JP5254561B2 - 放熱性樹脂組成物及びそれを含む成形品 - Google Patents
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Description
一方、特許文献2の放熱性樹脂組成物を用いて成る成形品は、白色であり、着色剤の添加により、白色系の色又は他の色に調色することができる。また、光線反射率(光沢)に優れる。そして、熱可塑性樹脂成分として、ポリエステル系樹脂を用いると、耐熱変形性に優れる。このように、熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂を用いた、窒化ホウ素系の放熱性樹脂組成物は、耐熱変形性、意匠性及び電気絶縁性に優れる。しかしながら、耐衝撃性、曲げ歪み特性等の機械的強度が十分ではなく、改良が求められている。
本発明の目的は、放熱性、耐熱変形性、調色性、光沢性、耐衝撃性及び曲げ歪み特性に優れる放熱性樹脂組成物、並びに、それを含む成形品を提供することにある。
1.共重合型ポリブチレンテレフタレート及びホモ型ポリブチレンテレフタレートからなり、両者の合計を100質量%とした場合に、両者の含有割合が、それぞれ、20〜95質量%及び5〜80質量%である熱可塑性樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有し、熱伝導率が2.0W/(m・K)以上であり、熱放射率が0.7以上であり、且つ、白色度が30%以上であることを特徴とする放熱性樹脂組成物。
2.上記共重合型ポリブチレンテレフタレートが、テレフタル酸を含むジカルボン酸及び/又はその誘導体からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ成分とを重縮合することにより得られた重合体である上記1に記載の組成物。
3.上記熱伝導性フィラーの含有割合が、上記熱可塑性樹脂及び上記熱伝導性フィラーの合計を100質量%とした場合、20〜90質量%である上記1又は2に記載の放熱性樹脂組成物。
4.上記熱伝導性フィラーが、鱗片状である上記1乃至3のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
5.上記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素である上記4のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
6.更に、難燃剤を含有する上記1乃至5のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
7.更に、着色剤を含有し、該着色剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、0.05〜30質量部である上記1乃至6のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
8.更に、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有し、該紫外線吸収剤及び該光安定剤の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜95質量%及び5〜95質量%である上記1乃至7のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
9.光線反射率が、20%以上である上記1乃至8のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
10.上記1乃至9のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
上記熱可塑性樹脂が、共重合型ポリブチレンテレフタレート及びホモ型ポリブチレンテレフタレートからなり、両者の割合が、それぞれ、20〜95質量%及び5〜80質量%であるので、特に、耐熱変形性及び耐衝撃性に優れる。
上記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素である場合には、放熱性、絶縁性、耐熱性、及び、光に対する反射特性がより優れる。
紫外線吸収剤及び光安定剤を含有する組成物によれば、耐光性に優れ、光を受光した際における変色並びに光線反射率の低下が抑制される。
本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明の放熱性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」という。)は、共重合型ポリブチレンテレフタレート及びホモ型ポリブチレンテレフタレートからなり、両者の合計を100質量%とした場合に、両者の含有割合が、それぞれ、20〜95質量%及び5〜80質量%である熱可塑性樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有し、熱伝導率が2.0W/(m・K)以上であり、熱放射率が0.7以上であり、且つ、白色度が30%以上であることを特徴とする。
この熱可塑性樹脂は、共重合型ポリブチレンテレフタレート及びホモ型ポリブチレンテレフタレートからなり、両者の合計を100質量%とした場合に、両者の含有割合が、それぞれ、20〜95質量%及び5〜80質量%である。
