JP5263191B2 - 内燃機関の流体濾過冷却装置 - Google Patents
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Description
一般に、還流路を通って吸気通路へ導入される還流ガスの温度が低いほど、筒内での燃焼温度が低下し、窒素酸化物(NOx)の発生量が減少する。また、還流ガスの温度を低下させることで筒内に吸入される空気の密度が増加するため、エンジンの燃焼効率も向上する。そこで、還流路上に排気ガスを冷却するための冷却装置を設けて、燃費や浄化性能をさらに向上させる技術が開発されている。
また、特許文献1の技術では、断熱層によってガス冷却層と触媒層とが熱的に分離されている。そのため、EGRクーラの内部を通り抜ける排気ガスのみが冷却されることになり、ガス冷却層は触媒層を冷却することができない。なお、特許文献1のEGRクーラは、湾曲形成された中間集合部を介して触媒層とガス冷却層とが接続されているため、排気ガスの流路が途中でUターンすることになり、内部偏流が生じやすい。すなわち、EGRクーラ内へ均一に排気ガスを導入することができず、冷却効率が低くなるというデメリットがある。
なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
また、開示の内燃機関の流体濾過冷却装置は、該冷媒路が、一端に該冷媒を該冷媒路の内部に導く供給路を有するとともに他端に該冷媒を該冷媒路から外部に導く排出路を有し、該供給路が、該フィルタ部の近傍に設けられていることを特徴としている。
また、開示の内燃機関の流体濾過冷却装置は、該フィン部が、該冷媒路の内表面からさらに内側に突き出して設けられることを特徴としている。
また、開示の内燃機関の流体濾過冷却装置は、該フィン部が、該冷媒路の内表面からさらに内側に突き出た部位に複数の穴部を有することを特徴としている。
[1.第一実施形態]
[1−1.吸排気システム構成]
第一実施形態に係る流体濾過冷却装置が適用された車両の吸排気システム10を図1に示す。エンジン11(内燃機関)の吸気ポートには吸気通路13が接続され、排気ポートには排気通路14が接続されている。これらの吸気系及び排気系での空気の流通方向を図1中に黒矢印で示す。
図2を用いてEGRクーラ6について詳述する。EGRクーラ6は、側面視において矩形の外箱5(壁体)の内部に複数の冷却通路1及び冷却水路2(冷媒路)を備えている。外箱5の上面には二つの円形の開口部5a,5bが形成され、それぞれダクト21,22を介して排気通路14,吸気通路13に接続されている。したがって、還流ガスはダクト21を通って外箱5の内部に導入され、外箱5内で冷却された後、ダクト22から排出される。還流ガスの流通方向を図2中に黒矢印で示す。
図2,図3に示すように、フィン3はそれぞれの面状水路2aの上面2dと下面2eとの間に挟み込まれて固定され、冷却水が流通する面状水路2aの内部にまで延長されている。つまり、フィン3の一端側が冷却水に接触するとともにフィン3の他端側が還流ガスに接触した状態となり、これらの中央部が面状水路2aの上面2d,下面2eに挟持される。
メッシュ粗さとは、メッシュフィルタ4のメッシュ(空隙)の粗密の度合いのことを意味する。例えば、同一径のワイヤを格子状に編んだワイヤメッシュの場合には、ワイヤの配置間隔が狭いほど、又はワイヤ径が大きいほど、メッシュ粗さが細かい。また、板状の部材に複数の丸穴をあけたパンチングメタル状のメッシュの場合には、丸穴の配置間隔が狭いほど、又は丸穴が小さいほど、メッシュ粗さが細かい。なお、メッシュ粗さが細かいほど通過する還流ガスに対する流路抵抗が増大し、メッシュ粗さが粗いほど流路抵抗が減少する。
ダクト21を介して開口部5aからEGRクーラ6の内部に導入された還流ガスは、メッシュフィルタ4の筒軸に沿って直進しようとする傾向が強く、第一メッシュ4aを通過する方向へ流れる還流ガスの速度成分は比較的小さくなる。また、メッシュフィルタ4の内部を流通するに連れて還流ガスの直進方向への速度成分が減少する。これに伴い、還流ガスは第二メッシュ4bを通過する方向へ流れやすくなり、第二メッシュ4bを通過する方向への還流ガスの速度成分は第一メッシュ4aよりも増大する。同様に、第三メッシュ4cを通過する方向への還流ガスの速度成分はさらに大きくなり、第四メッシュ4dを通過する方向への還流ガスの速度が最も速くなる。
したがって、EGRクーラ6の内部を流通する還流ガスの流量は、冷却通路1の上下方向の位置に関わらず均一となる。これにより、冷却水路2の内部を流れる冷却水の温度分布についても、冷却水路2の上下方向の位置に関わらず均一となる。また、還流ガスはメッシュフィルタ4の通過時に濾過され、冷却水路2の上面2dや下面2eへ異物が付着することもない。
また、メッシュフィルタ4を冷却水路2よりも還流ガスの上流側に配置することにより、冷却水路2の表面への異物の付着及び衝突を防止することができる。特に、本実施形態ではこのようなメッシュフィルタ4を備えたEGRクーラ6が低圧EGR通路18に設けられているため、ターボチャージャー15への異物の進入を防止することができ、コンプレッサーホイールの保護性を高めることができる。
