JP5263538B2 - アスベスト溶解剤およびアスベスト無害化湿式処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アスベスト溶解剤として、植物性有機酸と低濃度オルトリン酸および天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物による混合酸と酸化剤として次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)と超微粒子二酸化チタンを用いアスベスト含有廃材を溶解するアスベスト無害化湿式処理方法に関する。
アスベストは、繊維状の針状結晶物で、長期間強度劣化することなく、耐熱耐火性、耐薬品性、耐摩耗性、耐震性等に優れ、安価であることから、建設資材の耐火吹付け、壁材、スレート材や電気製品、自動車のブレーキパッド、耐熱ガスケット、家庭用品等様々な分野で使用されてきたが、近年、アスベストの繊維状の針状結晶物が大気中に飛散して肺ガンや悪性中皮腫等の健康障害を引き起こす要因となることが分かり、その使用は禁止されている。
現在、アスベストの廃材は(飛散性の高いアスベストの埋め立ては、専用廃棄袋に二重に梱包、または、コンクリートによる固形化が定められている)一般廃棄物として取扱われているが、現在でも、アスベストの繊維状針状結晶物の大気中への飛散が問題となり、健康、安全対策のため、アスベストの繊維状針状結晶物を非繊維化する無害化処理対策が急務となっている。
これまで、アスベストの無害化対策として、アスベスト廃材を無機酸により溶解した後、これに硫酸を加えて石膏化するアスベスト無害化処理方法が特許文献1に開示されている。また、吹き付け石綿(アスベスト)に高濃度リン酸を散布湿潤して飛散防止すると共に、アスベストを溶解して、アスベストを無害化する方法が特許文献2に開示されている。
特開2008−246445号公報 特開2007−295943号公報
アスベストは、蛇紋岩系とカンラン岩質角閃石とが知られ、蛇紋岩質白石綿クリソタイル〔MgSi10(OH)〕、角閃石質茶石綿アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕、角閃石質青石綿クロシドライト〔Na(Fe2+,Mg)Fe3+ Si22(OH,F)〕のクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの三種が工業的にアスベスト建材として使用されていることが知られている。
この他、角閃石系のアンソフィライト〔MgSi22(OH)〕トレモライト〔CaMgSi22(OH)〕、アクチノライト〔Ca(Mg,Fe)Si22(OH)〕が知られているが、耐摩擦材、耐熱材等に多く用いられ、建材用の利用は極めて少ないことが知られている。
特許文献1(特開2008−246445号公報)は、アスベストを含有する廃材を無機酸として塩酸、フッ酸、リン酸、硝酸の他フッ化物酸等、1種ないしそれ以上を用いて溶解処理をするもので、カルシウムまたはマグネシウムが含まれる溶解処理液中に硫酸を添加して不溶性の硫酸カルシウムを析出されることが記述されている。
しかし、前述した工業的にアスベスト建材に用いられている三種のクリソタイル、アモサイト、クロシドライトの組成分中には、Mg、Fe、Na、Siが含有されているもののCaは含有されていない。特開2008−246445号公報は、アスベスト廃材中のセメントの石灰分の成分であるカルシウムを無機酸で溶解したものであって、アスベストのクロシドライト成分中には含まれないカルシウムから溶解したカルシウムではなく、アスベストの針状結晶からカルシウムが溶解するとして、これに硫酸を添加して硫酸カルシウムを生成させたとする化学的根拠は全くなく、課題がある。
次に、特許文献2(特開2007−295943号公報)は、リン酸30〜50%±5%の高濃度を用いて、アスベストの針状結晶体を溶解しようとする方法であるが、リン酸濃度が20%以上の高濃度を用いるため、アスベスト成分が溶解する際、一旦はリン酸塩化合物として溶解するが、アスベスト成分のリン酸塩は溶解度が極めて低いため、溶解途中のアスベスト針状結晶体表面に再析出を起こし、溶解反応が停止すると云う問題点がある。また、アスベストの施工場所は殆ど、屋根裏、ボイラー室、エレベーターの柱周り等、狭いところが多く、リン酸濃度が高濃度の状態で作業者に溶液が付着されやすく、安全衛生上問題点がある。また、吹付けアスベストにはシーリング材が配合されていることから、シーリング材が高濃度のリン酸反応により、メチルメルカプタンおよび硫化水素が大量に発生する。この臭気は過酸化水素では臭気対策には問題があり、局所排気装置により屋外に排出させた場合、作業者への危険、外周の住民に悪臭被害が発生することから問題点がある。
かくの如く、アスベスト含有廃材は、接着剤に用いたセメント成分の炭酸カルシウムを多く含有し、酸による単独での溶解処理には多くの困難と課題がある。
発明が解決しようとする課題
