JP5253368B2 - 複合シート - Google Patents
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Description
本発明の複合シートは、複数の開口部を有する織物状シートと、この織物状シートの両面に形成され、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂(以下、単に「熱可塑性ポリウレタン樹脂」と記す場合がある)を含む樹脂成分、及び、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.0005〜1質量部のレーザー光エネルギー吸収剤を含有する樹脂含有材料からなる熱可塑性樹脂層と、を備えている。そして、上記織物状シートは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種からなるメッシュクロスまたは不織布であり、樹脂含有材料の一部が織物状シートの開口部に浸入して、開口部の全てを閉塞し織物状シートに熱可塑性樹脂層が一体化されてなるものである。このような複合シートは、柔軟性やソフト感に優れ、かつ、強度、耐熱性及び耐久性や他のシートとの加熱融着性に優れるとともに、レーザーマーキング性に優れる。別言すれば、上記構成とすることによって、本発明の複合シートは、織物状シートが有する強度、剛性、及び耐熱性、並びに、熱可塑性ポリウレタン樹脂が有する柔軟性、低温特性、及び加熱融着性の各特性がバランス良く発揮され、更に、レーザー光線の照射によって、文字、画像などが良好に発現する(良好にマーキングされる)ものである。
織物状シートは、複数の開口部を有するものであり、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種からなるメッシュクロスまたは不織布である。このように、複数の開口部を備えることで、織物状シートと熱可塑性樹脂層を一体化させることができる。即ち、複合シートの製造に際し、樹脂含有材料が複数の開口部に浸入し、開口部の全てを閉塞するため、織物状シートと熱可塑性樹脂層が一体化する。この一体化は、具体的には、溶融させた樹脂含有材料を加圧することで、樹脂含有材料の一部を織物状シートの開口部に浸入させた後、織物状シートの開口部に浸入した樹脂含有材料を開口部を介して織物状シートの両面に配置して、熱可塑性樹脂層を形成することによって行うことができる。このようにして織物状シートと熱可塑性樹脂が一体化した平坦な表面を有する複合シートが得られる。また、上記材質からなるメッシュクロスまたは不織布であることによって、裁断した際の寸法精度が良好になるという利点がある。即ち、特許文献2に記載されているヒンジシートは、糸で構成される織物を用いているため、一定の寸法に切断した際の寸法精度が悪いという問題があるが、本発明の複合シートであれば、良好な寸法精度が得られる。
式(1):開口率(%)=P1×P2/(L/2+P1+L/2)×(L/2+P1+L/2)×100
但し、P1は開口部の縦辺の長さ、P2は開口部の横辺の長さ、Lは開口部の周囲に配置される繊維の直径である。なお、上記(式1)における「L/2」は繊維の中心までの長さ、即ち、繊維の直径の1/2の長さを示すものである。
熱可塑性樹脂層は、織物状シートの両面に形成され、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む樹脂成分、及び、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.0005〜1質量部のレーザー光エネルギー吸収剤を含有する樹脂含有材料からなるものである。そして、樹脂含有材料の一部が織物状シートの開口部に浸入して、開口部の全てを閉塞することによって、織物状シートに熱可塑性樹脂層が一体化されている。この熱可塑性樹脂層は、織物状シートの開口部に、溶融させた樹脂含有材料の一部を浸入させた後、非開口化されており、織物状シートの両面に層状となるように形成されている。なお、織物状シートの両面には、均一な厚さの熱可塑性樹脂層が形成されていることが好ましい。そして、織物状シートの一方の面の熱可塑性樹脂層と他方の面の熱可塑性樹脂層とは、その厚さが同じであることが好ましい。
樹脂含有材料は、上述したように、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む樹脂成分、及び、上記熱可塑性ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.0005〜1質量部のレーザー光エネルギー吸収剤を含有するものである。無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂を含むことにより、織物状シートと熱可塑性樹脂層とを一体化させた複合シートにおいて、熱可塑性ポリウレタン樹脂が有する柔軟性が発揮されるとともに、低温時においても柔軟性が維持され、更には、他のシートとの加熱融着性も発揮される。そして、織物状シートと複合化しているため、本発明の複合シートは、柔軟性を維持しつつ、剛性、耐熱性及び強度が付与される。即ち、これらの両者を複合化することにより、熱可塑性ポリウレタン樹脂単独、織物状シート単独では得られない特性を有するシートが得られる。更に、良好な耐経時劣化性を有し、レーザーマーキング性に優れたシートを得ることができる。即ち、長期経時安定性を有し、レーザーマーキングした際にマーキング部分と非マーキング部分とのコントラストが鮮明なシートを得ることができる。なお、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂とは、紫外線による劣化や変色が生じ難いものであり、具体的には、日本ミラクトラン株式会社の無黄変タイプのものなどを挙げることができる。
