JP5253762B2 - Rdxの球状化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、産業用爆薬や軍用爆薬に使用される爆薬組成物に関し、詳しくは爆薬組成物の主成分である爆発性物質〔化合火薬類:シクロトリメチレントリニトラミン(以下、RDXと称する)〕の球状化に関するものである。
爆薬組成物の主成分となる化合火薬類には、例えば、TNT、RDX、HMX、CL−20等がある(例えば、非特許文献1参照)。
20世紀半ばまでは、TNT系またはTNT/RDX系の爆薬が弾薬類に装填されてきたが、品質的な問題が起こった。
近年は、石油化学の進歩により多種のプラスチックが出現し、プラスチックを爆薬組成物の添加剤として使用することにより、品質面および安全面を考慮した爆薬組成物の開発が行われている。
現在は、安全面を考慮しプラスチックを添加剤として添加し、爆薬組成物を鈍感化する手段としてPlastic Bonded Explosive(以下、PBXと称する)が開発されている。PBXに使用される爆薬はコスト、性能面からHMX、RDXが殆どである。理由としては、PBX化〔化合火薬類とプラスチック(以後、バインダと称する)とを混ぜること〕する、すなわち、化合火薬類の結晶粒子間の隙間をバインダで埋めることにより爆薬を使用目的に合わせた形状に成形したときの爆薬組成物の密度を理論値に近くできることから、化合HMX、RDXが持っている基本的な威力を最大限に引き出すことが可能となるとともに、爆薬組成物の感度に影響を及ぼす空隙(エアースポット)が少なくなり、安全性も確保できるからである。
PBX等の爆薬組成物の填薬方法としては、爆薬組成物をプレスで圧填して成形する方法(圧填方法)と、爆薬組成物を使用する目的の容器(弾頭)に流し込んで填薬する方法(注型方法)とがある。
圧填方法は、主に化合火薬類成分90質量%以上の場合に適用される方法であって、化合火薬類成分とバインダとで爆薬組成物を造粒し、プレス等で加圧して成形する。注型方法は、主に化合火薬類成分90質量%以下の場合に適用される方法であって、化合火薬類成分とバインダと可塑剤とを混合し、容器へ流し込むか、若しくは低圧で圧入したのち、固めて成形する。
注型方法の場合、容器に流し込む際の流動性は、作業性および性能面に大きな影響を及ぼす。PBX等の爆薬組成物の流動性が良いと、容器への流し込み作業が容易になり、作業時間の大幅な短縮にもなる。さらには、注型作業時に容器中に入り込む空隙(エアースポット)を減圧処理等により効率よく除去することができる。
空隙が存在する場合、断熱的に又は衝撃的に圧縮を受けたときに生ずる発熱が起爆点になると考えられ、空隙の存在数の大小は衝撃感度に及ぼす影響が大きいと考えられている。
流動性を向上させるためには、PBX等の爆薬組成物の主成分である化合火薬類の形状を球状化させることが効果的であり、さらに、球状化はPBX充填率の向上にも効果がある。充填率の向上はPBXのような炸薬とした場合の炸薬密度を向上させ、填薬密度が理論密度に近いほど衝撃に対して鈍感化し、爆轟性能が増大するといわれている。
爆薬組成物を球状化する技術は、知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、飽和しているRDXシンクロヘキサノン溶液においてRDX結晶を攪拌および加温しエタノールで洗浄して得られるRDXの球状化が開示されている。
米国特許第4065529号明細書 「火器弾薬技術ハンドブック」改訂版、財団法人防衛技術協会、2003年5月、P374、P375、P376、P383、P387、P395
RDXの製造方法は、硝酸法と酢酸法に大別できるが、通常、RDXは不定形の形状を有している特徴が挙げられる。不定形を解消する方法としては、RDXを有機溶剤に加熱・溶解させ、さらに加熱した溶解液を冷却して再結晶化することが知られている。
しかしながら、再結晶化処理したRDXは、不定形形状は解消されるが、多面体形状を有することが問題であり、多面体結晶のままPBX等炸薬組成物に使用した場合、流動性および填薬密度に悪影響を及ぼすおそれがあった。
