JP5266500B2 - 油水分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルタエレメント用容器に油吸着材が収容されたフィルタエレメントを備えて圧縮空気除湿装置のドレン水のように油分が混入した排水から油分を除去する油水分離装置に関するものである。
この種の油水分離装置の一般的な構造は、本願出願人による下記の特許文献1にも記載されているように、ハウジングと、このハウジング内に収容されるフィルタとを備えた構造となっている。この場合、ハウジングは、配管(ドレン水の供給用配管およびドレン水の排出用配管)に接続された第1のハウジングと、フィルタ(フィルタエレメント)を収容する第2のハウジングとで構成されている。フィルタエレメントは、中筒と、この中筒内に充填された油吸着材とで構成されている。また、フィルタエレメントは、一端側がドレン水の供給用配管と連結された状態でハウジング内に配置されている。この油水分離装置では、供給用配管から流入したドレン水は、一端側からフィルタエレメント内に入り、油分が油吸着材で吸着され、フィルタエレメントの他端側からハウジング内に流出する。さらに、ドレン水は、ハウジングの内周面とフィルタエレメントの外周面との間の隙間を経由して排出用配管から排出される。
ところで、ドレン水には、油分だけでなく異物が混入する場合もあり、この異物を油水分離装置にて捕集したいという要請がある。そこで、出願人は、図7に示すような油水分離装置51を既に開発している。この油水分離装置51は、異物捕集手段57を備えたフィルタエレメント52を備えている。このフィルタエレメント52は、円筒状の本体53と、中央にドレン出口54aを有して本体53の上部側を仕切る円形の上部仕切板54と、中央にドレン入口55aを有すると共に周辺部に下側へ延出する脚部55bを有して本体53の下部を仕切る下部仕切板55とを有し、本体53内における上部仕切板54と下部仕切板55との間に吸着材56が充填される共に、脚部55bに異物捕集手段(小孔)57が配設されている。この油水分離装置51では、フィルタエレメント52に異物捕集手段57が配設されているため、ドレン水に含まれる異物58をフィルタエレメント52で捕集して除去することが可能となっている。また、フィルタエレメント52単位で交換可能となるため、吸着材56の交換が容易になっている。
特開2001−113269号公報(第2−3頁、第1図)
ところが、本願発明者が、出願人の開発した上記の油水分離装置についてさらに検討を加えた結果、異物捕集手段57を配設した脚部55bの存在により、フィルタエレメント52における吸着材56の充填有効容積が減少していることを見出した。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、異物捕集機能を有しつつ、油吸着材の充填有効容積を増大させ得る油水分離装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の油水分離装置は、フィルタエレメント用容器、および当該フィルタエレメント用容器内に充填された油吸着材を有するフィルタエレメントと、処理対象のドレン水を供給する供給側配管を接続可能な第1接続口、および処理を完了したドレン水を排出する排出側配管を接続可能な第2接続口がそれぞれ設けられると共に前記フィルタエレメントが取り外し可能に装着される第1のハウジング、並びに当該第1のハウジングに装着された前記フィルタエレメントを覆うようにして当該第1のハウジングに対して取り外し可能に装着される有底筒状の第2のハウジングを有するフィルタハウジングとを備えて構成された油水分離装置であって、前記フィルタエレメント用容器は、筒状の周壁および当該周壁の両端部に配設された一対の側壁で中空柱体に形成されて内部に前記油吸着材を収容可能に構成され、かつ前記第1接続口から前記第2のハウジングの内周面と前記周壁の外周面との間の隙間を通過して当該第2のハウジングの底壁と前記一対の側壁のうちの一方の側壁との間の隙間に流入した前記処理対象のドレン水を当該フィルタエレメント用容器内に流入させる流入口が当該一方の側壁に形成されると共に前記第2接続口に連通する流出口が他方の側壁に形成されて、前記第2のハウジングにおける前記底壁の内面に当該一方の側壁の周縁部が当接した状態で前記フィルタハウジング内に装着可能に構成され、かつ、前記一方の側壁の表面から前記周壁の表面に至るスリット部が前記周縁部に形成されている。
