JP5251837B2 - 車両運動制御システム - Google Patents
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Description
前記前輪と前記後輪との少なくとも一方を転舵させる転舵装置と、
前記車両を駆動するための駆動力および前記車両を制動するための制動力である駆制動力を前記左輪,前記右輪に対してそれぞれ付与する駆制動装置と、
前記車両の制御を司る制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記転舵装置を制御して前記前輪と後輪との少なくとも一方の転舵量を制御する転舵量制御部を有し、
その転舵量制御部が、
前記左輪および前記右輪のいずれか一方に目標とされる駆動力と目標とされる制動力との少なくとも一方を付与できない失陥が前記駆制動装置に生じた場合に、その失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制すべく、(i)前記前輪と前記後輪との一方が前記転舵装置により転舵可能とされている場合においてはその一方を(ii)前記前輪と前記後輪との両者が前記転舵装置により転舵可能とされている場合においてはそれら両者のうちの少なくとも一方を失陥対処転舵輪として、その1以上の失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御する失陥時制御部を含んで構成された車両運動制御システム。
前記失陥対処転舵輪の転舵量の一成分であって前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制するための転舵量である失陥対処転舵量を、前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングをちょうど打ち消すように決定し、その失陥対処転舵量に基づいて、前記1以上の失陥対処転舵輪の各々の目標とされる転舵量を決定するように構成された(1)項に記載の車両運動制御システム。
前記右輪に対して目標とされる駆動力を付与できない失陥あるいは前記左輪に対して目標とされる制動力を付与できない失陥が前記駆制動装置に生じた場合に、前記車両を直進させる際、その失陥がなければ前記車両が左旋回するように、前記1以上の失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御し、
前記左輪に対して目標とされる駆動力を付与できない失陥あるいは前記右輪に対して目標とされる制動力を付与できない失陥が前記駆制動装置に生じた場合に、前記車両を直進させる際、その失陥がなければ前記車両が右旋回するように、前記1以上の失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するように構成された(1)項または(2)項に記載の車両運動制御システム。
前記失陥時制御部が
前記前輪と前記後輪との両者を前記失陥対処転舵輪として、それら2つの失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するものとされ、
前記失陥が生じた場合に、前記車両を直進させる際、前記前輪と前記後輪とが互いに逆相となるように、前記2つの失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するように構成された(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の車両運動制御システム。
前記失陥対処転舵輪の転舵量の一成分であって前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制するための転舵量である失陥対処転舵量を、前記駆制動装置が失陥したことにより前記左輪および前記右輪のいずれか一方に付与できない分に相当する大きさの駆制動力に基づいて決定し、その決定された失陥対処転舵量に基づいて前記失陥対処転舵輪の転舵量を制御するように構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の車両運動制御システム。
前記前輪と後輪との少なくとも一方の前記車両を旋回させるための転舵量である旋回転舵量を、ステアリング操作部材の操作に基づいて決定し、その旋回転舵量に基づいて前記前輪と後輪との少なくとも一方の転舵量を制御するように構成され、