尚、上記他のジカルボン酸成分の誘導体には、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステル等の低級アルキルエステル、酸無水物、酸クロライド等の酸ハライド等が含まれる。
上記他のジカルボン酸成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、これらの他のジヒドロキシ成分として例示した化合物は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン等の置換基を有してもよい。
上記他のジヒドロキシ成分は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(1)テレフタル酸及び/又はその誘導体からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオール及び他のジヒドロキシ成分を含み、且つ、1,4−ブタンジオールを好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%含むジヒドロキシ成分とを重縮合することにより得られた重合体。
(2)好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上のテレフタル酸及び/又はその誘導体と、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下のイソフタル酸及び/又はその誘導体からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオール及び他のジヒドロキシ成分を含み、且つ、1,4−ブタンジオールを好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%含むジヒドロキシ成分とを重縮合することにより得られた重合体。
また、重縮合反応により得られた樹脂は、通常、重縮合反応槽の底部からポリマー抜き出しダイに移送されてストランド状に抜き出され、水冷されながら、あるいは、水冷後、カッターで切断されてペレット状、チップ状等の粒状体とされる。
この熱伝導性フィラーとしては、25℃における熱伝導率が、好ましくは30W/(m・K)以上、より好ましくは80W/(m・K)以上、更に好ましくは100W/(m・K)以上、特に好ましくは150W/(m・K)以上である物質からなるものである。本発明に係る熱伝導性フィラーとしては、絶縁性に優れることから、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。また、上記以外の物質からなる無機系粒子又は有機系粒子をコアとして、上記化合物を被覆させてシェルを形成してなる複合型フィラーを用いることもできる。また、絶縁性の熱伝導性フィラーを用いることにより、絶縁性を有する放熱性樹脂組成物を得ることができ、この組成物を含む成形品の表面固有抵抗(絶縁性の指標、値が高いほど絶縁性に優れる)は、好ましくは1×1013Ω以上、更に好ましくは1×1014Ω以上である。この範囲にあると、絶縁性に優れる。
更に、上記熱伝導性フィラーは、光に対する反射性の点から、白色系物質であることが好ましく、上記のうち、窒化ホウ素及び酸化亜鉛が好ましく、窒化ホウ素が特に好ましい。上記熱伝導性フィラーとして、窒化ホウ素からなるものを用いると、放熱性、耐熱性及び反射特性の物性バランスが高水準である放熱性樹脂組成物を得ることができる。
六方晶構造の窒化ホウ素は、層状の結晶構造を有しており、その形状は、平板状(鱗片状)である。この層状構造を有する窒化ホウ素において、層に平行な方向(a軸方向)の熱伝導性は、層に垂直な方向(c軸方向)のそれの約30倍程度といわれている。
本発明の組成物は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、エステル交換抑制剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、抗菌剤、結晶核剤、流動改質剤、衝撃改質剤等が挙げられる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トキヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、本発明の組成物に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の紫外線吸収剤及び/又は光安定剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部としたときに、好ましくは0.05〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部、更に好ましくは0.2〜5質量部である。尚、上記の紫外線吸収剤及び光安定剤を併用することにより、上記不良現象の改良効果が顕著となり、その場合の質量割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは5〜95質量%及び5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%及び90〜10質量%、更に好ましくは15〜85質量%及び85〜15質量%、特に好ましくは40〜60質量%及び60〜40質量%である。
