JP5267961B1 - ヒール付靴 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性があって装飾性の高い(ファッション性の高い)ヒール付靴とする。
【解決手段】足を挿入する靴本体10の踵部10b下面に別部材のヒール20を設けたヒール付靴Aである。ラストM表面に飾り布11を被覆してその踵部下面に柄布22被覆のヒール20をセットする。このヒール付ラストを樹脂成形用金型D内にセットし、それらの全表面を透明樹脂aで被覆する。この樹脂被覆10a、20aによって、靴本体の甲被12やアウトソール13が樹脂成形され、ヒール20の周りも樹脂被覆される。このとき、柄布22及び飾り布11内側に樹脂が侵入し、それらの布は樹脂被覆と強固に一体化し、押え片23もヒール本体21及びアウトソールをなす樹脂被覆に強固に一体化する。このため、脱型したヒール付靴Aは、靴本体にヒールが強固に一体化され、透明樹脂被覆であることから、その内側の柄模様11a、22aが浮き出たファッション性の高いものとなる。
【選択図】図3

Description

この発明は、足を挿入する靴本体と、その靴本体の踵部下面に設けたヒールとから成り、そのヒールの表面に柄模様を施したヒール付靴及びそのヒールに関するものである。
靴は、靴底をなすアウトソールに甲被を設け、そのアウトソールの踵部下面にヒールを設けたものであり、そのヒールをアウトソールと同一物でなしたり(特許文献1図6参照)、ヒール無しアウトソールと甲被とからなって足を挿入する靴本体と、その靴本体の踵部下面に設けた靴本体と別部材のヒールとを接合したりしている(特許文献2図1参照)。
また、甲被表面やヒール表面に、縄紐を巻き込んだり、プリントシールを貼付したり、印刷によって直接にプリントしたり、金属又は樹脂(プラスチック)製の飾り(スタッズ、ラインストーン等)を熱溶着、接着、鳩目止め等によって取付けたりして、ファッション性を高めることもなされている。
さらに、靴本体内面やヒール表面に布を被覆し、その布を透明樹脂被覆する技術もある(特許文献1段落0012第2〜3行、図1参照)。このとき、前記布に柄模様のものを採用すれば、その柄模様が透けて見えてファッション性をより高めることができ、そのような製品も販売されている。
特開平5−220001号公報 特開2002−85108号公報
従来、ヒールをアウトソールと同一物でなした靴(靴本体とヒールが一体成形物の靴)においては、そのヒール表面に上記靴本体内面被覆の柄模様の布を延して被覆し、その布の柄模様でもってヒールの装飾性(ファッション性)を高めたものはある。
一方、ヒールが靴本体と別物の靴においては、上記プリントシールを貼付したり、印刷によって直接にプリントしたり、飾りを熱溶着、接着、鳩目止め等によって取付けたりして、ファッション性を高めることもなされている。
この別物ヒールにおける装飾は、その飾り等の装飾品が露出しているため、直接に損傷を受け易く、その損傷(劣化)が早く、破損に至る恐れが高いものとなっている。このため、スプレー樹脂塗布等のコーティングによってその装飾の損傷を防止することも考え得るが、そのコーティング作業は繁雑であって、コスト高となる。
この発明は、以上の実状の下、耐久性があって装飾性の高い(ファッション性の高い)ヒールとすることを課題とする。
上記課題を達成するため、この発明は、ヒール表面に靴本体表面を被覆しない伸縮性柄布が被覆密着され、そのヒールの表面は射出成形によって透明樹脂被覆が施されたものとしたのである。
その「ヒール(ヒール本体)表面及び靴本体表面」は靴となった際に外観上見える表面を言う。このため、その表面を覆う布はその表面だけでよいため、靴底下面や靴本体とヒールの界面にはその布がある必要はない。しかし、図1に示す実施形態のように、伸縮性を有する袋状の布としてその布袋内にヒールをいれてその全表面を包むように(被うように)することが作業性及びコスト面から有利である。伸縮性を有する袋状布は、ストッキング等において量産が可能であって、安価だからである。柄布が袋状でなく、ヒールに対する何らの固定手段が必要な場合、例えば、接着剤の介在、鳩目止め等の手段でもって固定する。
このように、伸縮性柄布であれば、その布はヒール表面に確実に密着し、その密着した布を介してヒール表面に射出成形することによって透明樹脂被覆が施されることとなるため、その樹脂被覆も円滑かつ強固に行なわれる。
この発明の構成としては、足を挿入する靴本体と、その靴本体の踵部下面に設けた靴本体と別部材のヒールとから成るヒール付き靴の、前記ヒールであって、その表面に靴本体表面を被覆しない伸縮性柄布が被覆密着され、そのヒールの表面は射出成形によって透明樹脂被覆が施された構成を採用することができる。
