JP5255719B2 - インクジェットヘッドのメンテナンス方法および機構並びに装置 - Google Patents
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Description
また、メンテナンスに伴うインクの消費量を削減することができ、しかもメンテナンスに要する時間を短縮することができる。
本発明のメンテナンス機構は、インクカートリッジ装着・交換時にインクジェットヘッド1にインクを充填したり、印刷不良時にインクインクジェットヘッド1の塵埃、乾燥インク、気泡等を除去するためのものである。インクジェットヘッド1は、延出する円筒や平面に穿った孔等により構成されるノズルを単数または複数備える。
本発明のメンテナンス機構は、液体切替手段4と、低粘性液体32を貯留する第2のタンクを備え、液体切替手段4によりインク31と低粘性液体32を切り替えてメンテナンスに伴う液体の充填を行うことができる。このため、インクジェットヘッド1内にインク31を充填する前に、先に流動性の高い低粘性液体32で充填を行い気泡の除去を行った後、インク31の充填を行うことができ、これにより、インクの消費量を削減することができるだけでなく、インク充填時間を短縮することできる。
液体切替手段4は、インクジェットヘッド1の近傍に設けるのが好ましい。液体切替手段4の入口までは両方の液が入るような構成とすることで、よりインク31の消費量を抑えることができるからである。
低粘性液体32は、低粘度・流動性が高い液体を用いることができるが、洗浄液としての機能を奏するものが好ましく、具体的には、使用するインクの固形分を取り除いた溶媒だけで構成された液体やインクを溶かす溶媒が例示される。
顔料とは、キャリア媒体に不溶であるが、小粒子の形態で分散または懸濁しており、しばしば凝集および沈澱しないように分散剤の使用により安定化されている着色剤である。そのような化合物は数多く知られており、例えば、有機顔料やカーボンブラック等の顔料を界面活性剤や分散剤を用いて微粒子化し、水等の媒体中に分散させることで着色剤として用いる顔料インクなどがある。
本発明のメンテナンス機構は、染料系または顔料系にかかわらず、適用可能である。インクの粘度は、数十cps程度の低粘度のものが主流であるが、飛翔吐出できるものであれば、数百cps程度の中粘度以上のものにも適用可能である。
なお、本発明は、プリント基板における配線パターン印刷、微小部品への潤滑剤の塗布、屋外耐光性表示材料印刷、UV硬化インク印刷等に用いる機能性インクにも適用可能である。
そこで、本発明では、ヘッド面の傾きに追従できるような構造とすることで、キャップ2の密着性および密封性を確実なものとすることを可能とした。すなわち、ヘッド面と当接する当接部材21は硬化な弾性体で構成することで密着性を高め、当接部材21(およびフレーム22)を支持する支持部材23に軟化な弾性体で支持することで、ヘッド面の傾きに追従できるような自由度を持たせ、密封性を維持することを可能とした。
インクジェットヘッド1は、複数のノズル6を有し、連通部材9により連通された第1のタンク11に貯留されるインク31を吐出して印字等を行うものである。インクジェットヘッド1のメンテナンスは、ノズル6をキャップ2で覆い、キャップ2内に負圧を発生させ、吸引したインク等をキャップ2と連通部材9により連通される廃液タンク14に排出することにより行う。キャップ2とインクジェットヘッド1との当接は、キャップ開閉手段3により自動的に行われる。キャップ開閉手段3は、インクジェットヘッド1を相対動させるものでもよいし、キャップ2を相対動させるものでもよい。なお、産業分野によっては、キャップ2を手動で開閉するよう構成してもよい。
ヘッド面と当接する当接部材21は硬化な弾性体であるショアA硬度40〜80度(好ましくは50〜70度)(JIS K 6253規格)のゴムで構成され、フレーム22の上面に接着またはネジ留め等で装着される。
フレーム22は、接着またはネジ留め等で固着された軟化な弾性部材(例えば、ゴムまたはバネ)で構成された支持部材23により支持される。支持部材23は、インクジェットヘッド1のノズル面の取り付け誤差(3次元的な傾き)に対して追従可能とすべく、針入度が40〜80(好ましくは50〜70度)のものがよい。支持部材23は、板状の取付部材24に固着される。フレーム22の底面部には、少なくとも一つ以上の吸引用の貫通穴25と連通部材9を接続可能な継手26が配設される。
