以下、本発明に係るスクロール型圧縮機について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスクロール型圧縮機30の軸線方向に沿う断面図であり、図2は、図1に示すスクロール型圧縮機30の一部断面分解斜視図である。本実施形態に係るスクロール型圧縮機30は、例えば、車両や建物等の空調ユニットを構成し、図示しないエンジンやモータ等の駆動源の駆動作用下に所定のガス(冷媒ガス)を吸入及び圧縮し、吐出する圧縮機である。
図1及び図2に示すように、スクロール型圧縮機30は、カップ状に形成されたフロントハウジング32と、冠状に形成されたリアハウジング34とを備える。フロントハウジング32の上部には、例えば、冷媒ガス等からなるガスをその内部へと導入する吸入口32aが形成されている。一方、リアハウジング34の上部には、スクロール型圧縮機30により前記ガスが圧縮された圧縮ガスを、例えば、冷媒循環系へと吐出する吐出口34aが形成されている。なお、フロントハウジング32には、スクロール型圧縮機30を、例えば、エンジンや外部機器等に取り付けるための複数の取付座32bが設けられている。
フロントハウジング32の内部には、固定スクロール40と、該固定スクロール40に対して旋回する可動スクロール(旋回スクロール)42が配設される。
固定スクロール40は、フロントハウジング32とリアハウジング34とによって挟持される外周縁部40aを含む固定側基板部40bと、該固定側基板部40bから可動スクロール42側へと渦巻状に立設される固定側渦巻壁(固定ラップ)40cとを有する。可動スクロール42は、可動側基板部42aと、該可動側基板部42aから固定スクロール40側へと渦巻状に立設され、前記固定側渦巻壁40cに噛み合う可動側渦巻壁(可動ラップ)42bとを有する。
固定スクロール40の固定側基板部40b及び固定側渦巻壁40cと、可動スクロール42の可動側基板部42a及び可動側渦巻壁42bとによって圧縮室(ガス圧縮室)44が形成される。該圧縮室44を封止するため、固定側渦巻壁40c及び可動側渦巻壁42bの各端部には、それぞれ可動側基板部42a及び固定側基板部40bに摺接するようにシール部材46が取着されている。シール部材46は、例えば、PPS(ポリ・フェニレン・サルファイド)、炭素繊維及び固体潤滑剤により構成される。
固定スクロール40の背面40dには、環状に且つ薄板状に形成されたガスケット48を介してリアハウジング34が装着され、これにより、前記吐出口34aに連通するガス吐出室50が形成される。固定スクロール40の固定側基板部40bの略中心部には、圧縮室44からガス吐出室50へと連通する圧縮ガス導出孔40eが形成されている。
なお、リアハウジング34、固定スクロール40及びガスケット48は、複数(例えば、4本)のボルト52によってフロントハウジング32に締結される。その際、固定スクロール40の固定側基板部40bに形成された環状溝40fには、固定スクロール40とフロントハウジング32とにより形成されるガス吸入室54を封止するOリング56が取着される。
また、固定スクロール40の背面40dには、前記圧縮ガス導出孔40eを閉塞する一方、圧縮室44において圧縮された圧縮ガスが所定の高圧となった際、撓曲して開動作することでガス吐出室50へと圧縮ガスを導出する吐出弁58が備えられている。吐出弁58は、ガスケット48に形成されたリテーナ部48aによってその弁開度が規制される。該リテーナ部48aは、リアハウジング34の内側に形成された傾斜面からなる受部34bによって受け止められる。
フロントハウジング32の縮径した端部の開口32cには、回転駆動軸(クランクシャフト)である回転シャフト60の一端の軸部60aが挿入される。軸部60aは、第1軸受61を介して開口32cによって回転自在に支承される。一方、回転シャフト60の他端には、拡径する支持体62が備えられている。支持体62は、外周側面の支持面62aが第2軸受64に嵌挿されることによって回転自在に支承される。第2軸受64は、フロントハウジング32に形成された肩部32dによって支持される。