前記失陥時制御部が、
前記失陥対処転舵輪の転舵量が前記旋回転舵量と前記失陥対処転舵量とを足し合わせた転舵量となるように、その失陥対処転舵輪の転舵量を制御するように構成された(5)項に記載の車両運動制御システム。
前記制御装置が、
前記駆制動装置を制御して前記左輪,前記右輪の各々に対して付与する駆制動力を制御する駆制動力制御部を有する(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載の車両運動制御システム。
ステアリング操作部材の操作に応じた前記車両のヨーイングを実現すべく、前記左輪の駆制動力と前記右輪の駆制動力との差である左右輪駆制動力差を制御する左右輪駆制動力差制御部を有する(7)項に記載の車両運動制御システム。
前記左輪および前記右輪のいずれか一方に目標とされるべき駆動力を付与できない前記制動装置の失陥が生じている場合に、それら左輪および右輪の他方に付与する駆動力を増加させるように構成された(7)項または(8)項に記載の車両運動制御システム。
前記失陥対処転舵輪の転舵量の一成分であって前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制するための転舵量である失陥対処転舵量を、前記駆制動装置が失陥したことにより前記左輪および前記右輪のいずれか一方に付与できない分に相当する駆動力と、前記左輪と右輪との他方に付与する駆動力の増加させた分に相当する駆動力とに基づいて決定し、その決定された失陥対処転舵量に基づいて前記1以上の失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するように構成された(9)項に記載の車両運動制御システム。
前記左輪および前記右輪のいずれか一方に目標とされるべき制動力を付与できない前記制動装置の失陥が生じている場合に、それら左輪および右輪の他方に付与する制動力を増加させるように構成された(7)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両運動制御システム。
前記失陥対処転舵輪の転舵量の一成分であって前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制するための転舵量である失陥対処転舵量を、前記駆制動装置が失陥したことにより前記左輪および前記右輪のいずれか一方に付与できない分に相当する制動力と、前記左輪と右輪との他方に付与する制動力の増加させた分に相当する制動力とに基づいて決定し、その決定された失陥対処転舵量に基づいて前記1以上の失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するように構成された(11)項に記載の車両運動制御システム。
図1に、実施例の車両運動制御システムが搭載された車両を示す。本車両は、菱形車輪配置の車両であり、次世代コミュータとして期待されている。本車両は、車体10と、それの前方部に設けられた前輪12Fと、その前輪12Fの後方において車体10の左部,右部にそれぞれ設けられた左輪14L,右輪14Rと、それら左輪14L,右輪14Rの後方に設けられた後輪12Rとを有している。当該車両の平面視を示す図2から解るように、前輪12F,後輪12Rは、車幅方向における中央に配設されている。なお、以下の説明において、前輪12F,後輪12Rの区別を要しない場合には、車輪12と総称し、左輪14L,右輪14Rの区別を要しない場合には、車輪14と総称することとする。前輪12F,後輪12R,左輪14L,右輪14Rに関係する構成要素,パラメータ等についても同様とする。
本車両の運動は、図2に全体構成を示す車両運動制御システムによって制御される。このシステムは、当該システムの中核をなす制御装置としての電子制御ユニット(以下、「ECU」と略す)130を備えている。この、ECU130は、コンピュータを主体とする装置であり、左輪駆動装置[DL]64L,右輪駆動装置[DR]64R,左輪制動装置[BL]70L,右輪制動装置[BR]70R,左輪ばね支持位置調整装置[HL]44L,右輪ばね支持位置調整装置[HR]44R,前輪転舵装置[SF]98F,後輪転舵装置[SR]98Rを制御することで、当該車両の運動を制御するように構成されている。ちなみに、ECU130は、それら各装置の電磁モータの作動の制御のためのドライバ回路をも有している。
