JP5258013B2 - 天井クレーンによる搬送方法およびこの搬送方法を利用した天井クレーンシステム - Google Patents
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Description
しかしながら,時々刻々と変化する現場の障害物をオンラインで検出しなければいけないことや,入り組んだ位置決めが要求される組付作業などでは完全自動化を行うことは困難である。そのため,機械にはできない柔軟な判断を人間によって行うことが求められており,パワーアシストによる荷物の搬送,組付の研究がされている。
しかしながら,パワーアシストを用いた長距離搬送は,搬送時間が増え作業効率が低下するという問題がある。また,パワーアシストモードと搬送モードモードの切り替えを行う手法も提案されているが,モードを切り替え時に制御入力が急変しやすく,精密機器の搬送を行う場合に問題がある。
西村秀和、種村英朗、野波健蔵著、「走行クレーンのロープ長変動に対するゲインスケジュール位置決め制御」日本機械学会論文集(C編)、Vol.62、No.599、2692/2697(1996)。 兼重明宏、寺島一彦、鈴木薪雄、殷雷著、「障害物認識と経路計画を考慮した天井クレーンの自律化」日本機械学会論文集(C編)、Vol.64、No.618、487/494(1998)。 鴻巣仁司、荒木勇、山田陽滋著、「自動車組立作業支援装置スキルアシストの実用化」日本ロボット学会誌、Vol.22、No.4、508/514(2004)。 山田陽滋、鴻巣仁司、荒木勇著、「パワーアシストロボット、スキルアイストロボット、自動車組立工程の搭載作業のためのスキルアシストロボットの開発」、ロボット、No.162、20/25(2004)。 原進著、「人間―機械共働型ロボットシステムのためのモード切り換え制御手法(パワーアシストモードから自動位置決めモードへの切り替え)」、日本機械学会論文集(C編)、Vol.71、No.706、1907/1913(2005)。
まず、スポット光の位置は次のようにして求められる。図1に示すように、スポット光を認識する2つのカメラ11A,11Bはクレーンのフレーム3に固定されているため、障害物の設置位置によってはカメラ11A,11Bの死角が存在する。そのため、図2を使って想定される状況を述べる。
なお、ポテンシャル法とは、非特許文献(G.K.Schmidt,
K.Azarm,“Mobile robot path planning and execution based on a diffusion equation strategy”,
Advanced Robotics 7-5(1993),pp.479-490)に説明されるように、拡散方程式を用い、搬送領域内に仮想的な拡散物質を拡散させ、その濃度勾配(ポテンシャル場)を用いて経路を得るものである。3次元拡散方程式は次式となる。
対象となる3次元搬送領域(X,Y,Z)をグリッド幅Δhのメッシュで区切り、障害物を該当するグリッドに配置する(ステップ1 )。障害物を荷物半径だけ拡大する(ステップ2)。(6 )(7)式により全グリッドの初期濃度Co,i,j,kを与える(ステップ3)。(5)式を用いて境界条件を除く全グリッドの濃度Ct,i,j,kを更新する(ステップ4)。(8)式の終了条件を満足する場合には(ステップ6)へ。満足しない場合には(ステップ4)へ(ステップ5)。与えられたスタートグリッドSを選択グリッドPとする(ステップ6)。選択グリッドPの周囲26グリッドの中から最大濃度グリッドを選択し、選択グリッドPをストックし更新する(ステップ7)。選択グリッドPの濃度C=1(ゴール地点G)であれば終了。それ以外は(ステップ7)へ(ステップ8)。
まず、5次Bスプライン曲線について述べると、逆動力学計算を用いた制御系において、荷物軌道は4階微分が可能であることが求められるため、本発明では5次Bスプライン曲線を用いて荷物軌道を表現する。区間[i,i+1]、(i=0、・・・、N−1)における5次Bスプライン曲線で表現された荷物軌道ベクトルp(t)=[px(t)py(t)pz(t)]Tと時刻t(s)を次式で定義する。
g1(t)= [ dqxmax/dt]2−[ dqx(t)/dt]2≧0
g2(t)= [ d2qxmax/dt2]2−[ d2qx(t)/dt2]2≧0
(13)
ここで、dqxmax/dt、d2qxmax/dt2はそれぞれX軸最大台車速度、X軸最大台車加速度を表す。Y軸についても同様である。Z軸についてもモータの装置制約を考える。
の制約は次式となる。
g5(t)=
[ dlxmax/dt]2−[
dl(t)/dt]2≧0
g6(t)=
[ d2lmax/dt2]2−[ d2l(t)/dt2]2≧0
(14 )
ここで、dlxmax/dt、d2lmax/dt2はそれぞれ最大ロープ巻き上げ速度、最大ロープ巻き上げ加速度である。
荷物10の障害物領域内への進入を抑制する制約としてラプラス方程式を用いた障害物回避のための制約条件を利用する。この制約条件を利用することで,求めた荷物軌道が障害物領域内に進入していないかを評価できる。次の手順で制約のための荷物軌道ベクトルq(τ)により定まるポテンシャル場Cr(ベクトルq(τ))を生成する。搬送領域内に2つのポテンシャル場Co,Cnを(15)式のラプラス方程式により導出する。
