JP2018109574A - 組成分析方法及び組成分析装置 - Google Patents

組成分析方法及び組成分析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018109574A
JP2018109574A JP2017000568A JP2017000568A JP2018109574A JP 2018109574 A JP2018109574 A JP 2018109574A JP 2017000568 A JP2017000568 A JP 2017000568A JP 2017000568 A JP2017000568 A JP 2017000568A JP 2018109574 A JP2018109574 A JP 2018109574A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
calculated
composition
electron beam
density
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017000568A
Other languages
English (en)
Inventor
秀史 山口
Hideshi Yamaguchi
秀史 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Ltd filed Critical Fujitsu Ltd
Priority to JP2017000568A priority Critical patent/JP2018109574A/ja
Publication of JP2018109574A publication Critical patent/JP2018109574A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

【課題】組成分析方法及び組成分析装置に関し、試料の組成をX線吸収の影響を抑えて正確に求めると同時に試料厚さと試料の密度も求める。【解決手段】試料の同一領域に電子線を照射して特性X線スペクトルとEELSスペクトルを同時に取得し、X線分光分析において、吸収補正を行わずに試料を構成する元素の組成比を算出し、算出した組成比から試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出するとともに、電子エネルギー損失分光分析において、算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて試料の厚さを算出し、算出した質量吸収係数、密度及び厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って試料を構成する元素の組成比を再算出する。【選択図】図2

Description

本発明は、組成分析方法及び組成分析装置に関するものであり、例えば、X線分光法と電子エネルギー損失分光法による組成分析方法及び厚さ測定方法及び密度測定方法を組み合わせた組成分析方法及び組成分析装置に関する。
X線分光法を用いて、材料に含まれる元素の組成や含有率を求める技術が知られている。図6は透過型電子顕微鏡(TEM)に装着されたエネルギー分散型X線分光(EDS)装置を用いた従来のTEM−EDS分析方法の説明図である。
TEM観察用試料は一般に薄片化された試料53であるが、TEM鏡体50の内部において電子線照射部51からの入射電子線55を試料ホルダー52で保持した試料53に照射し、試料53から発生する各元素の特性X線56の強度をEDS検出器54で検出する。検出した特性X線56からkファクター(k因子)と呼ばれる係数k,k,k・・・を用いて試料53の組成が求められる。
試料53を構成する元素をA,B,C,・・・とし、検出された各元素の特性X線強度をそれぞれI,I,I,・・・とすると、元素Aの濃度Cは次の式(1)で表される。
=k/(k+k+k・・・) ・・・(1)
他の元素B,C,・・・の組成C,C,・・・についても、これと同様にして求めることができる。
試料53に含まれる元素Aのkファクターkは、以下の理論式(2)で表される。
=M/σωε ・・・(2)
式(2)において、Mは元素Aの原子量、σは元素Aのイオン化断面積、ωは元素Aの蛍光収率、pは元素Aから発生する各種特性X線(Kα線、Kβ線、Lα線等)に対する着目する特性X線の割合、εは元素Aの検出器効率である。他の元素B,C,・・・のkファクターk,k,・・・も、同様の理論式となる。
上記式(2)のような理論式を用いることで、各元素のkファクターk,k,k・・・を求めることができる。しかし、この式(2)のような理論式では、X線吸収の問題が考慮されていない。
図7は、TEM-EDS分析における試料内のX線吸収の説明図である。図7に示すように、試料53の内部で発生した特性X線56は試料53内を透過する間に吸収されて減衰する。エネルギー、即ち、波長が異なる特性X線56では吸収の度合いが異なるので、EDS検出器54で検出される各元素の特性X線56の強度比が変化し、そこから算出される各元素の濃度比も変化するという問題が生じる。