a)加減速制御
本車両の運動の制御のうち、車両を加速させる制御および車両をさせる制御である加減速制御は、以下のように行われる。車両の加速させる場合には、運転者によってアクセルペダル22が操作されるため、アクセルセンサ136によって検出されたアクセルペダル22の操作量aO に基づいて、次式(1)に従って、車両に与えられるべき駆動力FD,すなわち、左右の車輪14L,14Rに与えられる駆動力FDが決定される。KDは、駆動力FDを決定するための駆動力ゲインである。
FD=KD・aO ・・・(1)
一方で、車両を減速させる場合には、運転者によってブレーキペダル24が操作されるため、ブレーキセンサ138によって検出されたブレーキペダル24の操作量bOに基づいて、次式(2)に従って、車両に与えられるべき制動力FB,すなわち、左右の車輪14L,14Rに与えられる制動力FBが決定される。KBは、制動力FBを決定するための制動力ゲインである。
FB=KB・bO ・・・(2)
なお、上記駆動力ゲインKD,制動力ゲインKBは、定数であってもよく、また、何らかのパラメータに基づいて変化するようなものであってもよい。
F=FD−FB ・・・(3)
つまり、F>0の場合には、車両に駆動力Fを与えるものとし、F<0の場合には、車両に制動力Fを与えるもとされる。次いで、その駆制動力Fを左輪,右輪に分担させるべく、次式(4),(5)に従って、左輪駆制動力FL,右輪駆制動力FRが求められる。
FL=F/2 ・・・(4)
FB=F/2 ・・・(5)
FL=FL+ΔF/2 ・・・(6)
FR=FR−ΔF/2 ・・・(7)
したがって、車両旋回時には、駆動装置64L,64R,制動装置70L,70Rの制御は、補正後の左輪駆制動力FL,右輪駆制動力FRに基づいて行われる。
本車両運動制御では、車両の旋回時には、前輪12Fの転舵角である前輪転舵角δF、、後輪12Rの転舵角である後輪転舵角δRのそれぞれの目標が決定されて、前輪転舵量制御,後輪転舵量制御がなされ、左輪14L,右輪14Rの各々に与えられるべき駆制動力FL,右輪駆制動力FRの差ΔFが決定されて、左右輪駆制動力差制御がなされる。
前輪12Fの転舵角δFの制御は、ステアリングホイール20の操作量である操作角θに基づいて行われる。まず、ステアリングセンサ134によって検出されている操作角θに基づいて、次式(8)に従って、車両旋回において車両に生じるべき横加速度Gyである目標横加速度Gy*が決定される。つまり、目標横加速度Gy*が上記操作角θに応じた大きさに決定される。ちなみに、KGは、目標横加速度Gy*を決定するための横加速度ゲインであり、定数であってもよく、何らかのパラメータによって値が変化するようなものであってもよい。
Gy*=KG・θ ・・・(8)
車両に実際に生じている実際の横加速度(実横加速度)Gyは、横加速度センサ140の検出値から取得されており。上記目標横加速度Gy*に対する実横加速度Gyの偏差である横加速度偏差ΔGyが、次式(9)に従って認定される。
ΔGy=Gy*−Gy ・・・(9)
δF *=PF・ΔGy+IF・∫ΔGy・dt+DF・dΔGy/dt ・・・(10)
上記式(10)の右辺第1項,第2項,第3項は、それぞれ、比例項(P項),積分項(I項),微分項(D項)であり、PF,IF,DFは、目標前輪転舵角δF *を決定するための比例ゲイン,積分ゲイン,微分ゲインである。なお、それらゲインPF,IF,DFは、いずれも、定数であってもよく、何らかのパラメータによって値が変化するようなものであってもよい。目標前輪転舵角δF *の決定後、前輪転舵角センサ146Fによって検出されている実際の前輪転舵角δFが、その目標前輪転舵角δF *となるように、前輪転舵装置98Fの有する電磁モータへの供給電流量が決定され、その電流量の電流がその電磁モータに供給される。なお、上記制御方法に代えて、上記式(10)によって、直接、上記電磁モータへの供給電流量を決定し、その電流量の電流が、電磁モータに供給されるような制御を行うようにしてもよい。
