JP5264938B2 - 中性粒子照射型cvd装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板上に膜を堆積するCVD(Chemical Vapor Deposition)装置に係わり、例えば中性粒子を用いて基板上に膜を形成する中性粒子照射型CVD装置に関する。
高エネルギーの電子やUV光によるガスの解離を抑制して予定通りの分子構造を有する膜を形成することが可能な中性粒子照射型CVD装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。
中性粒子照射型CVD装置は、PE−CVD(Plasma Enhanced CVD)装置と異なり、イオンや紫外光が原料ガス及び堆積膜に照射されないため、極めて低エネルギーの照射を実現でき、原料ガスの分子構造を破壊せずに膜を合成することが可能である。特に、メトキシ基をもつSi−OCH系ガスではOとCH基の部分の結合エネルギーが最も弱く、この部分を選択的に切断してSiOCH系Low−k膜を合成することが可能である。この手法は照射エネルギーが比較的低いためSi−CH結合は切れにくく、膜中に高濃度のCHを含有することができる。
特開2009−290025号公報
ところで、中性粒子照射型CVD装置において、原料ガスは、ウェハの側方から供給され、ウェハ表面上を流れながらウェハ表面に付着される。プラズマを生成するプラズマ室とウェハが配置される反応室の間に複数のアパーチャを有するカソード電極が配置され、電界で加速されたイオンが、このアパーチャを通過する過程で中性化され、ウェハ面に付着した原料に照射され、予定した分子構造を有する膜が形成される。
しかし、上記中性粒子照射型CVD装置は、原料ガスがウェハの側方から供給され、ガスの排出口側へ流れている。このため、ウェハ上に形成される膜は、原料ガスの供給部近傍側が、供給部から離れた側に比べて厚く成膜される。したがって、形成された膜の面内の均一性を確保することが困難であった。近時、ウェハの大口径化に伴い、この傾向は顕著となりつつある。
このため、一般的なPE−CVD装置のガス供給手段として用いられるシャワーヘッドを中性粒子照射型CVD装置に適用することが考えられる。しかし、中性粒子ビームの入射方向がウェハ上面からウェハ表面に向かう方向であるため、ここにシャワーヘッドを設置することは困難である。
本発明の実施形態は、中性粒子ビームと平行に原料ガスをウェハに導入でき、ウェハ上に形成される膜の面内均一性を向上することが可能な中性粒子照射型CVD装置を提供しようとするものである。
本発明の実施形態に係る中性粒子照射型CVD装置は、希ガスを励起してプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記プラズマ発生部により発生されたプラズマから中性粒子を取り出し、反応室内のウェハに導入する複数の第1の開口を有する電極と、前記ウェハの直上から前記中性粒子と平行に原料ガスを前記ウェハに供給するガス供給部を具備し前記ガス供給部は、前記電極と前記ウェハとの間に設けられ、前記電極の第1の開口から導入された前記中性粒子を通過させる複数の第2の開口と、前記原料ガスを吐出する複数の第3の開口を有し、前記第2の開口は、前記第1の開口の10倍以上の開口面積を有し、前記ガス供給部は、第1の直径を有するリング状の第1のパイプと、前記第1パイプと連通され、前記複数の第3の開口を有する前記第1の直径より小さい第2の直径を有する少なくとも1つのリング状の第2のパイプを具備することを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、中性粒子ビームと平行に原料ガスをウェハに導入でき、ウェハ上に形成される膜の面内均一性を向上することが可能な中性粒子照射型CVD装置を提供できる。
本発明の中性粒子照射型CVD装置の第1の実施形態を示す断面図。 図1に示すガス供給部を示す平面図。 図3(a)(b)は、図2に示すパイプの断面図。 図2に示す第1、第2の開口の関係、及びカソード電極、ガス供給部、ウェハの位置関係を示す図。 本発明の第2の実施形態を示すものであり、中性粒子照射型CVD装置の一部のみを示す断面図。 本発明の第3の実施形態を示すものであり、中性粒子照射型CVD装置の一部のみを示す断面図。 ガス供給部の第1の変形例を示す平面図。 ガス供給部の第2の変形例を示す平面図。 ガス供給部の第3の変形例を示す平面図。 ガス供給部の第4の変形例を示す平面図。 ガス供給部の第5の変形例を示す平面図。 図12(a)は、本発明の中性粒子照射型CVD装置の第4の実施形態を示す断面図、図12(b)は、図12(a)のカソード電極を示す平面図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一符号を付している。
