JP5264061B2 - 物質同定のための方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、物質を同定するための方法、並びに本方法を実施するための対応する装置及びソフトウェアに関する。
法医学的分析、半導体欠陥レビュー、発砲残渣分析、並びに合金、セラミック、ガラス、鉱物、ポリマー、及び粉末の総合物質分析において、物質片の素性は多くの場合、X線のエネルギースペクトルを収集して分析することによって特定することができる。X線は、例えば、X線ビーム(X線蛍光、XRF)、又は電子ビーム(電子プローブ微量分析、EPMA)、又は陽子ビーム(陽子励起X線放射、PIXE)によって物質片から励起させることができる。X線は、エネルギー分散X線検出器(EDX)によって検出されることが多く、これは通常リチウムドリフトSi(すなわちSi(Li))検出器、又はシリコンドリフト検出器(すなわちSDD)である。例えばUS6,326,619では、走査電子顕微鏡(SEM)においてエネルギー分散X線(EDX)分析を用いて、サンプル中に存在する主要元素のリストを求め、このリストは、少なくともこれらの元素を有する結晶学データベースにおいてこれらの項目のみをフィルタ処理及び選択するのに用いられる。これにより、EBSDパターン分析によって結晶構造を比較する必要のある候補数が狭められる。
US6,835,931では、EDX分析は「化学フィルタ」を提供するのに用いられている。EDXスペクトルの分析によって求められる各元素の量は、対象とする範囲内に存在する可能性のある相リスト内の相の各々についての上限及び下限と比較され、次いで、EBSDによって得られる結晶情報は、どの結晶相が存在するかを明らかにするために相リストと共に保管されているものと比較される。
これらの方法の両方において、データベース内のどの項目が適切であるかを決定するために、サンプル中に存在する各元素の量の基準が必要とされ、従って、これらの項目に対するフィルタが提供される。別の手法は、「スペクトル指紋法」を用いてどの物質が分析中のサンプルに最も近い組成を有するかを求めるものである。この手法の幾つかの実施例には、JP−A−108253/1988、US2004/0099805、US6,519,315、及びUS6,140,643が含まれる。
X線スペクトルが例えばEDXによって測定される場合には、サンプル中の各化学元素における特性線放射に対応して、その元素のスペクトル内に鋭いピークが出現し、サンプル内の連続的な物理効果に起因する広範囲なバックグラウンドが出現する。存在する各元素の量を得るためには、連続的なバックグラウンドについて補正をし、異なる元素からの重なり合うあらゆるピークを分解するために、デジタル化されたエネルギースペクトルの数学的処理が必要とされる。バックグラウンド除去における誤差、分光計の僅かな較正ミス、又はピーク形状の不正確な特性評価は、ピーク領域の不正確な推定を生じる恐れがある。更に、元素についてピーク領域を質量濃度に変換するには、X線補正手続きを必要とし、これにより不正確さの発生源が更に導入される可能性がある。2つの化学元素が同じ質量濃度レベルでサンプル中に存在するとしても、場合によってはX線生成の効率が異なる可能性があり、特性ピークが桁違いの大きさで異なることがある領域を有するようになる。低エネルギーの特性放射線の一部は、サンプルからの出射口において、及び検出器の入射窓内の物質によって大量に吸収されることがあり、このためピークがスペクトル内で検出できない場合がある。
電子ビーム又はX線ビームのいずれの励起源もサンプルから放出された放射線の最大エネルギーを定義し、励起源内の最大エネルギーが低過ぎる場合には、高エネルギーでの一部の特性線が励起されない可能性がある。X線スペクトルで記録される合計カウントが小さ過ぎる場合には、極めて低い強度の特性ピークを確実に検出するにはバックグラウンド除去における統計精度が不十分な可能性がある。励起源がサンプル外に散乱され、検出器の入射窓内の物質を含む分析中のサンプル以外の物質に衝突する場合には、スペクトル内に擬似ピークが現れる。これらの擬似ピークは、サンプル内からの元素として誤同定される可能性がある。これらのピークが小さい場合でも、ピーク領域が励起効率及び予想されるあらゆる吸収効果について補正が行われた後では、誤同定された元素に対する見かけ質量濃度が大きくなる可能性がある。
結果としてX線スペクトル分析は、サンプル中に存在する特定の元素の検出ができず、サンプル中に存在しない元素を検出(偽陽性)して、不正確な濃度推定をもたらす可能性がある。元素組成分析が大きなデータベースから候補を選択するためのフィルタとして用いられる場合には、濃度の誤差を考慮するために許容限度を緩めることができ、検出可能な元素の部分集合を用いて、元素の見落とし問題を回避することができる。しかしながら、スペクトル分析から偽陽性が発生することは、データベース内で正しい候補を除外してしまう恐れがある。偽陽性が無い場合でも、上位及び下位の濃度限界への許容範囲を緩めることにより、あまりに多くの候補の通過を許容し、サンプルとして可能性のある物質の選択を制限する上でフィルタが有効ではなくなる。
「スペクトルマッチング」は、選別の問題点の一部を克服する手段を提供する。この手法では、未知物質及び既知物質からの基準スペクトルについて幾つかのメトリクスが評価される。多数の既知物質の基準スペクトルについてメトリクスを評価し、値の低い方から順に結果を順位付けすることによって、候補物質が未知物質への類似順に与えられる。正しい物質に対する基準スペクトルが最良適合を与えない場合でも、フィルタ処理手法を完全に失敗させることになる擬似ピークは、通常はメトリクスに小さな変化を与えるだけであるので、メトリクスは通常は上位の幾つかの最良適合の中に入ることになる。従って、他の技術による正しい物質の選択が容易になる。ファジー論理手法と同様のこの「スペクトルマッチング」は、フィルタの厳しい除外特性を排除しながら、ある程度の誤差許容範囲及び類似候補物質間の選択におけるある程度の補助を提供する。
スペクトルマッチング手法の問題は、未知サンプルからスペクトルを取得するのに用いられる条件と同様の条件下で、全ての候補物質及び構造について基準スペクトルを取得する必要がある点である。このことにより、同定できる物質の実際の数及び分析に用いることができる条件が制限される。更に基準物質からのスペクトルを測定するのに用いられる分光計は、通常、未知サンプルを測定するのに用いられる分光計と同様の分解能及び効率である必要がある。
US6,326,619公報 US6,835,931公報 JP−A−108253/1988公報 US2004/0099805公報 US6,519,315公報 US6,140,643公報 R.GauvinとE.Lifshin(2002)による「真のEDS X線スペクトルのシミュレーションにおいて(On the Simulation of True EDS X−Ray Spectra)」、Microscopy&Microanalysis第8巻補遺2、430〜431頁、2002 Peter Duncumb、Ian R.Barkshire、Peter J.Stathamによる「電子線マイクロプローブ分析のためのX線スペクトルシミュレーションの改善(Improved X−ray Spectrum Simulation for Electron Microprobe Analysis)」、Microsc.Microanal.7、341〜355、2001 Benefits of X−Ray spectrum simulation at low energies)」、Mikrochimica Acta、138、249〜258、2002 Pouchou,J.L.及びPichoir,F.(1991)による「「PAP」モデル適用による均質又は階層化微小量の定量分析(Quantitative analysis of homogeneous or stratified microvolumes applying the model"PAP") Heinrich,K.F.J.及びNewbury,D.E.(編集者)の「電子プローブによる定量化(Electron Probe Quantitation)」内に掲載、Plenum Press、New York、31〜75 Mantler M.による「VXRF:XRFの指導及び学習のためのソフトウェアパッケージ(VXRF: A software−package for teaching and learning XRF)」、Adv.X−Ray Analysis、43(2000)429−234 Ao Q、Lee SH、Gardner RPによる「骨中鉛についての生体内X線蛍光分析の設計及び使用のための特定目的モンテカルロコードCEARXRFの開発(Development of the specific purpose Monte Carlo code CEARXRF for the design and use of in vivo X−ray fluorescence analysis systems for lead in b)」、Appl Radiat Isot.1997、10月〜12月;48(10−12):1403−12 P.J.Stathamによる「低kVでのスタンダードレス正規化edx分析の妥当性を検証するための総合チェック(A check total for validating standardless and normalised edx analysis at low kV)」、Mikrochimica Acta、145、229−235(2004) P J Stathamによる「スペクトルの予備フィルタ処理を伴う最小二乗法によるデコンボルーション及びバックグラウンド除去(Deconvolution and background subtraction by least squares fitting with prefiltering of spectra)」、Anal.Chem.49、2149〜2154、1977 R.Gauvin及びE.Lifshin(2002)による「真のEDS X線スペクトルのシミュレーションにおいて(On the Simulation of True EDS X−Ray Spectra)」、Microscopy&Microanalysis第8巻補遺2、430〜431頁、2002