樹脂成分には、熱可塑性ポリウレタン樹脂以外に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、共重合ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などのその他の熱可塑性樹脂を更に含むことができる。これらの中でも、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、共重合ポリエステル樹脂が好ましく、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂が更に好ましい。なお、その他の熱可塑性樹脂は、単独または2種以上を使用することができる。その他の熱可塑性樹脂を含有させることにより、得られる複合シートのレーザーマーキング性や柔軟性を損なうことなく、剛性や耐熱性を向上させることができる。
樹脂含有材料には、剛性や耐熱性を向上させる目的で、無機フィラー及び有機繊維(有機ファイバー)から選ばれる1種以上の強化材を更に含有することが好ましい。無機フィラーとしては、例えば、雲母、マイカ、ミクロマイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等を挙げることができる。有機ファイバーとしては、例えば、ポリエステル繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維(PPS繊維)、ナイロン繊維などの有機繊維などを挙げることができる。
本発明の複合シートは、例えば、溶融させた樹脂含有材料(具体的には、170〜240℃で溶融させることが好ましい。)を、Tダイ押出機によって押し出した後、織物状シートの一方の面に配置し、その後、織物状シートに溶融状態の樹脂含有材料を圧着することによって製造することができる。即ち、溶融状態の樹脂含有材料を織物状シートに圧着することによって、溶融状態の樹脂含有材料を、織物状シートの両面及び開口部内に配置する。このように製造した複合シートは、織物状シートの表面側に位置する熱可塑性樹脂層(表面側熱可塑性樹脂層)と裏面側に位置する熱可塑性樹脂層(裏面側熱可塑性樹脂層)とが溶融状態で開口部に浸入した樹脂含有材料により連結形成(一体的に形成)されるため、剥離強度に優れるという利点がある。
本発明の複合シートは、上述したように、各種RFIDタグ用途、例えば、ランドリー等のリネンタグ、リストバンド等の装着用タグ、生産管理や商品管理等のタグ等の用途が挙げられ、更には電子パスポートにも好適に用いることができる。
本発明の複合シートは、レーザー光線を照射することによって、所望の文字、画像などをマーキングすることができる。レーザー光線としては、He−Neレーザー、Arレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等の気体レーザー、YAGレーザー、Nd・YVO4レーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザー等を用いることができる。これらのうち、YAGレーザー、Nd・YVO4レーザーが好ましい。
シートを100枚重ねて、110×300mmに打ち抜き刃でカット時のカット性を以下の判定基準で評価して、断裁加工性を評価した。
<判定基準>
○:断裁加工性が良好である。
△:断裁加工性に問題はないが、最上段と最下段のカット後の寸法が異なる。
×:断裁加工性に問題あり。
幅10mm×長さ100mmのカットシートを作製、そのカットシートを図4のように、台より5cm長だけ張り出させた後、試験片であるカットシートの貼りだし部の垂れる程度を測定して、以下の判定基準で評価して、シートの柔軟性を評価した。より具体的には、図4に示されるように、カットシート61を、水平台63に載置し、そのカットシート61の上部を支持板65で押さえて、図5に示されるように、カットシート61の貼りだし部61aの垂れる程度を測定した。
<判定基準>
◎:シートの“垂れ”が、2cm以上となり優れている。
○:シートの“垂れ”が、1〜2cm未満となり良好である。
△:シートの“垂れ”が、0.4〜1cm未満となり不具合が生じやすい。
×:シートの“垂れ”が、0.4cm未満となり悪い。
図6に示されるように、20×100mmのヒンジシート試験片を作製し、その下に紙を敷き、工業用ミシンにて、ピッチ=5mmでミシン穴67をあけ、その後、紙を除去した後、試験速度=300mm/分で図に示される矢印X,Y方向に引っ張る引張試験を行い、ミシン部強度(N/cm)を測定し、以下の判定基準にて評価した。
<判定基準>
◎:ミシン部強度=40(N/cm)以上、または、ミシン部以外で破壊が生じ、その強度が、強度=40(N/cm)以上であり極めて優れている。
○:ミシン部強度=20(N/cm)以上、40(N/cm)未満であり良い。