さらに、メッシュフィルタ4を冷却することで熱膨張が抑制されるため、例えば高温の還流ガスが大量にメッシュフィルタ4を通過したとしても、メッシュ粗さが粗く(メッシュの空隙が大きく)なりにくい。したがって、メッシュフィルタ4での異物の捕集性能を維持することができる。また、このような熱膨張の影響を予め考慮しておく必要がないため、従来よりも細かい網目のメッシュを使用することができ、フィルタ性能をさらに向上させることができる。
なお、メッシュフィルタ4を通過する還流ガスの流量が均一となるため、メッシュフィルタ4自体の熱分布も均一とすることができ、フィルタ性能を維持しやすくすることができるという利点がある。
また、本EGRクーラ6では、冷却通路1及び冷却水路2とメッシュフィルタ4が一体に形成されているため、部品点数を削減することができ、製品コスト及び重量を減少させることが可能であり、かつ信頼性を向上させることが可能である。また、装置のサイズがコンパクトになるため省スペース化が容易となり、搭載レイアウトの自由度を向上させることが可能であるとともに、例えば車両のクラッシャブルゾーンを拡大することができる。
このように、本流体濾過冷却装置によれば、EGRの導入に係る圧力損失の低減と冷却効率の向上とにより、還流ガスの流量を増大させることができ、エンジン11から排出されるNOxを減少させることができる。
[2−1.EGRクーラ]
図5を用いて、第二実施形態のEGRクーラ26(流体濾過冷却装置)について詳述する。このEGRクーラ26は、低圧EGR通路18に介装される冷却装置である。なお、第一実施形態のEGRクーラ6と同様の構成要素については同一の符号を用いて説明を省略する。
各々の面状水路2aにおいて還流ガスの上流側となる端辺には、板状のフィン23(フィン部)が突き出ている。これらのフィン23は、それぞれの面状水路2aから互いにほぼ平行に突設されている。また、各フィン23はそれぞれの面状水路2aの上面2dと下面2eとの間に挟み込まれて固定され、冷却水が流通する面状水路2aの内部にまで延長されている。つまり、フィン23の一端側が冷却水に接触し、フィン3の他端側が還流ガスに接触する。
これらのフィン23同士の間、及び、フィン23と外箱5との間には、平板状のフィルタシートをくさび形に形成したメッシュフィルタ24(フィルタ部)が固定されている。メッシュフィルタ24を構成するフィルタシートは、第一実施形態のメッシュフィルタ4のフィルタシートと同様のものである。開口部25aからEGRクーラ26内に導入された還流ガスは全て、メッシュフィルタ24を通過してから冷却通路1側へと流通する。
ダクト21を介して開口部25aからEGRクーラ26の内部に導入された還流ガスは、そのまま直進しようとする傾向が強く、第二メッシュ24bに流入する還流ガスの速度成分は比較的大きくなる。一方、第一メッシュ24aは第二メッシュ24bよりも上下方向にずれた位置にあるため、第一メッシュ24aに流入する還流ガスの速度成分は第二メッシュ24bに流入する還流ガスの速度成分よりも小さくなる。つまり、還流ガスの流速は、上下方向の中央付近が最も速くなる。
したがって、EGRクーラ6の内部を流通する還流ガスの流量は、冷却通路1の上下方向の位置に関わらず均一となる。また、冷却水の温度分布も冷却水路2の上下方向の位置に関わらず均一となる。さらに、還流ガスはメッシュフィルタ24の通過時に濾過され、冷却水路2の上面2dや下面2eへ異物が付着することもない。
[3−1.EGRクーラ]
図7を用いて、第三実施形態のEGRクーラ36(流体濾過冷却装置)について詳述する。このEGRクーラ36も低圧EGR通路18に介装される冷却装置であり、第一実施形態のEGRクーラ6と同様の構成要素については同一の符号を用いて説明を省略する。
さらに、外周面31bの端辺及び底面32bには、円錐状のシュラウド35が着脱自在に固定され、それぞれのシュラウド35の側端に開口部35a,35bが形成されている。開口部35a,35bはそれぞれ、ダクト21,22を介して排気通路14,吸気通路13に接続されている。還流ガスの流通方向を図7中に黒矢印で示す。
開口部35aからEGRクーラ36の内部に導入された還流ガスは、そのまま直進しようとする傾向が強く、第二メッシュ34bに流入する還流ガスの速度成分は比較的大きくなる。一方、その外側に広がる第一メッシュ34aに流入する還流ガスの速度成分は比較的小さくなる。つまり、還流ガスの流速は、その流れに沿ってメッシュフィルタ34を見たときの中央部近傍で最も速くなる。
したがって、EGRクーラ36の内部を流通する還流ガスの流量は、何れの管状通路31aにおいても均一となる。また、冷却水の温度分布もその位置に関わらず均一となる。さらに、還流ガスはメッシュフィルタ34の通過時に濾過され、管状通路31aの内周面に異物が付着することもない。