本発明の第1の態様によれば、本出願人は、X線放射特性を用いて物質を同定する方法であって、
a)入射エネルギービームに応答して試料の監視されるX線放射特性を表すX線データを得る段階と、
b)複数の物質の組成データを含み、試料の物質が内部に含まれている既存のデータセットを得る段階と、
c)組成データを用いてデータセット内の物質の各々に対して予測X線データを計算する段階と、
d)取得されたX線データと予測X線データとを比較する段階と、
e)比較に基づいて試料の物質の可能性のある素性を判定する段階と、
を含む方法を提供する。
従って、本発明は、段階(b)において取得されたデータセット内のかかる物質を記述するデータからの予測X線データの計算を可能にする。これは、問題としている物質又は少なくとも幾つかの可能性のある候補物質の同定を可能にするように十分な精度で行うことができる。通常、データセットは、極めて多数の物質についての少なくとも組成データを含む。必要とされるデータセットのサイズは用途に依存するが、データセットは、各事例において十分に包括的であり、試料物質が、その中に存在することを保証するようにする。このように本発明は、データセットから1つ又はそれ以上の候補物質の集合を同定することに関し、この集合のうちの1つが試料物質であることになる。従って、実際の試料からX線放射特性を得るためにデータベース内の全ての候補物質の測定を実施する必要はもはやない。結果として、利用可能な基準物質が存在しない、又は候補物質の数が多過ぎて全ての候補からのスペクトルの直接測定が実施できない場合でも、スペクトルマッチングは物質の同定のために用いることができる。それに加えて比較のためのデータ品質は、この比較のデータを得るために実際の物理実験が行われた特定条件にはもはや依存しない。通常、データセットは極めて包括的であり、例えば、全ての既知の金属又は全ての既知の無機結晶固体等の膨大な物質群についての少なくとも物質組成を含むことができる。
通常、段階(c)における予測X線データは、データベース内の物質データによって記述される対応する物質を含む試料上に入射放射ビームが入射した場合に得られたはずのデータに類似している。段階(c)における予測X線データの計算を実行するために用いられる方法は、段階(a)内で得る特定のX線放射特性に依存する。段階(c)を実施するために様々なモデルを用いることができる。例えばモデルはZAF理論に基づくことができ、X線発生寄与、吸収寄与、及び蛍光寄与に基づいてモデルがX線強度を計算する。また好ましくはモデルは、X線バックグラウンド連続体を計算する。次にモデルは、総バックグラウンド強度に対するピーク強度の比率を計算することができる。最近ではモンテカルロモデル化技術(例えばR.GauvinとE.Lifshin(2002)による「真のEDS X線スペクトルのシミュレーションにおいて(On the Simulation of True EDS X−Ray Spectra)」、Microscopy&Microanalysis第8巻補遺2、430〜431頁、2002)を用いて正確な予測が実施可能になっている。従って、モンテカルロモデルを用いることができ、同モデルは、サンプル物質の構造がX線出力に影響を与える場合の物質についての予測X線データ計算において特に有益である。
本方法が実用場面で用いられるものであるためには、予測X線データの精度が十分に高いことが極めて重要である。従って好ましくは本方法は更に、段階(a)の前に、実験的に得られる試験X線データと試験計算とを比較することによって、段階(c)の計算方法の精度の妥当性を検証する段階を含む。次いで、段階(c)におけるモデル等の計算方法は、X線出力が任意物質について計算される場合に精度の改善を与えるために試験データ結果に従って較正又は調節することができる。かかる計算の精度を確保することは重要であり、これを行うことで、従来技術においては必要であるとされていた物質標準からの有益な実験データを実際に得ることができない場合でも、X線データを合成することが常に可能である点で多大な利益が得られた。従って本方法は、標準を用いる従来技術の方法が不可能である場合であっても物質を同定する機能を提供する。
多くの場合、X線放射特性はX線スペクトルであり、段階(a)においてX線データが得られる方法に応じて様々な異なるスペクトルタイプを用いることができる。
計算段階は、段階(a)におけるデータが得られた分析条件を記述するデータ、及び/又はデータを得る際に用いられたX線装置を記述するデータに基づくことができる。
電子又はイオンビームが用いられる場合等の幾つかの場合では、サンプルは、試料からデータを得る段階の前又は最中に帯電状態にすることができる。これに応じて、これは問題のX線放射特性に影響を与える可能性があり、従って、好ましくはこの場合には、本方法は更に、段階(c)においてかかる帯電効果を計算することによりかかる帯電を考慮する段階を含む。
予測データは、データセット内に対応するデータを有する幾つかの物質について計算されるので、これらの比較結果は、好ましくは予測データと取得データとの間の何らかの相関尺度ある。通常、この相関尺度は、マッチングパラメータの形態をとる。比較段階(d)は、段階(a)で得られたデータ及び段階(c)で計算されたデータの一部又は全てを用いることができる点は明らかであろう。幾つかの事例では、かかるデータの一部のみを用いるのが有益であり、従って、データによってスペクトルが表わされる場合に、段階(d)のマッチングパラメータは、ピークを含むスペクトル範囲内のみで計算することができ、かかる範囲内ではピーク強度には依存しない。低エネルギー測定等の他の事例では、段階(d)のマッチングパラメータは、スペクトルの制動放射バックグラウンドに基づいて計算することができる。
段階(a)でのX線放射特性の取得の際に様々な検出器を用いることができるが、かかる検出器が関連データを有する複数チャネル検出器を含む場合には、段階(d)のマッチングパラメータは、取得X線データの全てのチャネルについての正規化相互相関係数に基づいて計算することができる。或いは、上述の事例のように、段階(d)のマッチングパラメータは、ノイズと比較して統計的に有意な強度を有する、スペクトル内のピーク近くのチャネル、又は同ピークを含むチャネル上で計算することができる。
段階(d)のマッチングパラメータはまた、上述のようにして計算されたマッチングパラメータの重み合計又は積を用いる等によって、異なるチャネル又はマッチングパラメータ計算の実際の組合せについての重み係数に基づいて計算することもできる。
問題の物質の各々についてのデータを用いてマッチングパラメータが計算されると、このマッチングパラメータは事前に決められた閾値と比較され、候補物質の部分集合を選択することができる。マッチングパラメータは、試料の物質である可能性が高い物質を順位付けするのに用いることができる。
従って、マッチングパラメータを用いて、データセットから上位N個の可能性のある物質を選択することができ、第2のマッチングパラメータを用いて、計算され選択された物質を更に順位付けすることができる。
本方法はまた、試料自体の認識に基づく事前選択の使用を企図している。例えば、試料の物質が金属性であることが認識された場合には、段階(c)は、かかる物質、すなわち金属性物質のみを含む事前に選択されたデータセットに対して行うことができる。
幾つかの事例では、試料は問題の物質を小量含むことができ、この場合X線放射特性は基板又は試料物質のホルダからの成分又は影響を含むことができる。これに加えて試料は、複数層の試料などの幾つかの物質から形成することができる。従って好ましくは、データセットは構造データを更に含み、ここで同定物質は関連する試料構造を含む。このことは追加の「構造」データセットの提供を含む。かかる構造データは、寸法又は関連する構造の1つ又はそれ以上の成分を含む様々な形式をとることができる。これは、少なくとも物質組成を含む物質データの残り部分への追加である。
