JP3766911B2 - 高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法及び高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法及び高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体 Download PDF

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Description

本発明は、高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法及び高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体に関する。特に未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法及び高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体に関する。
従来の高分子電解質型燃料電池(以下PEFCと略称する)の停止方法においては、酸化剤物質及び還元剤物質の供給を遮断すると共に、PEFCスタック内に残存するこれら物質を窒素等の不活性ガス等によってパージを行っている(特許文献1参照)。また、その後のPEFCの停止中においても、一般的には、空気がPEFCスタック内に侵入しないように酸化剤流路及び還元剤流路に不活性ガス等を充填している(特許文献2参照)。これによって、PEFCスタック内の電極触媒層の酸化が防止され、PEFCの性能の劣化を防止することができる。また、PEFCの発電停止中に、セパレータの電位を所定の値に保って保管する方法も提案されている(特許文献3参照)。
他方で、高分子電解質膜―電極接合体(MEA;Membrane−Electrode−Assembly)の作製において、電極触媒層は、例えば、触媒層形成用塗料を調製し、当該塗料を高分子電解質膜表面に塗布することにより形成される。触媒層形成用塗料には溶媒としてアルコール成分が含有されている。例えば、白金−ルテニウム合金粒子、あるいは白金粒子を担持したカ−ボン粉末が触媒粉末とされ、この触媒粉末がパーフルオロカーボンスルホン酸高分子を含有するエチルアルコール分散液と混合されてペーストとされる。このペーストが、高分子電解質膜表面に塗工されることによって、電極触媒層が形成される。このアルコール成分からなる溶媒はMEA製造後も多孔質の電極触媒層の一部に入り込んで残存する。
ここで、高分子電解質膜と電極触媒層との界面のイオン抵抗が高くなるという欠点、さらには、電極触媒層と拡散電極層とが十分に接合されず、電極触媒層と拡散電極層との界面の電子抵抗が高くなるという欠点を改善する方法として、2枚の電極で高分子電解質膜を挟んだ挟持体を溶媒中で加熱、加圧し、一体化する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、予め溶媒を含んだ高分子電解質膜および/または電極触媒層を用い、実質上溶媒には浸漬しない状態で加熱および加圧する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この方法によると、一体化工程中にMEA内の溶媒が蒸発する為、溶媒による高分子電解質膜の膨潤が抑制され、高分子電解質膜と触媒層との界面の接合状態が良好なまま維持されるという効果が記載されている。
特開平6−251788号公報 特開平7−272738号公報 特開平5−258762号公報 特開平3−208262号公報 特開2002−93424号公報
特許文献1乃至3に例示されるように、発電開始後において電極触媒層が触媒活性温度に達している状況において空気など酸化物が接触すると電極触媒層が酸化し、性能が低下することは知られていた。
しかし、PEFCは、発電開始前であっても、PEFCスタックの組立製造後発電開始までの期間が長くなると、出力電圧の低下などの性能の劣化、特に出力電圧の電圧降下率の上昇が顕著に発現することを本発明者は見出した。本発明者の検証の結果、かかる性能の劣化は電極触媒上に残存する残留溶媒の酸化物がひとつの要因であることが分かった。
従来、このようなPEFCの発電開始前における性能の劣化については、当業者の間でもさほど関心が払われていなかった。このため、従来のPEFCの停止方法等は、供用開始後の対応であり、PEFCスタックの製造後からPEFCシステムに組み込まれる前までの電極触媒層の劣化の防止を図るものではなかった。つまり、従来のPEFCの性能劣化の防止方法は、PEFCシステムとしてPEFCの性能劣化の防止を図る方法となっている。具体的には、PEFCスタックの酸化剤流路及び還元剤流路に接続された配管等を通じて外部の周辺機器より不活性ガス等を供給する仕組みであるので、PEFCシステムに組み込まれる前、特に在庫時、運搬時のように単体状態のPEFCスタックには適用できないものであった。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制する高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法を提供することを目的とする。また、本発明は、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に防止できる高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、未設置状態のPEFCスタックの性能劣化の原因は、MEAの電極触媒層においてアルコール等の残留溶媒と酸素とが反応して酢酸等の酸化物が生成され、この酸化物によって触媒は被毒され、かかる被毒が長期に及ぶと電極触媒層の変質が進展して、電極触媒の性能が劣化しているものと推測した。また、特許文献4及び5においては、溶媒の蒸発によってMEA製造時における高分子電解質膜の膨潤を抑制することができるとしている。しかし、発明者らが検証した結果では未設置状態のPEFCスタックの性能劣化にはほとんど効果がなかった。これは、触媒電極層は多孔質体であることから、触媒電極層内部に入り込んでいる溶媒が蒸発せずに残留しているものと推測された。
発明者らは、これら推測に基づいて本発明に想到して、その効果を検証したところ、その効果があることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、入口及び出口を有しカソードを経由する酸化剤流路と入口及び出口を有しアノードを経由する還元剤流路とを有し、前記酸化剤流路の入口より酸化剤物質が供給され、前記還元剤流路の入口より還元剤物質が供給され、前記酸化剤物質及び前記還元剤物質が前記アノード及び前記カソードにおいて電気化学反応をして、発電を行うように構成された高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法であって、未設置状態の前記高分子電解質型燃料電池スタックの前記酸化剤流路内及び前記還元剤流路内を大気中の酸素濃度よりも低い状態として保存する。このような構成とすると、酸化剤側電極触媒層及び還元剤側電極触媒層に接触する酸素が欠乏し、これら電極触媒層に残存する残留溶媒の酸化が十分に抑制されるので、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に抑制することができる。
ここで、未設置状態とは、高分子電解質型燃料電池スタックの組立製造後燃料電池システムに組み込まれる前までの状態をいう。具体的には、高分子電解質型燃料電池スタックの酸化剤流路に酸化剤物質供給装置が接続される前までの状態、あるいは還元剤流路に還元剤物質供給装置が接続される前までの状態をいい、例えば、高分子電解質型燃料電池スタックが保存あるいは運搬される状態を言う。なお、高分子電解質型燃料電池スタック製造後の短期間の電気化学反応を行った後の高分子電解質型燃料電池スタックも未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックに含まれる。例えば、性能確認試験後の高分子電解質型燃料電池スタック、後述する発電処理後の高分子電解質型燃料電池スタックが未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックに含まれる。また、高分子電解質型燃料電池スタックの製造工程において本発明の保存方法を組み込むような場合も未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックに含まれる。例えば、MEAが積層されて仮締結状態で保存され、高分子電解質型燃料電池システムへの組込時あるいはその直前において、集電板、端板等が両端に配設されて高分子電解質型燃料電池スタックが最終的に組み上げられるという製造方法においては、この仮締結状態が実質的に高分子電解質型燃料電池スタックの未設置状態に該当する。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第2の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、未設置状態の前記高分子電解質型燃料電池スタックの前記酸化剤流路内及び前記還元剤流路内の酸素濃度を、大気中の酸素濃度未満に低減する低減ステップと、 前記酸素濃度が低減されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、前記酸素濃度が低減されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止する封止ステップと、を有するとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第3の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記低減ステップにおいて、前記酸化剤流路及び前記還元剤流路の酸素濃度を10ppm以上1×10 3 ppm以下の範囲に低減するとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第4の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記低減ステップは、置換ガスの充填により行い、前記封止ステップは、前記置換ガスが充填されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、前記置換ガスが充填されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止するための封止ユニットを用いて行うとよい。
第5の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記封止ステップで使用される前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、内部に酸素除去剤が充填された本体部と、を有する酸素除去剤容器であり、前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止できる機構が設けられているとよい。このような構成とすると、酸素除去剤によって酸化剤流路内及び還元剤流路内の酸素を継続的に除去することができるので、酸化剤流路内及び還元剤流路内の酸素濃度の低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
第6の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記封止ステップで使用される前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、内部に前記置換ガスが充填された本体部と、を有する置換ガス容器であり、前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止でき、かつ、前記置換ガスの噴出圧力を所定の範囲内に維持できる機構が設けられているとよい。このような構成とすると、置換ガス容器によって酸化剤流路内及び還元剤流路内の減圧が継続的に防止されるので、酸化剤流路内及び還元剤流路内の酸素濃度の低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第7の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記封止ステップで使用される前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、封止栓であるとよい。
第8の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記低減ステップは、水の充填により行い、前記封止ステップは、前記水が充填されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、前記水が充填されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止するための封止ユニットを用いて行うとよい。このような構成とすると、電極触媒層中の残留有機溶媒成分のうちの水溶性成分を触媒層外に水溶させて、希釈することができるので、電極触媒層中における水溶性成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(水溶性成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、水溶性成分と部分酸化物との反応を含む)等を十分に防止できるため、本発明の効果がより確実に得られる。
