JP5251706B2 - 孔加工治具 - Google Patents

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Description

本発明は、加工対象物に孔を形成するときに用いられる治具に関する。
従来、自動車のエンジン等の内燃機関の燃焼室に霧化された燃料を供給する燃料噴射装置は公知となっている。
燃料噴射装置は通常、先端部が半球状あるいは円錐台状に成形されたノズルを備え、当該ノズルの先端部が内燃機関における燃焼室あるいは吸気管の内部に挿入された状態で当該ノズルの先端部から燃料を噴射する。
燃料噴射装置のノズルの先端部にはノズルの内部空間と外部とを連通する燃料噴射口が形成される。加圧された燃料をノズルの内部空間から燃料噴射口を通じてノズルの外部(燃焼室あるいは吸気管の内部)に噴射することにより、噴射された燃料はノズルの外部において大きく減圧され、霧化される(微細な粒子となる)。
内燃機関の更なる燃費の向上あるいは排気ガスの清浄度の向上の観点から、燃料噴射装置のノズルの先端部には通常、複数の燃料噴射口が形成されるとともに、これらの燃料噴射口から異なる複数の方向に燃料が噴射される。
燃料噴射口の諸パラメータ(燃料噴射口の数、配置(噴射方向)、噴射口の直径、噴射口の長さ等)は燃料噴射装置の噴霧特性、ひいては内燃機関の性能(燃費、排気ガスの清浄度、出力値等)に大きな影響を及ぼすこと、燃料噴射口の直径は小さいもので100ミクロン以下となること、といった理由から、ノズルの先端部に燃料噴射口を形成する場合には高い加工精度が要求される。
燃料噴射装置のノズルの先端部に燃料噴射口を形成する方法としては、放電加工装置、ドリル等の切削工具を用いた切削装置、あるいはビーム加工装置等の装置を用いる方法が知られている。例えば、特許文献1から特許文献7に記載の如くである。
特許文献1に記載の方法は、燃料噴射口として、入口(ノズルの内周面の開口部)側の端部から中途部までは徐々に直径が小さくなるとともに中途部から出口側の端部までは直径が一定となる孔、または、入口側の端部から中途部までは徐々に直径が小さくなるとともに中途部から出口側の端部までは徐々に直径が大きくなる孔、を形成する方法であって、燃料噴射口において入口側から出口側に向かって縮径する部分をノズルの内側からビーム加工により形成する。
しかし、燃料噴射口として筒状のノズルの軸線方向に平行な方向の孔を形成する場合には特許文献1に記載の方法を適用することが可能であるが、筒状のノズルの軸線方向に対して平行でない(傾斜した)孔を形成する場合には特許文献1に記載の方法を適用することが実質的に不可能である。
特許文献2に記載の方法は、予め対象物の外部から切削加工によりストレートな(入口側の端部から出口側の端部まで直径が一定となる)下孔を形成しておき、次いで当該下孔に先端に行くほど刃の端部が回転中心から遠ざかる形状の切削刃を挿入し、当該切削刃を回転することにより入口側の端部から出口側に向かって徐々に直径が小さくなる孔を形成する方法である。
しかし、特許文献2に記載の方法は、形成する孔の径が小さい場合には切削刃の強度が不足するため、所望のテーパ角度を有する孔を形成することが困難であるという問題点を有する。
特に、燃料噴射装置のノズルの先端部に形成される燃料噴射口として直径が100ミクロン程度の孔を形成する場合には、下孔の直径を100ミクロンよりも小さく設定し、切削刃の外形寸法を下孔の直径よりもさらに小さくする必要がある。このような条件下では、切削時に作用する曲げ応力に耐えられる強度を有する切削刃を既存の材料を用いて製造することは困難である。
特許文献3に記載のツールホルダは所定のテーパ角度を有する孔を形成するものであり、マシニングセンタ等の工作機械の主軸に着脱自在に装着される。
しかし、特許文献3に記載のツールホルダは、工具(切削刃)が固定される工具軸の直径が大きいので、燃料噴射装置のノズルの先端部に形成される燃料噴射口の如き直径の小さい孔を形成する用途に適用することが困難である。
また、特許文献3に記載のツールホルダは大まかな形状が予め形成された孔の内周面の仕上げに用いられるものであり、全く孔が形成されていない対象物に対して単独で孔を形成することはできない(別途下孔を加工する作業を要する)。
特許文献4に記載の方法は放電加工により直径が小さい孔を形成する方法であり、レーザ加工装置により予め形成された下孔に電極を挿入し、加工対象物を電極の長手方向の軸線を中心に回転させつつ放電加工を行う。
しかし、特許文献4に記載の方法はレーザ加工装置により予め形成される下孔の形状(テーパ角度)を制御する方法については開示していない。
特許文献5に記載の方法は燃料噴射装置のノズルの先端部に燃料噴射口となる孔を形成する方法であり、放電加工装置の電極を適宜傾斜させながら放電加工を行うことにより入口側の端部から出口側に向かって徐々に直径が小さくなる孔、あるいは入口側の端部から中途部までは徐々に直径が小さくなるとともに中途部から出口側の端部までは徐々に直径が大きくなる孔を形成する。
