以下、本発明による固体撮像素子について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による固体撮像素子1の概略構成を示す回路図である。図2は、図1に示す固体撮像素子1の画素20を示す回路図である。本実施の形態による固体撮像素子1は、CMOS型固体撮像素子として形成されており、例えば、デジタルスチルカメラやビデオカメラなどの電子カメラに搭載される。もっとも、本発明はCCD型などの他の固体撮像素子にも適用可能である。
本実施の形態による固体撮像素子1は、図1に示すように、有効画素領域において2次元マトリクス状に配置された複数の画素20と、画素20から信号を出力するための周辺回路とを有している。図1において、横に4列縦に8行の32個の画素を示しているが、画素数は特に限定されるものではない。前記複数の画素20は複数のグループに分けられ、そのグループ毎に画素20に設けられているカラーフィルタの色が異なっている。本実施の形態では、各画素20は、青色カラーフィルタが設けられ青色光を撮像するB画素、緑色カラーフィルタが設けられ緑色光を撮像するG画素、赤色カラーフィルタが設けられ赤色光を撮像するR画素としてそれぞれ割り当てられている。すなわち、本実施の形態では、前記複数の画素20は、B画素のグループ、G画素のグループ及びR画素のグループの、3つのグループに分けられている。各画素20には、ベイヤー配列に従って、対応する色のカラーフィルタが設けられている。図1では、当該画素に設けられたカラーフィルタの色を、符号R,G,Bとして示している。Rは赤色、Gは緑色、Bは青色である。なお、ベイヤー配列に限定されるものではなく、例えば、ストライプ配列等を採用してもよい。また、RGB系のカラーフィルタに代えて、補色系のカラーフィルタを採用してもよい。なお、各画素20を色毎に区別する場合には、B画素に符号20B、G画素に符号20G、R画素に符号20Rをそれぞれ付すものとする。
周辺回路は、垂直走査回路21、水平走査回路22、これらと接続されている駆動信号線23〜26、画素20からの信号を受け取る垂直信号線28、垂直信号線28に接続される定電流源29及びカラムアンプ30、トランジスタからなるスイッチ31、カラムアンプ30から出力される信号をスイッチ31を介して受け取る水平信号線33、出力アンプ34等からなる。
なお、本実施の形態では、相関二重サンプリング回路(CDS回路)は、この固体撮像素子1の外部に設けられ、信号が出力アンプ34を介して外部に出力された後に相関二重サンプリング処理が行われるようになっている。もっとも、CDS回路を固体撮像素子に搭載してもよいことは、言うまでもない。この場合、当該CDS回路をカラムアンプ30を用いた構成とすることも可能である。
本実施の形態では、各画素20は、一般的なCMOS型固体撮像素子と同様に、入射光に応じた信号電荷を生成し蓄積する光電変換部としてのフォトダイオードPDと、前記信号電荷を受け取って前記信号電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部としてのフローティングディフュージョンFDと、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた信号を出力する増幅部としての増幅トランジスタAMPと、フォトダイオードPDからフローティングディフュージョンFDに電荷を転送する電荷転送部としての転送トランジスタTXと、フローティングディフュージョンFDの電位をリセットするリセット部としてのリセットトランジスタRESと、当該画素20を選択するための選択部としての選択トランジスタSELとを有し、図2に示すように接続されている。なお、本実施の形態では、画素20のトランジスタAMP,TX,RES,SELは、全てnMOSトランジスタである。図2において、Vddは電源電圧である。
転送トランジスタTXのゲートは、行毎に、垂直走査回路21からの転送トランジスタTXを制御する制御信号φTXを転送トランジスタTXに供給する制御線24に、接続されている。リセットトランジスタRESのゲートは、行毎に、垂直走査回路21からのリセットトランジスタRESを制御する制御信号φRSTをリセットトランジスタRESに供給する制御線23に、接続されている。選択トランジスタSELのゲートは、行毎に、垂直走査回路21からの選択トランジスタSELを制御する制御信号φSELを選択トランジスタSELに供給する制御線25に、接続されている。
フォトダイオードPDは、入射光の光量(被写体光)に応じて信号電荷を生成する。転送トランジスタTXは、転送パルス(制御信号)φTXのハイレベル期間にオンし、フォトダイオードPDに蓄積された信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。リセットトランジスタRESは、リセットパルス(制御信号)φRSTのハイレベル期間にオンし、フローティングディフュージョンFDをリセットする。
増幅トランジスタAMPは、そのドレインが電源電圧Vddに接続され、そのゲートがフローティングディフュージョンFDに接続され、そのソースが選択トランジスタSELのドレインに接続され、定電流源29を負荷とするソースフォロア回路を構成している。増幅トランジスタAMPは、フローティングディフュージョンFDの電圧値に応じて、選択トランジスタSELを介して垂直信号線28に読み出し電流を出力する。選択トランジスタSELは、選択パルス(制御信号)φSELのハイレベル期間にオンし、増幅トランジスタAMPのソースを垂直信号線28に接続する。
垂直走査回路21は、画素20の行毎に、選択パルスφSEL、リセットパルスφRST及び転送パルスφTXをそれぞれ出力する。また、水平走査回路22は、制御信号φH1〜φH4を出力する。
以上のような回路構成を有する固体撮像素子1の回路上の動作については、公知であるので、その説明は省略する。
図3は、図1に示す固体撮像素子1の2×2個の画素20を模式的に示す概略平面図である。図3では、一部の配線等は省略して示している。図4は、図3中のX1−X2線に沿った断面とX3−X4線に沿った断面とを、G画素20Gが1つに重なるように合成して模式的に示す図である。なお、図4では、大幅に簡略化して各画素20の主要部のみを示している。
本実施の形態では、N型シリコン基板11上にP型ウエル12が設けられている。P型ウエル12中に、フォトダイオードPDなどの画素部における各素子が配置されている。
