JP5252812B2 - 高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法に関する
従来の高分子電解質型燃料電池(以下PEFCと略称する)の停止方法においては、酸化剤物質及び還元剤物質の供給を遮断すると共に、PEFCスタック内に残存するこれら物質を窒素等の不活性ガス等によってパージを行っている(特許文献1参照)。また、その後のPEFCの停止中においても、一般的には、空気がPEFCスタック内に侵入しないように酸化剤流路及び還元剤流路に不活性ガス等を充填している(特許文献2参照)。これによって、PEFCスタック内の電極触媒層の酸化が防止され、PEFCの性能の劣化を防止することができる。また、PEFCの発電停止中に、セパレータの電位を所定の値に保って保管する方法も提案されている(特許文献3参照)。
他方で、高分子電解質膜―電極接合体(MEA;Membrane−Electrode−Assembly)の作製において、電極触媒層は、例えば、触媒層形成用塗料を調製し、当該塗料を高分子電解質膜表面に塗布することにより形成される。触媒層形成用塗料には溶媒としてアルコール成分が含有されている。例えば、白金−ルテニウム合金粒子、あるいは白金粒子を担持したカ−ボン粉末が触媒粉末とされ、この触媒粉末がパーフルオロカーボンスルホン酸高分子を含有するエチルアルコール分散液と混合されてペーストとされる。このペーストが、高分子電解質膜表面に塗工されることによって、電極触媒層が形成される。このアルコール成分からなる溶媒はMEA製造後も多孔質の電極触媒層の一部に入り込んで残存する。
ここで、高分子電解質膜と電極触媒層との界面のイオン抵抗が高くなるという欠点、さらには、電極触媒層と拡散電極層とが十分に接合されず、電極触媒層と拡散電極層との界面の電子抵抗が高くなるという欠点を改善する方法として、2枚の電極で高分子電解質膜を挟んだ挟持体を溶媒中で加熱、加圧し、一体化する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、予め溶媒を含んだ高分子電解質膜および/または電極触媒層を用い、実質上溶媒には浸漬しない状態で加熱および加圧する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この方法によると、一体化工程中にMEA内の溶媒が蒸発する為、溶媒による高分子電解質膜の膨潤が抑制され、高分子電解質膜と触媒層との界面の接合状態が良好なまま維持されるという効果が記載されている。
特開平6−251788号公報 特開平7−272738号公報 特開平5−258762号公報 特開平3−208262号公報 特開2002−93424号公報
特許文献1乃至3に例示されるように、発電開始後において電極触媒層が触媒活性温度に達している状況において空気など酸化物が接触すると電極触媒層が酸化し、性能が低下することは知られていた。
しかし、PEFCは、発電開始前であっても、PEFCスタックの組立製造後発電開始までの期間が長くなると、出力電圧の低下などの性能の劣化、特に出力電圧の電圧降下率の上昇が顕著に発現することを本発明者は見出した。本発明者の検証の結果、かかる性能の劣化は電極触媒上に残存する残留溶媒の酸化物がひとつの要因であることが分かった。
従来、このようなPEFCの発電開始前における性能の劣化については、当業者の間でもさほど関心が払われていなかった。このため、従来のPEFCの停止方法等は、供用開始後の対応であり、PEFCスタックの製造後からPEFCシステムに組み込まれる前までの電極触媒層の劣化の防止を図るものではなかった。つまり、従来のPEFCの性能劣化の防止方法は、PEFCシステムとしてPEFCの性能劣化の防止を図る方法となっている。具体的には、PEFCスタックの酸化剤流路及び還元剤流路に接続された配管等を通じて外部の周辺機器より不活性ガス等を供給する仕組みであるので、PEFCシステムに組み込まれる前、特に在庫時、運搬時のように単体状態のPEFCスタックには適用できないものであった。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制する高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、未設置状態のPEFCスタックの性能劣化の原因は、MEAの電極触媒層においてアルコール等の残留溶媒と酸素とが反応して酢酸等の酸化物が生成され、この酸化物によって触媒は被毒され、かかる被毒が長期に及ぶと電極触媒層の変質が進展して、電極触媒の性能が劣化しているものと推測した。また、特許文献4及び5においては、溶媒の蒸発によってMEA製造時における高分子電解質膜の膨潤を抑制することができるとしている。しかし、発明者らが検証した結果では未設置状態のPEFCスタックの性能劣化にはほとんど効果がなかった。これは、触媒電極層は多孔質体であることから、触媒電極層内部に入り込んでいる溶媒が蒸発せずに残留しているものと推測された。
発明者らは、これら推測に基づいて本発明に想到して、その効果を検証したところ、その効果があることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、入口及び出口を有しカソードを経由する酸化剤流路と入口及び出口を有しアノードを経由する還元剤流路とを有し、前記酸化剤流路の入口より酸化剤物質が供給され、前記還元剤流路の入口より還元剤物質が供給され、前記酸化剤物質及び前記還元剤物質が前記カソード及び前記アノードにおいて電気化学反応をして、発電を行うように構成された高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法であって、未設置状態の前記高分子電解質型燃料電池スタックを、前記カソード及び前記アノードの触媒層の面積あたり0.1A/cm 2 以上、0.4A/cm 2 以下の電流密度において所定の発電継続時間の間継続して発電させる発電処理ステップと、
前記発電処理ステップ後に前記酸化剤流路内及び前記還元剤流路内を減圧状態とする揮発除去ステップと、
前記減圧状態を維持する維持ステップと、を有する。このような構成とすると、減圧状態において酸化剤側電極触媒層及び還元剤側電極触媒層に残留する溶媒が揮発状態となるので、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に抑制することができる。また、減圧状態においては、酸化剤流路及び還元剤流路中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未満に容易に保つことができ、電極触媒層に残存する有機溶媒成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(有機溶媒成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、有機溶媒成分と部分酸化物との反応を含む)等を十分に防止できるので、この観点からも、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に抑制することができる。