図1は、本発明の実施形態に係る中性粒子照射型CVD装置を示している。図1において、CVD反応室(以下、単に反応室と称す)10の例えば上部には、中性粒子ビーム生成部11が設けられている。
反応室10内には、ステージ13が設けられ、このステージ13上に処理対象の基板としての半導体ウェハ(以下、ウェハと称す)14が載置される。ステージ13は図示せぬ温度制御装置を有し、ウェハ14は所定の温度に制御される。反応室10は、原料ガスが導入されるガス導入口15と、排気機構16を有している。反応室10内は、排気機構16により所定の圧力に保持される。原料ガスは、ガス導入口15に連通されたガス供給部31を介して、ステージ13上のウェハ14の直上に導かれ、後述する開口からウェハ上に噴出される。
中性粒子ビーム生成部11は、例えば石英製のプラズマ室12を有している。プラズマ室12の上部には、ガス導入口17が設けられ、このガス導入口17より希ガス、例えばアルゴン、ヘリウム、クリプトンなどのうちの1つのガスがプラズマ室12内に導入される。プラズマ室12の周囲にはコイル18が巻回されている。このコイル18の一端は接地され、他端は高周波源19に接続されている。プラズマ室12の内部且つ上部には、上部電極としてのアノード電極20が設けられ、このアノード電極20は、スイッチSW1を介して直流電源21の正極、及び高周波源19に接続されている。また、プラズマ室12の下部、且つ反応室10との境界部には、下部電極としてのカソード電極22が設けられている。このカソード電極22は、スイッチSW2を介して直流電源21の負極に接続されている。直流電源21は可変電源であり、この直流電源21により、アノード電極20とカソード電極22との間の電界が変化可能とされている。
カソード電極22は、例えばカーボン製であり、複数の開口部(第1の開口)22aを有している。この開口部22aは、アスペクト比(カソード電極22の厚みと開口部22aの直径との比)が例えば10以上、20以下の範囲に設定され、且つ、開口率(カソード電極22の表面積に対する複数の開口部22aによる開口面積の比)が例えば50%以下、30%以上の範囲に設定されている。
カソード電極22は、正の荷電粒子を中性化して通過させ、且つプラズマから発生される電子やUV光あるいはフォトンを遮断する必要があるため、開口部22aのアスペクト比及び開口率が規定されている。
さらに、反応室10内のガスがプラズマ室12内に流入することを防止するため、反応室10とプラズマ室12の圧力差を保持する必要がある。具体的には、反応室10の圧力は、例えば100mmTorr以上に設定され、プラズマ室12内の圧力は、例えば1Torr以上に設定される。したがって、反応室10からプラズマ室12へのガスの流入を抑制するため、プラズマ室12と反応室10の圧力差を10倍以上に設定する必要がある。このような圧力差を保持するためには、カソード電極22の開口部22aの開口率が30%近傍であることが好ましい。
さらに、反応室10内において、カソード電極22とウェハ14を載置するステージ13との間には、前述したガス供給部31が設けられている。このガス供給部31は、プラズマと直接接触しない空間としての反応室10内に設けられている。具体的には、ガス供給部31は、反応室10の側壁に保持されている。このガス供給部31は、原料ガスをウェハ14の直上からウェハ14の表面に供給するとともに、中性粒子ビーム生成部11により生成された中性粒子を妨げることなく、ウェハ14の表面に導入可能な構成とされている。
図2は、ガス供給部31の一例を示している。ガス供給部31は、例えばリング状の第1のパイプ31aと、複数の第2のパイプ31bにより構成されている。第1、第2のパイプ31a、31bは、例えば石英、セラミック、ステンレススチール材(SUS)、カーボン、アルミニウム、又はこれらの複合材により形成することが可能である。
