JP5256042B2 - 癌の処置のための併用療法 - Google Patents

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Description

本発明は、ホルモン療法とメタロプロテアーゼ阻害薬との組合せの相乗効果を利用する、癌を処置する方法に関する。本発明はまた、少なくとも1つのホルモン療法薬、少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
一部のタイプの癌細胞の増殖および生存は、標的細胞上または標的細胞中のホルモンレセプターを活性化するホルモンの影響をうけることが知られている。例えば、乳癌細胞は、増殖および/または生存について高度にエストロゲンに依存することが示されている。エストロゲンは、転写レギュレーターの大きなファミリーのメンバーであるエストロゲンレセプター (ER)に結合し、それを活性化することによって細胞増殖に影響すると考えられている (本明細書における「エストロゲンレセプター」への言及は全てのエストロゲンレセプターを意味する)。エストロゲンリガンドの結合後、エストロゲンレセプターは、リン酸化およびレセプター二量体化を介して活性化される。活性化されたERは、標的遺伝子のプロモーター中のエストロゲン応答エレメントへ結合し遺伝子の転写に影響する能力により、細胞の運命の制御に重要な複数の遺伝子の転写を調節する (例えば、Osborne, et. al., J. Natl. Cancer Inst. 85, 1917-20 (1993)(引用により全体として本明細書に含まれる)を参照)。その結果おこる転写プロファイルの変化は、活性化されたERを有する細胞と近隣の細胞の両方に影響しうる可能性がある。
前立腺癌の発達もまた、ジヒドロキシテストステロンのようなアンドロゲンによるホルモンレセプターの活性化に高度に依存する (Schiff & Osborne, Breast Cancer Res. 7, 205-211 (2005)、引用により全体として本明細書に含まれる)。前立腺は、5-α-レダクターゼの作用を介してテストステロンからジヒドロキシテストステロンを産生する。サイトゾルにおいて、ジヒドロキシテストステロンはアンドロゲンレセプターに結合しそれを活性化する (本明細書における「アンドロゲンレセプター」への言及は全てのアンドロゲンレセプターを意味する)。活性化されたエストロゲンレセプターと同様に、活性化されたアンドロゲンレセプターはアンドロゲン応答エレメントに結合し、それにより遺伝子発現に影響し、細胞増殖を引き起こす。
腫瘍細胞の増殖および生存が活性化されたホルモンレセプターに依存するため、これらレセプターを様々な方法で標的とするホルモン療法処置(内分泌療法による処置としても知られる)が開発されている。乳癌と前立腺癌はいずれも高頻度にこれらレセプターを発現するため、ホルモンレセプターまたはホルモンレセプターへの結合およびその活性化に重要なホルモン(例えば、エストロゲンおよびアンドロゲン)の産生のいずれかを標的とすることによる影響を受けやすい(Schiff & Osborne, Breast Cancer Res. 7, 205-211 (2005); Hynes & Lane, Natl. Rev. Cancer, 5, 341-45 (2005)、いずれも引用により全体が本明細書に含まれる)。かかるホルモン療法は、通常レセプターを直接標的とするか、あるいはこれらレセプターに結合しそれらを活性化するホルモンの産生を低下させ、それによってこのこのレセプターからの分裂促進的および/または生存性シグナル伝達を減少させる。
ホルモン療法は、はじめは腫瘍増殖の減少または腫瘍の縮小に有用でありうるが、多くの患者はかかる治療に応答せず、応答する患者も次第に処置抵抗性になる。かかる抵抗性は、異なるクラスのホルモン療法処置が利用可能であっても起こることが多く、交差抵抗性はまれなことではない。
ホルモン療法に対する抵抗性は、腫瘍細胞の生存を支持するのに十分な代替的シグナル伝達経路の内在性または獲得性活性化と一致する。ErbB 経路がホルモン療法に対する抵抗性に何らかの役割を果たしていることを示唆する有力な証拠が存在する。
ErbBレセプター(EGFレセプターファミリーとしても知られる) は、レセプターチロシンキナーゼ(RTK) ファミリーのサブクラスであり、4つのメンバーを含む: 1) HER-1、上皮増殖因子レセプター (EGFR)としても知られる; 2) HER-2、erbB2、c-neu、またはp185としても知られる; 3) HER-3、erbB3としても知られる; および 4) HER-4、erbB4としても知られる。ErbBレセプターシグナル伝達の生物学的結果は、細胞分化、増殖または生存に高頻度に関連する。EGFR、HER-2、およびHER-3は、ホルモン療法に対する臨床応答の減少において示唆されている。
例えば、EGFR活性化がエストロゲン非依存性および/または乳癌におけるホルモン療法抵抗性に十分であるか、少なくとも寄与している可能性があるという考えを支持する証拠が存在する。例えば、エストロゲン依存性細胞株においてアロマターゼ阻害薬レトロゾールに対する抵抗性について選択すると、EGFR経路とEGFRキナーゼ阻害への感作の同時活性化との結果となった (Sabnis, et. al., Cancer Res. 65, 3903-10 (2005)、引用により全体として本明細書に含まれる)。さらに、複数のタモキシフェン感受性乳癌細胞株におけるEGFRの発現増強は、エストロゲン非依存性および/またはホルモン療法抵抗性との結果となった (Van Agthoven, et. al., Cancer Res. 52, 5082-88 (1992); Miller, et. al., Cell Growth Differ. 5, 1263-74 (1994)、いずれも引用により全体が本明細書に含まれる)。反対に、EGFRシグナル伝達の阻害は、ホルモン療法に対する応答性を回復できる (Kurokawa & Arteaga, Clin. Cancer Res. 7, 4436s-42s, 4411s-4412s (2001)、引用により全体として本明細書に含まれる)。
EGFRからのシグナル伝達はまた、非小細胞性肺癌(NSCLC) 患者の処置のためのホルモン療法の効力を減少させるのに関与している可能性がある。例えば、EGFRチロシンキナーゼの阻害は、エストロゲンレセプターダウンレギュレーターであるホルモン療法薬フルベストラントと組み合わせて使用した場合に抗腫瘍活性を増加させる (Stabile, et. al. Cancer Res. 65, 1459-70 (2005)、引用により全体として本明細書に含まれる)。このことは、活性化されたEGFRからのシグナル伝達は、NSCLCにおいてもホルモン療法処置の有効性を減少させうることを示唆する。
HER-2もまた、乳癌患者のホルモン療法抵抗性において示唆されている。例えば、HER-2の活性化は、ホルモン療法に対する臨床応答の減少と一致している (Kurokawa & Arteaga, Clin. Cancer Res. 7, 4436s-42s, 4411s-4412s (2001); Wright, et. al. Cancer Res. 49, 2087-90 (1989)、それぞれ引用により全体が本明細書に含まれる)。実際、HER-2 発現は、抗エストロゲン抵抗性の伝達に十分である(Benz, et. al., Breast Cancer Res. Treat. 24, 85-95 (1993)、引用により全体として本明細書に含まれる)。
HER-2およびHER-3はまた、前立腺癌患者におけるホルモン抵抗性の発症に関与するようである。前立腺癌患者の約1/3が、精巣および副腎アンドロゲンの作用を妨げることを目的とするホルモン療法処置を受けている。乳癌と同様に、抵抗性は不可避なものである。最近のデータは、HER-2およびHER-3から生じるシグナルが「ホルモン不応性」状態を誘導することを示唆している(Mellinghoff, et. al., Cancer Call 6, 517-27 (2004)、引用により全体として本明細書に含まれる)。
要約すれば、ErbBレセプターからのシグナル伝達が、いくつかの異なるタイプの癌におけるホルモン療法に対する臨床応答の減少に何らかの役割を果たし、またホルモン療法抵抗性の発達に寄与していることを示唆する実質的証拠が存在する。したがって、ホルモン療法に対する臨床応答を増加させ、患者における抵抗性の発達を制限する1つの方法は、ErbBレセプターファミリーからの分裂促進シグナルおよび生存シグナルを減少させることである。ErbBレセプターからのシグナル伝達は、複雑なプロセスであるが、重要なステップは、ErbBレセプターの活性化である。
ErbBレセプターファミリーによるシグナル伝達は、ホモまたはヘテロレセプター二量体化、細胞質尾部の相互チロシンリン酸化、および細胞内シグナル伝達経路の活性化を引き起こす、リガンド結合により開始すると考えられている。ErbBレセプターに結合しそれを活性化するシグナル伝達能を有するErbBリガンドの有効性は、各種のメタロプロテアーゼにより仲介される。例えば、亜鉛依存性メタロプロテアーゼのADAM (A Disintegrin And Metalloprotease) ファミリーは、特定のタンパク質の細胞表面外部ドメイン脱落(shedding) を触媒することが示されている (Moss and Lambert, Essays in Biochemistry 38:141-153 (2002); Chang and Werb, Trends in Cell Biology 11:537-543 (2001); Seals and Courtneidge, Genes and Development 17:7-30 (2003)、それぞれ引用により全体が本明細書に含まれる)。具体的には、ADAM ファミリーは、ErbBレセプターの活性化に関与するリガンドを切断することが示されている(Blobel, Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 6, 32-43 (2005)、引用により全体が本明細書に含まれる)。例えば、ADAM10は、APPおよびNotchのようなタンパク質や、他の細胞表面タンパク質を切断することが示されている。特に注目すべきは、ADAM 10がヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子(HB-EGF)の細胞外ドメインを切断することである。この切断プロセスは、EGFR (HER-1)に結合しそれを活性化しうるHB-EGF可溶性フラグメントの形成をもたらす。したがって、EGFRのようなErbBレセプターからのシグナル伝達を減少させる1つの方法は、ErbBリガンド、例えばHB-EGFの細胞外ドメインの切断に関与するメタロプロテアーゼを阻害することである。
さらに、ADAM10メタロプロテアーゼとADAM15メタロプロテアーゼは、HER-2レセプターの細胞外ドメイン (ECD)を切断し、切断型膜結合レセプター (「スタブ(stub )」と呼ばれることもあり、p95としても知られる)と可溶性細胞外ドメイン (ECD、ECD105、またはp105としても知られる)とをもたらすことが示されている。このADAM10およびADAM15の活性は、米国特許出願第2004/0247602号(引用により全体が本明細書に含まれる)で示された。他のEGFレセプターファミリーメンバーと同様に、細胞外リガンド結合ドメインの消失によって、HER-2細胞内膜結合ドメインは恒常的活性型チロシンキナーゼとなる。それゆえ、HER-2のECDの切断は、癌細胞に直接的に増殖および生存シグナルを送達しうる恒常的活性型レセプターを創出すると推測されている。さらに、HER-2レセプターの切断型 (p95) は、EGFR (HER-1)を介するシグナル伝達と相互作用し、そのシグナル伝達を活性化することが示されている。したがって、HER-2とEGFRの両方からのシグナル伝達を減少させる別の方法は、切断型HER-2レセプター (p95)の形成を阻害することであろう。
さらに、乳癌患者における高レベルの循環HER-2ECDが、複数のホルモン療法に対する反応率の減少および全体的予後不良と一致している (Lipton, et. al., J. Clin. Oncol. 21, 1967-72 (2003); Carney, et. al. Clin. Chem. 49, 1579-98 (2003)、それぞれ引用により全体が本明細書に含まれる)。したがって、ErbBレセプターからのシグナル伝達を減少させる別の方法は、HER-2 ECDの形成を減少させることであろう。
ホルモン療法に対する不応性および抵抗性は、ホルモン療法による癌患者の処置の成功にとって重大な障害であり続けている。したがって、ホルモン療法に対する臨床応答を増加させ、患者における抵抗性の発達を阻害または阻止する方法および組成物の開発が急務である。本発明は、これら必要性などに対処する。
本発明は、癌を処置する方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)、少なくとも1つのホルモン療法薬、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、患者における腫瘍の増殖を阻害する方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、患者のホルモン療法に対する抵抗性を低下させる方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、ホルモン不応性状態の発症を阻害する方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、患者における腫瘍細胞増殖を阻害する方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、癌の転移を阻害する方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、処置中断後の腫瘍細胞増殖において静止状態を誘導する方法であって、処置中断前に一定期間、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明は、ホルモン療法薬および少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI) の、癌を処置するための医薬を製造するための使用を提供する。
ある局面において、本発明は、癌を処置する方法であって、患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。別の局面において、本発明は、ホルモン療法とメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)との組合せが癌細胞の増殖に相乗的阻害効果をもたらすという発見に関する。したがって、本発明は、癌を処置する方法であって、患者をホルモン療法により処置すること、および前記患者に少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含み、ここでホルモン療法およびMPIが相乗的有効量にて提供される方法を提供する。「相乗的有効量」とは、癌細胞の増殖および/または拡散の阻害に関して相乗性が見られるのに十分な量および相対比を意味する。
本明細書に示す用語の定義は、本出願全体においてその用語にあてはまり、本発明のある特定の態様に限定されるものではない。
本明細書において、用語「MPI」は、メタロプロテアーゼ阻害薬を意味する。 本明細書において、用語「メタロプロテアーゼ阻害薬」は、ErbBレセプターファミリーまたはそのリガンドに何らかの形で関連するメタロプロテアーゼの生物学的活性を遮断する、抑制する、または低減する、あらゆる化合物または物質を意味する。かかる「生物学的活性」には、限定はされないが、いずれかのErbBリガンドまたはHER-2の切断が含まれる。かかる「生物学的活性」にはまた、限定はされないが、HER-2の切断、例えばp95、ECD、またはその両者を形成するHER-2の切断、が含まれる。p95を形成するHER-2の切断はHER-2過剰発現細胞における癌の進行に関与することが示唆されているので、本明細書で使用されるADAM10またはADAM15の生物学的活性はまた、細胞増殖を阻害する能力、または細胞死を誘導する能力、および他の抗発癌性効果を包含する。
本明細書において、用語「ErbBレセプター」は、ErbBレセプターファミリー(EGFRレセプターファミリーとも称する)のメンバーの1つを意味する。本明細書において、用語「ErbBレセプターファミリー」と用語「EGFRレセプターファミリー」は互換的であり、以下を含むレセプターチロシンキナーゼの群を意味する:1) HER-1、上皮増殖因子レセプター (EGFR)としても知られる; 2) HER-2、erbB2、c-neu、またはp185としても知られる; 3) HER-3、erbB3としても知られる; および 4) HER-4、erbB4としても知られる。本明細書において、「ErbBリガンド」とは、ErbBレセプターに結合できるあらゆるリガンドを意味する。かかる「ErbBリガンド」にはまた、ErbBレセプターファミリーのいずれかのメンバーに結合しそれを活性化するリガンドが含まれる。
ある態様において、MPIはADAM 阻害薬である。ある態様において、MPIは、ADAM10、ADAM15、またはADAM17 阻害薬である。ある態様において、MPIはADAM10 阻害薬である。
本明細書において、用語「ADAM」は、ADAM (A Disintegrin And Metalloprotease) プロテアーゼファミリーを意味する。前述のように、これらのメタロプロテアーゼは、特異的タンパク質の細胞表面外部ドメインの脱落(shedding) を触媒することが示されている (Moss and Lambert, Essays in Biochemistry 38:141-153 (2002); Chang and Werb, Trends in Cell Biology 11:537-543 (2001); Seals and Courtneidge, Genes and Development 17:7-30 (2003)、引用により全体が本明細書に含まれる)。ADAM ファミリーメンバーのドメイン構造では、このI型膜タンパク質のプロテアーゼ触媒性ドメインは細胞外に存在する。そのタンパク質のアミノ末端から、ドメインには、プロドメイン、触媒性ドメイン、ディスインテグリンドメイン、システインリッチ領域およびEGFリピートが含まれ、それらに膜貫通ドメインおよび細胞質側末端が続く。プロドメインはプロセシングされて、成熟型のタンパク分解活性型が形成される。ディスインテグリンドメインは、接着または基質認識および結合に関与する可能性がある。前述のように、このクラスのメタロプロテアーゼは、ErbBクラスのレセプターに結合しそれを活性化するリガンドを切断することができる。このクラスのメタロプロテアーゼはまた、HER-2を切断することができる。