ここで、未設置状態とは、高分子電解質型燃料電池スタックの組立製造後、設置場所にある燃料電池システムに組み込まれる前までの状態をいう。具体的には、高分子電解質型燃料電池スタックの酸化剤流路に燃料電池システムの酸化剤物質供給装置が接続される前までの状態、あるいは還元剤流路に燃料電池システムの還元剤物質供給装置が接続される前までの状態をいい、例えば、高分子電解質型燃料電池スタックが保存あるいは運搬される状態を言う。なお、高分子電解質型燃料電池スタックの組立製造後、設置場所にある燃料電池システムに組み込まれる前までの状態の高分子電解質型燃料電池スタックであって、高分子電解質型燃料電池スタック製造後の短期間の電気化学反応を行った後の高分子電解質型燃料電池スタックも未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックに含まれる。例えば、高分子電解質型燃料電池スタックの組立製造後、設置場所にある燃料電池システムに組み込まれる前までの状態の高分子電解質型燃料電池スタックであって、性能確認試験後の高分子電解質型燃料電池スタック、後述する発電処理後の高分子電解質型燃料電池スタックが未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックに含まれる。また、高分子電解質型燃料電池スタックの製造工程において本発明の保存方法を組み込むような場合も未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックに含まれる。例えば、MEAが積層されて仮締結状態で保存され、高分子電解質型燃料電池システムへの組込時あるいはその直前において、集電板、端板等が両端に配設されて高分子電解質型燃料電池スタックが最終的に組み上げられるという製造方法においては、この仮締結状態が実質的に高分子電解質型燃料電池スタックの未設置状態に該当する。
また、このような構成とすると、揮発除去ステップにおいて酸化剤側電極触媒層及び還元剤側電極触媒層に残留する溶媒の揮発が促進されるとともに、揮発した溶媒が高分子電解質型燃料電池スタック外に除去され、かつ維持ステップにおいて溶媒の揮発状態が維持されるので、高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制することができる。
さらに、このように高分子電解質型燃料電池スタックを発電させることにより、高分子電解質型燃料電池スタック内に残留している溶媒や金属等の異物を、電気化学反応による生成水とともに除去することができるので、高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化をさらに抑制することができる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電継続時間は、3時間以上であるとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電継続時間は、電圧変動が2mV/h以下になるまでの時間であるとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電処理ステップが前記高分子電解質型燃料電池スタック製造後300時間以内に行われるとよい。
以上のように、本発明によれば、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制する高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法を提供することができる。また、本発明によれば、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に防止できる高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の上記効果、他の効果、特徴及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
(第1参考形態)
本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存方法について説明する。
図1は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。図2は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体にふくまれるPEFCスタックの構造を示す分解斜視図である。
第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体300にふくまれるPEFCスタック200は、電気化学反応により発電する単電池(セル)100を積層して構成されている。図2に示すように、単電池(セル)100は、互いにほぼ同型の平面を有する、矩形板状のMEA100、カソードセパレータ15及びアノードセパレータ20を有して構成されている。そして、MEA10は、一方の面をカソードセパレータ15、他方の面をアノードセパレータ20が接するようにして挟まれている。セル100の積層方向端部は、集電板41,41、及び絶縁板42,42を介して端板43,43で挟まれ、端板43,43間が締結ボルト(図示せず)で両側から締結されて構成されている。PEFCスタック200は、家庭用コージェネレーションシステム、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、家電製品、携帯用コンピュータ装置、携帯電話、携帯用音響機器、携帯用情報端末などの携帯電気装置等のPEFCシステムに用いられる。
集電板41,41の電気端子41a,41aは、電気機器等の外部負荷と接続されて電気を出力する。PEFCスタック200には、酸化剤流路30及び還元剤流路40が形成されている。
酸化剤流路30は、酸化剤物質が、酸化剤流路入口部30aから供給され、各セル100に分岐し、各セル100流通後は、再び合流して酸化剤流路出口部30bよりPEFCスタック200外に排出されるように構成されている。また、一般的に、酸化剤流路30は、他の流路との交流はなく、酸化剤流路入口部30a及び酸化剤流路出口部30bが封止されると閉塞されるように構成されている。還元剤流路40も同様にして構成されている。本実施の形態では、酸化剤物質として、酸素あるいは空気が用いられる。また、還元剤物質として水素あるいは水素を含む物質が用いられる。
ここでは、PEFCスタック200片側の端板43に酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aが形成されている。還元剤流路40も同様にして構成されている。
なお、PEFCスタック200には、PEFCスタック200の温度を調整するために、水などの冷却剤が流通する冷却剤流路45も構成されている。冷却剤流路45は、酸化剤流路30及び還元剤流路40とは別個に構成されていて、冷却剤が、冷却剤流路入口部45aからPEFCスタック200内に供給され、PEFCスタック200内で分岐して積層された各セル100の間を流通して冷却剤流路出口部45bから外部に排出されるように構成されている。
ここで、セル100は、MEA10と、カソードセパレータ15と、アノードセパレータ20とを積層して構成されている。そして、図2に示すようにMEA10とカソードセパレータ15との間には酸化剤流路30が形成され、MEA10とアノードセパレータ20との間には還元剤流路40が形成されている。
図3は、MEAの基本構造を示す模式図である。
MEA10は、水素イオンを選択的に透過するイオン交換膜からなる高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を挟むように形成された、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする一対の電極触媒層(酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3)と、この一対の電極触媒層の外面に配設された一対の拡散電極層(酸化剤側拡散電極層4及び還元剤側拡散電極層5)とを備えて構成されている。この拡散電極層4,5は、通気性と電子伝導性を併せ持つように構成されている。例えば、多孔性構造を有している。