Cr=logC0-
logCn (17 )
ここでlogをとるのはCo及びCnの指数的な変化を考慮するためである。
g7=Cmax-Cr(ベクトルp(τ)) ≧0 (18)
(9)、(10)式で、4階微分可能な荷物軌道ベクトルp(t)は表現できる。しかし、(10)(11)式において制御点ベクトルpiと搬送終端時刻tfを決定する必要がある。従って、これらの変数を操作量とし、障害物回避等の各種制約条件を満足する最適制御問題を考える。
折れ点近似法により得られた制御点ベクトルをベクトルPとし、残りのM−1個の制御点ベクトルP2、……、PMの要素を次式により決定する(ステップ1 )。
)。εを収束の判定定数としてJH−JL≦εの場合は終了、JH−JL>εの場合は(ステップ4)へ(ステップ3)。最大点ベクトルPHを除く制御点ベクトルの重心ベクトルPGを求める。次式により最大点ベクトルPHと重心ベクトルPGとを結ぶ直線上で改良点ベクトルPCを求め、その評価値JCとおく(ステップ4)。
ベクトルPC=ベクトルPG+α(ベクトルPG−ベクトルPH) (20)
本発明では、荷物10の軌道追従、振動抑制を非特許文献(柳井法貴、山本元司、毛利彰、“逆動力学計算に基づくクレーンのフィードバック制御”計測自動制御学会論文集、37−11、(2001)、pp.1048−1055)に記載される逆動力学計算によるフィードフォワード制御により行う。この手法は荷物軌道ベクトルp(t)=[px(t)py(t)pz(t)]Tを実現する台車軌道ベクトルq(t)を力の釣り合いから得られる以下の(21)式によって導出する手法である。ここで,gは重力加速度である。
そして、前記荷物10は、作業者により右方向へ押されてクレーンを介して移動されるようになっている。
ここで、m[kg]は荷物10の質量である。
なお、z軸方向は下向きを正とする。
制御された荷物10の昇降速度v=rv=Kffm
(23)
の関係式が成り立つ。
ここで、力fmは操作力fhから荷物10の加速度dv/dtによる見かけの重量を差し引いたものであるから、
fm=fh−mdv/dt
(24)
となり、荷物10は操作力fhにより以下の伝達関数で表させる昇降速度を得る。
Rν(s)=Kf(s)Fh(s)/[1+msKf(s)] (25)
したがって、Kf(s)のゲインを大きくすることにより、作業者は僅かな力で荷物を昇降することができる。
ここで、sはラプラス演算子[1/s]、Fhは操作力[N]である。
ここで、kpは操作力1[N]当りの荷重の移動速度[m /s]を示す。
この変数はユーザの要求によって決定され、荷物10の搬送速度を遅くし荷物10の正確な位置決めを行いたい場合にはkpを小さく選び、わずかな力で高速に搬送したい場合はkpを大きく選ぶ。
Wr=ωps /ωc(s+ωp) (27)
として、図17の左図太線を得る。
なお、この図17において、ωc[rad /s]は交差角周波数、ωp[rad /s]はΔピークとなる周波数である。
したがって、要求するコントローラは(28)式で示すように定式化できる。
Ws=1 /s (29)
すなわち、重み関数Wr、Wsおよびノーマルな伝達関数P(s)の次数の合計が2であるので、最適コントローラーは2次となる。したがって、コントローラーKfの構造を次式のように表すことができる。
Kf=kp(as2+bs+c) /(s2+2ζωns+ωn 2) (30)
ここで、aおよびbは定数、cは変数、sはラプラス演算子[1/s]、ζは減衰係数、ωnは固有角周波数である。
定常状態における式v=kp fを満たすために以下のように変数cを得る。
Kf=kpωn 2 /(s2+2ζωns+ωn 2) (32)
このとき、伝達関数Twvr、Twz1およびTwzは以下のように書き表せる。
ζ>1.0- kpmωn/2 (34)
したがって、ωnに関して次の関係を得る。
ωn<平方根ωc/mkp (36)
ここでm[kg]は荷物の質量、 l[m]はロ−プの長さ、g[m/s2]は重力加速度、θ[rad]はロ−プの振れ角の角度、x[m]は台車2の位置、d2x/dt2[m/s2]はその加速度、F[N]は作業者が与える操作力、p[m]は荷物10の位置である。
dx/dt=−Kfθ のように、フィ−ドバックゲインKfを用いて振れ角の角度θ[rad]から台車2の速度を決定する。これにより式(41)を得る。
ここで、PID制御動作とは、操作量が制御偏差に比例する制御動作であるP制御動作と、操作量が制御偏差の積分値に比例する制御動作であるI動作と、操作量が微分値に比例する制御動作であるD動作を加え合わせたものである。
これにより、式(41)のKfをKf=Kp+Kds+Ki/sに置きて換え式(42)および(43)を得る。
このことは以下のように説明できる。微分ゲインKd<0とは、作業者があえて操作力の方向とは反対方向に台車2(クレーン)を動かそうとすることを意味する。すなわち、図15において台車2が左方向である負の方向に加速すると、右方向である正の方向に振れ角が生じることになり、正の方向に振れ角を作ろうとする作業者の操作力を助けることになる。