図3に示すように、支持体62には、その軸心Q0(回転シャフト60の軸心Q0)に偏心した軸心Q1を中心として駆動ピン66が固着されている。なお、回転シャフト60の軸部60aには、前記ガス吸入室54を封止するための封止部材68が嵌挿される。該封止部材68は、フロントハウジング32の開口肩部32eに支持され、例えば、金属材料からなるリング状のコアにゴム系材料、あるいは樹脂系材料を被覆することにより構成される。
可動スクロール42の可動側基板部42aには、その前面42c側に開口した円形凹部42dが形成されている。該円形凹部42dには、旋回軸受70を介してブッシュ(偏心ブッシュ)72が回転可能に嵌挿される。ブッシュ72は、その軸心に偏心して形成された孔部72aに前記駆動ピン66が挿入されることで回転シャフト60によってスイング運動可能に旋回され、これにより、可動スクロール42を旋回半径可変に旋回させる。
このようなブッシュ72は、後述するスイングリンク機構73によって旋回半径の変化量が所定範囲内で規制されつつスイング運動可能であり、すなわち、可動スクロール42はブッシュ72により所定範囲内で旋回半径可変に構成されている。
駆動ピン66の先端には環状溝66aが形成され、該環状溝66aにC型止めリング74が嵌合される。従って、ブッシュ72は、C型止めリング74により駆動ピン66の軸方向への抜け止めがなされた状態で、当該駆動ピン66を中心として回転可能に構成されている。なお、駆動ピン66の根元近傍には、ブッシュ72を介してバランスウエイト76が装着される。
可動スクロール42の可動側基板部42aとフロントハウジング32の内部に形成された環状の支持部32fとの間には、可動スクロール42を摺接面80aによって摺動可能(旋回可能)に支持するスラストプレート80と、可動スクロール42の自転を拘束する一方、該可動スクロール42の旋回を許容する自転拘束部材であるオルダムリング(orbiting ring)82と、回転シャフト60の軸方向に対して直交する一方向にオルダムリング82を往復移動可能に支持すると共に、可動スクロール42にかかる前記軸方向のスラスト(thrust)力を、スラストプレート80を介して受け止める回転拘束部材であるオルダムベース(orbiting base)84とが配設される。
可動スクロール42の可動側基板部42aの前面42c側には、該可動スクロール42を一つの径方向にのみ往復移動可能とする一対の第1係合凹部90、90が形成されている。これら第1係合凹部90には、オルダムリング82の一つの径方向に形成された一対の第1係合凸部92、92が摺動可能に係合される。また、可動スクロール42を前記第1係合凹部90に対して直交する方向にのみ往復移動可能とするため、オルダムリング82には、前記第1係合凸部92に対して直交する径方向に突出する一対の第2係合凸部94、94が形成されている(図2参照)。これら第2係合凸部94は、オルダムベース84の一つの径方向に形成された一対の第2係合凹部96、96に摺動可能に係合される。
なお、オルダムベース84には、該オルダムベース84の径方向に沿って延在すると共に、オルダムリング82の往復移動を許容しながら該オルダムリング82との干渉を回避する切欠84aが形成されている(図2参照)。一方、オルダムリング82の第1係合凸部92の背面側、すなわちオルダムベース84の切欠84a側には、該オルダムリング82の径方向に膨出し、且つ周方向に該第1係合凸部92の両側面から僅かに膨出する膨出部92aが形成されている。膨出部92aは、オルダムベース84の切欠84aに対向して配置されている。
また、オルダムベース84は、シム(shim)86を間に介在して、前記切欠84aに形成された締結用の貫通孔84cに装着される複数(例えば、2本)のボルト88によって前記支持部32fに固定される。このように構成することで、ボルト88がスラストプレート80に干渉することを回避しつつ、フロントハウジング32の支持部32fにオルダムベース84を固定することができる。なお、シム86は、固定スクロール40と可動スクロール42との前記軸方向の隙間を所定値に調整するために介在されるものであり、前記隙間が適切に調整される場合には介在させなくてもよい。
フロントハウジング32の開口32cの外周部には、第3軸受100を介してプーリ102が装着されている。すなわち、プーリ102に図示しないエンジン等の回転駆動源から回転力が伝達され、電磁クラッチ104がON/OFF動作されることにより、回転駆動軸である回転シャフト60への前記回転力の伝達及び切り離しが行われる。
