JP5269345B2 - ロープ取替用治具 - Google Patents

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この発明は、懸架されたエレベータの複数本のロープを取り替える際に用いられるロープ取替用治具に関する。
従来、昇降路の側壁に取り付けられた釣合い錘用レールに案内される案内部と、垂下されるロープを保持する保持部と、前記案内部と前記保持部とを連結した連結部とを備え、前記釣合い錘用レールに沿って下降することを特徴とするロープ取替用治具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
作業者は、最上階に停止させたかごの上に立って、このロープ取替用治具を釣合い錘用レールに取り付けている。
特開平9−100078号公報
しかしながら、このものの場合、作業者が立つかごと、ロープ取替用治具が取り付けられる釣合い錘用レールとの間が離れている場合、このロープ取替用治具を釣合い錘用レールに取り付けて、新しいロープを他のロープに絡ませずに垂下させることが難しいという問題点があった。
この発明は、上述のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は、垂下された第1のロープに取り付け、第2のロープを第1のロープと絡ませずに垂下させて、作業効率を向上させることができるロープ取替用治具を提供するものである。
この発明に係るロープ取替用治具は、懸架されたエレベータの複数本のロープを取り替える際に用いられるロープ取替用治具において、駆動綱車に巻きかけられて垂下された状態の第1のロープに案内される案内部と、取替用で垂下される第2のロープの端部を保持する保持部と、前記案内部と前記保持部とを連結した連結部とを備え、前記案内部は、前記第1のロープを挟む一対のローラを有し、前記保持部は、前記第2のロープを回転自在に保持し、かつ、前記第2のロープの先端部に設けられた錘と、前記第2のロープの前記保持部の反錘側に設けられたストッパとにより、前記第2のロープの軸線方向に沿った移動が規制され、前記第1のロープと前記第2のロープの端部との距離を一定に保ちながら、前記第1のロープに沿って移動する。
この発明に係るロープ取替用治具によれば、垂下された第1のロープに取り付け、第2のロープを第1のロープと絡ませずに垂下させて、作業効率を向上させることができる。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るロープ取替用治具が用いられるエレベータ2の全体図、図2は図1のロープ4に取り付けられたロープ取替用治具1の使用態様を示す側面図、図3は図2のロープ取替用治具1の平面図である。
実施の形態1に係るロープ取替用治具1が用いられるエレベータ2は、天井3aに開口部3bが形成された昇降路3と、この昇降路3の天井3aの上部に設けられ、ロープ4が巻き掛けられた回転可能な駆動綱車5aを有した巻上機5と、昇降路3内に設けられ、昇降路3内を昇降するかご6と、昇降路3内に設けられ、昇降路3内を昇降する釣合い錘7とを備えている。
駆動綱車5aから懸架されたロープ4は、天井3aの開口部3bを通って、一端部がかご6の上部に接続され、他端部が釣合い錘7の上部に接続されており、巻上機5の駆動により、かご6および釣合い錘7が互いに逆方向に昇降する。
ロープ4は5本設けられており、このロープ4を取り替える場合には、古いロープ4を1本ずつ、かご6および釣合い錘7から取り外し、新しいロープ4の端部を天井3aから降ろして、古いロープ4が取り外された位置に新しいロープ4を取り付ける。これを5回繰り返して、全てのロープ4を取り替える。
ロープ取替用治具1は、一対の回転自在なローラ8が回転軸8aを平行にして配置された案内部9と、円筒形状をした保持部10と、案内部9と保持部10との間に設けられ、案内部9と保持部10とを連結した連結部11とを備えている。
ローラ8の周側部には、径方向内側に向かって円弧状に凹んだ凹部8bが全周に渡って設けられている。
一対のローラ8により対向した凹部8bの間には、ロープ4が挿入可能になっており、凹部8bの間にロープ4が挿入されると、ローラ8が回転して案内部9はスムーズにロープ4に沿って移動する。
ローラ8の一方の面には、一対のローラ8の回転軸8aに第1の固定板9aが取り付けられ、他方の面には、一対のローラ8の回転軸8aに第2の固定板9bが取り付けられている。
案内部9は、ローラ8、回転軸8a、第1の固定板9aおよび第2の固定板9bとから構成されている。
第1の固定板9aは、中間部にローラ8の回転軸8aと垂直な方向に回転軸12を有し、この回転軸12を中心に、一方のローラ8が回動可能となっている。
第2の固定板9bは、一端部が一方のローラ8の回転軸8aを中心に回動可能となっており、他端部が他方のローラ8の回転軸8aに係合可能な係合部13が形成されている。
ロープ取替用治具1の案内部9をロープ4に取り付ける際には、係合部13を回転軸8aから外し、回転軸12を中心に一方のローラ8を回動させ、一対のローラ8間の隙間を広げた後に、その隙間にロープ4を入れる。
一対のローラ8間にロープ4を入れた後、再び回転軸12を中心に一方のローラ8を回動させて元の位置に戻し、係合部13を回転軸8aに係合させる。
保持部10は、軸線方向に沿って側面に設けられた回転軸10aを中心に、開閉可能となっており、開いた状態で内側にロープ4の端部を挿入した後、再び閉じることでロープ4を保持する。
また、保持部10の内周面とロープ4の外周面との間は、ロープ4が保持部10の内側で周方向に回転可能となるように、隙間が形成されている。
ロープ取替用治具1の保持部10に保持されたロープ4には、保持部10により保持された領域より下側に、自重によりロープ4を下方へ引き下げるとともに、ロープ取替用治具1が下方へ移動するのを規制する錘14が取り付けられ、保持部10により保持された領域より上側に、ロープ取替用治具1がロープ4に沿って上方へ移動するのを規制するストッパ15が取り付けられている。