このX線吸収の問題を解決するために、吸収補正という方法が知られている。次の式(3)は元素Aの吸収補正係数Fである。
={1−exp[−(μ/ρ)×cosec(θ)×ρt]}/{(μ/ρ)×cosec(θ)×ρ} ・・・(3)
ここで、(μ/ρ)は元素Aの特性X線の質量吸収係数、θは検出器の角度、ρは試料53の密度、tは試料53の厚さである。
元素Aの質量吸収係数(μ/ρ)は、以下の式(4)から求められる。
(μ/ρ)=C×(12.396/Eα×Zβ・・・(4)
ここで、Eは元素Aの特性X線のエネルギー、Zは試料53の平均原子番号である。また、C,α,βは係数であり、公知の値(例えば、非特許文献1参照)を用いることが可能である。他の元素B,C,・・・の吸収補正係数F,F,・・・についても、これと同様にして求めることができる。
試料53内で吸収される前の元素Aの特性X線の強度をIA0とすると、IA0は以下の式(5)で表される。
A0=I/F ・・・(5)
他の元素B,C,・・・の試料内で吸収される前の特性X線の強度IB0,IC0,・・・についても、これと同様にして求めることができる。上記の式(1)においてI,I,I,・・・の代わりにIA0,IB0,IC0,・・・を代入することにより吸収補正が可能となる。
吸収補正を行うために必要なパラメータである質量吸収係数(μ/ρ)、試料53の密度ρ、EDS検出器54の角度θ、試料53の厚さtの中でEDS検出器54の角度θは試料53によらず一定である。しかし、組成が未知の試料53では質量吸収係数(μ/ρ)のための平均原子番号Zと密度ρが算出できない。また、薄片化された試料53の厚さtは必ずしも一定ではなく不均一な場合が多く、試料53を横から観察しても正確な厚さtを測定することは困難である。
一方、薄片化した試料53の厚さtを測定する手法として、電子エネルギー損失分光法(EELS)を利用した手法が知られている。図8は、従来のTEM−EELS分析の説明図である。図8に示すように、TEM鏡体50の内部において電子線照射部51からの入射電子線55を試料ホルダー52で保持した試料53に照射し、試料53を透過した透過電子線58をEELS検出器57で検出する。
透過電子線58は、透過電子、弾性散乱電子及び非弾性散乱電子に分類される。透過電子と弾性散乱電子の強度の和をI、非弾性散乱電子の強度をIとすると、試料53の厚さtは次式で表される。
t=λ×ln((I+I)/I )・・・(6)
ここで、λは非弾性散乱平均自由工程であり、次式で表される。
λ=18.2×G×E/(ρ0.3×ln[1/2+(G×E×φ/(7.8×ρ0.3 ))] ・・・(7)
G=(1+E/1022)/(1+E/511) ・・・(8)
ここで、EはTEMの加速電圧、φはEELS検出器57の取り込み角度であり、これらの値は試料53によらず一定である。
特開2003−098130号公報 特開2004−022318号公報
J.Thomas and T.Gemming,Analytical Transmission Electron Microscopy: An Introduction for Operators,p.309,Springer, (2014)
しかし、組成が未知の試料では密度ρが不明であり、式(7)において非弾性散乱平均自由工程λが算出できず、また、式(6)において試料の厚さtを求めることができないという問題がある。以上のように、組成が未知の試料では平均原子番号Zと密度ρが算出できないため、EDS分析の吸収補正が行えず正確な組成を求めることができない。
特許文献1ではEDSの特性X線強度のマッピング像において像内での試料厚さの不均一によるX線強度の変化を、EELSスペクトルから求まるt/λで特性X線強度を除することで補正している。しかし、EELSスペクトルから算出される試料厚さtを用いたX線分光法の吸収補正(式(3),(5))は行っていない。また、特性X線強度のマッピング像内での強度の補正しているだけであり、組成値は算出していない。
本発明は、試料の組成をX線吸収の影響を抑えて正確に求めると同時に試料厚さと試料の密度も求めることを目的とする。
一つの態様では、組成分析方法は、電子線照射型測定装置内に配置された試料の同一領域に電子線を照射してX線分光分析と電子エネルギー損失分光分析を行なう工程と、前記X線分光分析において、吸収補正を行わずに前記試料を構成する元素の組成比を算出する工程と、前記算出した組成比から前記試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出する工程と、前記電子エネルギー損失分光分析において、前記算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて前記試料の厚さを算出する工程と、算出した前記質量吸収係数、前記密度及び前記厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って前記試料を構成する元素の組成比を再算出する工程とを備えている。