第9の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記封止ステップ後、高分子電解質型燃料電池スタックを0℃より高く25℃以下に維持するとよい。この温度範囲とすることにより、酸化剤流路及び還元剤流路に残存する酸素による、酸化剤流路及び還元剤流路に残存する有機溶媒成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(有機溶媒成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、有機溶媒成分と部分酸化物との反応を含む)がより確実に防止できるとともに、低温下でのMEAの機械的損傷をより容易かつより十分に防止できるようになる。
第10の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記封止ステップ後、前記高分子電解質型燃料電池スタックが包材によって気密的に梱包される梱包ステップを有するとよい。このように構成すると、高分子電解質型燃料電池スタック周囲から酸化剤流路及び還元剤流路内への酸素の侵入を抑制することができるので、高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化をより確実に抑制することができる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第11の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記包材が、可撓性のある包材であって、該包材同士の接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包されるとよい。
第12の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記包材が本体部及び蓋からなる剛性体容器であって、該本体部と蓋との接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包されるとよい。このように構成すると、容器が剛体であるので、運搬時等における高分子電解質型燃料電池スタックの損傷を防止することができ、かつ容器の再利用も可能となる。
第13の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記包材が酸素透過性の低い包材であるとよい。このように酸素透過性が低い包材で高分子電解質型燃料電池スタックを気密的に梱包することにより、高分子電解質型燃料電池スタックのガスケットからわずかに酸素が透過する可能性がある場合であっても高分子電解質型燃料電池スタック内への酸素の進入をより確実に防止できるようになる。また、酸素透過性が低い包材は水分の透過性も低いので、高分子電解質型燃料電池スタック内部の湿度変化を抑制し、高分子電解質膜1の損傷を抑制することができる。
第14の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記高分子電解質型燃料電池スタックを発電させる発電処理ステップを有するとよい。このように高分子電解質型燃料電池スタックを発電させることにより、高分子電解質型燃料電池スタック内に残留している溶媒や金属等の異物を、電気化学反応による生成水とともに除去することができるので、高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化をさらに抑制することができる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第15の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電処理ステップにおける電流密度は、前記触媒層の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下であるとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第16の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電処理ステップにおける発電継続時間は、3時間以上であるとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第17の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電処理ステップにおける発電継続時間は、電圧変動が2mV/h以下になるまでの時間であるとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第18の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法は、前記発電処理ステップが前記高分子電解質型燃料電池スタック製造後300時間以内に行われるとよい。
第19の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、入口及び出口を有しカソードを経由する酸化剤流路と入口及び出口を有しアノードを経由する還元剤流路とを有し、前記酸化剤流路の入口より酸化剤物質が供給され、前記還元剤流路の入口より還元剤物質が供給され、前記酸化剤物質及び前記還元剤物質が前記アノード及び前記カソードにおいて電気化学反応をして、発電を行うように構成された未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックと、酸素濃度が低減されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、酸素濃度が低減されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止する封止栓あるいは容器からなる封止ユニットと、を有する。
このような構成とすると、酸化剤側電極触媒層及び還元剤側電極触媒層に接触する酸素が欠乏し、これら電極触媒層に残存する残留溶媒の酸化が抑制されるので、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に防止できる高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体を提供するができる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第20の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記酸化剤流路及び前記還元剤流路の酸素濃度が10ppm以上1×10 3 ppm以下の範囲に低減されているとよい。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第21の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記酸化剤流路及び前記還元剤流路には置換ガスが充填されている、請求項19に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
第22の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、内部に酸素除去剤が充填された本体部と、を有する酸素除去剤容器であり、前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止できる機構が設けられているとよい。このような構成とすると、酸素除去剤によって酸化剤流路内及び還元剤流路内の酸素を継続的に除去することができるので、酸化剤流路内及び還元剤流路内の酸素濃度の低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
第23の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、内部に前記置換ガスが充填された本体部と、を有する置換ガス容器であり、前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止でき、かつ、前記置換ガスの噴出圧力を所定の範囲内に維持できる機構が設けられているとよい。このような構成とすると、置換ガス容器によって酸化剤流路内及び還元剤流路内の減圧が継続的に防止されるので、酸化剤流路内及び還元剤流路内の酸素濃度の低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第24の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、封止栓であるとよい。
第25の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記酸化剤流路及び前記還元剤流路には水が充填されているとよい。このような構成とすると、電極触媒層中の残留有機溶媒成分のうちの水溶性成分を触媒層外に水溶させて、希釈することができるので、電極触媒層中における水溶性成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(水溶性成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、水溶性成分と部分酸化物との反応を含む)等を十分に防止できるため、本発明の効果がより確実に得られる。
第26の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記封止ユニットが装着された前記高分子電解質型燃料電池スタックを気密的に梱包する包材を有するとよい。このように構成すると、高分子電解質型燃料電池スタック周囲から酸化剤流路及び還元剤流路内への酸素の侵入を抑制することができるので、高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化をより確実に抑制することができる。
本発明の効果をより確実に得る観点から、第27の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記包材が、可撓性のある包材であって、該包材同士の接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包されているとよい。
第28の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記包材が本体部及び蓋からなる剛性体容器であって、該本体部と蓋との接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包されているとよい。このように構成すると、容器が剛体であるので、運搬時等における高分子電解質型燃料電池スタックの損傷を防止することができ、かつ容器の再利用も可能となる。
第29の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記包材が酸素透過性の低い包材であるとよい。このように酸素透過性が低い包材で高分子電解質型燃料電池スタックを気密的に梱包することにより、高分子電解質型燃料電池スタックのガスケットからわずかに酸素が透過する可能性がある場合であっても高分子電解質型燃料電池スタック内への酸素の進入をより確実に防止できるようになる。また、酸素透過性が低い包材は水分の透過性も低いので、高分子電解質型燃料電池スタック内部の湿度変化を抑制し、高分子電解質膜1の損傷を抑制することができる。
第30の本発明の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体は、前記高分子電解質型燃料電池スタックは、発電処理された高分子電解質型燃料電池スタックであるとよい。
このように構成することにより、高分子電解質型燃料電池スタック内の溶媒や金属等の異物が、発電処理のおける電気化学反応による生成水とともに除去されているので、高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化をさらに抑制することができる。ここで、「発電処理」とは、高分子電解質型燃料電池スタックを発電させる処理をいう。
以上のように、本発明によれば、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制する高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法を提供することができる。また、本発明によれば、特に、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に防止できる高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の上記効果、他の効果、特徴及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存方法について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。図2は、本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存処理体にふくまれるPEFCスタックの構造を示す分解斜視図である。