複数の第2のパイプ31bは、第1のパイプ31aのリングの内側に網目状に配置されている。これら第2のパイプ31bと第1のパイプ31aにより、複数の第2の開口31cが形成されている。これら第2の開口31cの開口面積は、カソード電極22に設けられた第1の開口22aの開口面積より大きく形成されている。具体的には、第2の開口31cの開口面積は、第1の開口22aの開口面積の例えば10倍以上に設定されている。このため、中性粒子ビーム生成部11により生成された中性粒子ビームは、第2の開口31cを介して、ウェハ14の表面に均一に導入可能とされている。
また、複数の第2のパイプ31bの例えば交差部には、原料ガスを噴出する第3の開口31dが設けられている。これら第3の開口31dは、ウェハ14に対向して配置され、ウェハ14の直上からウェハ14の表面に均一に原料ガスを供給可能とされている。
図2に示す例の場合、最も離れた第3の開口31d間の距離L1は、例えば20mmであり、最も近接した第3の開口31d間の距離L2は、例えば50mmである。しかし、これに限定されるものではなく、処理対象としてのウェハの口径に応じて設定可能である。
図3(a)は、第1のパイプ31aの断面を示し、図3(b)は、第2のパイプ31bの断面を示している。ガス導入口15からガス供給部31に導入された原料ガスは、第1、第2のパイプ31a、31b内を流れる。
図3(b)に示すように、第2のパイプ31bの外径L3は、例えば10mm以下であり、中性粒子の導入の妨げとならないよう極力小さいことが望ましい。また、第2のパイプ31bの内径L4は、例えば5mm以上であり、ガス供給におけるコンダクタンスロスを低減するため、極力大きいことが望ましい。さらに、第3の開口部31dの直径は、例えば0.5mm以上、1mm以下に設定されている。これにより全ての第3の開口31dから同流量のガスが流れるようにすることができる。すなわち、第2のパイプ31bの内径L2と第3の開口31dの直径の関係を上記のように定めることにより、第2のパイプ31bは、第3の開口31dに比べて10倍以上のコンダクタンスを確保でき、第2のパイプ31b内の圧力損失を最小限に抑えることが可能である。
また、第3の開口31dより噴出される原料ガスの噴出角度は、ウェハ14の表面に対して例えば90度から45度の範囲である。
図4は、カソード電極22、ガス供給部31及びウェハ14との位置関係を示しており、図4において図1乃至図3と同一部分には同一符号を付している。
図4において、ガス供給部31の複数の第2のパイプ31bは、カソード電極22に設けられた第1の開口22aからウェハ14に導入される中性粒子を妨げるものであってはならない。このため、上述したように、ガス供給部31の第2の開口31cの開口面積は、カソード電極22の第1の開口22aの10倍以上に設定されている。具体的には、第1の開口22aの直径D1が例えば1mmである場合、矩形状の第2の開口31cの一辺の長さD2は、10mm以上の例えば45mmに設定される。
さらに、カソード電極22とガス供給部31との距離L5、及びガス供給部31とウェハ14との距離L6は、次のように設定される。すなわち、例えばカソード電極22の厚みが例えば10mmで、第1の開口22aの直径が1mmである場合において、第1の開口22aから噴出される中性粒子が、垂直方向に対して+5度、−5度(90度±5度)の広がりを有するもとのと仮定し、第2の開口31cの開口面積が、第1の開口22aの開口面積の10倍であると仮定した場合、ガス供給部31とウェハ14との距離L6は、カソード電極22とガス供給部31との距離L5との距離の2倍以上とする必要がある。具体的には、L5が10mm以上である場合、L6が20mm以上に設定される。
上記構成において、中性粒子照射型CVD装置の動作について説明する。
本実施形態の中性粒子照射型CVD装置は、中性粒子ビーム生成部11において、希ガスを用いてエネルギーが制御された中性粒子ビームが生成される。この生成された中性粒子ビームは反応室10内のプリカーサとしてのガスに照射され、ガスを構成する分子の解離を制御して重合させ、基板上に所望の分子構造を有する膜が形成される。
先ず、プラズマ室12の圧力が例えば1Torr以上に設定され、プラズマ室12内に希ガス、例えばアルゴンガスが導入される。この状態において、スイッチSW1がオンとされ、高周波源19より高周波電力がコイル18に供給される。この高周波電力は、例えば周波数が13.56MHz、電圧が500V、電力が1kWである。プラズマ室12内の電子は、コイル18により発生された高周波電界により加速されてアルゴンガスに衝突し、ガスが分解されてプラズマが発生される。