本明細書において、用語「ADAM 阻害薬」は、ADAM メタロプロテアーゼの生物学的活性を阻害するMPIを意味する。かかる「生物学的活性」には、限定はされないが、いずれかのErbBリガンドまたはHER-2の切断が含まれる。かかる「生物学的活性」にはまた、限定はされないが、HER-2の切断が含まれ、より具体的にはp95、ECD、またはその両者を形成するHER-2の切断が含まれる。ADAM 阻害薬の例には、例えば、ADAM10、ADAM15、および/またはADAM17阻害薬が含まれる。
ある態様において、MPIはErbBリガンドの切断を阻害する。前述のように、ErbBリガンドは、ErbBレセプターに結合しそれを活性化する。したがってある態様において、MPIは、ErbBリガンドの切断を阻害することによってErbBレセプターシグナル伝達を阻害する。
ある態様において、MPIはHER-2の切断を阻害する。ある態様において、MPIは、HER-2発現細胞においてHER-2の細胞外ドメイン (ECD) 部分の放出を阻害する。ある態様において、MPIは、HER-2発現細胞におけるp95の形成を阻害する。
本明細書において、用語「HER-2の切断」は、完全長 HER-2 ポリペプチド (p185) が切断されてp105 外部ドメイン (ECD) およびp95 スタブ(stub)が提供される過程を意味する。本明細書において、用語「p95」は、完全長 HER-2 ポリペプチド (p185)の切断後に生成するHER-2 ポリペプチドのp95 部分を意味する。HER-2が細胞に結合している場合、切断により典型的にはHER-2 ポリペプチドのp95 部分が生成し、これは細胞に結合したままであり、一方ECDは細胞外環境に放出される。用語「ECD」は、完全長 HER-2 ポリペプチド (p185)の切断によって生成するp105 外部ドメイン (ECD)を意味する。
前述のように、p95は、EGFR (HER-1)と相互作用しそのシグナル伝達を強力に活性化することが示されている。それゆれ、HER-2の切断が増加すると、EGFRを強力に活性化しうるp95の量がより多くなる。それゆえある態様において、MPIは、HER-2の切断を阻害することによりEGFRの活性化を阻害する。本明細書において、用語「EGFR」は、ErbBレセプターファミリーのメンバーである上皮増殖因子レセプターを意味する。
ある態様において、MPIは、メタロプロテアーゼによるHER-2の切断を阻害することによって、HER-2レセプター仲介シグナル伝達を阻害する。ある態様において、前記HER-2レセプター仲介シグナル伝達は、マイトジェン活性化タンパク質 (MAP) キナーゼ経路およびタンパク質 キナーゼB (AKT)経路から選択される経路に関連し、MPIは、ADAM10、ADAM15、またはADAM17である (米国特許出願第2004/0247602号参照)。ある態様において、前記HER-2レセプター仲介シグナル伝達の阻害は、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK) およびタンパク質キナーゼB (AKT)から選択されるタンパク質のリン酸化の阻害を含む。
ある態様において、MPIは、メタロプロテアーゼのタンパク分解活性を阻害する。ある態様において、MPIは、ADAMのタンパク分解活性を阻害する。ある態様において、MPIは、ADAM10、ADAM15、またはADAM17のタンパク分解活性を阻害する。
ある態様において、MPIは、ADAM10のタンパク分解活性を阻害する。
ある態様において、MPIは以下の式 Iの化合物またはその医薬上許容される塩である:
Figure 0005256042
[式中、
Aは、CO2H、C(S)OH、C(O)NHOH、C(S)NHOH、C(O)NHOR5、C(S)NHOR5、N(OH)CHO、N(OH)C(O)R6、N(OH)C(S)R6、SH、SR7、またはヒダントイニル(hydantoinyl);
BおよびGは、それぞれ独立に、(CH2)n、(CH2)nC(O)、(CH2)nC(S)、(CRdRf)nNR8、(CRdRf)nO(CRdRf)r、(CRdRf)nS(CRdRf)r、OC(O)NR8、OC(S)NR8、O、NR8、S(O)m、S、C(O)NR8(CRdRf)n、またはC(O)(CRdRf)n;
XおよびYは、それぞれ独立に、非存在、(CH2)j、0〜3の Raで置換されたC1-10 アルキレン、0〜2の Raで置換されたC2-10 アルケニレン、O、NRb、S(O)m、C=O、NRbC(O)、NRbC(O)O、NRbC(O)NRb、C(O)O、NRbS(O)m、NRbS(O)mNRb、または(CRdRf)jNRb;
Mは、COまたはS(O)i;
Uは、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、0〜2の Raで置換されたC2-10 アルケニレン、O、NRb、NRbC(O)、NRbC(O)O、NRbC(O)NRb、NRbS(O)m、またはNRbS(O)NRb;
Vは、非存在、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
U’は、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、0〜2の Raで置換されたC2-10 アルケニレン、O、NRbS(O)m、C=O、NRbC(O)、NRbC(O)O、NRbC(O)NRb、C(O)O、O-(C1-10 アルキレン)、またはNRbS(O)NRb;
V’は、H、C1-8 アルキル、NRbRc、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
RaおよびReは、それぞれ独立に、H、T、C1-8 アルキレン-T、C2-8 アルケニレン-T、C2-6 アルキニレン-T、C(O)NRa’(CRb’Rc’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、S(O)p(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)r-O-(CRb’Rc’)r-T、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、CORIII、COORIV、ORIV、CONRIRII、NRICONRIRII、OCONRIRII、NRICORII、SO2NRIRII、NRISO2RII、NRISO2NRIRII、OSO2NRIRII、SOpRV、C1-8 ハロアルキル、C3-13 カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、またはヘテロシクリルアルキル、ここで該カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、およびヘテロシクリルアルキル基は各々、1以上の C1-8 アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキルエステル、カルボキシアリールエステル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、スルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、またはアリールスホニル(arylsufonyl)で置換されていてもよい;
RbおよびRcは、それぞれ独立に、H、T、C1-6 アルキレン-T、C2-8 アルケニレン-T、C2-6 アルキニレン-T、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、C(O)(CRb’Rc’)r-T、S(O)p(CRb’Rc’)r−T、 (CRc’Rb’)r-O-(CRc’Rb’)r−T、C(NRa’Ra’)(=N-CN)、またはC(NRa’Ra’)(=CHNO2);
RdおよびRfは、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、T、C1-6 アルキレン-T、C2-8 アルケニレン-T、C2-6 アルキニレン-T、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、S(O)p(CRb’Rc’)r-T、(CRc’Rb’)r-O-(CRc’Rb’)r−T、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、CORIII、COORIV、ORIV、CONRIRII、RINCONRIRII、OCONRIRII、RINCORII、SO2NRIRII、NRISO2RII、NRISO2NRIRII、OSO2NRIRII、SOpRV、C1-8 ハロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、カルボシクリルオキシ、またはヘテロシクリルオキシ、ここで該カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、カルボシクリルオキシ、またはヘテロシクリルオキシ基は各々、1以上の C1-8 アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキルエステル、カルボキシアリールエステル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、スルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、またはアリールスホニルで置換されていてもよい;
Tは、H、0〜5の Rb’で置換されたC1-10 アルキル、0〜5の Rb’で置換されたC2-10 アルケニル、0〜5の Rb’で置換されたC2-10 アルキニル、C1-6 アルコキシ、0〜3の Rb’で置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Rb’ で置換されたヘテロシクリル;
Ra’、Rb’、およびRc’は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、C2-6 アルケニル、C2-6 アルキニル、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、CORIII、COORIV、ORIV、CONRIRII、RINCONRIRII、OCONRIRII、RINCORII、SO2NRIRII、NRISO2RII、NRISO2NRIRII、OSO2NRIRII、SOpRV、C1-8 ハロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、カルボシクリルオキシ、またはヘテロシクリルオキシ、ここで該カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、カルボシクリルオキシ、またはヘテロシクリルオキシ基は各々、1以上の C1-8 アルキル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシ、カルボキシアルキルエステル、カルボキシアリールエステル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、スルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アリールスルホニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、またはアリールスホニルで置換されていてもよい;
R1およびR2は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、SR10、OR10、またはNR11R12;
R5は、H、ハロゲン、T、C1-6 アルキレン-T、C2-6 アルキニレン-T、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、CO(CRb’Rc’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、S(O)p(CRb’Rc’)r-T、(CRc’Rb’)r-O-(CRc’Rb’)r−T、NR11R12、SR18、またはOR18;
R4’およびR5’は、それぞれ独立に、H、ハロゲン、T、C1-6 アルキレン-T、C2-6 アルキニレン-T、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、CO(CRb’Rc’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、S(O)p(CRb’Rc’)r-T、(CRc’Rb’)r-O-(CRc’Rb’)r−T、NR11R12、SR18、またはOR18;
あるいは、R4’およびR5’は、それらが結合する原子とともに、C3-13 カルボシクリルおよび3-14員環ヘテロシクリルから選択される環を形成する;
R6およびR7は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、C2-8 アルケニル、またはC2-8 アルキニル;
R8は、H、C1-10 アルキレン-T、C2-10 アルケニレン-T、C2-10 アルキニレン-T、(CRb’Rc’)rO(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rNRa’(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rC(O)(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rC(O)O(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rOC(O)(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rC(O)NRa’(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rNRa’C(O)(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rOC(O)O(CRb’Rc’)r-T (CRb’Rc’)rOC(O)NRa’(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rNRa’C(O)O(CRb’Rc’)r-T、 (CRb’Rc’)rNRa’C(O)NRa’(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rS(O)p(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rSO2NRa’(CRb’Rc’)r-T、(CRb’Rc’)rNRa’SO2(CRb’Rc’)r-T、、または(CRb’Rc’)rSO2NRa’SO2(CRb’Rc’) r-T;
R10は、H、またはC1-C6 アルキル;
R11およびR12は、それぞれ独立に、H、またはC1-C8 アルキル;
あるいは、R11およびR12は、それらが結合するN 原子とともに3-14員環複素環を形成する;
R18は、C1-6 アルキル;
RIおよびRIIは、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、またはC3-13 カルボシクリル;
RIIIおよびRIVは、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、またはヘテロシクリルアルキル、ここで該カルボシクリル、ヘテロシクリル、カルボシクリルアルキル、またはヘテロシクリルアルキルは、それぞれ1以上のハロ、C1-4 アルキル、またはC1-4 アルコキシで置換されていてもよい;
RVは、C1-6 アルキル、ハロアルキル、カルボシクリル、またはヘテロシクリル;
jは、1、2、3、または4;
iは、0、1、または2;
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12;
mは、0、1、または2;
pは、1、または2; および
rは、0、1、2、3、4、または5;
ただし:
a)スピロ環は、安定な化学的部分である; および
b)NR8およびNRbは、N-NまたはN-O結合を有さない]。
ある態様において、Aは、C(O)NHOHである。
ある態様において、Xは、(CRdRf)jNRb、または(CH2)jである。
ある態様において、Xは、(CH2)jである。
ある態様において、Xは、(CRdRf)jNRbである。
ある態様において、Xは、CH2NRb、CH2CH2、またはCH2である。
ある態様において、Xは、CH2NRbである。
ある態様において、Yは、(CRdRf)jNRb、または(CH2)jである。
ある態様において、Yは、(CH2)jである。
ある態様において、Yは、(CRdRf)jNRbである。
ある態様において、Yは、CH2NRb、CH2CH2、またはCH2である。
ある態様において、Yは、CH2である。
ある態様において、Bは、(CH2)nである。
ある態様において、Bは、CH2である。
ある態様において、Gは、(CH2)nである。
ある態様において、Gは、CH2である。
ある態様において、Uは、非存在、またはNRbである。
ある態様において、Uは、非存在である。
ある態様において、U’は、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、O、C=O、またはO-(C1-10 アルキレン)である。
ある態様において、U’は、非存在、または0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレンである。
ある態様において、U’は、非存在である。
ある態様において、Vは、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリルである。
ある態様において、Vは、0〜5の Reで置換されたヘテロシクリルである。
ある態様において、Vは、0〜5の Reで置換されたヘテロシクロアルキルである。
ある態様において、Vは、0〜5の Reで置換された6員環ヘテロシクロアルキルである。
ある態様において、Vは、6員環ヘテロシクロアルキルである。
ある態様において、Vは、ピペラジン-1,4-ジイル、ピペリジン-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、3,6-ジヒドロピリジン-1,4(2H)-ジイル、アゼチジン-1,4-イル、ピロリジン-1,3-ジイル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1,3-ジイル、2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-アゼピン-1,5-ジイル、アゼパン-1,4-ジイル、または2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1,5-ジイルである。
ある態様において、Vは、ピペラジン-1,4-ジイルである。