第1実施形態のPEFCスタックの保存処理体300にふくまれるPEFCスタック200は、電気化学反応により発電する単電池(セル)100を積層して構成されている。図2に示すように、単電池(セル)100は、互いにほぼ同型の平面を有する、矩形板状のMEA100、カソードセパレータ15及びアノードセパレータ20を有して構成されている。そして、MEA10は、一方の面をカソードセパレータ15、他方の面をアノードセパレータ20が接するようにして挟まれている。セル100の積層方向端部は、集電板41,41、及び絶縁板42,42を介して端板43,43で挟まれ、端板43,43間が締結ボルト(図示せず)で両側から締結されて構成されている。PEFCスタック200は、家庭用コージェネレーションシステム、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、家電製品、携帯用コンピュータ装置、携帯電話、携帯用音響機器、携帯用情報端末などの携帯電気装置等のPEFCシステムに用いられる。
集電板41,41の電気端子41a,41aは、電気機器等の外部負荷と接続されて電気を出力する。PEFCスタック200には、酸化剤流路30及び還元剤流路40が形成されている。
酸化剤流路30は、酸化剤物質が、酸化剤流路入口部30aから供給され、各セル100に分岐し、各セル100流通後は、再び合流して酸化剤流路出口部30bよりPEFCスタック200外に排出されるように構成されている。また、一般的に、酸化剤流路30は、他の流路との交流はなく、酸化剤流路入口部30a及び酸化剤流路出口部30bが封止されると閉塞されるように構成されている。還元剤流路40も同様にして構成されている。本実施の形態では、酸化剤物質として、酸素あるいは空気が用いられる。また、還元剤物質として水素あるいは水素を含む物質が用いられる。
ここでは、PEFCスタック200片側の端板43に酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aが形成されている。還元剤流路40も同様にして構成されている。
なお、PEFCスタック200には、PEFCスタック200の温度を調整するために、水などの冷却剤が流通する冷却剤流路45も構成されている。冷却剤流路45は、酸化剤流路30及び還元剤流路40とは別個に構成されていて、冷却剤が、冷却剤流路入口部45aからPEFCスタック200内に供給され、PEFCスタック200内で分岐して積層された各セル100の間を流通して冷却剤流路出口部45bから外部に排出されるように構成されている。
ここで、セル100は、MEA10と、カソードセパレータ15と、アノードセパレータ20とを積層して構成されている。そして、図2に示すようにMEA10とカソードセパレータ15との間には酸化剤流路30が形成され、MEA10とアノードセパレータ20との間には還元剤流路40が形成されている。
図3は、MEAの基本構造を示す模式図である。
MEA10は、水素イオンを選択的に透過するイオン交換膜からなる高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を挟むように形成された、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする一対の電極触媒層(酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3)と、この一対の電極触媒層の外面に配設された一対の拡散電極層(酸化剤側拡散電極層4及び還元剤側拡散電極層5)とを備えて構成されている。この拡散電極層4,5は、通気性と電子伝導性を併せ持つように構成されている。例えば、多孔性構造を有している。
そして、酸化剤側電極触媒層2,酸化剤側拡散電極層4及びカソードセパレータ15がカソードを構成している。
また、還元剤側電極触媒層3,還元剤側拡散電極層5及びアノードセパレータ20がアノードを構成している。
次に以上のように構成されたPEFCスタック200の動作を説明する。酸化剤物質が酸化剤流路30を経由して各セル100に分岐して供給される。各セル100では、酸化剤物質がカソードに供給される。ここでは、酸化剤側拡散電極層4に曝露される。また、水素、あるいは水素を含む還元剤物質も同様にして、アノードに供給される。ここでは、還元剤流路40を経由して還元剤側拡散電極層5に曝露される。
そして、酸化剤物質は、酸化剤側拡散電極層4を透過し、酸化剤側電極触媒層2に到達する。同様にして、還元剤物質も、還元剤側拡散電極層5を透過し、還元剤側電極触媒層3に到達する。
カソードセパレータ15、アノードセパレータ20、集電板41、41(図1参照)及び外部の電気回路(図示せず)を経由して酸化剤側電極触媒層2と還元剤側電極触媒層3との電気的な接続回路が構成されると、還元剤側電極触媒層3において、水素がイオン化する。
水素イオンは高分子電解質膜1を透過して酸化剤側電極触媒層2において、酸素イオンと結合し、水を生成する。また、水素のイオン化に伴い還元剤側電極触媒層3において発生した電子は、還元剤側拡散電極層5を経由して外部の電気回路(図示せず)を流れ、電気出力を生じさせる。
ところで、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3は、以上の動作から明らかなように、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内に充満する物質に暴露される。従って、製造直後の燃料電池においては、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3は酸化剤流路30内及び還元剤流路40内に充満する空気に暴露される。そして、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3が空気に暴露されると、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3中に残存している残留溶媒が酸化反応を起こし、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3の触媒を被毒させる可能性がある。
そこで、本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存処理体300は次のように構成されている。
PEFCスタックの保存処理体300は、PEFCスタック200と封止栓60とを備えている。そして、PEFCスタック200の酸化剤流路30及び還元剤流路40に、置換ガスが充填され、酸化剤流路30及び還元剤流路40内の酸素濃度が1%(1×104ppm)以下に低下して、酸化剤流路の入口部30a及び出口部30b並びに還元剤流路の入口部40a及び出口部40bが封止栓(封止ユニット)60によってそれぞれ気密的に封止されている。ここで封止栓はPPS樹脂からなるものを用いた。
ここで、置換ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスあるいは水素などのPEFCの作動環境下では酸化剤とならないガスである。なお、ここで、本発明において、不活性ガスとは、希ガスの他に、窒素などのPEFCの作動環境下では電極反応における反応物とならない反応性の低いガスも含む。
また、ここでは、封止栓60が封止ユニットを構成しているが、封止ユニットは気密構造の開閉弁によって構成することもできる。例えば、酸化剤流路の入口部30a及び出口部30b並びに還元剤流路の入口部40a及び出口部40bに開閉弁を予め装着しておき、これら開閉弁の閉止によって、酸化剤流路30及び還元剤流路40を封止することができる。この場合、封止ユニットはPEFCスタック200に一体化されて構成されることになり、封止栓等別部材の管理及び処分を不要とすることができる。なお、開閉弁は保存時に駆動動力の不要な手動が好ましい。あるいは、駆動動力喪失時には閉止状態となる、いわゆるノーマルクローズドタイプの電導開閉弁であってもよい。
ここで、PEFCスタック200は、未設置状態のPEFCスタックである。未設置状態とは、PEFCスタックの組立製造後燃料電池システムに組み込まれる前までの状態をいう。具体的には、PEFCスタックの酸化剤流路に酸化剤物質供給装置が接続される前までの状態、あるいは還元剤流路に還元剤物質供給装置が接続される前までの状態をいい、例えば、PEFCスタックが保存あるいは運搬される状態を言う。なお、PEFCスタック製造後の短期間の電気化学反応を行った後のPEFCスタックも未設置状態のPEFCスタックに含まれる。例えば、性能確認試験後のPEFCスタック、所定の発電処理後のPEFCスタックが未設置状態のPEFCスタックに含まれる。また、PEFCスタックの製造工程において本発明の保存方法を施すような場合も未設置状態のPEFCスタックに含まれる。例えば、MEAが積層されて仮締結状態で保存され、PEFCシステムへの組込時あるいはその直前において、集電板、端板等が両端に配設されてPEFCスタックが最終的に組み上げられるという製造方法においては、この仮締結状態が実質的にPEFCスタックの未設置状態に該当する。
次に、本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存方法を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すブロック図である。
まず、ステップ(低減ステップ)S1においては、未設置状態のPEFCスタック200の酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の酸素濃度を、大気中の酸素濃度未満に低減する。ここでは、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aから酸素濃度が1%(1×104ppm)以下の置換ガスを供給し、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内のガスをそれぞれ酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bから排出するとともに、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内に置換ガスを充填させる。
次に、ステップ(封止ステップ)S2においては、酸素濃度が低減されている酸化剤流路30及び還元剤流路40の入口及び出口を気密的に封止する。ここでは、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bから排出される置換ガスの酸素濃度が1%(1×104ppm)以下に低下したところで、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bを封止し、次いで、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aを封止する。酸素濃度の検出は、公知の酸素濃度計(図示せず)によって測定することができる。これによって、酸化剤流路30及び還元剤流路40内の酸素濃度を1%以下に低下させることができる。具体的には、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bにガス分析機(例えば堀場製作所製 ポータブルガスアナライザ PG−200)を接続することにより、スタック内部のガス中の酸素濃度を測定し、1%以下になった状態で酸化剤流路30及び還元剤流路40の入口30a、40a及び出口30b、40bを気密的に封止する。
また、ここでは、図1に示すように封止栓60にOリング等のスクイーズドパッキン80が配設されて、スクイーズドパッキン80が酸化剤流路出口部30b、還元剤流路出口部40b、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aと封止栓60との間隙をシールすることによって封止する。なお、酸素濃度が低いほど、アルコール酸化物は発生しにくくなるので好ましい。本願に於いては、純度99.999%の窒素ガスを用いてその効果を確認した。したがって、酸素濃度の下限値は10ppmとなる。これ以上純度を高いガスを用いてもその効果は維持されると考えられるが、入手が困難であり、ガスのコストを考慮すると保存方法としては現実的ではない。
以下、本発明の第1実施形態を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1―1]
実施例1−1のPEFCスタックの保存処理体300は、以下のように作製した。PEFCスタック200において、セル100の積層数を50とし、カソードセパレータ15及びアノードセパレータ20には、厚さ3mmの等方性黒鉛板を用いた。カソードセパレータ15及びアノードセパレータ20の主面周囲には複数のマニフォルド孔を形成し、セル100積層時には、かかるマニフォルド孔が連通し、酸化剤流路30、還元剤流路40及び冷却剤流路45を構成するようにした。