この状態において、スイッチSW2がオンとされると、アノード電極20とカソード電極22との間に電界が発生され、プラズマ中の正の荷電粒子が電界により加速される。正の荷電粒子はカソード電極22において電子が供給されて中性化され、中性粒子(NB)が生成される。この中性粒子は、複数の第1の開口22aを通過して反応室10内に導かれる。このとき、プラズマ源で発生した電子やUV光あるいはフォトンは、カソード電極22によって遮蔽され反応室10には到達しない。
反応室10に導かれる中性粒子のエネルギーは、プラズマで発生したイオンの加速電圧によって制御され、この加速電圧は、直流電源21を制御することにより可変される。この中性粒子は、ガス供給部31の第2の開口31cを通ってウェハ14に導入される。ウェハ14は、ステージ13上に載置され、温度が制御されている。
一方、ガス導入口15からガス供給部31に供給された原料ガスは、第3の開口31dからウェハ14の上面に噴出される。すなわち、原料ガスは、ウェハ14の直上に配置された第3の開口31dから中性粒子ビームとほぼ平行にウェハ14上に噴出される。原料ガスは、low−k膜のプリカーサとしての、例えばDMDMOS(ジメチルジメトキシシラン)であり、このDMDMOSにプラズマ室12の第1の開口22aから供給部31の第2の開口31cを介して導入された中性粒子が衝突される。中性粒子の衝突により、その運動エネルギーが熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーのアシストにより、基板に吸着されたガス分子の所定の結合の解離が促進され、活性化されたガスは、重合反応を起こしてウェハ14上に順次堆積される。
このようにして、DMDMOSをプリカーサとして、ウェハ14上にSiOCからなるlow−k膜が堆積される。プリカーサとしては、DMDMOSに限定されるものではなく、例えばMTMOS(メチルトリメトキシシラン)などのSi系化合物を用いることも可能である。
上記第1の実施形態によれば、カソード電極21の第1の開口22aは、イオンを加速して中性化し、ガス供給部31の第3の開口31dは、第1の開口22aの下方に設けられ、ウェハ14の直上から中性粒子ビームとほぼ平行に原料ガスをウェハ14に均一に供給している。しかも、ガス供給部31に設けられた第2の開口31cの開口面積は、第1の開口22aの開口面積の10倍以上に設定されている。このため、第1の開口22aから照射される中性粒子ビームの照射進路を妨げることなく、中性粒子ビームをウェハ14上に導入できる。したがって、ウェハ14の表面上に均一に原料ガスを供給することができるとともに、ウェハ14の表面上に中性粒子を均一に照射することができるため、ウェハ14の表面上に均一な膜厚を有する膜を形成することが可能である。
また、上記構成によれば、原料ガスをウェハ表面に均一に供給することができるとともに、中性粒子ビームを十分に導入することが可能であるため、ウェハの大口径化に対応でき、例えば300mmのウェハに対して、均一な膜厚を有する膜を形成することができ、歩留まりを向上させることができる。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態を示している。図5において、プラズマ室12等は省略している。
第1の実施形態において、ガス供給部31は、反応室10の側壁に保持されていた。これに対して、第2の実施形態において、ガス供給部31は、例えば3本の支持体41により支持されている(図5には、2本のみを示している)。これら支持体41は、例えばガス供給部31と同様に、例えばセラミック、石英、ステンレススチール(SUS)により形成可能である。これら支持体41は、パイプ形状であり、一端が反応室10の底部に配置され、他端がガス供給部31の第1のパイプ31aに設けられている。すなわち、パイプ状の支持体41は、ガス供給部31の第1のパイプ31aに連通され、これらパイプ41を介して原料ガスがガス供給部31に導入される。