また、特許文献1では、飽和しているRDXシンクロヘキサノン溶液においてRDX結晶を攪拌および加温しアルコールで洗浄して得られるRDXの球状化の方法が開示されているが、処理量(バッチ処理量)が小さい、球状化処理に時間がかかる、使用する有機溶剤の量が多いためプラントの設計が大規模になる、球状化処理で溶解したRDXのロスが大きい、エタノールで洗浄するため溶剤費用が発生しコスト高になる等の課題があった。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為されたもので、その目的は、PBX等炸薬組成物に使用した場合に、流動性および填薬密度に悪影響を及ぼすことがなく、RDXの球状化処理時間が短くかつ従来より低廉な洗浄を可能としたRDXの球状化方法を適用することにある。
本発明者は、RDXの球状化の手法について探索すると共に、その効果について鋭意研究を行ってきた。その結果、RDXを再結晶化することにより、結晶形状を多面体化し、さらにRDX飽和溶液中にて攪拌・温度処理することにより多面体RDXの角部および辺のみを溶解させ、球状化したRDXとなることを見出し、本発明を完成させた。
RDXを多面体化する方法としては、RDXをジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称す)またはジメチルホルムアミド(以下、DMFと称す)に投入し、徐々に加温しながら完全溶解させ、溶解液を冷却し、RDXを再析出(再結晶)させることにより、多面体化したRDXを得ることが可能となる。
DMSOまたはDMFは、RDXに対する溶解度が高いため、一度に処理する能力が高いことが特徴として挙げられる。
さらに、再結晶化し結晶形状を多面体化した多面体RDXを、球状化する方法としては、多面体RDXを予めRDXを有機溶剤に溶解させた飽和溶液に投入し、徐々に攪拌および加温しながら多面体形状の角部および辺を溶解させることにより、球状化したRDXを得ることが可能となる。
また、球状化処理の際にも、DMSOまたはDMFを使用すると再結晶処理工程と球状化処理工程を継続して行える利点もある。
そこで、請求項1に係る発明は、シクロトリメチレントリニトラミン(以下、RDXと称する)をジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称する)またはジメチルホルムアミド(以下、DMFと称する)で溶解し再結晶化することにより多面体化したRDXを生成する工程と、RDXをDMSOまたはDMFに溶解させた飽和溶液中に前記多面体化したRDXを投入し、除々に攪拌および加温処理させながら前記多面体化したRDXを球状化する工程とを有することを特徴とする
請求項に係る発明は、請求項1のRDXの球状化方法において、前記多面体化したRDXを球状化する工程では、前記多面体化したRDXの20質量%以上を前記飽和溶液中に溶解させることを特徴とする。
DXの球状化方法
請求項に係る発明は、請求項1または請求項2記載のRDXの球状化方法において、前記多面体化したRDXを球状化する工程では、前記多面体化したRDXの角部および辺のみを溶解することを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1ないし請求項3の何れか記載のRDXの球状化方法において、前記多面体化したRDXを球状化する工程では、予めRDXをDMSOまたはDMFに過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液中に前記多面体化したRDXを投入することを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1ないし請求項4の何れか記載のRDXの球状化方法において、前記多面体化したRDXを球状化する工程では、前記RDXを再結晶化することにより多面体化したRDXを生成する工程と、前記多面体化したRDXを球状化する工程とを継続して行うことを特徴とする。
請求項に係る発明は、請求項1ないし請求項5の何れか記載のRDXの球状化方法において、前記多面体化したRDXを球状化する工程の後に、加温溶解後、溶解温度を下げないように直ちに、ろ過を行う工程を追加することを特徴とする
本発明によれば、再結晶化処理した多面体形状のRDXを、RDXが飽和したDMSOまたはDMFの飽和溶液中に投入し、多面体RDXの角部および辺のみを攪拌・加温処理にて溶解させることにより、従来のRDXでは達成することが難しかった生産性を向上させた低コストの球状化したRDXを製造することが可能となる。
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。