バランスウエイト76は、略半円形の板状に形成された外周部76aと、ブッシュ72に装着される部位である嵌挿部76bとを有する。該バランスウエイト76は、オルダムベース84の内周面84f及びフロントハウジング32における支持部32fの内壁面32iによって形成され、且つオルダムリング82との干渉を回避した領域内で旋回するように配設されている。これにより、可動スクロール42の旋回と共にバランスウエイト76も旋回し、すなわち、可動スクロール42の旋回による遠心力に平衡する遠心力がバランスウエイト76によって発生され、可動スクロール42が過度に固定スクロール40側へと押し付けられて過度の摩擦力が生じること等を有効に回避して、可動スクロール42の旋回を安定させることができる。なお、バランスウエイト76のブッシュ72への装着方法としては、上記のような嵌挿部76bによる圧入以外にも、例えば、リベット止め等でもよく、さらにはブッシュ72と一体に形成してもよい。
図3は、図1に示すスイングリンク機構73及びその周辺部を拡大した断面図である。また、図4Aは、図3に示すスイングリンク機構73を拡大して模式的に示した説明図であり、図4Bは、図4Aに示す状態からブッシュ72が最大限にスイングされた状態を示す説明図である。図5は、図4A中のV−V線に沿う一部省略断面図である。
スイングリンク機構73は、ブッシュ72における支持体62との対向面72bに突設された突起(スイング範囲規制突起)75と、回転シャフト60の一端に固着された支持体62におけるブッシュ72との対向面62bに形成され、前記突起75が所定の嵌め合い交差(間隙)を持って挿入される円柱状の凹部(嵌合凹部)77と、ブッシュ72がスイング運動して突起75と凹部77とが当接する際の衝撃を緩衝する衝撃緩衝部79とを有する。
突起75は、基端側に設けられた円柱状の基部(小径部)81と、該基部81より大径で先端側に設けられた円板状の当接部(大径部)83とからなる段付き形状の軸部材である。衝撃緩衝部79は、突起75と凹部77との嵌め合い部分において、凹部77の内周面77aと基部81の外周面81aとの間に形成された環状空間85と、該環状空間85に介装された環形状の弾性部材87とから構成される。弾性部材87としては、例えば、環形状のゴム系弾性体や環形状の板ばね部材等を用いることができ、要はブッシュ72のスイング運動による突起75の衝撃を所定の圧縮率まで所定の弾性力で受け止めることができる部材であればよい。
図3に示すように、本実施形態の場合、突起75と凹部77とは、ブッシュ72がスイング運動していない状態で軸心Q2が一致しているが、勿論、突起75と凹部77の軸心が互いに偏心していてもよいし、前記軸心Q2が回転シャフト60の軸心Q0と同軸であっても構わない。
図4A、図4B及び図5から諒解されるように、このようなスイングリンク機構73では、突起75の外径(当接部83の外径)よりも凹部77の内径が十分に大きく設定されており、すなわち突起75と凹部77とが所定の交差を有する隙間嵌めにより嵌合されており、環状空間85内に介装された弾性部材87の弾性作用下に、突起75が凹部77内を移動可能である。従って、ブッシュ72は、弾性部材87が最大限に圧縮され、換言すれば弾性部材87が所定の圧縮率(圧縮量)まで圧縮され、当接部83の外周面(当接面)83aが凹部77の内周面(当接面)77aに当接するまでの範囲内でスイング運動することができる(図4B及び図5参照)。
そこで、図4Aに示すように、スイングリンク機構73では、突起75において凹部77と当接する当接部83の外周面83aの半径をrと称し、凹部77において前記外周面83aと当接する内周面77aの半径をRと称し、環状空間85の半径方向での幅寸法をAと称した場合、「R>r」を前提として、半径r、半径R及び幅寸法Aは、次式(1)の関係を満たすように設定されている。
A>R−r (1)
すなわち、上記関係式(1)は、弾性部材87を収容する環状空間85の幅寸法Aよりも、突起75(ブッシュ72)が弾性部材87の圧縮方向に動作できる範囲であるスイング範囲「R−r」を小さく設定することを規定している。
次に、基本的には以上のように構成される本実施形態に係るスクロール型圧縮機30の動作について説明する。