そして、酸化剤側電極触媒層2,酸化剤側拡散電極層4及びカソードセパレータ15がカソードを構成している。
また、還元剤側電極触媒層3,還元剤側拡散電極層5及びアノードセパレータ20がアノードを構成している。
次に以上のように構成されたPEFCスタック200の動作を説明する。酸化剤物質が酸化剤流路30を経由して各セル100に分岐して供給される。各セル100では、酸化剤物質がカソードに供給される。ここでは、酸化剤側拡散電極層4に曝露される。また、水素、あるいは水素を含む還元剤物質も同様にして、アノードに供給される。ここでは、還元剤流路40を経由して還元剤側拡散電極層5に曝露される。
そして、酸化剤物質は、酸化剤側拡散電極層4を透過し、酸化剤側電極触媒層2に到達する。同様にして、還元剤物質も、還元剤側拡散電極層5を透過し、還元剤側電極触媒層3に到達する。
カソードセパレータ15、アノードセパレータ20、集電板41、41(図1参照)及び外部の電気回路(図示せず)を経由して酸化剤側電極触媒層2と還元剤側電極触媒層3との電気的な接続回路が構成されると、還元剤側電極触媒層3において、水素がイオン化する。
水素イオンは高分子電解質膜1を透過して酸化剤側電極触媒層2において、酸素イオンと結合し、水を生成する。また、水素のイオン化に伴い還元剤側電極触媒層3において発生した電子は、還元剤側拡散電極層5を経由して外部の電気回路(図示せず)を流れ、電気出力を生じさせる。
ところで、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3は、以上の動作から明らかなように、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内に充満する物質に暴露される。従って、製造直後の燃料電池においては、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3は酸化剤流路30内及び還元剤流路40内に充満する空気に暴露される。そして、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3が空気に暴露されると、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3中に残存している残留溶媒が酸化反応を起こし、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3の触媒を被毒させる可能性がある。
そこで、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体300は次のように構成されている。
PEFCスタックの保存処理体300は、PEFCスタック200と、酸化剤流路30及び還元剤流路40を減圧状態に維持する気密性容器50と、を有する。
気密性容器50は、高真空に耐えることが可能な袋又は箱で構成され、排気口50bが形成されている。排気口50bには、排気装置61が気密的に装着されている。
気密性容器50は、例えば、ナイロン、ポリエチレン等の樹脂製の袋、金属製の箱で構成されている。ここでは、気密性容器50は、多重のポリエチレン製の袋で構成されている。
ここで、気密性容器50と排気装置61とが維持ユニットを構成している。維持ユニットに排気装置61を有することによって、排気装置61の断続的な作動によって酸化剤流路30及び還元剤流路40の減圧状態を長期に亘って継続することが可能となるので、PEFCスタック200の性能劣化が長期に亘って抑制することができる。
また、排気口50bには、外部から気体が流入せずに気密性容器50内部の減圧状態が維持されるように逆止弁(図示せず)が構成されてもよい。この逆止弁によって、排気装置61の脱落あるいは気密的装着の損壊によっても、気密性容器50内の減圧状態の崩壊を抑制することができる。
また、PEFCスタック200は、未設置状態のPEFCスタックである。未設置状態とは、PEFCスタックの組立製造後燃料電池システムに組み込まれる前までの状態をいう。具体的には、PEFCスタックの酸化剤流路にPEFCシステムの酸化剤物質供給装置が接続される前までの状態、あるいは還元剤流路にPEFCシステムの還元剤物質供給装置が接続される前までの状態をいい、例えば、PEFCスタックが保存あるいは運搬される状態を言う。なお、PEFCスタック製造後の短期間の電気化学反応を行った後のPEFCスタックも未設置状態のPEFCスタックに含まれる。例えば、性能確認試験後のPEFCスタック、所定の発電処理後のPEFCスタックが未設置状態のPEFCスタックに含まれる。また、PEFCスタックの製造工程において本発明の保存方法を施すような場合も未設置状態のPEFCスタックに含まれる。例えば、MEAが積層されて仮締結状態で保存され、PEFCシステムへの組込時あるいはその直前において、集電板、端板等が両端に配設されてPEFCスタックが最終的に組み上げられるという製造方法においては、この仮締結状態が実質的にPEFCスタックの未設置状態に該当する。
次に、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存方法を説明する。
図4は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存方法を示すフローチャートである。
まず、ステップ(揮発除去ステップ)S1においては、未設置状態のPEFCスタック200の酸化剤流路30内及び還元剤流路40内を減圧して、減圧状態にする。ここでは、図1に示すように排気口50bに排気装置61が気密的に装着されて、排気装置61によって、気密性容器50内部、すなわち酸化剤流路30及び還元剤流路40が排気されて減圧される。
ここで、減圧は、真空度10-5Pa〜10-1Paの範囲内に到達するように行う。このような減圧には、例えば、排気装置61としてULVAC社製G−100Dを用いることができる。なお、真空度は高い方がアルコール等溶媒の揮発が促進されるので好ましい。しかし、真空度を高め過ぎるとPEFCスタック200の内部構造が損壊するおそれがあるので、真空度は10-5Paまでが好ましい。
なお、多重のポリエチレン製の気密性容器50は以下のようにして完成される。すなわち、多重のポリエチレン製フィルムからなる筒体50’の一端が、溶着により、耳部50cを形成するようにして閉鎖され、他端が開放されて開口部50aを構成している。そして、筒体50’の外周面に樹脂製の小さい筒体が筒体50’の内部に連通するように固着されて排気口50bを形成している。そして、開口部50aからPEFCスタック200が内部に収容されて、開口部50aが耳部50aを形成するようにして、開口部50aが溶着して閉鎖される。
次に、ステップ(維持ステップ)S2においては、排気口50bに装着された排気装置61を断続的に作動させる。これによって、酸化剤流路30及び還元剤流路40の減圧状態を長期に亘って継続することが可能となるので、PEFCスタック200の性能劣化を長期に亘って抑制することができる。