染料としては、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。
上記白色系無機顔料としては、TiO2、Al2O3・nH2O、〔ZnS+BaSO4〕、CaSO4・2H2O、BaSO4、CaCO3、2PbCO3・Pb(OH)2等が挙げられる。
上記赤色系無機顔料としては、CdS・nCdSe、PbCrO4・mPbMoO4・nPbSO4、TiO2・Sb2O3・NiO、Zn−Fe系複合酸化物(ZnO・Fe2O3等)、Zn−Fe−Cr系複合酸化物(ZnO・Fe2O3・Cr2O3等)等が挙げられる。
上記黄色系無機顔料としては、TiO2・BaO・NiO、TiO2・NiO・Sb2O3、Fe2O3・H2O、PbCrO4、Pb(SbO3)2、Pb3(SbO4)2、Ti−Sb−Ni系複合酸化物、Ti−Sb−Cr系複合酸化物等が挙げられる。
上記緑色系無機顔料としては、Cu(C2H3O2)3、Cu(AsO2)2、CoO・nZnO、BaMnO2、Cu2(OH)2(CO3)、Ti−Co−Ni−Zn系複合酸化物等が挙げられる。
上記青色系無機顔料としては、CoO・nAl2O3、CoO・nSnO・mMgO、Na6Al6(SiO4)6・2Na3SO4等が挙げられる。
上記エステル交換抑制剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜3質量部、更に好ましくは0.03〜1質量部である。エステル交換抑制剤をこの範囲で用いると、成形加工時の熱による劣化が抑制され、耐衝撃性、白色度及び光沢性に優れた成形品を得ることができる。
上記充填剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、3〜30質量部である。
上記熱安定剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記酸化防止剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記老化防止剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記可塑剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜15質量部である。
上記滑剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記抗菌剤の含有量は、上記熱可塑性樹脂の量を100質量部とした場合に、通常、0.05〜5質量部である。
本発明の組成物は、上記所定の含有量となるように秤量した原料成分を、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等に供給し、混練することにより製造することができる。原料成分の供給方法は特に限定されず、各々の成分を一括配合して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。
尚、混練温度は、上記熱可塑性樹脂の種類、及び、上記熱伝導性フィラーの含有量により選択されるが、通常、200〜300℃である。
本発明の組成物は、上記熱可塑性樹脂をマトリックスとして、上記熱伝導性フィラーが均一に分散している。従って、本発明の組成物を含む成形品は、放熱性、耐熱性及び耐光性に優れる。尚、上記熱伝導性フィラーが窒化ホウ素からなるものである場合には、絶縁性及び光に対する反射特性にも優れる。
本発明の組成物において、25℃における熱伝導率は、2.0W/(m・K)以上であり、好ましくは3.0〜10.0W/(m・K)、より好ましくは4.0〜5.0W/(m・K)である。上記熱伝導率が、上記範囲であれば、放熱性及び機械的強度の物性バランスに優れる。この熱伝導率が2.0W/(m・K)未満であると、放熱性が劣る傾向にある。尚、上記熱伝導率は、成形品を製造したときの組成物の流動方向に対して測定した値であり、測定方法は、後述の〔実施例〕において説明する。
この熱伝導率は、熱伝導性フィラーの種類、形状及びその含有量等を、適宜、選択することにより調整することができる。
また、熱放射率は、0.7以上であり、好ましくは0.75以上、より好ましくは0.8以上である。この熱放射率が0.7未満であると、放熱性が十分でない。尚、熱放射率の測定方法は、後述の〔実施例〕において説明する。
この熱放射率は、熱伝導性フィラーの種類及びその含有量等を、適宜、選択することにより調整することができる。
更に、白色度は、30%以上であり、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上、特に好ましくは70%以上である。この白色度が高いほど、光に対する反射特性に特に優れるが、成形品が着色されている場合であっても、30%以上であれば、光に対する反射特性に優れる。尚、白色度は、ハンター式測色色差計により測定することができる。
この白色度は、熱可塑性樹脂の種類及びその含有量、熱伝導性フィラーの種類及びその含有量、並びに、着色剤の種類及びその含有量を、適宜、選択することにより調整することができる。
更に、ISO75(荷重1.80MPa)に準ずる熱変形温度は、120℃以上であり、好ましくは130〜300℃、より好ましくは130〜280℃である。この熱変形温度が上記範囲にあると、耐熱変形性に優れる。