電磁クラッチ104の動作作用下に、回転駆動軸である回転シャフト60に図示しないエンジン等から回転力が伝達されると、支持体62が第2軸受64を介して回転し、支持体62に固着された駆動ピン66が回転シャフト60の軸心に対して偏心した状態で旋回する。これにより、ブッシュ72が旋回して、オルダムベース84に摺動可能に支持されるオルダムリング82の摺動作用下、及び該オルダムリング82による自転拘束作用下、さらにスラストプレート80の摺接面80aによる摺動支持作用下に、可動スクロール42が自転を拘束されながら固定スクロール40に対して旋回する。このとき、バランスウエイト76は、可動スクロール42の旋回による遠心力に平衡する遠心力を発生させて旋回している。
その結果、固定スクロール40と可動スクロール42との間で形成される圧縮室44が外周部位から徐々に中央部位へと進行し、シール部材46の封止作用下にガス吸入室54に導入されたガスが圧縮される。そして、圧縮された圧縮ガスが圧縮ガス導出孔40eからガス吐出室50へと導出され、吐出口34aを介して図示しない冷媒循環系へと吐出される。
このような圧縮動作時(起動時や停止時も含む)、例えば、圧縮室44で液圧縮等が発生すると、可動スクロール42からブッシュ72へとスイング方向(図4B及び図5中の矢印参照)に急激且つ過度な力を生じ、この力を受け止める突起75にも同様な力が生じることになる。
そこで、本実施形態に係るスクロール型圧縮機30では、上記関係式(1)に基づき、スイングリンク機構73において、弾性部材87を収容した環状空間85の幅寸法Aよりも突起75のスイング範囲「R−r」を小さく設定している。これにより、スイングリンク機構73では、上記したような急激な力が生じた場合であっても、先ず、突起75がスイング範囲「R−r」内にある状態では、該突起75(ブッシュ72)が弾性部材87の弾性力によって衝撃を緩衝されつつ円滑にスイング運動される。次いで、弾性部材87が所定の圧縮率(圧縮量)まで圧縮されると、突起75の当接部83の外周面83aと凹部77の内周面77aとが当接し、これにより前記スイング運動が規制される。
すなわち、スイングリンク機構73では、衝撃緩衝部79を構成する弾性部材87の圧縮によりブッシュ72のスイング運動を弾性的に受けることができ、最終的には、突起75と凹部77とが当接することによりスイング運動の限界位置を画定している。従って、前記スイング範囲「R−r」を適宜設定することによりブッシュ72のスイング範囲を精度よく設定することができる。なお、上記関係式(1)で、環状空間85の幅寸法Aに対してスイング範囲「R−r」をどの程度小さく設定するかは、弾性部材87を形成するゴム材料等の寸法や特性を考慮して適宜設定すればよい。
また、最終的なスイング限界は突起75及び凹部77の当接により規定されることから、上記の衝撃を弾性部材87のみで最後まで受け止める必要がなく、当該弾性部材87の破損や劣化を有効に防止することができる。換言すれば、スイングリンク機構73では、弾性部材87が所定の圧縮率になったときに突起75と凹部77とを当接させるように構成しているため、弾性部材87の耐久性や必要な弾性力等を考慮して、適宜任意の圧縮率範囲(弾性域)で使用することができ、その結果、弾性部材87の耐久性を向上させることができる。
さらに、スイングリンク機構73では、環状空間85及び弾性部材87からなる衝撃緩衝部79を、突起75と凹部77との嵌め合い部分を利用して設けている。このため、例えば、衝撃緩衝部79をブッシュ72の外側面等に別途設ける必要がなく、省スペース化を図ることができ、スクロール型圧縮機30を小型化することができる。
なお、本実施形態に係るスクロール型圧縮機30において、スイングリンク機構73は、例えば、図6に示すスイングリンク機構73aとして構成することもできる。図6は、スイングリンク機構73の第1の変形例に係るスイングリンク機構73a及びその周辺部の説明図である。図6中、図1〜図5に示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下同様とする。
図6に示すように、スイングリンク機構73aは、上記突起75に代えて、基部81の基端側にも当接部83と略同形状の当接部(大径部)110を有する突起(スイング範囲規制突起)112を設けた構成からなる。