他の態様では、組成分析装置は、電子線照射型測定装置と、前記電子線照射型測定装置内に設置された試料ホルダーと、前記試料ホルダーで保持した試料に電子線が照射された際に発生する前記試料を構成する各元素の特性X線を検出するX線分光分析器と、前記試料を透過した電子線の強度を測定する電子エネルギー損失分光分析器と、前記試料の組成比、密度及び厚さを算出する組成分析プログラムを格納した処理装置とを備え、前記組成分析プログラムは、前記電子線照射型測定装置内に配置された前記試料の同一領域に電子線を照射してX線分光分析と電子エネルギー損失分光分析を行ない、前記X線分光分析において、吸収補正を行わずに前記試料を構成する元素の組成比を算出し、前記算出した組成比から前記試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出し、前記電子エネルギー損失分光分析において、前記算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて前記試料の厚さを算出し、算出した前記質量吸収係数、前記密度及び前記厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って前記試料を構成する元素の組成比を再算出する処理を前記処理装置に実行させる。
一つの側面として、試料の組成をX線吸収の影響を抑えて正確に求めると同時に試料厚さと試料の密度も求めることが可能になる。
本発明の実施の形態の組成分析装置の概念的構成図である。 本発明の実施の形態の組成分析方法のフロー図である。 本発明の実施例1の組成分析に用いる組成分析装置の概念的構成図である。 本発明の実施例1の組成分析におけるEDSスペクトルである。 本発明の実施例1の組成分析におけるEELSスペクトルである。 従来のTEM−EDS分析方法の説明図である。 TEM-EDS分析における試料内のX線吸収の説明図である。 従来のTEM−EELS分析方法の説明図である。
ここで、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態の組成分析方法及びそれに用いる組成分析装置を説明する。図1は、本発明の実施の形態の組成分析装置の概念的構成図である。本発明の実施の形態の組成分析装置は、電子線照射部11及び試料13を保持する試料ホルダー12を備えた電子線照射型測定装置10内に特性X線検出器15及び透過電子線検出器18を装着する。試料13としては10nm〜10μm程度の薄層化試料が望ましく、集束イオンビーム(FIB)法及びイオンミリング法を用いて薄層化しても良い。或いは、粉砕法、分散法、電解研磨法、化学研磨法或いはミクロトーム法等を用いて薄層化しても良い。
X線分光分析器14は特性X線検出器15とパルスプロセッサ16とを備え、電子照射部11から照射された入射電子線20により発生する特性X線21を特性X線検出器15で検出し、kファクターk,k,k・・・を用いて特性X線21から試料13を構成する各元素の濃度を求め、試料13の組成を求める。なお、パルスプロセッサ16は、特性X線検出器15の出力信号(階段波)の各段の高さをその高さに比例したパルスに変換して、パルス信号を出力する。
電子エネルギー損失分光分析器17は、透過電子線検出器18及び透過電子線検出器制御部19とを備え、電子照射部11から照射された入射電子線20が試料13を透過した透過電子線22を透過電子線検出器制御部19で制御した透過電子線検出器18により検出する。検出した透過電子線22からEELSスペクトルを求め、EELSスペクトルから透過電子と弾性散乱電子の強度の和と非弾性散乱電子の強度を求め、非弾性散乱平均自由工程λを用いて試料13の厚さtを求める。
電子線照射部11は、電子線照射型測定装置制御部23により制御され、電子線照射型測定装置制御部23、パルスプロセッサ16及び透過電子線検出器制御部19は組成分析プログラム25を格納した処理装置24により制御される。なお、処理装置24は典型的にはコンピュータである。処理装置24に格納された組成分析プログラム24は、図2に示すフローにしたがって組成分析を行う。
図2は、本発明の実施の形態の組成分析方法のフロー図である。
S1:まず、特性X線スペクトルとEELSスペクトルを同時測定により試料の同一領域から取得する。次いで、
S2:特性X線スペクトルに基づいて、吸収補正なしで試料の組成値を算出する。次いで、
S3:得られた組成値を元に平均原子番号Zを算出し、式(4)より質量吸収係数μ/ρを求め、また、試料の密度ρを組成値から算出する。また、非弾性散乱平均自由工程λを算出する。次いで、
S4:EELSスペクトルから透過電子と弾性散乱電子の強度の和と非弾性散乱電子の強度を求め、S3で求めた非弾性散乱平均自由工程λを用いて試料の厚さtを算出する。次いで、
S5:吸収補正により組成値を再算出する。次いで、
S6:再算出した組成値が収束しているか否かを判定し、収束していない場合には、S3に戻り、収束している場合にはフローを終了する。
なお、収束しているか否かの判定は、再算出した組成値と再算出する前の組成値の差が、予め定めた範囲内にあるか否かにより判定するものであり、通常は、差が0.1%以下の場合に収束していると判定する。また、このような収束計算は、通常は3〜4回繰り返せば、組成値は収束する。
