。これにより、施設内で通常行われる作業を一時中断せずに行うことができ、かつ稼働時間外での交換作業を行う必要がない。その結果、生産効率を下げることなく、またはコストを掛けることなく交換作業を行うことができる。
さらに、第一のフィルタ装置5のフィルタ濾材4の交換作業の際には、ロール式フィルタ濾材6または、第一のフィルタ装置5のフィルタ固定枠3に挟持されたフィルタ濾材4のどちらか一方により、フィルタケーシング2内の外気の流れを遮断するため、フィルタケーシング2内の流速を著しく減少させることがない。これにより、従来のフィルタ装置のように、常にフィルタ濾材と防虫網との二重のフィルタリングによる流路の遮断がなく、しかも、外気を給気する際に、この二重のフィルタリングによって生じる負荷に対応した大型の給気ファンを設ける必要もない。さらに、交換の際に生じる給気ファンの負荷の変動を検知して、上記給気ファンを制御する装置を別途設ける必要もない。その結果、フィルタ濾材4の交換作業の手間を軽減することができるとともに、設備に掛かるコストを抑えることができる。
また、図2〜図3に示す実施形態の防虫フィルタシステム1において、フィルタケーシング2の両側壁に、第一のフィルタ装置5および第二のフィルタ装置5’のそれぞれの位置に、側扉12、12’を開閉自在に設けたため、フィルタケーシング2の枠体2b、2b’の周壁に、偏心カム機構11、11’により圧接されているフィルタ固定枠3、3’を抜く際に、偏心カム機構11を両側から簡便に操作することができるとともに、フィルタシステム1が設置されている場所の状況に応じて、側扉12のどちらからでも、フィルタ固定枠3、3’を抜き差しすることもできる。また、フィルタケーシング2内の清掃をする際にも、容易に行うことができる。
そして、図2および図3の第1の実施形態と図5〜8の第3の実施形態の防虫フィルタシステム1において、フィルタケーシング2の底部に、第一のフィルタ装置のフィルタ固定枠3及び第二のフィルタ装置のフィルタ固定枠3’を抜き差しする扉8、8’を開閉自在に設けたため、第一のフィルタ装置のフィルタ濾材4及び第二のフィルタ装置5’のフィルタ濾材4’を交換する際に、フィルタケーシング2の下方からフィルタ固定枠3、3’を抜き差しすることができ、高所用の脚立などを使用することが減って、簡便に交換作業を行うことができるとともに、交換作業時の危険性を減少させることができる。
さらに、第一のフィルタ装置5のフィルタ固定枠3および第二のフィルタ装置5’のフィルタ固定枠3’のそれぞれの下方に、このフィルタ固定枠3、3’の下端部を支持する落下防止ストッパ13、13’を水平方向に回動自在に設けたため、偏心カム機構11、11’によりフィルタケーシング2の開口部2a、2a’の周壁に圧接されているフィルタ固定枠3、3’を、開口部2a、2a’の周壁より圧接を全て解除しても、フィルタ固定枠3、3’は、フィルタケーシング2の底部に落下することがない。これにより、落下の衝撃によるフィルタ固定枠3、3’の破損を防止するとともに、フィルタ固定枠3、3’の下方に配設されている虫受け皿10、10’の破損も防止することができる。
また、フィルタケーシング2の底部に設けられた第一のフィルタ装置5の下方の扉8および第二のフィルタ装置5’の下方の扉8’が開いていた場合であっても、フィルタ固定枠3、3’を開口部2a、2a’より圧接を解除して取り外したとしても、施設内に落下することがない。これにより、フィルタ固定枠3、3’が落下することによる怪我や他の設備の破損を防止することができる。
そして、フィルタケーシング2の底部の扉8、8’の外方に、第一のフィルタ装置5のフィルタ固定枠3および第二のフィルタ装置5’のフィルタ固定枠3’を被包する袋部材9を着脱自在に設けたため、フィルタ固定枠3、3’を抜き取る際に、施設内に虫rや塵芥などを飛散させることなく行うことができる。その結果、清浄空間を必要とする施設においても、清潔に交換作業を行うことができる。また、フィルタ固定枠3、3’を被包する袋部材9の内部で、フィルタ濾材4、4’を取り外し、そのまま廃却することができるため、衛生的に交換作業を完了させることができる。
さらに、第一のフィルタ装置5のフィルタ固体枠3および第二のフィルタ装置5’のフィルタ固定枠3’の下方に、フィルタ濾材4、4’から落下した虫rの死骸などを集積する虫受け皿10、10’を設けているため、フィルタ濾材4、4’またはフィルタケーシング2内に、経時的に付着または堆積した虫rや塵芥などが剥がれ落ちたとしても、虫受け皿10、10’により集積するとともに、溜まった虫rの死骸や塵芥を簡便に処理することができ、フィルタケーシング2内の清掃を容易に行うことができる。
なお、上記実施の形態において、ロール式フィルタ濾材6をフィルタケーシング2の内部に設ける場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、フィルタ濾材4より屋外側に配置されればよく、例えば、空調換気用外気導入ダクト7の内部に用いても対応可能である。また、上記実施の形態において、側扉12、12’をフィルタケーシング2の両側壁に設ける場合についてのみ説明したが、これに限定すれるものではなく、フィルタケーシング2の上方の壁面に設けても対応可能である。