この構成のヒールは、例えば、足を挿入する靴本体と、その靴本体の踵部下面に設けた靴本体と別部材のヒールとから成るヒール付き靴に採用することができる。このとき、そのヒール付靴は、靴本体がラスト(足型)表面に飾り布を被覆してその表面を透明樹脂被覆したものであって、上記ヒールの透明樹脂被覆が前記靴本体の透明樹脂被覆と同時の射出成形によってなされている構成を採用することができる。なお、その飾り布も、上記柄布のように袋状であることが好ましいが、同様に、袋状でなく、ヒールに対する何らの固定手段が必要な場合、例えば、接着剤の介在、鳩目止め等の手段でもって固定する。
このように、靴本体の飾り布(柄布)とヒールの柄布を別物とすることにより、その布の柄を異ならせてその柄を適宜に選択すれば、種々の柄模様の靴を任意に作ることができて、ファッション性の高い種々の靴とすることができる。また、柄布の柄を変えることによって、同一形状のヒールであっても、異なる柄模様のヒールとすることはできて、同一形状の靴において、柄模様の異なる数種類の靴を容易に得ることができる。
この構成において、靴本体は飾り布を設けることなく樹脂被覆のみで形成することもできる。このとき、その樹脂被覆は、無色透明、有色透明のみならず、有色不透明であってもよい。その有色には種々の色を選択し得る。
上記ヒール付靴の製造方法は、種々の構成が考え得るが、例えば、上記ヒールのヒール本体の表面に伸縮性柄布を被覆密着するとともに、靴本体のラスト表面に伸縮性飾り布を被覆密着し、その飾り布を被覆したラストの踵部に前記柄布を被覆密着したヒールをセットし、そのヒール及びラストを金型内に装填し、その金型内に透明樹脂を注入してラスト及びヒール周りに射出成形でもって樹脂成形し、その樹脂成形でもって、同時に、前記飾り布の全表面に樹脂被覆して前記靴本体を形成するとともに前記ヒールの全表面を樹脂被覆する方法等を採用することができる。
この発明は、以上のように、密着した伸縮性柄布を介したヒール表面に射出成形によって透明樹脂被覆が施され、その樹脂被覆も円滑かつ強固に行ない得るため、耐久性のある装飾性の高い(ファッション性の高い)ヒールとすることができる。
この発明に係るヒールの一実施形態の製作説明図 この発明に係るヒール付靴の一実施形態の製作説明図 同実施形態の製作説明用断面図 同実施形態に係るヒール付靴の斜視図 この発明に係るヒールの他の一実施形態の製作説明図 この発明に係るヒール付靴の他の実施形態の製作説明図 他の実施形態に係るヒール付靴の斜視図
この発明に係るヒール付靴の一実施形態を図1〜図4に示し、この実施形態は、従来と同様に、足を挿入する靴本体10と、その靴本体10の踵部10b下面に設けた靴本体10と別部材のヒール20とから成る。
そのヒール20は、図1に示すように、ABS樹脂製ヒール本体21と、そのヒール本体21に被覆される袋状柄布22と、その柄布22をヒール本体21の上面に押付けるABS樹脂製押え片23とからなる。ヒール本体21と押え片23は他の樹脂を適宜に採用することができる。
柄袋22は、ストッキングと同様な四方に伸縮自在のものであって、その柄20aは自由(任意)であり、図1(a)から同(b)に示すように、その縫い目(縫合目)22bがヒール本体21の上面にくるようにヒール本体21全表面に被せ、その開口部を靴本体10との界面側に折り曲げ、同(c)に示すように、そのヒール本体21上面に柄布22を介在して押え片23を当たがう。この押え片23の当てがいによって、ヒール本体21の空洞部21aへの樹脂侵入が防止される。その空洞部21aはヒール20の軽量化に貢献する。図中、21bは押えピンの嵌入孔であり、図3に示すように、このヒール20がラスト(足型)Mにセットされると、そのラストMの押えピンが嵌入してラストMに対してヒール20を位置決めする。
この柄布22が被せられたヒール20によってヒール付靴Aを製作するには、図2(a)から同(b)に示すように、まず、ラストMにそのラスト形状の袋状飾り布(柄布)11を被せる。その飾り布11は、上記柄布22と同様に、ストッキングと同様な四方に伸縮自在のものであって、その柄11aは自由である。
つぎに、その飾り布11の被ったラストMの踵部10b’上に上記柄布22が被せられたヒール20をセットし(同図(b))、図3に示すように、そのヒール20がセットされたラストMを樹脂成形用金型D内にセットする。この金型Dは、上型D、下型D、Dとから成り、その両下型D、Dは図3における表裏方向中央での割型となっている。図3中、tは注入口、cは上下型D、Dの割線である。その割線cや注入口tの位置は任意である。