本発明は、アスベスト溶解剤として、植物性有機酸と低濃度オルトリン酸および天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物による混合酸と酸化剤として次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)と超微粒子二酸化チタンを用いてアスベスト含有廃材を溶解処理することにより、低濃度オルトリン酸であっても植物性有機酸との混合酸により、アスベスト繊維状針状結晶体を安全、且つ、容易に溶解することを見出し、溶解処理後液に可溶性カルシウム塩を用いて、これを不溶性塩に変換固形化処理し、土壌改良材および農業用肥料とすることを目的とするアスベスト溶解剤およびアスベスト無害化湿式処理方法を提供するものである。
課題を解決するための手段
発明者は、これまで角閃石、花こう閃緑岩系の変質黒雲母(一般にはヒル石)を植物性有機酸であるパイナップル皮果汁液を用いて、天然ミネラル成分の抽出に成功し、特願2008−293888号に提案して来ている。アスベストの主成分についても、アモサイトやクロシドライトは角閃石質系石綿体をもっているので、パイナップル皮果汁液を用いて溶解試験を実施しX線回析の結果、アスベストの溶解が認められた。
しかし、パイナップル皮果汁液でのアスベスト溶解処理には、コストが高いため、模索の中、低濃度オルトリン酸液に少量のパイナップル皮果汁液を添加した混合液の中に、吹き付けアスベストを浸したところ溶解が確認されたことから、再度、X線回析した結果、アスベストが完全溶解することを見出した。
発明者らは、アスベストを含有する廃材を処理するに当たり、植物性有機酸のパイナップル皮果汁液の主成分であるイソ吉草酸〔(CHCHCHCOOH〕と低濃度オルトリン酸(HPO)との混合酸を用いてアスベストの繊維状針状結晶物を浸漬すると、浸漬液中にアスベストの主成分であるマグネシウム(Mg)や鉄(Fe)がイオンとして溶解され、アスベストの針状結晶体表面を覆うことなく、アスベスト繊維状針状結晶体が完全に溶解消失することが分かった。
さらに、発明者は、鋭意研究を重ね、植物性有機酸のパイナップル皮果汁液の主成分であるイソ吉草酸と低濃度オルトリン酸との混合酸の中に、酸化剤の次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、過マンガン酸カリ、塩素酸塩各種、二酸化マンガン、過酸化水素、オゾン等と超微粒子二酸化チタンとカリミョウバンおよび天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物を添加することにより、アスベストの繊維状針状結晶物の完全溶解処理が安全、且つ、容易となることが分かり本発明を完成するにいたった。
本発明に用いたアスベスト含有廃材の繊維状針状結晶物は、蛇紋岩系のクリソタイル〔MgSi10(OH)〕と角閃石系のアモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕の他が含有されることを示差熱天秤分析とX線回析により確認した。
本発明のアスベストのアモサイトと低濃度オルトリン酸による溶解反応について説明する。
アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕は、MgO,FeO,Mg(OH),SiO、それぞれの酸化物または水酸化物との共晶により繊維状針状結晶物を成していることが分かる。
次に、アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕のMg(OH)とMgOとが低濃度オルトリン酸と反応し溶解してマグネシウムイオンとなることを溶解液中のMg2+を高周波プラズマ発光分析(ICP)法により確認した。化学反応式を式(1)、(2)に示す。
Figure 0005263538
Figure 0005263538
角閃石系アモサイトの共晶体のMg(OH)とMgOとイソ吉草酸〔(CHCHCHCOOH〕とが反応し溶解してマグネシウムイオン化する反応式を式(3)(4)に示す。
Figure 0005263538
本発明のアスベストのアモサイトと低濃度オルトリン酸及びイソ吉草酸による溶解反応を式(1)〜(4)に示したが、アスベスト成分の溶解反応は、このように単純ではなく複雑な過程を経て、イオン化が進行するものと考えている。
アスベストは、低濃度オルトリン酸(HPO 8重量%含有)単独では、極微量が溶解するが、長時間浸漬しつづけても、全く同様の極微量しか溶解しなかった。
しかし、低濃度オルトリン酸(HPO 8重量%含有)液中に、少量のパイナップル皮果汁液(イソ吉草酸 12重量%含有)を3重量%程度添加することにより、アスベストの針状結晶体は完全溶解し、溶解液の定性分析(高周波プラズマ発光分析ICP法)により、Mgイオン、Feイオンが溶出後液に含有されることを確認した。
