JP5261203B2 - アルミニウム合金スペーサおよびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金スペーサおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体として使用される磁気ディスクの製造において、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの平坦度を矯正するための積み付け焼鈍で使用されるアルミニウム合金スペーサおよびその製造方法に関する。
一般にコンピュータの記録装置として使用されている磁気ディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)は、磁気記録媒体(磁気ディスク)であるドーナツ形状の基板を高速回転させ、その上を浮上するヘッドでデータの読み書きが行われる。そして、磁気記録媒体の基板としては、アルミニウム合金基板あるいはガラス基板が用いられる。
アルミニウム合金基板を用いた磁気記録媒体の製造工程では、アルミニウム合金板を打ち抜き加工してアルミニウム合金基板(アルミニウム合金ブランク)を作製し、その後、平坦度確保のため、基板を数十枚重ねて積み付け焼鈍(加圧焼鈍)してディスク基板を作製する。作製されたディスク基板は、表面を平滑にするため研削加工した後、NiPめっき処理が施され、さらに研磨加工される。研磨加工後の表面においては、微少な欠陥は許されず、また、表面粗さも数Åまで平滑にされる。そして、そのような平滑な表面に磁性膜を設けて磁気記録媒体となる。
ここで、ディスク基板に求められる性能の一つとして、平坦度があり、例えば、3.5inchのディスク基板では、平坦度は4μm以下で管理されている。この平坦度は、アルミニウム合金の打ち抜き加工後では、100μm程度あり、打ち抜き加工したアルミニウム合金ブランクを数十枚重ねて、上下からアルミニウム合金スペーサで挟み、積み付け焼鈍することにより、平坦度が矯正される。この平坦度の矯正においては、スペーサの平坦度が大きく影響するため、スペーサの平坦度も厳密に管理される必要がある。
そこで、ブランクの平坦度を矯正するためのスペーサとして、例えば、特許文献1には、成分組成、および、スペーサのサイズを所定に規定すると共に、板厚偏差を10μm以下、平坦度を10μm以下、表面粗さRmaxを2μm以下に規定したディスク歪取焼鈍用スペーサおよびその製造方法が開示されている。
また、スペーサの表面加工には、研磨や切削等が行われるが、表面にアルマイト処理を施して使用するものもある。例えば、特許文献2には、表面粗さを2μm以下、平坦度を10μm以下に規定したアルミニウム基体に、アルマイト処理を施したディスク歪取焼鈍用アルマイトスペーサが開示されている。スペーサ表面にアルマイト皮膜を形成することで、表面の傷つきや異物の付着を防止することができ、また、アルマイト処理には、積み付け焼鈍時にブランクとの密着を防止する効果もあり、積み付け焼鈍により酸化皮膜が成長し、ブランクとスペーサが密着して剥離できなくなることを防止することができる。
特公平1−18144(第2頁右欄10行目〜第3頁左欄36行目) 特開平4−280922(段落0005〜0010)
しかし、従来の技術においては、以下に示すような問題点を有している。
特許文献1に記載のスペーサでは、積み付け圧力および温度が低い条件では、積み付け焼鈍時におけるブランクとの密着については問題ないが、積み付け圧力や温度が高い場合等、これらの条件によっては、ブランクと密着して、剥離し難くなるという問題がある。なお、これらを無理に剥離すると、スペーサおよびブランクの損傷や変形を招くこととなる。
特許文献2に記載のスペーサは、アルマイト処理を施したものであり、ブランクとの密着については問題ない。しかし、アルマイト皮膜は、アルミニウム合金とは熱膨張係数が異なるため、積み付け焼鈍時の加熱によりクラックが入り、スペーサを繰り返し使用することで、皮膜が剥離することがある。このような剥離したアルマイト片は、ブランクの表面に付着することで、ピット欠陥の原因になる。このような欠陥は、その後の研磨めっき工程でも残るため、許容されるものではない。このため、積み付け焼鈍により、異物の原因となるアルマイト皮膜を用いることなく、ブランクとスペーサが密着することのないスペーサの開発が求められている。