図3において、符号51〜55は、前述した各トランジスタの一部となっているN型不純物拡散領域である。符号61〜64は、ポリシリコンによる各トランジスタのゲート電極である。なお、拡散領域53は電源電圧Vddが印加される電源拡散部である。符号51,52はフローティングディフュージョンFDを構成する拡散領域である。
図3には示していないが、ゲート電極61,62,64は、制御線24,23,25とそれぞれ接続されており、垂直走査回路21から出力される制御信号φTX、φRST、φSELがそれぞれ印加される。拡散領域51,52及び増幅トランジスタAMPのゲート電極63間が、配線70によって接続されている。拡散領域55は、垂直信号線28に接続されている。
フォトダイオードPDは、P型ウエル12中に設けられたN型の電荷蓄積層13とその表面側に配置されたP型の空乏化防止層14からなる埋め込み型フォトダイオードである。しかし、フォトダイオードPDは、空乏化防止層14の無いフォトダイオードにしても良い。フォトダイオードPDは、入射する光を光電変換し、生じた電荷を電荷蓄積層13に蓄積する。フォトダイオードPDの電荷蓄積層13に蓄積された電荷は、転送トランジスタTXがオン状態とされることによってフローティングディフュージョンFDに転送される。
転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDの電荷蓄積層13をソース、フローティングディフュージョンFDの一部を構成する拡散領域51をドレインとしたMOSトランジスタである。転送トランジスタTXは、そのゲート電極61に印加される制御信号φTXにより駆動される。
フォトダイオードPDから転送トランジスタTXを介してフローティングディフュージョンFDに転送されてきた電荷は、フローティングディフュージョンFDで電圧に変換され、この電圧が増幅トランジスタAMPのゲート電極63に印加される。そして、増幅トランジスタAMPは、そのゲート電極63の電圧に応じた電気信号を出力する。したがって、増幅トランジスタAMPは、フォトダイオードPDで生成・蓄積された電荷の量に応じた電気信号(画素信号)を出力する。
選択トランジスタSELは、拡散領域54をドレイン、拡散領域55をソースとするMOSトランジスタである。選択トランジスタSELは、オン状態にされることで、増幅トランジスタAMPの出力を垂直信号線28に出力する。すなわち、増幅トランジスタAMPと選択トランジスタSELによって、ソースフォロアによる読み出しが可能となっている。
リセットトランジスタRESは、電源拡散部53をドレイン、フローティングディフュージョンFDの一部を構成する拡散領域52をソースとするMOSトランジスタである。リセットトランジスタRESは、オン状態にされることで、フローティングディフュージョンFDに蓄積されている電荷をリセットする。
図4に示すように、P型ウエル12上には層間絶縁膜15が形成されている。層間絶縁膜15中に、前述した回路の配線を実現するための複数層の金属配線層が配置されている。図4では、1つの層の金属配線層16のみを示している。金属配線層16は、各画素20の有効受光領域以外を覆う遮光膜を兼用している。金属配線層16には、各画素20のフォトダイオードPDに対応して入射光を通過させる開口16aが設けられている。本実施の形態では、開口16aの大きさは、いずれの画素20R,20G,20Bについても互いに同一とされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、同一でなくてもよい。
R画素20R、G画素20G及びB画素20Bは、フォトダイオードPDに対応して設けられた赤色カラーフィルタ18R、緑色カラーフィルタ18G及び青色カラーフィルタ18Bをそれぞれ有している。これらのカラーフィルタ18R,18G,18Bは、層間絶縁膜15上に、平坦化層17を介して形成されている。本実施の形態では、これらのカラーフィルタ18R,18G,18Bの面積は互いに同一にされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、同一でなくてもよい
また、各画素20は、入射光をフォトダイオードPDに集光させるマイクロレンズ10を有している。マイクロレンズ10は、カラーフィルタ18R,18G,18B上に、平坦化層19を介して形成されている。いずれの画素20R,20G,20Bについても、マイクロレンズ10は互いに同一とされ、マイクロレンズ10の光軸方向(図3中の紙面と垂直な方向、図4中の上下方向)から見たマイクロレンズ10の面積は、互いに同一とされている。もっとも、必ずしもこれに限定されるものではなく、同一でなくてもよい
なお、マイクロレンズ10の光入射側には、IRカットフィルタ(赤外線カットフィルタ)が配置されるが、その図示は省略されている。
本実施の形態では、前述したように、いずれの画素20R,20G,20Bについても、開口16aの大きさが互いに同一であるとともにマイクロレンズ10が互いに同一である。また、いずれの画素20R,20G,20Bについても、マイクロレンズ10により集光され開口16aを通過した光はすべて、フォトダイオードPDに入射する。本実施の形態では、これによって、いずれの画素20R,20G,20Bについても、カラーフィルタ18R,18G,18Bがない場合(すなわち、カラーフィルタ18R,18G,18Bがいずれの波長に対しても透過率が100%であるものと仮定した場合)における、フォトダイオードPDの飽和露光量に対するフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量の比率(すなわち、感度)が互いに同一になっている。
そして、本実施の形態では、G画素20GのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量が、R画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量よりも大きくされている。具体的には、本実施の形態では、図3及び図4に示すように、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積がR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積よりも大きくされることによって、G画素20GのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量が、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量よりも大きくされている。