しかし、特許文献5に記載の方法は放電加工装置が電極を傾斜させる具体的な構成を開示していない。
また、特許文献5に記載の方法を実施する放電加工装置はその装置構成が複雑化するとともに高い加工精度を得ることが困難である(あるいは、高い加工精度を得るために非常に高価なものとなる)という問題を有する。
すなわち、放電加工装置は、電極の寸法精度および損耗の影響による加工精度の低下を防止するために電極を長手方向の軸を中心に回転させる機構を備えるのが一般的であるが、電極を傾斜させる場合、当該長手方向の軸とは異なる(平行でない)別の軸周りに電極を回転させる機構をも備える必要が生じ、装置が複雑化する。また、電極にこのような複雑な動作をさせた場合、加工精度を確保するのが困難である。
さらに、特許文献5に記載の方法は、電極の長手方向の軸とは異なる別の軸周りに電極を回転させる機構を備えない既存の放電加工装置を有効に活用することができない。
特許文献6に記載の方法はレーザー光線を用いてワークに孔を形成する方法であり、レーザー光線の幾何学形状、光線パラメータ等を調節することにより種々の形状の孔を形成する。
しかし、特許文献6に記載の方法を大量生産される対象物に適用するためにはレーザー光線の幾何学形状、光線パラメータ等を長期にわたり一定に保持することを要するが、これらを一定に保持するためには多大なメンテナンスを要する。
従って、特許文献6に記載の方法では、高い寸法精度および高い再現性を確保しつつ所望の形状の孔を形成することは困難である。
特許文献7に記載の方法は放電加工によりワークを加工する方法であり、電極を所定の形状の案内部材で保持することにより電極の位置精度を向上させ、ひいては加工精度を向上させる。
しかし、特許文献7に記載の方法も特許文献5に記載の方法と同様に、その装置構成が複雑化するという問題を有する。
特開平1−249959号公報 特開2001−277015号公報 実公平7−13925号公報 特開2008−238372号公報 特開2007−263114号公報 特表2002−536187号公報 特表2004−516951号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、所望のテーパ角度を有する孔を精度良く形成することが可能な孔加工治具を提供するものである。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、
加工対象物に対して加工工具により加工線に沿って孔を加工する際に用いられる孔加工治具であって、
加工工具の加工線に対して垂直な加工基準面に対して第一角度θだけ傾斜した加工面を有するとともに前記加工面に対して垂直かつ前記加工線に交差する回転軸線を中心に回転駆動される回転部材と、
加工対象物の軸線が前記回転軸線を含む面上にあり、前記加工対象物の軸線が前記加工面に対して第二角度φだけ傾斜し、かつ、前記加工対象物における加工部位が前記加工線と前記回転軸線との交差点に配置された状態を保持しつつ、前記加工対象物を前記回転部材に固定する固定部材と、
を具備するものである。
請求項2においては、
前記第一角度θを調整する第一角度調整機構を具備するものである。
請求項3においては、
前記第二角度φを調整する第二角度調整機構を具備するものである。
本発明は、所望のテーパ角度を有する孔を精度良く形成することが可能である、という効果を奏する。
本発明に係る孔加工治具の第一実施形態を示す側面断面図。 回転部材の回転軸線周りの回転角度が0°のときの逆テーパ形状の燃料噴射孔が形成された燃料噴射装置用ノズルの先端部を示す側面断面図。 回転部材の回転軸線周りの回転角度が180°のときの逆テーパ形状の燃料噴射孔が形成された燃料噴射装置用ノズルの先端部を示す側面断面図。 回転軸線を基準としたときの電極の軌跡を示す斜視図。 X形状の燃料噴射孔が形成された燃料噴射装置用ノズルの先端部を示す側面断面図。 正テーパ形状の燃料噴射孔が形成された燃料噴射装置用ノズルの先端部を示す側面断面図。 本発明に係る孔加工治具の第二実施形態を示す側面断面図。
以下では、図1から図4を用いて本発明に係る孔加工治具の第一実施形態である孔加工治具100について説明する。
図1に示す孔加工治具100は放電加工装置により燃料噴射装置用ノズル10に燃料噴射孔11a・11a・・・を形成するときに用いられる治具である。
本実施形態における放電加工装置は、加工液(例えば、水、油等)が貯留された加工液槽22に燃料噴射装置用ノズル10を収容した状態で、電極21と燃料噴射装置用ノズル10との間に所定の電圧を印加しつつ電極21を燃料噴射装置用ノズル10の加工部位(加工される部位)に接近させることにより、電極21と燃料噴射装置用ノズル10との間にアーク放電を発生させ、燃料噴射装置用ノズル10の加工部位を除去する(燃料噴射孔11a・11a・・・を形成する)。