請求項2記載の油水分離装置は、請求項1記載の油水分離装置において、前記フィルタエレメント用容器は、筒状の容器本体および当該容器本体に装着される蓋体とを備え、当該蓋体が前記一方の側壁または前記他方の側壁として構成されている。
請求項記載の油水分離装置は、請求項1または2記載の油水分離装置において、前記フィルタエレメントは、前記油吸着材前記流入口からドーム状に突出している。
請求項記載の油水分離装置は、請求項1から3のいずれかに記載の油水分離装置において、前記第1のハウジングにおける前記第2接続口、および前記排出側配管の少なくとも一方に、当該少なくとも一方の内径よりも小径のオリフィスが設けられて前記処理を完了したドレン水の通過量を制限する流量制限部材が配設されている。
請求項記載の油水分離装置は、請求項記載の油水分離装置において、前記処理を完了したドレン水の目視を可能に構成されて前記排出側配管を介して前記第1のハウジングに接続された処理水監視槽を備え、前記流量制限部材は、前記排出側配管における前記処理水監視槽への接続側端部に配設されている。
請求項1記載の油水分離装置では、フィルタエレメント用容器の一方の側壁の周縁部が第2のハウジングにおける底壁の内面に当接した状態でフィルタハウジング内に装着され、一方の側壁の表面から周壁の表面に至るスリット部がこのフィルタエレメント用容器の周縁部に形成されている。したがって、この油水分離装置によれば、フィルタエレメント用容器の一方の側壁をフィルタハウジング(第2のハウジング)の底壁と直接当接させることで油吸着材の充填有効容積を増大させつつ、スリット部を異物捕集部として機能させてドレン水に含まれている異物を捕集することができる。また、スリット部の形成によって異物の捕集機能を確保しつつ、フィルタエレメント用容器での油吸着材の充填有効容積の増大によって油水分離機能を長期間に亘って発揮させることができる。したがって、この油水分離装置によれば、フィルタエレメントの長寿命化、言い換えれば、交換回数を低減することができる。
また、請求項2記載の油水分離装置によれば、筒状の容器本体と蓋体とでフィルタエレメント用容器を構成したことにより、蓋体を外すことによって油吸着材を容易に交換することができるため、フィルタエレメント用容器を使い捨てることなく、再利用することができる。
また、請求項記載の油水分離装置では、油吸着材がフィルタエレメント用容器の一方の側壁に形成された流入口からドーム状に突出しているため、流入口から露出する油吸着材の表面積(捕集面積)が、流入口において油吸着材が平面状態となるときと比較して増加している。したがって、このフィルタエレメントを備えた油水分離装置によれば、油分や異物の付着による油吸着材の目詰まりを低減することができる結果、フィルタエレメント全体および油水分離装置としての目詰まりを低減することができる。
さらに、請求項記載の油水分離装置によれば、フィルタハウジングを構成する第1のハウジングにおける第2接続口(排出側配管の接続部、および排出側配管の少なくとも一方に、処理を完了したドレン水の通過量を制限するためのオリフィスを設けた流量制限部材を配設したことにより、流量制限部材が、ドレントラップ等と比較して安価で、しかも、故障を招くことのない簡易な構成であるにも拘わらず、処理対象のドレン水を排出する装置(圧縮空気除湿装置等)の内部に生じている圧力が瞬間的に解放される事態を十分に回避することができる。また、この油水分離装置によれば、ドレン水の流路における第2接続口(排出側配管の接続口以降に流量制限部材を配設したことにより、処理を完了した綺麗なドレン水がオリフィスを通過することとなるため、処理対象のドレン水に含まれる油分や異物が流量制限部材に付着してオリフィスに目詰まりが生じる事態を回避することができる。