ある態様において、V’は、C1-8 アルキル、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリルである。
ある態様において、V’は、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリルである。
ある態様において、V’は、0〜5の Reで置換されたヘテロシクリルである。
ある態様において、V’は、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、4,7,-ジヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン-6(5H)-イル、3,4-ジヒドロイソキノリン-2-(1H)-イル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1-イル、4-フェニル-1,3-チアゾール-2-イル、4-tert-ブチル-1,3-チアゾール-2-イル、2-チエニル、3-チエニル、ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル、1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル、1-エチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イル、1,4,5,6-テトラヒドロベンゾ[f]イソキノリン-3(2H)-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル、3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル、ピラジン-2-イル、1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-β-カルボリン-2-イル、9-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-β-カルボリン-2-イル、3,4,10,10a-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]-インドール-2(1H)-イル、キノリン-2-イル、キノリン-4-イル、2-メチル-キノリン-4-イル、3,3a,8,8a-テトラヒドロインデノ[1,2-c]ピロール-2(1H)-イル、ピペリジン-1-イル、1,4,4a,5,6,10b-ヘキサヒドロベンゾ[f]イソキノリン-3-(2H)-イル、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[e]イソインドール-2-イル、1,2,4,4a,5,6-ヘキサヒドロ-3H-ピラジノ[1,2-a]キノリン-3-イル、1-メチル-1H-インダゾール-5-イル、または1,3-ジヒドロ-1’H-スピロ[インデン-2,4’-ピペルジン]-1’-イルである。
ある態様において、V’は、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリルである。
ある態様において、V’は、0〜5の Reで置換されたアリールである。
ある態様において、V’は、アリールである。
ある態様において、V’は、フェニル、シクロヘキシル、2-ナフチル、または5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イルである。
ある態様において、V’は、0〜5の Reで置換されたフェニルである。
ある態様において、V’は、フェニルである。
ある態様において、Reは、H、T、C1-8 アルキレン-T、(CRb’Rc’)r-O-(CRb’Rc’)r-T、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、CORIII、ORIV、CONRIRII、C1-8 ハロアルキル、C3-13 カルボシクリル、またはヘテロシクリルである。
ある態様において、Rbは、H、T、C1-6 アルキレン-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、C(O)(CRb’Rc’)r-T、またはS(O)p(CRb’Rc’)r-Tである。
ある態様において、Rbは、C(O)O(CRb’Rc’)r-Tである。
ある態様において、Rbは、C(O)OCH3である。
ある態様において、R4’は、Hである。
ある態様において、R5’は、Hである。
ある態様において、R1は、Hである。
ある態様において、R2は、Hである。
ある態様において、jは、1である。
ある態様において、nは、1である。
ある態様において、rは、1である。
ある態様において、rは、0である。
ある態様において、Tは、H、またはメチルである。
ある態様において、Tは、Hである。
ある態様において、Tは、メチルである。
ある態様において、MPIは、以下である式 Iの化合物である:
Aは、C(O)NHOH;
BおよびGは、それぞれ独立に、(CH2)n、(CH2)nC(O)、(CH2)nC(S)、(CRdRf)nNR8、(CRdRf)nO(CRdRf)r、(CRdRf)nS(CRdRf)r、OC(O)NR8、O、NR8、S(O)m、S、C(O)NR8(CRdRf)n、またはC(O)(CRdRf)n;
XおよびYは、それぞれ独立に、非存在、(CH2)j、0〜3の Raで置換されたC1-10 アルキレン、NRb、または(CRdRf)jNRb;
Mは、CO;
Uは、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、またはNRb;
Vは、非存在、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
U’は、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、O、NRbS(O)m、C=O、NRbC(O)、NRbC(O)O、NRbC(O)NRb、C(O)O、O-(C1-C10 アルキレン)、またはNRbS(O)NRb;
V’は、H、C1-8 アルキル、NRbRc、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
Reは、H、T、C1-8 アルキレン-T、(CRb’Rc’)r-O-(CRb’Rc’)r-T、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、CORIII、ORIV、CONRIRII、C1-8 ハロアルキル、C3-13 カルボシクリル、またはヘテロシクリル;
RbおよびRcは、それぞれ独立に、H、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、またはS(O)p(CRb’Rc’)r-T;
RdおよびRfは、それぞれ独立に、H、またはC1-6 アルキル;
R1およびR2は、それぞれ独立に H、またはC1-6 アルキル; および
R4’およびR5’は、それぞれ独立に、H、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、またはS(O)p(CRb’Rc’)r-Tである。
ある態様において、MPIは、以下である式 Iの化合物である:
Aは、C(O)NHOH;
BおよびGは、それぞれ独立に、(CH2)n、(CH2)nC(O)、(CRdRf)nNR8、O、NR8、S(O)m、S、C(O)NR8(CRdRf)n、またはC(O)(CRdRf)n;
XおよびYは、それぞれ独立に、非存在、(CH2)j、CH2NRb、またはCH2CH2NRb;
Mは、CO;
Uは、非存在、またはNRb;
Vは、0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
U’は、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、またはO;
V’は、NRbRc、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
Reは、H、T、OH、Cl、F、CN、またはC1-8 ハロアルキル;
Rbは、H、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、C(O)(CRb’Rc’)r-T、S(O)p(CRb’Rc’)r-T、(CRc’Rb’)r-O-(CRc’Rb’)r−T、C(NRa’Ra’)(=N-CN)、またはC(NRa’Ra’)(=CHNO2);
Rcは、H、T、C1-6 アルキレン-T、C2-8 アルケニレン-T、またはC2-6 アルキニレン-T;
RdおよびRfは、それぞれ独立に、H、またはC1-6 アルキル;
Ra’は、H、またはC1-6 アルキル;
Rb’およびRc’は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、ORIVまたはC1-8 ハロアルキル;
R1およびR2は、それぞれH;
R4’およびR5’は、それぞれH;
jは、1または2;
nは、0、1、2、3、または4; および
rは、0、1、または2である。
ある態様において、MPIは、以下である式 Iの化合物である:
Aは、C(O)NHOH;
BおよびGは、それぞれ(CH2)n;
XおよびYは、それぞれ独立に、非存在、(CH2)j、CH2NRb、またはNRbCH2CH2;
Mは、CO;
Uは、非存在;
Vは、0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
U’は、非存在、0〜5の Raで置換されたC1-10 アルキレン、またはO;
V’は、H、C1-8 アルキル、NRbRc、0〜5の Reで置換されたC3-13 カルボシクリル、または0〜5の Reで置換されたヘテロシクリル;
Rbは、H、C(O)NRa’(CRc’Rb’)r-T、C(O)O(CRb’Rc’)r-T、C(O)(CRb’Rc’)r−T、C(NRa’Ra’)(=N-CN)、またはC(NRa’Ra’)(=CHNO2);
Rcは、 H、T、C1-6 アルキレン-T、C2-8 アルケニレン-T、またはC2-6 アルキニレン-T;
Ra’は、H、またはC1-6 アルキル;
Rb’およびRc’は、それぞれ独立に、H、C1-6 アルキル、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NRIRII、ORIV、またはC1-8 ハロアルキル;
R1およびR2は、それぞれH;
R4’およびR5’は、それぞれH;
jは、1、または2;
nは、0、1、2、3、または4; および
rは、0、1、または2である。
ある態様において、MPIは、以下である式 Iの化合物である:
Aは、C(O)NHOH;
BおよびGは、それぞれCH2;
Xは、CH2NRb;
Yは、CH2;
Mは、CO;
UおよびU’は、それぞれ非存在;
Vは、ピペラジン-1,4-ジイル;
V’は、フェニル;
Rbは、C(O)O(CRb’Rc’)r-T;
Rb’、Rc’、R1、R2、R4’、R5’およびTは、それぞれH; および
rは、1。
ある態様において、MPIは、メチル (6S,7S)-7-[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]-6-[(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル]-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシラートまたはその医薬上許容される塩である。
前記式 Iの化合物は、米国特許出願第2004/0259896号(引用により全体が本明細書に含まれる)に記載の方法により製造することができる。
本明細書のあらゆる箇所において、式 Iの化合物の置換基は群または範囲として開示される。特に意図することには、本発明はかかる群および範囲のメンバーの個々の全てのサブコンビネーションを含む。例えば、用語「C1-6 アルキル」は、具体的には独立にメチル、エチル、C3 アルキル、C4 アルキル、C5 アルキル、およびC6 アルキルを開示するものである。
さらに理解されるべきことには、本発明のある特徴は、明確性のため別の態様との関連で記載されていても、ある1つの態様において組み合わされて提供されることもある。反対に、本発明の様々な特徴は、簡潔化のため1つの態様との関連で記載されていても、別々に、またはいずれかの好適なサブコンビネーションにおいて提供されることもある。
可変部(variable)が2以上みられる本発明の化合物について、各可変部はその可変部を規定するマーカッシュ群から選択される異なる部分でありうる。例えば、同じ化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造が記載されている場合、この2つのR基はそのRを規定するマーカッシュ群から選択される異なる部分を表しうる。
本明細書のあらゆる箇所において、連結置換基が記載される。特に意図されることには、各連結置換基はその連結置換基の順方向型および逆方向型の両方を含む。例えば、NRb(CRdRf)n は、NRb(CRdRf)n と(CRdRf)nNRbの両方を含み、S(O)mNRb は、S(O)mNRb とNRbS(O)mの両方を含み、O-(C1-C10 アルキレン) はO-(C1-C10 アルキレン) と(C1-C10 アルキレン)-Oの両方を含み、C(O)O はC(O)O とOC(O)の両方を含む。構造が明確に連結基を含む場合、その群について挙げられるマーカッシュ可変部は、連結基と理解される。例えば、構造が連結基を必要とし(例えば式 IのU)、その可変部についてのマーカッシュ群の定義が「アルキル」を挙げている場合、その「アルキル」は連結アルキレン基を表すと理解される。
さらに理解されるべきことには、本発明のある特徴は、明確性のため別の態様との関連で記載されていても、ある1つの態様において組み合わされて提供されることもある。反対に、本発明の様々な特徴は、簡潔化のため1つの態様との関連で記載されていても、別々に、またはいずれかの好適なサブコンビネーションにおいて提供されることもある。
本明細書において、用語「アルキル」は、直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基を意味する。例示的アルキル基には、メチル (Me)、エチル (Et)、プロピル (例えば、n-プロピルおよびイソプロピル)、ブチル (例えば、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル)、ペンチル (例えばn-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)などが含まれる。ある態様において、アルキル基は、1〜約20、2〜約20、1〜約10、1〜約8、1〜約6、1〜約4または1〜約3の炭素原子を含みうる。
本明細書において、用語「アルケニル」は、1以上の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基を意味する。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどが含まれる。
本明細書において、用語「アルキニル」は、1以上の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基を意味する。アルキニル基の例には、エチニル、プロピニルなどが含まれる。
本明細書において、用語「ハロアルキル」は、1以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を意味する。本明細書において、用語「ハロアルキル」はまた、全ての水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例には、CF3, C2F5, CHF2, CCl3, CHCl2, C2Cl5などが含まれる。全ての水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基はまた、「ペルハロアルキル」とも呼ばれうる。
本明細書において、用語「アルキレン」または「アルキレニル」は、二価のアルキル基を意味する。アルキレン基の例は、メチレンまたはエチレンである。
本明細書において、用語「アルケニレン」または「アルケニレニル」は、二価のアルケニル基を意味する。
本明細書において、用語「アルキニレン」は、二価のアルキニル基を意味する。
本明細書において、「カルボシクリル」基は、飽和 (すなわち、二重または三重結合を含まない) または不飽和 (すなわち、1以上の二重または三重結合を含む) 環状炭化水素部分である。カルボシクリル基は、単環式もしくは多環式 (例えば、2、3、または4の縮合環を有する) またはスピロ環式でありうる。カルボシクリル基は、芳香族性 (例えば「アリール」) または非芳香族性 (例えば「シクロアルキル」)でありうる。カルボシクリル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、1,3-シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチル、フェニル、などが含まれる。ある態様において、カルボシクリル基は、約3〜約30、約3〜約20、約3〜約10、または約3〜約7の炭素原子を有しうる。
本明細書において、用語「アリール」は、単環式または多環式 (例えば、2、3、または4の縮合環を有する) 芳香族性炭化水素、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、インダニル、インデニルなどを含む、芳香族性カルボシクリル基を意味する。ある態様において、アリール基は6〜約20の炭素原子を有する。
本明細書において、「シクロアルキル」は、環状アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む、非芳香族性カルボシクリル基を意味する。シクロアルキル基は、二環式または多環式(例えば、2、3、または4の縮合環を有する) 環系およびスピロ環系を含みうる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどが含まれる。同様にシクロアルキルの定義に含まれるのは、シクロアルキル環と縮合した(すなわち、結合を共有する)1以上の芳香環を有する部分、例えばペンタン、ペンテン、ヘキサンなどのベンゾ誘導体、である。