電極21は本発明に係る加工工具の実施の一形態である。電極21は細い丸棒状(ニードル状)の部材である。電極21は銅、銅合金(銅−タングステン合金)、タングステン等の導電性材料からなる。
本実施形態の放電加工装置は、電極21の軸線方向(長手方向)が上下方向に対して平行な状態を保持しつつ、電極21を上下方向(すなわち、電極21の軸線方向)に移動させることが可能である。
以下では、説明の便宜上、電極21は上下方向に対して平行な加工線21aに沿って移動するものとする。加工線21aは本発明に係る加工線の実施の一形態である。
加工液槽22は上面が開口した箱形の部材である。加工液槽22の内部には加工液が貯留される。
加工液槽22の内部の底には、金属板からなる基準板23が固定される。基準板23の上側の板面は加工基準面23aを成す。加工基準面23aは本発明に係る加工基準面の実施の一形態である。
加工基準面23aは水平面に対して平行である。従って、加工基準面23aは加工線21aに対して垂直である。
燃料噴射装置用ノズル10は本発明に係る加工対象物の実施の一形態であり、自動車の内燃機関(エンジン)に設けられる燃料噴射装置のノズルを成す概ね円筒形状の部材である。
燃料噴射装置用ノズル10は胴体部11および基部12を具備する。
胴体部11は円筒形状の部材である。燃料噴射孔11a・11a・・・が形成される前の段階では、胴体部11の先端部(一端部)は閉塞されており、かつ胴体部11の先端部の形状は半球状である。
基部12は胴体部11と一体の部材である。基部12の外形は円筒形状であり、胴体部11の反対側端面から貫通して胴体部11の内部に連通する貫通孔が形成される。基部12の外形(直径)は胴体部11の直径よりも大きく、胴体部11の軸線および基部12の軸線は一直線となる。
以下では、説明の便宜上、胴体部11の軸線を「燃料噴射装置用ノズル10の軸線10a」と定義する。「燃料噴射装置用ノズル10の軸線10a」は本発明に係る「加工対象物の軸線」の実施の一形態である。
本発明に係る「加工対象物の軸線」は、加工対象物に対して任意の方向に設定することが可能である。ただし、高い加工精度を得る観点からは、加工対象物の外形(幾何学的な対称性、表面の形状等)に基づいて加工対象物の軸線を設定することが望ましい。
例えば、加工対象物の形状が概ね円筒形状、円柱形状あるいは円錐台形状の如き回転体形状である場合には、当該回転体の回転軸線を「加工対象物の軸線」として設定することが可能である。また、加工対象物の形状が直方体あるいは立方体の如き平滑な面を有する形状である場合には、当該平滑な面に平行な直線を「加工対象物の軸線」として設定することが可能である。
燃料噴射孔11a・11a・・・は本発明に係る孔加工治具を用いて形成される孔の実施の一形態である。
図2に示す如く、燃料噴射孔11a・11a・・・は燃料噴射装置用ノズル10の先端部(胴体部11の先端部)に形成される孔である。
燃料噴射孔11a・11a・・・は入口側(胴体部11の内周面側)の開口部から出口側(胴体部11の外周面側)の開口部に向かって徐々に直径が小さくなる形状(逆テーパ形状)を有する。
図1に示す如く、孔加工治具100はベース部材110、回転部材120、駆動機構130および固定部材140を具備する。
ベース部材110は孔加工治具100の主たる構造体を成す部材であり、孔加工治具100を構成する他の部材はベース部材110に取り付けられる。
本実施形態のベース部材110は金属材料からなるブロック状の部材であり、ベース上面110aおよびベース下面110bを有する。
ベース上面110aはベース部材110の上面を成す平面である。ベース下面110bはベース部材110の下面を成す平面である。ベース上面110aはベース下面110bに対して第一角度θだけ傾斜している。
ベース部材110は、ベース下面110bが加工基準面23aに当接した状態で基準板23に固定される。従って、基準板23に固定されたベース部材110のベース上面110aは、加工基準面23aに対して第一角度θだけ傾斜している。
回転部材120は本発明に係る回転部材の実施の一形態である。
回転部材120は回転テーブル121、軸部材122およびベアリング123・124を備える。
回転テーブル121は一対の盤面および周面を有する円盤形状の部材である。回転テーブル121の上側の盤面は加工面121aを成す。加工面121aは本発明に係る加工面の実施の一形態である。
回転テーブル121の周面(外周面)には周方向に延びたリング状の溝であるベルト溝121bが形成される。
軸部材122は略円柱形状の部材であり、その一端部(上端部)は回転テーブル121の下側の盤面に固定される。軸部材122に固定された回転テーブル121の軸線および軸部材122の軸線である回転軸線122aは一直線となる。回転軸線122aは本発明に係る回転軸線の実施の一形態である。回転テーブル121が軸部材122に固定されたとき、回転軸線122aは加工面121aに対して垂直となる。
軸部材122は、ベアリング123・124を介して、ベース部材110に回転可能に軸支される。