従って、スイングリンク機構73aでは、一対の当接部83、110の当接面である外周面83a、110aが、凹部77の当接面である内周面77aに同時に当接する。このため、上記の液圧縮等によりブッシュ72にスイング方向への急激な力が生じた場合であっても、突起112の基端側及び先端側の2つの当接部83、110でその力を受け止めることができるため、一層確実に且つ安定してスイング範囲を規制することができる。また、突起112では、凹部77との当接による負荷が軸方向でより均等に付与されるため、当該突起112の破損や変形等を一層有効に回避することができる。
本実施形態に係るスクロール型圧縮機30において、スイングリンク機構73は、図7Aに示すスイングリンク機構73bとして構成することもできる。図7Aは、スイングリンク機構73の第2の変形例に係るスイングリンク機構73b及びその周辺部の説明図であり、図7Bは、図7Aに示す状態からブッシュ72が最大限にスイングされた状態を示す説明図である。
図7Aに示すように、スイングリンク機構73bは、上記の突起75、凹部77及び衝撃緩衝部79に代えて、突起(スイング範囲規制突起)114、凹部(嵌合凹部)116及び衝撃緩衝部118を設けた構成からなる。
突起114は、前記突起75のような段付き形状ではなく略円柱状の軸部材である。該突起114の外周面のうち、基端側の外周面114aが衝撃緩衝部118の環状空間122を構成する一方、先端側が凹部116と当接する当接面114bとして機能する。凹部116は、突起114の外周面114a側に位置する大径部(弾性部材配置部)119と、該大径部119より小径で、突起114の当接面114b側に位置する小径部(当接部)120とから構成された段付き形状である。衝撃緩衝部118は、突起114の外周面114a側と凹部116の大径部119との嵌め合い部分において、該外周面114aと該大径部119の内周面119aとの間に形成された環状空間122と、該環状空間122に介装された弾性部材87とから構成される。
このようなスイングリンク機構73bでは、図7A及び図7Bから諒解されるように、突起114の先端側の当接面114bと、凹部116の小径部120の内周面120aとが互いに当接し、ブッシュ72のスイング限界が規定される。
そこで、図7Aに示すように、スイングリンク機構73bでは、図4Aに示すスイングリンク機構73の場合と略同様に、突起114において凹部116と当接する当接面114b(外周面114a)の半径をrと称し、凹部116において前記当接面114bと当接する小径部120の内周面(当接面)120aの半径をR(直径は2・R)と称し、環状空間122の半径方向での幅寸法をAと称し、さらに、環状空間122の外径をDoと称すると、上記関係式(1)に示す「A>R−r」の関係と共に、半径R及び外径Doは、次式(2)の関係を満たすように設定されている。
Do>2・R (2)
すなわち、上記関係式(2)は、突起114との当接面を構成する凹部116の小径部120の内径「2・R」よりも、弾性部材87を収容する環状空間122の外径Doを大きく設定することを規定している。換言すれば、上記関係式(2)は、凹部116において、突起114と当接する小径部120よりも弾性部材87が配設される環状空間122を構成する大径部119を大径に構成することを規定している。
従って、例えば、スクロール型圧縮機30の使用条件等により、ブッシュ72が一層急激なスイング方向への力を受けることが予想され、弾性部材87に一層大きな弾性力が必要とされる場合であっても、当接面を含めた凹部116全体を大きくすることなく、弾性部材87を収容する環状空間122だけを大きく形成し、例えばゴム系弾性体からなる弾性部材87の容積を増大させることが可能となる。また、突起114を小径にするのではなく、環状空間122を凹部116側へと拡径することで弾性部材87の容積増大を可能としているため、ブッシュ72のスイング運動を受け止める突起114の径を十分な大きさに確保し、その強度の確保及び向上が可能となる。
本実施形態に係るスクロール型圧縮機30において、スイングリンク機構73は、図8に示すスイングリンク機構73cとして構成することもできる。図8は、スイングリンク機構73の第3の変形例に係るスイングリンク機構73c及びその周辺部の説明図である。
