本発明のインクジェット記録用インクにおいて、前記インク全量に対し、前記染料(1)と前記染料(2)との合計配合量が、1.75重量%を超えて7重量%以下であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクにおいて、前記水溶性有機溶剤が、多価アルコールを含むことが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクにおいて、前記多価アルコールが、グリセリンであることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクにおいて、前記インク全量に対する前記グリセリンの配合量は、5〜40重量%であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクの用途は、特に限定されず、例えば、イエローインクとして用いることができる。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録用インクは、前記染料(1)および前記染料(2)以外の着色剤を用いることにより、イエロー以外の色のインクとすることもできる。
本発明のインクカートリッジは、インクジェット記録用インクを含むインクカートリッジであって、前記インクが、本発明の前記インクジェット記録用インクであることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録装置は、インクカートリッジおよびインク吐出手段を含み、インクジェット記録用インクが前記インク吐出手段から吐出されるインクジェット記録装置であって、前記インクカートリッジが、本発明の前記インクカートリッジであることを特徴とする。
つぎに、本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。本発明のインクは、着色剤、水および水溶性有機溶剤を含む。前述のとおり、前記着色剤は、前記染料(1)および前記染料(2)を含む。
前述のとおり、前記染料(1)は、前記一般式(1)で表される染料である。
前記一般式(1)において、R1、R2、Y1およびY2は、それぞれ、一価の基であり、R1、R2、Y1およびY2は同一でも異なっていてもよい。前記一価の基は、水素原子、または一価の置換基である。前記一価の置換基としては、例えば、ハロゲン原子;アルキル基;シクロアルキル基;アラルキル基;アルケニル基;アルキニル基;アリール基;ヘテロ環基;シアノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;アルコキシ基;アリールオキシ基;シリルオキシ基;ヘテロ環オキシ基;アシルオキシ基;カルバモイルオキシ基;アルコキシカルボニルオキシ基;アリールオキシカルボニルオキシ基;アルキルアミノ基、アリールアミノ基等のアミノ基;アミド基;アシルアミノ基;ウレイド基;アミノカルボニルアミノ基;アルコキシカルボニルアミノ基;アリールオキシカルボニルアミノ基;スルファモイルアミノ基;アルキルスルホニルアミノ基;アリールスルホニルアミノ基;アルキルチオ基;アリールチオ基;ヘテロ環チオ基;スルファモイル基;アルキルスルフィニル基;アリールスルフィニル基;アルキルスルホニル基;アリールスルホニル基;アシル基;アリールオキシカルボニル基;アルコキシカルボニル基;カルバモイル基;ホスフィノ基;ホスフィニル基;ホスフィニルオキシ基;ホスフィニルアミノ基;シリル基;アゾ基;イミド基等があげられる。前記一価の置換基は、さらに置換基を有していてもよい。これらの中でも、好ましい前記一価の置換基は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基である。
前記ハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。これらの中でも、好ましくは、塩素原子、臭素原子である。
前記アルキル基は、置換または無置換のアルキル基を含む。前記置換または無置換のアルキル基は、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルキル基である。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、ヒドロキシエチル基、シアノエチル基、4−スルホブチル基等があげられる。前記置換アルキル基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、sec-ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルスルホニルエチル基、3−フェノキシプロピル基、トリフルオロメチル基等の炭素原子数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基;炭素原子数7〜18の直鎖または分岐鎖アラルキル基;炭素原子数2〜12の直鎖または分岐鎖アルケニル基;炭素原子数2〜12の直鎖または分岐鎖アルキニル基;シクロペンチル基等の炭素原子数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基;炭素原子数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基等のアリール基;イミダゾリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等のヘテロ環基;シアノ基;ヒドロキシル基;ニトロ基;カルボキシ基;アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メチルスルホニルエトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ基、3−メトキシカルボニルフェニルオキシ基等のアリールオキシ基;アセトアミド基、ベンズアミド基、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド基等のアシルアミノ基;メチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルブチルアミノ基等のアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、2−クロロアニリノ基等のアリールアミノ基;フェニルウレイド基、メチルウレイド基、N,N−ジブチルウレイド基等のウレイド基;N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基等のスルファモイルアミノ基;メチルチオ基、オクチルチオ基、2−フェノキシエチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ基、2−カルボキシフェニルチオ基等のアリールチオ基;メトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基;メチルスルホニルアミノ基等のアルキルスルホニルアミノ基;フェニルスルホニルアミノ基、p−トルエンスルホニルアミノ基等のアリールスルホニルアミノ基;N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基等のカルバモイル基;N−エチルスルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基等のスルファモイル基;メチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等のスルホニル基;メトキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等のヘテロ環オキシ基;フェニルアゾ基、4−メトキシフェニルアゾ基、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ基、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ基等のアゾ基;アセトキシ基等のアシルオキシ基;N−メチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基等のカルバモイルオキシ基;トリメチルシリルオキシ基、ジブチルメチルシリルオキシ基等のシリルオキシ基;フェノキシカルボニルアミノ基等のアリールオキシカルボニルアミノ基;N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等のイミド基;2−ベンゾチアゾリルチオ基、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ基、2−ピリジルチオ基等のヘテロ環チオ基;3−フェノキシプロピルスルフィニル基等のスルフィニル基;フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基等のホスホニル基;フェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;アセチル基、3−フェニルプロパノイル基、ベンゾイル基等のアシル基;カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、4級アンモニウム基等のイオン性親水性基等があげられる。前記置換アルキル基の置換基である前記アルキル基、前記アラルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記シクロアルキル基および前記シクロアルケニル基は、染料の溶解性およびインクの安定性を向上させる観点から、分岐鎖を有するものが好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。これらの中でも、好ましい前記置換アルキル基の置換基は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルホ基(塩の形でもよい)、カルボキシル基(塩の形でもよい)である。
前記シクロアルキル基は、置換または無置換のシクロアルキル基を含む。前記置換または無置換のシクロアルキル基は、好ましくは、炭素原子数5〜30のシクロアルキル基である。前記置換シクロアルキル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等があげられる。
前記アラルキル基は、置換または無置換のアラルキル基を含む。前記置換または無置換のアラルキル基は、好ましくは、炭素原子数7〜30のアラルキル基である。前記置換アラルキル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2−フェネチル基等があげられる。
前記アルケニル基は、直鎖、分岐、環状の置換または無置換のアルケニル基である。前記アルケニル基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルケニル基である。前記置換アルケニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基、2−シクロペンテン−1−イル基、シクロヘキセン−1−イル基等があげられる。
前記アルキニル基は、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキニル基である。前記置換アルキニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロパルギル基等があげられる。
前記アリール基は、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリール基である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等があげられる。前記置換アリール基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。
前記ヘテロ環基は、5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらは更に縮環していてもよい。前記へテロ環基は、好ましくは、炭素原子数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。前記置換ヘテロ環基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ヘテロ環基としては、置換位置を限定しないと、例えば、ピリジン基、ピラジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、トリアジン基、キノリン基、イソキノリン基、キナゾリン基、シンノリン基、フタラジン基、キノキサリン基、ピロール基、インドール基、フラン基、ベンゾフラン基、チオフェン基、ベンゾチオフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、ベンズオキサゾール基、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、イソチアゾール基、ベンズイソチアゾール基、チアジアゾール基、イソオキサゾール基、ベンズイソオキサゾール基、ピロリジン基、ピペリジン基、ピペラジン基、イミダゾリジン基、チアゾリン基等があげられる。
前記アルコキシ基は、置換または無置換のアルコキシ基を含む。前記置換または無置換のアルコキシ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30のアルコキシ基である。前記置換アルコキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基等があげられる。
前記アリールオキシ基は、好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基である。前記置換アリールオキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等があげられる。
前記シリルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数3〜20のシリルオキシ基である。前記シリルオキシ基としては、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基等があげられる。