本実施形態に係わる化合火薬類は、例えば、PBX等の爆薬組成物の主成分として用いられるRDXとする。
次に、使用する有機溶剤の選定について述べる。
有機溶剤として、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、DMSO、DMF、アセトン、アセトニトリル等の温度に対するRDXの溶解度を調査した結果を図1、表1に示す。
図1、表1より、DMSO、DMFの溶解度曲線の傾きが大きい結果となった。これは、わずかな温度上昇で溶解度が高いことを示しており、一度に処理する能力が高いことがわかった。特に、DMSOを50℃で60質量%以上溶解させることができ、処理量を大きくすることが可能となる。また、図1、表1よりRDX投入量、飽和溶液量、溶解度を把握することで、狙い値まで温度を上昇させれば球状化処理が可能となり、短時間での球状化処理が可能となる。
Figure 0005253762
本発明の特徴の一つは、有機溶剤へのRDXの溶解度が温度に依存し、且つ有機溶剤の種類によって温度依存性(温度変化による有機溶剤へのRDXの溶解量=溶解度差)が異なることに着目していることにある。
代表的な有機溶剤へのRDXの溶解度と温度との関係は、図1、表1に示す通りである。
特許文献1では、RDXの球状化処理のための有機溶剤(RDXが溶解し、飽和している)としてシクロヘキサノンを用いている。本発明と同様に特許文献1でも球状化処理する原料RDXをRDXが飽和した有機溶剤に投入し、加温して原料RDXの一部を溶解するとともに、撹拌することにより原料RDXの球状化が達成される。
しかし、特許文献1で使用しているシクロヘキサノンへのRDX溶解度の温度依存性が小さいため、球状化処理量を増やすためには、有機溶剤の使用量を増大させるか、加温時の温度を高温にしなければならない。有機溶剤の使用量の増大は、球状化処理設備の大型化につながり、処理温度を高温にすることは、熱エネルギー供給設備の能力増大や熱エネルギー消費量の増大につながる課題があった。
例えば、20℃のRDXが飽和溶解したシクロヘキサノンを100℃まで加温することで、RDX13g/シクロヘキサノン100mlの溶解度差が生じるのに対して、本発明で用いるDMF,DMSOでは20℃のRDXが飽和した溶解液を40℃に加温することにより、同じ溶解度差を作り出せる。すなわち、本発明は、特許文献1よりも有機溶剤使用量の低減、加温するための熱エネルギーの削減が可能となる。
有機溶剤の使用量は、製造設備投資にも影響し、有機溶剤使用量が少ないほど処理設備をコンパクトにすることができる。熱エネルギーを負荷するための設備能力も、特許文献1より簡素化できる。球状化を達成するための加温時の温度変化が小さければ、球状化処理に要する時間も短縮される。
また、特許文献1にはない本発明の特徴の一つとして、球状化処理するのに最適な形状に原料RDXを再結晶化させることがある。特許文献1では、不定形形状のRDXを攪拌および加温し、アルコールで洗浄して得られるRDXの球状化の方法が開示されている。しかし、不定形状のRDXは、結晶表面に孔やクラックなどの外部欠陥が多数存在し、結晶角部や辺部に加えてこれらの外部欠陥を溶解(排除)して球状化を達成するためには、有機溶剤(飽和液)への原料RDXの溶解量を多くする必要がある。これには前述した有機溶剤の使用量や温度条件管理、さらに処理効率の低下につながる課題があった。
本発明では、結晶表面に孔やクラックがなく、角部および辺部を溶かした場合に球状状態になりやすい形状、すなわち八面体や十面体のような多面体で析出された再結晶RDXを球状化処理する材料(RDX)とすることにより、球状化の処理時間を短縮することが可能になる。
さらに、特許文献1では、球状化処理後に処理したRDXをアルコールで洗浄していたが、洗浄工程のための有機溶剤が必要となり、コスト高になる課題があった。水を用いて洗浄できればコスト低減ができるが、特許文献1で用いられたシクロヘキサノンは水との相溶性がないため、洗浄溶剤として水を使用することができない。
本発明で用いるDMF,DMSOは、水と相溶性のある有機溶剤であるため、洗浄溶剤として水を用いることができ、洗浄工程のコスト低減ができる。
(第1実施形態)
球状化に使用する多面体RDXの製造方法について述べる。
図2は、多面体RDX製造装置の概要図を示す。