また、請求項記載の油水分離装置によれば、処理を完了したドレン水の目視を可能に構成した処理水監視槽を備えると共に、排出側配管における処理水監視槽への接続側端部に流量制限部材を配設したことにより、処理水監視槽を配設したことで、油水分離装置を分解することなく油水分離装置の浄化能力の低下(フィルタエレメントの汚れ度合い)を監視することができ、排出側配管における処理水監視槽への接続側端部に流量制限部材を設けたことで、処理水監視槽内に大きな圧力が加わって処理水監視槽が破損する事態を十分に回避することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る油水分離装置の最良の形態について説明する。
最初に、油水分離装置1の構成について、図面を参照して説明する。
油水分離装置1は、図1に示すように、フィルタエレメント2および本体(本発明におけるフィルタハウジング)3を備え、ドレン配管における供給側配管4と排出側配管5とに連結されて、図示しない圧縮空気除湿装置等(油分や異物を含んだドレン水を排出する装置)に接続されて処理対象のドレン水を供給する供給側配管4から流入するドレン水に含まれている油分および異物を分離して排出側配管5に排出する機能を備えている。また、この油水分離装置1では、処理を完了したドレン水を排出する排出側配管5を介して処理水監視槽7(図5参照)が本体3に取り付けられ(具体的には、後述する第1のハウジング31に接続されて)、油水分離装置1による処理を完了したドレン水の浄化状態を目視で確認することができるようになっている。
フィルタエレメント2は、図1に示すように、フィルタエレメント用容器11と、フィルタエレメント用容器11内に収容された油吸着材12および不織布13とを備えている。本例では、フィルタエレメント用容器11は、一端側(図1中の下端側)が底壁(本発明における周壁の両端部に配設された一対の側壁のうちの一方の側壁)21aによって閉塞されると共に他端側(図1中の上端側)が開放された筒状(一例として円筒状)の容器本体21と、容器本体21の他端側に装着(一例として螺合によって装着)された蓋体(本発明における一対の側壁のうちの他方の側壁)22とを備えている。また、容器本体21の底壁21aには、図1,3に示すように、その中央部位に流入口21b(一例として円形の1つの開口部)が形成されている。また、容器本体21は、フィルタエレメント2として構成された状態で後述するように本体3内に装着された際には、図1に示すように、底壁21aの周縁部A(リブ状に突出した部位)が本体3の底面(後述するドレン口の形成面)と当接するが、この底壁21aの周縁部Aの表面には、図1〜4に示すように、底壁21aの表面(外面)から周壁21c(底壁21aを除く筒状の部位)の表面(外面)に至るスリット部21dが1または2以上(本例では複数(一例として4つ))形成されている。このスリット部21dは、一例として周壁21cの一部を凹ませることで形成されている。この場合、周縁部Aをリブ状に突出させることなく、底壁21aを平坦に形成してその周縁部にスリット部21dを形成してもよい。また、スリット部21dは、一例として、底壁21aの表面から周壁21cの表面にかけて同じ幅に形成されて、ドレン水に含まれている異物を捕集する異物捕集部として機能する。このように油吸着材12および不織布13を収容する容器本体21の底壁21aが本体3の底面と直接当接するように構成され、かつ異物捕集部として機能するスリット部21dが上記のように形成されているため、従来の構成(脚部55bを使用する構成)と比較して、容器本体21における油吸着材12や不織布13を収容する部位を長くできる結果、容器本体21についての油吸着材12の充填有効容積が大幅に増大している。なお、このような構成を備えた容器本体21は、樹脂材料(一例としてポリプロピレン)を用いてブロー成形で形成されている。