上記第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態を示している。第3の実施形態は、第2の実施形態に示す各支持体41が昇降機構を有している。すなわち、支持体41は、例えば径の異なる2つの第1、第2のパイプ41a、41bにより構成されており、第1のパイプ41aに第2のパイプ41bが挿入されている。第1のパイプ41aは、第2のパイプ41bに対して、図示矢印A、B方向に昇降可能とされている。具体的には、例えば第1のパイプ41aは、第2のパイプ41bに対して螺合されている。この状態において、図示せぬ動力により、第2のパイプ41bがその軸芯周りに、図示矢印C、D方向に回転されると、第1のパイプ41aが第2のパイプ41bに対して図示矢印A、B方向に移動される。
昇降機構は、上記構成に限定されるものではなく、例えばリニアモータを用いて第1のパイプ41aを第2のパイプ41bに対して移動することも可能である。
上記第3の実施形態によれば、第2のパイプ41bに対して第1のパイプ41aを移動可能とすることにより、ウェハ14とガス供給部31との距離、ガス供給部31とカソード電極22との距離を調整することができる。このため、ガス供給部31をウェハ14とカソード電極22との間の最適位置に設定することが可能である。したがって、ウェハ14に形成される膜の均一性を一層向上させることが可能である。
また、ガス供給部31をウェハ14に対して移動させることが可能である。このため、ウェハ14をステージ13に対して搬送する際、所要のスペースを形成することが可能である。
図7乃至図11は、ガス供給部31の変形例を示している。図7乃至図11において、第1、第2のパイプ31a、31bの材料、およびパイプの径、第3の開口31dの開口面積は、第1の実施形態と同様である。
図2に示すガス供給部31は、第2のパイプ31bを網目状に配置し、第2のパイプ31bの交差部に第3の開口31dを形成した。
(第1の変形例)
これに対して、図7に示す第1の変形例において、ガス供給部31の第2のパイプ31bは、複数の第2のパイプ31bが平行に配置され、各第2のパイプ31bのウェハ14と対向する位置に第3の開口31dが形成されている。隣接する第2のパイプ31b同士、及び第2のパイプ31bと第1のパイプ31aとが形成する第2の開口31cの開口面積は、第1の開口22aの開口面積の10倍以上に設定されている。
上記第1の変形例によっても、原料ガスをウェハ14の直上よりウェハ14の表面に均一に供給することができる。しかも、第2の開口31cの開口面積を第1の実施形態に比べて大きくすることができる。このため、中性粒子ビームをウェハ14に効率良く導入することが可能であり、ウェハ14上に均一な膜厚を有する膜を形成することが可能である。
(第2の変形例)
図8に示す第2の変形例において、第2のパイプ31bは、直線状のパイプ31b−1とリング状のパイプ31b−2とにより構成されている。直線状のパイプ31b−1は、第1のパイプ31aの直径に対応して配置され、リング状のパイプ31b−2は、第1のパイプ31aと同心円状に配置される。直線状のパイプ31b−1とリング状のパイプ31b−2、及び第1のパイプ31aは、連通されている。リング状の第1、第2のパイプ31a、31b−2には、ウェハ14に対向して複数の第3の開口31dが設けられ、直線状のパイプ31b−1の長手方向中央部には、ウェハ14の中央部に対向して第3の開口31dが形成されている。
第2の変形例によっても、リング状の第1、第2のパイプ、31a、31b−2、及び直線状の第2のパイプ31b−1に設けられた第3の開口31dから、原料ガスをウェハ14の直上からウェハ14表面に均一に供給することが可能である。しかも、第2のパイプ31b−2をリング状とすることにより、第2の開口31cの開口面積を第1の実施形態に比べて大きくすることができる。このため、中性粒子ビームをウェハ14に効率良く導入できる。したがった、ウェハ14の表面に均一な膜厚を有する膜を形成することが可能である。
(第3の変形例)
図9に示す第3の変形例において、第2のパイプ31bは、複数の直線状のパイプ31b−3、及び31b−4により構成されている。これらパイプ31b−3、31b−4は、第1のパイプ31aの内側に放射状に配置されている。すなわち、複数のパイプ31b−3の一端は第1のパイプ31aに設けられ、複数のパイプ31b−3の他端は、ウェハ14の上方で、ウェハ14の中心から等しい位置に配置されている。また、複数のパイプ31b−3に設けられた第3の開口31dは、ウェハ14の表面に対向されている。
さらに、第2のパイプ31b−4は、リング状の第1のパイプ31aの半径にほぼ等しい長さを有している。この第2のパイプ31b−4の一端は、第1のパイプ31aに設けられ、他端は、ウェハ14の中央部に位置されている。この第2のパイプ31b−4の他端に設けられた第3の開口31dは、ウェハ14の中央部に対向されている。