セル100に用いられたMEA10は以下のように作製した。まず、酸化剤側電極触媒層2には、アセチレンブラック系カーボン粉末(電気化学工業株式会社製デンカブラックFX−35)に、平均粒径約30Åの白金粒子を25wt%担持した触媒粉末を用いた。また、還元剤側電極触媒層3には、アセチレンブラック系カ−ボン粉末(電気化学工業株式会社製デンカブラックFX−35)に、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子(重量比でPt:Ru=1:1)を25wt%担持した触媒粉末を用いた。これらの触媒粉末をイソプロパノールに分散させ、パーフルオロカーボンスルホン酸粉末のエチルアルコール分散液(旭硝子株式会社製フレミオンFSS−1)と混合してペースト状にした。これらのペーストを、スクリーン印刷法をもちいてそれぞれ厚み250μmのカーボン不織布(東レ株式会社製TGP−H−090)の一方の主面に塗工して、それぞれ酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3を製作した。これらの電極触媒層に含まれる触媒金属量は0.3mg/cm2、パーフルオロカーボンスルホン酸の量は1.2mg/cm2であった。
高分子電解質膜1には、厚さ50μmのパーフルオロカーボンスルホン酸膜(米国Dupont社製Nafion112)を用いた。
高分子電解質膜1の中心部の両側の主面には、それぞれ酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3をホットプレスによって接合した。さらに、厚さ250μmのフッ素系ゴムシートを切り抜いて、一対のガスケットを作製し、これを酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3が露出するようにして、高分子電解質膜1を挟み、これらをホットプレス(135℃、1MPa、10分の条件)によって高分子電解質膜1に接合一体化させた。
置換ガスには99.999%の窒素を用いた。
窒素ガスを酸化剤流路入口部30aから1L/minの流量で供給し、酸化剤流路出口部30bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.08%となったところで、酸化剤流路出口部30b及び酸化剤流路入口部30aを順に気密的に封止した。
窒素ガスを還元剤流路入口部40aから1L/minの流量で供給し、還元剤流路出口部40bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.08%となったところで、還元剤流路出口部40b及び還元剤流路入口部40aを順に気密的に封止した。
実施例1−1のPEFCスタックの保存処理体300を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気中に3ヶ月間保存した。ここでは、空調機によって温度と湿度とが制御された室内に保存した。
保存後のPEFCスタック200を75℃に保持し、露点75℃に加湿された還元剤物質(80%水素ガス/20%二酸化炭素/10ppm一酸化炭素)を75℃に加温して還元剤流路40に供給し、露点75℃に加湿された空気を75℃に加温して酸化剤流路30に供給し、PEFCスタック200の定格運転を行った。
PEFCスタック200の定格運転は、燃料利用率80%、酸素利用率30%、電流密度0.3A/cm2とした。
[実施例1―2]
PEFCスタックの保存処理体300は、以下のようにして作製した。実施例1−1と同型のPEFCスタック200と置換ガス(窒素ガス)とを用いた。窒素ガスを酸化剤流路入口部30aから実施例1−1と同様の流量で供給し、酸化剤流路出口部30bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.11%となったところで、酸化剤流路出口部30b及び酸化剤流路入口部30aを順に気密的に封止した。
窒素ガスを還元剤流路入口部40aから実施例1−1と同様の流量で供給し、還元剤流路出口部40bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.11%となったところで、還元剤流路出口部40b及び還元剤流路入口部40aを順に気密的に封止した。
実施例1−1と同様の条件で、PEFCスタックの保存処理体300を3ヶ月間保存した。そして、実施例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[定格運転による性能評価1]
図5は、定格運転における実施例1−1及び実施例1−2のPEFCスタック200の平均セル電圧の経時的変化を示す図である。定格運転における実施例1−2のPEFCスタック200の平均セル電圧Vの電圧降下率Rは図に示すように4.6μV/hまで抑制された。これに対し、定格運転における実施例1−1のPEFCスタック200の平均セル電圧Vの電圧降下率Rは1.2μV/hであり、PEFCスタック200の性能の劣化がさらに抑制された。
また、PEFCスタック200の平均セル電圧Vも実施例1−1の方が実施例1−2よりも高い電圧となった。
さらに、図6は、酸化剤流路30の酸素濃度をパラメータとして、実施例1−1あるいは実施例1−2と同様の条件下で実施した定格運転におけるPEFCスタック200の平均セル電圧の電圧降下率の変化を示す図である。図に示すように、酸素濃度Pが低いほど、平均セル電圧Vの電圧降下率Rは低減した。
特に、酸素濃度Pを0.1%(1×10 3 ppm)以下にまで低減すると、平均セル電圧Vの電圧降下率Rが2μV/h以下に比較的安定化することを見出した。したがって、上述の高純度の置換ガスの調達コストから酸素濃度の下限値を考慮すれば、上限をも考慮すれば、PEFCスタックの保存処理体300の酸化剤流路30及び還元剤流路40の酸素濃度は10ppm以上1×10 3 ppm以下の範囲に低減されていると好適である。
[実施例1−3]
本実施例のPEFCスタック200は、実施例1−1と同様のものを用いた。
本実施例のPEFCスタックの保存処理体300は、以下のようにして製作した。窒素ガスを酸化剤流路入口部30aからから実施例1−1と同様の流量で供給し、酸化剤流路出口部30bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.8%となったところで、酸化剤流路出口部30b及び酸化剤流路入口部30aを順に気密的に封止した。また、窒素ガスを還元剤流路入口部40aからから実施例1−1と同様の流量で供給し、還元剤流路出口部40bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.8%となったところで、還元剤流路出口部40b及び還元剤流路入口部40aを順に気密的に封止した。
実施例1−1と同様の条件で、PEFCスタックの保存処理体300を2週間保存した。そして、実施例1と同様の条件で定格運転を行った。
[実施例1−4]
本比較例のPEFCスタック200は、実施例1−1と同様のものを用いた。
本比較例のPEFCスタックの保存処理体300は、以下のようにして作製した。窒素ガスを酸化剤流路入口部30aから実施例1−1と同様の流量で供給し、酸化剤流路出口部30bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが1.1%となったところで、酸化剤流路出口部30b及び酸化剤流路入口部30aを順に気密的に封止した。また、窒素ガスを還元剤流路入口部40aから実施例1−1と同様の流量で供給し、還元剤流路出口部40bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが1.1%となったところで、還元剤流路出口部40b及び還元剤流路入口部40aを順に気密的に封止した。
実施例1−1と同様の条件で、PEFCスタックの保存処理体300を2週間保存した。そして、実施例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[定格運転による性能評価2]
定格運転における実施例1−4のPEFCスタック200の平均セル電圧Vは保存前と比較して7mV低下であり、PEFCスタック200の性能の劣化が抑制された。これに対し、定格運転における実施例1−3のPEFCスタック200の保存前後での平均セル電圧Vの低下量は2μVであり、PEFCスタック200の性能の劣化がさらに抑制された。
したがって、PEFCスタックの保存処理体300の保存期間が2週間以内の場合においては、酸素濃度Pが1%(1×104ppm)以下であれば、電圧劣化に対する抑制効果が特に大きいことがわかった。
[実施例1−5]
PEFCスタックの保存処理体300は、以下のようにして作製した。
実施例1−1と同型のPEFCスタック200を用いた。
窒素ガスを酸化剤流路入口部30aから実施例1−1と同様の流量で供給し、酸化剤流路出口部30bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.08%になったところで、酸化剤流路出口部30b及び酸化剤流路入口部30aを順に気密的に封止した。
窒素ガスを還元剤流路入口部40aから実施例1−1と同様の流量で供給し、還元剤流路出口部40bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.08%になったところで、還元剤流路出口部40b及び還元剤流路入口部40aを順に気密的に封止した。
PEFCスタックの保存処理体300を温度55℃、相対湿度30%の雰囲気中に3ヶ月間保存した。ここでは、空調機によって温度と湿度とが制御された室内に保存した。
保存後のPEFCスタック200を用いて実施例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[実施例1−6]
PEFCスタックの保存処理体300は、以下のようにして作製した。実施例1−1と同型のPEFCスタック200を用いた。
窒素ガスを酸化剤流路入口部30aから実施例1−1と同様の流量で供給し、酸化剤流路出口部30bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.08%になったところで、酸化剤流路出口部30b及び酸化剤流路入口部30aを順に気密的に封止した。
窒素ガスを還元剤流路入口部40aから実施例1−1と同様の流量で供給し、還元剤流路出口部40bから排出される窒素ガスの酸素濃度Pが0.08%になったところで、還元剤流路出口部40b及び還元剤流路入口部40aを順に気密的に封止した。
PEFCスタックの保存処理体300を温度65℃、相対湿度30%の雰囲気中に3ヶ月間保存した。ここでは、空調機によって温度と湿度とが制御された室内に保存した。
保存後のPEFCスタック200を用いて実施例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[定格運転による性能評価3]
図7は、定格運転における実施例1−5及び実施例1−6のPEFCスタック200の平均セル電圧の経時的変化を示す図である。定格運転における実施例1−6のPEFCスタック200の平均セル電圧Vの電圧降下率Rは5.4μV/hであり、PEFCスタック200の性能の劣化が抑制された。これに対し、定格運転における実施例1−5のPEFCスタック200の平均セル電圧Vの電圧降下率Rは1.4μV/hであり、PEFCスタック200の性能の劣化がさらに抑制された。これは、実施例1−5においては、PEFCスタックの保存処理体300の温度が60℃以下、つまり、PEFCスタック200が白金触媒の活性化温度未満に維持されていたので、アルコールの酸化反応がPEFCスタック200の性能劣化に及ぼす影響を軽減することができたものと考えられる。
また、PEFCスタック200の平均セル電圧Vも実施例1−5の方が実施例1−6よりも高い電圧となった。これは、保存期間(3ヶ月)中に、実施例1−5においては、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3の残留溶媒の酸化による被毒の影響がより十分に抑制されていたことによって、電池性能の低下もより十分に抑制できたものと考えられる。
さらに、図8は、PEFCスタックの保存処理体300の保存時の温度をパラメータとして、実施例1−5あるいは実施例1−6と同様の条件下で実施した定格運転におけるPEFCスタック200の平均セル電圧の電圧降下率の変化を示す図である。図に示すように、保存時の温度Xが低いほど、平均セル電圧Vの電圧降下率Rは低減した。特に、保存時の温度Xが60℃以下では、平均セル電圧Vの電圧降下率Rが2μV/h以下に比較的安定化した。
なお、保存時の温度Xが25℃以下であると、酸化剤流路及び還元剤流路に残存する酸素による、酸化剤流路及び還元剤流路に残存する有機溶媒成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(有機溶媒成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、有機溶媒成分と部分酸化物との反応を含む)がより確実に防止できるのでより好適である。また、保存時の温度Xが0℃より高いと、低温下でのMEA10の機械的損傷をより容易かつより十分に防止できるようになる。したがって、PEFCスタックの保存処理体300は、0℃より高く25℃以下に維持して保存するとよい。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態は、置換ガスの代わりに、水が酸化剤流路30及び還元剤流路40に充填される実施形態である。