さらに、前記のような従来のスペーサでは、ブランクにおけるある程度の平坦度の矯正効果は得られるものの、年々高性能化するHDDの品質要求に対応するため、スペーサにおいては、ブランクの良好な平坦度を確保できることが必要である。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、アルミニウム合金ブランクの良好な平坦度を確保できると共に、アルマイト皮膜を備えることなく、積み付け焼鈍時に、アルミニウム合金ブランクと密着することがないアルミニウム合金スペーサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に係るアルミニウム合金スペーサ(以下、適宜、スペーサという)は、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランク(以下、適宜、ブランクという)の平坦度を矯正するために使用するスペーサであって、前記アルミニウム合金スペーサの平坦度が2μm以下であり、前記アルミニウム合金スペーサの表面は、粗面化により形成された突起の最大高さ(以下、適宜、最大突起高さという)から2μmの深さでのベアリング比(以下、適宜、ベアリング比という)が30%以下であることを特徴とする。
このような構成によれば、スペーサの平坦度が2μm以下であることにより、ブランクの平坦度が良好なものとなる。また、表面のベアリング比が30%以下であることにより、ブランクの平坦度を矯正するための積み付け焼鈍時において、スペーサとブランクとの接触面積が減少し、スペーサとブランクが密着することが抑制される。
請求項2に係るアルミニウム合金スペーサは、さらに、表面にベーマイト皮膜を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、表面にベーマイト皮膜を備えることにより、スペーサとブランクとの密着が、より抑制される。さらに、積み付け焼鈍時において、スペーサ自体に傷がつくことが防止される。
請求項3に係るアルミニウム合金スペーサの製造方法は、請求項1に記載のアルミニウム合金スペーサの製造方法であって、基板作製工程と、平坦度調整工程と、粗面化工程と、を含み、前記粗面化工程は、基板の表面を、ブラスト処理することにより行うことを特徴とする。
このような製造方法によれば、基板作製工程により、アルミニウム合金の厚板から、スペーサの基板が作製され、平坦度調整工程により、前記基板の平坦度が調整されて、製造されるスペーサの平坦度が2μm以下となる。そして、粗面化工程により、前記平坦度が調整された基板の表面がブラスト処理により粗面化されて、製造されるスペーサの表面において、最大突起高さから2μmの深さでのベアリング比が30%以下となる。
請求項4に係るアルミニウム合金スペーサの製造方法は、請求項2に記載のアルミニウム合金スペーサの製造方法であって、基板作製工程と、平坦度調整工程と、粗面化工程と、ベーマイト処理工程と、を含み、前記粗面化工程は、基板の表面を、ブラスト処理することにより行うことを特徴とする。
このような製造方法によれば、基板作製工程により、アルミニウム合金の厚板から、スペーサの基板が作製され、平坦度調整工程により、前記基板の平坦度が調整されて、製造されるスペーサの平坦度が2μm以下となる。そして、粗面化工程により、前記平坦度が調整された基板の表面がブラスト処理により粗面化されて、製造されるスペーサの表面において、最大突起高さから2μmの深さでのベアリング比が30%以下となる。そして、ベーマイト処理工程により、前記表面が粗面化された基板に、ベーマイト処理が施される。これにより、前記スペーサの表面に、ベーマイト皮膜を備えたスペーサが製造される。