△:ミシン部強度=15(N/cm)以上、20(N/cm)未満であり不具合が生じやすい。
△△:ミシン部強度=10(N/cm)以上、15(N/cm)未満であり、不具合が若干見られる。
×:ミシン部強度=10(N/cm)未満であり悪い。
300×300mmにカットした後、水平台上にシートをおき、端部が水平台より持ち上がっている高さを測定して、以下の基準により評価した。
<判定基準>
◎:各端部の高さが0.1mm以下であり極めて優れている。
○:各端部の高さが1mm未満であり良い。
△:各端部の高さが3mm以未満であり不具合が生じやすい。
×:各端部の高さが3mm以上であり悪い。
300×300mmにカットした後、1mm厚のテフロンシートの上に、水平にシートをおき、150℃×10分後の状態を観察して、以下の基準により評価した。
<判定基準>
◎:シートに全く“カール”がみられない。
○:シートにわずかに“カール”が認められるが、問題なく使用できる。
△:シートの“カール”が大であり、ミシン綴じに不具合が生じる。
△△:筒状にカールするまではならいないものの、シートの“カール”が大であり、ミシン綴じに不具合が生じている。
×:シートが“筒状にカール”し、使用不可である。
50×90mmにカットした後、QUV促進耐侯性試験機を用いて、100時間試験を行った後、取り出して、未試験品との色差(ΔE)及びシートの柔軟性を指触試験により評価し、以下の基準により経時劣化安定性を評価した。なお、このQUV促進耐侯性試験条件としては、照射エネルギー=1.6mW/cm2、温度=63℃にて行った。
<判定基準>
◎:ΔEが3未満で極めて優れ、かつ、柔軟性においても極めて優れている。
○:ΔEが6未満で良く、かつ、柔軟性も良い。
△:ΔEが6以上で不具合が生じやすいが、柔軟性は良く、全体として支障が生じやすい、若しくは、ΔEが6未満で良いが、柔軟性で不具合が生じやすく、全体として支障が生じやすい。
×:ΔEが6以上で不具合が生じやすく、さらに柔軟性で不具合が生じやすく、全体として悪い。
Nd・YVO4レーザー(商品名「LT−100SA」、レーザーテクノロジー社製、及び、商品名「RSM103D」、ロフィンシナール社製)を使用して、レーザーマーク性を評価した。具体的には、レーザーマーク性は400mm/秒のレーザー照射速度にてマーキングを行い、コントラストの良否、表面層破壊など異常の有無から判定した。
<判定基準>
○:コントラスト比3以上、表面層破壊、樹脂焼けなし。
△:コントラスト比2以上で3未満、表面層破壊、樹脂焼けなし。
×:コントラスト比2未満及びまたは表面層破壊、樹脂焼けあり。
無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂(無黄変TPU)(樹脂成分)として、日本ミラクトラン株式会社製の「ミラクトラン XN−2004」(硬度(Shore−A)95)を使用するとともに、ポリエステルからなるメッシュクロス(以下、「ポリエステルメッシュクロス」と記す場合がある)として、日本特殊織物株式会社製のモノフィラメント ポリエステル「TNo−80−48」(繊維径48μm、厚さ80μm、開口率72%)を使用した。上記無黄変TPUに、上記無黄変TPU100質量部に対して、レーザー光エネルギー吸収剤として0.0005質量部のカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合した後、押出機にて185℃で溶融押出成形することによりペレット化した。その後、所定の乾燥条件(80℃で4時間以上)にて乾燥させて無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂組成物ペレット(樹脂含有材料)を得た。
実施例1と同様の無黄変熱可塑性ポリウレタン樹脂(無黄変TPU)80質量%と、アクリル樹脂(旭化成ケミカルズ株式会社製の「デルペット980N」)20質量%とからなる混合物(樹脂成分)を用意し、この混合物に、上記混合物100質量部に対して、レーザー光エネルギー吸収剤として0.0010質量部のカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合して樹脂混合物(樹脂含有材料)を得、得られた樹脂混合物を押出機にて210℃で溶解し、コンパウンドペレット化した後、所定の乾燥条件(100℃で3時間)で乾燥してペレットを得た。その後、得られたペレットをTダイ押出機内にて210℃で溶解し、実施例1と同様にして、ポリエステルメッシュクロスと、その両面に形成された上記樹脂混合物からなる熱可塑性樹脂層とを備え、これらが一体化した、総厚み150μmの複合シート〔2〕を成形した。成形した複合シート〔2〕について、上記評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1と同様の無黄変熱可塑性ポリウレタン樹脂(無黄変TPU)80質量%と、耐熱透明ABS樹脂(テクノポリマー株式会社製の「テクノABSH814」)20質量%とからなる混合物(樹脂成分)を用意し、この混合物に、上記混合物100質量部に対して、レーザー光エネルギー吸収剤として0.0010質量部のカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合して樹脂混合物(樹脂含有材料)を得、得られた樹脂混合物を押出機にて210℃で溶解し、コンパウンドペレット化した後、所定の乾燥条件(100℃で3時間)で乾燥してペレットを得た。その後、得られたペレットをTダイ押出機内で210℃で溶解し、実施例1と同様にして、ポリエステルメッシュクロスと、その両面に形成された上記樹脂混合物からなる熱可塑性樹脂層とを備え、これらが一体化した、総厚み150μmの複合シート〔3〕を成形した。成形した複合シート〔3〕について、上記各評価を行った。評価結果を表1に示す。