ここでは、いずれの画素20R,20G,20Bについても、開口16aの大きさが互いに同一であるとともにマイクロレンズ10が互いに同一であるので、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積がR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積よりも大きくされているにも拘わらず、いずれの画素20R,20G,20Bについても、フォトダイオードPDの有効受光面積は互いに同一である。したがって、本実施の形態では、各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量は、互いに同一である。なお、本実施の形態では、R画素20RのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積と、B画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積とは、同一にされている。また、本実施の形態では、いずれの画素20R,20G,20Bについても、フォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度は互いに同一にされている。
前記IRカットフィルタを介して各画素20R,20G,20Bにそれぞれ入射した光は、マイクロレンズ10及びカラーフィルタ18R,18G,18Bをそれぞれ透過して、フォトダイオードPDでそれぞれ光電変換され、光電荷がフォトダイオードPDの電荷蓄積層13にそれぞれ蓄積される。
図5は、各画素20R,20G,20Bの分光感度曲線の例を示す図である。ただし、図5に示す分光感度には、前記IRカットフィルタの分光特性も含めている。図5に示す分光感度曲線は、一般的な分光感度曲線と同様である。本実施の形態では、いずれの画素20R,20G,20Bについても、開口16aの大きさが互いに同一であるとともにマイクロレンズ10が互いに同一であるので、フォトダイオードPDに対する光の入射量が互いに同一である。したがって、画素20R,20G,20Bが飽和していない場合、各波長ごとに画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13に蓄積される電荷量は、図5に示す各波長ごとの強度に比例した値となる。
画素20R,20G,20Bが飽和していない場合、G画素20G(厳密には、当該画素のフォトダイオードPDの電荷蓄積層13)に蓄積される電荷量は、入射光が4500kの白色光であるときにはR画素20Rの蓄積電荷量及びB画素20Bの蓄積電荷量のそれぞれ2倍程度、入射光が3000kの白色光であるときにはR画素20Rの蓄積電荷量の1.5倍程度、入射光が6000kの白色光であるときにはB画素20Bの蓄積電荷量の1.3倍程度である。
このように、入射光が白色光である場合、G画素20Gの蓄積電荷量がB画素の蓄積電荷量及びR画素の蓄積電荷量に比べて大きいことから、G画素20Gの飽和蓄積電荷量がR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量と同一であれば、G画素20Gが先に飽和してしまい、G画素20Gがいわばボトルネックとなってダイナミックレンジが狭くなる。これに対し、本実施の形態では、G画素20Gの飽和蓄積電荷量がR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量よりも大きくされているので、G画素20Gが飽和し難くなるため、ダイナミックレンジが広くなるのである。この点については、後に、比較例と比較して詳述する。
先の説明からわかるように、G画素20Gの飽和蓄積電荷量をR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量の約1.3倍にすれば、3000k〜6000kでホワイトバランスを破綻させること無く、いずれの画素20R,20G,20Bの飽和蓄積電荷量も同一である場合に比べて、G画素20Gで扱える電荷量を15%ほど(RGB平均からの差分)増やし、ダイナミックレンジを拡大することができる。
このため、本実施の形態では、G画素20Gの飽和蓄積電荷量をR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量の約1.3倍にすることが、好ましい。具体的には、本実施の形態では、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積を、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積の約1.3倍にすることが好ましい。
なお、本実施の形態では、G画素20Gの飽和蓄積電荷量がR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量よりも大きくされているのに合わせて、G画素20GのフローティングディフュージョンFDの容量を大きくするべく、G画素20Gの拡散領域51の面積がR画素20R及びB画素20Bの拡散領域51の面積よりも大きくされている。これに合わせて、G画素20Gの転送トランジスタTXのゲート電極61の図3中縦方向の寸法が、R画素20G及びB画素20Bの転送トランジスタTXのゲート電極61の図3中縦方向の寸法よりも大きくされている。