前記ヘテロ環オキシ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基である。前記置換ヘテロ環オキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ヘテロ環オキシ基としては、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等があげられる。
前記アシルオキシ基は、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基である。前記置換アルキルカルボニルオキシ基および前記置換アリールカルボニルオキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等があげられる。
前記カルバモイルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基である。前記置換カルバモイルオキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記カルバモイルオキシ基としては、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等があげられる。
前記アルコキシカルボニルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルコキシカルボニルオキシ基である。前記置換アルコキシカルボニルオキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等があげられる。
前記アリールオキシカルボニルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基である。前記置換アリールオキシカルボニルオキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等があげられる。
前記アミノ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールアミノ基である。前記置換アルキルアミノ基および前記置換アリールアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アミノ基としては、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、スルフォエチルアミノ基、3,5−ジカルボキシアニリノ基等があげられる。
前記アシルアミノ基は、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基である。前記置換アルキルカルボニルアミノ基および前記置換アリールカルボニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アシルアミノ基としては、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等があげられる。
前記アミノカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基である。前記置換アミノカルボニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アミノカルボニルアミノ基としては、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等があげられる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルコキシカルボニルアミノ基である。前記置換アルコキシカルボニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等があげられる。
前記アリールオキシカルボニルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基である。前記置換アリールオキシカルボニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等があげられる。
前記スルファモイルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基である。前記置換スルファモイルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記スルファモイルアミノ基としては、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等があげられる。
前記アルキルスルホニルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ基である。前記置換アルキルスルホニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルキルスルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基等があげられる。
前記アリールスルホニルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基である。前記置換アリールスルホニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールスルホニルアミノ基としては、例えば、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等があげられる。
前記アルキルチオ基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基である。前記置換アルキルチオ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等があげられる。
前記アリールチオ基は、好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基である。前記置換アリールチオ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等があげられる。
前記ヘテロ環チオ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基である。前記置換ヘテロ環チオ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ヘテロ環チオ基としては、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等があげられる。
前記スルファモイル基は、好ましくは、炭素原子数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基である。前記置換スルファモイル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記スルファモイル基としては、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等があげられる。
前記アルキルスルフィニル基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基である。前記置換アルキルスルフィニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルキルスルフィニル基としては、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等があげられる。