この熱変形温度は、熱可塑性樹脂の種類及びその含有量、熱伝導性フィラーの種類、形状及びその含有量等を、適宜、選択することにより調整することができる。
また、ISO178に準ずる曲げ歪みは、好ましくは1.0%以上であり、より好ましくは1.2〜8%、更に好ましくは1.5〜8%である。上記曲げ歪みが、上記範囲であれば、曲げ歪み特性及び剛性の物性バランスが高水準にあり、好ましい。この曲げ歪みが1.0%未満であると、本発明の組成物を含む成形品である各種部材を組み付け、組み込み等の作業を行う場合に、割れが発生する傾向にある。
この曲げ歪みは、熱可塑性樹脂の種類及びその含有量、熱伝導性フィラーの種類、形状及びその含有量等を、適宜、選択することにより調整することができる。
組成物の絶縁性について、本発明の組成物を含む成形品の表面固有抵抗(絶縁性の指標、値が高いほど絶縁性に優れる)は、好ましくは1×1013Ω以上、更に好ましくは1×1014Ω以上である。この範囲にあると、絶縁性に優れる。
本発明の成形品は、上記本発明の組成物を含むことを特徴とする。
上記本発明の組成物は、以上のような優れた性質を有することから、本発明の成形品としては、電話機(携帯電話機、ファクシミリ)、複写機、プリンター、コンピュータ、電子辞書等のOA機器;ドライヤー等の美容機器;音響機器;室内照明具;パチンコ等の遊戯機;ランプ、カーステレオ、カーナビゲーション等の車載電子機器;各種電源装置;ステッピングモータ等の駆動装置;家庭用ゲーム機等の玩具等の筐体、基板等の放熱部品等に好適である。特に、調色性及び光沢性に優れることから、上記筐体に好適であり、また、高熱伝導率が必要とされる放熱部品にも好適である。尚、LED実装用基板、このLED実装用基板に配設されるリフレクター等のLED関連部材には適用しないものである。
1.熱可塑性樹脂
(1)A1;共重合型ポリブチレンテレフタレート(可撓性を付与した変性PBT;ジメチルテレフタレート、1,4−ブタンジオール及びポリテトラメチレングリコールの共重合体)
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「NOVADURAN 5505S」(商品名)を用いた。ガラス転移温度は27℃である。
(2)A2;ホモ型ポリブチレンテレフタレート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「NOVADURAN 5007」(商品名)を用いた。ガラス転移温度は30℃である。
(3)A3;ホモ型ポリエチレンテレフタレート
三菱化学社製「NOVAPEX GM700Z」(商品名)を用いた。重量平均分子量は18000である。ガラス転移温度は67℃である。
(4)A4;ポリカーボネート
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「NOVAREX 7022PJ−LH1」(商品名)を用いた。重量平均分子量は18000である。
(1)B1;窒化ホウ素
電気化学工業社製「デンカボロンナイトライド粉末SGP」(商品名)を用いた。六方晶構造であり、平均粒径は18.0μmであり、酸化鉄量は0%である。
(2)B2;酸化亜鉛
堺化学工業社製「ZINC OXIDE No.2」(商品名)を用いた。平均粒径は3μm(レーザー回折法)であり、酸化鉄量は0.0007%である。
(3)B3;黒鉛粒子
中越黒鉛工業所社製「HF−150A」(商品名)を用いた。形状は鱗片状であり、アスペクト比は16、重量平均粒子径161μm(電子顕微鏡法)である。
(1)C1;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「TINUVIN P」(商品名)を用いた。
(2)C2;2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕
アデカ社製「アデカスタブ LA−31」(商品名)を用いた。
(1)D1;ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
アデカ社製「アデカスタブ LA−77」(商品名)を用いた。
(2)D2;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6‐テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「CHIMASSORB 944LD」(商品名)を用いた。
酸化チタン(商品名「タイペークPF691」、石原産業社製)を用いた。
ハロゲン系難燃剤(商品名「エピコート5203」、東都化成社製)を用いた。
青色顔料(商品名「ダイアレジン・ブルーG」、三菱化学社製)を用いた。
実施例1〜2、参考例1〜11及び比較例1〜5
(1)放熱性樹脂組成物の製造方法
熱可塑性樹脂と、熱伝導性フィラー等とを、表1〜表3に示す割合でミキサーに投入して5分間混合した後、押出機(「BT−40−S2−30−L型」、プラスチック工学研究所製)を用い、弱練りタイプのスクリューを用い、スクリュー回転数100rpm及びシリンダー温度260℃で溶融混練押出し、ペレット(放熱性樹脂組成物)を得た。
上記で得られたペレットを用い、下記評価項目に関する試験を行った。その結果を表1〜表3に併記した。
[1]熱放射率