試料13としては、化合物半導体のようにベガードの規則に従う化合物であることが望ましい。なお、SiGe等の混晶や合金等の場合には、密度ρを算出する工程において、組成比と密度の関係が線形或いは格子定数がベガードの規則に従うかのいずれかであると近似することにより密度を組成比から算出すれば良い。
電子線照射型測定装置10としては、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査電子顕微鏡(SEM)或いは電子線マイクロアナライザ装置(EPMA)等を用いれば良い。また、X線分光分析器14としては、エネルギー分散型X線分光分析器(EDS)或いは波長分散型X線分光分析器(WDS)等を用いれば良い。なお、電子線マイクロアナライザ装置は、電子線を試料に照射することにより発生する特性X線の波長と強度から構成元素の分析を主体とした電子マイクロプローブ装置である。この場合、特性X線検出器に波長分散型X線分光分析器を用いるため、波長分散型X線分光分析器と同様にエネルギー分散型X線分光分析器と比べて定量精度は良いが検出効率が悪く、より高い照射電流を必要とする。
次に、図3乃至図5を参照して、本発明の実施例1の組成分析方法を説明する。図3は、本発明の実施例1の組成分析方法に用いる組成分析装置の概念的構成図である。本発明の実施例1の組成分析装置は、電子線照射部31及び試料33を保持する試料ホルダー32を備えたTEM鏡体30内にEDS検出器34及びEELS検出器35を装着する。
電子照射部31から照射された入射電子線36により発生する特性X線37をEDS検出器34で検出し、kファクターk,k,k・・・を用いて特性X線37から試料33を構成する各元素の濃度を求め、試料33の組成を求める。
電子照射部31から照射された入射電子線36が試料33を透過した透過電子線38をEELSコントローラ41で制御されたEELS検出器35で検出する。検出した透過電子線38からEELSスペクトルを求め、EELSスペクトルから透過電子と弾性散乱電子の強度の和と非弾性散乱電子の強度を求め、非弾性散乱平均自由工程λを用いて試料33の厚さtを求める。
電子線照射部31は、TEM制御部39により制御され、TEM制御部39、パルスプロセッサ40及びEELSコントローラ41は組成分析プログラム43を格納したコンピュータ42により制御される。
次に、組成分析プログラム43に基づく組成分析方法を説明するが、ここでは、試料として、例えば、ベガードの規則に従うAlGaAsを用いた場合として説明する。AlGaAs等の化合物では組成比と格子定数が比例関係にあるので組成比と密度ρの関係が求められる。なお、試料の中央部をFIB法(集束イオンビーム法)及びイオンミリング法を用いて予め10nm〜10μmの厚さに薄層化しておく。また、TEM鏡体30の内部の真空度は10−5Pa以上の高真空とする。
電子線照射部31で発生した入射電子線36を試料33の薄層化した領域の分析個所に照射しEDSスペクトルとEELSスペクトルを同時測定により同一個所から取得する。得られたEDSスペクトルとEELSスペクトルはそれぞれパルスプロセッサ40とEELSコントローラ41を介してデータとしてコンピュータ42に格納される。
図4は、本発明の実施例1の組成分析におけるEDSスペクトルであり、Al-Kα、Al-Lα、Ga-Kα、Ga-Lα、As-Kα、As-Lαの特性X線が検出された。ここでは、組成比を求めるための特性X線として、Al-Kα、Ga-Kα及びAs-Kαを用いた。なお、Si-Kαは試料ホルダー32からのバックグランドである。
このAl-Kα、Ga-Kα及びAs-Kαを用いて、コンピュータ42上でEDSスペクトルから吸収補正無しで上記の式(1)より組成値を算出する。次いで、得られた組成値を元に平均原子番号Zを算出し、上記の式(4)より質量吸収係数μ/ρを求める。また、試料33の密度ρを組成値から算出し、式(7)より非弾性散乱平均自由工程λを算出する。
次いで、EELSスペクトルから透過電子と弾性散乱電子の強度の和Iと非弾性散乱電子の強度Iを求め、上記で算出された非弾性散乱平均自由工程λを用いて上記の式(6)より試料33の厚さtを算出する。図5は、本発明の実施例1の組成分析におけるEELSスペクトルである。なお、透過電子と弾性散乱電子との区別はつかない。
次いで、上記で算出された質量吸収係数μ/ρ、密度ρ、試料の厚さtから上記の式(3)より吸収補正係数FAl、FGa,FAsを求め、上記式(5)と上記式(1)を用いて吸収補正された組成値を再算出する。
再算出した組成値と再算出前の組成値との差が、予め設定した範囲内でない場合には、再算出された組成値を元に上記の手順で質量吸収係数μ/ρ、密度ρ、試料の厚さtを再度算出し新たな組成値を求める。以上の手順を組成値が収束するまで繰り返すことにより吸収補正された組成値が求まる。この時同時に試料の厚さtと密度ρも求まる。
以下において、実施例1の組成分析結果を示すが、ここでは、収束計算を3回行った。
Figure 2018109574
表1は分析した試料の予め既知の組成と密度であり、試料としてAl15Ga85Asを用い、その密度ρは5.08g/cmである。