前記アリールスルフィニル基は、好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基である。前記置換アリールスルフィニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールスルフィニル基としては、例えば、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等があげられる。
前記アルキルスルホニル基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基である。前記置換アルキルスルホニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等があげられる。
前記アリールスルホニル基は、好ましくは、炭素原子数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基である。前記置換アリールスルホニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールスルホニル基としては、例えば、フェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等があげられる。
前記アシル基は、好ましくは、ホルミル基、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、炭素原子数4〜30の置換または無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基である。前記置換アルキルカルボニル基、前記置換アリールカルボニル基、前記ヘテロ環カルボニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アシル基としては、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基等があげられる。
前記アリールオキシカルボニル基は、好ましくは、炭素原子数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基である。前記置換アリールオキシカルボニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基等があげられる。
前記アルコキシカルボニル基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のアルコキシカルボニル基である。前記置換アルコキシカルボニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等があげられる。
前記カルバモイル基は、好ましくは、炭素原子数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基である。前記置換カルバモイル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記カルバモイル基としては、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等があげられる。
前記ホスフィノ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基である。前記置換ホスフィノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ホスフィノ基としては、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等があげられる。
前記ホスフィニル基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基である。前記置換ホスフィニル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ホスフィニル基としては、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等があげられる。
前記ホスフィニルオキシ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基である。前記置換ホスフィニルオキシ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ホスフィニルオキシ基としては、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等があげられる。
前記ホスフィニルアミノ基は、好ましくは、炭素原子数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基である。前記置換ホスフィニルアミノ基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記ホスフィニルアミノ基としては、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等があげられる。
前記シリル基は、好ましくは、炭素原子数3〜30の置換または無置換のシリル基である。前記置換シリル基の置換基としては、例えば、前記置換アルキル基の置換基としてあげたような置換基と同じものがあげられる。前記シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等があげられる。
前記アゾ基としては、例えば、フェニルアゾ基、4−メトキシフェニルアゾ基、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ基、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ基等があげられる。
前記イミド基としては、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等があげられる。
前記一般式(1)において、X1およびX2は、それぞれ、電子吸引性基であり、X1およびX2は同一でも異なっていてもよい。前記X1およびX2としては、例えば、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、他の電子吸引性基で置換されたアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基等があげられる。
前記X1およびX2は、好ましくは、炭素原子数2〜12のアシル基、炭素原子数2〜12のアシルオキシ基、炭素原子数1〜12のカルバモイル基、炭素原子数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素原子数7〜18のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜12のアルキルスルフィニル基、炭素原子数6〜18のアリールスルフィニル基、炭素原子数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜18のアリールスルホニル基、炭素原子数0〜12のスルファモイル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルコキシ基、炭素原子数1〜12のハロゲン化アルキルチオ基、炭素原子数7〜18のハロゲン化アリールオキシ基、2つ以上の他の電子吸引性基で置換された炭素原子数7〜18のアリール基、窒素原子、酸素原子、またはイオウ原子を有する5〜8員環で炭素原子数1〜18のヘテロ環基である。