蓋体22は、その中央に流出口22aが形成されている。流出口22aは、一例として、円形の領域内に複数の小孔が開口されて網目状に構成されている。また、蓋体22の外面における流出口22aの周縁部分には、後述する本体3との連結管として機能する円筒体22bが立設されて、その内面にシール用のOリング22cが配設されている。蓋体22は、樹脂成形(一例として、ポリエチレンを用いた射出成型)で形成されている。このように容器本体21と蓋体22とで構成されるフィルタエレメント用容器11は中空柱体として構成されて、その内部に油吸着材12および不織布13が収容されている。具体的には、図1に示すように、容器本体21の底壁21aに不織布13が流入口21bを覆うようにして複数枚敷設され、フィルタエレメント用容器11内の残りの空間内に油吸着材12が充填されている。不織布13は、その一部が油吸着材12から圧力を受けて変形して、流入口21bからドーム状に突出した状態となっている。なお、上記の油吸着材12は、一例として、板状のポリプロピレンを細断した小片、または、繊維状のポリプロピレンを細断した小片で構成され、不織布13は、繊維状のポリプロピレンで構成されている。この場合、ポリプロピレンは、油吸着性に優れていることが知られている。したがって、油吸着材12および不織布13だけでなく、容器本体21もポリプロピレンで形成したこのフィルタエレメント2によれば、ドレン水に含まれている油分を十分に除去することができる。
本体3は、フィルタエレメント2が取り外し可能に装着される第1のハウジング31と、第1のハウジング31に取り付けられたフィルタエレメント2を覆うようにして第1のハウジング31に対して取り外し可能に装着される第2のハウジング32とで構成されている。第1のハウジング31は、有底円筒体に形成されて、その内部にフィルタエレメント2を取り付ける(装着する)ためのフィルタヘッド33が配設されている。また、第1のハウジング31の周壁31aには、供給側配管4または連結用配管6と連結される第1接続口34、および排出側配管5または連結用配管6と連結される第2接続口35排出側配管の接続部)が取り付けられている。この場合、第2接続口35は、フィルタヘッド33に連結されて、フィルタヘッド33を排出側配管5または連結用配管6と連通させる。
具体的には、例えば、処理対象のドレン水が比較的綺麗な場合(長期間に亘ってフィルタエレメント2の浄化能力を維持することができる場合)や、処理対象のドレン水の汚れが酷いもののフィルタエレメント2をある程度短期間で交換することができる場合には、単一の油水分離装置1を用いてドレン水を浄化処理するように配管する。この際には、第1接続口34に供給側配管4を接続すると共に第2接続口35に排出側配管5を接続することにより、供給側配管4によって供給されたドレン水が油水分離装置1内を通過して排出側配管5から処理水監視槽7に排出されることとなる。一方、処理対象のドレン水の汚れが酷い場合や、高レベルの洗浄能力を必要とする場合には、複数の油水分離装置1(一例として、2つ)を連結して段階的にドレン水を処理する。この際には、図5に示すように、一方の油水分離装置1(この例では、右側の油水分離装置1)における第2接続口35と他方の油水分離装置1(この例では、左側の油水分離装置1)における第1接続口34とを連結用配管6によって連結すると共に、一方の油水分離装置1における第1接続口34に供給側配管4を接続し、かつ、他方の油水分離装置1における第2接続口35に排出側配管5を接続する。これにより、供給側配管4によって供給されたドレン水が一方の油水分離装置1、連結用配管6および他方の油水分離装置1を順に通過して排出側配管5から処理水監視槽7に排出されることとなる。
第2のハウジング32は、有底円筒体(有底筒状の一例)に形成されて、その内部にフィルタエレメント2が収容される。また、第2のハウジング32の底壁32aは、中央部分へ近づくに従って外側に突出するドーム状に形成されて、その最も突出した部位(中央部)にドレン口32bが配設されている。第2のハウジング32に収容されて装着されたフィルタエレメント2は、容器本体21の底壁21aにおける周縁部Aが底壁32aの内面(ドレン口の形成端面)と当接する。また、第2のハウジング32は、その周壁32cの内径がフィルタエレメント2の外径(フィルタエレメント用容器11を構成する容器本体21の外径および蓋体22の外径のいずれか大きい方)よりも大径に形成されている。これにより、第2のハウジング32の内周面とフィルタエレメント2の外周面との隙間Bが、供給側配管4または連結用配管6からフィルタエレメント2に供給されるドレン水の流路として機能する。また、上記のように構成された第1のハウジング31および第2のハウジング32は、一例として、図1に示すように、第1のハウジング31の周壁31aにおける開口側端部(下端部)に、第2のハウジング32の周壁32cにおける開口側端部(上端部)が挿入されて互いに連結されている。また、第1のハウジング31の周壁31aおよび第2のハウジング32の周壁32cの各重合部分には、シール用のOリング36が配設されている。