セパラブルフラスコ(下)4に不定形形状のRDX200g(乾燥品:クラスA)と、予めRDXを過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液400ml(DMSO)とを投入後、セパラブルフラスコ(上)(下)3,4をクランプ等で密閉し、良溶媒中に熱電対2が浸るようにセパラブルフラスコ(上)3に固定させ、攪拌機1を稼動することにより、フラスコ内の攪拌翼6を攪拌させ、溶液中のRDXを流動状態とし、RDX結晶同士が常に溶液中で接触する状態にさせる。
その後、ジャッキ8を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)4をオイルバス7に浸してセパラブルフラスコ(下)4内のRDX/DMSO混合液を100℃まで上昇させ、RDX溶解液5とする。
100℃を数分維持後、セパラブルフラスコ(下)4内のRDXが完全に溶解したことを確認後、ジャッキ8を下降させ、セパラブルフラスコ(下)4内のRDX溶解液を常温まで冷却させることにより、RDXを再結晶化させ、多面体形状のRDXを得る。
なお、得られるRDXの粒子径は、冷却速度(1〜20℃/min)および攪拌翼6の回転速度(50〜2000rpm)により平均粒子径として100〜1000μmの範囲で調整が可能である。
図7は、RDX粒子(RDXクラスA)を撮影した電子顕微鏡写真である。結晶が不定形の形状であることがわかる。
図8は、正多面体処理したRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。結晶の不定形な形状が解消され正八面体や正十面体の形状を有することがわかる。
(球状化加温時間確認試験)
セパラブルフラスコ(下)4に多面体処理したRDX200g(平均粒子径:200μm)と、予めRDXを過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液400ml(DMSO)とを投入後、セパラブルフラスコ(上)(下)3,4をクランプ等で密閉し、良溶媒中に熱電対2が浸るようにセパラブルフラスコ(上)3に固定させ、攪拌機1を稼動することにより、フラスコ内の攪拌翼6を攪拌させ、溶液中のRDXを流動状態とし、RDX結晶同士が常に溶液中で接触する状態にさせる。
その後、ジャッキ8を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)4をオイルバス7に浸して除々にオイルバスの設定温度を上げ、セパラブルフラスコ(下)4内のRDX/DMSO混合液を加温し、常温から5℃上昇毎にサンプリングし結晶形状を観察した。
図9は、常温(20℃)から加温し、RDX/DMSO混合液温度が25℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。RDX粒子の辺部が徐々に消滅し結晶角部に丸みを帯びてきたことが観察された。
なお、この時点(25℃)で飽和液中に溶解した多面体RDXの質量%は溶解度データ(図1、表1)より6質量%溶解していた。(3g×4(100ml)=12g溶解したものと判断→12g/200g=6質量%)
図10は、その後、RDX/DMSO混合液温度が30℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。RDX粒子の辺部が丸みを帯び且つ角部にも丸みを帯びてきたことが観察された。結晶辺部がなくなり、粒子全体が丸みを帯びてきたことがわかる。
なお、この時点(30℃)で飽和液中に溶解した多面体RDXの質量%は溶解度データ(図1、表1)より12質量%溶解していた。(6g×4(100ml)=24g溶解したものと判断→24g/200g=12質量%)
図11は、その後、RDX/DMSO混合液温度が35℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。粒子形状に角部、辺部が存在した痕跡は見受けられず、ほぼ真球形状に近い形状であることが確認でき、この状態のRDXを球状化RDXとすることにした。
なお、この時点(35℃)で飽和液中に溶解した多面体RDXの質量%は溶解度データ(図1、表1)より20質量%溶解していた。(10g×4(100ml)=40g溶解したものと判断→40g/200g=20質量%)
その後、RDX/DMSO混合液温度を上げていき、サンプリングを行った結果、真球形状を維持した形状のままであることを確認した。