軸部材122がベース部材110に回転可能に軸支されたとき、回転軸線122aはベース上面110aに対して垂直となる。従って、加工面121aはベース上面110aに対して平行となり、加工面121aは加工基準面23aに対して第一角度θだけ傾斜することとなる。
また、軸部材122がベース部材110に回転可能に軸支されたとき、回転軸線122aが交差点105(図1中の白丸参照)において加工線21aと交差する。交差点105は本発明に係る「加工線と回転軸線との交差点」の実施の一形態である。
回転軸線122aは加工面121aに対して垂直となり、かつ、加工線21aは加工基準面23aに対して垂直となるので、加工線21aと回転軸線122aとの成す角度は第一角度θに一致する。
駆動機構130は回転部材120(より詳細には、回転テーブル121)を回転軸線122aを中心に回転駆動するものである。
駆動機構130はモータ131、フレキシブル駆動ケーブル132、プーリ133、軸部材134、ベアリング135、スラストベアリング136・137およびベルト138を備える。
モータ131は駆動軸131aを有する電気式のモータであり、回転部材120の駆動源となる。
本実施形態ではモータ131はベース部材110に直接固定されず、加工液槽22の外部となる位置に配置される。
従って、モータ131は加工液槽22に貯留された加工液に接触せず、モータ131に防水対策(防液対策)あるいは防爆対策を特に施す必要は無い(高価なモータをモータ131として使用する必要がない)。
また、モータ131をベース部材110に直接固定する場合に比べて孔加工治具100のうち加工液槽22の内部に配置される部分を小さくすることが可能であり、加工液槽22の内部の空間が小さい場合でも加工液槽22の内部に孔加工治具100を設置することが可能である。
フレキシブル駆動ケーブル132は可撓性を有し、かつ回転力を伝達可能な長尺の部材である。フレキシブル駆動ケーブル132の一端部はモータ131の駆動軸131aに相対回転不能に固定される。
プーリ133は外周面を有する概ね円柱形状の部材である。プーリ133の外周面にはベルト溝133aが形成される。プーリ133の上側の端面にはフレキシブル駆動ケーブル132の他端部が相対回転不能に固定される。
軸部材134は略円柱形状の部材であり、その一端部(上端部)はプーリ133の下側の端面に固定される。軸部材134に固定されたプーリ133の軸線および軸部材134の軸線は一直線となる。
軸部材134は、ベアリング135およびスラストベアリング136・137を介して、ベース部材110に回転可能に軸支される。
軸部材134がベース部材110に回転可能に軸支されたとき、プーリ133および軸部材134の軸線はベース上面110aに対して垂直となる。
ベルト138は回転テーブル121およびプーリ133に巻回される無端状の部材である。ベルト138はベルト溝121bおよびベルト溝133aに嵌合する。
モータ131に通電すると、駆動軸131a、フレキシブル駆動ケーブル132およびプーリ133が一体的に回転し、プーリ133に巻回されたベルト138および回転テーブル121も回転する。
このように、回転テーブル121は、駆動機構130により回転軸線122aを中心に回転駆動される。
本実施形態では、モータ131およびフレキシブル駆動ケーブル132が回転テーブル121および軸部材122に連結されておらず、モータ131により発生した駆動力がベルト138を介して駆動力が回転テーブル121に伝達される。
このように構成することにより、モータ131の駆動軸131aおよびフレキシブル駆動ケーブル132が回転するときに発生する振動が回転テーブル121に伝達されず、加工精度の向上に寄与する(駆動軸131aおよびフレキシブル駆動ケーブル132が回転するときに発生する振動による加工精度の低下を防止することが可能である)。
固定部材140は本発明に係る固定部材の実施の一形態である。
固定部材140は本体部材141、ホルダ部材142、係合ピン143、高さ方向スペーサ144および軸方向スペーサ145を備える。
本体部材141は固定部材140の主たる構造体を成すブロック状の部材である。本体部材141には、ホルダ収容孔141aおよび貫通孔141bが形成される。
ホルダ収容孔141aはその一端部が本体部材141の一側面に開口し、その他端部が本体部材141の他側面に開口する孔である。貫通孔141bはその一端部が本体部材141の上面に開口し、その他端部がホルダ収容孔141aの内周面に開口する孔である。
本体部材141は後で詳述する高さ方向スペーサ144を介して回転テーブル121の加工面121aに固定される。
ホルダ部材142はホルダ本体142aおよびハンドル142bを有する。
ホルダ本体142aはその外形が概ね略円柱形状の部材であり、ホルダ収容孔141aに収容される。ホルダ収容孔141aに収容されたホルダ本体142aは、ホルダ本体142aの外周面がホルダ収容孔141aの内周面に当接した状態を保持しつつ、本体部材141に対して相対回転可能である。