好ましくは物質の各々は、関連する識別コードを用いてデータセット内で同定され、またこの識別コードは構造に関するコードとすることができる。
試料中に複数の物質が存在し、又は基板からアーティファクトが存在しているような小さな試料の場合には、本方法は2つ又はそれ以上の入射ビーム条件下でX線特性データを得る段階を更に含むことができる。この事例では段階(a)における特性データが2つ又はそれ以上の異なる入射ビーム条件下で試料から得られるデータを表す場合に、段階(c)における予測データは各異なる条件について計算され、段階(e)における判定は、異なる入射条件に基づく。かかる条件は、異なる入射ビームエネルギーを含むことができる。また当然ながら、かかる方法は、例えば試料物質を同定するのが困難である場合に、かかる構造の無い試料間で識別を行うために用いることができる。
段階(a)はX線データを得る段階に関係しているが、本方法は更に、(段階(a)の前に)、
i)X線検出器を含むX線放射検出装置内に試料を配置する段階と、
ii)エネルギービームを試料上に入射させて試料にX線を放射させるようにする段階と、
iii)検出器によってX線を検出する段階と、
を含む。
入射ビームは、電子ビーム、X線ビーム、又はイオンビームを含む幾つかの形態をとることができる。
本方法は、好ましくはコンピュータソフトウェアによって実施され、従って本発明は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行される時に本方法を実施するように適合されたコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムを含む。また本発明は、かかるコンピュータプログラムを含むコンピュータ読取り可能媒体に拡張される。
本発明の第2の態様によれば、本出願人らは、使用時に同定されることになる物質を含む試料が置かれ、ビーム発生デバイス、試料ホルダ、及びX線検出器を有するX線分析装置と、使用時に本発明の第1の態様による方法を実行するように適合されたコントローラとを備える物質同定のためのX線システムを提供する。
理解されるように、X線蛍光分析装置は、電子顕微鏡又はX線蛍光分析器を含む幾つかの形態をとることができる。かかる器具においてX線ビームが用いられる場合には、好ましくはX線ビームは、X線光学機器によって試料上に入射する小範囲にコリメート又は合焦される。かかるシステムにおいて用いるための検出器は、固体検出器又はガス比例検出器を含む幾つかの形態をとることができる。
要約すると、本発明はスペクトルマッチングの手法の利点に基づいて構築されており、基準物質の膨大なコレクションによりスペクトルを測定する必要性を排除する。励起条件における変化、並びにX線検出システムの分解能及び効率における変化には、基準物質からデータを得ることを必要とせずに対応することができる。本発明は、物質組成、分析条件、及びX線検出システムのパラメータを取得し、発生することなるスペクトルの正確な予測を行う能力を提供する。物質組成及び構造の情報が与えられる場合にスペクトルを予測することは常に可能であるが、実験スペクトルから組成及び構造を導出することは常に可能であるわけではない。従って、たとえ物質組成が従来の分析技術によって測定不能であっても、物質のデータセットを用いて未知物質の同定のための方法を提供することができる。
ここで本発明による方法及び装置の幾つかの実施例を添付図面を参照しながら説明する。
本発明を実施するためのシステム1の概観が図1に示されている。本システムは、X線分析システム3を有する走査電子顕微鏡(SEM)2を備え、このX線分析システム3はINCA EnergyX線分析システム(Oxford Instruments Analytical Limited製)である。SEMは、チルト可能な試料ホルダ5を収容するチャンバ4を有する。電子の入射ビームは電子銃6によって放射され、試料ホルダ内に保持された試料10上に合焦される。電子ビームの結果として放射される特性X線は、X線分析システム3の一部を形成する検出器11によって検出される。
システム1は制御コンピュータ15を含み、この上でシステム1の動作を制御するソフトウェアが実行される。コンピュータ15は、インターネット等の適切な通信リンクを用いてリモートデータベース20と通信状態にある。データベース20は、SEMソフトウェアにより使用するための物質データのデータベースを保持している。別の実施例では、データベースは、コンピュータのハードディスク上などでローカルに保持することができる。
ここで図2を参照すると、図1のシステムを用いる例示的な方法が記載されている。
段階100でシステムが初期化され、SEMチャンバ4が通気されて分析対象試料を受け入れる。段階101では、物質及び可能性のある構造の特定が望まれる試料10が、SEM2の試料ホルダ5に装荷される。最初にシステムのオペレータは、試料が金属試料等の特定のタイプのものであることを制御コンピュータソフトウェアに指示する。
段階102では、チャンバがポンプにより真空にされて電子銃6が作動され(試料ホルダ5、電磁気レンズ等と共に)、これにより電子ビームが試料10上合焦されるようになる測定段階が実行される。コンピュータ15は、電子ビームの誘発の結果として試料から放射されるX線が検出器11によって検出され、X線スペクトルの形態の特性データに変換されるように、X線分析システム3を作動させる。
制御コンピュータは、段階103でスペクトルデータを受取る。同様にコンピュータはまた、スペクトル自体に加えて、入射ビームエネルギー、ビーム電流、サンプルチルト及び方向等の、試料が監視される分析条件についてSEM2に問い合わせることができる。コンピュータは、検出器の応答関数ついてX線分析システムに問い合わせることができ、入射ビームのランディングエネルギーを与える高エネルギー限界をスペクトル自体から計算することができ、このランディングエネルギーは、入射ビームエネルギーよりも低い場合に充電中であることを示す。
段階104ではコンピュータ15は、可能性のある試料物質のタイプのセットを記述する物質データをデータベース20から選択する。任意選択的に、この選択は、ユーザによって入力される試料タイプへのあらゆる制限条件に基づいており、例示的な制限条件は試料物質が絶縁体であることである。従って、選択された物質データは、データベースの一部又はその全てを含むことができるデータセットを形成する。
物質データセットは、固有識別子、組成情報、及び場合によっては構造情報を含む情報を収容する。例えば構造情報は、試料が小寸法等の構造を有するか、又は多層化或いは空隙を有する場合に存在し、いずれの場合においても試料が搭載される基板からの寄与が存在することができる。
段階105では、物質データを用いて予測X線スペクトルデータを計算するために予測モデルが選択される。かかるモデルはユーザが選択することができ、又は段階104で得られた物質データに基づいて自動的に選択してもよい。該当する用途に応じて幾つかのこのようなモデルを用いることができる。バルクサンプルの電子ビーム励起に対して、正確な理論モデルが得られている(Peter Duncumb、Ian R.Barkshire、Peter J.Stathamによる「電子線マイクロプローブ分析のためのX線スペクトルシミュレーションの改善(Improved X−ray Spectrum Simulation for Electron Microprobe Analysis)」、Microsc.Microanal.7、341〜355、2001)。この論文は、本明細書で言及している他の論文と共に引用により本明細書に組み込まれる。モデルは、低ビーム電圧及び被覆層で処理するように拡張することができ(P.Duncumb及びP.J.Stathamによる「低エネルギーにおけるX線スペクトルシミュレーションの利点(Benefits of X−Ray spectrum simulation at low energies)」、Mikrochimica Acta、138、249〜258、2002)、既存のモデルと組合せて基板上の複数層について強度を予測することができる(Pouchou,J.L.及びPichoir,F.(1991)による「「PAP」モデル適用による均質又は階層化微小量の定量分析(Quantitative analysis of homogeneous or stratified microvolumes applying the model”PAP”)」、Heinrich,K.F.J.及びNewbury,D.E.(編集者)の「電子プローブによる定量化(Electron Probe Quantitation)」内に掲載、Plenum Press、New York、31〜75)。X線ビーム励起に対しては、既存のモデルはより不正確であるが、一般化された理論スペクトルシミュレーションソフトウェアが利用可能であり(Mantler M.による「VXRF:XRFの指導及び学習のためのソフトウェアパッケージ(VXRF: A software−package for teaching and learning XRF)」、Adv.X−Ray Analysis、43(2000)429−234)、更により正確なモデルが特定の用途分野で開発されている(Ao Q、Lee SH、Gardner RPによる「骨中鉛についての生体内X線蛍光分析の設計及び使用のための特定目的モンテカルロコードCEARXRFの開発(Development of the specific purpose Monte Carlo code CEARXRF for the design and use of in vivo X−ray fluorescence analysis systems for lead in b)」、Appl Radiat Isot.1997、10月〜12月;48(10−12):1403−12)。