すなわち、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体310は、PEFCスタック200の酸化剤流路30及び還元剤流路40に、水が充填され、酸化剤流路の入口部30a及び出口部30b並びに還元剤流路の入口部40a及び出口部40bが封止栓60によってそれぞれ封止されている。ここでは、水には蒸留水を用いている。
また、本発明の第2実施形態のPEFCスタック310の保存方法は、図4のステップS1において、PEFCスタック200の酸化剤流路30及び還元剤流路40に水を充填する。ここでは、PEFCスタック200の酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aより蒸留水を供給する。そして、図4のステップS2において、水が充填されている酸化剤流路30及び前記還元剤流路40の入口30a,40a及び出口30b、40bを封止ユニットによって液密的に封止する。ここでは、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bを液密的に封止し、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内に蒸留水を充填したところで、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aを液密的に封止する。このように、酸化剤流路30及び還元剤流路40に水を充填することにより、酸化剤流路及び還元剤流路中の酸素濃度を大気中の酸素濃度未満に容易に保つことができる。また、酸化剤流路30及び還元剤流路40に水を充填することにより、触媒層中の残留有機溶媒成分のうちの水溶性成分を触媒層外に溶かしだし、希釈することができるので、触媒層中における水溶性成分の部分酸化反応、脱水縮合反応(水溶性成分同士の反応、部分酸化物同士の反応、水溶性成分と部分酸化物との反応を含む)等を十分に防止できるため、本発明の効果がより確実に得られる。
以下、本発明の第2実施形態を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例2]
PEFCスタックの保存処理体310は、以下のようにして作製した。実施例1−1と同型のPEFCスタック200を用いた。酸化剤流路30及び還元剤流路40に蒸留水を供給し、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bを封止し、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内が蒸留水で充填したところで、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aを封止した。これによって、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内から大気を排除して蒸留水を充填した。
実施例1−1と同様の条件で、PEFCスタックの保存処理体300を3ヶ月間保存した。そして、実施例1−1と同様の条件で定格運転を行った。
[定格運転による性能評価4]
図9は、定格運転における実施例2のPEFCスタック200の平均セル電圧の経時的変化を示す図である。定格運転における本実施例のPEFCスタック200の平均セル電圧Vの電圧降下率Rは1.3μV/hであり、実施例1−1(同電圧降下率Rは4.6μV/h)に比べ、PEFCスタック200の性能の劣化が抑制された。これは、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内では、水の充填により酸素が欠乏し、酸化剤側電極触媒層2及び還元剤側電極触媒層3の残留溶媒の酸化による被毒が抑制されたことから、発電中に生じるこれら電極触媒層の不活性化の影響が小さく発現するためであるものと考えられる。
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。
図に示すように、本発明の第3実施形態は、酸化剤流路入口部30aあるいは出口部30b及び還元剤流路入口部40aあるいは出口部40bに、封止栓60の代わりに、酸素除去剤容器50を装着して気密的に封止する実施形態である。すなわち、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体320においては、封止栓60と酸素除去剤容器50とが封止ユニットを構成している。また、本実施形態のPEFCスタック200の保存方法は、図4に示す第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体320及びPEFCスタック200の保存方法は、酸素除去剤容器50以外は第1実施形態と同様である。そこで、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体320については、図10において図1に示した構成要素と同一の構成要素には各々同一の符号を付してその説明を省略し、相違点である酸素除去剤容器50のみを説明する。また、本実施形態のPEFCスタックの保存方法の説明も省略する。
酸素除去剤容器50は、本体部50aと本体部50aに設けられた接続部50bとで構成されている。接続部50bは、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aに簡易に脱着可能であって、装着時には酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aを気密的に封止するように構成されている。例えば、図10に示すように、接続部50bにスクイーズドパッキン80が配設され、スクイーズドパッキン80が酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口40aと接続部50bとの間隙をシールすることによって封止するように構成されている。本体部50aには、酸素除去剤が収容されている。酸素除去剤としては、三菱ガス化学株式会社製「エージレス」、三菱ガス化学株式会社製「PRシステム」、ニッソー樹脂株式会社製「セキュール」、鉄系の除去剤、マグネシウム系の除去剤、有機系の除去剤、アルカリ土類系の除去剤等などを用いることができる。これによって、酸素除去剤容器50は、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の酸素を継続的に除去するので、酸化剤流路30及び還元剤流路40内の酸素濃度Pの低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
(第4実施形態)
図11は、本発明の第4実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。
図に示すように、本発明の第4実施形態は、酸化剤流路入口部30aあるいは出口部30b及び還元剤流路入口部40aあるいは出口部40bに、封止栓60の代わりに、置換ガス容器51を装着して気密的に封止する実施形態である。すなわち、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体330においては、封止栓60と置換ガス容器50とが封止ユニットを構成している。また、本実施形態のPEFCスタック200の保存方法は、図4に示す第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体330及びPEFCスタック200の保存方法は、置換ガス容器51以外は第1実施形態と同様である。そこで、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体330については、図11において図1に示した構成要素と同一の構成要素には各々同一の符号を付してその説明を省略し、相違点である置換ガス容器51のみを説明する。また、本実施形態のPEFCスタックの保存方法の説明も省略する。
図12は、置換ガス容器を模式的に示す図である。図に示すように、置換ガス容器51は、本体部51aが中空直方体の耐圧性のボンベとなっており、本体部51aの接続部51bは公知の減圧弁51eを有して構成されている。接続部51bは、酸素除去剤容器50の接続部50bと同様にして、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aに簡易に脱着可能であって、装着時には酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aを気密的に封止するように構成されている。これにより、置換ガス容器51は、減圧弁51eの動作により酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の圧力に応じて置換ガスを略自動的かつ断続的に噴出することができる。すなわち、置換ガス容器51は、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の置換ガスの減圧を防止するので、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内への酸素の侵入を抑制することができる。したがって、酸化剤流路30及び還元剤流路40内の酸素濃度の低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
(第5実施形態)
図13は、本発明の第5実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。
図に示すように、本発明の第3実施形態は、酸化剤流路入口部30a及び出口部30bならびに還元剤流路入口部40a及び出口部40bに、封止栓60の代わりに、それぞれ酸素除去剤容器50及び置換ガス容器51を装着して気密的に封止する実施形態である。すなわち、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体340においては、二対の酸素除去剤容器50と置換ガス容器51とが封止ユニットを構成している。また、本実施形態のPEFCスタック200の保存方法は、図4に示す第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体340は、第3実施形態と第4実施形態とを組合せた実施形態であるので、PEFCスタックの保存処理体の構造及びPEFCスタックの保存方法の説明は省略する。また、図13の構成要素には、図1、図10及び図11に示した構成要素と同一の構成要素には各々同一の符号を付して、その説明を省略する。このように構成することによって、酸素除去剤容器50は、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の酸素を継続的に除去し、かつ置換ガス容器51は酸化剤流路30内及び還元剤流路40内の置換ガスの減圧を防止するので、酸化剤流路30内及び還元剤流路40内への酸素の侵入を抑制することができる。したがって、酸化剤流路30及び還元剤流路40内の酸素濃度の低減をさらに長期に亘って維持することが可能となる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態は、第1実施形態乃至第5実施形態のPEFCスタックの保存処理体、すなわち封止ユニットが装着されたPEFCスタック200を気密的に梱包する実施形態である。
まず、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体350について説明する。
図示しないが、PEFCスタックの保存処理体350は包材により気密的に梱包される。
包材に可撓性の包材が用いられる場合には、該包材同士の接合によって封止ユニットが装着されたPEFCスタック200が気密的に梱包されている。ここで、包材には、高密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン−ビニルアルコールのフィルム、あるいはこれらのフィルムにアルミニウムを蒸着若しくはアルミニウム箔をラミネートしたフィルム等を用いることができる。これら包材はシート状あるいは袋状であってもよい。そして、包材同士の接合は、熱融着、あるいはクリップなどで該包材の開口部が封口されるように接合される。
なお、袋内に酸素検知剤、例えばシリカゲル、三菱ガス化学社製「エージレスアイ」等、をPEFCスタック200と一緒に封入しておくと好適である。これにより、袋内の酸素状態を検知することが可能となるので、PEFCスタックの保存処理体の保管に便利である。特に、透視可能な包材である場合には、開梱することなく、外部より袋内の酸素状態を検知することが可能となるので、PEFCスタックの保存処理体をより適切に保存することが可能となる。
また、PEFCスタックの保存処理体350の部材に本体部及び蓋からなる剛性体容器が用いられる場合には、該本体部と蓋との接合によって封止ユニットが装着されたPEFCスタック200が気密的に梱包されている。ここで、剛性体容器には、アルミニウム、ジュラルミンからなる剛性体容器を用いることができる。そして、該本体部と蓋との接合は、該本体部と蓋との接合部がシール剤によって封止される。剛性体容器を用いることによって、PEFCスタックの保存処理体の運搬時等における損傷を防止することができ、かつ容器の再利用も可能となる。