本明細書において、「ヘテロシクリル」または「複素環」は、1以上の環形成原子がヘテロ原子、例えば酸素、硫黄または窒素である、飽和または不飽和環状基を意味する。ヘテロシクリル基は、芳香族性 (例えば「ヘテロアリール」) または非芳香族性 (例えば「ヘテロシクロアルキル」)でありうる。ヘテロシクリル基はまた、水素化ヘテロアリール基および部分水素化ヘテロアリール基に相当しうる。ヘテロシクリル基は、単環式または多環式 (例えば、2、3、または4の縮合環を有する) 環系を含みうる。ヘテロシクリル基は、3-20の環形成原子を有することを特徴としうる。ある態様において、ヘテロシクリル基は、少なくとも1つのヘテロ原子に加えて、約1〜約20、約2〜約10、または約2〜約7の炭素原子を含んでよく、また炭素原子を介して結合しても、ヘテロ原子を介して結合してもよい。さらなる態様において、ヘテロシクリルまたは複素環中の炭素原子またはヘテロ原子は、酸化されて (例えば、カルボニル、スルフィニル、スルホニル、または他の酸化窒素もしくは硫黄結合を形成して)いてもよく、あるいは窒素原子が四級化されていてもよい。ヘテロシクリル基の例には、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾ-1,4-ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニルなど、および「ヘテロアリール」および「ヘテロシクロアルキル」について後述する基が含まれる。さらなる複素環の例には以下が含まれる:ピリミジニル、フェナンスリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、3,6-ジヒドロピリジル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル、1,2,5,6-テトラヒドロピリジル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チア-ジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、キサンテニル、オクタヒドロ-イソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾ-チオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、デカ-ヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、およびイソオキサゾリル。さらなるヘテロシクリル基および複素環の例には以下が含まれる:ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、3-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル、4,7,-ジヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン-6(5H)-イル、3,4-ジヒドロイソキノリン-2-(1H)-イル、2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1-イル、4-フェニル-1,3-チアゾール-2-イル、4-tert-ブチル-1,3-チアゾール-2-イル、2-チエニル、3-チエニル、ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル、1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル、1-エチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-イル、1,3-ベンゾチアゾール-6-イル、1,4,5,6-テトラヒドロベンゾ[f]イソキノリン-3(2H)-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル、3,3-ジエチル-2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル ピラジン-2-イル、1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-β-カルボリン-2-イル、9-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-β-カルボリン-2-イル、3,4,10,10a-テトラヒドロピラジノ[1,2-a]-インドール-2(1H)-イル、キノリン-2-イル、キノリン-4-イル、2-メチル-キノリン-4-イル、3,3a,8,8a-テトラヒドロインデノ[1,2-c]ピロール-2(1H)-イル、ピペリジン-1-イル、1,4,4a,5,6,10b-ヘキサヒドロベンゾ[f]イソキノリン-3-(2H)-イル、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-2H-ベンゾ[e]イソインドール-2-イル、1,2,4,4a,5,6-ヘキサヒドロ-3H-ピラジノ[1,2-a]キノリン-3-イル、1-メチル-1H-インダゾール-5-イル、および1,3-ジヒドロ-1’H-スピロ[インデン-2,4’-ピペルジン]-1’-イル基。さらなるヘテロシクリル基および複素環の例には以下が含まれる:ピペラジン-1,4-ジイル、ピペリジン-1,3-ジイル、ピペリジン-1,4-ジイル、3,6-ジヒドロピリジン-1,4(2H)-ジイル、アゼチジン-1,4-イル、ピロリジン-1,3-ジイル、2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1,3-ジイル、2,3,4,7-テトラヒドロ-1H-アゼピン-1,5-ジイル、アゼパン-1,4-ジイル、および2,3-ジヒドロ-1H-インドール-1,5-ジイル基。ヘテロシクリル基および複素環にはまた、例えば上記複素環を含む、縮合環化合物およびスピロ化合物が含まれる。
本明細書において、用語「ヘテロアリール」基は、芳香族性ヘテロシクリル基であり、少なくとも1つのヘテロ原子環メンバー、例えば硫黄、酸素または窒素、を有する、単環式および多環式 (例えば、2、3、または4の縮合環を有する) 芳香族性炭化水素を含む。ヘテロアリール基には、限定はされないが、以下が含まれる:ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニルなど。ある態様において、ヘテロアリール基は、1〜約20の炭素原子を有し、さらなる態様において、約3〜約20の炭素原子を有する。ある態様において、ヘテロアリール基は、3〜約14、3〜約7、または5〜6の環形成原子を含む。ある態様において、ヘテロアリール基は、1〜約4、1〜約3、または1〜2のヘテロ原子を有する。
本明細書において、用語「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つのヘテロ原子環メンバー、例えば窒素、酸素または硫黄、を有する環状アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む、非芳香族性ヘテロシクリル基を意味する。ある態様において、ヘテロシクロアルキル基中の炭素原子またはヘテロ原子は、酸化されて (例えばカルボニル、スルフィニル、スルホニルなどを形成して) いてもよく、あるいは窒素原子が四級化されていてもよい。ヘテロシクロアルキル基の例には、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソール、ベンゾ-1,4-ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニルなどが含まれる。同様にヘテロシクロアルキルの定義に含まれるのは、非芳香族性複素環と縮合した(すなわち、結合を共有する) 1以上の芳香環を有する部分、例えばフタルイミジル、ナフタルイミジル、および複素環のベンゾ誘導体、例えばインドレンおよびイソインドレン基、である。ある態様において、ヘテロシクロアルキル基は、1〜約20の炭素原子を有し、さらなる態様において、約3〜約20の炭素原子を有する。ある態様において、ヘテロシクロアルキル基は、3〜約14、3〜約7、または5〜6の環形成原子を含む。ある態様において、ヘテロシクロアルキル基は、1〜約4、1〜約3または1〜2のヘテロ原子を有する。ある態様において、ヘテロシクロアルキル基は、0〜3の二重結合を含む。ある態様において、ヘテロシクロアルキル基は、0〜2の三重結合を含む。
本明細書において、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。
本明細書において、用語「アルコキシ」は、-O-アルキル基を意味する。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシなどが含まれる。
本明細書において、用語「アリールオキシ」は、-O-アリール基を意味する。アリールオキシ基の例は、フェノキシである。
本明細書において、用語「ハロアルコキシ」は、-O-ハロアルキル基を意味する。ハロアルコキシ基の例は、OCF3である。
本明細書において、用語「カルボシクリルオキシ」は、-O-カルボシクリル基を意味する。カルボシクリルオキシ基の例は、シクロヘキソキシ(cyclohexoxy)およびフェノキシである。
本明細書において、用語「ヘテロシクリルオキシ」は、-O-ヘテロシクリル基を意味する。ヘテロシクリルオキシ基の例は、ピリジン-4-イル-オキシである。
本明細書において、用語「カルボシクリルアルキル」は、カルボシクリル基により置換されたアルキル部分を意味する。カルボシクリルアルキル基の例には、「アラルキル」 (アリールにより置換されたアルキル (「アリールアルキル」)) および「シクロアルキルアルキル」 (シクロアルキルにより置換されたアルキル)が含まれる。ある態様において、カルボシクリルアルキル基は、4〜24の炭素原子を有する。
本明細書において、用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリル基により置換されたアルキル部分を意味する。ヘテロシクリルアルキル基の例には、「ヘテロアリールアルキル」 (ヘテロアリールにより置換されたアルキル) および「ヘテロシクロアルキルアルキル」 (ヘテロシクロアルキルにより置換されたアルキルが含まれる)。ある態様において、ヘテロシクリルアルキル基は、少なくとも1つのヘテロ原子環メンバー、例えば酸素、窒素または硫黄、に加えて、3〜24の炭素原子を有する。
本明細書において、用語「アミノ」は、NH2 基を意味する。用語「アルキルアミノ」は、アルキル基により置換されたアミノ基を意味し、用語「ジアルキルアミノ」は、2のアルキル基により置換されたアミノ基を意味する。
本明細書において、用語「アミノカルボニル」は、CONH2を意味する。
本明細書において、用語「アルキルアミノカルボニル」は、CONH(アルキル) を意味する。
本明細書において、用語「ジアルキルアミノカルボニル」は、CON(アルキル)2を意味する。
本明細書において、用語「カルボキシ」または「カルボキシル」は、COOHを意味する。
本明細書において、用語「カルボキシアルキルエステル」は、COO-アルキルを意味する。
本明細書において、用語「カルボキシアリールエステル」は、COO-アリールを意味する。
本明細書において、用語「シアノ」は、CNを意味し、ここで炭素原子と窒素原子は互いに三重結合している。
本明細書において、用語「ヒドロキシ」は、OHを意味する。
本明細書において、用語「メルカプト」は、SHを意味する。
本明細書において、用語「ニトロ」は、NO2を意味する。
本明細書において、用語「スルフィニル」は、SOを意味する。
本明細書において、用語「スルホニル」は、SO2を意味する。
本明細書において、用語「アミノスルホニル」は、SO2NH2を意味する。
本明細書において、用語「アルキルアミノスルホニル」は、SO2NH(アルキル) を意味する。
本明細書において、用語「ジアルキルアミノスルホニル」は、SO2N(アルキル)2を意味する。
本明細書において、用語「アリールスルホニル」は、SO2-アリールを意味する。
本明細書において、用語「アリールスルフィニル」は、SO-アリールを意味する。
本明細書において、用語「アルキルスルホニル」は、SO2-アルキルを意味する。
本明細書において、用語「アルキルスルフィニル」は、SO-アルキルを意味する。
特記なき限り、式 Iの化合物は、その医薬上許容される塩、プロドラッグ、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ混合物、結晶形、非結晶形(non-crystalline form)、無定形(amorphous form)、水和物および溶媒和物を含む意味である。
句「医薬上許容される」は、本明細書において、適切な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触する使用に適し、合理的なリスク/利益比に見合う過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症のない、化合物、物質、組成物、および/または投与形態を意味するのに用いられる。
本発明はまた、式 Iの化合物の医薬上許容される塩を含む。本明細書において「医薬上許容される塩」は、親化合物が既存の酸または塩基部分の塩形態への変換により改変された、開示化合物の誘導体を意味する。ある種の具体的な式 Iの化合物は、その化合物が塩基付加塩へも酸付加塩へも変換されることを許容する塩基性官能性と酸性官能性の両方を含みうる。医薬上許容される塩の例には、限定はされないが、以下が含まれる:塩基性残基、例えばアミン、の鉱酸塩または有機酸塩; 酸性残基、例えばカルボン酸、のアルカリ塩または有機塩; など。本発明の医薬上許容される塩には、例えば非毒性無機酸または有機酸から形成される、親化合物の常套的な非毒性塩または四級アンモニウム塩が含まれる。本発明の医薬上許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、常套的な化学的方法により合成可能である。通常かかる塩は、これら化合物の遊離酸または塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水中または有機溶媒中、もしくはそれらの混合物中において反応させることにより、調製可能である。; 通常、非水性溶媒、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルが好ましい。好適な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418、およびJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)(いずれも引用により全体が本明細書に含まれる)にみられる。
式 Iの化合物は、キラルまたは不斉炭素原子を有しうる (例えば1以上の立体中心を有する); ラセミ体、ジアステレオマー、エナンチオマー、および個々の光学異性体はいずれも、特記なき限り本発明の範囲に包含される。不斉性に置換された炭素原子を含む式 Iの化合物は、光学活性形態またはラセミ形態において単離可能である。光学活性出発物質から光学活性形態を調製する方法は当業界にて知られており、例えばラセミ混合物の分割または立体選択的合成による。オレフィン、C=N二重結合などの幾何異性体が多く本明細書に記載の化合物に存在し、かかる安定な異性体はいずれも本発明の範囲内と見なされる。式 Iの化合物はまた、異性体混合物としても分離された異性体形態としても単離されうる、シスおよびトランス幾何異性体を含みうる。
化合物のラセミ混合物の分割は、当業界にて知られる多くの方法のいずれによっても行うことができる。例示的方法には、光学活性な塩形成有機酸であるキラル分割酸を使用する分別再結晶化が含まれる。分別再結晶法に好適な分割剤は、例えば光学活性な酸、例えばDおよびL型の酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジゼンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、または各種光学活性カンファースルホン酸、例えばβ-カンファースルホン酸である。分別結晶法に好適な他の分割剤には、立体異性的に純粋な形態のN-メチルベンジルアミン (例えばSおよびR型またはジアステレオ異性的に純粋な形態)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン, エフェドリン, N-メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサンなどが含まれる。
ラセミ混合物の分割はまた、光学活性分割剤 (例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン)が充填されたカラムにおける溶出によっても行うことができる。当業者は、好適な溶出溶媒組成物を決定することができる。
式 Iの化合物はまた、互変異性型、例えばケト−エノール互変異性体を含む。互変異性型は、平衡状態にも、あるいは適切な置換により一方の形態に立体的に固定された状態にもなりうる。
一部の式 Iの化合物は、非溶媒和物型でも、溶媒和物型(水和物型を含む)でも存在しうる。一般的に、溶媒和物型は非溶媒和物型と同等であり、本発明の範囲内に含まれる。ある種の本発明の化合物は、多様な結晶形または無定形で存在しうる。一般に、いずれの物理的形態も本発明の使用にとって同等であり、本発明の範囲内である。式 Iの化合物はさらに、無水型および非溶媒和物型を含む。
式 Iの化合物はまた、中間体または最終化合物に生じるあらゆる原子の同位体を含む。同位体には、同じ原子番号を有するが質量数の異なる原子が含まれる。例えば、水素の同位体には、トリチウムおよびジュウテリウムが含まれる。
塩形態に加えて、本発明はまた、式 Iの化合物のプロドラッグを含む。本明細書において、用語「プロドラッグ」は、患者に投与されたときに活性な親薬物を放出する共有結合性担体を意味する。プロドラッグは、修飾がルーチン的操作により、またはインビボで切断されて親化合物となるように、化合物に存在する官能基を修飾することにより調製可能である。プロドラッグには、ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基が患者に投与されたときに切断されてそれぞれ遊離のヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリル、またはカルボキシル基を形成する基と結合している化合物が含まれる。プロドラッグの例には、限定はされないが、本発明の化合物中のアルコールおよびアミン官能基のアセタート、ホルマート、およびベンゾアート誘導体が含まれる。プロドラッグの調製および使用は、T. Higuchi and V. Stella, ”Pro-drugs as Novel Delivery Systems,” Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、およびBioreversible carriersin Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987(いずれも引用により全体として本明細書に含まれる)に議論される。さらに、プロドラッグは、エクスビボ環境において化学的または生化学的方法によって本発明の化合物に変換可能である。例えば、プロドラッグは、経皮パッチリザーバーに適した酵素または化学試薬とともに置かれたとき、式 Iの化合物にゆっくりと変換される。
式 I のMPIは、米国特許出願第2004/0259896号(引用により全体が本明細書に含まれる)の式 I およびIIの化合物について要約されるように合成可能である。本発明の式 Iの化合物はまた、有機合成の当業者に知られる様々な方法によって、また当業者に理解されるかかる方法の変法によって、調製可能である。