本発明の植物性有機酸について説明する。本発明の植物性有機酸はパイナップル皮果汁液の主成分であるイソ吉草酸〔(CHCHCHCOOH〕や酪酸〔CHCHCHCOOH〕、クエン酸〔HOCCOH(CHCOOH)〕と、ココナツ果汁液のカプロン酸〔CH(CHCOOH〕およびカプリル酸〔CH(CHCOOH〕と、柑橘皮果汁液のリモネン(C1016)、アスコルビン酸(C)、パントテン酸(C17NO)等複合植物性有機酸を、本発明では、植物性有機酸と称する。
角閃石系アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕とイソ吉草酸との溶解反応式を式(3)、(4)に一例として記述したが、イソ吉草酸のみでなく、その他の上記した有機酸成分の化学反応の相乗効果により溶解が推移すると考えている。
天然成分ミネラネイオン含有植物皮果汁液組成物について説明する。
天然成分ミネラネイオン含有植物皮果汁液組成物は、角閃石花こう岩系変質黒雲母(一般名:ヒル石)等を、パイナップル皮果汁液を主成分とする植物性有機酸並びに、天然成分ミネラルのAl、Ca、K、Mn、Fe、Ti、Si、等を含有すると共に、活性酸素の一種であるOHラジカル(OH)を多量に含むことをESR(Electoron Spin,Resonance)測定のDMPO(5−Dimetyl,phyrroline 1−oxide)捕捉剤を用いるスピントラップ法により確認している。
本発明者は、特願2008−293888に天然成分のミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物として提案を行ってきている。天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液の成分組成値は概して[表1]高周波プラズマ発光分析ICP法分析値に示すものを用いた。
Figure 0005263538
本発明の天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物中の活性酸素の一種であるOHラジカルについて詳しく説明する。
本発明者らは、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物を極く少量添加するだけで大気中からの溶存酸素(DO)の酸化力が著しく増大する現象を数多く確認して来ている。本発明者らは、この現象は、麦飯石、医王石、ヒル石等の金属酸化物がミネラルイオン化する際に生成する活性酸素の一種であるOHラジカルを含有することによって起こる酸化力によるものではないかと考えた。
発明者は、前記した考えを基に、本発明の天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物中の酸化性物質としての励起OH含有について、ESR(Electoron Spin Resonance=電子スピン共鳴)法による測定(ESR測定装置:ELLEXSYS E500:(株)松下電工製)を、スピントラップ剤にDMPO(5−5dimetyl pyrroline 1−oxide)を選択し、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物の希釈液に添加することにより実施し、DMPO−OH捕捉を確認した結果、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液が本発明の重要なアスベスト溶解剤の成分要素となることを確認した。
更に、酸化剤として次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)を少量添加することで溶解速度が増加することを確認した。
天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物の、一種の活性酸素であるラシカ
Figure 0005263538
や超微粒子二酸化チタンと共に、アスベストの角閃石系アモサイト〔(FeMg)Si22(OH)〕等に含まれる二価鉄(Fe(II))の酸化を促進する役割があり、アモサイトの二価鉄が酸化されて三価鉄になることにより、植物性有機酸のイソ吉草酸や低濃度オルトリン酸との反応が容易となり、単独酸では溶出が困難であったものが、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物等の酸化剤の併用により浸出溶解が可能となることを見出した。
角閃石系アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕と酸化剤入り低濃度オルトリン酸による溶解反応について説明する。
角閃石系アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕は、単純なる酸性液では難溶解性であることは公知である。
発明者は、酸化剤を用いることにより、アモサイト針状結晶体の二価酸化鉄(FeO,Fe(OH))が酸化され、溶解反応が容易になることを見出した。
角閃石系のアモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕は、
〔6(Fe,Mg)O〕[(Fe,Mg)(OH)8SiO]であり、つまり