本発明の請求項1に係る発明によれば、ブランクの製造の際の積み付け焼鈍時に、スペーサがブランクと密着して、スペーサとブランクとが剥離し難くなることを抑制することができる。また、アルマイト皮膜を備えないため、積み付け焼鈍を繰り返し行っても、ブランクの表面欠陥の原因となる異物発生を抑制することができる。さらに、ブランクの平坦度を良好なものとすることができる。
本発明の請求項2に係る発明によれば、スペーサとブランクとの密着を、より抑制することができるため、スペーサとブランクとが剥離し難くなることを、より抑制することができる。また、積み付け焼鈍を繰り返し行っても、スペーサ自体に傷がつきにくくなる。
本発明の請求項3に係る発明によれば、積み付け焼鈍時のスペーサとブランクとの密着を抑制することができるスペーサを製造することができる。さらに、製造されたスペーサは、ブランクの平坦度を良好なものとすることができ、かつ、積み付け焼鈍の繰り返しによる異物発生を抑制することができるものとなる。さらに、請求項4に係る発明によれば、ベーマイト皮膜を備えたスペーサを製造することができ、製造されたスペーサは、表面が傷つきにくく、かつ、スペーサとブランクとの密着を、より抑制することができるものとなる。
本発明のアルミニウム合金スペーサの表面におけるベアリング比を説明するための模式図である。 実施例における積み付け焼鈍時の様子を示す模式図である。
以下、本発明に係るアルミニウム合金スペーサおよびその製造方法の最良の形態について具体的に説明する。
≪スペーサ≫
本発明に係るアルミニウム合金スペーサは、磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの平坦度を矯正するために使用するスペーサであって、平坦度が2μm以下であり、かつ、粗面化により形成された突起の最大高さから2μmの深さでのベアリング比が30%以下であることを特徴とする。また、スペーサの表面に、ベーマイト皮膜を設けてもよい。
以下、各構成について説明する。
<材質>
使用されるアルミニウム合金は、ディスク用のアルミニウム合金と熱膨張係数が近い合金を使用すればよい。ディスク用の合金は、主にAl−4質量%Mg合金であるため、スペーサ用のアルミニウム合金として、5000系(Al−Mg系)合金を使用すれば問題ない。この5000系合金は、加工性および強度も良好である。
<平坦度:2μm以下>
現在、磁気ディスクの量産において使用されているスペーサは、年々高性能化するHDDの品質要求に対応するため、平坦度が2μm以下のものが使用されている。そのため、本発明においても、スペーサの平坦度は、2μm以下とする。
スペーサの平坦度は、後記するように、従来公知の方法で調整すればよく、切削や研削加工等により、アルミニウム合金の厚板から作製した基板の平坦度を調整することにより行えばよい。スペーサの平坦度が2μmを超えると、ブランクの平坦度を矯正するための積み付け焼鈍(加圧焼鈍)を行っても、得られる磁気ディスクの平坦度が大きくなってしまい、磁気ディスクの平坦度不良を招く。なお、平坦度は、低いほど好ましいため、平坦度の下限値は特に規定されるものではない。また、平坦度の測定は、従来公知の平坦度測定機により行えばよい。
<ベアリング比:30%以下>
平坦度を調整した基板は、表面の粗面化を行うことで、最大突起高さから2μmの深さでのベアリング比が30%以下となるように調整する。基板の表面の適正な粗面化(粗面化の条件等については、後記する)により、スペーサの表面は、最大突起高さから2μmの深さでのベアリング比が30%以下となる。なお、スペーサ(基板)の表面とは、スペーサ(基板)の両面のことをいう(以下、同様である)。
次に、図1を参照して、スペーサ表面のベアリング比について説明する。図1に示すように、スペーサの表面には、粗面化により、突起Pが離散的に形成されている。ここで、「最大突起高さ」とは、測定長さ(スペーサの幅)L内での平均線から、突起Pにおける最高山頂までの値をいう。また、「平均線」とは、測定された表面形状の最小自乗曲線から算出される値である。また、ベアリング比は、スペーサの表面に形成されている突起の鋭さを表す指標であり、ベアリング比が小さい程、突起の形状は鋭くなる(尖ったものとなる)。