上記第3の変形例によっても、原料ガスをウェハ14の直上からウェハ14に均一に供給することが可能である。しかも、第2の開口31cの開口面積を第1の実施形態に比べて大きくすることが可能であるため、ウェハ14の表面に均一な膜厚を有する膜を形成することが可能である。
上記第1乃至第3の変形例は、第1乃至第3の実施形態に適用可能である。
(第4の変形例)
図10は、第4の変形例を示すものである。第4の変形例は、第3の開口31dの変形例であり、第4の変形例を、第1の変形例に示すガス供給部31に適用した場合を示している。
図10において、各第2のパイプ31bには、複数の第3の開口31dが設けられている。すなわち、第2のパイプ31bの長手方向には、所定間隔あけて2つずつ第3の開口31dが設けられている。2つの第3の開口31dは、第2のパイプ31bの長手方向の同一位置に配置されている。すなわち、図10にEで示すように、第2のパイプ31bのウェハ14と対向する位置には、第2のパイプ31bの軸芯回りに所定間隔あけて、2つの第3の開口31d−1、31d−2が設けられている。2つの第3の開口31d−1、31d−2の開口方向は、鉛直線に対して例えば15度乃至20程度傾斜されている。
上記第4の変形例によれば、ガス供給部31の各第2のパイプ31bに所定間隔あけて2つずつ第3の開口31d−1、31d−2を設けている。このため、原料ガスをウェハ14に対して、一層均一に供給することが可能である。したがって、形成される膜の膜厚をさらに均一化することが可能である。
(第5の変形例)
図11は、第5の変形例を示している。第5の変形例は、第4の変形例をさらに変形したものである。すなわち、第4の変形例において、2つの第3の開口31d−1、31d−2は、各第2のパイプ31bの長手方向の同一位置に配置した。これに対して、第5の変形例において、2つの第3の開口31d−1、31d−2は、各第2のパイプ31bの長手方向の異なる位置に配置されている。第4の変形例と同様に、2つの第3の開口31d−1、31d−2の開口方向は、鉛直線に対して例えば15度乃至20程度傾斜されている。
上記第5の変形例によれば、各第2のパイプ31bに設けられた第3の開口31d−1、31d−2は、第2のパイプ31bの長手方向に離れて配置されている。このため、ウェハ14に対して、一層原料ガスを均一に供給することが可能であり、形成される膜の膜厚を均一化することができる。
上記第4、第5の変形は、第1乃至第3の実施形態、及び第1乃至第3の変形例に適用することが可能である。
(第4の実施形態)
図12(a)(b)は、第4の実施形態を示している。第1乃至第3の実施形態は、カソード電極22とウェハ14との間にガス供給部31を設けた。これに対して、第4の実施形態は、カソード電極22にガス供給部31を組み込んだ構成としている。
すなわち、図12(a)において、カソード電極51は、多孔質の導電材料、例えば多孔質グラファイトにより構成されている。このカソード電極51には、プラズマ室12により発生されたプラズマから中性粒子を取り出して反応室10内のウェハに導入する複数の第1の開口51aが形成されている。さらに、カソード電極51内には、ガス供給部を構成する例えば複数のリング状のパイプ51bが同心円状に形成されている。これら複数のパイプ51bは、ガス導入口52に連通されている。複数のパイプ51bは、多孔質材料内に形成されている。このため、これらパイプ51b内に導入された原料ガスは、パイプ51bに設けられた複数の孔から反応室10内に導入される。
上記構成のカソード電極51は、例えば次のようにして形成される。先ず、複数のパイプ51bを構成する複数のリング状の溝と、これら溝を繋ぎ、ガス導入口52を構成する直線状の溝が、カソード電極51を構成する多孔質グラファイトからなる第1の部材51−1の上面側に形成される。この後、カバーとしての多孔質グラファイトからなる第2の部材51−2が第1の部材51−1の上面に取着される。これにより、複数のパイプ51bとこれらに連通されたガス導入口52が形成される。次に、複数のパイプ51bの間に位置する領域に、第1、第2の部材51−1,51−2を貫通する複数の第1の開口51aが形成される。このようにして、カソード電極51が形成される。