ここで,θ [rad]はロープの振れ角,dx/dt
[m/s]は天井クレーンの台車への速度指令,fh [N]は作業者が与える操作力,Kvはパワーアシストのためのフィードバックコントローラ,vr [m/s]はシーケンサなどにより自動生成された速度指令,KFは補償フィルタ,vobj
[m/s]は荷物の速度である。
また、コンピュータを利用した制御装置によって自動生成された自動速度として、レーザーポインタによりレーザー光線を目標搬送位置床表面に照射してスポット光を生成し、この生成されたスポット光を、カメラで撮像し、この撮像データを利用してスポット重心位置の3次元空間座標を決定し、この3次元空間座標を目標搬送位置データとして利用してコンピュータによって搬送経路を決定し、この決定に基づき生成されたされたものがある。
したがって,速度指令による台車2の運動によりロープ7が振れることによってパワーアシストが機能し,荷物10が目標軌道に追従できない場合が起こる.そこで,逆モデルを用いてフィードフォワード入力を再構成することでパワーアシストの影響をなくし荷物10を目標軌道に追従させることができる。
一軸方向のみを考えると,クレーンの台車2と荷物位置の運動方程式は以下のように表される。
ml2d2θ/dt2+ml2d2x/dt2 + mlgsinθ=fhl
p=x+lsinθ
(46)
ここでm [kg]は荷物の質量,l [m]はロープ7の長さ,g
[m/s2]は重力加速度,θ [rad]はロープの振れ角,x [m]は台車2の位置,d2x/dt2
[m/s2]はその加速度,fh [N]は作業者が与える操作力,p [m]は荷物10の位置である。
dx/dt=Kvθ+KFvr (47)
式(46)をθ≒0で線形近似し,さらに式(47 )を代入することで式(48 )を得る。
ml2d2θ/dt2+ml(Kvdθ/dt+KFdvr/dt)+ mlgsinθ=fhl
p=x+lθ
(48)
vobj=dp/dt=dx/dt+ldθ/dt
=Kvθ+KFvr+ldθ/dt (49)
式(48)と式(49)をラプラス変換すると,作業者が与える操作力Fh
[N]と自動生成された速度指令vr [m/s]からロープの振れ角θ
[rad]と荷物10の速度vobj [m/s]との関係は,以下の式のように表される。
[dB]減少し,6.28 [rad/s]においてはゲインが約10 [dB]減少している。
[rad/s]においてゲインがほぼ0 [dB]の直線となり,自動生成された速度指令vrに荷物10の速度vobjが追従することが分かる。
下図のy軸も同様である。
x,y軸の両方ともに,6秒付近で荷物10の速度vobjが0 [m/s]に収束しておらず,滑らかな停止が行えていない。
[N]と自動生成された速度指令vr [m/s]が作用しているときの定常状態は,最終値の定理より式(55 ),(56 )を得る。
θ(∞)=Fh/mg (55)
vobj(∞)=Fhkpω2 2/
ω1 2mg +vr (56)
したがって,定常状態では式(55)の振れ角を保ちながら式(56)の速度で等速運動する。
[m/s]を指令し,荷物に加える操作力を変えながら実験を行った。
図24のc-dの区間に着目すると,操作力はfh=-12
[N]で,この時ロープの振れ角の実験値は-0.036 [rad]で理論値の-0.04 [rad]とほぼ等しいことが分かる。また,荷物10の速度の実験値は-0.08 [m/s]で,理論値vobj=-0.11 [m/s]に対し,30%程度のずれであった。
[N]と速度指令vr [m/s]が競合した場合を考える。vr [m/s]とfh
[N]が逆向きの場合,式(55),(56)より,以下の条件で荷物10は停止する。
θ=ω1 2 vr/kpω2 2
fh0=Fhkpω2 2/
ω1 2mg +vr
(57)
[N]であり,実験値の-7.0 [N]とは25%のずれであった。
自動速度生成とパワーアシスト併用システムの競合の検証を行った.併用システムの定常状態を示し,自動速度生成とパワーアシストの協調した搬送やパワーアシストによる軌道の修正ができることを示した。
Claims (19)
- コンピュータを利用した制御装置によって自動生成された速度指令より移動する天井クレーンを用いるとともに、天井クレーンのロープ巻揚げドラムから垂れ下がるロープの下端に掛止されて水平移動される荷物に作業者の操作力を加えて、天井クレーンによるパワーアシストを得ながら作業者が、望む方向へ望む速度で当該荷物を、搬送開始位置から目標搬送位置の真上までの3次元空間における搬送経路に沿って半自動的に搬送する天井クレーンシステムによる搬送方法であって;
レーザーポインタによりレーザー光線を目標搬送位置床表面に照射してスポット光を生成し;
この生成されたスポット光を、固定配設された少なくとも1台のカメラで撮像し、この撮像データを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定し;
前記3次元空間座標を前記目標搬送位置のデータとして利用してコントローラによって前記搬送経路を決定し;
前記天井クレーンの自動生成された速度指令に前記天井クレーンシステムが追随するように特性を補償する補助フィルタを適用し;