上記の通り、20質量%以上の時、真球形状に近い形状の球状化RDXが得られる。
また、不足した場合は、球状化RDXを得ることができない。
ここで、上限値について説明する。
溶剤は、多面体RDXに対して1.4倍の溶解能力を有している。(MAX溶解度:RDX140g/DMSO100g 液温 150℃)
従って、球状化RDXを得るためには、20質量%〜140質量%となるが、20質量%以上で増えていくと、溶解量が増えるため、粒度が細かくなる傾向にあり、140質量%ではなくなってしまう。
収率及びコスト等を考慮すれば、20質量%の飽和液が好ましい。
但し、粒度等の指定がある場合には、20質量%〜140質量%の範囲を使って、球状化RDXの粒度(例えば、平均粒子径で100μmや50μm)の調整・コントロールが可能となる(必然的に収率は悪くなる)。
(球状化加温時間確認試験)
セパラブルフラスコ(下)4に多面体形状RDX200gと、予めRDXを過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液400ml(DMSO)とを投入後、セパラブルフラスコ(上)(下)3,4をクランプ等で密閉し、良溶媒中に熱電対2が浸るようにセパラブルフラスコ(上)3に固定させ、攪拌機1を稼動することにより、フラスコ内の攪拌翼6を攪拌させ、溶液中のRDXを流動状態とし、RDX結晶同士が常に溶液中で接触する状態にさせる。
オイルバス7は、段落『0019』で行った試験で粒子形状に角部、辺部が存在した痕跡は見受けられない形状、すなわち球状化が完了したと判断した温度35℃に設定し、オイルが35℃まで温度上昇するまで待つ。
その後、ジャッキ8を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)4をオイルバス7に浸してセパラブルフラスコ(下)4内のRDX/DMSO混合液を加温した。この際の加温時間、すなわち35℃までの到達時間(球状化処理時間)は10分程度で完了する。
その後、溶解液温度を下げないように直ちにろ過を行った。これは、溶解液が冷却されることにより過飽和状態となり、再結晶化(多面体結晶の析出)を防止することを目的している。
得られたRDXを水にて洗浄し、再びろ過を行う。
ろ過後に得られたRDXの形状を観察すると、段落『0019』で行った試験と同等の状態であることが確認できた。
洗浄工程では、DMSO、DMFは水と相溶する溶剤であるため、従来のエタノール等の溶剤を使用せずに貧溶媒である水での洗浄が可能となり、低コストでの生産が可能であり、エタノール中にRDXは若干溶解する為、洗浄に使用した場合のRDX損失も防止できる。
また、乾燥後に得られた球状化RDXの質量を測定した結果、投入量に対して80質量%すなわち160gの球状化RDXが得られた結果となり、平均粒子径は150μmであった。
また、段落『0019』で行った試験のように、さらに温度を上げていくと、球状化状態を維持し、且つ粒子径はさらに小さくなっていく。よって、150μmより小さい球状化RDXを得ようとした場合、加温温度を上昇(ここでは35℃以上に加温)させることにより粒子径のコントロールが可能になる。
図11は、球状化加温時間確認試験で得られたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。結晶が球状化されていることがわかる。
次に、RDXの球状化状態を評価する為の流動性評価試験について説明する。
RDXおよび球状化RDXの流動性を比較・評価するために硬化前のPBX(爆薬組成物)に粘度計を挿入し試験を行った。
PBXの製造は、バインダー(HTPB:末端水酸基ポロブタジエン)15.36質量%にアルミニウム(平均粒子径:30μm)を加え、圧力50Pa、温度60℃で20分混和し、次に、各配合率のシクロトリメチレントリニトラミン(RDX)を64質量%(200μm)を加え、圧力50Pa、温度60℃で40分混和し、次に、硬化剤を0.64質量%加え、圧力50Pa、温度60℃で20分混和し、混合物(硬化前PBX)とした。
次に、図3〜図5に示すように、混合物(硬化前PBX)11を58℃に暖められた注型用ホッパーに移し、注型槽を圧力50Pa、温度60℃にして鋼管12内に注型を行った後、鋼管12上側から混合物(硬化前PBX)11の温度を一定温度にするため、加温装置14を取り付ける。
