JP5262892B2 - イヤーピース及びそれを備えたヘッドホン - Google Patents
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このヘッドホンの一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1では、イヤーピースはイヤーパッドと称して記載されている。
保護スクリーンは、内側に配設されたスピーカユニットからの出力音を外側へ通過させる一方、外側から内側に埃等が入らないようにするための細かい孔が複数形成されているものである。
また、放音部に装着されるイヤーピースは、シリコンゴム等の弾力性に富む材料を用いて形成され、スピーカユニットからの出力音を保護スクリーンを通して外部へ直接放出するための開口部を有している。
保護スクリーンの細かい孔に埃が付着してその孔を塞いだり、埃で孔が詰まってしまうと、それが一部の孔であっても、出力音の音質が変わる(通常は劣化する)、音量が低下する、などの不具合が生じる。
ヘッドホンに装着可能なイヤーピースであって、
一端部側から放音される筒状部と、
前記筒状部の前記一端部側に露出して設けられる基部と、前記基部から延出して折り曲げられ、前記筒状部に埋没した腕部と、を有するフィルターと、
を備え、
前記基部には音放出孔としての複数の開口部が設けられていることを特徴とするイヤーピースである。
図1(a)は、本発明の実施形態に係るヘッドホン10の正面図であり、図1(b)は、実施形態に係るヘッドホン10の左側面図であり、図1(c)は、実施形態に係るヘッドホン10の上面図である。図1(a)〜図1(c)は、左耳用のヘッドホン10を示す。
ケーブルは途中から二股に分かれるように設けられる。二股に分かれていない端部に接続プラグが結合され、二股に分かれた端部の各々に左耳用のヘッドホン10および右耳用のヘッドホンがそれぞれ結合される。
接続プラグは、ポータブルミュージックプレーヤなどの音声出力機器のヘッドホン端子(図示せず)に挿入される。このとき接続プラグに音声出力に利用される電気信号が入力されると、ケーブルを介して、左側音声出力に利用される電気信号は左耳用のヘッドホン10に伝達され、右側音声出力に利用される電気信号は右耳用のヘッドホンに伝達される。
なお、ヘッドホンユニットがモノラル音声出力用として設けられてもよい。また、ヘッドホンユニットが、2つのヘッドホンを有しておらず片耳用の単一のヘッドホンを有していてもよい。
本体16は樹脂によって形成され、筒部16aと筒部16aから径外向きに突出する傾斜部16bとによって構成される。筒部16aの軸方向がヘッドホン10の外耳道への挿入方向D1となる。筒部16aの先端にはイヤーピース18が取り付けられる。
また、傾斜部16bにおける筒部16aが延在する方の側面にクッション22が取り付けられる。本体16の前面にはオーナメント24が取り付けられ、本体16の下面にはブッシング26が下方に延在するよう取り付けられる。
また、傾斜部16bやクッション22など、挿入部12から径外向きに突出するヘッドホン10の構成要素を挿入規制部14という。挿入部12は、使用時にユーザの外耳道に先端の一部が挿入される。
挿入規制部14は、挿入部12が想定挿入位置まで挿入されたときに、耳介の一部に当接して想定挿入位置より奧への挿入部12の挿入を規制する。
ドライバユニット30は、筒部16aと同一の外径を有する、高さの低い円柱状に形成される。
ドライバユニット30は、ボイスコイル(図示せず)に電気信号が供給されることにより駆動される振動板(図示せず)の振動音を外耳道内に出力する。
したがって、ドライバユニット30はいわゆる電気音響変換器であって音声出力部として機能する。ドライバユニット30は、端面の一方が、振動板から発せられる音声が出力される音声出力面30aとなる。
また、裏面30b側には、外部から供給される電気信号を伝達するリード線が接続される一対の端子30tが設けられている。
ユニットホルダ32は、金属のプレス加工により形成されている。用いる素材としては厚さ0.15mmの鉄板である。素材が鉄板の場合は亜鉛メッキなどの表面処理を施すとよい。
この係止はカシメ加工で係止突部32aを形成することでなされる。
このようにユニットホルダ32を金属で形成することにより、ユニットホルダ32を薄く形成することができ、挿入部12の太さを抑制することができる。
したがって、ドライバユニット30を小型化していくと、出力される音声の音質低下を抑制するのは次第に困難となる。
これにより、バックキャビティ部16cを設けることに起因して耳介の外部に突出する部分の大きさを抑制することができる。