ホルダ本体142aの一端部(本体部材141の一側面に対応する端部)にはノズル収容穴142cが形成される。ノズル収容穴142cは略円柱形状の穴であり、ノズル収容穴142cの開口方向から見たノズル収容穴142cの形状は概ね円形となる。
ノズル収容穴142cに燃料噴射装置用ノズル10の基部12を収容したとき、基部12の外周面はノズル収容穴142cの内周面に当接した状態となる。
また、基部12はホルダ本体142aに設けられた図示せぬ固定手段(例えば、セットボルト等)によりホルダ本体142aに固定される。従って、基部12がノズル収容穴142cに収容された燃料噴射装置用ノズル10は、ホルダ本体142aに対して「燃料噴射装置用ノズル10の軸線10a」周りに相対回転不能である。
ホルダ本体142aの外周面にはホルダ本体142aの周方向に並んだ計六つの係合穴142d・142d・・・が形成される。なお、六つの係合穴142d・142d・・・はホルダ本体142aの外周面に等間隔で(ホルダ本体142aの軸線方向から見て60°ずつ位相をずらして)配置されるが、図1ではこれらのうち二つの係合穴142d・142dのみが図示される。
ハンドル142bはホルダ本体142aの他端部(ノズル収容穴142cが形成されていない方の端部に延設される略円柱形状の部材である。ハンドル142bは本体部材141の他端部(本体部材141の他側面に対応する端部)からホルダ本体142aの外部に向かって突出している。
作業者がハンドル142bを手で握って回すことにより、ホルダ部材142、ひいては基部12がノズル収容穴142cに収容された燃料噴射装置用ノズル10を本体部材141に対して相対回転させることが可能である。
係合ピン143は本体部材141に形成された貫通孔141bに着脱可能に貫装される略円柱形状の胴体部、および当該胴体部に延設されるとともに当該胴体部よりも大きい直径を有する薄い円柱形状の頭部を有する部材である。
貫通孔141bに貫装された係合ピン143の軸部の先端部(係合ピン143の頭部が延設されている方の端部と反対側の端部)を六つの係合穴142d・142d・・・のいずれかに嵌装することにより、本体部材141に対するホルダ部材142の回転、ひいては本体部材141に対する「基部12がノズル収容穴142cに収容された燃料噴射装置用ノズル10」の「燃料噴射装置用ノズル10の軸線10a周りの回転」を規制する(相対回転不能とする)ことが可能である。
高さ方向スペーサ144は本体部材141と回転テーブル121との間に介装される部材であり、互いに平行な一対の板面を有する板状の部材である。高さ方向スペーサ144の上側の板面は本体部材141の下面に当接し、高さ方向スペーサ144の下側の板面は加工面121aに当接する。
例えば、厚さ(一対の板面間の距離)が異なる複数の高さ方向スペーサ144・144・・・を予め用意しておき、これらの高さ方向スペーサ144・144・・・の中から本体部材141と回転テーブル121との間に介装されるものを選択することにより、回転テーブル121に対する本体部材141の高さ方向の位置(厳密には、回転軸線122aの長手方向の位置)を調整することが可能である。
軸方向スペーサ145は一対の端面および外周面を有する略円筒形状の部材であり、ノズル収容穴142cに収容される。軸方向スペーサ145の一対の端面の一方はノズル収容穴142cの底面に当接し、軸方向スペーサ145の一対の端面の他方はノズル収容穴142cに収容された燃料噴射装置用ノズル10の基部12の端面に当接する。
例えば、厚さ(一対の板面間の距離)が異なる複数の軸方向スペーサ145・145・・・を予め用意しておき、これらの軸方向スペーサ145・145・・・の中からノズル収容穴142cに収容されるものを選択することにより、本体部材141、ひいては固定部材140に対する燃料噴射装置用ノズル10の突出量(燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aの長手方向の位置)を調整することが可能である。
このように、固定部材140は、燃料噴射装置用ノズル10を回転テーブル121、ひいては回転部材120に固定することが可能である。
図1および図2に示す如く、固定部材140により燃料噴射装置用ノズル10が回転部材120に固定されたとき(燃料噴射装置用ノズル10の基部12がノズル収容穴142cに収容されたとき)に以下の(1)〜(3)の状態が保持される(成立する)ように、「固定部材140を構成する各部材の形状」および「回転部材120(回転テーブル121)に対して固定部材140が固定される位置」が定められる。
(1)燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aは、回転軸線122aを含む面上にある(換言すれば、軸線10aと回転軸線122aとが同一平面上に存在する)。
(2)燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aは、加工面121aに対して第二角度φだけ傾斜する。