なお、PEFCスタックの保存処理体梱包後に梱包内部の空気が排気されるとよい。これによって、PEFCスタック200内への酸素の侵入の可能性をより一層減少させることができる。
さらに、酸素透過性の低い包材を用いると好適である。酸素透過性の低い包材としては、本発明の効果が得られる程度に酸素透過量及び透湿度の低いフィルムからなる包材であることが好ましく、特に、酸素透過量が0.01mL/(m2・day・atm)以下のフィルムフィルムからなる包材であることが好ましい。具体的には、Kコート(ポリ塩化ビニリデンコート)フィルムを含むラミネートフィルムからなる包材、EVOHなどの酸素透過量の低いフィルムを含むラミネートフィルムからなる包材、アルミ箔からなるフィルムを含むラミネートフィルムからなる包材があげられる。これによって、保存状態時におけるPEFCスタック200内の高分子電解質膜1の損傷を抑制することができる。すなわち、保存状態時にPEFCスタックの保存処理体の内部の湿度が変化すると、高分子電解質膜1の含水率が変化して高分子電解質膜1の膨張収縮が起こるので、高分子電解質膜1が損傷するおそれがある。しかしながら、酸素透過性が低い包材は水分の透過性も低いので、PEFCスタック200内部の湿度変化を抑制し、高分子電解質膜1の損傷を抑制することができる。
次に、本実施形態のPEFCスタックの保存方法について説明する。
図14は、本発明の第6実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すブロック図である。図に示すように、本実施形態のPEFCスタックの保存方法は、まず、第1実施形態乃至第5実施形態と同様にして、ステップS1乃至ステップS2を行う。そして、ステップS2の後にステップ(梱包ステップ)S3において、酸化剤流路30及び還元剤流路40の入口30a,40a及び出口30b,40bが封止されたPEFCスタック200を包材によって気密的に梱包する。
以上、本実施形態によって、PEFCスタック200の周囲から酸化剤流路30及び還元剤流路40内に侵入する酸素を抑制することができるので、PEFCスタック200の性能の劣化をさらに抑制することができる。
以下、本発明の第3実施形態乃至第6実施形態を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例3]
実施例3では第3実施形態のPEFCスタックの保存処理体320が以下のように作製された。
実施例1と同型のPEFCスタック200を用いた。
置換ガスには窒素ガスを用いた。
酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aからの窒素ガスの供給は、それぞれ1000cc/min、30minとした。
酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bには封止栓60、60を装着して、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aには酸素除去剤容器50,50を装着して気密的に封止した。酸素除去剤容器50の本体部50aには、三菱ガス化学株式会社製「エージレス」を充填しておいた。
封止直後、および封止から常温(25℃)下、5000時間経過後のPEFCスタック200内の残留酸素量を測定したところ、封止直後では0.1%以下であったが、5000時間経過後には6%程度にまで残留酸素量が増加していた。なお、残留酸素量は、酸化剤流路入口部30a、還元剤流路入口部40a、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bにおいて測定した。
[比較例3]
比較例3として、実施例3と同型のPEFCスタック200を用いて、PEFCスタック200内から酸素を除去せずに、梱包をしていない状態のまま保存した。
[実施例6−1]
実施例6−1では第6実施形態のPEFCスタックの保存処理体350が、実施例3のPEFCスタックの保存処理体320が包材によって気密的に梱包されて製作された。包材には三菱ガス化学株式会社製「ガスバリアAl袋」を用いた。
そして、梱包直後、および梱包から常温(25℃)下、5000時間経過後のPEFCスタック200内の残留酸素量を実施例3と同様に測定したところ、両者とも0.1%以下であり、ほぼ同じ値であった。
ここで、実施例3,実施例6−1及び比較例3のPEFCスタックの保存処理体を常温(25℃)下において、それぞれ5000時間保存した。そして、保存後、PEFCスタック200を70℃に保持し、露点65℃に加湿した還元剤物質を65℃に加温して還元剤流路40に供給し、露点70℃に加湿した空気を70℃に加温して酸化剤流路30に供給し、PEFCスタック200の定格運転を行った。PEFCスタック200の定格運転は、燃料利用率80%、酸素利用率40%、電流密度0.3mA/cm2とした。
[定格運転による性能評価5]
図15は、定格運転における実施例3,実施例6−1及び比較例3のPEFCスタックの平均セル電圧の経時変化を示す図である。図に示すように、比較例3に比して、実施例3は長時間運転しても各セルの平均電圧の低下は抑制されている。また、実施例6−1は、各セルの平均電圧はほとんど低下していない。このようにして、第3実施形態及び第6実施形態のPEFCスタック200の保存方法によってPEFCスタックの耐久性能の劣化が抑制されることが確認された。
[実施例6−2]
本実施例では第6実施形態のPEFCスタックの保存処理体350が、第5実施形態のPEFCスタックの保存処理体340が気密的に梱包されて作製された。具体的には、実施例3と同型のPEFCスタック200を用いて、PEFCスタック200内のガスを、実施例3と同様に窒素ガスで置換した。その後、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bを酸素除去剤容器50によって封止し、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aを置換ガス容器51によって気密的に封止した。
置換ガス容器51、51には、窒素を充填したガスボンベを用いた。
酸素除去剤容器50には、実施例3と同様、三菱ガス化学株式会社製「エージレス」を充填したカートリッジを用いた。
そして、実施例6−1と同様にして、包材によってPEFCスタックの保存処理体340を気密的に梱包した。
梱包直後、及び梱包後5000時間経過したPEFCスタック200内の残留酸素量を実施例3と同様に測定したところ、何れも0.1%以下であり、ほぼ同じ値であった。
また、本実施例のPEFCスタックの保存処理体350をそれぞれ常温下(25℃)下、及び高温(60℃)下において、5000時間保存した。そして、実施例3と同様にして、定格運転を行った。
[定格運転による性能評価6]
図16は、定格運転における実施例6−2及び比較例3のPEFCスタックの各セルの平均電圧の経時変化を示す図である。図に示すように、実施例6−2は長時間運転しても各セルの平均電圧はほとんど低下していない。これにより、第6実施形態のPEFCスタック200の保存方法によって、PEFCスタック200の耐久性能の劣化が抑制されることが確認された。
[実施例6−3]
実施例6−3では第6実施形態のPEFCスタックの保存処理体350が、第4実施形態のPEFCスタックの保存処理体330が包材によって気密的に梱包されて製作された。具体的には、実施例3と同型のPEFCスタック200を用いて、PEFCスタック200内のガスを、実施例3と同様に窒素ガスで置換した。その後、酸化剤流路出口部30b及び還元剤流路出口部40bには封止栓60、60を装着して、酸化剤流路入口部30a及び還元剤流路入口部40aには置換ガス容器51,51を装着して気密的に封止した。
置換ガス容器51には、窒素を充填したガスボンベを用いた。
そして、実施例6−1と同様にして、包材によってPEFCスタックの保存処理体330を気密的に梱包した。
本実施例のPEFCスタックの保存処理体を常温(25℃)下において5000時間保存した。そして、実施例3と同様にして、定格運転を行った。
[定格運転による性能評価7]
図17は、定格運転における実施例6−3及び比較例3のPEFCスタックの各セルの平均電圧の経時変化を示す図である。図に示すように、実施例6−3のPEFCスタック200は長時間運転しても各セル100の平均電圧はほとんど低下していない。これによって、第6実施形態のPEFCスタック200の保存方法によってPEFCスタック200の耐久性能の劣化が抑制されることが確認された。
なお、実施例3,実施例6−1、実施例6−2、実施例6−3及び比較例3において、置換ガスに、ヘリウム、アルゴンを用いても同様の効果が得られた。また、これら実施例において置換ガスに非酸化性ガスである水素を用いても同様の効果が得られた。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態は、PEFCスタック200が発電処理された後に第1実施形態乃至第6実施形態と同様にして、ステップS1及びステップS2を行う実施の形態である。すなわち、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体360の構成は、第1実施形態乃至第6実施形態と同様である。そこで、本実施形態のPEFCスタックの保存処理体360の構成の説明を省略し、本実施形態のPEFCスタックの保存方法を説明する。
図18は、本発明の第7実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すブロック図である。図に示すように、本実施形態のPEFCスタックの保存方法では、ステップ(発電処理ステップ)S0において、未設置状態のPEFCスタック200を所定の電流密度において所定の発電継続時間の間継続して発電させる。そして、第1実施形態乃至第6実施形態と同様にして、ステップS1乃至ステップS3を行う。
ここで、ステップS0においては、具体的には、PEFCスタック200を作動温度に維持し、集電板41,41間に電力負荷を電気的に接続し、かつアノード側に還元剤物質を、カソード側に酸化剤物質をそれぞれ供給することによって、PEFCスタック200における電気化学反応を引き起こす。電気化学反応は所定の電流密度Iにおいて所定の発電継続時間T継続させる。
本実施形態のPEFCスタック200の保存方法によって、MEAの触媒細孔中等PEFCスタック内に残留している溶媒や金属等の異物を、発電処理における電気化学反応による生成水とともにPEFCスタック200外へ排出させることができるので、PEFCスタック200の性能の劣化をより確実に抑制することができる。
また、発電処理における電流密度Iは、MEA10の触媒層2,3の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下が好適である。この程度の電流密度であると、MEA10における電気化学反応による水の生成が均一になるものと思われる。
また、発電処理の発電継続時間Tは少なくとも3時間あると好適である。これは、溶媒及び異物が生成水とともにPEFCスタック200から排出するにはある程度の時間を要するからである。
また、発電処理時における発電継続時間Tは、発電処理終了時における1セルあたりの電圧変化(dV/dt)が2mV/h以下に低下するまでの時間に設定すると好適である。溶媒及び異物の除去によって電圧が安定するものと考えられるので、電圧変化の低下によってPEFCスタック200からの溶媒及び異物の除去を判断することができるからである。
また、発電処理の時期は、PEFCスタック200製造後300時間以内が好適である。溶媒及び異物による触媒の劣化進行、および/あるいは高分子電解質膜1と電極触媒層2,3との接合状態の劣化進行を考慮すると、発電処理の時期はPEFCスタック製造後早い時期が好ましい。具体的には、PEFCスタック製造後300時間以内であれば、PEFCスタック200の性能劣化の進行を未然に抑制することができるからである。
また、発電処理における酸化剤物質及び還元剤物質の露点は、発電処理時におけるMEA10の温度の−10℃以上、+10℃以下の範囲内が好適である。このような露点とすることにより、MEA10には過不足のない水分が供給され、かつ水による酸化剤流路30及び還元剤流路40の閉塞、いわゆるフラッディング現象を抑制することができるので、全てのMEA10において均一な電気化学反応を確保することができる。つまり、全てのMEA10において溶媒及び異物の排出を円滑に行うことが可能となるので、PEFCスタックの性能の劣化をより確実に抑制することができる。
以下、本発明の第7実施形態のステップS0を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明のステップS0は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例においては、発電処理において、還元剤物質には水素ガス、酸化剤物質には空気を用いた。また、発電処理は、PEFCスタック200を70℃に保持し、加温及び加湿された水素ガスおよび空気をそれぞれ酸化剤流路30及び還元剤流路40に供給し、還元剤物質利用率が70%、酸化剤物質利用率が40%となるように酸化剤流路30及び還元剤流路40の供給を調節した。さらに、発電処理後に、ステップS1を経て8週間常温常湿で保存している。この保存期間(8週間)は、本発明の、溶媒及び異物の影響により高分子電解質膜1の性能が劣化する期間としての一例である。