前記荷物に作業者の操作力を加えながら、この搬送経路に沿って前記荷物を前記搬送開始位置から前記目標搬送位置の真上まで半自動的に搬送することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項1に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記コントローラは、コンピュータ、シーケンサ、またはペンダントスイッチを含む制御手段であることを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項1または2に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
生成されたスポット光を撮像するカメラを少なくとも2台固定配設し、
これら少なくとも2台のカメラのうち任意のカメラと前記スポット光の間に障害物が存在しない場合、これら2台のカメラにより前記スポット光を撮像し、この撮像データを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定し、また、前記少なくとも2台のカメラのうち1台のカメラだけが前記スポット光を撮像することができ、他のカメラが障害物のために前記スポット光を撮像することができない場合、前記スポット光を撮像することができる1台のカメラにより前記スポット光を撮像し、この撮像データを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項3に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記スポット光を撮像することができるカメラが1台である場合、前記スポット光を撮像することができる1台のカメラによる前記撮像データと、前記カメラの位置の公知の座標と、光切断法により予め求めておいた前記障害物の位置情報とを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項4に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記搬送開始位置と、前記スポット光重心位置とを結ぶ直線上に障害物が存在する場合、3次元拡散方程式に基づくポテンシャル法を適用して前記障害物の3次元障害物を回避するための折れ線状の障害物回避経路を決定することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項5に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記障害物回避経路に関して折れ線近似法を適用して前記障害物回避経路の折れ線の数を減少した搬送経路を決定することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項6に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記折れ線の数を減少した搬送経路を5次Bスプライン曲線で表し、この5次Bスプライン曲線を搬送経路とすることを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項5に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
ラプラス方程式を用いた障害物回避のための制御条件を利用することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項6に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記折れ線の数を減少した搬送経路にコンプレックス法を適用して搬送経路を非線形最適化することを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項7に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記5次Bスプライン曲線を搬送経路に関して逆動力学計算によるFF制御を行うことを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の天井クレーンによる搬送方法において、
前記ロープが垂直面とで成す振れ角は、搬送するために作業者が前記荷物を押すか、または前記ロープにおける揺れの回転中心が前記荷物を置いた位置の真上位置と異なることにより生じることを特徴とする天井クレーンによる搬送方法。 - 自動生成された速度指令より移動する天井クレーンを用いるとともに、天井クレーンに搭載されかつサーボモータによって駆動されるロープ巻揚げドラムから垂れ下がるロープの下端に掛止されて水平移動される荷物に作業者の操作力を加えて、アシスト力を得ながら作業者が望む方向へ望む速度で当該荷物を、搬送開始位置から目標搬送位置の真上までの3次元空間における搬送経路に沿って半自動的に移動させる天井クレーンシステムであって、
前記目標搬送位置の床表面にレーザー光線を照射してスポット光を生成するレーザーポインタと;