尚、複数の第1の開口51aの内面及び第2の部材51−2の表面に導電性の膜を形成して、これらの部分の孔を閉塞し、複数のパイプ51bの底部のみに孔が存在することが好ましい。
上記構成において、中性粒子照射型CVD装置の動作について説明する。
図12(a)に示す構成において、カソード電極51とウェハ14との距離は、例えば20mmに設定される。この状態において、第1の実施形態と同様に、プラズマ室12において、プラズマが発生される。プラズマ中の正の荷電粒子が、アノード電極20とカソード電極22との間電界により加速される。正の荷電粒子はカソード電極22において電子が供給されて中性化され、中性粒子(NB)が生成される。この中性粒子は、複数の第1の開口51aを通過して反応室10内に導かれる。
一方、ガス導入口52から複数のパイプ51bに供給された原料ガスは、カソード電極51の下面に形成された複数の孔から反応室10内に導入される。すなわち、カソード電極51の下面から反応室10内に導入される原料ガスは、ウェハ14の直上から中性粒子ビームと平行にウェハ14の表面に導入される。原料ガスは、中性粒子の衝突により、その運動エネルギーが熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーのアシストにより、基板に吸着されたガス分子の所定の結合の解離が促進され、活性化されたガスは、重合反応を起こしてウェハ14上に順次堆積される。
上記第4の実施形態によれば、カソード電極51は、多孔質材料により形成され、中性粒子を反応室10内に導入する複数の第1の開口51aを有するとともに、その内部に原料ガスを導入する複数のパイプ51bを有し、複数のパイプ51bに形成された複数の孔から原料ガスを反応室10に導入している。このため、第4の実施形態によっても、第1乃至第3の実施形態と同様に、ウェハ14の直上から中性粒子ビームと平行に原料ガスをウェハ14の表面に導入することができる。したがって、ウェハ14上に均一な膜厚を有する膜を形成することが可能である。
尚、第4の実施形態は、導電性の多孔質材料によりカソード電極を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば複数のパイプ51bのウェハ14と対向する面に、複数の開口を形成してもよい。この場合、多孔質材料に代えて、他の導電性材料を使用することができる。
また、第1乃至第4の実施形態において、ガス流路は、ガス導入口15、52の1系統の場合を示している。しかし、これに限定されるものではなく、ガス流路系統を、2系統以上で構成しても良い。ガス流路系統を、2系統以上で構成した場合、複数のガスを同時に均一に供給することが出来る。
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
10…反応室、14…ウェハ、12…プラズマ室、22、51…カソード電極、22a…第1の開口、31…ガス供給部、31a…第1のパイプ、31b、31b−1,31b−2、31b−3,31b−4…第2のパイプ、31c…第2の開口、31d、31d−1,31d−2…第3の開口、41…支持体、41a、41b…第1、第2のパイプ、51a…第1の開口、51b…パイプ。

Claims (2)

  1. 希ガスを励起してプラズマを発生させるプラズマ発生部と、
    前記プラズマ発生部により発生されたプラズマから中性粒子を取り出し、反応室内のウェハに導入する複数の第1の開口を有する電極と、
    前記ウェハの直上から前記中性粒子と平行に原料ガスを前記ウェハに供給するガス供給部を具備し
    前記ガス供給部は、前記電極と前記ウェハとの間に設けられ、前記電極の第1の開口から導入された前記中性粒子を通過させる複数の第2の開口と、前記原料ガスを吐出する複数の第3の開口を有し、
    前記第2の開口は、前記第1の開口の10倍以上の開口面積を有し、
    前記ガス供給部は、第1の直径を有するリング状の第1のパイプと、前記第1パイプと連通され、前記複数の第3の開口を有する前記第1の直径より小さい第2の直径を有する少なくとも1つのリング状の第2のパイプを具備することを特徴とする中性粒子照射型CVD装置。
  2. 前記電極と前記ガス供給部との距離は、10mm以上に設定され、前記ガス供給部と前記ウェハとの距離は、20mm以上に設定されることを特徴とする請求項1記載の中性粒子照射型CVD装置。
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