本実施例を実装するのに好適なモデルの要約は本書の補遺で与えられる。これは、前述の論文「電子線マイクロプローブ分析のためのX線スペクトルシミュレーションの改善(Improved x−ray spectrum simulation for electron microprobe analysis)」の開示を参照しており、その内容、特に本論文の「理論」章(345〜351頁)は本出願の開示内に引用によって含められるものとする。
本発明の方法に戻ると、モデルの選択を完了し、段階106では物質データが、段階104で選択された各物質(及び可能な構造)についてのモデルに入力される。モデルは予測データを生成し、本発明の場合にはこの予測データは予測X線スペクトルの形態をとる。予測スペクトルの形態は、問題の物質(物質データによって記述される)が実際にSEM2内に置かれ問題の励起条件下で分析される場合には、システム1によって検出されることが期待されるものである。
次いで段階107では、各物質からの理論スペクトルが未知試料から監視されるスペクトルと比較される。類似性尺度の形態のマッチングパラメータが各々に割当てられ、適合性の近接度を与える。
類似性尺度(マッチングパラメータ)は、理論モデルにおいて本方法が可能性のある実験的問題又は不正確さに対して許容性があるように選ぶことができる。例えば電子顕微鏡において試料が負に帯電し始めた場合に、入射電子に対するランディングエネルギーは低下し、特性線の相対励起は変化する。この状況では、従来のX線分析は、特性X線ピーク強度から計算される元素質量濃度について誤った結果をもたらすことになる。更に、スペクトルもまたサンプルが帯電している時と帯電していない時とでは異なる。ランディングエネルギーは、スペクトルにおけるX線に対して最大エネルギーを決定付ける(「Duanne Hunt限界」又はDHL)。DHLよりも低いエネルギーに対するスペクトルでは、特性ピークは、依然として試料中に存在する元素を同定するが、これらの相対強度は非帯電試料からのものとは異なる。類似性尺度が測定スペクトルでピークが存在する範囲でだけ計算され、各範囲ではこの尺度がピーク強度に無関係に計算された場合には、かかる範囲における全ての尺度の合計は帯電効果に依存しない。試料と基準物質との間の元素含有量におけるいかなる差異も、依然としてスペクトルの類似度に影響を与えることになり、正しい物質は候補の順位付けリストで依然として高い位置にあることが保証される。
或いはマッチングパラメータは、バックグラウンド等のスペクトルの他の特性に敏感であるように選ぶことができる。例えば低加速電圧における電子顕微鏡では、入射ビームは周期表内の全ての元素から特性X線を励起する程には十分にエネルギーが無い可能性がある。しかしながら制動放射バックグラウンドは、物質内に存在している全ての元素によって影響される。スペクトル合成ツールは、スペクトル内の全てのバックグラウンドに対する全ての特性ピークの合計の期待比率を推定することができ、この比率は観測スペクトルとの元素組成の一致性を検証するのに用いることができる(例えばP.J.Stathamによる「低kVでのスタンダードレス正規化edx分析の妥当性を検証するための総合チェック(A check total for validating standardless and normalised edx analysis at low kV)」、Mikrochimica Acta、145、229−235(2004))。ビーム電流が既知であり、又はスペクトル強度が既知のサンプルからのものと比較される場合には、スペクトル内の全てのエネルギーチャネルの強度は、合成スペクトルのものと比較することができ、これはこの強度が僅かな特性ピークが励起された場合でさえも元素含有量と共に変化するためである。
段階108では、「最良適合」の順位付けリストが比較結果に基づいて準備される。例えば、マッチングパラメータの上位5つの数値を用いた予測を提示することができる。或いは事前に決定された閾値を上回る値を有するものをユーザに提示することができる。この順位は、未知サンプルに対して最も可能性の高い物質を示すためにユーザに表示される。表示される順位は、マッチングパラメータの数値を含むことができる。次いでユーザは、この順位を用いて試料の物質を完全に同定することができ、或いは少なくとも幾つかの可能性のある候補の1つとして物質を同定することができる。場合によっては多数の可能性のある物質が得られることがあり、この場合には、段階109において追加の比較段階を行うことができることは理解されるであろう。ここでは異なる比較方法を選ぶことができ、その結果異なるマッチングパラメータが生じる。両方のマッチングパラメータを基準にして上手く成り立つ物質は高位に順位付けることができる。
未知サンプルが均質ではない状況、例えば被覆層を伴う場合もある基板上の薄膜又は粒子においては、物質データのデータベース20を含むデータセットは、構造を構成する各物質の元素組成と共に候補構造の寸法を含めるように拡張することができる。データベース内の各構造タイプには識別コードが付与される。次に理論計算モデルを用いてデータセット内の各候補構造からのX線スペクトルを合成し、上述の方法と同様の様式で未知サンプルからの測定スペクトルと比較される。次いで、候補構造の識別コードは、適合性の近接度に応じて順位付けされたリストで準備される。
かかる不均質サンプルでは、異なる励起エネルギーを用いて1つより多くのスペクトルを収集することによって追加の情報を得ることができる。これは段階110に示されている。
この事例では、理論計算モデルは、異なる励起エネルギーにおける全ての候補構造からのスペクトルを合成するのに用いられる。全ての候補構造について未知サンプルからの測定スペクトルを合成スペクトルと比較することによって、順位付けされた適合リストが各励起エネルギーについて得られる。一般に、低い励起エネルギーは表面に近接する構造部分に片寄るようになるので、理想的な適合が得られない場合には、表面上又は表面よりかなり下のいずれであっても、どの候補構造が未知サンプルに最良に適合するかを依然見出すことが可能である。ここで本発明の使用の幾つかの特定の実施例を説明する。
この第1の実施例では、表面がおよそ70度の表面チルトを有するGd3Ga512のサンプルが、20kVの加速電圧を用いた電子顕微鏡2内に置かれ、Oxford Instruments Analytical LimitedのINCA Energy X線分析システム3を用いてスペクトルが記録される。5.9keVでおよそ133eVの解像度、35度の仰角を有するSi(Li)検出器を用いて図3に示すX線エネルギースペクトルを記録する。
無機結晶構造データベース(ICSD)(J.Res.Natl.Stand.Technol.101、217(1996))における全63,000項目についての化学式が候補物質組成のデータセットとして用いられる。各化学式は、物質中の元素の質量パーセンテージに変換された原子比を与える。スペクトル合成プログラム(Peter Duncumb、Ian R.Barkshire、Peter J.Stathamによる「電子線マイクロプローブ分析のためのX線スペクトルシミュレーションの改善(Improved X−ray Spectrum Simulation for Electron Microprobe Analysis)」、Microsc.Microanal.7、341〜355、2001に基づく)を用いて、133eVの解像度、70度のサンプルチルトを有する20kV入射ビーム、35度仰角のSi(Li)X線検出器において、この組成の物質について検出されるであろうスペクトルを合成する。
iが測定スペクトルについてチャネルiで記録されるカウントであり、Riが基準スペクトルにおける対応するカウントとすると、マッチングパラメータとしての値である正規化相互相関NCCは、100・sum(Si・Ri)/(sum(Si 2)・sum(Ri 2))0.5で計算され、ここでsum(Xi)は、チャネルiの範囲にわたる変数Xiの合計を意味する。この実施例では、各スペクトルのピークを求めるためにピーク検出ルーチンが用いられ、ピーク近くにない全チャネルカウントはゼロに設定される。次いで、NCCが全ての候補基準スペクトルについて計算され、表1に示すような順位付けリストが作成される。
表1