図8に示すように、スイングリンク機構73cは、上記の突起75、凹部77及び衝撃緩衝部79に代えて、突起(スイング範囲規制突起)124、凹部(嵌合凹部)126及び衝撃緩衝部128を設けた構成からなる。
突起124は、基端側に設けられ、衝撃緩衝部128の環状空間130を構成する基部(大径部)132と、先端側に設けられ、基部132より小径の当接部(小径部)134とからなる段付き形状の軸部材である。凹部126は、突起124の基部132に対応する大径部(弾性部材配置部)136と、該大径部136より小径で、突起124の当接部134に対応する小径部(当接部)138とから構成された段付き形状である。衝撃緩衝部128は、突起124の基部132と凹部126の大径部136との嵌め合い部分において、該基部132の外周面132aと該大径部136の内周面136aとの間に形成された環状空間130と、該環状空間130に介装された弾性部材87とから構成される。
このようなスイングリンク機構73cでは、図8から諒解されるように、突起124における当接部134の外周面(当接面)134aと、凹部126における小径部138の内周面(当接面)138aとが互いに当接し、ブッシュ72のスイング限界が規定される。
そこで、図8に示すように、スイングリンク機構73cでは、図7Aに示すスイングリンク機構73bの場合と略同様に、突起124において凹部126と当接する外周面134aの半径をr(直径は2・r)と称し、凹部126において前記外周面134aと当接する小径部138の内周面138aの半径をR(直径は2・R)と称し、環状空間130の半径方向での幅寸法をAと称し、さらに、環状空間130の外径をDoと称し、突起124の環状空間130を構成する基部132の外径をDiと称すると、上記関係式(1)に示す「A>R−r」の関係、及び上記関係式(2)に示す「Do>2・R」の関係と共に、半径r及び外径Diは、次式(3)の関係を満たすように設定されている。
Di>2・r (3)
すなわち、上記関係式(3)は、凹部126との当接面を構成する突起124の当接部134の外径「2・r」よりも、弾性部材87を収容する環状空間130の内径Diを大きく設定することを規定している。換言すれば、上記関係式(3)は、突起124において、凹部126と当接する当接部134よりも弾性部材87が配設される環状空間130を構成する基部132を大径に構成することを規定している。
従って、例えば、スクロール型圧縮機30の使用条件等により、ブッシュ72が一層急激なスイング方向への力を受けることが予想され、弾性部材87に一層大きな弾性力が必要とされる場合であっても、当接面を含めた突起124全体を大きくすることなく、根元(基部132)の径であるDiだけを大きく形成し、例えばゴム系弾性体からなる弾性部材87の容積を増大させることが可能となる。また、突起124の基端側に基部132を形成することにより、弾性部材87や凹部126との当接でスイング方向に大きな力が加わる当該突起124の強度を確保することができる。同時に、突起124全体の径を大きくする必要がないため、相手側となる凹部126も必要最低限の大きさで十分であり、過度に大きく孔加工する必要がなく、当該凹部126を形成した支持体62の強度を確保することができ、さらに加工工数も削減することができる。
ところで、このようなスイングリンク機構73、73a〜73cでは、例えば、図9A及び図9Bに示すように、突起の根元や凹部の角部等にR形状や面取り部等を形成すると、その耐久性等を一層向上させることができる。図9Aは、図7Aに示すスイングリンク機構73bの変形例に係るスイングリンク機構73d及びその周辺部の説明図であり、図9Bは、図9Aに示す状態からブッシュ72が最大限にスイングされた状態を示す説明図である。
図9Aに示すように、スイングリンク機構73dは、図7Aに示すスイングリンク機構73bを構成する突起114、凹部116及び衝撃緩衝部118に代えて、突起140、凹部142及び衝撃緩衝部144を設けた構成からなる。