前記一般式(1)において、Z1およびZ2は、それぞれ、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアルキニル基、置換または無置換のアラルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基であり、Z1およびZ2は同一でも異なっていてもよい。前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、前記アラルキル基、前記アリール基および前記ヘテロ環基は、前記R1、R2、Y1およびY2におけるのと同様である。
前記一般式(1)において、Mは、水素原子またはカチオンである。前記カチオンは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンまたは第4級アンモニウムイオンである。前記カチオンは、好ましくは、Li、Na、K、NH4、NR4である。ここで、前記R4におけるRは、アルキル基またはアリール基であり、前記R1、R2、Y1およびY2におけるのと同様である。これらの中でも、前記カチオンは、Li、Na、K、NH4であることが好ましい。
前記一般式(1)で表される染料の好ましい置換基の組み合わせとしては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基であることが好ましく、より多くの種々の置換基が前記の好ましい基であることがより好ましく、全ての置換基が前記の好ましい基であることが最も好ましい。
前記一般式(1)で表される染料の特に好ましい置換基の組み合わせは、つぎの(イ)〜(ホ)を含む。
(イ)R1、R2は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは、置換または無置換の総炭素原子数1〜12のアルキル基、置換または無置換の総炭素原子数6〜18のアリール基、置換または無置換の総炭素原子数4〜12ヘテロ環基であり、より好ましくは、総炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、さらに好ましくは、2級または3級のアルキル基であり、最も好ましくは、t−ブチル基である。
(ロ)X1、X2は、それぞれ、電子吸引性基であり、同一でも異なっていてもよく、好ましくは、シアノ基、炭素原子数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素原子数6〜18のアリールスルホニル基、炭素原子数0〜12のスルファモイル基であり、より好ましくは、シアノ基、炭素原子数1〜12のアルキルスルホニル基である。
(ハ)Y1、Y2は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは、水素原子、置換または無置換の総炭素原子数1〜12のアルキル基、置換または無置換の総炭素原子数6〜18のアリール基、置換または無置換の総炭素原子数4〜12ヘテロ環基であり、より好ましくは、水素原子、置換または無置換のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子である。
(ニ)Z1、Z2は、同一でも異なっていてもよく、好ましくは、置換または無置換の総炭素原子数1〜12のアルキル基、置換または無置換の総炭素原子数6〜18のアリール基、置換または無置換の総炭素原子数4〜12のヘテロ環基であり、より好ましくは、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基であり、特に好ましくは、置換アリール基である。
(ホ)Mは、好ましくは、水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオンであり、より好ましくは、水素原子、Li、Na、K、NH4である。
前記染料(1)の好ましい具体例としては、下記の構造式(1−A)〜(1−E)で表わされる化合物があげられる。
前記染料(1)の配合量は、前述のとおり、1.75〜2.45重量%である。インクに前記染料(1)を含ませることで、前記インクを用いた記録物の堅牢性を向上させることができる。
前記染料(2)のC.I.ダイレクトイエロー132は、例えば、下記構造式(2)で表される染料である。
前記染料(2)の配合量は、特に制限されない。インクに前記染料(2)を含ませることで、鮮明性および発色性を向上させることができる。前記染料(2)の配合量は、前記インク全量に対し、例えば、0.01〜2.1重量%であり、好ましくは、0.02〜1.5重量%である。
前述のとおり、前記インクにおける前記染料(1)と前記染料(2)との重量比は、染料(1):染料(2)=7:3〜9:1であることが好ましい。前記重量比を前記範囲とすることで、保存安定性により優れ、且つ、前記インクを用いた記録物の堅牢性にもより優れたインクを得ることができる。前記保存安定性は、前記染料(1)と前記染料(2)との相加平均的な中間レベルを超えた向上が見られる。前記重量比は、より好ましくは、染料(1):染料(2)=8:2〜9:1である。
前記染料(1)と前記染料(2)との合計配合量は、特に制限されないが、前記インク全量に対し、1.75重量%を超えて7重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、1.75重量%を超えて5重量%以下である。
前記着色剤は、前記染料(1)および前記染料(2)のみで構成されていてもよいし、さらに他の染料および顔料等を含んでもよい。
前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記インク全量に対する前記水の配合量は、例えば、10〜90重量%であり、好ましくは、40〜80重量%である。前記水の配合量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
前記水溶性有機溶剤は、例えば、インクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止する湿潤剤および記録紙面上での乾燥速度を調整する浸透剤に分類される。
前記湿潤剤は、限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適である。これらの湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記湿潤剤の配合量は、特に制限されない。前記インク全量に対する前記湿潤剤の配合量は、例えば、0〜95重量%であり、好ましくは、10〜80重量%であり、より好ましくは、10〜50重量%である。
前記湿潤剤としては、グリセリンが、特に好ましい。前記グリセリンは、他の溶剤と比較して、安全性に優れ、水に極めて溶けやすく、吸湿性、保湿性にも優れる。前述のとおり、前記インク全量に対する前記グリセリンの配合量は、好ましくは、5〜40重量%である。