次に、図6に示すように、ホース15より温水60℃を加温装置に流し込み、鋼管12内の混合物(硬化前PBX)11を加温後、鋼管12内混合物(硬化前PBX)11の中央部付近に粘度計ローター10を設置し、30分毎に、30分経過時、60分経過時、90分経過時の計3回、粘度計9により粘度測定を行った。その結果を図12および表2に示す。
表2より、RDXの粘度は、85Pa・s近辺の値を示し、球状化RDXは53Pa・s近辺の値となり、球状化処理すると40%程度粘度が低下する結果となった。
以上の結果から、球状化RDXをPBX等の炸薬組成物に用いた場合、粘度を低下することにより、流動性が向上することが確認できた。
Figure 0005253762
(比較例1)
(不定形形状のRDXを球状化処理材料に用いた試験)
セパラブルフラスコ(下)4に不定形形状のRDX200g(クラスA:平均粒子径200μm)と、予めRDXを過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液400ml(DMSO)とを投入後、セパラブルフラスコ(上)(下)3,4をクランプ等で密閉し、良溶媒中に熱電対2が浸るようにセパラブルフラスコ(上)3に固定させ、攪拌機1を稼動することにより、フラスコ内の攪拌翼6を攪拌させ、溶液中のRDXを流動状態とし、RDX結晶同士が常に溶液中で接触する状態にさせる。
その後、ジャッキ8を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)4をオイルバス7に浸して除々にオイルバスの設定温度を上げ、セパラブルフラスコ(下)4内のRDX/DMSO混合液を加温し、常温から10℃上昇毎にサンプリングし結晶形状を観察した。
常温(20℃)から加温し、RDX/DMSO混合液温度が30℃時にサンプリングしたRDX粒子は不定形の状態であった。
RDX/DMSO混合液温度が40℃時にサンプリングしたRDX粒は不定形のままであった。
RDX/DMSO混合液温度が50℃時にサンプリングしたRDX粒子は球状化の傾向が若干見受けられた。
図13は、RDX/DMSO混合液温度が60℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。球状化の傾向が見受けられたが、粒子表面にRDXの痕跡が残っていた。
また、粒度を測定した結果、80μmとなり、大幅に粒子径が小さくなる結果となった。
60℃まで溶液を上昇させた場合、溶解度データから投入量に対してRDXを60質量%DMSO中に溶解させないと球状化が不可能である結果となった。
多面体RDXを球状化処理した場合と比較すると、球状化処理時間の延長、粒子径の大幅な減少、エネルギーの増大、また球状化処理後に結晶表面の問題、収率の低下の問題が発生し、球状化処理の材料にはRDXは不適格であることを確認した。
図13から明らかなように、波線丸部で囲ったように粒子表面にRDXに存在した凹凸の痕跡が見受けられた。
(比較例2)
(シクロヘキサノンを用いた試験)
セパラブルフラスコ(下)4に多面体形状RDX200gと、予めRDXを過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液400ml(シクロヘキサノン)とを投入後、セパラブルフラスコ(上)(下)3,4をクランプ等で密閉し、良溶媒中に熱電対2が浸るようにセパラブルフラスコ(上)3に固定させ、攪拌機1を稼動することにより、フラスコ内の攪拌翼6を攪拌させ、溶液中のRDXを流動状態とし、RDX結晶同士が常に溶液中で接触する状態にさせる。
オイルバス7は、段落『0022』で行った試験(DMSO使用)で粒子形状に角部、辺部が存在した痕跡は見受けられない形状、すなわち球状化が完了したと判断した温度35℃に設定し、オイルが35℃まで温度上昇するまで待つ。
その後、ジャッキ8を上昇させ、セパラブルフラスコ(下)4をオイルバス7に浸してセパラブルフラスコ(下)4内のRDX/シクロヘキサノン混合液を加温した。この際の加温時間は、段落『0019』と同様に10分程度で完了する。
その後、溶解液温度を下げないように直ちにろ過を行った。
得られたRDXをエタノールにて洗浄し、再びろ過を行う。
図14は、ろ過後に得られたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。RDXの形状を観察すると多面体結晶のままであることが確認された。