次に、実施の形態1に係るロープ取替用治具1を用いて、ロープ4を取り替える手順について説明する。
まず、天井3aから垂下され、かご6に接続された状態の5本の第1のロープ16の中から、1本を取り外す。
4本になった第1のロープ16の中から、取り外された第1のロープ16の近傍にあった1本の第1のロープ16にロープ取替用治具1の案内部9を取り付ける。
取替用で垂下される第2のロープ17の端部をロープ取替用治具1の保持部10に取り付ける。
この状態で、天井3aの上側にいる作業者は、第2のロープ17を開口部3bから垂下させていく。
図4に示すように、ロープ取替用治具1の案内部9に取り付けられた第1のロープ16の中心から、ロープ取替用治具1の保持部10側端部までの距離L1は、案内部9が取り付けられた第1のロープ16の中心から隣接した第1のロープ16の外周面までの最短距離L2より大きくなるように、ロープ取替用治具1が形成されている。
したがって、第1のロープ16を中心にして、ロープ取替用治具1が回動しても、隣接した他の第1のロープ16とロープ取替用治具1とが当接するので、第2のロープ17が第1のロープ16に絡むことを防ぐことができる。
第2のロープ17の端部がかご6に到達すると、ロープ取替用治具1を第1のロープ16および第2のロープ17から取り外して、第2のロープ17をかご6に接続する。
続いて、残りの4本の第1のロープ16を、同様にして取り替える。
以上説明したように、実施の形態1に係るロープ取替用治具1によると、天井3aから垂下され、かご6に取り付けられた第1のロープ16に取り付けることで、第2のロープ17を第1のロープ16に絡ませずに垂下させて、作業効率を向上させることができる。
また、垂下された第1のロープ16に案内される案内部9と、第2のロープ17の端部を保持する保持部10と、案内部9と保持部10とを連結した連結部11とを有しているので、第1のロープ16と第2のロープ17の端部との距離を一定に保ちながら、第1のロープ16に沿って、第2のロープ17を垂下させることができる。
また、案内部9が、一対のローラ8の回転により、第1のロープ16に沿って移動するので、ロープ取替用治具1をスムーズに移動させることができる。
ロープ取替用治具1の案内部9に取り付けられた第1のロープ16の中心から、ロープ取替用治具1の保持部10の反案内部9側端部までの距離L1は、案内部9が取り付けられた第1のロープ16の中心から隣接した第1のロープ16の外周面までの最短距離L2より大きいので、第1のロープ16を中心にして、ロープ取替用治具1が回動しても、隣接した他の第1のロープ16とロープ取替用治具1とが当接して、第2のロープ17が第1のロープ16に絡むことを防ぐことができる。
また、保持部10は、第2のロープ17を回転自在に保持し、かつ、第2のロープ17の端部に設けられた錘14およびストッパ15により、保持部10は第2のロープ17の軸線方向に沿った移動が規制されるので、第2のロープ17が周方向に回転しても、ロープ取替用治具1が第2のロープ17を中心に回転することを防ぐことができる。
また、ロープ取替用治具1を用いると、かご6および釣合い錘7の昇降路3内での停止位置に関係なく、ロープ4を取り替えることができるので、かご6および釣合い錘7をともに、昇降路3の中央付近に停止させて、ロープ4を取り替えることができる。
なお、上記実施の形態1では、案内部9にローラ8を有したロープ取替用治具1について説明したが、勿論このものに限らず、第1のロープ16に沿って、移動可能であればよい。
また、上記実施の形態1では、5本のロープ4が取り付けられたエレベータ2について説明したが、勿論この本数に限らない。
実施の形態1に係るロープ取替用治具が用いられるエレベータの全体図である。 図1のロープに取り付けられたロープ取替用治具の使用態様を示す側面図である。 図2のロープ取替用治具の平面図である。 図1のエレベータにロープ取替用治具が用いられて、第2のロープを垂下させている様子を天井側から視た図である。
符号の説明
1 ロープ取替用治具、2 エレベータ、3 昇降路、3a 天井、3b 開口部、4 ロープ、5 巻上機、5a 駆動綱車、6 かご、7 釣合い錘、8 ローラ、8a 回転軸、8b 凹部、9 案内部、9a 第1の固定板、9b 第2の固定板、10 保持部、10a 回転軸、11 連結部、12 回転軸、13 係合部、14 錘、15 ストッパ、16 第1のロープ、17 第2のロープ。

Claims (2)

  1. 懸架されたエレベータの複数本のロープを取り替える際に用いられるロープ取替用治具において、
    駆動綱車に巻きかけられて垂下された状態の第1のロープに案内される案内部と、
    取替用で垂下される第2のロープの端部を保持する保持部と、
    前記案内部と前記保持部とを連結した連結部とを備え、
    前記案内部は、前記第1のロープを挟む一対のローラを有し、
    前記保持部は、前記第2のロープを回転自在に保持し、かつ、前記第2のロープの先端部に設けられた錘と、前記第2のロープの前記保持部の反錘側に設けられたストッパとにより、前記第2のロープの軸線方向に沿った移動が規制され、
    前記第1のロープと前記第2のロープの端部との距離を一定に保ちながら、前記第1のロープに沿って移動することを特徴とするロープ取替用治具。
  2. 前記第1のロープの中心から、前記案内部の反保持部側端部または前記保持部の反案内部側端部の何れか一方までの距離が、前記第1のロープの中心から隣接した前記第1のロープの外周面までの距離より大きく形成されたことを特徴とする請求項1に記載のロープ取替用治具。
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