前記浸透剤は、限定されず、例えば、グリコール系エーテルがあげられる。前記グリコール系エーテルは、限定されず、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテルおよびトリプロピレングリコールブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記浸透剤の配合量は、例えば、0〜20重量%である。前記浸透剤の配合量を前記範囲とすることで、前記インクの紙への浸透性を、より好適なものとできる。前記浸透剤の配合量は、好ましくは、0.1〜15重量%であり、より好ましくは、0.5〜10重量%である。
前記インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
前記インクは、例えば、着色剤、水および水溶性有機溶剤と、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルターで不溶解物を除去することにより調製できる。
前述のとおり、本発明のインクは、例えば、イエローインクとして用いることができる。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明のインクは、前記染料(1)および前記染料(2)以外の着色剤を用いることにより、イエロー以外の色のインクとすることもできる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット記録用インクを含むインクカートリッジである。本発明のインクカートリッジの本体としては、例えば、従来公知のものを使用できる。
つぎに、本発明のインクジェット記録装置について説明する。本発明のインクジェット記録装置には、本発明の前記インクカートリッジを含む。これを除き、本発明のインクジェット記録装置の構成は、例えば、従来公知のインクジェット記録装置と同様であってもよい。
図1に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インクジェットヘッド3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成部材として含む。
前記4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のインクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記イエローインクが、前記本発明のインクである。前記インクジェットヘッド3は、記録紙等の被記録材Pに印字を行う。前記ヘッドユニット4は、前記インクジェットヘッド3を備えている。前記キャリッジ5には、前記4つのインクカートリッジ2および前記ヘッドユニット4が搭載される。前記駆動ユニット6は、前記キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。前記プラテンローラ7は、前記キャリッジ5の往復方向に延び、前記インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
前記駆動ユニット6は、キャリッジ軸9と、ガイド板10と、2つのプーリ11および12と、エンドレスベルト13とを含む。前記キャリッジ軸9は、前記キャリッジ5の下端部に配置され、前記プラテンローラ7と平行に延びている。前記ガイド板10は、前記キャリッジ部5の上端部に配置され、前記キャリッジ軸9と平行に延びている。前記2つのプーリ11および12は、前記キャリッジ軸9と前記ガイド板10との間であって、前記キャリッジ軸9の両端部に配置されている。前記エンドレスベルト13は、前記2つのプーリ11および12の間に掛け渡されている。
このインクジェット記録装置1において、前記プーリ11がキャリッジモータ101の駆動により正逆回転されると、前記プーリ11の正逆回転に伴って、前記エンドレスベルト13に接合されている前記キャリッジ5が、前記キャリッジ軸9および前記ガイド板10に沿って、直線方向に往復移動する。
前記被記録材Pは、このインクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。前記被記録材Pは、前記インクジェットヘッド3と、前記プラテンローラ7との間に導入される。すると、前記被記録材Pに、前記インクジェットヘッド3から吐出されるインクにより所定の印字がなされる。前記被記録材Pは、その後、前記インクジェット記録装置1から排紙される。図1においては、前記被記録材Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
前記パージ装置8は、前記プラテンローラ7の側方に設けられ、前記ヘッドユニット4がリセット位置(この例においては、前記パージ装置8の上部)にある時に、前記インクジェットヘッド3と対向するように配置されている。前記パージ装置8は、パージキャップ14と、ポンプ15およびカム16と、インク貯留部17とを含む。前記パージキャップ14は、前記ヘッドユニット4が前記リセット位置にある時に、前記インクジェットヘッド3の複数のノズル(図示せず)を覆う。前記ポンプ15は、前記カム16の駆動により前記インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。これにより、前記インクジェットヘッドの回復が図られる。前記吸引された不良インクは、前記インク貯留部17に貯められる。
前記パージ装置8の前記プラテンローラ7側の位置には、前記パージ装置8に隣接してワイパ部材20が配設されている。前記ワイパ部材20は、へら状に形成されており、前記キャリッジ5の移動に伴って、前記インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図1において、キャップ18は、インクの乾燥を防止するため、印字が終了すると前記リセット位置に戻される前記インクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
この例のインクジェット記録装置1においては、前記4つのインクカートリッジ2は、1個のキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置において、前記4つのインクカートリッジは、複数のキャリッジに搭載されていてもよい。また、前記インクカートリッジは、前記キャリッジには搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。この態様においては、例えば、前記インクカートリッジと、前記キャリッジに搭載された前記ヘッドユニットとが、チューブ等により連結され、前記チューブ等により、前記インクカートリッジから前記ヘッドユニットに前記インクが供給される。
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。
[実施例1〜5および比較例1、2]
インク組成成分(下記表1)を、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製の親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプメンブレンフィルタ(孔径0.2μm)を用いて濾過することで、実施例1〜5および比較例1、2のインクジェット記録用インクを得た。なお、表1において、染料(1−A)〜(1−E)は、それぞれ、前記構造式(1−A)〜(1−E)で表される化合物である。