図2(a)に示すように、イヤーピース18は底部18tを有する筒状部18eを含んで形成され、その筒状部18eにおける底部18tには円形の貫通孔である音声出力孔18aが設けられている。
換言するならば、イヤーピース18の筒状部18eは、両端部が開口する貫通孔を有して形成されている。
また、イヤーピース18には、筒状部18eの底部18t側に一体的に結合する傘状部18bが設けられている。
傘状部18bは、結合した一方の端部側から他方の端部側に向け、筒状部18eを覆うように傘状に延在している。
イヤーピース18の筒状部18eの開口部(底部18tの反対側)近傍には、径内向きに突出する係止突部18cが設けられている。
一方、第1係止溝16hよりも開口部から微小に離間した筒部16aの表面には、径内向きに凹む第2係止溝16iが設けられている。
この第2係止溝16iに係止突部18cが係止されることにより、筒状部によってユニットホルダ32の全体を包み込むようにイヤーピース18が本体16に取り付けられる。
バックキャビティ部16cとジェル挿入孔16fとに介在する底部16lには、貫通孔であるワイヤ挿通孔16dおよび同じく貫通孔である複数の通気孔16eが設けられている。
ワイヤ挿通孔16dには、ドライバユニット30に接続されて電気信号を供給するワイヤ(リード線)が挿通されている。
通気孔16eは、ドライバユニット30に内蔵された振動板が円滑に振動できるよう、バックキャビティBCと外気とを連通させている。
制振ジェル34は、例えばケーブルと衣服とがこすれて生じた音の鼓膜への伝達を抑制する。
このため制振ジェル34は、制振性能の高い材料によって形成されている。制振ジェル34は、それぞれワイヤ挿通孔16dおよび通気孔16eと同じ形状および同じ位置に形成されるワイヤ挿通孔34aおよび通気孔34bが設けられている。制振ジェル34は、底部に突き当たるまでジェル挿入孔16fに挿入されている。
また、ジェル挿入孔16fの側壁には、ブッシング26を取り付けるためのブッシング挿入孔16gが設けられている。
このオーナメント取付部16kにオーナメント24が嵌め込まれて固定されている。オーナメント24はアルミニウム材料によって形成されている。なお、オーナメント24が他の材料によって形成されてもよいことは勿論である。
クッション22は、耳介当接部22aおよび取付突部22bによって構成されている。耳介当接部22aは、ヘッドホン10がユーザの耳に装着されたときに耳介に当接する。取付突部22bは、クッション22を本体16に取り付けるべく、耳介当接部22aから外部に突出するよう形成されている。
この取付突部22bがクッション取付孔16jに嵌め込まれることによりクッション22が本体16に固定されている。
具体的には、開口部近傍における耳介と外耳道の延在方向とが成す角度を考慮し、挿入規制部14は、垂直面PL1に対してθ=23.5度を成す方向に延在している。
このような角度に設定することで、ヘッドホン10がユーザの耳に装着されたときに、オーナメント24が前後方向に延在するよう配置することができ、装着時におけるヘッドホン10の快適な装着感とヘッドホン10の高いデザイン性の双方を実現することができる。
なお、挿入規制部14は、垂直面PL1に対して例えば20度以上30度以下の角度を成す方向に延在してもよい。このような角度の範囲で挿入規制部14が延在しても、装着時におけるヘッドホン10の装着感およびデザイン性を維持することができる。
なお、図3に示すヘッドホン10は、図1および図2に示す左耳用のヘッドホン10に対して線対称に形成されたものである。
耳介94は、外耳道の開口部周辺において椀状部94aを有している。
傾斜部16bは、ヘッドホン10がユーザの耳に装着されたときに、この椀状部94aの内壁に先端部16mが当接する長さに形成されている。
上述のように挿入規制部14は、垂直面PL1に対して角度θをもって延在している。
したがって、傾斜部16bが椀状部94aの内壁に当接することで、挿入部12を外耳道の内部に挿入させる方向に反力が与えられる。
このため、取れにくく良好な装着感をユーザに与えることができる。
また、クッション22とは別の弾性部材が先端部16mの位置に設けられていてもよい。このとき当該別の弾性部材はクッション22よりも柔らかい部材で形成されていてもよい。
これにより、ヘッドホン10の装着感をより向上させることができる。
実施形態では、ドライバユニット30を挿入部12に収容している。
したがって、挿入規制部14にドライバユニット30を収容する必要がないため、挿入規制部14の幅を挿入部12の幅と容易に略同一にすることができる。
このように挿入規制部14の幅を挿入部12の幅と略同一とすることにより、ユーザの耳にヘッドホン10が装着されたときに、挿入規制部14の周辺に指のスペースを確保することができ、ヘッドホン10の耳への着脱を容易なものとすることができる。