ここで最良適合は、測定サンプルに対して同一の化学式を有するICSD化合物9237の95.51であることが分かる。ICSD化合物37145及び84874は、同一の化学式であったので、類似性尺度は同じ95.51である。化合物492は同一の化学元素、Ga、Gd、及びOを有するが、異なる比であるので、この化合物からの合成スペクトルは測定サンプルと同一のエネルギー範囲にピークを示すが異なる相対強度を有し、従ってNCC値は若干低い92.94である。他の化合物は異なるピーク及び強度の組合せを生じ、候補リスト上でより低い順位にある。
第2の実施例では、第1の実施例におけるものと同じSEM2及び取得条件を用いてSrAlLaO4のサンプルからのスペクトルが得られる。この事例では、入射電子ビームエネルギーは20keVであるが、サンプルは電子ビーム下で負に帯電しているので、図4に示すようにDHLは約6keVにまで低減される。
14.2keVのSrKα等の幾つかの元素ピークがスペクトル内に出現せず、これは電子のランディングエネルギーが、これらのX線に対する臨界励起エネルギーよりも低いためである。更に、励起されるピークの相対強度は、サンプルが帯電していない場合にあるはずの相対強度とは異なる。同じエネルギーでスペクトルのピークを示す候補物質を求めるために、ピークの近傍における全チャネルカウントを適切な定数で置換し、他の場所のチャネルカウントを0で置換することによって、相対強度とは無関係に測定及び合成スペクトルの両方が修正される。この実施例では、ピークは「トップハット」フィルタ(P J Stathamによる「スペクトルの予備フィルタ処理を伴う最小二乗法によるデコンボルーション及びバックグラウンド除去(Deconvolution and background subtraction by least squares fitting with prefiltering of spectra)」、Anal.Chem.49、2149〜2154、1977)によって検出され、定数は、フィルタ処理結果の符号及び結果が統計変動についての期待水準を超えるかどうかに応じて+1又は−1に設定される。この事例では、ICSDデータベース内の全候補についてのNCCの順位付けリストは、表2に示している通りである。




表2
類似性尺度(マッチングパラメータ)の選択特性は相対ピーク高に対して反応しないように選ばれているので、幾つかの物質は正しい解よりも高位に順位付けされている。しかしながら、正しい物質72016及び54131は、上位20候補内に維持されている。ここでこれらの20の候補を例1で用いられたマッチングパラメータを用いて測定サンプルと比較すると、表3の順位付けリストが得られる。
表3
この事例では、正しい組成を有する物質(72106及び54131)は、ここでは第3の順位である。別の段階において、サンプルから後方散乱電子回折パターンが測定されると、リスト内の上位の僅かな候補に対する結晶構造比較により、測定サンプルに対して72106が最も可能性のある候補物質であることが確認される。
サンプルが帯電しているこの事例では、可能性のある候補の順位付けは更に、測定スペクトルのDHLを下回るチャネルについてNCC測定を計算することによってのみ改善される。
上述の実施例は本発明の動作を説明している。ICSDデータベースは、既知物質の極めて膨大な収集物の一例に過ぎない。本発明の異なる用途では、データセットは、既知物質の既存の収集物の1つ又はそれ以上を含むことができる。幾つかの実施例は、標準鋼鉄又は合金の集合、標準ガラスの集合、半導体処理における既知の汚染物質の集合、鉱物の集合、塗料の集合、ポリマーの集合とすることができる。
サンプルが基板上の異なる元素の一連の層から成る場合には、1つ又はそれ以上の励起条件でX線スペクトルを記録し、特性ピーク強度から層の厚さ及び組成を導出することができることもある(Pouchou,J.L.及びPichoir,F.による「「PAP」モデル適用による均質又は階層化微小量の定量分析(Quantitative analysis of homogeneous or stratified microvolumes applying the model ”PAP”)」(1991)、Heinrich,K.F.J.及びNewbury,D.E.(編集者)の「電子プローブによる定量化(Electron Probe Quantitation)」Plenum Press、New York、31〜75内に掲載)。一般的に、X線分析を用いて任意に複雑な構造のサンプルの構造及び組成を解明することは不可能である。しかしながら、X線放射についてのモデルが確立されると、モンテカルロ分析を用いていかなる構造のスペクトルを合成することができる(例えば、R.Gauvin及びE.Lifshin(2002)による「真のEDS X線スペクトルのシミュレーションにおいて(On the Simulation of True EDS X−Ray Spectra)」、Microscopy&Microanalysis第8巻補遺2、430〜431頁、2002)。このようにデータベースは、これらのサンプルの幾何構造及び物質含有量を記述する、複雑な基準サンプルについての物質データの集合を含むことができる。次いで、スペクトル合成モデルを用いてこれらの基準の各々についてスペクトルを計算し、未知サンプルからの測定スペクトルと比較することができるようにすることができる。
実施例2は、1つのマッチングパラメータを用いて可能性のある候補の集合を大きなデータベースからどのように除去することができ、更に別の類似性尺度がこの部分集合を順位付けするためにどのように用いられるかを示している。第1のフィルタ通過は、既知の測定問題(実施例2ではこれは試料の帯電である)に対して無反応にさせ、上位N個から正しい候補を排除してしまう危険があるため、データベース全体に適用するには不適切であると考えられる特定の類似性尺度を用いて更に上位N個の候補が評価される。
実施例1及び2では、ピークから離れたスペクトルの範囲は、NCCマッチングパラメータにおいて排除される。これは、入射ビームエネルギーがほとんどの元素から特性線を励起するには十分高いが、例えば帯電により様々な輝線の相対励起が不確実な場合に有用である。しかしながら、低励起エネルギーは、分析される物質の量を低減するのに好ましいとすることができる(例えばSEMにおいて寸法が100nmより小さい微粒子を分析するためには、粒子内でX線励起を維持するのに2kVより低い加速電圧しか必要とされない)。この場合には、物質中の幾つかの元素は特性線を生じない可能性があるが、存在する全元素はX線の制動放射連続体に影響を与える。サンプルがX線によって励起される場合には、サンプル中に存在する全元素は、入射ビームからの非弾性(Compton)及び弾性(Rayleigh)散乱放射線に影響し、従って、観測X線バックグラウンドに影響を与える。スペクトル内のバックグラウンドが物質含有量に関する有益な情報を伝えるような場合には、ピークのみでなくスペクトル内の全チャネルについてNCCを計算することができる。
別の数学式を用いて適合性の近接度を評価することができる。異なるチャネルiからの相対寄与は、類似性尺度がエネルギースペクトルの特定範囲に対し多少なりとも敏感であるように重み付けすることができる。このことは、アーティファクトのピーク或いは恐らくは半導体基板から放出されるSiKα等の共通ピークを示す可能性のある範囲に重点を置かないようにするために有用とすることができる。
例2を参照して説明したように、物質が結晶体の場合には、後方散乱電子回折パターンを分析して結晶構造パラメータを求めることができ、これらのパラメータを用いて最良適合間で選択することができる。一般的な場合では、あらゆる分析技術を用いて、本発明の上位N個の選択間を区別することができる。
本方法を使用するにも関わらず、候補物質/構造間で区別が困難な場合には、物質の合成スペクトルを未知物質からのスペクトルと共に表示画面上に示すことができ、これによりユーザは物質の事前知識を用いて最も適切な化合物を選ぶことができる。
実質的に異なる条件(異なる顕微鏡加速電圧又は極めて異なる幾何形状)の下で別のX線スペクトルが得られた場合には、この新しい条件において上位の僅かな候補化合物についてX線スペクトルを合成することができ、最良適合を求めるために未知スペクトルが比較される。ここで、本発明により生じる利点の要約を提示する。
(a)スペクトルは全ての候補基準物質又は候補構造に関して測定される必要はなく、このためデータセットを形成する基準データベース内に大量の候補を有することが実用的である。
(b)スペクトルは複数条件下で基準物質から測定される必要はない。
(c)理論モデル内で分解能及び効率を考慮することができるため、スペクトルは未知物質に対して用いられることになる同一のX線検出器を用いて基準物質から測定される必要はない。
(d)スペクトルピークの分析、組成への変換、及び組成データベースとの比較に基づく手法は、スペクトル内に擬似ピークがある場合にはこれらのピークが偽りの陽性元素同定をもたらし、励起特性に起因して計算される組成に関し不均衡作用を生じる可能性があるので失敗する恐れがある。新しい手法は、擬似ピークがスペクトルを歪ませる程度の妨害を受け、スペクトル間の類似性尺度を不安定にするのみである。