本明細書において、用語「ホルモン療法」は、各種癌の患者において癌性細胞の増殖および/または生存に対するクラス X ホルモンの効果を阻害または相殺する方法を意味する。本明細書において、用語「クラス X ホルモン」は、クラス X ホルモンレセプターに結合し、それを活性化するホルモンを意味する。本明細書において、用語「クラス X ホルモン」はまた、癌細胞増殖および/または生存の調節に寄与しうるホルモンを意味する。本明細書において、用語「クラス X ホルモンレセプター」は、癌細胞増殖および/または生存の調節に寄与しうるレセプターを意味する。クラス X ホルモンには、限定はされないが、エストロゲンおよびアンドロゲンが含まれる。かかるクラス X ホルモンレセプターには、限定はされないが、エストロゲンまたはアンドロゲンレセプターが含まれる。本明細書におけるエストロゲンまたはアンドロゲンレセプターへの言及はいずれも、全てのエストロゲンおよびアンドロゲンレセプターを包含する意味である。かかるエストロゲンには、限定はされないが、エストラジオールおよびエストロンが含まれる。かかるアンドロゲンには、限定はされないが、テストステロンおよびジヒドロキシテストステロンが含まれる。本発明において有用なホルモン療法は、癌のタイプ、症状、および進行に依存して、1つのタイプのクラス X ホルモンのみを標的とするよう選択してもよく、あるいはいくつかのタイプのクラス X ホルモンを同時に標的とするよう選択してもよい。
本明細書において、「ホルモン療法」はまた、クラス X ホルモンの産生を直接的または間接的に阻害または除去するための方法を意味する。かかる方法には、クラス X ホルモンの産生に寄与する臓器または腺の全てまたは一部を除去する外科的方法が含まれる。かかる臓器および腺には、卵巣、精巣、副腎、および脳下垂体が含まれる。したがって、ある態様において、ホルモン療法は、卵巣摘出術 (卵巣の除去)、精巣摘出術 (精巣の除去) 、副腎摘出術 (副腎の除去) 、および下垂体切除術 (下垂体の除去)が含まれる。本発明のホルモン療法には、両側精巣摘出術(各精巣の全体が除去される)、および被膜下(subcapsular)精巣摘出術(各精巣の内容物が除去され、精巣の外殻がその場に残る)の両方が含まれる。
本発明のホルモン療法にはまた、クラス X ホルモンの産生を阻害または除去するのに十分な量の放射線照射が患者の臓器または腺になされる、放射線療法が含まれる。例えば、女性患者の卵巣または男性患者の精巣に、それぞれエストロゲンまたはアンドロゲン化合物の産生を阻害または除去するために放射線照射がなされうる。
他の有用なホルモン療法には、治療上有効量のホルモン療法薬の投与が含まれる。本明細書において、用語「ホルモン療法薬」は、各種癌の患者において癌性細胞の増殖および/または生存に対するクラス X ホルモンの効果を阻害または相殺する化合物または物質を意味する。本明細書において、用語「ホルモン療法薬」はまた、クラス X ホルモンの産生を直接的または間接的に阻害または除去する化合物または物質を意味する。本明細書において、用語「化合物」は、あらゆる有機または無機の小分子を意味する。本明細書において、用語「物質」は、ペプチド、ポリマー、タンパク質、抗体、酵素などを意味する。
選択される特定のタイプのホルモン療法は、癌のタイプを含む様々な因子に依存する。例えば、乳癌のためのホルモン療法は癌細胞の増殖に対するエストロゲンの効果を阻害または相殺することを目的としうるが、一方前立腺癌のためのホルモン療法は癌細胞の増殖に対するアンドロゲンの効果を阻害または相殺することを目的としうる。癌のタイプに加えて、当業者は、癌細胞に発現するレセプターのタイプなど様々な他の因子に基づき同様に適切なホルモン療法を選択する。したがって、エストロゲンレセプターを発現する癌は、エストロゲンクラス X ホルモンを標的とするホルモン療法に最も良好に応答すると思われる。本発明において、それゆえ、ホルモン療法は、1つのタイプのクラス X ホルモンのみ (例えば乳癌についてエストロゲンまたは前立腺癌についてアンドロゲン)の効果を阻害または相殺するよう選択してもよい。そのような場合、ホルモン療法は、他の非標的クラス X ホルモンの投与を含みうる。例えば、前立腺癌の処置を必要とする患者にエストロゲンが処置されうるし、あるいは乳癌の処置を必要とする患者にアンドロゲンが処置されうる。あるいは、ホルモン療法は、いくつかの異なるタイプのクラス X ホルモンの効果を一度に標的とするよう選択してもよい。例えば、乳癌または前立腺癌の処置を必要とする患者が、病理の進行および症状に依存して、アンドロゲンとエストロゲンの両方を標的とするホルモン療法をうけうる。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのホルモン療法薬を投与することを含む。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に以下から選択される治療上有効量の少なくとも1つの化合物を投与することを含む:選択的エストロゲンレセプターモジュレーター、エストロゲンレセプターダウンレギュレーター、アロマターゼ阻害薬、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、プロゲステロン作用薬、副腎皮質ステロイド、ソマトスタチンアナログ、エストロゲン、アンドロゲン、抗エストロゲン薬、アンドロゲンレセプター遮断薬、抗アンドロゲン薬、5-αレダクターゼ阻害薬、副腎産生阻害薬、および他のホルモン療法薬。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの選択的エストロゲンレセプターモジュレーターを投与することを含む。本明細書において、用語「選択的エストロゲンレセプターモジュレーター」は、エストロゲンレセプターに結合し、その機能を部分的に遮断する化合物または物質を意味する(Schiff & Osborne, Breast Cancer Res. 7, 205-211 (2005))。ある態様において、選択的エストロゲンレセプターモジュレーターは、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン(keoxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、CC-8490、またはブラックコホシュである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのエストロゲンレセプターダウンレギュレーターを投与することを含む。本明細書において、用語「エストロゲンレセプターダウンレギュレーター」は、エストロゲンレセプターを、レセプターへ結合しアンタゴニストとして作用することより、レセプターを変形することにより、またはレセプターを破壊することにより、ダウンレギュレートする化合物または物質を意味する。ある態様において、エストロゲンレセプターダウンレギュレーターは、フルベストラントである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのアロマターゼ阻害薬を投与することを含む。本明細書において、用語「アロマターゼ阻害薬」は、末梢組織におけるアンドロゲンのエストロゲンへの変換を阻害する化合物または物質を意味する。ある態様において、アロマターゼ阻害薬は、アナストロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、アミノグルテチミド、ホルメスタン、テストラクトン、ファドロゾール、またはレトロゾールである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログを投与することを含む。本明細書において、用語「黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ」は、性腺刺激ホルモン分泌細胞におけるレセプターに結合し、それにより黄体形成ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンの放出を遮断し、結果としてエストロゲン、テストステロン、およびプロゲステロンの産生を阻害する、黄体形成ホルモン放出ホルモンのアナログを意味する。黄体形成ホルモン放出ホルモン (ゴナドトロピン放出ホルモンとしても知られる) は、視床下部ニューロンで合成され分泌されるペプチドである。このペプチドは性腺刺激ホルモン分泌細胞上のレセプターに結合し、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの産生を刺激する。これら2つのホルモンは、エストロゲン、テストステロン、およびプロゲステロンの産生を刺激しうる。黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログは、性腺刺激ホルモン分泌細胞のレセプターに黄体形成ホルモン放出ホルモンと同様の様式で結合し、アゴニスト活性を示す。黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログは、はじめは黄体形成ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンの産生を刺激するが、次第これらホルモンの放出を遮断し、それによりエストロゲン、テストステロンまたはプロゲステロンの量を減少させる。ある態様において、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログは、ブセレリン、デスロレリン、リュープロリド、リュープロリドアセタート、ゴセレリン、ナファレリン、ゴセレリンアセタート、トリプトレリンアセタート、ヒストレリン、またはトリプトレリンである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストを投与することを含む。本明細書において、用語「ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト」は、性腺刺激ホルモン分泌細胞におけるレセプターに結合し、アンタゴニスト活性を示し、それにより黄体形成ホルモンおよび卵胞刺激ホルモンの産生を阻害または除去し、結果としてエストロゲン、テストステロン、およびプロゲステロンの産生を阻害する化合物または物質を意味する。ある態様において、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニストは、アンタレリクス(antarelix)、セトロレリクス、デガレリクス、またはアバレリクスである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのプロゲステロン作用薬を投与することを含む。本明細書において、用語「プロゲステロン作用薬」は、プロゲスターゲンおよびプロゲスチンを意味する。特定の理論に拘束はされないが、プロゲステロン作用薬は、ある種のクラス X レセプター、例えばエストロゲンレセプターをダウンレギュレートすることにより機能するか、あるいはエストロゲンおよびアンドロゲンの効果を抑制するようである。ある態様において、プロゲステロン作用薬は以下である:アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、アナゲストン(anagestone)アセタート、クロルマジノンアセタート、シプロテロン、シプロテロンアセタート、デソゲストレル、ジヒドロゲステロン(dihydrogesterone)、ジメチステロン、エチステロン、エチノジオールジアセタート、フルロゲストンアセタート、ゲストデン、ヒドロキシプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロンアセタート、ヒドロキシプロゲステロン カプロアート、ヒドロキシメチルプロゲステロン、ヒドロキシメチルプロゲステロンアセタート、3-ケトデソゲストレル、レボノルゲストレル、リネストレノール、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロンアセタート、メゲストロール、メゲストロールアセタート、メレンゲストロールアセタート、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセタート、ノルエチステロン、ノルエチステロンアセタート、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン、ノルメチステロン、プロゲステロン、ジエノゲスト、ドロスピレノン、ノメゲストロールアセタート、ヒドロキシプロゲステロン、またはトリメゲストン(trimegestone)。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの副腎皮質ステロイドを投与することを含む。いずれかの理論に拘束はされないが、副腎皮質ステロイドは、副腎皮質によるエストロゲン産生を抑制するようである。ある態様において、副腎皮質ステロイドは、デキサタゾン(dexathasone)、プレドニゾン、またはメチルプレドニゾンである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのソマトスタチンアナログを投与することを含む。本明細書において、用語「ソマトスタチンアナログ」は、黄体形成ホルモンの分泌を抑制し、結果としてクラス X ホルモンの産生を阻害しうる、ソマトスタチンに類似する化合物または物質を意味する。さらに、ソマトスタチンレセプターは、リンパ腫、乳癌、および小細胞肺癌などの多くのタイプの癌に高頻度に発現している。ある態様において、ソマトスタチンアナログは、オクトレオチドまたはランレオチドである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのエストロゲンを投与することを含む。ある態様において、エストロゲンは、アンドロゲン分泌を阻害しうるので、アンドロゲン感受性の増殖を示す癌の処置に使用可能である。ある態様において、エストロゲンは以下である:エストラジオール、エストラジオールベンゾアート、エストラジオールバレラート、エストラジオールシピオナート、エストラジオールヘプタノアート、エストラジオールデカノアート、エストラジオールアセタート、エストラジオールジアセタート、17α-エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール 3-アセタート、エチニルエストラジオール 3-ベンゾアート、エチニルエストラジオール、エストリオール、エストリオール スクシナート、ポリエストロールホスファート(polyestrol phosphate)、エストロン、エストロンアセタート、エストロンスルファート、ピペラジンエストロンスルファート、キネストロール、メストラノール、結合型ウマエストロゲン、ジエチルスチルベストロール、またはそれらの他の医薬上許容されるエステルまたはエーテル。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのアンドロゲンを投与することを含む。ある態様において、アンドロゲンは、エストロゲン分泌を阻害しうるので、エストロゲン感受性の増殖を示す癌の処置に使用可能である。ある態様において、アンドロゲンは以下である:アンドロステロン、アンドロステロンアセタート、アンドロステロンプロピオナート、アンドロステロンベンゾアート、アンドロステンジオール、アンドロステンジオール-3-アセタート、アンドロステンジオール-17-アセタート、アンドロステンジオール-3,17-ジアセタート、アンドロステンジオール-17-ベンゾアート、アンドロステンジオール-3-アセタート-17-ベンゾアート、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロン、ナトリウムデヒドロエピアンドロステロンスルファート、4-ジヒドロテストステロン、5α-ジヒドロテストステロン、ドロモスタノロン、ドロモスタノロンプロピオナート、エチルエストレノール、ナンドロロンフェンプロピオナート、ナンドロロンデカノアート、ナンドロロンフリルプロピオナート、ナンドロロンシクロヘキサンプロピオナート、ナンドロロンベンゾアート、ナンドロロンシクロヘキサンカルボキシラート、オキサンドロロン、スタノゾロール、テストステロン、テストラクトン、カルステロン、フルオキシメステロン、またはテストステロンおよび4-ジヒドロテストステロンの医薬上許容されるエステル。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの抗エストロゲン薬を投与することを含む。本明細書において、抗エストロゲン薬は、癌細胞増殖および/または生存に対するエストロゲンの効果を阻害または相殺する化合物または物質、あるいは直接的または間接的にエストロゲンの産生を阻害または除去する化合物または物質を意味する。つまり、本明細書において、用語「抗エストロゲン薬」は、本明細書に示す多くの他のタイプのホルモン療法薬を包含する。例えば、抗エストロゲン薬は、限定はされないが、以下を含む:選択的エストロゲンレセプターモジュレーター、アロマターゼ阻害薬、黄体形成ホルモン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、ソマトスタチンアナログ、およびアンドロゲン。本明細書において、用語「抗エストロゲン薬」はまた、本明細書に列挙されていないが当業界において現在当業者に知られる、または将来知られるであろう、癌細胞増殖および/または生存に対するエストロゲンの効果を阻害または相殺しうる、あるいは直接的または間接的にエストロゲンの産生を阻害または除去しうる、他のタイプのホルモン療法薬を含む。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つのアンドロゲンレセプター遮断薬を投与することを含む。本明細書において、用語「アンドロゲンレセプター遮断薬」は、アンドロゲンレセプターに結合し、癌細胞増殖および/または生存を調節するアンドロゲンの能力を妨げる化合物または物質を意味する。ある態様において、アンドロゲンレセプター遮断薬は、アンドロゲンレセプターに結合し、細胞増殖および/または生存を調節するテストステロンまたはジヒドロキシテストステロンの能力を妨げる化合物および物質を意味する。ある態様において、アンドロゲンレセプター遮断薬は、ビカルタミド、シプロテロン、シプロテロンアセタート、フルタミド、またはニルタミドである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの抗アンドロゲン薬を投与することを含む。本明細書において、用語「抗アンドロゲン薬」は、癌細胞増殖および/または生存に対するアンドロゲンの効果を阻害または相殺する化合物または物質、あるいはアンドロゲンの産生を阻害または除去する化合物または物質を意味する。つまり、本明細書において、用語「抗アンドロゲン薬」は、本明細書に示す多くの他のタイプのホルモン療法薬を包含する。例えば、抗アンドロゲン薬は、限定はされないが、以下を含む:アンドロゲンレセプター遮断薬、黄体形成ホルモン放出ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモンアンタゴニスト、ソマトスタチンアナログ、4-αレダクターゼ阻害薬、副腎産生阻害薬、およびエストロゲン。本明細書において、用語「抗アンドロゲン薬」はまた、明細書に列挙されていないが当業界において現在当業者に知られる、または将来知られるであろう、癌細胞増殖および/または生存に対するアンドロゲンの効果を阻害または相殺しうる、あるいは直接的または間接的にアンドロゲンの産生を阻害または除去しうる、タイプのホルモン療法薬を含む。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの5-αレダクターゼ阻害薬を投与することを含む。本明細書において、用語「5-αレダクターゼ阻害薬」は、テストステロンのジヒドロキシテストステロンへの変換に重要な酵素である 5-αレダクターゼを阻害する化合物または物質を意味する。ジヒドロキシテストステロンは、ある種のアンドロゲンレセプターに結合できる。ある態様において、5-αレダクターゼ阻害薬は、フィナステリドまたはデュタステリドである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの副腎産生阻害薬を投与することを含む。本明細書において、用語「副腎産生阻害薬」は、副腎の機能を阻害する化合物または物質を意味する。ある態様において、副腎産生阻害薬は、副腎によるアンドロゲンの産生を阻害または除去する。約10 %の循環アンドロゲンが副腎で産生される。ある態様において、副腎産生阻害薬は、ケトコナゾール、ミトタン、またはメチラポンである。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量の少なくとも1つの他のホルモン療法薬を投与することを含む。本明細書において、用語「他のホルモン療法薬」は、本明細書に具体的に記載されていないが、癌細胞の増殖および/または生存に対するクラス X ホルモンの効果を阻害または相殺する、あるいはクラス X ホルモンの産生を阻害または除去する、あらゆるホルモン療法薬を意味する。