この状態で、注入口tから、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)等の透明樹脂aを注入してラストM周りに射出成形でもって樹脂成形する。この樹脂成形によって、靴本体10の甲被12やアウトソール13が樹脂成形されるとともに、ヒール20の周りにも樹脂被覆20aがなされる。このとき、柄布22及び飾り布11をその編目を介して樹脂aが内側に侵入し、それらの布22、11を樹脂被覆20a、10aに強固に一体化するとともに、押え片23をヒール本体21及びアウトソール13をなす樹脂被覆に強固に一体化する。このとき、ヒール本体21の透孔21c(図1(a)参照)や押え片23の孔等を介して樹脂aがそれらの内部に入り込んで柄布22や飾り布11及び靴本体10等の相互の一体化が強固になされる。
このため、図4に示す、脱型したヒール付靴Aは、靴本体10にヒール20が強固に一体化されたものとなるとともに、透明樹脂被覆10a、20aであることから、その内側の柄布22及び飾り布11の柄模様22a、11aが浮き出たファッション性の高いものとなる。
靴本体10の飾り布11とヒール20の柄布22の柄模様11a、22aは同一でも良いが、異ならせることもできる。靴本体10は、飾り布11を設けることなく樹脂被覆10aのみで形成することもできる。このとき、その樹脂被覆10は、無色透明、有色透明のみならず、有色不透明であってもよい。その有色には種々の色を選択し得る。
また、飾り布11や柄布22は袋状でなくても、例えば、図5、図6(a)に示すように、見えなくなる部分や外観上見えない部分は欠如された空孔22c、22c’、11cとなったものを採用することもできる。その空孔22c、11cの縁は解れ防止を行なう。このとき、空孔22cから、ヒール本体21を柄布22内に挿入できるため、図5(a)鎖線に示すように、側縁開口は閉じたものとすることができる。
さらに、靴本体10のアウトソール13裏面には柄11aの無いものとしたが、図6(b)に示すように柄11aがあっても良いことは勿論であり、一方、ヒール20の裏面は柄22aが無いものとし得る。
ヒール付靴Aとしては、図4に示すブーツに限らず、他のヒール付靴、例えば、図7に示す短靴A’等においてもこの発明が採用できることは勿論である。
10 靴本体
10a 透明樹脂被覆
10b 踵部
11 飾り布
11a 飾り布の柄模様
20 ヒール
20a 透明樹脂被覆
21 ヒール本体
22 柄布
22a 柄布の柄模様
23 押え片
A、A’ ヒール付靴
M ラスト(足型)

Claims (4)

  1. 足を挿入する靴本体(10)と、その靴本体(10)の踵部(10b)下面に設けた靴本体(10)と別部材のヒール(20)とから成るヒール付き靴(A、A’)であって、
    上記靴本体(10)がラスト(M)表面に飾り布(11)を被覆してその表面を透明樹脂被覆(10a)したものであり、上記ヒール(20)は、そのヒール本体(21)の表面に前記靴本体(10)表面を被覆しない伸縮性柄布(22)が被覆密着されてその全表面に透明樹脂被覆(20a)が施こされたものであり、そのヒール(20)の透明樹脂被覆(20a)が前記靴本体(10)の透明樹脂被覆(10a)と同時の射出成形によってなされていることを特徴とするヒール付靴。
  2. 上記飾り布(11)と上記伸縮性柄布(22)の柄模様(11a、21a)が異なることを特徴とする請求項1に記載のヒール付靴。
  3. 足を挿入する靴本体(10)と、その靴本体(10)の踵部(10b)下面に設けた靴本体(10)と別部材のヒール(20)とから成るヒール付き靴(A、A’)の製造方法であって、
    上記ヒール(20)のヒール本体(21)の表面に伸縮性柄布(22)を被覆密着するとともに、上記靴本体(10)のラスト(M)表面に伸縮性飾り布(11)を被覆密着し、その飾り布(11)を被覆したラスト(M)の踵部(10b’)に前記柄布(22)を被覆密着したヒール(20)をセットし、そのヒール(20)及びラスト(M)を金型(D)内に装填し、その金型(D)内に透明樹脂(a)を注入してラスト(M)及びヒール(20)周りに射出成形によって樹脂成形し、その樹脂成形でもって、同時に、前記飾り布(11)の表面に樹脂被覆(10a)して前記靴本体(10)を形成するとともに前記ヒール(20)の表面を樹脂被覆(20a)することを特徴とするヒール付靴の製造方法。
  4. 上記伸縮性柄布(22)を袋状とし、この袋状伸縮性柄布(22)内にその開口部からヒール本体(21)を入れて伸縮性柄布(22)をヒール本体(21)に被せてその袋状伸縮性柄布(22)の開口部を靴本体(10)との界面側に折り曲げ、その袋状伸縮性柄布(22)が被覆密着したヒール(20)を上記飾り布(11)を被覆したラスト(M)の踵部(10b’)にセットすることを特徴とする請求項3に記載のヒール付靴の製造方法。
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