以上のように構成される本実施例のキャップ2によれば、ノズル面の傾きに影響されることなく、完全な密着性および密封性を確保することができる。
信号発生手段15は、複数のパターンの時間と電圧の信号波形を設定、登録、且つ複数の登録されたパターンからいづれか一つのパターンのみを選択・出力可能である。レギュレータ51は、信号発生手段15の信号波形の電圧に応じて圧力の供給が可能である。信号発生手段15は、例えばパルスジェネレータやPC等で構成してもよい。
エジェクタ52は、レギュレータ51から供給された圧力に応じて負圧を発生可能である。レギュレータ51およびエジェクタ52は、市販の空圧機器により構成することができる。
レギュレータ51によりエジェクタ52により発生する負圧を制御しなくとも、レギュレータ51からは一定圧を保持したまま、エジェクタ52の廃棄側に設けた絞り弁の絞り量を調整することにより、負圧を制御してもよい。
設定する信号波形は、キャップ2内の負圧が緩やかに変化するものであれば、直線的であっても曲線的であってもよいし、細かく段階的に変化する信号波形でもよい。曲線的な波形としては、例えば、図3に示すようなSin波形があげられる。図3(a)に示すように、信号発生手段15から出力する信号波形をSin波形をとすると、レギュレータ51から供給される圧力が図3(b)に示すように変化し、エジェクタ52の負圧が図3(c)のようになり、インクジェットヘッド1のノズル6先端のメニスカスに振動を与えることを防止することができる。
《第1フェーズ》
まず、インク31を連通部材9に充填する。液体切替手段4の第1のバルブ41を開、第2のバルブ42を閉状態とし(STEP1)、予め設定された時間に基づいて負圧発生手段5を起動してキャップ2内を負圧としてインク31を連結部材9へ導く(STEP2)。負圧の発生を予め設定された時間行うことにより、インク31が連通部材9の第1のバルブ41の部分まで充填される(STEP3)。ここで、予め設定された時間とは、インク31が第1のタンク11から連通部材9の第1のバルブ41に到達するまでの時間とする。予め設定された時間の経過後、負圧の発生を停止することにより、キャップ2内が大気圧に戻り、吸引が停止される(STEP4)。なお、第1フェーズにおける負圧の発生の停止は、負圧の変化を緩やかに生じさせるものである必要はない。
《第2フェーズ》
次に、低粘性液体32をノズル6に充填する。液体切替手段4の第1のバルブ41を閉、第2のバルブ42を開状態とし(STEP5)、予め設定された時間に基づいて負圧発生手段5を起動してキャップ2内を負圧として低粘性液体32の充填を行う(STEP6)。負圧の発生を予め設定された時間行うことにより、低粘性液体32が連通部材9に充填された後、インクジェットヘッド1に充填される(STEP7)。ここで、予め設定された時間とは、低粘性液体32がノズル6の先端から確実に排出される時間とする。予め設定された時間の経過後、負圧の発生を停止することにより、キャップ2内が大気圧に戻り、吸引が停止される(STEP8)。なお、第2フェーズにおける負圧の発生の停止は、負圧の変化を緩やかに生じさせるものである必要はない。
《第3フェーズ》
最後に、インク31をノズル6に充填する。液体切替手段4の第1のバルブ41を開、第2のバルブ42を閉状態とし(STEP9)、予め設定された時間と信号波形に基づいて負圧発生手段5を起動してキャップ2内を負圧として第1のバルブ41まで充填されたインク31をインクジェットヘッド1へ導く(STEP10)。負圧の発生を予め設定された時間行うことにより、インク31がインクジェットヘッド1に充填される(STEP11)。ここで、予め設定された時間とは、インク31がノズル6の先端から確実に排出される時間とする。予め設定された時間の経過後、予め設定された信号波形に基づいて負圧の発生を緩やかに停止することにより、キャップ2内が緩やかに大気圧に戻り、吸引が停止される(STEP12)。ここで、予め設定された信号波形としては、上述のSin波形が開示されるが、これに限定されない。
なお、インクカートリッジ装着・交換時以外の場合におけるメンテナンスは、第1フェーズが不要なので、第2および第3フェーズのみを行えばよい。インクカートリッジ装着・交換時は、液体切替手段4までインクが到達していないと気泡がインクジェットヘッド1に充填されてしまうため、第1フェーズが必要となる。