本発明のホルモン療法薬は、その医薬上許容される塩、プロドラッグ、水和物、無定形、および溶媒和物を含む。
ある態様において、ホルモン療法は、患者の臓器または腺に治療上有効量の放射線照射を施すことを含む。
ある態様において、ホルモン療法は、患者の卵巣または精巣に治療上有効量の放射線照射を施すことを含む。
ある態様において、ホルモン療法は、卵巣摘出術、精巣摘出術, 副腎摘出術、または下垂体切除術を含む。
ある態様において、ホルモン療法薬は、抗アンドロゲン薬であるが、アンドロゲンレセプター遮断薬ではない。
ある態様において、ホルモン療法薬は、抗アンドロゲン薬であるが、ビカルタミドではない。
ある態様において、ホルモン療法薬は、アンドロゲンレセプター遮断薬であるが、ビカルタミドではない。
ある態様において、ホルモン療法薬は、抗エストロゲン薬であるが、選択的エストロゲンレセプターモジュレーターではない。
ある態様において、ホルモン療法薬は、抗エストロゲン薬であるが、タモキシフェンではない。
ある態様において、ホルモン療法薬は、選択的エストロゲンレセプターモジュレーターであるが、タモキシフェンではない。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量のホルモン療法薬を投与することを含み、ここで前記ホルモン療法薬はタモキシフェンではない。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量のホルモン療法薬を投与することを含み、ここで前記ホルモン療法薬は選択的エストロゲンレセプターモジュレーターではない。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量のホルモン療法薬を投与することを含み、ここで前記ホルモン療法薬はビカルタミドではない。
ある態様において、ホルモン療法は、患者に治療上有効量のホルモン療法薬を投与することを含み、ここで前記ホルモン療法薬はアンドロゲンレセプター遮断薬ではない。
ある態様において、癌を処置する方法はさらに、患者にEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を投与することを含む。本明細書において、用語「チロシンキナーゼ」は、タンパク質のチロシン残基のリン酸化を触媒する酵素を意味する。本明細書において、用語「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬」は、EGFRチロシンキナーゼの触媒活性を阻害する化合物または物質を意味する。EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の例は、ゲフィチニブおよびエルロチニブである。
ある態様において、癌を処置する方法はさらに、患者に抗体を投与することを含む。ある態様において、癌を処置する方法はさらに、患者に抗HER-2抗体、抗EGFR抗体、または抗VEGF抗体を投与することを含む。ある態様において、抗体はトラスツズマブである。本明細書において、用語「抗体」には、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、および組換え抗体が含まれる。本明細書において、用語「抗HER-2抗体」は、HER-2の活性を阻害する抗体を意味する。本明細書において、用語「抗VEGF抗体」は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の活性を阻害する抗体を意味する。本明細書において、用語「抗EGFR抗体」は、EGFRの活性を阻害する抗体を意味する。抗HER-2抗体の例には、限定はされないが、トラスツズマブ (HerceptinTM) 、2C4、4D5、HER-50、HER-66、HER-70 (GenentechまたはUT Southwestern Medical Schoolより入手可能) などが含まれる。抗EGFR抗体の例には、限定はされないが、IMC-C225 (Imclone)、ABX-EGF (Abgenix)などが含まれる。
ある態様において、癌を処置する方法はさらに、患者に化学療法薬を投与することを含む。本明細書において、用語「化学療法薬」は、癌の処置に使用可能なあらゆる化合物または物質を意味する。
好適な化学療法薬には、例えば、以下が含まれる:アルキル化薬 (限定はされないが、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホナート、ニトロソ尿素およびトリアゼンを含む)、例えば、ウラシルマスタード、クロルメチン、シクロホスファミド (CytoxanTM)、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレン-メラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、およびテモゾロミド。
好適な化学療法薬にはまた、例えば、以下が含まれる:代謝拮抗薬 (限定はされないが、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、およびアデノシンデアミナーゼ阻害薬が含まれる)、例えば、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタビン。
好適な化学療法薬にはさらに、例えば、以下が含まれる:ある種の天然産物およびその誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカインおよびエピポドフィロトキシン) 、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、アラ-C、パクリタキセル (TaxolTM)、ミトラマイシン、デオキシコ−ホルマイシン(deoxyco-formycin)、マイトマイシン-C、L-アスパラギナーゼ、インターフェロン (特にIFN-a)、エトポシド、およびテニポシド。
他の好適な化学療法薬には、以下が含まれる:細胞毒性物質、例えば、エピドフィロトキシン(epidophyllotoxin); 抗腫瘍性酵素; トポイソメラーゼ阻害薬; プロカルバジン; ミトキサントロン; 白金配位複合体、例えばシスプラチンおよびカルボプラスチン; 生物学的応答調節物質; 増殖阻害薬; ロイコボリン; テガフール; および造血細胞増殖因子。
微小管作用薬(microtubule affecting agent)は、細胞の有糸分裂を妨げ、その細胞毒性活性が当業界にて周知である。化学療法薬として好適な微小管作用薬には、限定はされないが、以下が含まれる:アロコルヒチン(allocolchicine) (NSC 406042)、ハリコンドリン(Halichondrin) B (NSC 609395)、コルヒチン (NSC 757)、コルヒチン誘導体 (例えば、 NSC 33410)、ドラスタチン 10 (NSC 376128)、マイタンシン (NSC 153858)、リゾキシン(rhizoxin) (NSC 332598)、パクリタキセル (TaxolTM、NSC 125973)、TaxolTM 誘導体 (例えば、誘導体NSC 608832)、チオコルヒチン NSC 361792)、トリチルシステイン (NSC 83265)、ビンブラスチンスルファート (NSC 49842)、ビンクリスチンスルファート (NSC 67574)、天然および合成のエポシロン、例えば限定はされないがエポシロン A、エポシロン B、およびディスコデルモライド(discodermolide )(Service, 1996、Science 274:2009参照) 、エストラムスチン、ノコダゾール、MAP4、など。かかる物質の例はまた、例えば以下の科学論文および特許文献に記載される: Bulinski,1997, J. Cell Sci. 110:3055-3064; Panda, 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:10560-10564; Muhlradt, 1997, Cancer Res. 57:3344-3346; Nicolaou, 1997, Nature 387:268-272; Vasquez, 1997, Mol. Biol. Cell. 8:973-985; Panda, 1996, J. Biol. Chem 271:29807-29812。
本明細書で用いる用語「パクリタキセル」は、TaxolTM (NSC 番号: 125973)として市販される薬物を意味する。TaxolTM は、チューブリン部分が重合して有糸分裂のための適切な構造に再構成できない安定化された微小管の束となることを増強することによって、真核細胞の複製を阻害する。多くの利用可能な化学療法薬のうち、パクリタキセルは、卵巣腫瘍および乳腺腫瘍などの薬物不応性腫瘍に対する臨床試験におけるその効力から関心を集めている (Hawkins (1992) Oncology, 6: 17-23, Horwitz, 1992, Trends Pharmacol. Sci. 13: 134-146, Rowinsky, 1990, J. Natl. Canc. Inst. 82:1247-1259)。
さらなる化学療法薬の例は、パクリタキセル様活性を有する化合物である。これらには、限定はされないが、パクリタキセルおよびパクリタキセル誘導体 (パクリタキセル様化合物) およびアナログが含まれる。パクリタキセルおよびその誘導体は市販されている。さらに、パクリタキセルおよびパクリタキセル誘導体およびアナログの製造方法は当業者に周知である (例えば以下を参照:米国特許第5569729号; 第5565478号; 第5530020号; 第5527924号; 第5508447号; 第5489589号; 第5488116号; 第5484809号; 第5478854号; 第5478736号; 第5475120号; 第5468769号; 第5461169号; 第5440057号; 第5422364号; 第5411984号; 第5405972号; および第5296506号)。
さらなる化学療法薬は、以下である:ドセタキセル (TaxotereTMとして知られる)、7-O-メチルチオメチルパクリタキセル (米国特許第5646176号に開示)、4-デスアセチル-4-メチルカルボナートパクリタキセル、3’-tert-ブチル-3’-N-tert-ブチルオキシカルボニル-4-デアセチル-3’-デフェニル-3’-N-デベンゾイル-4-O-メトキシカルボニル-パクリタキセル (米国特許第6537988号に開示)、C-4 メチルカルボナートパクリタキセル (WO 94/14787に開示)、エポシロン A、エポシロン B、エポシロン C、エポシロン D、デスオキシエポシロン A、デスオキシエポシロン B、[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-7-11-ジヒドロキシ-8,8,10,12,16-ペンタメチル-3-[1-メチル-2-(2-メチル-4-チアゾリル)エテニル]-4-アザ-17 オキサビシクロ [14.1.0]ヘプタデカン-5,9-ジオン (WO 99/02514に開示)、[1S-[1R*,3R*(E),7R*,10S*,11R*,12R*,16S*]]-3-[2-[2-(アミノメチル)-4-チアゾリル]-1-メチルエテニル]-7,11-ジヒドロキシ-8,8,10,12,16-ペンタメチル-4-17-ジオキサビシクロ[14.1.0]-ヘプタデカン-5,9-ジオン (米国特許第6262094号および第6537988号に開示)、およびその誘導体; および微小管崩壊薬(microtubule-disruptor agent)。
これらの化学療法薬のほとんどについて安全かつ効果的な投与方法が当業者に知られている。さらに、それらの投与は標準的文献に記載されている。例えば、その化学療法薬の多くの投与について「Physicians’ Desk Reference」 (PDR、例えば、1996版、Medical Economics Company、Montvale、NJ)(その開示は引用により全体が本明細書に含まれる)。
本発明はさらに、腫瘍細胞死、プログラム細胞死 (例えばアポトーシス) その他を患者において誘導する方法であって、それを必要とする患者をホルモン療法で処置すること、および該患者に治療上有効量の少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を投与することを含む方法を提供する。
本発明はさらに、患者における腫瘍の増殖を阻害する方法であって、患者をホルモン療法で処置すること、および前記患者に治療上有効量の少なくとも1つのMPIを投与することによる方法を提供する。
本発明はまた、患者のホルモン療法に対する抵抗性を低下させる方法であって、患者をホルモン療法で処置すること、および前記患者に治療上有効量の少なくとも1つのMPIを投与することによる方法を提供する。
本発明はまた、ホルモン抵抗性状態の発症を阻害する方法であって、患者をホルモン療法で処置すること、および前記患者に治療上有効量の少なくとも1つのMPIを投与することによる方法を提供する。
本発明はまた、腫瘍細胞増殖を阻害する方法であって、患者をホルモン療法で処置すること、および前記患者に治療上有効量の少なくとも1つのMPIを投与することによる方法を提供する。
本発明はまた、癌の転移を阻害する方法であって、患者をホルモン療法で処置すること、および前記患者に治療上有効量の少なくとも1つのMPIを投与することによる方法を提供する。
本発明はまた、処置中断後の腫瘍細胞増殖における静止状態を誘導する方法であって、一定期間、患者をホルモン療法で処置し、かつ治療上有効量の少なくとも1つのMPIを投与し、その後ホルモン療法およびMPIの一方または両方による処置をやめることを含む方法を提供する。処置期間は治療効果を有するのに十分であればいずれの期間であってもよい。
本明細書に記載の方法により処置可能な癌の非限定的な例には、以下が含まれる:急性骨髄性リンパ腫、副腎癌、骨癌、脳癌、脳癌、 乳癌、気管支癌、子宮頸癌、絨毛癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、大腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、卵管癌、胃腸癌、グリオーマ、ヘアリーセル白血病、肝細胞癌、ホジキン病、肝内胆管癌、関節癌、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌、リンパ芽球性白血病、リンパ腫、悪性中皮腫、髄芽腫、中耳癌、多発性骨髄腫、骨髄腫、鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、鼻癌、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、腹膜癌、下垂体癌、前立腺癌、腎癌、皮膚 癌、軟組織肉腫、胃癌、甲状腺癌、膀胱癌、子宮癌、膣癌、精巣癌、およびウィルムス腫瘍。ある態様において、処置される癌は、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、大腸癌、子宮内膜癌、副腎癌、または非小細胞肺癌である。ある態様において、癌は乳癌または前立腺癌である。ある態様において、癌は前立腺癌である。ある態様において、癌は乳癌である。
本明細書において、用語「患者」は、哺乳類を含むあらゆる動物を意味し、好ましくは、癌または類似の疾患の処置を必要とする、マウス、ラット、その他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒトである。ある態様において、患者はヒトである。ある態様において、患者はメスであり、前記癌は乳癌である。
本明細書の方法において、前記ホルモン療法は、外科的治療、例えば卵巣摘出術、精巣摘出術、副腎摘出術、または下垂体切除術、患者の臓器または腺に治療上有効量の放射線を照射する放射線療法、または治療上有効量の少なくとも1つのホルモン療法薬の投与でありうる。前記ホルモン療法が外科的治療を含む場合、本明細書の方法のMPIは、患者への外科的方法の適用と同時または実質的に同時に投与してもよい。MPIはまた、患者への外科的方法の適用前または適用後に投与してもよい。
ホルモン療法が放射線療法を含む場合、MPIは、放射線療法と同時、実質的に同時に、または連続して、投与してもよい。
ホルモン療法が少なくとも1つのホルモン療法薬の投与を含む場合、前記ホルモン療法薬は、単一の投与形態(例えば本発明の医薬組成物)においてMPIと同時に投与することでき、あるいはホルモン療法薬とMPIを別個の投与形態として同時に、実質的に同時に、または連続して、投与することができる。