ここで「最大突起高さから2μmの深さでのベアリング比」とは、最大突起高さから2μmの深さにおいて、平均線と平行な線を引き、この線がプロフィールを横切る長さを比率化したものであり(図1では、最大突起高さから2μmの深さが、平均線の位置となっている)、具体的には、以下の式により算出する。
図1に示すように、突起Pの幅を「B・・・B」、測定長さをLとしたとき、「[(B+B+B+B+B+・・・B)÷L]×100=ベアリング比である。すなわち、ここでのベアリング比は、評価する長さに対するベアリング長の比であり、ベアリング長とは、一番高いピーク値の値(最大突起高さ)からある深さでの切断面の長さである。そして、本発明では、この値が30以下であることを要する。
このようなベアリング比は、前記の式に基づき、Veeco社製のWYKO NT3300(表面粗さ測定装置)のVSIモード(表面が粗い場合の測定モード)により、Turret 10×,Fov2.0×(倍率設定)で測定した結果から算出する。
ベアリング比を30%以下とすることで、積み付け焼鈍時におけるスペーサとブランクとの接触面積が減少し、これらの密着を防止することができる。ベアリング比が30%を超えると、積み付け焼鈍時の酸化皮膜成長や、加圧による圧縮によって、スペーサの表面における粗面化の効果が小さくなる。そのため、スペーサとブランクとが密着し、積み付け焼鈍後に、これらを剥離し難くなる。
<ベーマイト皮膜>
ベーマイト皮膜は、スペーサとブランクとの密着の抑制、および、表面硬化によるスペーサの傷つき防止という両面からの効果がある。なお、傷つき防止等の観点からは、表面が硬く傷つきにくいほうがよい。ベーマイト皮膜は、1μm以下の薄い皮膜として形成されるものであるため、ベーマイト皮膜が剥離して大きな欠陥となることは少ない。ベーマイト皮膜の形成は、後記するように、沸騰した純水に浸漬する方法や、加圧蒸気により皮膜を形成する方法により行うことができる。
≪スペーサの製造方法≫
次に、本発明に係るアルミニウム合金スペーサの製造方法について説明する。
本発明に係るスペーサの製造方法は、前記説明したスペーサを製造する方法であり、基板作製工程と、平坦度調整工程と、粗面化工程と、を含む。また、ベーマイト皮膜を設ける場合は、粗面化工程の後に、ベーマイト処理工程を含む。
以下、各工程について説明する。
<基板作製工程>
基板作製工程は、アルミニウム合金の厚板から、基板を作製する工程である。
使用するアルミニウム合金としては、前記したように、主に、5000系(Al−Mg系)合金を使用する。
基板の作製は、アルミニウム合金の厚板から、機械加工により部材を所定形状に切り出し、旋盤等により加工して、例えば、外径20〜110mm、内径3〜26mmの円板状にすることにより行う。なお、ここでの円板状とは、平面視で中央部分が空洞であるドーナツ状の基板を含むものである。ここで、スペーサは、少なくともブランクの全表面に接触する必要があるが、大きすぎると、積み付け焼鈍を行う際の積付時の作業性が低下する。そのため、ブランク全面をカバーし、かつ、積付時の作業性も許容できる範囲として、スペーサの外径は、ブランクの外径+12〜−0mm程度、内径は、ブランクの内径+0〜−4mm程度とするのが好ましい。
また、板厚については、板厚が厚い程、高温における剛性が増大するため好ましいが、生産性を考慮すると、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましい。一方、板厚が10mm未満では、剛性が不十分となりやすく、ブランクの平坦度向上効果が得にくくなることから、板厚は、10mm以上とするのが好ましい。このようにして作製された基板は、ベルトコンベヤ等により、次の工程に搬送される。
<平坦度調整工程>
平坦度調整工程は、前記基板作製工程で作製した基板の平坦度を調整する工程である。
この平坦度調整工程により、基板の平坦度を2μm以下に制御することで、最終的に、製造されるスペーサの平坦度が2μm以下となる。スペーサの平坦度は、従来公知の方法で調整すればよく、前記基板作製工程で作製した基板に、バイトによる切削や、砥石を使用した研削加工等を施すことにより行えばよい。