6FeO、Fe(OH)、8SiOであり、6MgO、Mg(OH)、8SiOである。
二価鉄酸化物および水酸化鉄の酸化剤(活性酸素の一種OHラジカル)および次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)(NaClO)の塩素による酸化反応式を式(5)(6)(7)(8)に示す。
Figure 0005263538
三価鉄酸化物とオルトリン酸との反応式を式(9)に示す。
Figure 0005263538
なお、MgO、Mg(OH)と低濃度オルトリン酸およびイソ吉草酸との反応については式(1)、(2)および式(3)、(4)に示した。
これまで角閃石系のアスベストの溶解浸出が容易でなかったことの一つの原因は、繊維状針状結晶物の二価鉄が結晶体に含有されているためであることに着目したのは本発明での全く新規な着想である。
本発明の天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物の酸化剤としての効果は、同時に添加する次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、超微粒子二酸化チタンを併用することにより、それぞれの相乗効果が一層高まり酸化反応が促進され、アスベスト含有廃材の溶解が容易となる。尚、酸化剤としては、次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)のみならず、過マンガン酸カリ、二酸化マンガン、各種塩素酸塩、過酸化水素、オゾンなどが挙げられ、アスベスト溶解剤の酸化剤として、これら単成分および複合成分として使用する場合がある。
本発明のアスベスト溶解剤を壁材やスレート材等への噴霧吹き付けや溶解作業を行う際、アスベスト廃材中に吸着されたシーリング材の溶解による悪臭源が酸との反応により激しく発生し、作業環境が著しく悪化するため、本発明の天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物や次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、超微粒子二酸化チタンの酸化作用により消臭され、作業環境が改善される。またカリミョウバンは吹き付けアスベスト材の飛散防止と悪臭の低減改善剤としての働きを強化する作用がある。
本発明は、アスベスト含有廃材を、本発明のアスベスト溶解剤で溶解処理する第一工程と、第一工程でのマグネシウム含有溶解液を可溶性炭酸カルシウムおよび塩化カルシウムを含む生石灰と消石灰を用いてアスベスト含有成分を不溶性塩とする第二工程で得られる変換固形化物を土壌改良材や農業用肥料とすることが可能となり本発明を完成するに至った。
発明の効果
本発明によれば、従来法のアスベスト含有廃材を酸溶解した後、再利用するため、固化物とした後800〜1000℃以上の高温で処理したりすることがなく、常温でアスベスト組成分を変換固形化し、土壌改良材や農業用肥料とすることを可能にしたことは、アスベスト処理対策としての効果は多大である。
本発明を実施するための最良の形態
そして本発明は、以下の点を特徴とする。
本発明の実施の形態について以下に説明する。
本発明の第一工程においては、アスベスト含有廃材を植物性有機酸とて低濃度オルトリン酸、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物、次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、超微粒子二酸化チタン、およびカリミョウバンからなるアスベスト溶解剤の中に浸漬または、壁材の耐火材、吹付けアスベスト材等への噴霧吹付け処理をして、アスベスト組成分を溶解処理した後、第二工程においては、溶解処理後液に可溶性炭酸カルシウムおよび塩化カルシウムを含む生石灰、消石灰を用いて不溶性塩として変換固形化物農業用肥料原料とし、第三工程では、これを乾燥粉砕し土壌改良材や農業用肥料とすることが可能となる。アスベスト含有廃棄物溶解処理および農業用肥料の概略工程を〔0045〕〔図1〕に示す。
本発明における壁材の耐火材、吹付けアスベスト材等に対する飛散防止として、[0011]記載のアスベスト溶解剤を水で4〜6倍(好適は5倍)に希釈し、1m当たり500〜1000ml(好適に厚み3cmの場合、は700〜800ml)をアスベスト壁表面に噴霧吹付けする。このことにより完全に飛散防止ができ、且つ、アスベスト壁材内部に浸透され、剥離が容易にでき作業も簡単である。これ以下の量ではアスベスト溶解剤のアスベスト壁材への浸透が低く、剥離作業環境が低下する。
次に、溶解タンクにアスベスト溶解剤[0011]を入れた中に[0030]により噴霧吹付け後、アスベスト材に浸透することによって、壁面から剥離されて落下したアスベスト材をかき集め、アスベスト溶解タンクに投入し、浸漬させて溶解する。