[実施例7−1]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−1]
実施例7−1と同時期に製造されたPEFCスタック200を、常温常湿にて保存し続けた。すなわち、実施例7−1のPEFCスタック200の製造後から発電処理後の保存期間満了までの期間を常温常湿で保存した。
[比較例7−2]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して3時間供給した。供給終了後、常温常湿で8週間保存した。この間発電処理は行わなかった。
実施例7−1、比較例7−1及び比較例7−2のPEFCスタック200について、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間定格運転を継続した。表1に、定格運転における実施例7−1、比較例7−1及び比較例7−2の電圧低下量ΔVを示す。
Figure 0003766911
表1から明らかなように、実施例7−1は、比較例7−1及び比較例7−2と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。この結果から、発電処理により、PEFCスタックの性能の劣化をより確実に抑制することができることを確認できた。
[実施例7−2]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.1A/cm2で発電継続時間T=12hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−3]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.5A/cm2で発電継続時間T=12hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−4]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.5A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−5]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=2hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例7−2ならびに比較例7−3、7−4及び7−5のPEFCスタック200について、実施例7−1と同様にして、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間定格運転を継続した。
表2に、実施例7−1、実施例7−2,比較例7−3、比較例7−4及び比較例7−5の発電処理時の電流密度I及び発電継続時間T、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)、ならびに定格運転における電圧低下量ΔVを示す。
Figure 0003766911
実施例7−1と比較例7−4との比較、及び実施例7−2と比較例7−3との比較から明らかなように、実施例7−1および実施例7−2は、比較例7−3および比較例7−4と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。したがって、発電処理時の電流密度範囲は0.1A/cm2〜0.4A/cm2が好適である。これは、この電流密度の電気化学反応であれば、MEA10における電気化学反応による水の生成が均一になるものと思われる。
また、実施例7−1および実施例7−2は、比較例7−3、比較例7−4および比較例7−5と比較すると、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)が1.5mV/h以下にまで低下している。これは、この電圧変化(dV/dt)は、PEFCスタック200内、特に電極触媒層2,3内の細孔中にある溶媒及び異物を、電気化学反応による生成水とともにPEFCスタック200外へ排出する際に発生するので、電圧変化(dV/dt)が1.5mV/h程度以下にまで低下した場合には、PEFCスタック200内の溶媒及び異物の排出が十分にできているものと考えられる。
また、実施例7−1と比較例7−5との比較から明らかなように、実施例7−1は、比較例7−5と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。したがって、発電処理時の発電継続時間Tは3時間以上が好適である。これは、溶媒及び異物が生成水とともにPEFCスタック200から排出するには少なくとも3時間は要することが原因と思われる。
[実施例7−3]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を300時間、すなわち2週間程度保存した。ここでは発電処理前期間W(week)=2と表記した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−6]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を500時間、すなわち約3週間保存した。ここでは、発電処理前期間W(week)=3と表記した。そして、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例7−3及び比較例7−6のPEFCスタック200について、実施例7−1と同様にして、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間定格運転を継続した。
表3に、実施例7−1、実施例7−3及び比較例7−6の発電処理前期間W、発電処理時の電流密度I及び発電継続時間T、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)、ならびに定格運転における電圧低下量ΔVを示す。なお、前述したように、実施例1では、常温常湿にてPEFCスタック200を約1週間、正確には150時間保存した。実施例1の発電処理前期間W(week)は、W=1と表記した。
Figure 0003766911
実施例7−1及び実施例7−3と比較例7−6との比較から明らかなように、実施例7−1および実施例7−3は、比較例7−6と比較すると、電圧低下量ΔVが小さい。したがって、発電処理前期間W=2以内が好適である。つまり、発電処理はPEFCスタック200製造後300時間以内に実施することが望ましい。
[実施例7−4]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点60℃に加湿された水素ガスおよび空気を60℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEFCスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを−10℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[実施例7−5]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点80℃に加湿された水素ガスおよび空気を80℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEFCスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを+10℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−7]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点50℃に加湿された水素ガスおよび空気を50℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEFCスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを−20℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
[比較例7−8]
PEFCスタック200製造後、常温常湿にてPEFCスタック200を1週間保存した。そして、発電処理時には、PEFCスタック200を70℃に維持しながら、露点85℃に加湿された水素ガスおよび空気を85℃に加温して供給し、電流密度I=0.4A/cm2で発電継続時間T=3hとして発電処理を行った。つまり、発電処理時のPEFCスタック200を基準としたPEFCスタック200と酸化剤物質および還元剤物質との温度差ΔSを+15℃とした。発電処理後、ステップS1を経て常温常湿で8週間保存した。
実施例7−4、実施例7−5、比較例7−7及び比較例7−8のPEFCスタック200について、PEFCスタックの温度を70℃に保持して、露点70℃に加湿された水素ガスおよび空気を、70℃に加温してそれぞれ還元剤流路40及び酸化剤流路30に供給し、燃料ガス利用率を70%、酸化ガス利用率を40%、電流密度を0.2A/cm2にして1000時間定格運転を継続した。表4に、実施例7−4、実施例7−5、比較例7−7及び比較例7−8の発電処理時の電流密度I、発電継続時間Tおよび温度差ΔS、発電処理終了時の電圧変化(dV/dt)、ならびに定格運転における電圧低下量ΔVを示す。
Figure 0003766911
表4から明らかなように、実施例7−4および実施例7−5は、比較例7−7及び比較例7−8と比較すると、電圧低下量ΔVが小さいことがわかる。したがって、発電処理時においては、温度差ΔSが+10℃乃至―10℃の範囲内であると好適である。これは、温度差ΔSが+10℃乃至―10℃の範囲より拡大している場合には、PEFCスタック200内において水分の過不足が生じて、MEA10における電気化学反応が不均一になり、PEFCスタック200内、特に電極触媒層2,3内の細孔中にある溶媒および異物をPEFCスタック200外へ十分には排出させることができなかったものと考えられる。
なお、表4から明らかなように、実施例7−4および実施例7−5の電圧変化(dV/dt)は2.0mV/h以下であり、比較例7−7および比較例7−8の電圧変化(dV/dt)は2.0mV/hを上回る。前述の表2の結果及びこの結果から、電圧変化(dV/dt)が2.0mV/h程度以下にまで低下した場合には、PEFCスタック200内の溶媒及び異物の排出が十分にできているものと考えられる。したがって、発電処理は、電圧変化(dV/dt)が2.0mV/h以下となるまで継続することが望ましいことがわかる。
以上に説明したように、本発明のPEFCスタックの保存方法及びPEFCスタックの保存処理体は、酸化剤側電極触媒層及び還元剤側電極触媒層に接触する酸素が欠乏し、これら電極触媒層に残存する残留溶媒の酸化が抑制されるので、未設置状態のPEFCスタックの性能の劣化を抑制することができる。また、未設置状態のPEFCスタックを発電処理することによって、PEFCスタックの性能の劣化をさらに抑制することができる。
なお、本発明のPEFCスタックの保存方法及びPEFCスタックの保存処理体は、ここで記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から様々なPEFCスタックの保存方法及びPEFCスタックの保存処理体に容易に置換することができる。
本発明は、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を抑制する高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法として有用である。また、本発明は、未設置状態から設置場所に設置され使用されるまでの期間における高分子電解質型燃料電池スタックの性能の劣化を十分に防止できる高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体として有用である。
本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存処理体にふくまれるPEFCスタックの構造を示す分解斜視図である。 セルの基本構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すブロック図である。 定格運転における実施例1−1及び実施例1−2のPEFCスタックの平均セル電圧の経時的変化を示す図である。 酸化剤流路の酸素濃度をパラメータとして、実施例1−1あるいは実施例1−2と同様の条件下で実施した定格運転におけるPEFCスタックの平均セル電圧の電圧降下率の変化を示す図である。 定格運転における実施例1−5及び実施例1−6のPEFCスタック200の平均セル電圧の経時的変化を示す図である。 PEFCスタックの保存処理体の保存時の温度をパラメータとして、実施例1−5あるいは実施例1−6と同様の条件下で実施した定格運転におけるPEFCスタックの平均セル電圧の電圧降下率の変化を示す図である。 定格運転における実施例2のPEFCスタックの平均セル電圧の経時的変化を示す図である。 本発明の第3実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 本発明の第4実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 置換ガス容器を模式的に示す図である。 本発明の第5実施形態のPEFCスタックの保存処理体の模式図である。 本発明の第6実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すブロック図である。 定格運転における実施例3,実施例6−1及び比較例3のPEFCスタックの平均セル電圧の経時変化を示す図である。 定格運転における実施例6−2及び比較例3のPEFCスタックの各セルの平均電圧の経時変化を示す図である。 定格運転における実施例6−3及び比較例3のPEFCスタックの各セルの平均電圧の経時変化を示す図である。 本発明の第7実施形態のPEFCスタックの保存方法を示すブロック図である。