左輪14Lの駆制動力FLと右輪14Rの駆制動力FRに駆制動力差ΔFをつける制御は、ステアリングホイール20の操作量である操作角θと、車両が走行している速度vとに基づいて行われる。まず、ステアリングセンサ134によって検出されている操作角θにと、車速センサ132によって検出されている車速vとに基づいて、次式(11)に従って、車両旋回において実現すべきヨーレートγである目標ヨーレートγ*が決定される。つまり、目標ヨーレートγ*が上記操作角θを車速vで除したものに応じた大きさに決定される。ちなみに、Kγは、目標ヨーレートγ*を決定するためのヨーレートゲインであり、定数であってもよく、何らかのパラメータによって値が変化するようなものであってもよい。
γ*=Kγ・θ・v ・・・(11)
実際に実現している車両のヨーレート(実ヨーレート)γは、ヨーレートセンサ142の検出値から取得されており。上記目標ヨーレートγ*に対する実ヨーレートγの偏差であるヨーレート偏差Δγが、次式(12)に従って認定される。
Δγ=γ*−γ ・・・(12)
ΔF=PLR・Δγ+IF・∫Δγ・dt+DF・dΔγ/dt ・・・(13)
上記式(13)の右辺第1項,第2項,第3項は、それぞれ、比例項(P項),積分項(I項),微分項(D項)であり、PLR,ILR,DLRは、上記左右輪駆制動力差ΔFを決定するための比例ゲイン,積分ゲイン,微分ゲインである。なお、それらゲインPLR,ILR,DLRは、いずれも、定数であってもよく、何らかのパラメータによって値が変化するようなものであってもよい。左右輪駆制動力差ΔFの決定後、その左右輪駆制動力差ΔFに基づいて、先に説明したように、上記左輪駆制動力FL,右輪駆制動力FRの補正が行われる。
後輪12Rの転舵角δRの制御は、前輪転舵制御において認定された横加速度偏差ΔGyと、左右輪駆制動力差制御において認定されたヨーレート偏差Δγに基づいて行われる。まず、それら横加速度偏差ΔGy,ヨーレート偏差Δγに基づいて、次式(14)に従って、公転求心加速度偏差ΔGoが決定される。
ΔGo=ΔGy−v・Δγ ・・・(14)
この公転求心加速度偏差ΔGoは、目標公転求心加速度Go*に対する、実際の公転求心加速度(実公転求心加速度)Goの偏差と等価なものと考えることができる。ちなみに、目標公転求心加速度Go*は、次式(15)で、実公転求心加速度Goは、次式(16)で、それぞれ表わされるものである。
Go*=Gy*−v・γ* ・・・(15)
Go=Gy−v・γ ・・・(16)
δR *=PR・ΔGO+IR・∫ΔGO・dt+DR・dΔGO/dt ・・・(17)
上記式(17)の右辺第1項,第2項,第3項は、それぞれ、比例項(P項),積分項(I項),微分項(D項)であり、PR,IR,DRは、目標後輪転舵角δF *を決定するための比例ゲイン,積分ゲイン,微分ゲインである。なお、それらゲインPR,IR,DRは、いずれも、定数であってもよく、何らかのパラメータによって値が変化するようなものであってもよい。目標後輪転舵角δR *の決定後、後輪転舵角センサ146Rによって検出されている実際の後輪転舵角δRが、その目標後輪転舵角δR *となるように、後輪転舵装置98Rの有する電磁モータへの供給電流量が決定され、その電流量の電流がその電磁モータに供給される。なお、上記制御方法に代えて、上記式(17)によって、直接、上記電磁モータへの供給電流量を決定し、その電流量の電流が、電磁モータに供給されるような制御を行うようにしてもよい。
例えば、左輪駆動装置64Lと右輪駆動装置64Rとの一方が失陥した場合には、左輪14Lに与える駆動力と右輪14Rに与える駆動力との間に差が生じ、車両にはヨーイングが生じてしまうことになる。また、左輪制動装置70Lと右輪制動装置70Rとの一方が失陥した場合には、左輪14Lに与える制動力と右輪14Rに与える制動力との間に差が生じ、この場合にも、車両にはヨーイングが生じてしまうことになる。そこで、本車両運動制御システムは、上記のような失陥が生じた場合には、失陥時制御が実行されるようになっている。その失陥時制御は、左輪14Lに対応する装置と右輪14Rに対応する装置のうちの失陥した装置が発生できない駆動力あるいは制動力を、それらのうちの正常な装置に発生させるとともに、そのことにより生じる左右輪の間の駆動力あるいは制動力の差である駆制動力差に起因する車両のヨーイングを打ち消すべく、転舵輪である前輪12Fと後輪12Rとの転舵を制御するものである。つまり、本システムにおいては、前輪12Fと後輪12Rとの両者が、失陥対処転舵輪とされている。以下に、その失陥時制御について、詳しく説明する。
F・Tr/2=FyF・LF+(−FyR)・LR ・・・(18)