各実施例および各比較例のインクについて、(a)保存安定性評価、(b)耐オゾン性評価、(c)耐光性評価および(d)総合評価を、下記の方法により行った。なお、(b)耐オゾン性評価用および(c)耐光性評価用のサンプルは、つぎのようにして準備した。
すなわち、まず、各実施例および各比較例のインクを、インクカートリッジに充填した。ついで、前記インクカートリッジを、ブラザー工業(株)製のインクジェットプリンタ搭載デジタル複合機DCP−330Cに装着した。つぎに、ブラザー工業(株)製の写真光沢紙BP61GLAに前記インクのグラデーションサンプルをプリントし、初期OD値1.0のパッチを得た。前記OD値は、Gretag Macbeth社製の分光測色計Spectrolino(光源:D65;視野:2°;status A)により測定した。
(a)保存安定性評価
各実施例および各比較例のインクを純水で1600倍に希釈した希釈液の波長440nmにおける吸光度を、(株)島津製作所製の紫外可視近赤外分光光度計UV3600を用いて測定した。前記吸光度の測定には、セル長10mmの測定セルを用いた。ついで、別途、前記インクを密閉容器に入れ、温度60℃の環境下で、2週間保存した。つぎに、前記保存後の前記インクを純水で1600倍に希釈した希釈液の吸光度を、保存前と同様にして、測定した。つぎに、下記式(I)により吸光度減少率(%)を求め、保存安定性を、下記の評価基準に従って評価した。なお、前記吸光度減少率が小さいほど、染料(1)の分解が抑制され、保存安定性に優れていたこととなる。
吸光度減少率(%)={(X−Y)/X}×100 ・・・(I)
X:保存前の吸光度
Y:保存後の吸光度
保存安定性評価基準
G :吸光度減少率が、10%未満
NG:吸光度減少率が、10%以上
(b)耐オゾン性評価
スガ試験機(株)製のオゾンウェザーメーターOMS−Hを用いて、オゾン濃度2ppm、槽内温度24℃、槽内相対湿度60%の条件下、前記グラデーションサンプルを40時間放置した。ついで、前記放置後の前記パッチのOD値を、前述と同様にして、測定した。つぎに、下記式(II)によりOD値減少率(%)を求め、耐オゾン性を、下記の評価基準に従って評価した。なお、前記OD値減少率が小さいほど、画質の劣化が少なく、耐オゾン性に優れていたこととなる。
OD値減少率(%)={(X−Y)/X}×100 ・・・(II)
X:1.0(初期OD値)
Y:放置後のOD値
耐オゾン性評価基準
G :OD値減少率が、20%未満
NG:OD値減少率が、20%以上
(c)耐光性評価
スガ試験機(株)製の強エネルギーキセノンウェザーメーターSC750―WNを用いて、槽内温度25℃、槽内相対湿度50%、照度93klxの条件下、前記グラデーションサンプルにキセノンランプ光を200時間照射した。ついで、前記照射後の前記パッチのOD値を、前述と同様にして、測定した。つぎに、下記式(III)によりOD値減少率(%)を求め、耐光性を、下記の評価基準に従って評価した。なお、前記OD値減少率が小さいほど、画質の劣化が少なく、耐光性に優れていたこととなる。
OD値減少率(%)={(X−Y)/X}×100 ・・・(III)
X:1.0(初期OD値)
Y:照射後のOD値
耐光性評価基準
G :OD値減少率が、30%未満
NG:OD値減少率が、30%以上
(d)総合評価
各インクについて、前記(a)〜(c)の結果から、下記の評価基準に従って総合評価を行った。
総合評価基準
G :すべての評価結果がGであった。
NG:評価結果のいずれかにNGがあった。
各実施例および各比較例のインクの組成および評価結果を、下記表1に示す。なお、表1において、保存安定性評価における吸光度減少率の予測値とは、染料(1)と染料(2)との相加平均的な中間レベルを算出したものである。
前記表1に示すとおり、各実施例および各比較例から下記の知見が得られた。
実施例1(染料合計配合量:2.7重量%):染料(1)と染料(2)との重量比で、染料(1)を90%含むことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果が良好であった。また、前記重量比で、染料(2)を10%含むことにより、染料(1)の分解による吸光度の減少が抑制され、保存安定性評価の結果が良好であった。この保存安定性の向上は、染料(1)と染料(2)との相加平均的な中間レベル(予測値)を3%上回るものであった。
実施例2(染料合計配合量:2.7重量%):染料(1)と染料(2)との重量比で、染料(1)を80%含むことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果が良好であった。また、前記重量比で、染料(2)を20%含むことにより、染料(1)の分解による吸光度の減少が抑制され、保存安定性評価の結果が良好であった。この保存安定性における吸光度減少率の向上は、染料(1)と染料(2)との相加平均的な中間レベル(予測値)を3%上回るものであった。
実施例3(染料合計配合量:2.7重量%):染料(1)と染料(2)との重量比で、染料(1)を70%含むことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果が良好であった。また、前記重量比で、染料(2)を30%含むことにより、染料(1)の分解による吸光度の減少が抑制され、保存安定性評価の結果が良好であった。この保存安定性における吸光度減少率の向上は、染料(1)と染料(2)との相加平均的な中間レベル(予測値)を2%上回るものであった。
実施例4(染料合計配合量:2.5重量%):染料(1)と染料(2)との重量比で、染料(1)を70%含むことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果が良好であった。また、前記重量比で、染料(2)を30%含むことにより、染料(1)の分解による吸光度の減少が抑制され、保存安定性評価の結果が良好であった。この保存安定性における吸光度減少率の向上は、染料(1)と染料(2)との相加平均的な中間レベル(予測値)を3%上回るものであった。
実施例5(染料合計配合量:3.5重量%):染料(1)と染料(2)との重量比で、染料(1)を70%含むことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果が良好であった。また、前記重量比で、染料(2)を30%含むことにより、染料(1)の分解による吸光度の減少が抑制され、保存安定性評価の結果が良好であった。この保存安定性における吸光度減少率の向上は、染料(1)と染料(2)との相加平均的な中間レベル(予測値)を2%上回るものであった。
比較例1(染料合計配合量:2.7重量%):染料(1)を含むことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果は良好であった。しかしながら、染料(2)を含まないことにより、保存安定性評価の結果が劣っていた。
比較例2(染料合計配合量:2.7重量%):染料(2)を含むことにより、保存安定性評価の結果は良好であった。しかしながら、染料(1)を含まないことにより、耐オゾン性評価および耐光性評価の結果が劣っていた。