なお、排気装置61はステップS1及びステップS2において付け替えることもできる。すなわち、ステップS1においては、排気装置61として比較的大型の真空ポンプ(例えば、ULVAC社製G−100D)を配管を介して排気口50bに接続し、ステップS2においては、該配管を排気口50から取り外して小型の真空ポンプ(例えば、ULVAC社製GHD−030)を排気口50bに気密的に装着することができる。この付け替えにおいては、排気口50bに配置された3方弁の切り替え操作によって、気密性容器50内の減圧状態を維持したまま、切り替えることができる。つまり、3方弁の第1ポートにステップS1遂行用の配管を接続し、第2ポートにステップS2遂行用の排気装置を装着し、第3ポートに気密性容器50を接続しておく。そして、ステップS1においては第3ポートが第1ポートに接続するように切り替える。ステップS2においては第3ポートが第2ポートに接続するように切り替える。これによって、ステップS1において大型の排気装置を用いることができるのでステップS1にかかる時間を短縮することができる。
以下、本発明の第1参考形態を参考例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の
参考例に限定されるものではない。
[参考例1―1]
参考例1−1のPEFCスタックの保存処理体300は、以下のように作製した。PEFCスタック200において、セル100の積層数を50とし、カソードセパレータ15及びアノードセパレータ20には、厚さ3mmの等方性黒鉛板を用いた。カソードセパレータ15及びアノードセパレータ20の主面周囲には複数のマニフォルド孔を形成し、セル100積層時には、かかるマニフォルド孔が連通し、酸化剤流路30、還元剤流路40及び冷却剤流路45を構成するようにした。
セル100に用いられたMEA10は以下のように作製した。まず、酸化剤側電極触媒層2には、アセチレンブラック系カーボン粉末(電気化学工業株式会社製デンカブラックFX−35)に、平均粒径約30Åの白金粒子を25wt%担持した触媒粉末を用いた。また、還元剤側電極触媒層3には、アセチレンブラック系カ−ボン粉末(電気化学工業株式会社製デンカブラックFX−35)に、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子(重量比でPt:Ru=1:1)を25wt%担持した触媒粉末を用いた。これらの触媒粉末をイソプロパノールに分散させ、パーフルオロカーボンスルホン酸粉末のエチルアルコール分散液(旭硝子株式会社製フレミオンFSS−1)と混合してペースト状にした。これらのペーストをスクリーン印刷法をもちいてそれぞれ厚み250μmのカーボン不織布(東レ株式会社製TGP−H−090)の一方の主面に塗工して、それぞれ酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3を製作した。これらの電極触媒層に含まれる触媒金属量は0.3mg/cm2、パーフルオロカーボンスルホン酸の量は1.2mg/cm2であった。
高分子電解質膜1には、厚さ50μmのパーフルオロカーボンスルホン酸膜(米国Dupont社製Nafion112)を用いた。
高分子電解質膜1の中心部の両側の主面には、それぞれ酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3をホットプレスによって接合した。さらに、厚さ250μmのフッ素系ゴムシートを切り抜いて、一対のガスケットを作製し、これを酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3が露出するようにして、高分子電解質膜1を挟み、これらをホットプレス(135℃、1MPa、10分の条件)によって高分子電解質膜1に接合一体化させた。
排気装置には、ステップS1においては、ULVAC社製G−100Dを用い、ステップS2においては、小型の真空ポンプULVAC社製GHD−030を用いた。
気密性容器50には、多重のポリエチレンの袋を用いた。
ステップS1においては、酸化剤流路及び還元剤流路の入口及び出口30a,40a、出口30b、40bを封止栓70及び排気装置61によって気密的に封止した。そして、排気装置61によって、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の真空度を10-3Paにまで減圧した。
ステップ2においては、排気装置61を断続的に作動させることによって酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の真空度を10-2Paに維持しながら、PEFCスタックの保存処理体300を25℃の温度で5000時間保存した。
保存後のPEFCスタック200を70℃に保持し、露点65℃に加湿された還元剤物質(80%水素ガス/20%二酸化炭素/10ppm一酸化炭素)を65℃に加温して還元剤流路40に供給し、露点70℃に加湿された空気を70℃に加温して酸化剤流路30に供給し、PEFCスタック200の定格運転を行った。
PEFCスタック200の定格運転は、燃料利用率80%、酸素利用率40%、電流密度0.3A/cm2とした。
[参考例1−2]
参考例1−1と同様にして、PEFCスタックの保存処理体300を製作し、ステップS1を行った。そして、ステップS2においては、参考例1−1と同様に保存した。ただし、保存時の温度は25℃ではなく、60℃とした。
そして、参考例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[比較例1−1]
比較例1−1として、参考例1−1と同型のPEFCスタック200を、ステップS1及びステップS2を行わずに、つまり、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内を排気しない状態で保存した。そして、参考例1−1と同様に、25℃の温度で5000時間保存した。
そして、参考例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[比較例1−2]
比較例1−2として、参考例1−1と同型のPEFCスタック200を、ステップS1及びステップS2を行わずに、つまり、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内を排気しない状態で保存した。そして、参考例1−2と同様に、60℃の温度で5000時間保存した。
そして、参考例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
図5は、定格運転における参考例1−1及び参考例1−2ならびに比較例1−1及び比較例1−2のPEFCスタック200の平均セル電圧の経時的変化を示す図である。
図に示すように、参考例1−1及び参考例1−2の平均セル電圧Vの差は小さく、平均セル電圧Vの低下は小さかった。比較例1−1及び比較例1−2の平均セル電圧Vは定格運転開始当初から双方とも参考例1−1及び参考例1−2よりも低かった。そして定格運転の継続とともに、比較例1−1及び比較例1−2の平均セル電圧Vは、双方とも参考例1−1及び参考例1−2よりも大きく低下した。
[変形例1]
図6は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。
本変形例では排気装置61の代わりに、気密性容器50の排気口50bに排気口50bを気密的に開閉するように配置されている気密型開閉弁62が配設されている。
つまり、気密型開閉弁62と気密性容器50とが維持ユニットを構成する。また、気密型開閉弁は、開閉弁は保存時に駆動動力の不要な手動が好ましい。あるいは、駆動動力喪失時には閉止状態となる、いわゆるノーマルクローズドタイプの電導開閉弁であってもよい。