日本ミラクトラン株式会社製の無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂「ミラクトラン XN−2004」(硬度(Shore−A)95)を用意し、この無黄変タイプTPUに、上記無黄変タイプTPU100質量部に対して、レーザー光エネルギー吸収剤として0.0010質量部のカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合して樹脂混合物(樹脂含有材料)を得、得られた樹脂混合物を押出機にて185℃で溶解し、コンパウンドペレット化した後、所定の乾燥条件(80℃で4時間)で乾燥してペレットを得た。このペレットをTダイ押出機内で185℃にて溶解した後、押出成形して、厚み150μmのTPUシート〔4〕を得た。得られたTPUシート〔4〕について、上記各評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、表2中、「PETクロス」とは、ポリエステルメッシュクロスを示し、「TPU/PETクロス」とは、TPUとポリエステルメッシュクロスとを使用したことを示し、「単独LM」とは、レーザーマーキング可能な単層のシートであることを示し、「単独」とは、単層であることを示し、「複合LM」とは、レーザーマーキング可能な複合化したシートであることを示し、「擬似積層構造」とは、熱可塑性樹脂層が織物状シートの開口部に一部浸入しただけで開口部の全てが閉塞しない状態(構造)であることを示す。
日本特殊織物株式会社製のモノフィラメント ポリエステル(ポリエステルメッシュクロス)「TNo−80−48」(繊維径48μm、厚さ80μm、開口率72%)について、上記各評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1の無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂(日本ミラクトラン株式会社製の「ミラクトラン XN−2004」(硬度(Shore−A)95))に代えて、エーテルタイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂(日本ミラクトラン株式会社製の「ミラクトラン E395」(硬度(Shore−A)95))を用いた以外は、実施例1と同様にして、複合シート〔6〕を成形した。成形した複合シート〔6〕について、上記評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1のポリエステルメッシュクロスに代えて、日本特殊織物株式会社製のモノフィラメント ポリエステルメッシュクロス「TNo−150T」(繊維径54μm、厚さ84μm、開口率46%)を使用した以外は、実施例1と同様にして、複合シート〔7〕を成形した。成形した複合シート〔7〕について上記評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1の無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂(無黄変TPU)に代えて、特殊プロピレン系樹脂(TAF)(住友化学株式会社製の「タフセレン T3522」、硬度(Shore−D)78)を用意し、このTAFに、上記特殊プロピレン系樹脂100質量部に対して、レーザー光エネルギー吸収剤として0.0005質量部のカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合して混合物(樹脂含有材料)を得、得られた混合物を押出機にて200℃で溶解してコンパウンドペレット化した後、所定の乾燥条件(80℃で4時間)で乾燥してペレットを得た。その後、得られたペレットをTダイ押出機にて200℃で溶解し、実施例1と同様に押出成形して、ポリエステルメッシュクロスと、このポリエステルメッシュクロスの両面に形成されたTAFからなる熱可塑性樹脂層とを備え、TAFとポリエステルメッシュクロスとが完全一体化した、総厚み150μmの複合シート〔8〕を成形した。成形した複合シート〔8〕について、上記各評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、表2中、「TAF/PETクロス」は、TAFとポリエステルメッシュクロスとからなる複合シートのことを意味する。