(e)スペクトルピークの分析に基づく手法は、一般に不均質のサンプルの構造を判定できないのに対し、合成及び最良適合の手法は、原理的に、構造の複雑さに関係なくデータセットにおいて最良の候補構造を求めることができる。
(f)スペクトルピークの分析に基づく手法は、関心のある全元素について特性線が励起される条件においてのみ分析することができる。しかしながら、バックグラウンド及びサンプルからの散乱光は、特性ピークがこれらの元素から励起されているかどうかに関わらず物質内に存在する全元素が影響を受ける。理論モデルを用いて、スペクトルピーク、バックグラウンド放射、及び散乱ピーク等のあらゆるスペクトル特徴を合成することができるので、存在する全元素から特性線が利用可能でない物質を同定することができる。このことは、極めて少量の物質を分析するために低励起電圧が用いられる場合に特に有益である。
(g)マッチングパラメータは、可能性のある測定問題に対して本方法を許容性のあるものにするように選ぶことができる。
(補遺−モデル実施例)
(モデルの説明)
定量電子プローブ微量分析のZAF理論は、文献において十分に説明されており(例えばReed、1993を参照されたい)、本明細書で繰返す必要はなく、従来技術から離れた言及は省略される。引用文献の更なる詳細については組み込まれる論文を参照されたい。本出願人らは、後方散乱によって失われる強度の分率(1−R)の許容量と共に、所与の殻のイオン化断面積Qを電子軌道に沿って積分することによりピーク強度を計算する通常の実施を行う。この積分は、阻止能の関係S=−dE/d(ρx)、すなわち質量厚さρxを有する電子エネルギー損失の割合から得られる電子エネルギーEの関数として最も容易に実行される。次に検出器に到達する単位立体角毎の強度IAは、サンプルから抜け落ちる分率f(χ)、並びに一次放射(1+F)及び連続体(1+G)によって励起される蛍光による増大について補正することによって得られる。すなわち、質量分率CAの元素Aについて、所与の線における強度は次式となる。
ここでωAは元素Aに対する適切なK、L、又はM殻についての蛍光収率であり、ρAは関心のあるピーク内に入る次期放射の比率である。AAは元素Aの原子量であり、N0はアボガドロ数である。この式は大まかにいって、X線の生成(Z)、これらの吸収(A)、及び蛍光(F)に関する3つの部分に分かれる。
後方散乱補正Rでは、本出願人らは、Duncumb及びReed(1967)の式を用いて、阻止能Sについては、Joy及びLuo(1989)によって提案された修正を伴うBethe(1930)の式を用いている。サンプルでの吸収は、生成される放射の深度の分布についてのモンテカルロ計算のパラメータ化によって得られるDuncumb(1992)によって提案されたf(χ)の形式を用いて補正される。特性蛍光(1+F)はReed(1993)によって記述された手順で計算され、連続体(1+G)によるものは、Pouchou(1994)によって簡約されている。これらの選択の全ては改善の余地があるが、容易に分離可能であり、計算が迅速で、目標精度内に十分に収まる結果が得られる。
これによりイオン化断面積Qが残るが、これについては、K、L、又はM殻の各々についての絶対値が調節用に空いたままである。電子エネルギーEでのQの変動は、Green及びCosslett(1961)によって用いられたBethe断面積の修正式によって良好に記述され、これは次式となる。
ここでEcは分析ピークについての臨界励起電位であり、Uは過電圧比E/Ecである。mは、関係式の形を実験に適合させるように調節された0.7〜0.9の範囲の各殻についての定数であり、同様の手法は、mが緩慢に変化する原子番号の関数であることを見出した、Pouchou(1994)によって用いられている。L及びM殻についてのLlovet(2000a)による直接測定、並びにK殻についてのLlovet(2000b)による直接測定もまた、一般にこの式と一致する。最後に、乗数qK、qL、及びqMは、各殻からの観測強度を互いに適合させ、更に絶対項で強度が認識されるこれらの結果に対し適合させるように実験によって設定される。
サンプル中の特性線からの強度が、純標準からの強度に対する比率として測定される、オリジナルのk比率法の場合には、蛍光収率ωA、ピーク分率ρAと同様に乗数qの値は相殺される。加えて、連続蛍光に対する補正は通常は無視できることが分かっている。多くの変形が存在する残りのZAF理論の精度は、純標準を用いて多数の既知合金の組成をこれらのK、L、又はMα放射によって分析することで試験されている。この結果は、一定の平均比及びこの平均についての標準偏差を有する、測定値の真の組成との比率のヒストグラムとして表される。多くの立案者が、彼らの特定の手法の精度を例示するためにこのプロセスを用いており、これらはHeinrich(1992)によって上手く要約されている。
上述の手順の組合せは、利用可能な最良のものに近い。例えば、Duncumb(1992)は、756の既知サンプルの分析において、ここで用いられている「PhiZAF」と名付けられた方法が、2.4%の標準偏差を伴い<0.1%の平均誤差を与えることを見出した。このように、ZAF補正手順自体は、スペクトルシミュレーションの精度を制限する可能性が低いが、蛍光収率ω、相対高さρ、及びイオン化断面積定数qK、L、Mに対して採用される値において式(2)で見出されることになるより大きな不確かさが存在する。所与のあらゆるピークに対して問題となるものは3つ全ての積であるが、これは全原子番号の各殻における各線について計算可能であるので、これらの間の物理的区別はできる限り保持されなくてはならない。しかしながら、出願人らは、蛍光収率vをイオン化断面積Qと組合せるJoy(1998)によって導入された「X線発生断面積」の概念に注目し、確かにこれは2つの異なるプロセスが含まれることを隠しているが、好都合な単純化を提供することができる点には賛同している。
蛍光収率値は、相対線強度から完全に分離することはできない。式(2)は、アルファピークに関して最も容易に調べられるが、ρAの正しい値がωAの各値に関係することに関して幾分かの曖昧性が存在する。SchreiberとWims(1982a)は、この因子をα1、α2ピークの組合せに入る総放射の割合として定義し、K、L、及びMの系列の各々について原子番号の関数としてρA値を導出している。しかしながら、本発明の目的のために本出願人らは、原子番号が高くなるのに伴って発生する漸進的分離を現実的にモデル化することができるように、α1及びα2線を分離して合成することを望んでいる。また本出願人らは、順次全ての他の線の合成を望んでおり、これを実施する最も実用的手法は、1としてとられたα1線の比率としてライン高さを表す表を用いることである。
現在の既知の知識では、相対強度の表は特に低エネルギーにおいて不完全又は不一致であるが、SchreiberとWims(1982b)による第2の論文は高エネルギー線の幾つかに対して有益なデータを提供している。本出願人らは、JohnsonとWhite(1970)の表から実験を通じて発展させたOxford InstrumentsのIncaソフトウェアによるセットを用いることを選んだ。各殻又は副殻内の線比は、変化していない所与の電離からの総強度を分配するために合計で1になるように正規化された。このことは、所与の線について計算された強度が他の全てに依存しており、相対強度表のあらゆる調節は反復して行われなければならないことを意味する。しかしながら本出願人らが目指している精度内では、このことは困難ではない。
簡単にするために、本出願人らは、結果として得られる表はビームエネルギーに依存せず、L及びM殻の励起エネルギーはそれぞれLIII又はMVエッジのエネルギーであると仮定している。しかしながら本出願人らは、線がアルファ線と比較して不利となる可能性のある、異なる吸収について引き続き補正を行っており、すなわち表は、サンプルから放射される強度ではなく発生する強度を与えると仮定されている。正規化の結果として、L及びM殻内に空孔を再配分するCoster−Kronig遷移の効果が相対強度表において大きく表現され、蛍光収率を比較的スムーズに変化する原子番号の関数のままとする。
本出願人らは、K及びL殻についての蛍光収率をKrause(1979)の十分に確立された表に基づいており、この表はBambynek他(1972)による先のレビューを要約し補足している。K殻で原子番号10及びLIII殻で原子番号50を下回ると、Krauseによって報告される予測不確かさは10%を超える。同様に、M殻についてOz他(1999)は、Zが72(Hf)を下回ると公開値において拡散が増大し、57(La)で2倍を超えることを報告している。従って、以下に述べる結果から本出願人ら自らの収量表のセットを作成する上で、本出願人らは、高い原子番号に対しては報告値に一致することを目標とし、軽い元素に対しては物理的信頼性の範囲を超えることなく幾らかの著しい相違を許容することができる。このようにして本出願人らは、高エネルギーにおいては公開値に密接に一致し、低エネルギーでは本出願人ら自らのデータに適合した「有効蛍光収率」のセットを完成させた。1keVより下では、化学効果が支配的であり、化合物から得られる数値の拡大が増大する。