つまり、揮発除去ステップS1においては、排気口50bに排気装置61、あるいは排気装置61に接続された配管が接続され、気密型開閉弁62が開放された状態において、排気装置61によって気密性容器50内部、すなわち酸化剤流路30及び還元剤流路40が排気されて減圧される。
そして、維持ステップS2において気密型開閉弁62が閉止されて、排気装置61、あるいは排気装置61に接続された配管が排気口50bから取り外される。
これによって、維持ユニットは気密性容器50に一体化されて構成されることになり、封止栓等別部材の管理及び処分を不要とすることができる。
(第2参考形態)
図7は、本発明の第2参考形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。図7において図1に示した構成要素と同一の構成要素には各々同一の符号を付してその説明を省略する。
図に示すように、本発明の第2参考形態は、酸化剤流路入口30aあるいは出口30b及び還元剤流路入口40aあるいは出口40bに、酸化剤流路30及び還元剤流路40の入口30a,40a及び出口30b、40bの何れか一方に気密的に装着されている排気装置61と、その他方に気密的に装着されている封止栓70とを有する参考形態である。すなわち、本参考形態のPEFCスタックの保存処理体310においては、封止栓70と排気装置61とが維持ユニットを構成している。
排気装置61は、ここでは酸化剤流路入口30a及び還元剤流路入口40aに気密的に装着されている。排気装置61には第1参考形態と同型の真空ポンプを用いる。
封止栓70は、ここでは酸化剤流路出口30b及び還元剤流路出口40bに封止栓70が気密的に装着されている。ここでは、図7に示すように排気装置61の接合部及び封止栓70にOリング等のスクイーズドパッキン80が配設されて、スクイーズドパッキン80が酸化剤流路出口部30b、還元剤流路出口部40b、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aと排気装置61の接合部及び封止栓70との間隙をシールすることによって気密的に装着されている。
本参考形態のPEFCスタック200の保存方法は、図4に示すように、ステップS1において、PEFCスタック200の酸化剤流路出口30b及び還元剤流路出口40bを封止栓70で気密的に封止し、酸化剤流路入口30a及び還元剤流路入口40aを排気装置61で気密的に封止する。そして、排気装置61によって酸化剤流路30内及び還元剤流路40内を減圧する。
ステップS2においては、排気装置61を断続的に作動させる。これによって、酸化剤流路30及び還元剤流路40の減圧状態を長期に亘って継続することが可能となるので、PEFCスタック200の性能劣化を長期に亘って抑制することができる。
以上、本発明によって、第1参考形態と同様にして、未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制することができる。
なお、第1参考形態と同様にして、排気装置61は、ステップS2において、小型の排気装置に交換するようにしてもよい。これによって、排気装置61を装着した状態でPEFCスタックの保存処理体310の運搬が容易となる。
また、図7においては、酸化剤流路入口30a及び還元剤流路入口40aに一対の排気装置61が気密的に装着されているが、排気装置61の吸引口から延びる二股の配管が、酸化剤流路出口30b及び還元剤流路出口40bに気密的に接続するように構成することもできる。これによって、ステップS1において大型の排気装置を用いることができるのでステップS1にかかる時間を短縮することができる。
さらに、ステップ2において、排気装置61を封止栓に付け替えることもできる。つまり、維持ユニットは酸化剤流路及び還元剤流路の入口及び出口30a,40a、30b、40bに装着された4つの封止栓から構成することができる。これによって、維持ユニットがPEFCスタック200に一体化されて構成されることになり、封止栓等別部材の管理及び処分を不要とすることができる。
[変形例2]
図示しないが、第1参考形態の変形例1と同様にして、封止栓70の代わりに、PEFCスタック200が、酸化剤流路及び還元剤流路の入口及び出口30a,40a、30b、40bに気密型開閉弁を有するように構成することもできる。これによって、封止栓70を省略することができるとともに、PEFCスタック200がPEFCシステムに組み込まれた後も、これら気密型開閉弁をPEFCスタック200の隔離弁として利用することもできる。
また、ステップ2において、気密型開閉弁を閉止した後、排気装置61を取り外すこともできる。つまり、維持ユニットは気密型開閉弁のみとなる。これによって、維持ユニットがPEFCスタック200に一体化されて構成されることになり、封止栓等別部材の管理及び処分を不要とすることができる。
以下、本発明の第2参考形態を参考例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の参考例に限定されるものではない。
[参考例2−1]
参考例2−1のPEFCスタックの保存処理体310を以下のように作製し、保存した。PEFCスタック200は参考例1−1と同型のものを用いた。
排気装置61には、ステップS1においては、ULVAC社製G−100Dを用い、ステップS2においては、小型の真空ポンプULVAC社製GHD−030を用いた。
気密性容器50には、多重のポリエチレンの袋を用いた。
ステップS1においては、酸化剤流路及び還元剤流路の入口及び出口30a,40a、30b、40bを封止栓70及び排気装置61によって気密的に封止した。そして、排気装置61によって、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の真空度を10-2Paにまで減圧した。
ステップ2においては、排気装置61を断続的に作動させることによって酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の真空度を10-2Paに維持しながら、PEFCスタックの保存処理体300を25℃の温度で5000時間保存した。
保存後のPEFCスタック200を、参考例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[参考例2−2]
参考例2−2のPEFCスタックの保存処理体310のPEFCスタック200、排気装置61、気密性容器50は、参考例2−1と同型のものを用いた。
そして、ステップS1においては、参考例2−1と同様に減圧した。
ステップS2においては、排気装置61を封止栓70に取り替えて、参考例2−1と同様に保存した。つまり、維持ユニットは4つの封止栓70によって構成され、酸化剤流路及び還元剤流路の入口及び出口30a,40a、30b、40b全てを封止栓70よって気密的に封止して保存した。
保存後のPEFCスタック200を、参考例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
ステップS2開始時における酸化剤流路30及び還元剤流路40内の真空度は10-2Paであったが、保存期間終了時における酸化剤流路30及び還元剤流路40内の真空度は104Paに低下していた。
図8は、定格運転における参考例2−1及び参考例2−2のPEFCスタック200の平均セル電圧の経時的変化を示す図である。