本発明のアスベスト溶解剤に対するアスベスト含有廃材の浸漬量は、容積で1:10〜1:15倍であり、好適には容積で1:12倍である。なお、本実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、なんら限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
本発明の実施の最良の形態について、アスベスト溶解剤のアスベスト含有廃材溶解の好適条件について説明する。
本発明のアスベスト溶解剤中のオルトリン酸(HPO,75重量%)の濃度は5〜15重量%で、好適には8〜10重量%である。これより低濃度であっても高濃度であっても溶解が容易でなくなる。
本発明の植物性有機酸の含有濃度は、イソ吉草酸〔(CHCHCHCOOH〕、クエン酸〔HOOCCOH(CHCOH)〕や酪酸〔CH(CHCOOH〕5〜25重量%であり、ココナツ果汁液はカプロン酸〔CH(CHCOOH〕、カプリル酸〔CH(CHCOOH〕、カプリン酸〔CH(CHCOOH〕ラウリル酸〔CH(CH10COOH〕ミスチリン酸〔CH(CH12COOH〕等3〜20重量%、柑橘皮果汁液は、リモネン(C1016)アスコルビン酸(C)、パントテン酸(C17NO)3〜15重量%である。
本発明のアスベスト溶解液中の好適濃度は実施例において例示する。
本発明の天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物のミネラルイオン濃度と遊離イソ吉草酸濃度は、K:5〜15g/l、Ca:0.5〜1.5g/l、Mn:0.1〜0.5g/l、Fe:5〜20g/l、Al:3〜15g/l、Ti:0.5〜1.5g/l、遊離イソ吉草酸〔(CHCHCHCOOH〕:10〜30g/l、好適濃度範囲については実施例において具体的に例示する。
酸化剤である次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)の好適濃度は、0.05〜0.5g/l、超微粒子二酸化チタンは、0.1〜3g/lが好適濃度である。これより低濃度ではアスベスト(二価鉄含有角閃石類)の溶解は容易でなくなり、高濃度になると溶解性は高まるが臭気発生が起こる。
カリミョウバン〔KAl(SO)・12HO〕の好適濃度は、5〜20g/lで、最も好適濃度は10g/lであり、アスベスト吹付壁材に噴霧吹付け作業の際、飛散防止と発生する悪臭を除去するために有効である。これより低濃度では効果が低く、高濃度では効果は同等である。
実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、なんら限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
アスベストの蛇紋岩質白石綿クリソタイル〔MgSi10(OH)〕原石50g(粒径3mmφ以下80%)をオルトリン酸(HPO, 75重量%)20gと、植物性有機酸のパイナップル皮果汁液(イソ吉草酸1.0重量%)との混合酸200mlに浸漬し、常温にて60分間攪拌処理した。
高周波プラズマ発光分析(ICP)法成分定性分析の結果、溶解処理液中にマグネシウム(Mg)を確認した。溶解残渣をX線回析の結果、クリソタイルの繊維状針状結晶は確認されなかった。
白石綿クリソタイル〔MgSi10(OH)〕繊維状針状結晶体は、低濃度オルトリン酸と植物性有機酸との混合酸により溶解切断されたことを確認し、溶解残渣のX線回析によりクリソタイルは確認されなかった。
アスベストの角閃石系茶石綿アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕原石50g(粒径3mmφ以下80%)を[実施例1]のオルトリン酸(HPO,75%)20gと植物性有機酸のパイナップル皮果汁液(イソ吉草酸1.0重量%)との混合酸200mlに、次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)(NaClO)0.5g、超微粒子二酸化チタン0.5g、カリミョウバン3g、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物20gを加えたアスベスト溶解剤中に浸漬し、60分間常温にて攪拌した。これを固液分離した後、溶解処理後液と溶解残渣を得た。
溶解処理後液を定性分析した結果、マグネシウム(Mg)と三価鉄(Fe3+)を確認した。残渣はX線回析の結果、アモサイトの針状結晶は存在しなかった。
オルトリン酸(HPO)20重量%溶液のみによる比較テストでは、アモサイトの結晶は、浸漬時間30分では残渣の中に残留し、浸漬時間3時間でも残渣の中に残留することを確認した。
アスベスト含有廃材(粒径5mmφ以下80%)200gをオルトリン酸(HPO,75重量%)10gと[実施例2]に用いたアスベスト溶解剤200mlの中に浸漬し、常温にて30分間攪拌し溶解処理した。これを固液分離し溶解処理後液と溶解残渣を得た。溶解処理後液の高周波プラズマ発光分析(ICP)法定性分析の結果、マグネシウム(Mg)と三価鉄(Fe3+)を確認した。残渣はX線回析の結果、アスベスト組成分のクリソタイル、アモサイト等は確認しなかった。