Figure 2018109574
表2は組成と試料厚さと密度の分析結果である。従来法に比べて本発明の実施例1の新手法の方がより正確に試料の組成値が求められていることがわかる。また、新手法では試料厚さtと密度ρも得られており、得られた密度ρは5.09g/cmであり、真の値に近い値が得られている。
このように、本発明の実施例1においては、X線分光法と電子エネルギー損失分光法を用いてEDSスペクトルとEELSスペクトルを同じ領域から同時測定し、吸収補正なしで組成値を求めたのちに、吸収補正を行って組成値を再算出している。それによって、試料の組成と試料厚さと密度を正確に測定することができる。
上記の実施例1では、組成比と密度の関係が明らかになっているAlGaAsを試料とする場合について述べたが、組成比と密度の関係が明らかでない化合物または混合物にも適用されるものである。この場合には、組成比に対して密度が線形に変化する或いは格子定数がベガードの規則に従うと近似することによりEDS分析の吸収補正が可能となり、吸収補正をしない場合に比べてより正確な組成値を得ることが可能となる。なお、収束計算が収束しない場合には組成比と密度の関係を適宜変化させ収束計算が収束するような関係を探索し、組成値を算出すれば良い。
ここで、実施例1を含む本発明の実施の形態に関して、以下の付記を付す。
(付記1)電子線照射型測定装置内に配置された試料の同一領域に電子線を照射してX線分光分析と電子エネルギー損失分光分析を行なう工程と、前記X線分光分析において、吸収補正を行わずに前記試料を構成する元素の組成比を算出する工程と、前記算出した組成比から前記試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出する工程と、前記電子エネルギー損失分光分析において、前記算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて前記試料の厚さを算出する工程と、算出した前記質量吸収係数、前記密度及び前記厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って前記試料を構成する元素の組成比を再算出する工程とを備えた組成分析方法。
(付記2)前記吸収補正による組成比の再算出に収束計算を使用する付記1に記載の組成分析方法。
(付記3)前記試料は、ベガードの規則に従う化合物である付記1または付記2に記載の組成分析方法。
(付記4)前記密度を算出する工程において、前記組成比と前記密度の関係が線形或いは格子定数がベガードの規則に従うかのいずれかであると近似することにより前記密度を前記組成比から算出する付記1または付記2に記載の組成分析方法。
(付記5)前記電子線照射型測定装置が、透過型電子顕微鏡、走査電子顕微鏡或いは電子線マイクロアナライザ装置のいずれかである付記1乃至付記3のいずれか1に記載の組成分析方法。
(付記6)前記X線分光分析において、エネルギー分散型X線分光法或いは波長分散型X線分光法を用いる付記1乃至付記3のいずれか1に記載の組成分析方法。
(付記7)電子線照射型測定装置と、前記電子線照射型測定装置内に設置された試料ホルダーと、前記試料ホルダーで保持した試料に電子線が照射された際に発生する前記試料を構成する各元素の特性X線を検出するX線分光分析器と、前記試料を透過した電子線の強度を測定する電子エネルギー損失分光分析器と、前記試料の組成比、密度及び厚さを算出する組成分析プログラムを格納した処理装置と
を備え、前記組成分析プログラムは、前記電子線照射型測定装置内に配置された前記試料の同一領域に電子線を照射してX線分光分析と電子エネルギー損失分光分析を行ない、前記X線分光分析において、吸収補正を行わずに前記試料を構成する元素の組成比を算出し、前記算出した組成比から前記試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出し、前記電子エネルギー損失分光分析において、前記算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて前記試料の厚さを算出し、算出した前記質量吸収係数、前記密度及び前記厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って前記試料を構成する元素の組成比を再算出する処理を前記処理装置に実行させる組成分析装置。
(付記8)前記電子線照射型測定装置が、透過型電子顕微鏡、走査電子顕微鏡或いは電子線マイクロアナライザ装置のいずれかである付記7に記載の組成分析装置。
(付記9)前記X線分光分析器が、エネルギー分散型X線分光分析器或いは波長分散型X線分光分析器のいずれかである付記7または付記8に記載の組成分析装置。
10 電子線照射型測定装置
11 電子線照射部
12 試料ホルダー
13 試料
14 X線分光分析器
15 特性X線検出器
16 パルスプロセッサ
17 電子エネルギー損失分光分析器
18 透過電子線検出器
19 透過電子線検出器制御部
20 入射電子線
21 特性X線
22 透過電子線
23 電子線照射型測定装置制御部
24 処理装置