図に示すように、参考例2−2の平均セル電圧Vの低下は抑制されている。また、参考例2−1の平均セル電圧Vのさらに抑制されている。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、PEFCスタック200が発電処理された後に第1参考形態乃至第2参考形態と同様にして、ステップS1及びステップS2を行う実施の形態である。すなわち、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体320の構成は、第1参考形態乃至第2参考形態と同様である。そこで、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体320の構成の説明を省略し、本実施形態のPEFCスタックの保存方法を説明する。
図9は、本発明の第3実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すフローチャートである。図に示すように、本実施形態のPEFCスタックの保存方法では、ステップ(発電処理ステップ)S0において、未設置状態のPEFCスタック200を所定の電流密度において所定の発電継続時間の間継続して発電させる。そして、第1参考形態あるいは第2参考形態と同様にして、ステップS1乃至ステップS2を行う。
ここで、ステップS0においては、具体的には、PEFCスタック200を作動温度に維持し、集電板41,41間に電力負荷を電気的に接続し、かつアノード側に還元剤物質を、カソード側に酸化剤物質をそれぞれ供給することによって、PEFCスタック200における電気化学反応を引き起こす。電気化学反応は所定の電流密度Iにおいて所定の発電継続時間T継続させる。
本実施形態のPEFCスタック200の保存方法によって、MEAの触媒細孔中等PEFCスタック内に残留している溶媒や金属等の異物を、発電処理における電気化学反応による生成水とともにPEFCスタック200外へ排出させることができるので、PEFCスタック200の性能の劣化をより確実に抑制することができる。
また、発電処理における電流密度Iは、MEA10の触媒層2,3の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下が好適である。この程度の電流密度であると、MEA10における電気化学反応による水の生成が均一になるものと思われる。
また、発電処理の発電継続時間Tは少なくとも3時間あると好適である。これは、溶媒及び異物が生成水とともにPEFCスタック200から排出するにはある程度の時間を要するからである。
また、発電処理時における発電継続時間Tは、発電処理終了時における1セルあたりの電圧変化(dV/dt)が2mV/h以下に低下するまでの時間に設定すると好適である。溶媒及び異物の除去によって電圧が安定するものと考えられるので、電圧変化の低下によってPEFCスタック200からの溶媒及び異物の除去を判断することができるからである。
また、発電処理の時期は、PEFCスタック200製造後300時間以内が好適である。溶媒及び異物による触媒の劣化進行、および/あるいは高分子電解質膜1と電極触媒層2,3との接合状態の劣化進行を考慮すると、発電処理の時期はPEFCスタック製造後早い時期が好ましい。具体的には、PEFCスタック製造後300時間以内であれば、PEFCスタック200の性能劣化の進行を未然に抑制することができるからである。
また、発電処理における酸化剤物質及び還元剤物質の露点は、発電処理時におけるMEA10の温度の−10℃以上、+10℃以下の範囲内が好適である。このような露点とすることにより、MEA10には過不足のない水分が供給され、かつ水による酸化剤流路30及び還元剤流路40の閉塞、いわゆるフラッディング現象を抑制することができるので、全てのMEA10において均一な電気化学反応を確保することができる。つまり、全てのMEA10において溶媒及び異物の排出を円滑に行うことが可能となるので、PEFCスタックの性能の劣化をより確実に抑制することができる。
以下、本発明の第3実施形態のステップS0を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明のステップS0は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例においては、発電処理において、還元剤物質には水素ガス、酸化剤物質には空気を用いた。また、発電処理は、PEFCスタック200を70℃に保持し、加温及び加湿された空気及び水素ガスをそれぞれ酸化剤流路30及び還元剤流路40に供給し、還元剤物質利用率が70%、酸化剤物質利用率が40%となるように酸化剤流路30及び還元剤流路40の供給を調節した。さらに、発電処理後に、ステップS1を経て8週間常温常湿で保存している。この保存期間(8週間)は、本発明の、溶媒及び異物の影響により高分子電解質膜1の性能が劣化する期間としての一例である。
[実施例3−1]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとした。発電処理後、ステップS
1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例3−1]
実施例3−1と同時期に製造されたPEFCスタック200を、常温常湿にて保存し続けた。すなわち、実施例3−1のPEFCスタック200の製造後から発電処理後の保存期間満了までの期間を常温常湿で保存した。
[比較例3−2]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して3時間供給した。供給終了後、常温常湿で8週間保存した。この間発電処理は行わなかった。
実施例3−1、比較例3−1及び比較例3−2のPEFCスタック200について、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時
間定格運転を継続した。表1に、定格運転における実施例3−1、比較例3−1及び比較例3−2の電圧低下量ΔVを示す。
Figure 0005252812
表1から明らかなように、実施例3−1は、比較例3−1及び比較例3−2と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。この結果から、発電処理により、PEFCスタックの性能の劣化をより確実に抑制することができることを確認できた。
[実施例3−2]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.1A/cm2で発電継続時間T=12hとして発電処理を行った。発電
処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例3−3]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.05A/cm2で発電継続時間T=12hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例3−4]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.5A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−8
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=2hとして発電処理を行った。発電処
理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−2ならびに比較例3−3比較例3−4及び実施例3−8のPEFCスタック200について、実施例3−1と同様にして、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間定格運転を継続した。