放熱性樹脂組成物からなるペレットを用い、射出成形(金型温度;50〜80℃)にて大きさ150×150×3mmの試験片を作製し、サーモスポットセンサー(「TSS−5X型」、ジャパンセンサー社製)を用い、赤外線検出による反射エネルギー測定方式により、雰囲気温度25℃で測定した。
放熱性樹脂組成物からなるペレットを用い、その溶融物を、直径10mm及び長さ50mmのキャビティ空間を有する金型(金型温度;50〜80℃)の下方から射出して、直径10mm及び長さ50mmの円柱体を作製した。その後、ほぼ中央部において、厚さが1.5mmの円板となるように切り出し、これを試験片(直径10mm及び厚さ1.5mm)とした。熱伝導率を放熱性樹脂組成物の流動方向に対して測定するために、この試験片における、上面及び下面の各表面にプローブを当て、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(「TR−7000R型」、アルバック理工社製)を用い、25℃で測定した。
放熱性樹脂組成物からなるペレットを用い、射出成形(金型温度;50〜80℃)にて所定の形状及び大きさを有する試験片を作製し、ISO75に準じて、荷重1.80MPaとして、測定した。
放熱性樹脂組成物からなるペレットを用い、射出成形(金型温度;50〜80℃)にて大きさ150×150×3mmの試験片を作製し、ISO178に準じて、精密万能試験機(「オートグラフAG−10KNI型」、島津製作所社製)を用い、3点曲げ強度測定法により測定した。測定条件は、試験片のスパン間隔64mm、曲げ速度1mm/分である。
ISO179に準じて、ノッチ付きのデータを測定した。
放熱性樹脂組成物からなるペレットを用い、射出成形(金型温度;50〜80℃)にて直径200mm及び厚さ2mmの円形の試験片を作製し、ハイ・レジスタンス・メータ(「4339B型」、Agilent Technologies社製)を用いて測定した。
上記[2]と同じ試験片について、耐光試験前後の白色度を、ハンター式測定色差計によりLab(L;明度、a;赤色度、b;黄色度)を測定し、次式により算出した。
W=100−√{(100−L)2+a2+b2}
耐光試験は、耐候光試験機「サンシャインウェザーメーター」(スガ試験機社製)を用い、雨無し及び温度63℃の条件で1000時間連続点灯した。
上記[2]と同じ試験片について、上記[7]と同じ条件による耐光試験前後の紫外線(波長550nm)に対する反射率を、紫外可視近赤外分光光度計(「V−670型」、日本分光社製)により、入射角60度で測定した。
放熱性樹脂組成物のMFRを、温度250℃及び荷重2kgの条件で、ISO1133に準じて測定した。
Claims (10)
- 共重合型ポリブチレンテレフタレート及びホモ型ポリブチレンテレフタレートからなり、両者の合計を100質量%とした場合に、両者の含有割合が、それぞれ、20〜95質量%及び5〜80質量%である熱可塑性樹脂と、熱伝導性フィラーとを含有し、熱伝導率が2.0W/(m・K)以上であり、熱放射率が0.7以上であり、且つ、白色度が30%以上であることを特徴とする放熱性樹脂組成物。
- 上記共重合型ポリブチレンテレフタレートが、テレフタル酸を含むジカルボン酸及び/又はその誘導体からなるジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールを含むジヒドロキシ成分とを重縮合することにより得られた重合体である請求項1に記載の組成物。
- 上記熱伝導性フィラーの含有割合が、上記熱可塑性樹脂及び上記熱伝導性フィラーの合計を100質量%とした場合、20〜90質量%である請求項1又は2に記載の放熱性樹脂組成物。
- 上記熱伝導性フィラーが、鱗片状である請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
- 上記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素である請求項4のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
- 更に、難燃剤を含有する請求項1乃至5のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
- 更に、着色剤を含有し、該着色剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂を100質量部とした場合に、0.05〜30質量部である請求項1乃至6のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
- 更に、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有し、該紫外線吸収剤及び該光安定剤の含有割合は、これらの合計を100質量%とした場合に、それぞれ、5〜95質量%及び5〜95質量%である請求項1乃至7のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
- 光線反射率が、20%以上である請求項1乃至8のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載の放熱性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品。
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