25 組成分析プログラム
30 TEM鏡体
31 電子線照射部
32 試料ホルダー
33 試料
34 EDS検出器
35 EELS検出器
36 入射電子線
37 特性X線
38 透過電子線
39 TEM制御部
40 パルスプロセッサ
41 EELSコントローラ
42 コンピュータ
43 組成分析プログラム
50 TEM鏡体
51 電子線照射部
52 試料ホルダー
53 試料
54 EDS検出器
55 入射電子線
56 特性X線
57 EELS検出器
58 透過電子線

Claims (5)

  1. 電子線照射型測定装置内に配置された試料の同一領域に電子線を照射してX線分光分析と電子エネルギー損失分光分析を行なう工程と、
    前記X線分光分析において、吸収補正を行わずに前記試料を構成する元素の組成比を算出する工程と、
    前記算出した組成比から前記試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出する工程と、
    前記電子エネルギー損失分光分析において、前記算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて前記試料の厚さを算出する工程と、
    算出した前記質量吸収係数、前記密度及び前記厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って前記試料を構成する元素の組成比を再算出する工程と
    を備えた組成分析方法。
  2. 前記吸収補正による組成比の再算出に収束計算を使用する請求項1に記載の組成分析方法。
  3. 前記試料は、ベガードの規則に従う化合物である請求項1または請求項2に記載の組成分析方法。
  4. 前記密度を算出する工程において、前記組成比と前記密度の関係が線形或いは格子定数がベガードの規則に従うかのいずれかであると近似することにより前記密度を前記組成比から算出する請求項1または請求項2に記載の組成分析方法。
  5. 電子線照射型測定装置と、
    前記電子線照射型測定装置内に設置された試料ホルダーと、
    前記試料ホルダーで保持した試料に電子線が照射された際に発生する前記試料を構成する各元素の特性X線を検出するX線分光分析器と、
    前記試料を透過した電子線の強度を測定する電子エネルギー損失分光分析器と、
    前記試料の組成比、密度及び厚さを算出する組成分析プログラムを格納した処理装置と
    を備え、
    前記組成分析プログラムは、前記電子線照射型測定装置内に配置された前記試料の同一領域に電子線を照射してX線分光分析と電子エネルギー損失分光分析を行ない、前記X線分光分析において、吸収補正を行わずに前記試料を構成する元素の組成比を算出し、前記算出した組成比から前記試料の質量吸収係数、密度及び非弾性散乱平均自由工程を算出し、前記電子エネルギー損失分光分析において、前記算出した非弾性散乱平均自由工程を用いて前記試料の厚さを算出し、算出した前記質量吸収係数、前記密度及び前記厚さを用いてX線分光分析の吸収補正を行って前記試料を構成する元素の組成比を再算出する処理を前記処理装置に実行させる組成分析装置。
JP2017000568A 2017-01-05 2017-01-05 組成分析方法及び組成分析装置 Pending JP2018109574A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017000568A JP2018109574A (ja) 2017-01-05 2017-01-05 組成分析方法及び組成分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017000568A JP2018109574A (ja) 2017-01-05 2017-01-05 組成分析方法及び組成分析装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018109574A true JP2018109574A (ja) 2018-07-12

Family

ID=62845070

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017000568A Pending JP2018109574A (ja) 2017-01-05 2017-01-05 組成分析方法及び組成分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018109574A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114923938A (zh) * 2022-05-24 2022-08-19 长江存储科技有限责任公司 样品的表征方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114923938A (zh) * 2022-05-24 2022-08-19 长江存储科技有限责任公司 样品的表征方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7680243B2 (en) X-ray measurement of properties of nano-particles