ロープ巻揚げドラムを備えた巻上げ機を搭載して水平面内で移動可能な台車と、この台車を水平移動自在に支持しかつ水平面内で移動可能なフレームを含む天井クレーンと;
別途固定配設されて前記スポット光を撮像する少なくとも1台のカメラと;
この少なくとも1台のカメラに接続され撮像したスポット光を利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定し、かつ決定された3次元空間座標を前記目標搬送位置として前記天井クレーンの駆動装置に指令を発信するコントローラと;
前記ロープの下部に掛かる力であって作業者による上下方向の操作力、荷物の質量および荷物の加速度による力の大きさを計測する力計測手段と;
この力計測手段の計測結果に基づき第1演算部が前記サーボモータの回転の方向および速度を演算してサーボモータに指令を発信する第1制御手段と;
前記ロープ巻揚げドラムから巻き下げられたロープの長さを計測する長さ計測手段と;
前記ロープによって吊り下げられた荷物の重量を計測する重量計測手段と;
作業者が前記荷物を水平方向へ押した時の前記ロープが垂直面とで成す振れ角の角度を計測する角度計測手段と;
前記長さ計測手段、前記重量計測手段および前記角度計測手段からの計測情報に基づき第2演算手段が前記天井クレーンの走行条件を演算して前記コントローラに発信する第2制御手段と;
前記コントローラにおける前記天井クレーンの自動生成された速度指令は前記天井クレーンシステムが速度指令に追随するように特性を補償する補助フィルタと;
を具備したことを特徴とする天井クレーンシステム。 - 請求項12に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記カメラはCCDカメラであることを特徴とする天井クレーンシステム。 - 請求項12に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記カメラを2台備えていて前記2台のカメラと前記スポット光の間に障害物が存在しない場合、前記コントローラは、前記2台のカメラにより前記スポット光を撮像し、この撮像データを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定し、また、前記2台のカメラのうち1台のカメラだけが前記スポット光を撮像することができ、他のカメラが障害物のために前記スポット光を撮像することができない場合、前記1台のカメラにより撮像したスポット光の撮像データを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定することを特徴とする天井クレーンシステム。 - 請求項14に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記スポット光を撮像することができるカメラが1台である場合、前記コントローラは、
前記カメラによる撮像データと、前記カメラの位置の公知の座標と、光切断法により予め求めておいた前記障害物の位置情報とを利用してスポット光重心位置の3次元空間座標を決定することを特徴とする天井クレーンシステム。 - 請求項15に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記搬送開始位置と前記スポット光重心位置とを結ぶ直線上に障害物が存在する場合、前記コントローラは、3次元拡散方程式に基づくポテンシャル法を適して前記障害物の3次元障害物を回避するための折れ線状の障害物回避経路を演算し、障害物回避経路を前記搬送経路として前記天井クレーンの駆動装置に指令を発信することを特徴とする天井クレーンシステム。 - 請求項16に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記コントローラは、前記障害物回避経路に関して折れ線近似法を適用して前記障害物回避経路の折れ線の数を減少した搬送経路を決定し、この決定した搬送経路を前記天井クレーンの駆動装置に指令として発信することを特徴とする天井クレーンシステム。 - 請求項12〜17のうちいずれか1項に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記第1演算部には (式)Kf=kpωn 2 / (s2+2ζωns+ωn 2)で表されるコントローラーKfが記憶されていて、前記力計測手段からの計測結果に基づき、前記第1演算部は、前記コントローラーKfにより最小時間で所定の昇降速度を演算することを特徴とする天井クレーンシステム。
ただし、kpは変換係数 [(m/s/N)]、ωnは固有角周波数[rad/s]、sはラプラス演算子[1/s]、ζは減衰係数である。 - 請求項12〜18のうちいずれか1項に記載の天井クレーンシステムにおいて、
前記ロープが垂直面とで成す振れ角は、搬送するために作業者が前記荷物を押すか、または前記ロープにおける揺れの回転中心が前記荷物を置いた位置の真上位置と異なることにより生じる角度であることを特徴とする天井クレーンシステム。
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