(3)燃料噴射装置用ノズル10における加工部位は、加工線21aと回転軸線122aとの交差点105に配置される。本実施形態では燃料噴射装置用ノズル10における加工部位は胴体部11の先端部であり、より詳細には交差点105は胴体部11の先端部の半球状の外周面上となる位置に配置される。
以下では、本実施形態の孔加工治具100および放電加工装置を用いて燃料噴射装置用ノズル10に燃料噴射孔11a・11a・・・を形成する手順(以下「孔加工手順」という。)について説明する。
本実施形態の「孔加工手順」は以下の(a)〜(i)の各作業からなり、作業者がこれらの作業を順に行う。
(a)作業者が燃料噴射装置用ノズル10の基部12をノズル収容穴142cに収容し、図示せぬ固定手段でホルダ本体142aに固定する。これにより、燃料噴射装置用ノズル10が回転部材120に固定される。
(b)作業者が加工液槽22に加工液を貯留する。これにより、回転部材120に固定された燃料噴射装置用ノズル10の加工部位が加工液槽22に貯留された加工液に浸漬された状態となる(燃料噴射装置用ノズル10の加工部位が加工液槽22に貯留された加工液の液面以下となる)。
(c)作業者が孔加工治具100を操作することにより、モータ131に通電する。これにより、回転部材120、固定部材140および燃料噴射装置用ノズル10は加工液槽22に貯留された加工液の中で一体的に回転することとなる。
(d)作業者が放電加工装置を操作することにより、電極21を加工線21aの周りに回転させ、かつ電極21と燃料噴射装置用ノズル10との間に所定の電圧を印加した状態で電極21を下方に移動させる。これにより、燃料噴射装置用ノズル10には、電極21により加工線21aに沿って燃料噴射孔11aが加工される。より詳細には、燃料噴射装置用ノズル10の加工部位のうち、電極21の軌跡に重なる部分および電極21の軌跡により燃料噴射装置用ノズル10の他の部位と区画される部分が燃料噴射装置用ノズル10から除去され、燃料噴射孔11aが形成される。
なお、回転軸線122aを基準として見た場合における電極21の加工時の軌跡30は、図4に示す如く「互いに頂点が交差点105で重なり、かつ回転軸線122aを中心とする上下一対の円錐の外周面を合わせた形状」となる。
(e)作業者が放電加工装置を操作することにより、電極21を上方に移動させて電極21を燃料噴射装置用ノズル10に干渉しない位置まで退避させ、電極21と燃料噴射装置用ノズル10との間に電圧を印加するのを停止する。また、作業者が孔加工治具100を操作することによりモータ131への通電を停止し、ひいては回転部材120の回転を停止する。さらに、加工液槽22に貯留された加工液を図示せぬタンクに抜く(移し替える)。
これにより、作業者が加工液槽22に貯留された加工液に手を浸漬せずに作業することが可能な状態となる。
(f)作業者が係合ピン143を貫通孔141bから引き抜く。これにより、係合ピン143の先端部が六つの係合穴142dの一つに係合した状態を解除する。
(g)作業者がハンドル142bを回すことによりホルダ部材142を本体部材141に対して「燃料噴射装置用ノズル10の軸線10a」周りに60°回転させる。
(h)作業者が係合ピン143を貫通孔141bに再度貫装する。これにより、係合ピン143が隣の係合穴142dに係合された状態となる。
上記(e)〜(h)の作業により、先の(b)〜(d)の作業において燃料噴射孔11aが形成された位置の隣の(60°位相がずれた)加工部位が交差点105に配置されることとなる。
(i)作業者が上記(b)〜(h)の作業を繰り返す。これにより、計六つの燃料噴射孔11a・11a・・・が燃料噴射装置用ノズル10に形成される。
図2および図3に示す如く、電極21により加工されているときの燃料噴射孔11aの長手方向(軸線方向)は回転軸線122aと一直線となる。
軸平面10bは燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aに垂直な平面であり、軸平面10bと回転軸線122aとの成す角度、すなわち燃料噴射装置用ノズル10の噴射角度は第二角度φに一致する。
図2および図3に示す如く、加工線21a(電極21の長手方向)と回転軸線122aとの成す角度は第一角度θに一致し、かつ、交差点105は胴体部11の先端部の半球状の外周面上となる位置に配置されるので、燃料噴射孔11aは逆テーパ形状となり、かつそのテーパ角度ψは、第一角度θの二倍に等しくなる(ψ=2×θ)。
ここで「孔のテーパ角度」は孔の軸線(中心線)を含む平面(切断面)で孔を切断したときに得られる二本の「切断面と孔の内周面との交線」が成す角度を指す。孔の形状が孔の軸線(中心線)を中心とする回転体形状である場合には、当該孔の軸線と「切断面と孔の内周面との交線」とが成す角度の二倍が孔のテーパ角度に等しくなる。