実施例1の無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂(無黄変TPU)に代えて、熱可塑性ポリエステル樹脂(TPEE)(デュポン株式会社製の「ハイトレル 7272」、硬度(Shore−D)72)を用意し、このTPEEに、上記熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.0005質量部のレーザー光エネルギー吸収剤としてカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合して混合物(樹脂含有材料)を得、得られた混合物を押出機にて230℃で溶解してコンパウンドペレット化した後、所定の乾燥条件(80℃で4時間)で乾燥してペレットを得た。その後、得られたペレットをTダイ押出機にて230℃で溶解し、実施例1と同様に押出成形して、ポリエステルメッシュクロスと、このポリエステルメッシュクロスの両面に形成されたTPEEからなる熱可塑性樹脂層とを備え、TPEEとポリエステルメッシュクロスとが完全一体化した、総厚み150μmの複合シート〔9〕を成形した。成形した複合シート〔9〕について、上記各評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例1の無黄変タイプ熱可塑性ポリウレタン樹脂(無黄変TPU)に代えて、水添スチレン系樹脂(SEPS)(クラレ株式会社製の「セプトン 4033」、硬度(Shore−A)76)を用意し、このSEPSに、上記水添スチレン系樹脂100質量部に対して、レーザー光エネルギー吸収剤として0.0005質量部のカーボンブラック(三菱化学株式会社製の「#10」)を配合して混合物(樹脂含有材料)を得、得られた混合物を押出機にて210℃で溶解してコンパウンドペレット化した後、所定の乾燥条件(80℃で4時間)で乾燥してペレットを得た。その後、得られたペレットをTダイ押出機にて210℃で溶解し、実施例1と同様に押出成形して、ポリエステルメッシュクロスと、このポリエステルメッシュクロスの両面に形成されたSEPSからなる熱可塑性樹脂層とを備え、SEPSとポリエステルメッシュクロスとが完全一体化した、総厚み150μmの複合シート〔10〕を成形した。成形した複合シート〔10〕について、上記各評価を行った。評価結果を表2に示す。
表1,表2に示すように、実施例1の複合シート〔1〕は、断裁加工性に優れ、シートの柔軟性、ミシン部強度に優れ、シートのそりがなく、シートの耐熱性にも優れ、更には経時劣化安定性にも優れることに加え、レーザーマーキング性にも優れていることが確認できた。実施例2の複合シート〔2〕及び実施例3の複合シート〔3〕も、実施例1と同様に、断裁加工性に優れ、シートの柔軟性、ミシン部強度に優れ、シートのそりがなく、シートの耐熱性にも優れ、更には経時劣化安定性にも優れることに加え、レーザーマーキング性にも優れていることが確認できた。従って、実施例1〜3の複合シートは、例えば柔軟性と強度が要求されるRFIDタグ等のタグ用途に好適に使用することができ、また、電子パスポートは10年間の長期にわたり安心して使用できることが望まれており、このような電子パスポート用のシートとして好適に使用可能であることが確認できた。
Claims (6)
- 複数の開口部を有する織物状シートと、前記織物状シートの両面に形成され、無黄変タイプの熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む樹脂成分、及び、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂100質量部に対して、0.0005〜1質量部のレーザー光エネルギー吸収剤を含有する樹脂含有材料からなる熱可塑性樹脂層と、を備え、
前記織物状シートは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種からなるメッシュクロスまたは不織布であり、
前記樹脂含有材料の一部が前記織物状シートの前記開口部に浸入して、前記開口部の全てを閉塞し前記織物状シートに前記熱可塑性樹脂層が一体化されてなる複合シート。 - 前記レーザー光エネルギー吸収剤は、カーボンブラック及び金属酸化物の少なくともいずれかを含有している請求項1に記載の複合シート。
- 溶融させた前記樹脂含有材料を、Tダイ付押出機によって押し出した後、前記織物状シートの一方の面に配置し、その後、前記織物状シートに溶融状態の前記樹脂含有材料を圧着することによって得られる請求項1または2に記載の複合シート。
- 前記織物状シートの開口率が、50%以上で80%未満である請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合シート。
- 前記樹脂含有材料中の前記樹脂成分は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、共重合ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂から選ばれる1種以上の樹脂からなるその他の熱可塑性樹脂を更に含み、前記その他の熱可塑性樹脂の含有量が、前記熱可塑性ポリウレタン樹脂100質量部に対して、5〜30質量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合シート。
- 前記樹脂含有材料は、無機フィラー及び有機繊維から選ばれる1種以上の強化材を更に含有し、前記強化材の含有量が、前記樹脂成分100質量部に対して、5〜20質量部である請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合シート。
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