<粗面化工程>
粗面化工程は、前記平坦度調整工程で平坦度が調整された基板の表面を粗面化する工程である。
この粗面化工程により、基板の表面のベアリング比を30%以下に制御することで、最終的に、スペーサの表面のベアリング比が30%以下となる。粗面化工程は、基板の表面をブラスト処理することにより行う。表面の粗面化方法としては、化学的および機械的な方法があるが、機械的な方法であるブラスト処理は、砥粒を表面に吹き付ける方法であり、平坦度を悪化させることなく、表面を深く粗面化することができる。そのため、湿式または乾式のブラスト処理を行うことにより、良好なスペーサ表面を得ることができる。以下、湿式ブラストおよび乾式ブラストについて説明する。
[湿式ブラスト]
湿式ブラストは、研磨剤を混合させた水を空気圧で基板表面に噴射する方法であり、例えば、噴射するノズルを基板の両面に設置することにより、搬送されてきた基板の両面を同時、または、片方ずつ処理する。湿式ブラストでは、高圧で噴射された研磨剤を含んだ水が表面の汚れ、ダライ、基板外縁部のバリ等の異物を除去する作用を持ち、また、酸化皮膜を除去する効果もある。さらには、素材表面を研削する効果もあり、研削性の向上を図ることができる。
湿式ブラストで使用される砥粒は特に限定されないが、より効果を得るためにはセラミック系の砥粒がよく、コスト等を考慮すると、アルミナや、炭化珪素等がよい。また、砥粒については、後記する乾式ブラストに比べ、より細かい粒径が選択できるため、40μm以下のアルミナや炭化珪素等がよく、圧力は0.05〜1.0MPa、処理時間は、3〜60秒の範囲で選定するのが好ましい。また、湿式ブラストにおいては、より高い化学エッチング性や脱脂性を加えるため、界面活性剤、脱脂剤、エッチング剤等を加えることが可能であり、また、加温することも可能である。そして、このような砥粒径およびブラスト条件を調整することにより、目的とする粗面を得ることができる。
[乾式ブラスト]
乾式ブラスト(ショットブラスト、エアブラスト)は、圧縮空気により、研磨剤を基板に噴射する方法であり、例えば、噴射するノズルを基板の両面に設置することにより、搬送されてきた基板の両面を同時、または、片方ずつ処理する。乾式ブラストでは、高圧で噴射された研磨剤を含んだ空気が表面の汚れ、ダライ、基板外縁部のバリ等の異物を除去する作用を持ち、また、酸化皮膜を除去する効果もある。さらには、素材表面を研削する効果もあり、研削性の向上を図ることができる。ただし、乾式ブラストでは、基板表面に砥粒が埋まることがあり、それを除去するためにも、その後、基板表面を高圧水等により洗浄するのが好ましい。
乾式ブラストで使用される砥粒は特に限定されないが、より効果を得るためにはセラミック系の砥粒がよく、コスト等を考慮すると、アルミナや、炭化珪素等がよい。また、砥粒径や噴射圧力についても特に限定されないが、ブラスト後の表面粗度のばらつきを押さえるために、粒径が細かい方が好ましく、砥粒径は100μm以下が好ましい。また、圧力は0.1〜1.0MPa、処理時間は、3〜60秒の範囲で選定するのが好ましい。そして、このような砥粒径およびブラスト条件を調整することにより、目的とする粗面を得ることができる。
<ベーマイト処理工程>
ベーマイト処理工程は、粗面化工程で表面が粗面化された基板(スペーサ)に、ベーマイト処理を施す工程である。ベーマイト処理工程により、表面にベーマイト皮膜を備えたスペーサを製造することができる。
前記説明したとおり、ベーマイト処理によるベーマイト皮膜の形成により、ブランクとの密着抑制、および、スペーサの傷つき防止の効果を得ることができる。ベーマイト皮膜の形成方法としては、粗面化したスペーサをそのまま、あるいは、スペーサの表面を、脱脂やエッチング等により化学的に洗浄をした後、沸騰した純水に浸漬する方法で行うことができる。なお、純水中に、反応を促進させるトリエタノールアミン等を添加してもよい。好ましい浸漬時間は、10〜30分である。また、前記方法の他、加圧蒸気によりベーマイト皮膜の形成を行うこともできる。