処理水監視槽7は、図6に示すように、排出側配管5が接続されたベース部41と、油水分離装置1から排出されたドレン水(処理を完了したドレン水)を貯留可能に形成されたカップ42と、カップ42をベース部41に固定するための固定具43とを備え、排出側配管5を介して油水分離装置1における第1のハウジング31の第2接続口35に接続されている。この場合、カップ42は、貯留したドレン水(油水分離装置1による処理が完了して排出側配管5に排出されたドレン水)の目視を可能とするために、一例として、光透過性を有する樹脂材料で形成されている。これにより、油水分離装置1を分解することなく、ドレン水の洗浄能力の低下(フィルタエレメント2の汚れ度合い)を監視することが可能となっている。
また、排出側配管5における処理水監視槽7への接続側端部には、排出側配管5の内径よりも小径のオリフィス8aが設けられて、油水分離装置1による処理を完了して排出側配管5に排出されたドレン水の通過量を制限する流量制限部材8が取り付けられている(本発明における「第1のハウジングにおける第2接続口(排出側配管の接続部、および排出側配管の少なくとも一方」が「排出側配管」の構成の一例)。この場合、この種の油水分離装置では、処理対象のドレン水を排出する装置(圧縮空気除湿装置等)の内部に生じている圧力によってドレン水が圧送され、この圧力によってドレン水がフィルタエレメント内を通過させられた後に油水分離装置の外部に排出される構成が採用されている。したがって、この油水分離装置1では、上記したように排出側配管5における処理水監視槽7への接続側端部に流量制限部材8を配設してドレン水の流量を制限することにより、圧縮空気除湿装置等の内部に生じている圧力が排出側配管5を通じて瞬間的に解放される事態を回避している。
次いで、油水分離装置1の油水分離動作について説明する。
油水分離装置1では、油分および様々な大きさの異物58を含むドレン水が供給側配管4または連結用配管6から供給された際に、ドレン水は、まず、図1において二点鎖線で示すように、第1のハウジング31の内部から第2のハウジング32内に形成された隙間Bに達する。この場合、本例の油水分離装置1では、第2のハウジング32の底壁32aと当接する容器本体21の底壁21aには、底壁21aの表面から周壁21cの表面に至るスリット部21dが形成されている。このため、ドレン水は、このスリット部21dを流路として、第2のハウジング32の底壁32aと容器本体21の底壁21aとの間の隙間Cに流入する。この際に、ドレン水に含まれている異物58のうちのスリット部21dの幅よりも大きな異物58は、スリット部21dを通過できないため、通過が阻止されて、隙間Bの下部に留まる。つまり、スリット部21dは、その幅よりも大きな異物58を捕集する異物捕集部として機能する。
続いて、スリット部21dを通過して隙間Cに流入したドレン水は、容器本体21の底壁21aに形成された流入口21bからフィルタエレメント2の内部に流入する。この際に、ドレン水に含まれる異物58のうちでも大きなものは、第2のハウジング32の底壁32aの内面に沈殿する。また、ドレン水に含まれる異物58のうちでも小さなものは、流入口21bからフィルタエレメント2の内に進入しようとした際に、不織布13によって捕集(捕捉)されて、油吸着材12への進入が阻止される。この場合、上記したように不織布13が流入口21bからドーム状に突出しているため、流入口21bから突出する不織布13の表面積(捕集面積)が平面状態と比較して増加している。したがって、この油水分離装置1では、異物58の付着による不織布13の目詰まり、つまりフィルタエレメント2の目詰まりが発生しにくくなっている。なお、不織布13は油吸着材12ほどではないにしても油分についても吸着するため、本発明における油吸着材としても機能する。また、第2のハウジング32の底壁32aの内面に沈殿した異物58は、底壁32aが上記したようなドーム状に形成されているため、底壁32aの中央部分に移動してドレン口32b内に落下し、ドレン口32b内に集められる。これにより、ドレン口32bを開くことにより、集まった(溜まった)異物58を容易に排出することができる。