ある態様において、癌を処置する方法はさらに、さらなる治療物質を投与することを含む。本明細書において、用語「さらなる治療物質」は、ホルモン療法およびMPIに加えて投与される、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬、抗体、抗HER-2抗体、抗EGFR抗体、抗VEGF抗体、または化学療法薬を意味する。ホルモン療法が外科的治療を含む場合、さらなる治療物質は、それを必要とする患者に前記患者への外科的治療の適用と同時または実質的に同時に投与すればよい。さらなる治療物質は、患者への外科的治療の適用前または適用後に投与してもよい。ホルモン療法が放射線照射を含む場合、さらなる治療物質、放射線照射、およびMPIは、同時に、実質的に同時に、または連続して投与されうる。ホルモン療法が少なくとも1つのホルモン療法薬の投与を含む場合、ホルモン療法薬、MPI、およびさらなる治療物質は、単一の投与形態において同時に投与することができ、あるいは、ホルモン療法薬、MPIおよびさらなる治療物質は、別個の投与形態として、同時に、実質的に同時に、または連続して投与することができる。
さらなる治療物質をさらに含むいずれの処置方法においても、さらなる治療物質とMPIは、単一の投与形態 (例えば本発明の医薬組成物)において同時に投与してもよく、あるいは別個の投与形態として同時に、実質的に同時に、または連続して投与することができる。
本明細書に記載の方法はいずれもまた、MPI、ホルモン療法、またはさらなる治療物質による処置が一定期間中断され、その後再開される投与計画を含む。この中断は、処置期間中1回または数回起こりうる。
本明細書において、句「治療上有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家が求める組織、系、動物、個体またはヒトにおいて生物学または医学的応答を誘発する活性化合物 (例えばMPI、ホルモン療法薬)の量または放射線照射の出力または強度を意味し、以下の1以上が含まれる:
(1) 癌疾患を予防する; 例えば、癌の素因のある可能性があるが、いまだ癌の病理または兆候を経験または提示していない個体において癌を予防する;
(2) 癌疾患を阻害する; 例えば、癌の病理または兆候を経験または提示する個体において癌を阻害する(すなわち、その病理および/または兆候のさらなる進展を抑止する); および
(3) 癌疾患を寛解させる; 例えば、癌の病理または兆候を経験または提示する個体において疾患、症状、または障害を寛解させる(すなわち、病理および/または兆候を逆転させる)。
患者にとっての正確な治療上有効量は、患者サイズおよび健康、症状の性質および程度、並びに投与用に選択された治療薬または治療薬の組合せに依存する。しかしながら、所定の状況にとっての有効量は、ルーチン的な実験により決定され、臨床家の判断の範囲内である。
本明細書に記載の活性成分は、経口、直腸内、経皮、皮下、静脈内 (ボーラスまたは注射) 、筋肉内、腹腔内、および鼻腔内形態などの様々な経路で投与することができ、また医薬業界で周知の方法により調製可能である。本明細書において、用語「活性成分」は、MPI、ホルモン療法薬、またはさらなる治療物質、あるいはそれらの組合せを意味する。経口投与経路には、限定はされないが、錠剤、カプセル(いずれの徐放製剤または持続放出製剤を含む) 、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ、懸濁液、シロップ、およびエマルジョンが含まれる。活性成分 (MPI、ホルモン療法薬および/またはさらなる治療物質) は、単独で投与可能であるが、通常選択した投与経路および標準的薬務に基づき選択された医薬上許容される担体とともに投与される。
通常、示した効果のため使用される場合、各活性成分の1日投与量は、約0.0001〜1000 mg/kg(体重)/日の範囲である。ある態様において、各活性成分の1日投与量は、約 0.01〜約 100 mg/kg (体重)/日である。ある態様において、各活性成分の1日投与量は、約 0.1〜約 100 mg /kg (体重)/日である。ある態様において、各活性成分の1日静脈内投与量は、定速注入中、約 0.1〜約 10 mg/kg/分 である。
ある態様において、活性成分は、兆候により投与量が調節され、約 1〜約 1000 mgの各活性成分、またはより具体的には、約 1、約 10、約 50、約 100、約 200、約 500、および約 1000 mgの各活性成分を含む経口投与形態にて処置される患者に投与される。活性成分は、1〜4回/日、好ましくは1または2回/日の投与計画で投与されうる。
活性成分はまた、好適な鼻腔内ビヒクルの局所使用により鼻腔内形態にて、または経皮パッチを使用する経皮経路により、投与可能である。経皮送達系の形態にて投与される場合、その特定の成分の投与は無論、投与計画中を通して間欠的というよりは連続的である。
医薬組成物中の活性成分の比率および濃度は、投与量、化学的性質 (例えば、疎水性)、および投与経路のような多数の因子によって変動しうる。例えば、本発明の化合物は、非経口投与のため、その化合物を約 0.1〜約 10% w/v含む生理的緩衝水溶液において提供されうる。典型的な範囲は、約 1μg/kg〜約 1 g/kg(体重)/日である。ある態様において、投与量範囲は、約 0.01 mg/kg(体重)/日〜約 100 mg/kg(体重)/日である。投与量はおそらく、疾患または障害のタイプおよび進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択した化合物の相対的生物学的有効性、賦形剤の剤形、およびその投与経路といった可変条件に依存するであろう。有効投与量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得た用量反応曲線から外挿することができる。
活性成分を医薬組成物として製剤する場合、活性成分は、典型的には賦形剤と混合され、賦形剤により希釈され、または例えば、カプセル、小袋、紙、またはその他の容器のような形態にてかかる担体に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合は、それは活性成分のビヒクル、担体または媒体として作用する、固体、半固体、または液体物質であってよい。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤、小袋、エリキシル剤、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル(固体として、または液体媒体中)、例えば10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟および硬ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌注射可能溶液および滅菌充填散剤の形態でありうる。活性成分はまた、当業界にて既知の方法を用いて患者に投与された後、活性成分が即時、徐放、または遅延放出されるように製剤されてもよい。
製剤の調製において、活性成分は、医薬上許容される担体および他の賦形剤と混合される前に粉砕されて適当な粒径とされうる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、粉砕して約200 メッシュ未満の粒径とすればよい。活性化合物が実質的に水溶性の場合、粒径は粉砕によって調整され、製剤中で実質的に均一な分布が提供されるよう、例えば約 40 メッシュとされうる。
活性成分はまた、リポソーム送達系の形態、例えば、小単層小胞、大単層小胞、および多層小胞にて患者に提供されうる。リポソームは、各種リン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンから形成されうる。
活性成分はまた、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合されうる。かかるポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル残基で置換されたポリ-エチレンオキシド-ポリリシンが含まれうる。さらに、活性成分は、以下のような薬物の制御放出の達成に有用なあるクラスの生分解性ポリマーに結合されうる:ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマー。
本発明の医薬組成物および本発明の方法に使用する医薬組成物は、単位投与形態に製剤してもよく、各投与量は約 0.0001〜約 1000 mgの各活性成分を含む。ある態様において、各投与量は約 0.01〜約 100 mgの各活性成分を含む。ある態様において、各投与量は約 0.1〜約 100 mgの各活性成分を含む。用語「単位投与形態」は、ヒト対象およびその他の哺乳類のための単一の投与量として好適な物理的に分離した単位をいい、各単位は、所望の治療効果を与えるよう計算された既定量の活性物質を好適な医薬用賦形剤と組み合わせて含む。
活性成分は広範な投与量範囲で有効でありうるもので、一般に治療上有効量にて投与される。しかし、実際に投与する活性成分の量は、通常医師によって、関連する状況、例えば処置すべき症状、選択した投与経路、実際に投与する化合物の種類、個体患者の年齢、体重および応答、患者の症状の重篤度等にしたがって決定されることを理解されたい。
活性成分を含む医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態でありうる。固体組成物、例えば錠剤を調製するため、主活性成分が医薬用賦形剤と混合され、活性成分の均一混合物を含む固体予備製剤組成物が形成される。この予備製剤組成物が均一という場合、活性成分は典型的には組成物全体に均等に分散しており、その組成物が等しく有効な単位投与形態、例えば錠剤、丸剤およびカプセルに容易に分割される。この固体予備製剤はその後、本発明の活性成分を例えば約 0.0001〜約 1000 mgで含む、前述のタイプの単位投与形態に分割される。
錠剤または丸剤はコートしてもよいし、あるいは、持効性作用の利点を与える投与形態を提供するような配合としてもよい。例えば、錠剤または丸剤は、内側投与成分および外側投与成分を含んでいてもよく、後者は前者の外被の形態を取る。これら2つの成分は腸溶性層により分離されていてもよく、かかる層は、胃での崩壊に耐え、内側成分がそのままの状態で十二指腸を通過することを可能にし、あるいは放出を遅らせることを可能にする。様々な材料をかかる腸溶性層または被覆として使用でき、かかる材料としては、多数の高分子酸および高分子酸とセラック、セチルアルコール、およびセルロースアセテートなどの物質との混合物が挙げられる。
ゼラチンカプセルもまた、投与形態として使用可能であり、活性成分と粉末担体、例えばラクトース、スターチ、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含みうる。同様の希釈剤が、圧縮錠剤の製造にも使用可能である。錠剤とカプセルはいずれも、一定期間にわたる薬物の連続放出を提供する徐放製品として製造可能である。圧縮錠剤は、不快な味をマスクし錠剤を周囲環境から保護するため糖またはフィルムでコートしてもよく、あるいは胃腸管における選択的崩壊のため腸溶コートしてもよい。
経口または注射投与用の前記活性成分の医薬組成物も、同様に調製可能である。本発明の活性成分が導入されうる液体形態としては、水溶液、好適に香味をつけたシロップ、水性または油性懸濁液、および香味をつけた、食用油、例えば、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、またはピーナッツ油による乳濁液およびエリキシル剤および類似の医薬用ビヒクルが挙げられる。
非経口投与用の医薬組成物は、通常、活性成分の水溶性塩、好適な安定化剤、および要すれば緩衝剤を含む。通常、水、好適な油、生理食塩水、水溶性デキストロース (グルコース)、および同類の糖溶液およびグリコール、例えばプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールが、非経口溶液に好適な担体である。抗酸化剤、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸のいずれか単独または組合せが好適な安定化剤である。また、クエン酸およびその塩ならびにEDTAナトリウムも使用される。さらに、非経口溶液は、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン、およびクロロブタノールを含むことができる。好適な医薬用担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company(薬理学分野の標準的参照テキストであり、引用により全体として本明細書に含まれる)に記載される。
吸入またはガス注入のための医薬組成物には、医薬上許容される水性または有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体組成物は、上記のような好適な医薬上許容される賦形剤を含んでいてもよい。ある態様において、組成物は、経口または経鼻呼吸経路により局所または全身作用のために投与される。組成物は不活性ガスの使用により噴霧されてもよい。噴霧される溶液は噴霧装置から直接的に吸ってもよいし、噴霧装置を顔用マスクのテントにつけてもよいし、間欠的陽圧呼吸機器によって吸ってもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、経口または経鼻的に製剤を適当な方法で送達する装置から投与することができる。
医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油または落花生油、であっても、鉱油、例えば液体パラフィン、であっても、またこれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然ゴム、例えばアカシアゴムまたはトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えば大豆、レシチン、および脂肪酸および無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート、および前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートである。エマルジョンはまた、甘味料および香味剤を含んでもよい。
医薬組成物は、常套的な滅菌技術によって滅菌してもよいし、無菌ろ過してもよい。水溶液はそのまま使用するように梱包されてもよいし、凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥調製物は無菌水性担体と投与前に混合される。化合物の調製物のpHは、典型的には3〜11の間であり、より好ましくは5〜9であり、もっとも好ましくは7〜8である。特定の上記賦形剤、担体または安定剤の使用により、医薬塩が形成されるということが理解されるであろう。
局所用途では、活性成分を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液が使用される。本明細書において、局所適用はまた、洗口剤および含嗽剤の使用を含む意味である。
活性成分の投与に有用な代表的医薬投与形態は、以下のように挙げることができる:
カプセル
標準的ツーピース硬ゼラチンカプセルにそれぞれ50 mgの各活性成分(粉末)、100 mgのラクトース、25 mgのセルロース、および3 mgのステアリン酸マグネシウムを充填することにより、多数の単位カプセルが調製可能である。
軟ゼラチンカプセル
活性成分の混合物を食用油、例えば大豆油、綿実油、またはオリーブ油中に調製し、容積移送式ポンプによりゼラチン中に注入し、75 mgの各活性成分を含むゼラチンカプセルを形成することができる。カプセルは、洗浄および乾燥されうる。
錠剤
錠剤は、常套的手法により、75 mgの各活性成分、0.15 mgのコロイド状シリコンジオキシド、4 mgのステアリン酸マグネシウム、250 mgの微結晶セルロース、9 mgのスターチ、および75 mgのラクトースの投与単位となるように、調製可能である。当業者に周知の適切なコーティングを適用して、嗜好性の増大および/または吸収の遅延をもたらすことができる。
注射剤
注射による投与に好適な非経口組成物は、1.0重量%の各活性成分を8容量%のプロピレングリコールおよび水において撹拌することにより調製可能である。溶液は、塩化ナトリウムにより等張化され、滅菌されなければならない。
懸濁液
水性懸濁液は、経口投与のため、75 mgの各活性成分の微粉調製物、150 mgのカルボキシメチルセルロースナトリウム、3.75 mgの安息香酸ナトリウム、0.75 gのソルビトール溶液、U.S.P.、および0.015 mLのバニリンが各5 mL中に含まれるように、調製すればよい。
本発明はまた、少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)、少なくとも1つのホルモン療法薬、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
ある態様において、医薬組成物はさらに、少なくとも1つのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を含む。
ある態様において、医薬組成物はさらに、少なくとも1つの抗体を含む。ある態様において、医薬組成物はさらに、少なくとも1つの抗HER-2抗体、抗EGFR抗体、または抗VEGF抗体を含む。ある態様において、医薬組成物はさらにトラスツズマブを含む。
ある態様において、医薬組成物はさらに、少なくとも1つの化学療法薬を含む。
本明細書に開示する本発明がよりよく理解されるように、以下に実施例を示す。これら実施例は単なる例示であり、いかなる意味においても本発明を限定する意味でないことは理解されるべきである。
実施例1:メチル (6S,7S)-7-[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]-6-[(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル]-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシラート (化合物 1)単独、および前記化合物とホルモン療法薬フルベストラントとの組合せの、MCF-7 乳癌異種移植片の増殖に対する効果
MCF-7 異種移植片の調製および試験動物への移植:
ヒト乳癌細胞株 MCF-7 は、American Type Tissue Culture Collection (ATCC, Manassas, VA)から入手した。細胞は、ルーチン的にATCC推奨の培地に多少変更を加えて維持した。細胞を37℃で加湿インキュベーター中で5% CO2を供給し保持した。MCF-7 細胞をEagle基礎培地(ATCC) (10% FBS and 0.01 mg/ml ウシインシュリンを添加)中で維持した。
動物研究は、Association for the Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care (AAALAC)により認可された施設においてAnimal Welfare Regulation Guidelinesのもと行った。Balb/cまたはCD-1 nu/nu マウス(Charles River, Wilmington, MA) に、無血清培養培地または培地とMatrigelTM(BD Biosciences)との1:1 混合物のいずれかに懸濁した対数増殖細胞を皮下注射した。この腫瘍モデルは、エストラジオールペレット (17-βエストラジオール、0.72 mg/ペレット、60日間放出; Innovative Research of American, Sarasota, FL)の移植 (細胞接種と同日またはその1日前)が必要であった。腫瘍細胞のマウスへの注射後の日数を「接種後日数」として測定した。