本実施例の装置は、図6に示すように、Y方向に並んだ3つのインクジェットヘッド1がZ方向移動手段64に配設されている。ワークテーブル61は、Y方向に移動自在であり、Z方向移動手段64は、ビーム62に設けられたX方向移動手段63によりX方向に移動自在である。3つのキャップ2は、インクジェットヘッド1と対向する間隔で配設されている。図6中、符号11はインク31が貯留された第1のタンクであり、符号12は低粘性液体32が貯留された第2のタンクであり、符号13は溶解液33が貯留された第3のタンクである。なお、図6においては、廃液タンク14、再供給用タンク18、電機系の配線、および液送系の配管は省略している。
本実施例のメンテナンス機構が有する第3のタンク13には、溶解液33が貯留される。溶解液33は、空気がとけ込みやすく、廉価な材料であって、本実施例ではアンモニア水を用いている。
なお、本実施例では蒸発防止のために低粘性液体32を供給しているが、水を主成分とし、キャップ2内に残留しない液体であれば、同様の効果を奏することができる。
負圧により吸引された液体は、廃液タンク14と再供給用タンク18に分別される。すなわち、インク31および溶解液33は廃液タンク14に排出され、低粘性液体32は再供給タンク18に排出される。
以上のように構成される本実施例のメンテナンス機構を備える卓上型インクジェット塗布装置は、実施例1における効果に加え、メンテナンス工程の終了後から塗布工程が開始するまでの間のインク31の蒸発を確実に防止する効果を奏する。
インクジェット記録方法についてもピエゾ式等の機械変換方式、抵抗発熱ジェット式等の気泡発生方式にかかわらず、適用することが可能である。
また、レンズ製造業界におけるレンズの着色工程での利用、大型印刷業界におけるポスターや建材加飾での利用も可能である。
2 キャップ
3 キャップ開閉手段
4 液体切替手段
5 負圧発生手段
6 ノズル
9 連通部材
11 第1のタンク
12 第2のタンク
14 廃液タンク
15 信号発生手段
16 (負圧用)圧力供給ポンプ
17 (正圧用)圧力供給ポンプ
18 再供給タンク
21 当接部材
22 フレーム
23 支持柱
24 取付部材
25 貫通穴
26 継手
31 インク
32 低粘性液体
33 溶解液
34 廃液
41 第1のバルブ
42 第2のバルブ
43 第3のバルブ
44 第4のバルブ
45 第5のバルブ
51 レギュレータ
52 エジェクタ
53 消音器
61 ワークテーブル
62 ビーム
63 X方向移動手段
64 Z方向移動手段
67 電源スイッチ
68 通信用コネクタ
Claims (5)
- インクジェットヘッドの有するノズルをキャップで覆い、負圧を発生させて液体を吸引するメンテナンス方法において、
液体の吸引終了時に、予め設定された信号波形に基づきキャップ内の負圧を大気圧に戻すインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、
前記信号波形が正弦曲線的であることを特徴とするインクジェットヘッドのメンテナンス方法。 - 前記信号波形が複数の登録されたパターンから選択出力されることを特徴とする請求項1のインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
- インクジェットヘッドの有するノズルをキャップで覆い、負圧を発生させて液体を吸引するメンテナンス機構において、
インクジェットヘッドと当接してノズルを覆うキャップと、負圧をキャップに発生させる負圧発生装置と、キャップおよび負圧発生装置と連通する廃液タンクと、キャップとインクジェットヘッドを当接ないし非当接させるキャップ開閉機構と、インクジェットヘッドと連通するインク貯留部と、これらの作動を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、予め設定された信号波形に基づきキャップ内の負圧を大気圧に戻すよう負圧発生装置を制御するインクジェットヘッドのメンテナンス機構であって、
前記信号波形が正弦曲線的であることを特徴とするインクジェットヘッドのメンテナンス機構。 - 前記信号波形を複数の登録されたパターンから選択可能とする信号選択手段を備えることを特徴とする請求項3のインクジェットヘッドのメンテナンス機構。
- 請求項3または4のインクジェットヘッドのメンテナンス機構を有する装置。
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