図6は、本実施の形態による固体撮像素子1の各画素20R,20G,20Bの、露光量に対するフォトダイオードPDの蓄積電荷量の一例を模式的に示す図である。なお、図6では、所定の白色光を入射させたものとしている。図6において、M1は、カラーフィルタ18Gがないと仮定した場合のG画素20GのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すラインである。M2は、カラーフィルタ18R,18Bがないと仮定した場合のR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すラインである。図6において、Q1はG画素20Gの飽和蓄積電荷量であり、Q2はR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量である。なお、当然ながら、各画素20R,20G,20Bは、カラーフィルタの有無によって飽和蓄積電荷量が異なることはない。本実施の形態では、先の説明からわかるように、Q1>Q2に設定されている。また、本実施の形態では、前述したように、いずれの画素20R,20G,20Bについても、カラーフィルタ18R,18G,18Bがないと仮定した場合における、フォトダイオードPDの飽和露光量に対するフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量の比率(すなわち、感度)が互いに同一になっているので、それらの感度を示すM1の立ち上がり部分の傾斜及びM2の立ち上がり部分の傾斜が、互いに同一となっている。
図6において、R1はR画素20RのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すライン、G1はG画素20GのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すライン、B1はB画素20BのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すラインである。勿論、R1,G1,B1は、カラーフィルタ18R,18G,18Bが存することを前提としている。また、図6において、Er1はR画素20Rの飽和露光量、Eg1はG画素20Gの飽和露光量、Eb1はB画素20Bの飽和露光量である。
図7は、本実施の形態による固体撮像素子1と比較される第1の比較例による固体撮像素子の2×2個の画素20を模式的に示す概略平面図であり、図3に対応している。図8は、図7中のX5−X6線に沿った断面とX7−X8線に沿った断面とを、G画素20Gが1つに重なるように合成して模式的に示す図であり、図4に対応している。図7及び図8において、図3及び図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。この第1の比較例による固体撮像素子は、従来の一般的な固体撮像素子に相当している。
この第1の比較例が本実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。本実施の形態では、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法が、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法よりもそれぞれ大きくされているのに対し、この第1の比較例では、フォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法が、各画素20R,20G,20B間で互いに同一にされている。なお、この第1の比較例においても、本実施の形態と同じく、いずれの画素20R,20G,20Bについても、フォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度は互いに同一にされており、本実施の形態の場合と同じ不純物濃度とされている。
図7及び図8中の画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法は、図面表記の便宜上、図3及び図4中の画素20R,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法とそれぞれ同一であるかのように、描いている。しかし、実際には、図7及び図8中の画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法は、図3及び図4中の画素20R,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法と、図3及び図4中の画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法との間の、それぞれ中間値とされている。換言すれば、実際には、図3及び図4中のG画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法は、図7及び図8の画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法よりもそれぞれ大きくされ、図3及び図4中のR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法は、図7及び図8の画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積、拡散領域51の面積及びゲート電極61の縦方向寸法よりもそれぞれ小さくされている。これは、図7及び図8に示す第1の比較例において、通常は、開口率を極力高めるために、可能な限り各画素20R,20G,20Bのフォトダイオードの面積が大きくされるので、スペースの取り合いの観点から、図3及び図4に示す本実施の形態において、例えば、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの面積を図7及び図8の場合と同じにしたままG画素20GのフォトダイオードPDの面積だけを大きくすることは困難であるためである。
図9は、この第1の比較例による固体撮像素子の各画素20R,20G,20Bの、露光量に対するフォトダイオードPDの蓄積電荷量を模式的に示す図であり、図6に対応している。図9において、M11は、カラーフィルタ18R,18G,18Bがないと仮定した場合のR画素20R、G画素20G及びB画素20BのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すラインである。図9において、Q11はR画素20R、G画素20G及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量である。前述したように、図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積が、図3及び図4に示すG画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積よりも小さいとともに図3及び図4に示すR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積よりも大きいので、図9中のQ11と図6中のQ1,Q2との関係は、Q1>Q11>Q2となっている。