図5はフィルター18fを示す二面図であり、図6はフィルターに設けられた孔の形状及び配列を説明する部分平面図であり、図7はイヤーピース18と、イヤーピース18に備えられたフィルター18fと、ユニットホルダ32との関係を説明するための、ヘッドホン10の部分断面図である。
φa=5.2mm,Wa=2.0mm,Ha=1.5mmとされている。
また、互いに対向する腕部18f2の外径Wmはφ7.1mmとされている。
また、板厚tは例えば0.1mmである。腕部18f2は、例えば90°間隔で設けられている。基部18f1と腕部18f2とが接続する角部はR付けしてもよい。図5においては例えばR0.5が付与されている。
フィルター18fは、複数の開口部18f3を有している。各開口部18f3は微小な開口なので、所定の大きさ以上の物体の通過を規制し、フィルター18fはいわゆる防塵用のフィルターとして機能する。
弾力性を有する材料として例えばゴム材があり、ゴム材として例えばシリコンゴムがある。
フィルター18fは、その基部18f1の中心軸CL1と筒部16aの中心軸CL2とを一致させ、底部18tにおいてその外側面から0.6mmの位置にフィルター18fの外側面が位置するようにインサート成形されている。
従って、イヤーピース18は、底部18tにおいて、フィルター18fに対して外側の肉厚が0.6mm、内側の肉厚が0.3mmとなるよう形成されている。
また、フィルター18fは上述のように全面に開口部18f3を有しており、ゴムによるインサート成形時に、音声出力孔18aに露出する部分以外は開口部18f3内にゴムが流れ込んで一体成形されている。
従って、フィルター18fは、ゴムで形成された部分とより強固に一体化されている。
具体的には、フィルター18fに対して外側の径が内側の径よりも小さくなっている。
例えば、外側の径φcは3.4mmとされ、内側の径φdは4.0mmとされている。
図8(a)は、図7で示したように、音声出力孔18aの内径についてフィルター18fに対して外側を内側よりも小さくした場合を示し、図8(b)は、音声出力後18aの内径についてフィルター18fに対して外側を内側よりも大きくした場合を示している。
金型K1の外形Cuの位置及び金型K2の外形Csの位置が、成形後に音声出力孔18aの内面の位置となり、外形Cuが外形Csよりも中心軸CL1よりも離れた位置にある。
インサート成形により金型K1,K2が存在しない部分にゴム(図8における点描範囲)が充填される。
この場合、開口部18f3aにはゴムが入り込むものの、内側に隣接する開口部18f3bは金型K1と金型K2とで完全に塞がれているので、その内部にゴムが入り込むことはない。
従って、図8(a1)に模式的に示すように、成形後に外部から視認される開口部18f3aは、その音声出力孔18aの内壁に連なる開口部18f3aのみにゴムが充填されているのが認識されるのみであり、内壁から離隔した開口部18f3bは、ゴムが充填されてない貫通孔として認識される。
金型K1の外形Cuの位置及び金型K2の外形Csの位置が、成形後に音声出力孔18aの内面の位置となり、外形Cuが外形Csよりも中心軸CL1に近い位置にある。
インサート成形により金型K1,K2が存在しない部分にゴム(図8における点描範囲)が充填される。
この場合、この場合、開口部18f3aと開口部18f3bとの両方にゴムが入り込む。
従って、図8(b1)に模式的に示すように、成形後に外部から視認される開口部18f3aは、その音声出力孔18aの内壁に連なる開口部18f3aのみにゴムが充填されているのが認識されるのみであるが、内壁から離隔した開口部18f3bにもゴムが充填され、開口部18f3bは塞がれた貫通孔として認識される。
また、開口部18f3の内径を、フィルター18fの外側と内側とで同じにした場合、金型K1と金型K2との位置ずれがわずかに生じると、ゴムが充填されてしまう開口部18f3bが発生する可能性がある。
従って、実施例のように、フィルター18fに対する外側の音声出力孔18aを内側よりも小さくすることが望まれる。
従って、ドライバユニット30からの出力音は、フィルター18fを通過して外部に放出される。
また、ユニットホルダ32の底部32tの外側面32t1とフィルター18fの内側面18f4との間には、空間Sが形成されている。
また、仮に、開口部18f3を通過して内側に侵入する微小な埃があっても、空間Sが設けられているので、ユニットホルダ32の貫通孔32bに到達する埃はほとんどない。
従って、外部からの埃がユニットホルダ32の貫通孔32bを塞ぐ可能性はほとんどなく、外部からの埃によってヘッドホン10の出力音質の低下や音量の低下が生じることを防止することができる。