本発明の防虫フィルタシステムを空調換気用外気導入ダクトに配設した状態を表した簡略図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第1の実施形態を示し、(a)は右側面断面図の簡略図、(b)は平面断面図の簡略図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第1の実施形態を示し、第一のフィルタ装置のフィルタ固定枠をフィルタケーシングの底部の蓋より抜き取った状態を表した右側面断面図の簡略図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第2の実施形態を示し、(a)は右側面断面図の簡略図、(b)は平面断面図の簡略図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第3の実施形態を示し、(a)は右側面断面図の簡略図、(b)は平面断面図の簡略図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第3の実施形態を示し、フィルタ固定枠をフィルタケーシング底部の蓋より抜き取った状態を表した右側面断面図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第3の実施形態を示し、フィルタ固定枠をフィルタケーシング底部の蓋より抜き取る際に、蓋の外方に袋部材を取り付けた状態を表した右側面断面図である。 本発明の防虫フィルタシステムの第1および第2の実施形態を示し、フィルタ固定枠の下方に設けられた虫受け皿を側扉から抜き取る方法を表した平面断面図である。
符号の説明
1 防虫用フィルタシステム
2 フィルタケーシング
2a 開口部
2a’ 開口部
3 フィルタ固定枠
3’ フィルタ固定枠
4 フィルタ濾材
4’ フィルタ濾材
5 第一のフィルタ装置
5’ 第二のフィルタ装置
6 ロール式フィルタ濾材
7 空調換気用外気導入ダクト
8 扉
9 袋部材
10 虫受け皿
W 外気
r 虫

Claims (5)

  1. 空調換気用外気導入ダクトに、この空調換気用外気導入ダクトの中間に介装されて、その一部を形成するフィルタケーシングと、このフィルタケーシング内に、着脱自在に設けられるフィルタ固定枠と、このフィルタ固定枠に挟持され、上記フィルタケーシングの開口部を覆うフィルタ濾材とからなる第一のフィルタ装置を設け、
    かつ、上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ濾材よりも屋外側に、外部からの虫の侵入を遮断する第二のフィルタ装置を着脱自在に設けてなり
    上記第一のフィルタ装置が上方に配設された上記フィルタケーシングの底部に、上記フィルタ濾材の交換の際に、上記フィルタ固定枠を上記フィルタケーシングから抜き差し可能とする扉を開閉自在に設け、かつ上記扉の内壁側に、他端部が上記フィルタ固定枠の下端部の両端近傍を支持するとともに、一端部が回動自在に支承されて、上記フィルタ濾材の交換の際に、上記他端部の支持を解除可能とする落下防止ストッパを設けたことを特徴とする防虫用フィルタシステム。
  2. 上記第二のフィルタ装置は、上記フィルタケーシング内に、着脱自在に設けられるフィルタ固定枠と、このフィルタ固定枠に挟持され、上記フィルタケーシングの開口部を覆うフィルタ濾材とからなり、
    上記第二のフィルタ装置が上方に配設された上記フィルタケーシングの底部に、上記フィルタ濾材の交換の際に、上記フィルタ固定枠を上記フィルタケーシングから抜き差し可能とする扉を開閉自在に設け、かつ上記扉の内壁側に、他端部が上記フィルタ固定枠の下端部の両端近傍を支持するとともに、一端部が回動自在に支承されて、フィルタ濾材の交換の際に、上記上記他端部の支持を解除可能とする落下防止ストッパを設けたことを特徴とする請求項1に記載の防虫用フィルタシステム。
  3. 上記第二のフィルタ装置は、ロール式フィルタ濾材からなることを特徴とする請求項1に記載の防虫用フィルタシステム。
  4. 少なくとも上記第一のフィルタ装置の上記フィルタケーシングの底部の上記扉の外方に、上記フィルタ固定枠を抜き出す際に、上記フィルタ固定枠を被包するとともに、上記フィルタ濾材に捕捉された虫の飛散を防止する袋部材を着脱自在に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の防虫用フィルタシステム。
  5. 少なくとも上記第一のフィルタ装置の上記フィルタ固定枠の下方に、上記フィルタ濾材から落下した虫の死骸を集積する虫受け皿を設けたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の防虫用フィルタシステム。
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