本発明のスペーサの製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、高圧水の噴射や水洗等により、基板(スペーサ)の表面の異物を除去する異物除去工程や、異物を除去した基板(スペーサ)を乾燥させる乾燥工程や、基板作製工程後の基板において、加工による歪みが大きい場合に、基板に熱処理を施すことで歪みを除去する熱処理工程や、基板(スペーサ)を化学エッチングする化学エッチング工程や、各工程で発生した不良品を除去する不良品除去工程等、他の工程を含めてもよい。
次に、本発明のアルミニウム合金スペーサおよびその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と、本発明の要件を満たさない比較例と、を対比させて具体的に説明する。
まず、AA5086アルミニウム合金の厚板から、機械加工により所定形状の部材を切り出し、旋盤等により加工して、外径100mm、内径24mm、厚さ25mmの基板を作製した。この基板に切削加工を施し、平坦度を1.5μmに調整した後、表1に示す粗面化条件で、粗面化処理し、洗浄して、表2に示す供試材を作製した。なお、一部については、粗面化処理を行わず、一部については、平坦度を3.2μmに調整した(なお、表2のNo.12の供試材は、特許文献1に記載の発明に基づいて作製したものである)。
また、一部については、ベーマイト処理を行った。ベーマイト処理は、粗面化処理および洗浄を連続して行った直後に、沸騰純水+1%トリエタノールアミン水溶液に20分浸漬することにより実施した。また、現行のアルマイトスペーサとして、切削加工により平坦度を調整した基板の表面を脱脂した後、50℃の5%NaOH中に3分浸漬し、その後、室温(常温)の30%硝酸中に1分浸漬する前処理をし、次に、20℃の15%硫酸中で、1.5A/dmの電流密度電流を与えることで、アルマイト皮膜の膜厚が10μmになるようにアルマイト処理した供試材を作製した(なお、表2のNo.13の供試材は、特許文献2に記載の発明に基づいて作製したものである)。
また、作製した供試材について、最大突起高さから2μmの深さでのベアリング比を、Veeco社製のWYKO NT3300(表面粗さ測定装置)のVSIモード(表面が粗い場合の測定モード)により、Turret 10×,Fov2.0×(倍率設定)で測定した結果から算出した。
Figure 0005261203
このようにして作製した供試材(スペーサ)を用いて、積み付け焼鈍を実施し、積み付け後の剥離性を調査した。また、スペーサに接していたブランクについて、スペーサからブランクを剥離した後の平坦度を測定し、平坦度を調査した。
<剥離性>
剥離性は、積み付け焼鈍後、スペーサとブランクの剥離状態を確認することにより評価した。まず、ブランクを20枚積み重ね、その上下を、スペーサで挟み、加圧力60kg/cm、350℃×2時間の条件で積み付け焼鈍を実施した。積み付け焼鈍時の模式図を図2に示す。剥離性の評価は、スペーサ2からブランク1を剥離する際、負荷なく剥離できた場合を、剥離性が良好(◎)、ある程度密着しているが、剥離できた場合を、剥離性がやや良好(○)、密着力が強く、剥離し難かった場合を、剥離性がやや不良(△)、剥離できなかった場合を、剥離性が不良(×)とした。
<平坦度>
ブランクの平坦度は、積み付け焼鈍後のスペーサに接していたブランク(ディスク基板)の平坦度を測定することにより評価した。平坦度の測定は、平坦度測定機(Zygo社製 Zygo mes)を使用して行った。平坦度の評価は、平坦度が4.0μm以下のものを平坦度が良好、平坦度が4.0μmを超えるものを平坦度が不良とした。
さらに、スペーサの耐傷つき性を調査した。なお、耐傷つき性の調査の際、ベーマイト皮膜、または、アルマイト皮膜を設けたスペーサについては、これらの皮膜の剥離が生じるか否かを調査した。
<耐傷つき性>
耐傷つき性は、同一条件のスペーサを10枚使用し、生産ラインにて積み付け焼鈍を5回繰り返した後、スペーサの表面を目視で観察し、ハンドリング等の傷つき程度を確認することにより評価した。耐傷つき性の評価は、傷つき程度が軽く、さらに焼鈍用の治具として使用できるスペーサの枚数(良品数)を数え、皮膜を備えるものと備えないものとで比較した。