次に本出願人らは、式(2)において乗数qK、L、Mを設定する自由度によって、各殻におけるアルファ線の平均強度を互いに一致するようにし、更に本出願人らが確かであることを認識しており、すなわち検出器幾何形状及び入射電流が正確に認識されている測定値と一致させることができる。次いで、所与の系列における他の線は、適切なρA値によって調整され、差分吸収のあらゆる作用についての補正を行う。
従って、本原理は、将来修正が必要となることを予測しながら相対高さについての既存の表を許容し、且つ高エネルギーにおいて確立された値に基づく「有効な」蛍光収率を経験的に判定することであった。従って、K、L、及びM殻強度間のあらゆる差異全体をイオン化断面積に対する乗数qK、L、Mに取り込み、これらはやはり、文献において報告されたものに近いものでなければならない。
多数のスペクトルが利用可能なことにより、入射エネルギーの様々な条件及びターゲットの平均原子番号についてバックグラウンド連続体を抽出することが可能となった。Kramersの法則の発展形として、本出願人らは、発生スペクトルにおける形状及び強度が次の形式の式で独立して調節できることを見出した。
指数P(0.9〜1.15の範囲にある)は、スペクトルの形状、すなわち高エネルギーと低エネルギーとの間の強度分布を制御する一方で、係数F(0.7〜1.2)が強度全体を規定する。驚くことに、PはZのみの関数であるように見えるが、Fは明確にZとE0の両方に依存している。両方とも1から有意に逸脱していることを表す。
炭素、シリコン、銅、及び金についての20kVでの測定スペクトル(全て大気の薄い窓を有する検出器によって得られた)と合成バックグラウンド(白色)との比較は、低エネルギーにおけるスペクトルの詳細を明らかにするが、検出器は、以下に述べるようにこの範囲において十分に特性付けられる必要がある。同様に重要なことは、吸収及び後方散乱についての補正であり、これらはバックグラウンドの各点で行われなければならない。計算を早めるために、これらはStatham(1976)によって述べられたものに類似している簡素化された方法によって行われ、これらの方法は最終結果に対して決定的ではないように思われる。検出器の窓の厚さ等の様々な入力パラメータの変化に対する最終結果の感度を試験するのが容易であり、従って正確に認識しなければならないパラメータを判定するのが容易であることは高速モデルの更なる利点である。
数パーセント内に連続体を計算する能力があれば、総バックグラウンド強度を計算するのは容易である。一般的にこれは主要ピークと同じオーダーの強度であり、従ってピーク近くの狭幅チャネルにおけるバックグラウンドよりもはるかに良好な統計精度で求めることができる。以下PB比と呼ぶピーク強度/総バックグラウンド強度の比率は、少なくとも2つの点において有用である。
1.これにより、合成スペクトルを検出立体角が未知である検出器から得られた測定スペクトルと直接比較することが可能となり、これはPB比が検出立体角から(並びにプローブ電流及び計数時間からも)独立しているためである。本出願人らは、シミュレーションモデルの開発にPB比を極めて有益に用いており、検出立体角が利用不能であった6又は8つの異なる器具からのスペクトルを利用することが可能である。しかしながら検出器の曲線は連続体の形状に本質的に影響を与えるため、当然ながら検出器効率がエネルギーと共にどのように変化するかを認識する必要がある。
2.PB比を認識することは、重なり合ったピークの同定を助け、この場合可能性のある代替手段は、これらの異なるPB比によって識別可能とすることができる。Statham(2000)は、純クロムによるCrLα(573eV)及びCrLl(500eV)複合ピークのPB比がCr23からのものよりもどれ程有意に小さいかを示しており、これは520eVにおける酸素のKピークによるものである。この識別は、ピーク形状からは明らかではないが、PB比からは明確である。このようにPB比の正確な認識は、ピーク位置及び強度に加えられる組成情報、すなわち原理的に標準物を使用することなく絶対分析の実行を可能にする情報をもたらす。
モデルの妥当性検証の目的で、データは異なる検出器及び取出し角を用いて3つの異なる発生源から集められた。表2に示すように、309個のスペクトルから167個のKαピーク、145個のLαピーク、及び48個のMαピークがあり、全体では360個のアルファピークがあった。これらはエネルギーで0.28keVから14.1keVの範囲にわたり、各系列におけるピークのおよそ半分はエネルギーで2keVを下回っており、これは本出願人らが特に試験することを望む範囲である。スペクトルの約80%は最も一般に用いられる10〜20kVの条件下で取られ、残りは5及び30kVの極端な状態の試験を受け持った。化合物サンプルから98個のスペクトルがあり、これらのうち86個のピークは2keVを下回った。この段階では360の独立した測定を表すアルファピーク以外についてのシミュレーション精度を試験する試みは行われなかった。従って、これらの結果は、アルファピーク内に入る放射比を決定する範囲に限っては相対高さ表における不正確さに対し敏感であった。
サンプルは通常どおり10〜15nmの厚さまで研磨した後、炭素で被覆された。シミュレーションでは、入射ビームのリターデーション、層内で発生した特性ピーク、及び下にあるサンプルから出現するX線の吸収についての補正を行うことで炭素層の存在が許容された。サンプル自体が炭素を含まない場合には、厚さは0.28keVにおいて測定されるピークの高さから正確に決定することができるが、通常は15nmの厚さに仮定することで十分であった。
検出器の分解能は、電子雑音からの寄与をシリコン中に解放された有限個の電子−空孔ペアによって生成されたものに求積法で加算する通常の方法によってシミュレートされた。所与のスペクトルの高及び低エネルギー端において合成ピークと測定ピークとを適合することにより、検出器を1〜2eV内(最大高さの半値全幅)で較正することができ、用いた検出器は、130から140eVまで(MnKαエネルギーで)の分解能を示した。実際に、分解能の正確な認識は、調査中のピークに別のものが部分的に重なり合う、例えばMoLα1にMoLβ1が重なり合った場合にのみ必要であった。他の事例ではシミュレーションは、最大値のどちらの側でも±3標準偏差間でピーク強度を積分しており、これはガウス分布であると考えられる。
窓効率は、特に低エネルギーで窓のカットオフの近くでスペクトルに影響を与えるのでより大きな問題となった。ベリリウム窓では約2keVを下回ってこれが生じ、薄膜窓では1keVをはるかに下回った。超大気薄窓(SATW)及び超極薄窓(SUTW)は、シリコン格子上に支持されたポリマー膜からなり、その厚さ及び寸法の公称値が利用可能である。また既知の厚さのアルミニウム膜がある。従って、僅かに異なる厚さに対して結果を適用することにより、全ての波長における透過率を計算し、これらの仮定における誤差に対する感度を試験することが可能である。幾度かの繰り返しの後、一貫した画像が現れ、実際に、製造業者の数字は本発明の目的には十分正確であるように思われた。ベリリウム窓(Be)の事例ではこれとは異なり、8μmの公称厚さは10.5μmにより近いようであった。
SATW窓及びSUTW窓の事例での別の不確かさは、支持格子による不明瞭化であり、これにより検出器によって範囲が定められた立体角が効果的に低減される。幸いにも、この低減はピークとバックグラウンドとに等しく影響を与えるので、これはこの研究で採用された方法においては問題ではない。10keVを上回るエネルギーについては、この格子が透過するようになり、この効果は本出願人らのモデルでは許容される。Be検出器によって絶対較正が実行され、既知の直径のアパーチャ及びサンプルからの距離によって制限された。
検出器自体の構成は効率決定においては重要ではない。伝導層、不感層(存在するならば)、及びシリコン厚について仮定する必要があり、この場合も同様に最終結果をこれらの仮定におけるあらゆる誤差に対する感度について試験することができる。本出願人らが目標とする10%精度内では、本出願人は検出器効率における不確かさは制限要因である必要はないと考えている。
スペクトルは、Kαピーク、Lαピーク、Mαピーク、及び全ての360個ピークを共に含む4つのバッチにおいて処理された。最終区分は、前の3つのチェックを受け持ち、2keVより上及び下にあるピークエネルギーに対応して、2つの部分に分けられた。各スペクトルについて、以下の操作を行った。
・ピークをフィルタ除去し内挿バックグラウンドを生成する。
・既知の組成からスペクトルを合成する。
・合成バックグラウンドを内挿スペクトルに調整する。
・合成バックグラウンドを除去して測定ピークを得る。
・各ピークを順に選択し、ピーク強度/総バックグラウンドを計算する。
・測定及び合成ピークについてPB比を比較し、比率を記録する。