薬物送達メカニズム:
浸透圧ポンプ (Alzet, Cupertino, CAより入手)の皮下移植を製造元の説明にしたがいイソフルラン麻酔下行った。皮下ポンプ (以下「SC ポンプ」) を使用して化合物 1の溶液またはその不活性溶媒を送達した。フルベストラントまたはその不活性溶媒は、前記動物の背面側腹に対する皮下注射により送達した。処置は通常、処置開始時の平均腫瘍体積が約150 mm3の時に開始した。10匹の試験動物を各処置群(a)-(d)に含めた。
腫瘍サイズ測定および平均腫瘍体積の計算:
腫瘍細胞のマウスへの注射後の一定期間、腫瘍サイズを測定して腫瘍体積の計算に使用した。腫瘍サイズは、キャリパーを使用して腫瘍の長さ (l) および幅 (w) を計測して測定し、およその体積 ((l x w2)/2)を計算した。この腫瘍サイズ測定および腫瘍体積の計算を、マウスへの腫瘍細胞の接種後日数に対して記録した。腫瘍サイズ測定の頻度は、腫瘍のサイズがいかに迅速に大きくなるかによって変化し、腫瘍が迅速に増殖する場合により頻繁に測定を行った。平均腫瘍体積は、各処置群の10匹の試験動物についての腫瘍体積に基づき計算した。
処置計画およびデータ収集:
処置群 (a) は試験動物のコントロール群であった。10匹の接種マウスに、メチル (6S,7S)-7-[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]-6-[(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル]-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシラート (化合物 1; 本化合物の製造および特徴決定については米国特許出願第2004/0259896(引用により全体が本明細書に含まれる)を参照) の処置群 (b) および (d)への送達に使用した量と等量の不活性溶媒を継続的に14日間処置した。不活性溶媒は、SC ポンプにより送達した。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図1のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、フルベストラントの処置群 (c) および (d)への送達に使用した量と等量のヒマシ油を処置した。この1回/週、4週間のヒマシ油の処置は、図1のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのMCF-7 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (a) について計算し、図1に示すように接種後日数に対してプロットした。
処置群 (b)の試験動物は、化合物 1 単独を処置した。10匹の接種マウスに、1回/日で14日間、60 mg/kg/日の化合物 1の溶液(不活性溶媒中)を処置した。この投与量(mg/kg/日)は、マウスの平均体重である20 g マウスの体重に基づいた。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図1のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、フルベストラントの処置群 (c) および (d)への送達に使用した量と等量のヒマシ油を処置した。この1回/週、4週間のヒマシ油の処置は、図1のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのMCF-7 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (b) について計算し、図1に示すように接種後日数に対してプロットした。
処置群 (c)の試験動物は、フルベストラント単独を処置した。10匹の接種マウスに、1回/日で14日間、化合物 1の処置群 (b) および (d)への送達に使用した量と等量の不活性溶媒を処置した。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図1のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、5 mgフルベストラント(ヒマシ油中)の溶液を処置した。この1回/週、4週間のフルベストラントの処置は、図1のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのMCF-7 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (c) について計算し、図1に示すように接種後日数に対してプロットした。
処置群 (d)の試験動物は、化合物 1およびフルベストラントの組合せを処置した。10匹の接種マウスに、1回/日で14日間、60 mg/kg/日の化合物 1の溶液(不活性溶媒中)を処置した。この投与量(mg/kg/日)は、マウスの平均体重である20 g マウスの体重に基づいた。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図1のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、5 mgフルベストラント(ヒマシ油中)の溶液を処置した。この1回/週、4週間のフルベストラントの処置は、図1のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのMCF-7 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (d) について計算し、図1に示すように接種後日数に対してプロットした。
結果の要約:
MCF-7 腫瘍モデルは、胸腺欠失マウスにおいてエストロゲン依存的に増殖し、増幅HER-2変異を有さないにもかかわらずEGFR シグナル伝達における撹乱に感受性がある。化合物 1による処置は、処置群 (b)におけるように、腫瘍細胞増殖をコントロール群 (a) に対して46% 阻害した(図1参照)。エストロゲンレセプターダウンレギュレーター (フルベストラント)による処置は、処置群 (c)におけるように、腫瘍細胞増殖を52%阻害した (図1参照)。しかしながら、フルベストラントと化合物 1との組合せは、処置群 (d)におけるように、腫瘍増殖を劇的に78%阻害した(図1参照)。さらに、組合せ療法の効果は持続性であり、なぜなら組合せ療法により処置した腫瘍は処置中断後75日間静止状態であったからである。各処置群の腫瘍増殖速度の直線回帰分析を使用して、各群が既定のサイズ(この場合1000 mm3)に到達するのに要する予測時間を計算した。これにより、各処置群からコントロール群を差し引く(T-C)ことによって、処置の長期効果の定量が可能となる。腫瘍増殖遅延 (TGD) を、各処置群の1000 mm3への腫瘍増殖曲線の直線回帰分析に基づき計算した場合、化合物 1は32日TGD (実測、計算ではない)をもたらし、フルベストラントは、計算で63日TGDをもたらした。この2つの物質の組合せは、しかしながら、計算で226日TGDをもたらした。これらの結果は、ホルモン療法とMPIとの組合せが、エストロゲン依存的に増殖する乳癌腫瘍細胞の増殖に相乗的阻害効果を有することを示す。
実施例 2: BT-474 乳癌異種移植片の増殖に対する化合物 1単独、および化合物 1とホルモン療法薬フルベストラントとの組合せの効果
BT-474 異種移植片の調製および試験動物への移植:
ヒト乳癌細胞株 BT-474は、American Type Tissue Culture Collection (ATCC, Manassas, VA)から入手した。細胞は、ルーチン的にATCC推奨の培地に多少変更を加えて維持した。細胞を37℃で加湿インキュベーター中で5% CO2を供給し保持した。BT-474 細胞は、RPMI 1640 (Invitrogen) (10% ウシ胎児血清 (FBS)、0.01 mg/ml ウシインシュリン、10 mM HEPES および0.1 mM 非必須アミノ酸添加)中で増殖させた。
動物研究は、Association for the Assessment and Accreditation of Laboratory Animal Care (AAALAC)により認可された施設においてAnimal Welfare Regulation Guidelinesのもと行った。Balb/cまたはCD-1 nu/nu マウス(Charles River, Wilmington, MA) に、無血清培養培地または培地とMatrigelTM(BD Biosciences)との1:1 混合物のいずれかに懸濁した対数増殖細胞を皮下注射した。この腫瘍モデルは、エストラジオールペレット (17-βエストラジオール、0.72 mg/ペレット、60日間放出; Innovative Research of American, Sarasota, FL)の移植 (細胞接種と同日またはその1日前)が必要であった。腫瘍細胞のマウスへの注射後の日数を「接種後日数」として測定した。
薬物送達メカニズム:
浸透圧ポンプ (Alzet, Cupertino, CAより入手)の皮下移植を製造元の説明にしたがいイソフルラン麻酔下行った。皮下ポンプ (以下「SC ポンプ」) を使用して化合物 1の溶液またはその不活性溶媒を送達した。フルベストラントまたはその不活性溶媒は、前記動物の背面側腹に対する皮下注射により送達した。別個のSC ポンプを使用して化合物 1の溶液とフルベストラントの溶液を送達し、それらは同日に移植した。処置は通常、処置開始時の平均腫瘍体積が約150 mm3の時に開始した。10匹の試験動物を各処置群(a)-(d)に含めた。
腫瘍サイズ測定および平均腫瘍体積の計算:
腫瘍細胞のマウスへの注射後の一定期間、腫瘍サイズを測定して腫瘍体積の計算に使用した。腫瘍サイズは、キャリパーを使用して腫瘍の長さ (l) および幅 (w) を計測して測定し、およその体積 ((l x w2)/2)を計算した。この腫瘍サイズ測定および腫瘍体積の計算を、マウスへの腫瘍細胞の接種後日数に対して記録した。腫瘍サイズ測定の頻度は、腫瘍のサイズがいかに迅速に大きくなるかによって変化し、腫瘍が迅速に増殖する場合により頻繁に測定を行った。平均腫瘍体積は、各処置群の10匹の試験動物についての腫瘍体積に基づき計算した。
処置計画およびデータ収集:
処置群 (a) は試験動物のコントロール群であった。10匹の接種マウスに、化合物 1の処置群 (b) および (d)への送達に使用した量と等量の不活性溶媒を継続的に1回/日で14日間処置した。不活性溶媒は、SC ポンプにより送達した。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図2のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、フルベストラントの処置群 (c) および (d)への送達に使用した量と等量のヒマシ油を処置した。この1回/週、4週間のヒマシ油の処置は、図2のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのBT-474 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (a) について計算し、図2に示すように接種後日数に対してプロットした。
処置群 (b)の試験動物は、化合物 1 単独を処置した。10匹の接種マウスに、1回/日で14日間、60 mg/kg/日の化合物 1の溶液(不活性溶媒中)を処置した。この投与量(mg/kg/日)は、マウスの平均体重である20 g マウスの体重に基づいた。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図2のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、フルベストラントの処置群 (c) および (d)への送達に使用した量と等量のヒマシ油を処置した。この1回/週、4週間のヒマシ油の処置は、図2のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのBT-474 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (b) について計算し、図2に示すように接種後日数に対してプロットした。
処置群 (c)の試験動物は、フルベストラント単独を処置した。10匹の接種マウスに、1回/日で14日間、化合物 1の処置群 (b) および (d)への送達に使用した量と等量の不活性溶媒を処置した。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図2のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、5 mgフルベストラント(ヒマシ油中)の溶液を処置した。この1回/週、4週間のフルベストラントの処置は、図2のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのBT-474 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (c) について計算し、図2に示すように接種後日数に対してプロットした。
処置群 (d)の試験動物は、化合物 1およびフルベストラントの組合せを処置した。10匹の接種マウスに、1回/日で14日間、60 mg/kg/日の化合物 1の溶液(不活性溶媒中)を処置した。この投与量(mg/kg/日)は、マウスの平均体重である20 g マウスの体重に基づいた。14日間の処置期間の開始時および終了時を、図2のx軸の下に水平矢印で示した。さらに、試験動物に1回/週で4週間、5 mgフルベストラント(ヒマシ油中)の溶液を処置した。この1回/週、4週間のフルベストラントの処置は、図2のx軸の上に4つの垂直矢印で別々に示した。前述のように腫瘍サイズを各試験動物について測定し、マウスへのBT-474 乳癌細胞の接種後日数の関数として記録した。その後、平均腫瘍体積を処置群 (d) について計算し、図2に示すように接種後日数に対してプロットした。
結果の要約:
BT-474 ヒト乳癌異種移植片は、エストロゲン依存的腫瘍モデルであり、増幅HER-2を有し、またHER-2細胞外ドメインを切り出す。化合物 1による処置は、処置群 (b)に示すように、腫瘍細胞増殖をコントロール群 (a)に対して33%阻害した (図2参照)。エストロゲンレセプターダウンレギュレーター (フルベストラント)による処置は、処置群 (c)に示すように、腫瘍細胞増殖を46%阻害した (図2参照)。しかしながら、フルベストラントと化合物 1との組合せは、処置群 (d)に示すように、いずれかの物質単独よりも優れており、腫瘍増殖を57%阻害した (図2参照)。この相違は、組合せ処置期間中の腫瘍増殖の勾配に最もよく表されている。各処置群の腫瘍増殖速度の直線回帰分析を使用して、各群が既定のサイズ(この場合500 mm3 )に到達するのに要する予測時間を計算した。これにより、各処置群からコントロール群を差し引く(T-C)ことによって、処置の長期効果の定量が可能となる。この分析を用いて、化合物 1は19日TGDをもたらし、フルベストラントは54日TGDをもたらし、前記組合せは90日TGDをもたらした。これらの結果は、ホルモン療法とMPIとの組合せが、増幅HER-2発現を有する乳癌腫瘍細胞の増殖に対して相乗的阻害効果を有することを示す。
本出願中に引用される全ての特許、特許出願および公報は、あらゆる目的のため、個々の特許、特許出願または公報が個々に示されるのと同程度に、引用により全体として本明細書に含まれる。
本明細書に開示される本発明の多くの形態は現在好ましい態様を構成するが、他にも多くの可能性があり、好ましい態様および他の可能性ある態様の詳細は限定と解釈されてはならない。本明細書で用いる用語は単なる説明であって限定ではなく、特許請求する発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な改変が可能である。
皮下MCF-7 ヒト乳癌異種移植片を有するマウスの平均腫瘍体積 (mm3) を前記腫瘍のマウスへの接種後日数の関数としてプロットしたグラフ。この乳癌細胞は増幅HER-2変異を有さないが、エストロゲン依存的に増殖する。 皮下BT-474 ヒト乳癌異種移植片を有するマウスの平均腫瘍体積 (mm3) を前記腫瘍のマウスへの接種後日数の関数としてプロットしたグラフ。この乳癌細胞は増幅HER-2変異を有し、エストロゲン依存的に増殖する。

Claims (3)

  1. 少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)、少なくとも1つのホルモン療法薬、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物であって、該MPIがメチル (6S,7S)-7-[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]-6-[(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル]-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシラートまたはその医薬上許容される塩を含み、該ホルモン療法薬がフルベストラントである、医薬組成物。
  2. 少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を含む、ホルモン療法と併用して癌を処置するための医薬組成物であって、該MPIがメチル (6S,7S)-7-[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]-6-[(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル]-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシラートまたはその医薬上許容される塩を含み、該ホルモン療法が治療上有効量のフルベストラントを投与することを含み、癌が乳癌である、医薬組成物。
  3. 少なくとも1つのメタロプロテアーゼ阻害薬 (MPI)を含む、ホルモン療法と併用して癌を処置するための医薬組成物であって、該MPIがメチル (6S,7S)-7-[(ヒドロキシアミノ)カルボニル]-6-[(4-フェニルピペラジン-1-イル)カルボニル]-5-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキシラートまたはその医薬上許容される塩を含み、該ホルモン療法がフルベストラントを投与することを含む、医薬組成物。
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