次いで、不織布13を経由して油吸着材12内に流入したドレン水は、油吸着材12によって含有する油分が吸着されつつ蓋体22に達して、蓋体22に形成された流出口22aを介してフィルタエレメント2の外部に流出して、蓋体22に連結されているフィルタヘッド33内に流入する。これにより、油水分離装置1によるドレン水に対する油水分離処理が完了して、ドレン水は、フィルタヘッド33から接続口35を介して排出側配管5または連結用配管6に排出される。この場合、前述したように、この油水分離装置1では、排出側配管5における処理水監視槽7への接続側端部に流量制限部材8が配設されている。したがって、油分や異物58が除去された綺麗なドレン水(処理を完了したドレン水)がオリフィス8aを通過することとなるため、油分や異物58が流量制限部材8(オリフィス8aの口縁部等)に付着して目詰まりが生じる事態が回避されている。
一方、フィルタエレメント2が汚れて油水分離能力が低下したときには、フィルタエレメント2を交換する。この際には、まず、ドレン口32bを開いて本体3内のドレン水を排出する。次いで、第1のハウジング31から第2のハウジング32を取り外して、フィルタエレメント2を露出させる。続いて、フィルタヘッド33からフィルタエレメント2を外し、新品のフィルタエレメント2をフィルタヘッド33に装着する。次いで、第1のハウジング31に第2のハウジング32を連結させる。これにより、フィルタエレメント2の交換が完了する。この場合、油吸着材12や不織布13自体を取り出す必要がないため、交換は短時間で完了する。また、交換のための特殊な工具や技術が不要なため、交換作業が初めてのユーザであってもフィルタエレメント2を容易に交換できる。
このように、この油水分離装置1のフィルタエレメント用容器11では、第2のハウジング32の底壁32a(ドレン口32bの形成端面)と当接するフィルタエレメント用容器11を構成する容器本体21の底壁21aにおける周縁部Aに、底壁21aの表面から容器本体21の周壁21cの表面に至るスリット部21dが形成されている。
したがって、このフィルタエレメント用容器11を用いたフィルタエレメント2を備えた油水分離装置1によれば、容器本体21の底壁21aを第2のハウジング32の底壁32aと直接当接させることで容器本体21における油吸着材12の充填有効容積を増大させつつ、スリット部21dを異物捕集部として機能させてドレン水に含まれている異物58を捕集することができる。このため、このフィルタエレメント用容器11を用いたフィルタエレメント2を備えた油水分離装置1によれば、異物58の捕集機能を確保しつつ、フィルタエレメント用容器11での油吸着材12の充填有効容積の増大によって油水分離機能を長期間に亘って発揮させることができる。したがって、この油水分離装置1によれば、フィルタエレメント2の長寿命化、言い換えれば、交換回数を低減することができる。
また、このフィルタエレメント用容器11を用いたフィルタエレメント2を備えた油水分離装置1によれば、フィルタエレメント用容器11を容器本体21と蓋体22とで構成したことにより、油吸着材12および不織布13を容易に交換することができるため、フィルタエレメント用容器11を使い捨てることなく、再利用することができる。
また、この油水分離装置1のフィルタエレメント2では、不織布13が容器本体21の底壁21aに形成された流入口21bからドーム状に突出しているため、流入口21bから露出する不織布13の表面積(捕集面積)が、流入口21bにおいて不織布13が平面状態となるときと比較して増加している。したがって、このフィルタエレメント2を備えた油水分離装置1によれば、油分や異物58の付着による不織布13の目詰まりを低減することができる結果、フィルタエレメント2全体および油水分離装置1全体としての目詰まりを低減することができる。