CN110312928B (zh) 荧光x射线分析方法以及荧光x射线分析装置
JP5264061B2 (ja) 物質同定のための方法及び装置
US7411188B2 (en) Method and system for non-destructive distribution profiling of an element in a film
CN110088603B (zh) 荧光x射线分析装置
US8513603B1 (en) In-situ determination of thin film and multilayer structure and chemical composition using x-ray fluorescence induced by grazing incidence electron beams during thin film growth
Hönicke et al. Characterization of ultra-shallow aluminum implants in silicon by grazing incidence and grazing emission X-ray fluorescence spectroscopy
Newbury et al. Quantitative electron-excited X-ray microanalysis of borides, carbides, nitrides, oxides, and fluorides with scanning electron microscopy/silicon drift detector energy-dispersive spectrometry (SEM/SDD-EDS) and NIST DTSA-II
WO2021161631A1 (ja) 定量分析方法、定量分析プログラム及び蛍光x線分析装置
US8011830B2 (en) Method and system for calibrating an X-ray photoelectron spectroscopy measurement
WO2012153462A1 (ja) Soiウェーハのsoi層の膜厚測定方法
US7495217B1 (en) Film thickness and composition measurement via auger electron spectroscopy and electron probe microanalysis
Wählisch et al. Validation of secondary fluorescence excitation in quantitative X-ray fluorescence analysis of thin alloy films
JP2018109574A (ja) 組成分析方法及び組成分析装置
Mejía-Ponce et al. Improvements to the X-ray Spectrometer at the Aerosol Laboratory, Instituto de Física, UNAM
US20230296540A1 (en) Computer-assisted method for determining an element fraction of a determination element having a small atomic number, in particular a li fraction, and corresponding device for processing data
Horntrich et al. Influence of the excitation energy on absorption effects in Total Reflection X-ray Fluorescence analysis
JP6713110B2 (ja) バックグラウンド除去方法及び蛍光x線分析装置
JP7054717B2 (ja) 分析方法および蛍光x線分析装置
Wittry Methods of quantitative electron probe analysis
Anderson et al. The secondary fluorescence correction for X‐ray microanalysis in the analytical electron microscope
WO2018100873A1 (ja) 蛍光x線分析装置
JP4537149B2 (ja) 蛍光x線分析方法
CN110161070B (zh) 一种利用光电子能谱测量能带弯曲的方法和装置
Matsuyama et al. Trace element mapping using a high‐resolution scanning X‐ray fluorescence microscope equipped with a Kirkpatrick‐Baez mirror system