ここで、Trは、トレッドであり、LF,LRは、それぞれ、重心位置から前輪12F,後輪12Rまでの距離である。また、車両には、横力が働かない状態であることが望ましい。つまり、前輪12Fにおいて車両に作用する横力FyFと、後輪12Rにおいて車両に作用する横力FyRとは、逆向きで同じ大きさであることが望ましい。したがって、上記式(18)において、FyR=−FyFとすれば、その横力FyF,FyRが、次式のように求められるのである。ちなみに、前方に向かう力を正,左方に向かう横力を正としている。
FyF=F・Tr/{2・(LF+LR)} ・・・(19)
FyR=−F・Tr/{2・(LF+LR)} ・・・(20)
そして、それらの横力FyF,FyRは、それぞれ、上記の前輪転舵角δFO,後輪転舵角δROに比例するものであるため、次式に従って、前輪転舵角δFO,後輪転舵角δROが求められるのである。
δFO=KδF・FyF ・・・(21)
δRO=KδR・FyR ・・・(22)
ここで、KδF,KδRは、前輪12F,後輪12Rに対応して定まる定数である。つまり、左輪駆動装置64Lのみで駆動力Fを発生させる場合には、前輪12F,後輪12Rを、それぞれ、前輪転舵角δFO,後輪転舵角δROだけ転舵させることで、車両にはヨーモーメントも横力も発生せず、車両は直進することが可能となるのである。なお、それら前輪転舵角δFO,後輪転舵角δROが、失陥対処転舵量である。
F・Tr/2−{FyF・LF+(−FyR)・LR}=ΔF・Tr/2
・・・(23)
上記式(23)において、FyR=−FyFとすれば、その横力FyF,FyRが、次式のように求められる。
FyF=(F−ΔF)・Tr/{2・(LF+LR)} ・・・(24)
FyR=−(F−ΔF)・Tr/{2・(LF+LR)} ・・・(25)
そして、先に示した式(21),式(22)に従って、前輪失陥対処転舵角δFO(=KδF・FyF),後輪失陥対処転舵角δRO(=KδR・FyR)が求められる。続いて、旋回転舵量である上記式(10)により得られた目標前輪転舵角δF *(旋回転舵量である)に前輪失陥対処転舵角δFOが加えられ、上記式(17)により得られた目標後輪転舵角δR *に後輪失陥対処転舵角δROが加えられ、それらが、次式のように補正されるのである。
δF *=δF *+δFO ・・・(26)
δR *=δR *+δRO ・・・(27)
上述したような失陥時制御により、先に述べた旋回時制御を、失陥時においも実行可能とされているのである。
上述した車両の運動制御は、図6にフローチャートを示す車両運動制御プログラムが、イグニッションスイッチがON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec)をおいてECU130により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、その制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。
上述したような制御を実行して車両の運動を制御するための制御装置として機能するECU130は、前述した各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図12に示すように、ECU130は、上記転舵制御サブルーチンを実行して前輪12Fの転舵量と、後輪12Rの転舵量とを制御する機能部である転舵量制御部200と、上記加減速制御サブルーチンを実行して左輪14L,右輪14Rの各々に付与する駆制動力を制御する機能部である駆制動力制御部202とを有している。その転舵量制御部200は、駆制動装置の失陥に起因するヨーイングを抑制すべく、失陥対処転舵輪である前後輪12の転舵量を制御する失陥時制御部210を有しており、その失陥時制御部210は、転舵制御サブルーチンのS52〜S55を実行する部分を含んで構成される。また、駆制動力制御部202は、左右輪駆動力差制御サブルーチンを実行して、ステアリング操作に応じた車両のヨーイングを実現すべく左右輪駆制動力差を制御する左右輪駆制動力差制御部220を有している。また、駆制動力制御部202は、左輪14Lと右輪14Rとのいずれか一方に目標とされるべき駆制動力を付与できない駆制動装置の失陥が生じた場合に、左輪14Lと右輪14Rとの他方に付与する駆制動力を増加させる失陥時制御部222を有している。