さらに、この油水分離装置1によれば、本体3(フィルタハウジング)を構成する第1のハウジング31における第2接続口35、および排出側配管5の少なくとも一方(この例では、排出側配管5)に、処理を完了したドレン水の通過量を制限するためのオリフィス8aを設けた流量制限部材8を配設したことにより、流量制限部材8が、ドレントラップ等と比較して安価で、しかも、故障を招くことのない簡易な構成であるにも拘わらず、処理対象のドレン水を排出する装置(圧縮空気除湿装置等)の内部に生じている圧力が瞬間的に解放される事態を十分に回避することができる。また、この油水分離装置1によれば、ドレン水の流路における第2接続口35以降(この例では、第2接続口35に接続された排出側配管5)に流量制限部材8を配設したことにより、処理を完了した綺麗なドレン水がオリフィス8aを通過することとなるため、処理対象のドレン水に含まれる油分や異物が流量制限部材8に付着してオリフィス8aに目詰まりが生じる事態を回避することができる。
また、この油水分離装置1によれば、処理を完了したドレン水の目視を可能に構成した処理水監視槽7を備えると共に、排出側配管5における処理水監視槽7への接続側端部に流量制限部材8を配設したことにより、処理水監視槽7を配設したことで、油水分離装置1を分解することなく油水分離装置1の浄化能力の低下(フィルタエレメント2の汚れ度合い)を監視することができ、排出側配管5における処理水監視槽7への接続側端部に流量制限部材8を設けたことで、処理水監視槽7内に大きな圧力が加わって処理水監視槽7が破損する事態を十分に回避することができる。
なお、本発明は、上記した構成に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、容器本体21内に不織布13を敷設した状態で油吸着材12を充填しているが、油吸着材12の材質によっては油吸着材12だけを充填してもよいのは勿論である。また、この場合、油吸着材12の充填に際して加圧することで、油吸着材12自体を容器本体21の底壁21aに形成された流入口21bからドーム状に突出させることもできる。また、不織布13や油吸着材12を流入口21bからドーム状に突出させる構成に代えて、逆に、容器本体21の内側にドーム状に凹ませる構成を採用することもできる。この構成においても、油吸着材12や不織布13の表面積(捕集面積)を平面状態と比較して増加させることができるため、上記のフィルタエレメント2および油水分離装置1と同様にして、油分や異物58の付着による不織布13や油吸着材12の目詰まりを低減することができる。この構成は、例えば、流入口を流出口22aと同様にして複数の小孔が開口された網目状に形成して、この部分を容器本体21の内部に凹むドーム状に形成することで実現することができる。
また、容器本体21の底壁21aに流入口21bを形成し、かつ蓋体22に流出口22aを形成してフィルタヘッド33に連結させる構成のフィルタエレメント用容器11について上記したが、図示はしないが、逆の構成とすることもできる。つまり、蓋体22に流入口およびスリット部を形成し、かつ容器本体21の底壁21aに流出口を形成して、底壁21aをフィルタヘッド33に連結させる構成とすることもできる。この場合、蓋体22の周縁部が本体3の底面と当接するようにし、かつこの周縁部に蓋体22のスリット部に繋がるスリット部を形成する構成とする。この構成においても、上記したフィルタエレメント用容器11と同様の作用効果を奏することができ、このフィルタエレメント用容器11を用いるフィルタエレメント2および油水分離装置1も、上記した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
また、上記の例では、スリット部21dの幅について、底壁21aの表面から周壁21cの表面にかけて同じになるように形成しているが、この方向に従って徐々に幅広になる構成や、幅狭になる構成を採用することもできる。さらに、本発明における流量制限部材の一例である流量制限部材8を排出側配管5における処理水監視槽7側の端部に配設した例について説明したが、本発明はこれに限定されず、排出側配管5における油水分離装置1側の端部と処理水監視槽7側の端部との間の任意の位置に配設する構成を採用することができる。また、上記の流量制限部材8に代えて、油水分離装置1における第2接続口35の内径よりも小径のオリフィスが設けられた流量制限部材(図示せず)を第2接続口35に配設する構成(本発明における「第1のハウジングにおける第2接続口(排出側配管の接続部、および排出側配管の少なくとも一方」が「第1のハウジングにおける第2接続口」の構成の一例)や、処理水監視槽7における排出側配管5の接続口よりも小径のオリフィスが設けられた流量制限部材(図示せず)を処理水監視槽7の接続口に配設する構成(ベース部41:本発明における「第1のハウジングにおける第2接続口、および排出側配管の少なくとも一方」が「排出側配管」の構成の他の一例)を採用することもできる。さらに、流量制限部材8を複数個配設する構成を採用することができる。