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の各実施形態では、低圧EGR通路18に介装されたEGRクーラ6,26,36を例示したが、これらの冷却装置の設置位置は任意であり、例えば高圧EGR通路19に介装してもよいし、あるいは図示しない他のEGR通路上に介装してもよい。これらのEGRクーラ6,26,36は、排気を排気系から吸気系へと導く通路に介装されていればよい。
また、上述の各実施形態では、流体濾過冷却装置としてEGRクーラを例示したが、流体濾過冷却装置の種類はこれに限定されない。例えば、冷却機構を備えたエアフィルタやフィルタを備えたインタークーラ,オイルクーラ,ラジエターでもよく、異物混入の虞のある熱流体が流通する箇所に適用してもよい。つまり、流体濾過冷却装置における冷却対象となる流体の具体例として、排気ガスや吸気ガス,エンジン冷却水,エンジンオイル等を挙げることができる。
なお、開示の流体濾過冷却装置は、ディーゼルエンジン及びガソリンエンジンの双方に適用することができる。
2 冷却水路(冷媒路)
2a 面状水路(面状流体路)
3 フィン(フィン部)
3a フィルタ穴
3b 水穴(穴部)
4 メッシュフィルタ(フィルタ部)
5 外箱(壁体)
6,7 EGRクーラ
10 吸排気システム
11 エンジン(内燃機関)
13 吸気通路
14 排気通路
23 フィン(フィン部)
24 メッシュフィルタ(フィルタ部)
26 EGRクーラ
31 冷却通路
31a 管状通路
31b 外周面
32 冷却水路(冷媒路)
33 フィン(フィン部)
34 メッシュフィルタ
36 EGRクーラ(流体濾過冷却装置)
43 整流フィン
Claims (9)
- 内燃機関とその吸気系及び排気系に流通する流体を冷却する内燃機関の流体濾過冷却装置であって、
該流体が流通する冷却通路と、
該冷却通路に隣接して設けられ、内部に冷媒が流通する冷媒路と、
該冷媒路から該冷却通路へ突き出して設けられたフィン部と、
該フィン部に対して固定され、該流体に含まれる異物を捕集するフィルタ部と
を備えたことを特徴とする、内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該フィン部が、該冷媒路の外表面から該冷却通路の入口側に突き出して設けられるとともに、
該フィルタ部が、該冷却通路の該冷媒路と隣接する部分よりも上流側に配置される
ことを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該冷媒路が、一端に該冷媒を該冷媒路の内部に導く供給路を有するとともに他端に該冷媒を該冷媒路から外部に導く排出路を有し、
該供給路が、該フィルタ部の近傍に設けられている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該フィルタ部が、流入する該流体の流速又は流量が大きい位置ほど高いメッシュ密度を有する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該フィン部が、該冷媒路の内表面からさらに内側に突き出して設けられる
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該フィン部が、該冷媒路の内表面からさらに内側に突き出た部位に複数の穴部を有する
ことを特徴とする、請求項5記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該冷却通路が、箱状に形成された壁体を有し、
該冷媒路が、該箱状の壁体の内部を層状に区画する複数の面状流体路を有し、
該フィン部が、該複数の面状流体路のそれぞれの端辺から互いに略平行に突き出して複数設けられ、
該フィルタ部が、該壁体及び複数の該フィン部を貫通して円筒状に形成されている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該冷却通路が、箱状に形成された壁体を有し、
該冷媒路が、該箱状の壁体の内部を層状に区画する複数の面状流体路を有し、
該フィン部が、該複数の面状流体路のそれぞれの端辺から互いに略平行に突き出して複数設けられ、
該フィルタ部が、該壁体及び該フィン部のそれぞれに対して傾斜した傾斜面を有して、該壁体と該フィン部との間、及び、該フィン部同士の間に挿入されている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。 - 該冷媒路が、内部を該冷媒で満たされた筒状に形成され、
該冷却通路が、該筒状の該冷媒路における頂面から底面まで貫通する管状通路と、該冷媒路の筒面を該頂面から延長して形成された外周面とを有し、
該フィン部が、該冷媒路の該頂面から該外周面の延長方向に突き出して設けられ、
該フィルタ部が、該頂面に対向して配置され、該フィン部及び該外周面に固定されている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の内燃機関の流体濾過冷却装置。
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