本実施形態では燃料噴射孔11aの直径は燃料噴射孔11aの出口側(胴体部11の外周面側)の開口部において最も小さくなるが、燃料噴射孔11aの出口側の開口部の直径は電極21の直径とほぼ同じ大きさとなる。
孔加工治具100は、孔加工治具100を構成する部材の構造上、加工基準面23aと加工面121aとの成す角度である第一角度θ、および、加工面121aと固定部材140により回転部材120に固定される燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aとの成す角度である第二角度φは互いに干渉しない(第一角度θまたは第二角度φの一方を変更しても、他方が連動して変更されることはない)ので、それぞれ別個に(独立して)精度良く設定することが可能である。
従って、孔加工治具100を用いることにより、燃料噴射装置用ノズル10に形成される燃料噴射孔11a・11a・・・のテーパ角度ψ、および燃料噴射装置用ノズル10の噴射角度を精度良く設定することが可能である。
以上の如く、孔加工治具100は、
燃料噴射装置用ノズル10に対して電極21により加工線21aに沿って燃料噴射孔11a・11a・・・を加工する際に用いられるものであって、
電極21の加工線21aに対して垂直な加工基準面23aに対して第一角度θだけ傾斜した加工面121aを有するとともに「加工面121aに対して垂直かつ加工線21aに交差する回転軸線122a」を中心に回転駆動される回転部材120と、
燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aが回転軸線122aを含む面上にあり、燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aが加工面121aに対して第二角度φだけ傾斜し、かつ、燃料噴射装置用ノズル10における加工部位(胴体部11の先端部)が加工線21aと回転軸線122aとの交差点105に配置された状態を保持しつつ、燃料噴射装置用ノズル10を回転部材120に固定する固定部材140と、
を具備する。
このように構成することにより、テーパ角度ψが第一角度の二倍に等しく、かつ噴射角度が第二角度φに等しい逆テーパ形状を有する孔である燃料噴射孔11a・11a・・・を燃料噴射装置用ノズル10に精度良く形成することが可能である。
特に、孔加工治具100は、本実施形態の燃料噴射装置用ノズル10の如く外形が細い筒状の部材であるために外側からしか加工できない加工対象物、あるいは加工部位に加工工具を接近させる方向の制約がある加工対象物に、加工工具から遠ざかる方向に向かって拡径する(直径が広がる)テーパ形状を有する孔(とりわけ、加工工具側の開口部の直径が小さい孔)を形成する場合に有効である。
なお、本実施形態では加工線21aと回転軸線122aとの交差点105を胴体部11の先端部の半球状の外周面上となる位置に配置することにより、逆テーパ形状を有する燃料噴射孔11a・11a・・・を形成するが、本発明はこれに限定されず、本発明を他の形状の孔を形成する用途に適用することが可能である。
例えば、図5に示す如く、加工線21aと回転軸線122aとの交差点106を胴体部11の先端部の半球状の外周面および内周面で挟まれる位置に配置することにより、X形状、すなわち、入口側(胴体部11の内周面側)の開口部から中途部に向かって徐々に直径が小さくなり、当該中途部から出口側(胴体部11の外周面側)の開口部に向かって徐々に直径が大きくなる形状を有する孔である燃料噴射孔11c・11c・・・を燃料噴射装置用ノズル10に形成することが可能である。
また、図6に示す如く、加工線21aと回転軸線122aとの交差点107を胴体部11の先端部の内周面上となる位置に配置することにより、正テーパ形状、すなわち、入口側(胴体部11の内周面側)の開口部から出口側(胴体部11の外周面側)の開口部に向かって徐々に直径が大きくなる形状を有する孔である燃料噴射孔11d・11d・・・を燃料噴射装置用ノズル10に形成することが可能である。
図5に示す如きX形状の燃料噴射孔11c・11c・・・を燃料噴射装置用ノズル10に形成する場合、逆テーパ形状を有する燃料噴射孔11a・11a・・・あるいは正テーパ形状を有する燃料噴射孔11d・11d・・・を燃料噴射装置用ノズル10に形成する場合に比べて以下の点において有利である。
一般に、燃料噴射装置用ノズルの燃料噴射孔の最小径(直径が最も小さくなる部分の直径)は内燃機関の燃焼現象に及ぼす影響が大きいので、製造時(燃料噴射孔の加工時)のバラツキが極力小さいことが望まれる。
逆テーパ形状を有する燃料噴射孔11a・11a・・・を形成する場合には、燃料噴射孔11a・11a・・・において直径が最小径となる部分に対応する点である交差点105が「外形の寸法精度が良く、かつ固定部材140により回転部材120の所定の位置に精度良く固定された」燃料噴射装置用ノズル10の胴体部11の先端部の半球状の外周面上となる位置に配置される。