各バッチが完了すると、誤差比の平均及び標準偏差が、シミュレーション精度の尺度として計算される。次いで、各元素についての各殻内の平均誤差比を用いて、この比率を1にすると考えられる想定蛍光収率を計算する。原子番号に対してK、L、及びMの収量について結果として得られる曲線は、上述のようにKrauseとOzのデータに適合され、これを用いて、低エネルギーにおける滑らかな有効収量曲線を生成する。この全ては反復処理の一部であり、引用した論文ではこれから最終結果が与えられる。
3つの殻の各々からの放射強度を決定付ける式(3)の乗数qK、qL、及びqMを本出願人らが正確に設定したことが、上述の処理において暗黙の内に示されている。それに加えて連続体バックグラウンドの全体的強度は、式(4)における係数kによって規定される。PB比の計算は、比率q/kにのみ依存するが、本出願人らは、総計数速度従って統計ノイズを予測するために、各々の絶対値を知る必要がある。幸いこれは高精度を通常は必要としない。
文献において異なる形式の表現で比較することは困難であるので、本出願人らは、サンプルにおいて範囲が定められた立体角が数パーセント内で認識される、格子無しのBe窓検出器を用いて本出願人ら独自のqK値を求めた。167個のK線のデータセットを用い、Be窓の透過率が1に近い、>3keVのエネルギーを有する14個のピークを選択した。この制限設定の標準偏差は僅か2.8%であり、そのためqKにおける誤差は10%を十分下回っているはずである。qKを認識すると、全てのK線にわたって取られたPB比の平均値からバックグラウンド因子kを導出することができ、次いでkを認識することにより、対応するL及びMのデータセットからqL及びqMを求めることができる。次に、これらの値がK、L、及びMセットの各々についてチェックされ、最後に360個のサンプルの組合せセットについてチェックされる。
Kの精度チェックとして、本出願人らはこれを既知の条件の下でX線生成の効率を計算するために用い、これを過電圧比が2である、すなわち18kVの電子ビームを有するCuKα放射の効率の公開された研究と比較する。この条件は文献においておそらく最も良く知られている。本研究は、Lifshin他(1977)によって引用された6.4〜7.6の範囲の下端に入るが、GreenとCosslett(1968)のもの、及びJoy(1998)のものとも密接に一致する。絶対強度はおそらく数パーセント以内で正確であり、このことはノイズ統計の評価としては全く十分であると本出願人らは結論付ける。
例示的なシステムを示す図である。 例示的な方法のフロー線図である。 第1の実施例によるSi(Li)検出器を用いたX線エネルギースペクトルである。 第2の実施例によるスペクトルであり、試料の帯電を示している図である。
符号の説明
2 走査電子顕微鏡(SEM)
3 X線分析システム
4 チャンバ
5 試料ホルダ
6 電子銃
10 試料
11 検出器
15 制御コンピュータ
20 リモートデータベース

Claims (15)

  1. X線放射特性を用いて物質を同定する方法であって、
    (a)入射エネルギービームに応答して試料のX線放射特性を表すX線データを得る段階と、
    (b)複数の物質の組成データを含み、前記試料の物質が内部に収容されている既存のデータセットを得る段階と、
    (c)前記組成データおよびスペクトル・シミュレーションモデルを用いて前記データセット内の物質の各々に対して予測X線データを計算する段階と、
    (d)計算されたマッチングパラメータを用いて前記得られたX線データと前記予測X線データとを比較し、前記マッチングパラメータを用いて前記物質を前記データセットの中で順位付けする段階と、
    (e)前記比較順位に基づいて、前記複数の物質から1つの物質が前記試料の中の物質の可能性にかかる、複数の物質の同一性を判定する段階と、を含み、
    前記マッチングパラメータが第1のマッチングパラメータと第2のマッチングパラメータとから成り、前記第1のマッチングパラメータが前記データセットからの上位N個の前記可能性のある物質を選択するのに用いられ、前記第2のマッチングパラメータが選択された前記N個の物質を更に順位付けするのに用いられることを特徴とする方法。
  2. 前記計算段階(c)は、帯電している前記試料のX線放射特性への影響の計算を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記X線放射特性がX線スペクトルである場合には、前記段階(d)における前記マッチングパラメータはピークを含む前記X線スペクトル内の範囲内でのみ計算され、かかる範囲において前記ピーク強度に依存しないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記X線放射特性がX線スペクトルである場合には、前記段階(d)における前記マッチングパラメータは前記スペクトルの制動放射バックグラウンドに基づいて計算されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記X線放射特性がX線スペクトルであり、前記取得されたX線データは複数チャネルの検出器データを含む場合には、前記段階(d)における前記マッチングパラメータは前記取得されたX線データの全てのチャネルに対する正規化相互相関係数に基づいて計算されることを特徴とする請求項1、3または4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記段階(d)における前記マッチングパラメータが、ノイズと比較して統計的に有意な強度を有する、前記スペクトル内のピークに近いチャネルのみに基づいて計算されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記段階(d)における前記マッチングパラメータは、異なるチャネルに対する重み係数に基づいて計算されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の方法。
  8. 前記段階(d)における前記マッチングパラメータは、請求項1、3または4のいずれかに従って計算されたマッチングパラメータの重み合計又は積に基づいて計算されることを特徴とする請求項5から7までのいずれかに記載の方法。
  9. 前記データセット内の複数の物質の組成データが構造データを更に含み、前記同一性が判定された物質が前記試料の関連する構造を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の方法。
  10. 前記複数の物質の組成データが前記関連する構造の1つ又はそれ以上の構成要素の寸法を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
  11. 前記複数の物質の組成データが前記物質の組成についての情報を含むことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
  12. 同定されるべき各関連する物質についての前記複数の物質の組成データが対応する識別コードを含むことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記段階(a)における前記X線放射特性データが、2つ又はそれ以上の入射ビーム条件下で前記試料から得られるデータを表し、前記段階(c)における前記予測X線データが、各異なる条件について計算され、前記段階(e)における前記判定は前記異なる入射ビーム条件に基づくことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記入射X線ビームは、電子ビーム、X線ビーム、又はイオンビームのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の方法。
  15. 使用時に同定されることになる物質を含む試料が配置され、ビーム発生デバイス、試料ホルダ、及びX線検出器を有するX線分析装置と、
    使用時に、
    (a)入射エネルギービームに応答して試料のX線放射特性を表すX線データを得る段階と、
    (b)複数の物質の組成データを含み、前記試料の物質が内部に収容されている既存のデータセットを得る段階と、
    (c)前記組成データおよびスペクトル・シミュレーションモデルを用いて前記データセット内の物質の各々に対して予測X線データを計算する段階と、
    (d)計算されたマッチングパラメータを用いて前記得られたX線データと前記予測X線データとを比較し、前記マッチングパラメータを用いて前記物質を前記データセットの中で順位付けする段階と、
    (e)前記比較順位に基づいて、前記複数の物質から1つの物質が前記試料の中の物質の可能性にかかる、複数の物質の同一性を判定する段階と、を実行するように適合されたコントローラと、を備え
    前記マッチングパラメータが第1のマッチングパラメータと第2のマッチングパラメータとから成り、前記第1のマッチングパラメータが前記データセットからの上位N個の前記可能性のある物質を選択するのに用いられ、前記第2のマッチングパラメータが選択された前記N個の物質を更に順位付けするのに用いられることを特徴とする物質同定のためのX線システム。
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