図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量は、図3及び図4に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量と同一であるので、M11の立ち上がり部分の傾斜は、図6中のM1の立ち上がり部分の傾斜及びM2の立ち上がり部分の傾斜と同一となっている。また、図9において、Er2はR画素20Rの飽和露光量、Eg2はG画素20Gの飽和露光量、Eb2はB画素20Bの飽和露光量である。これらと図6中の飽和露光量Er1,Eg1,Eb1との関係は次の通りである。Q11<Q1であるので、Eg2<Eg1となっている。また、Q11>Q2であるので、Er2>Er1であるとともにEb2>Eb1となっている。
このように、本実施の形態を示す図6中のG画素20Gの飽和露光量Eg1は、第1の比較例を示す図9中のG画素20Gの飽和露光量Eg2よりも大きくなる。そして、図6中のG画素20Gの飽和露光量Eg1は、R画素20Rの飽和露光量Er1及びB画素20Bの飽和露光量Eb1よりも小さいため、本実施の形態による固体撮像素子1のダイナミックレンジを決定する。同様に、図9中のG画素20Gの飽和露光量Eg2は、R画素20Rの飽和露光量Er2及びB画素20Bの飽和露光量Eb2よりも小さいため、第1の比較例による固体撮像素子1のダイナミックレンジを決定する。
したがって、本実施の形態による固体撮像素子1は、前記第1の比較例による固体撮像素子に比べてダイナミックレンジが拡がるのである。
図10は、本実施の形態による固体撮像素子1と比較される第2の比較例による固体撮像素子の各画素20R,20G,20Bの、露光量に対するフォトダイオードPDの蓄積電荷量を模式的に示す図であり、図6及び図9に対応している。
図面には示していないが、この第2の比較例による固体撮像素子は、前記第1の比較例による固体撮像素子を次のように変形したものである。この第2の比較例では、前記第1の比較例において、G画素20GのフォトダイオードPDの面積をn倍(n>1)に増やすとともに、G画素20Gのカラーフィルタ18Gの面積やマイクロレンズ10の面積等をn倍に増やしてG画素20GのフォトダイオードPDに対する光の入射量もn倍に増やしたものである。また、この第2の比較例では、前記第1の比較例において、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの面積をm倍(m<1)に減らすとともに、R画素20R及びB画素20Bのカラーフィルタ18R,18Bの面積やマイクロレンズ10の面積等をm倍に減らしてR画素20R及びB画素20BののフォトダイオードPDに対する光の入射量もm倍に減らしたものである。この第2の比較例による固体撮像素子は、前述した特許文献1に開示された固体撮像素子に準じたものである。
図10において、M21は、カラーフィルタ18Gがないと仮定した場合のG画素20GのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すラインである。M22は、カラーフィルタ18R,18Bがないと仮定した場合のR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの蓄積電荷量を示すラインである。図10において、Q21はG画素20Gの飽和蓄積電荷量である。Q22はR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量である。前述したように、この第2の比較例では、G画素20GのフォトダイオードPDの面積は図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの面積のフォトダイオードPDの面積をn倍に増やしたものであり、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの面積は図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの面積のフォトダイオードPDの面積をm倍に減らしたものであるため、図10中のQ21,Q22と図9中のQ11との関係は、Q21>Q11>Q22となっている。
図10において、Er3はR画素20Rの飽和露光量、Eg3はG画素20Gの飽和露光量、Eb3はB画素20Bの飽和露光量である。この第2の比較例では、前述したように、G画素20GのフォトダイオードPDの面積は図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの面積をn倍に増やしたものであるが、それに応じて、G画素20GのフォトダイオードPDに対する光の入射量もn倍に増やされているので、図10中のEg3は図9中のEg2と同一(Eg3=Eg2)となる。また、この第2の比較例では、前述したように、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの面積は図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの面積をm倍に減らされたものであるが、それに応じて、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量もm倍に減らされているので、図10中のEr3,Eb3は図9中のEr2,Eb2とそれぞれ同一(Er3=Er2、Eb3=Eb2)となる。
なお、この第2の比較例では、前述したように、G画素20GのフォトダイオードPDに対する光の入射量が、図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量のn倍に増やされいるので、図10中のM21の立ち上がり部分の傾斜は、図9中のM11の立ち上がり部分の傾斜よりも急になっている。一方、この第2の比較例では、前述したように、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量が、図7及び図8に示す画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDに対する光の入射量のm倍に減らされているので、図10中のM22の立ち上がり部分の傾斜は、図9中のM11の立ち上がり部分の傾斜よりも緩やかになっている。