従って、ユーザは、イヤーピース18を常に清潔な状態で保つことができ、また、ヘッドホン10を長期間にわたり良好な音質と音量で使用することができる。
開口部18f3は、互いに同じ形状でなくてもよい。また、互いに同じ大きさでなくてもよい。
開口部18f3の形状は矩形以外の形状であってもよい。例えば、円形、楕円、長丸、星型、不定形形状であってもよい。
開口部18f3の配列はマトリクス状に限らない。千鳥状、放射状、渦巻き状、ランダム配列、など種々の配列とすることができる。各形状、各配列は自由に組み合わせることができる。
図9(a)に、開口部18f3を円形開口とし、マトリクス状に設けた開口パターン例を示す。
図9(b)に、開口部18f3を楕円形開口とし、マトリクス状に設けた開口パターン例を示す。
図9(c)に、開口部18f3を不定形開口とし、マトリクス状に設けた開口パターン例を示す。
図9(d)に、開口部18f3を長方形開口とし、千鳥状に配列した開口パターン例を示す。
図9(e)に、開口部18f3を長丸開口とし、放射状に配列した開口パターン例を示す。
図9(f)に、開口部18f3を円形開口とし、渦巻き状に配列した開口パターン例を示す。
図9(g)に、開口部18f3を星型開口とし、ランダムに配列した開口パターン例を示す。
網状物の場合、開口部18f3は網目の隙間となる。この網が所定の大きさ以上の物体の通過を規制する規制手段として機能する。
すなわち、網状部または複数の貫通孔を有する板状部がその規制手段に成り得る。
また、フィルター18fは、金属材料に限らず、樹脂材料で形成されていてもよい。樹脂を用いてインサート成形する場合は、耐熱性を有する素材を選択することが望ましい。
腕部18f2の基部18f1からの突出高さも、各腕部18f2で異なっていてもよい。腕部18f2の形状も限定されるものではない。
フィルター18fは、開口部18f3が、イヤーピース18の音声出力孔18aに露出する部分のみに形成されていてもよい。
イヤーピース18の音声出力孔18aは、円形でなくてもよい。矩形や楕円形等、形状は限定されない。
その場合でも、フィルター18に対する外側と内側とで異なる大きさにし、具体的には、外側が内側よりも大きい開口となるようにすることが望ましい。
また、音声出力孔18aは、フィルター18に対する内側と外側とで相似形状であることが望ましいが、相似でない形状であってもよい。
実施例において、イヤーピース18の筒状部18eが底部18tを有する有底のものを説明したが、底部18tがない無底の筒状部18eであってもよい。
12 挿入部
14 挿入規制部
16 本体
16a 筒部
16a1 開口端部
16b 傾斜部
16h 第1係止溝
16b 傾斜部
16c バックキャビティ部
16d ワイヤ挿入孔
16e 通気孔
16f ジェル挿入孔
16g ブッシング挿入孔
16h 第1係止溝
16i 第2係止溝
16j クッション取付孔
16k オーナメント取付部
16l 底部
16m 先端部
18 イヤーピース
18a 音声出力孔
18b 傘状部
18c 係合突部
18f フィルター
18f1 基部
18f2 腕部
18f3 開口部
18f4 内面
18t 底部
22 クッション
22a 耳介当接部
22b 取付突部
24 オーナメント
26 ブッシング
30 ドライバユニット
30a 音声出力面
30b 裏面
30t 端子
32 ユニットホルダ
32a 係止突部
32b 貫通孔
32t 底部
32t1 外面
34 制振ジェル
34b 通気孔
94 耳介
94a 椀状部
BC バックキャビティ
CL1 フィルターの中心軸
CL2 筒部の中心軸
D1 挿入方向
S 空間
Claims (4)
- ヘッドホンに装着可能なイヤーピースであって、
一端部側から放音される筒状部と、
前記筒状部の前記一端部側に露出して設けられる基部と、前記基部から延出して折り曲げられ、前記筒状部に埋没した腕部と、を有するフィルターと、
を備え、
前記基部には音放出孔としての複数の開口部が設けられていることを特徴とするイヤーピース。 - 前記筒状部の前記一端部側に連結し、前記一端部側から他端部側に向け前記筒状部を覆うように傘状に延在する傘状部を有することを特徴とする請求項1記載のイヤーピース。
- 前記腕部の先端が前記筒状部と前記傘状部の連結部に対応する範囲に位置することを特徴とする請求項2に記載のイヤーピース。
- 本体部と、
前記本体部から突出する放音筒部と、
前記本体部または前記放音筒部に取り付けされたドライバユニットと、
前記放音筒部に装着された請求項1〜3のいずれか1項に記載のイヤーピースと、を備えたヘッドホン。
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