表2に、実施例3−1、実施例3−2,比較例3−3比較例3−4及び実施例3−8の発電処理時の電流密度I及び発電継続時間T、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)、ならびに定格運転における電圧低下量ΔVを示す。
Figure 0005252812
実施例3−1と比較例3−4との比較、及び実施例3−2と比較例3−3との比較から明らかなように、実施例3−1および実施例3−2は、比較例3−3および比較例3−4と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。したがって、発電処理時の電流密度範囲は0.1A/cm2〜0.4A/cm2が好適である。これは、この電流密度の電気化学反応であれば、MEA10における電気化学反応による水の生成が均一になるものと思われる。
また、実施例3−1および実施例3−2は、比較例3−3比較例3−4および実施例3−8と比較すると、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)が1.5mV/h以下にまで低下している。これは、この電圧変化(dV/dt)は、PEFCスタック200内、特に電極触媒層2,3内の細孔中にある溶媒及び異物を、電気化学反応による生成水とともにPEFCスタック200外へ排出する際に発生するので、電圧変化(dV/dt)が1.5mV/h程度以下にまで低下した場合には、PEFCスタック200内の溶媒及び異物の排出が十分にできているものと考えられる
また、実施例3−1と実施例3−8との比較から明らかなように、実施例3−1は、実施例3−8と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。したがって、発電処理時の発電継続時間Tは3時間以上が好適である。これは、溶媒及び異物が生成水とともにPEFCスタック200から排出するには少なくとも3時間は要することが原因と思われる。
[実施例3−3]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を300時間、すなわち2週間程度保存した。ここでは、発電処理前期間W(week)=2と表記した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。発電処理
後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−9
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を500時間、すなわち約3週間保存した。ここでは、発電処理前期間W(week)=3と表記した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。発電処理後
、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−3及び実施例3−9のPEFCスタック200について、実施例3−1と同様にして、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にし
て1000時間定格運転を継続した。
表3に、実施例3−1、実施例3−3及び実施例3−9の発電処理前期間W、発電処理時の電流密度I及び発電継続時間T、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)、ならびに定格運転における電圧低下量ΔVを示す。なお、前述したように、実施例3−1では、常温常湿にてPEFCスタック200を約1週間、正確には150時間保存した。実施例3−1の発電処理前期間W(week)は、W=1と表記した。
Figure 0005252812
実施例3−1及び実施例3−3と実施例3−9との比較から明らかなように、実施例3−1および実施例3−3は、実施例3−9と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。したがって、発電処理前期間W=2以内が好適である。つまり、発電処理はPEFCスタック200製造後300時間以内に実施することが望ましい。
[実施例3−4]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点60℃に加湿された水素ガスおよび空気を60℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEF
Cスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを−10℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[実施例3−5]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点80℃に加湿された水素ガスおよび空気を80℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEF
Cスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを+10℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−10
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点50℃に加湿された水素ガスおよび空気を50℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEF
Cスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを−20℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−11
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点85℃に加湿された水素ガスおよび空気を85℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEF
Cスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを+15℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例3−4、実施例3−5、実施例3−10及び実施例3−11のPEFCスタック200について、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2
して1000時間定格運転を継続した。表4に、実施例3−4、実施例3−5、実施例3−10及び実施例3−11の発電処理時の電流密度I、発電継続時間Tおよび温度差ΔS、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)、ならびに定格運転における電圧低下量ΔVを示す。
Figure 0005252812