符号の説明
1 高分子電解質膜
2 酸化剤側電極触媒層
3 還元剤側電極触媒層
4 酸化剤側拡散電極層
5 還元剤側拡散電極層
10 MEA
15 カソードセパレータ
20 アノードセパレータ
30 酸化剤流路
30a 酸化剤流路入口部
30b 酸化剤流路出口部
40 還元剤流路
40a 還元剤流路入口部
40b 還元剤流路出口部
41 集電板
42 絶縁板
43 端板
45 冷却剤流路
45a 冷却剤流路入口部
45b 冷却剤流路出口部
50 酸素除去剤容器
51 置換ガス容器
50a、51a 本体部
50b、51b 接続部
51e 減圧弁
60 封止栓
80 スクイーズドパッキン
100 セル
200 PEFCスタック
300、310、320,33,340,350 PEFCスタックの保存処理体
V 平均セル電圧
H 運転時間
R 電圧降下率
X 温度
P 酸素濃度


Claims (30)

  1. 入口及び出口を有しカソードを経由する酸化剤流路と入口及び出口を有しアノードを経由する還元剤流路とを有し、前記酸化剤流路の入口より酸化剤物質が供給され、前記還元剤流路の入口より還元剤物質が供給され、前記酸化剤物質及び前記還元剤物質が前記アノード及び前記カソードにおいて電気化学反応をして、発電を行うように構成された高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法であって、
    未設置状態の前記高分子電解質型燃料電池スタックの前記酸化剤流路内及び前記還元剤流路内を大気中の酸素濃度よりも低い状態として保存する、高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  2. 未設置状態の前記高分子電解質型燃料電池スタックの前記酸化剤流路内及び前記還元剤流路内の酸素濃度を、大気中の酸素濃度未満に低減する低減ステップと、
    前記酸素濃度が低減されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、前記酸素濃度が低減されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止する封止ステップと、を有する、請求項1に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  3. 前記低減ステップにおいて、前記酸化剤流路及び前記還元剤流路の酸素濃度を10ppm以上1×10 3 ppm以下の範囲に低減する、請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  4. 前記低減ステップは、置換ガスの充填により行い、
    前記封止ステップは、前記置換ガスが充填されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、前記置換ガスが充填されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止するための封止ユニットを用いて行う、請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  5. 前記封止ステップで使用される前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、
    前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、
    内部に酸素除去剤が充填された本体部と、を有する酸素除去剤容器であり、
    前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止できる機構が設けられている、請求項4に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  6. 前記封止ステップで使用される前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、
    前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、
    内部に前記置換ガスが充填された本体部と、を有する置換ガス容器であり、
    前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止でき、かつ、前記置換ガスの噴出圧力を所定の範囲内に維持できる機構が設けられている、請求項4に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  7. 前記封止ステップで使用される前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、封止栓である、請求項4に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  8. 前記低減ステップは、水の充填により行い、
    前記封止ステップは、前記水が充填されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、前記水が充填されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止するための封止ユニットを用いて行う、請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  9. 前記封止ステップ後、高分子電解質型燃料電池スタックを0℃より高く25℃以下に維持する、
    請求項に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  10. 前記封止ステップ後、前記高分子電解質型燃料電池スタックが包材によって気密的に梱包される梱包ステップを有する、請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  11. 前記包材が、可撓性のある包材であって、該包材同士の接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包される、請求項10に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  12. 前記包材が本体部及び蓋からなる剛性体容器であって、該本体部と蓋との接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包される、請求項10に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  13. 前記包材が酸素透過性の低い包材である、請求項10に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  14. 前記高分子電解質型燃料電池スタックを発電させる発電処理ステップを有する、請求項2に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  15. 前記発電処理ステップにおける電流密度は、前記触媒層の面積あたり0.1A/cm2以上、0.4A/cm2以下である、請求項14に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  16. 前記発電処理ステップにおける発電継続時間は、3時間以上である、請求項14に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  17. 前記発電処理ステップにおける発電継続時間は、電圧変動が2mV/h以下になるまでの時間である、請求項14に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  18. 前記発電処理ステップが前記高分子電解質型燃料電池スタック製造後300時間以内に行われる、請求項14に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存方法。
  19. 入口及び出口を有しカソードを経由する酸化剤流路と入口及び出口を有しアノードを経由する還元剤流路とを有し、前記酸化剤流路の入口より酸化剤物質が供給され、前記還元剤流路の入口より還元剤物質が供給され、前記酸化剤物質及び前記還元剤物質が前記アノード及び前記カソードにおいて電気化学反応をして、発電を行うように構成された未設置状態の高分子電解質型燃料電池スタックと、
    酸素濃度が低減されている前記酸化剤流路の入口及び出口、並びに、酸素濃度が低減されている前記還元剤流路の入口及び出口を封止する封止栓あるいは容器からなる封止ユニットと、を有する、高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  20. 前記酸化剤流路及び前記還元剤流路の酸素濃度が10ppm以上1×10 3 ppm以下の範囲に低減されている、請求項19に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  21. 前記酸化剤流路及び前記還元剤流路には置換ガスが充填されている、請求項19に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  22. 前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、
    前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、
    内部に酸素除去剤が充填された本体部と、を有する酸素除去剤容器であり、
    前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止できる機構が設けられている、請求項21に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  23. 前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、
    前記酸化剤流路又は前記還元剤流路と接続される開口部を有する接続部と、
    内部に前記置換ガスが充填された本体部と、を有する置換ガス容器であり、
    前記接続部には、前記酸化剤流路の入口及び出口並びに前記還元剤流路の入口及び出口に装着される際に気密的に封止でき、かつ、前記置換ガスの噴出圧力を所定の範囲内に維持できる機構が設けられている、請求項21に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  24. 前記封止ユニットのうちの少なくとも1つは、封止栓である、請求項21に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  25. 前記酸化剤流路及び前記還元剤流路には水が充填されている、請求項19に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  26. 前記封止ユニットが装着された前記高分子電解質型燃料電池スタックを気密的に梱包する包材を有する、請求項19に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  27. 前記包材が、可撓性のある包材であって、該包材同士の接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包されている、請求項26に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  28. 前記包材が本体部及び蓋からなる剛性体容器であって、該本体部と蓋との接合によって前記高分子電解質型燃料電池スタックが気密的に梱包されている、請求項26記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  29. 前記包材が酸素透過性の低い包材である、請求項26に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。
  30. 前記高分子電解質型燃料電池スタックは、発電処理された高分子電解質型燃料電池スタックである、請求項19に記載の高分子電解質型燃料電池スタックの保存処理体。

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