フィルタエレメント用容器11、フィルタエレメント2および油水分離装置1の構成を示す一部切欠き断面図である。 容器本体21の底壁21aおよびその近傍の要部拡大図である。 図2の下方側から見た容器本体21の底面図である。 図3におけるW−W線断面図である。 2つの油水分離装置1を連結した状態の正面図である。 排出側配管5、処理水監視槽7および流量制限部材8の構造を示す断面図である。 油水分離装置51の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 油水分離装置
2 フィルタエレメント
3 本体
4 供給側配管
5 排出側配管
6 連結用配管
7 処理水監視槽
8 流量制限部材
8a オリフィス
11 フィルタエレメント用容器
12 油吸着材
21 容器本体
21a 底壁
21b 流入口
21c 周壁
21d スリット部
22 蓋体
22a 流出口
31 第1のハウジング
32 第2のハウジング
32b ドレン口
A 周縁部

Claims (5)

  1. フィルタエレメント用容器、および当該フィルタエレメント用容器内に充填された油吸着材を有するフィルタエレメントと、
    処理対象のドレン水を供給する供給側配管を接続可能な第1接続口、および処理を完了したドレン水を排出する排出側配管を接続可能な第2接続口がそれぞれ設けられると共に前記フィルタエレメントが取り外し可能に装着される第1のハウジング、並びに当該第1のハウジングに装着された前記フィルタエレメントを覆うようにして当該第1のハウジングに対して取り外し可能に装着される有底筒状の第2のハウジングを有するフィルタハウジングとを備えて構成された油水分離装置であって、
    前記フィルタエレメント用容器は、筒状の周壁および当該周壁の両端部に配設された一対の側壁で中空柱体に形成されて内部に前記油吸着材を収容可能に構成され、かつ前記第1接続口から前記第2のハウジングの内周面と前記周壁の外周面との間の隙間を通過して当該第2のハウジングの底壁と前記一対の側壁のうちの一方の側壁との間の隙間に流入した前記処理対象のドレン水を当該フィルタエレメント用容器内に流入させる流入口が当該一方の側壁に形成されると共に前記第2接続口に連通する流出口が他方の側壁に形成されて、前記第2のハウジングにおける前記底壁の内面に当該一方の側壁の周縁部が当接した状態で前記フィルタハウジング内に装着可能に構成され、かつ、前記一方の側壁の表面から前記周壁の表面に至るスリット部が前記周縁部に形成されている油水分離装置
  2. 前記フィルタエレメント用容器は、筒状の容器本体および当該容器本体に装着される蓋体とを備え、当該蓋体が前記一方の側壁または前記他方の側壁として構成されている請求項1記載の油水分離装置
  3. 前記フィルタエレメントは、前記油吸着材前記流入口からドーム状に突出している請求項1または2記載の油水分離装置
  4. 記第1のハウジングにおける前記第2接続口、および前記排出側配管の少なくとも一方に、当該少なくとも一方の内径よりも小径のオリフィスが設けられて前記処理を完了したドレン水の通過量を制限する流量制限部材が配設されている請求項1から3のいずれかに記載の油水分離装置。
  5. 前記処理を完了したドレン水の目視を可能に構成されて前記排出側配管を介して前記第1のハウジングに接続された処理水監視槽を備え、
    前記流量制限部材は、前記排出側配管における前記処理水監視槽への接続側端部に配設されている請求項記載の油水分離装置。
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