表4から明らかなように、実施例3−4および実施例3−5は、実施例3−10及び実施例3−11と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。したがって、発電処理時においては、温度差ΔSが+10℃乃至―10℃の範囲内であると好適である。これは、温度差ΔSが+10℃乃至―10℃の範囲より拡大している場合には、PEFCスタック200内において水分の過不足が生じて、MEA10における電気化学反応が不均一になり、PEFCスタック200内、特に電極触媒層2,3内の細孔中にある溶媒および異物をPEFCスタック200外へ十分には排出させることができなかったものと考えられる。
なお、表4から明らかなように、実施例3−4および実施例3−5の電圧変化(dV/dt)は2.0mV/h以下であり、実施例3−10および実施例3−11の電圧変化(dV/dt)は2.0mV/hを上回る。前述の表2の結果及びこの結果から、電圧変化(dV/dt)が2.0mV/h程度以下にまで低下した場合には、PEFCスタック200内の溶媒及び異物の排出が十分にできているものと考えられる。したがって、発電処理は、電圧変化(dV/dt)が2.0mV/h以下となるまで継続することが望ましいことがわかる。
以上、第3実施形態によって、本発明のPEFCスタック200の保存方法及びPEFCスタックの保存処理体を説明した。
なお、
以上に説明したように、本発明のPEFCスタックの保存方法及びPEFCスタックの保存処理体においては、未設置状態のPEFCスタックの酸化剤流路30内及び還元剤流路40内が減圧状態として保存されるので、減圧状態において酸化剤側電極触媒層及び還元剤側電極触媒層に残留する溶媒が揮発状態となる。例示として、第1参考形態及び第2参考形態のPEFCスタック200の保存方法においては、ステップS1において酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3に残留する溶媒の揮発が促進されるとともに、揮発した溶媒がPEFCスタック200外に除去され、かつステップ(維持ステップ)S2において溶媒の揮発状態が維持される。これによって、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に抑制することができる。また、減圧状態においては、酸化剤流路及び還元剤流路中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未満に容易に保つことができ、電極触媒層に残存する有機溶媒成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(有機溶媒成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、有機溶媒成分と部分酸化物との反応を含む)等を十分に防止できるので、この観点からも、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に抑制することができる。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の形態を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。例えば、第1参考形態及び第2参考形態においては、ステップ(揮発排除ステップ)S1を不要とすることができる。つまり、真空チャンバ内で製造する等により、PEFCスタックの保存処理体300、310を減圧状態下で製造することもできる。
本発明は、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制する高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法として有用である。
図1は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 図2は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存処理体にふくまれるPEFCスタックの構造を示す分解斜視図である。 図3は、セルの基本構成を示す模式図である。 図4は、本発明の第1参考形態のPEFCスタックの保存方法を示すフローチャートである。 図5は、定格運転における参考例1−1乃至参考例1−4のPEFCスタックの平均セル電圧の経時的変化を示す図である。 図6は、本発明の第1参考形態の変形例1のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 図7は、本発明の第2参考形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 図8は、定格運転における参考例2−1及び参考例2−2のPEFCスタックの平均セル電圧の経時的変化を示す図である。 図9は、本発明の第3実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すフローチャートである。
符号の説明
1 高分子電解質膜
2 酸化剤側電極触媒層
3 還元剤側電極触媒層
4 酸化剤側拡散電極層
5 還元剤側拡散電極層
10 MEA
15 カソードセパレータ
20 アノードセパレータ
30 酸化剤流路
30a 酸化剤流路入口部
30b 酸化剤流路出口部
40 還元剤流路
40a 還元剤流路入口部
40b 還元剤流路出口部
41 集電板
42 絶縁板
43 端板
45 冷却剤流路
45a 冷却剤流路入口
45b 冷却剤流路出口
50 気密性容器
50’ 筒体
50a 開口部(耳部)
50b 排気口
50c 耳部
61 真空ポンプ
70 封止栓
80 スクイーズドパッキン
100 セル
200 PEFCスタック
300、310,320 PEFCスタックの保存処理体
S0、S1,S2 ステップ
V 平均セル電圧
H 運転時間

Claims (4)

  1. 入口及び出口を有しカソードを経由する酸化剤流路と入口及び出口を有しアノードを経由する還元剤流路とを有し、前記酸化剤流路の入口より酸化剤物質が供給され、前記還元剤流路の入口より還元剤物質が供給され、前記酸化剤物質及び前記還元剤物質が前記カソード及び前記アノードにおいて電気化学反応をして、発電を行うように構成された高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法であって、
    高分子電解質型燃料電池スタックの組立製造後設置場所にある燃料電池システムに組み込まれる前までの状態の前記高分子電解質型燃料電池スタックを、前記カソード及び前記アノードの触媒層の面積あたり0.1A/cm以上、0.4A/cm以下の電流密度において所定の発電継続時間の間継続して発電させる発電処理ステップと、
    前記発電処理ステップ後に前記酸化剤流路内及び前記還元剤流路内を減圧状態とする揮発除去ステップと、
    前記減圧状態を維持する維持ステップと、を有する、高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  2. 前記発電継続時間は、3時間以上である、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  3. 前記発電継続時間は、電圧変動が2mV/h以下になるまでの時間である、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  4. 前記発電処理ステップが前記高分子電解質型燃料電池スタック製造後300時間以内に行われる、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
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