このように、この第2の比較例では、Eg3=Eg2である。したがって、この第2の比較例による固体撮像素子のダイナミックレンジは、前記第1の比較例による固体撮像素子と同一である。よって、本実施の形態による固体撮像素子1は、この第2の比較例による固体撮像素子に比べても、ダイナミックレンジが拡がるのである。
[第2の実施の形態]
図11は、本発明の第2の実施の形態による固体撮像素子の2×2個の画素20を模式的に示す概略平面図であり、図3及び図7に対応している。図11において、図3及び図7中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
前記第1の実施の形態では、前述したように、各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度は互いに同一であるが、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積がR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積よりも大きくされることによって、G画素20GのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量が、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量よりも大きくされている。これに対し、本実施の形態では、各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積は互いに同一であるが、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度がR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度よりも高くされることによって、G画素20GのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量が、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量よりも大きくされている。
具体的には、本実施の形態による固体撮像素子は、図7及び図8に示す第1の比較例による固体撮像素子を次のように変形したものである。前記第1の比較例では、各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度は互いに同一であるのに対し、本実施の形態では、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度を、前記第1の比較例における各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度よりも高くし、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度を、前記第1の比較例における各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度よりも低くしている。これに合わせて、本実施の形態では、G画素20GのフローティングディフュージョンFDの容量を図7及び図8に示す固体撮像素子の場合よりも大きくするべく、G画素20Gの拡散領域51の面積が図7及び図8に示す固体撮像素子の場合よりも大きくされている。また、本実施の形態では、これに合わせて、転送トランジスタTXのゲート電極61の面積も図7及び図8に示す固体撮像素子の場合よりも大きくされている。さらに、本実施の形態では、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度が高い分、空乏化電圧も高くなるため、G画素20GのフォトダイオードPDの周辺に位置するトランジスタが、図7及び図8に示す固体撮像素子の場合よりもG画素20GのフォトダイオードPDから遠ざけられ、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDに近づけられている。
例えば、図7及び図8に示す第1の比較例による各画素20R,20G,20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度が5×1017個/cm3程度である場合、本実施の形態では、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度を5×1017個/cm3よりも約15%高い濃度とし、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度を5×1017個/cm3よりも約15%低い濃度とすることで、G画素20Gの飽和蓄積電荷量をR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量の約1.3倍にすることが好ましい。G画素20Gの飽和蓄積電荷量をR画素20R及びB画素20Bの飽和蓄積電荷量の約1.3倍にすれば、前述したように、3000k〜6000kでホワイトバランスを破綻させること無く、いずれの画素20R,20G,20Bの飽和蓄積電荷量も同一である場合に比べて、G画素20Gで扱える電荷量を15%ほど(RGB平均からの差分)増やし、ダイナミックレンジを拡大することができる。
本実施の形態によっても、前記第2の実施の形態と同様の利点が得られる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、G画素20GのフォトダイオードPDの面積をR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の面積よりも大きくするとともに、G画素20GのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度をR画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの電荷蓄積層13の不純物濃度よりも高くすることによって、G画素20GのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量を、R画素20R及びB画素20BのフォトダイオードPDの飽和蓄積電荷量よりも大きくしてよい。