菱形車輪配置車両において、左右輪14の駆動装置64L,64Rのいずれか、左右輪14の制動装置70L,70Rのいずれかに失陥が生じた場合には、車両にヨーイングが生じることになるが、本車両運動制御システムによれば、そのヨーイングを打ち消すように、前後輪12が転舵されるため、車両の直進性が確保されることになる。したがって、本実施例の車両運動制御システム搭載した菱形車輪配置車両は、実用性の高いものとなるのである。
Claims (5)
- (a)自身の前方部に配置された単一の前輪と(b)その前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪と(c)それら左輪および右輪より後方に配置された単一の後輪とを有する車両に搭載され、その車両の運動を制御する車両運動制御システムであって、
前記前輪と前記後輪との少なくとも一方を転舵させる転舵装置と、
前記車両を駆動するための駆動力および前記車両を制動するための制動力である駆制動力を前記左輪,前記右輪に対してそれぞれ付与する駆制動装置と、
前記車両の制御を司る制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記転舵装置を制御して前記前輪と後輪との少なくとも一方の転舵量を制御する転舵量制御部を有し、
その転舵量制御部が、
前記左輪および前記右輪のいずれか一方に目標とされる駆動力と目標とされる制動力との少なくとも一方を付与できない失陥が前記駆制動装置に生じた場合に、その失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制すべく、(i)前記前輪と前記後輪との一方が前記転舵装置により転舵可能とされている場合においてはその一方を(ii)前記前輪と前記後輪との両者が前記転舵装置により転舵可能とされている場合においてはそれら両者のうちの少なくとも一方を失陥対処転舵輪として、その1以上の失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御する失陥時制御部を含んで構成された車両運動制御システム。 - 前記失陥時制御部が、
前記失陥対処転舵輪の転舵量の一成分であって前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制するための転舵量である失陥対処転舵量を、前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングをちょうど打ち消すように決定し、その失陥対処転舵量に基づいて、前記1以上の失陥対処転舵輪の各々の目標とされる転舵量を決定するように構成された請求項1に記載の車両運動制御システム。 - 前記転舵装置が、前記前輪と前記後輪との両者を転舵させるものとされ、
前記失陥時制御部が
前記前輪と前記後輪との両者を前記失陥対処転舵輪として、それら2つの失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するものとされ、
前記失陥が生じた場合に、前記車両を直進させる際、前記前輪と前記後輪とが互いに逆相となるように、前記2つの失陥対処転舵輪の各々の転舵量を制御するように構成された請求項1または請求項2に記載の車両運動制御システム。 - 前記失陥時制御部が、
前記失陥対処転舵輪の転舵量の一成分であって前記失陥に起因して生じる車両のヨーイングを抑制するための転舵量である失陥対処転舵量を、前記駆制動装置が失陥したことにより前記左輪および前記右輪のいずれか一方に付与できない分に相当する大きさの駆制動力に基づいて決定し、その決定された失陥対処転舵量に基づいて前記失陥対処転舵輪の転舵量を制御するように構成された請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両運動制御システム。 - 前記転舵量制御部が、
前記前輪と後輪との少なくとも一方の前記車両を旋回させるための転舵量である旋回転舵量を、ステアリング操作部材の操作に基づいて決定し、その旋回転舵量に基づいて前記前輪と後輪との少なくとも一方の転舵量を制御するように構成され、
前記失陥時制御部が、
前記失陥対処転舵輪の転舵量が前記旋回転舵量と前記失陥対処転舵量とを足し合わせた転舵量となるように、その失陥対処転舵輪の転舵量を制御するように構成された請求項4に記載の車両運動制御システム。
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