[皮膜剥離]
ベーマイト皮膜、または、アルマイト皮膜を設けたスペーサについては、前記した積み付け焼鈍を5回繰り返した後のスペーサの表面を光学顕微鏡100倍の条件で観察し、皮膜の剥離程度を観察することにより行った。
これらの結果を表2に示す。なお、表2において、本発明の構成を満たさないものについては、下線を引いて示し、ブランクの平坦度を測定できなかったもの、皮膜がないため、皮膜剥離の評価を行えなかったものについては、「−」で示す。
Figure 0005261203
表2に示すように、No.1〜8は、本発明の構成を満たすため、剥離性、平坦度が良好、または、やや良好であった。さらに、No.2、4、6、8は、ベーマイト皮膜を備えるため、スペーサとブランクとの密着は、まったく問題なかった。また、ベーマイト皮膜を備えないものに比べ、スペーサの耐傷つき性にも優れており、スペーサとして、繰り返し使用できることがわかる。さらに、ベーマイト皮膜の剥離も生じなかった。
一方、No.9は、スペーサの平坦度が上限値を超えるため、ブランクの平坦度に劣った。No.10は、ベアリング比が上限値を超えるため、ブランクとの接触面積が大きくなり、剥離性に劣った。なお、剥離ができなかったため、平坦度の測定はできなかった。No.11は、ベアリング比が上限値を超えるため、ブランクとの接触面積が大きくなり、剥離性に劣った。ただし、ベーマイト皮膜を備えているため、剥離性はやや不良であり、No.10に比べると、剥離しやすかった。
No.12は、粗面化処理をしていないため、ベアリング比が非常に大きくなった。そのため、剥離性に劣った。なお、剥離ができなかったため、平坦度の測定はできなかった。No.13は、現行アルマイトスペーサであり、繰り返しの熱処理によりアルマイト皮膜の一部が剥離した(スペーサ10枚すべてに剥離が発生した)。アルマイト皮膜の剥離は、製品への押し込みの要因となることから、ブランク(ディスク基板)の欠陥原因となるといえ、このスペーサは、使用に際しては問題があるといえる。
以上、本発明に係るアルミニウム合金スペーサおよびその製造方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 ブランク
2 スペーサ
P 突起

Claims (4)

  1. 磁気ディスク用アルミニウム合金ブランクの平坦度を矯正するために使用するアルミニウム合金スペーサであって、
    前記アルミニウム合金スペーサの平坦度が2μm以下であり、
    前記アルミニウム合金スペーサの表面は、粗面化により形成された突起の最大高さから2μmの深さでのベアリング比が30%以下であることを特徴とするアルミニウム合金スペーサ。
  2. さらに、表面にベーマイト皮膜を備えることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金スペーサ。
  3. 請求項1に記載のアルミニウム合金スペーサの製造方法であって、
    アルミニウム合金の厚板から、基板を作製する基板作製工程と、
    前記基板の平坦度を調整する平坦度調整工程と、
    前記平坦度が調整された基板の表面を粗面化する粗面化工程と、を含み、
    前記粗面化工程は、前記基板の表面を、ブラスト処理することにより行うことを特徴とするアルミニウム合金スペーサの製造方法。
  4. 請求項2に記載のアルミニウム合金スペーサの製造方法であって、
    アルミニウム合金の厚板から、基板を作製する基板作製工程と、
    前記基板の平坦度を調整する平坦度調整工程と、
    前記平坦度が調整された基板の表面を粗面化する粗面化工程と、
    前記表面が粗面化された基板に、ベーマイト処理を施すベーマイト処理工程と、を含み、
    前記粗面化工程は、前記基板の表面を、ブラスト処理することにより行うことを特徴とするアルミニウム合金スペーサの製造方法。
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