アスベスト、アモサイト〔(Fe,Mg)Si22(OH)〕含有廃材200gについて、低濃度オルトリン酸、植物性有機酸のイソ吉草酸(パイナップル皮果汁液)、天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物、次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、超微粒子二酸化チタンからなるアスベスト溶解剤40mlを用いた場合のアスベスト溶解試験結果、(常温にて60分間攪拌後、固液分離)を表2に示す。
Figure 0005263538
[実施例3]で得た溶解処理後液100mlの中に溶解性炭酸カルシウム30g、塩化カルシウム10g、生石灰(貝殻仮焼CaO)10gを投入し、水分40重量%の固化物80gを得た。この固化物を乾燥後、X線回析した結果、MgCOとMg(OH)およびMgClを確認した。
産業上の利用の可能性
本発明は、主成分の植物性有機酸と低濃度オルトリン酸(HPO)に加え天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物、次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、超微粒子二酸化チタン、およびカリミョウバンからなるアスベスト溶解剤を用いて、建築物解体時に発生するアスベストの飛散防止およびアスベスト含有廃材を常温で安全・溶解・肥料化として再利用できる処理方法である。また、アスベスト溶解剤を噴霧吹付け処理することにより、作業も簡単で、且つ、低コストで繊維状針状結晶物を溶解切断、無害化することを可能にしたことは、従来の封じ込め、囲い込め処理では対処できなかった処理方法である。また、産業廃棄物としての最終処分においても、無害化され、減量化されて埋め立て処分することができる。今まで、厄介なアスベストが土壌改良材および農業用肥料としての再利用できることは、今後の広範なアスベスト処理対策の推進に多大な貢献をするものと期待される。
また、植物性有機酸は、クエン酸、酢酸、乳酸やアミノ酸の一部であるイソ吉草酸、植物の根から分泌される根酸、皮果汁液等である。オルトリン酸は、医薬品および肥料に多く使用されている物質である。ミネラルは、食品の栄養表示基準となっていたり、植物の微量要素として使用されている物質である。二酸化チタンは、食品添加物や化粧品材料として使用されている物質である。次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)は、殺菌剤、食品添加物、洗剤等に広く使用されている物質である。また、カリミョウバンは、食品添加物に指定され、製菓拡張剤や漬物に使用されている物質である。
本発明に用いたアスベスト含有廃材および吹き付けアスベスト溶解剤は、全て食品添加物、医薬品等に使用されている成分からなる。安心・安全なアスベスト溶解剤である。
アスベスト含有廃棄物無害化湿式処理方法および処理後液の変換固形化と土壌改良材、農業用肥料への応用についての概略工程図

Claims (7)

  1. 植物性有機酸とオルトリン酸および天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物による混合酸、次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)、超微粒子二酸化チタン、およびカリミョウバンからなるアスベスト溶解剤
  2. 植物性有機酸が、パイナップル皮果汁液およびココナツ果汁液または柑橘皮果汁液の単独ないし複合皮果汁液であることを特徴とする請求項1に記載するアスベスト溶解剤
  3. 天然成分ミネラルイオン含有植物皮果汁液組成物が、植物性有機酸のイソ吉草酸と微少量のカルシウム、カリウム、マンガン、鉄、チタン、ケイ素、リン等の各種ミネラルイオンを含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載するアスベスト溶解剤
  4. オルトリン酸3〜15%、植物性有機酸であるイソ吉草酸0.5〜3%であり、且つ次亜塩素酸ソーダ(アンチホルミン)0.3〜2.0%、超微粒子二酸化チタン0.1〜1.0%、カリミョウバ0.5〜1.5%からなる請求項1〜3のいずれかに記載するアスベスト溶解剤
  5. アスベストを含有する壁材または吹付耐火材ないし断熱材に対し、請求項1〜4のいずれかに記載のアスベスト溶解剤を噴霧吹付けすることを特徴とするアスベスト無害化湿式処理方法
  6. アスベストを含有する廃材を、請求項1〜4のいずれかに記載のアスベスト溶解剤で溶解する第一工程、第一工程の溶解後液を可溶性炭酸カルシウムを含む、塩化カルシウム、生石灰または消石灰を用いてアスベスト溶解成分を不溶性塩として変換固形化する第二工程を有することを特徴とするアスベスト無害化湿式処理方法
  7. アスベスト組成分の変換固形化物を土壌改良材、農業用肥料に利用する請求項に記載するアスベスト無害化湿式処理方法
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