有機溶剤として、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、DMSO、DMF、アセトン、アセトニトリル等の温度に対するRDXの溶解度を調査した結果を図である。 第1実施形態および比較例におけるRDX再結晶化装置および球状化装置の概略図である。 硬化前のPBXの概略を示す断面図である。 硬化前のPBXの概略を示す平面図である。 流動性評価試験の概略図である。 PBXおよび加温装置取付時の概略図(上面)である。 RDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 多面体処理したRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 RDX/DMSO混合液温度30℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 RDX/DMSO混合液温度40℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 球状化処理したRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 RDXと球状化処理したRDXの流動性を比較・評価するために硬化前のPBXに粘度計を挿入し試験した結果を示す図である。 比較例1における、RDX/DMSO混合液温度が60℃時にサンプリングしたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。 比較例2における、ろ過後に得られたRDX粒子を撮影した電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 攪拌機
2 熱電対
3 セパラブルフラスコ(上)
4 セパラブルフラスコ(下)
5 RDXおよび飽和溶液
6 攪拌翼
7 オイルバス
8 ジャッキ
9 粘度計
10 ローター
11 混合物(硬化前PBX)
12 鋼管
13 板
14 加温装置
15 温水ホース

Claims (6)

  1. シクロトリメチレントリニトラミン(以下、RDXと称する)をジメチルスルホキシド(以下、DMSOと称する)またはジメチルホルムアミド(以下、DMFと称する)で溶解し再結晶化することにより多面体化したRDXを生成する工程と
    RDXをDMSOまたはDMFに溶解させた飽和溶液中に前記多面体化したRDXを投入し、除々に攪拌および加温処理させながら前記多面体化したRDXを球状化する工程
    とを有することを特徴とするRDXの球状化方法
  2. 請求項1のRDXの球状化方法において、
    前記多面体化したRDXを球状化する工程では、前記多面体化したRDXの20質量%以上を前記飽和溶液中に溶解させる
    ことを特徴とするRDXの球状化方法
  3. 請求項1または請求項2記載のRDXの球状化方法において、
    前記多面体化したRDXを球状化する工程では、前記多面体化したRDXの角部および辺のみを溶解する
    ことを特徴とするRDXの球状化方法
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか記載のRDXの球状化方法において、
    前記多面体化したRDXを球状化する工程では、予めRDXをDMSOまたはDMFに過剰に溶解させた過飽和溶液よりRDX結晶を取り除いた飽和溶液中に前記多面体化したRDXを投入する
    ことを特徴とするRDXの球状化方法。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか記載のRDXの球状化方法において、
    前記多面体化したRDXを球状化する工程では、前記RDXを再結晶化することにより多面体化したRDXを生成する工程と、前記多面体化したRDXを球状化する工程とを継続して行う
    ことを特徴とするRDXの球状化方法。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか記載のRDXの球状化方法において、
    前記多面体化したRDXを球状化する工程の後に、加温溶解後、溶解温度を下げないように直ちに、ろ過を行う工程を追加する
    ことを特徴とするRDXの球状化方法。
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