突起140は、前記突起114(図7A参照)と略同形状であるが、根元(基端部)にR形状やテーパ形状からなり拡径した補強部146が形成されている。凹部142は、前記凹部116(図7A参照)と略同形状であり、突起140の基端側に位置した大径部(弾性部材配置部)148と、突起140の先端側に位置した小径部(当接部)150とから構成された段付き形状である。環状空間152に臨む小径部150の角部(縁部)には、テーパ状の面取り部154が形成されている。衝撃緩衝部144は、突起140の基端側と凹部142の大径部148との嵌め合い部分において、突起140の外周面140aと大径部148の内周面148aとの間に形成された環状空間152と、該環状空間152に介装された弾性部材87とから構成される。
図9A及び図9Bから諒解されるように、突起140の根元に形成された補強部146は、環状空間152との対向面である内周面148aまで延在するように形成されている。これにより、環状空間152は、突起140の外周面140aと大径部148の内周面148aとの間での幅寸法Aからなる部分と共に、一部に補強部146と内周面148aとの間で形成され、幅寸法Aより狭い幅寸法Bからなる幅狭部(狭幅部)156を有して構成される。
従って、図9Bに示すように、ブッシュ72がスイング限界までスイングされて突起140と小径部150とが当接した状態では、環状空間152は、弾性部材87を収容した幅寸法Aの部分が圧縮されて幅寸法A1となる。そうすると、通常、弾性部材87は、外周面140a及び内周面148aに沿う方向に延びるように潰されるが(図9B参照)、スイング運動の状態等によっては、ブッシュ72と支持体62との間の隙間G1へとはみ出すように移動する可能性がある。
そこで、当該スイングリンク機構73dでは、補強部146により幅狭部156を設けていることから、図9Bに示すようにブッシュ72が限界までスイング動作された場合、幅狭部156がさらに狭幅の幅寸法B1となり、弾性部材87の前記隙間G1へのはみ出しが有効に防止される。
また、突起140は、根元が補強部146によって拡径されて補強されているため、当該突起140の強度を向上させることができる。さらに、突起140全体の径を大きくせずに補強できるため、相手側となる凹部142も必要最低限の大きさで十分であり、過度に大きく孔加工する必要がない。このため、凹部142を形成した支持体62の強度を十分に確保することができ、さらに加工工数も削減することができる。
一方、凹部142には、面取り部154を設けているため、例えば、図9Bに示すようなブッシュ72がスイング限界までスイングされた状態から、図9Aに示すようなスイングしていない状態まで戻る際、図9Bに示す突起140と凹部142との間に形成された隙間G2に、弾性部材87が噛み込まれることを有効に回避することができる。
このような補強部や面取り部は、当然、図4A、図6、図7A及び図8に示す各形態に係るスイングリンク機構に適用可能であることは言うまでもない。例えば、図4A及び図6に示すスイングリンク機構73、73aの場合、当接部83、110の環状空間85に臨む角部(縁部)に面取り部を形成すれば、上記したような弾性部材87の噛み込みを防止する効果があり、突起75、112の根元に補強部を設ければ上記したような強度向上や弾性部材のはみ出し防止の効果を得ることができる。図8に示すスイングリンク機構73cでは、例えば、突起124の基部132の角部に補強部や面取り部を設けたり、凹部126の小径部138の角部に面取り部を設けると、上記したような強度向上や弾性部材のはみ出し防止、噛み込み防止等の効果を得ることができる。
なお、上記実施形態における旋回半径可変機構としてのスイングリンク機構73等では、ブッシュ72側に突起を設け、回転シャフト60の支持体62側に凹部を設けていたが、ブッシュ側に凹部を設け、支持体側に凸部を設けた構成としてもよい。例えば、図4Aに示すスイングリンク機構73の場合、図10に示すように、ブッシュ72側に凹部77を設け、該凹部77に支持体62から突出する突起75が嵌合されるように構成したスイングリンク機構73eとして構成することもでき、他のスイングリンク機構73a〜73dについても同様である。
本発明は、上記の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
例えば、突起と凹部との当接による衝撃を緩衝する衝撃緩衝部を構成する弾性部材は、環形状以外であってもよく、すなわち、環状空間に沿って複数の棒状の弾性部材を配列して構成してもよく、要は、突起と凹部とが当接するまでの間、適切にその衝撃を緩衝(吸収)できる形状及び材質であればよい。