ここで、仮に燃料噴射装置用ノズル10の長さがばらついたり、あるいは回転部材120に固定される位置がばらついたりした場合には、交差点105が燃料噴射装置用ノズル10の胴体部11の先端部の半球状の外周面上よりも外側に外れた位置に配置されてしまう場合がある。この場合には、燃料噴射孔11a・11a・・・において直径が最小径となる部分である燃料噴射孔11a・11a・・・の出口側の開口部の直径が、交差点105が燃料噴射装置用ノズル10の胴体部11の先端部の半球状の外周面上に配置される場合よりも大きくなってしまう。
正テーパ形状を有する燃料噴射孔11d・11d・・・を形成する場合にも同様の事態が起こり得る。
これに対して、X形状の燃料噴射孔11c・11c・・・を燃料噴射装置用ノズル10に形成する場合には、交差点106の位置が多少ばらついても(移動しても)、胴体部11の先端部の半球状の外周面および内周面で挟まれる範囲内であれば燃料噴射孔11c・11c・・・の最小径は変化せず、内燃機関の燃焼現象に及ぼす影響を抑えることが可能である。
また、従来の加工装置でX形状の孔を形成する場合には、通常二回の加工(入口側の開口部から中途部までの孔加工および中途部から出口側の開口部までの孔加工)により形成するが、孔加工治具100を用いれば、加工線21aと回転軸線122aとの交差点106を胴体部11の先端部の半球状の外周面および内周面で挟まれる位置に配置することにより一回の加工でX形状の燃料噴射孔11c・11c・・・を燃料噴射装置用ノズル10に形成することが可能であり、ひいては作業工程の簡略化、作業工数の削減に寄与する。
本実施形態では係合ピン143を係合穴142d・142d・・・のいずれかに嵌装することにより本体部材141に対する燃料噴射装置用ノズル10の(軸線10a周りの)回転角度を調整するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、ハンドル142bを省略し、代わりに回転角度を調整可能なモータ(例えば、ステッピングモータ)を設けることにより、本体部材141に対する燃料噴射装置用ノズル10の(軸線10a周りの)回転角度を調整しても良い。
本実施形態では、放電加工装置により燃料噴射孔11a・11a・・・を形成するが、本発明はこれに限定されない。
例えば、本発明をドリル等の切削工具を用いた加工装置、あるいはレーザ加工装置により孔を加工する用途に適用することも可能である。
ドリル等の切削工具を用いた加工装置の場合、ドリル等の切削工具が本発明に係る加工工具に相当し、ドリル等の切削工具の回転中心を示す線が本発明に係る加工線に相当する。レーザ加工装置の場合、レーザ光が工具が本発明に係る加工工具に相当し、レーザ光の照射方向を示す線が本発明に係る加工線に相当する。
ただし、本発明が切削工具を用いた加工装置に適用される場合には切削工具の強度(特に、曲げ強度)が確保されること、本発明がレーザ加工装置に適用される場合にはレーザが十分に収束していること、が望ましい。
本実施形態では、燃料噴射装置用ノズル10に形成される燃料噴射孔11a・11a・・・は胴体部11の外周面から内周面まで貫通する「孔」であるが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、本発明を一端が開口するとともに他端部が閉塞された「穴」を形成する用途に適用しても良い。
以下では、図7を用いて本発明に係る孔加工治具の第二実施形態である孔加工治具200について説明する。なお、孔加工治具200のうち、図1に示す孔加工治具100と同様の部材については孔加工治具100において対応する部材と同じ番号を付し、説明を省略する。
図7に示す如く、孔加工治具200はベース部材110、回転部材120、駆動機構130、固定部材140、第一角度調整機構250および第二角度調整機構260を具備する。
第一角度調整機構250は本発明に係る第一角度調整機構の実施の一形態であり、第一角度θを調整するものである。
第一角度調整機構250は第一支点ブラケット251・251、第一支点軸252、第一調整軸253および第一調整ブロック254・254を備える。
第一支点ブラケット251・251(図7では、一方の第一支点ブラケット251のみを図示)は直方体形状の部材である。第一支点ブラケット251・251の下端部は所定の間隔を空けて基準板23の上側の板面(加工基準面23a)に固定される。
第一支点軸252は略円柱形状の部材である。第一支点軸252はベース部材110に形成された貫通孔110cに回転可能に貫装される。第一支点軸252の両端部はそれぞれ第一支点ブラケット251・251に固定される。
このように構成することにより、第一支点軸252を中心として「ベース部材110、回転部材120、駆動機構130、固定部材140および第二角度調整機構260を合わせたもの」を基準板23に対して回動することが可能である。
第一調整軸253は略円柱形状の部材である。第一調整軸253はベース部材110に形成された貫通孔110dに貫装される。貫通孔110dに貫装された第一調整軸253の両端部は、ベース部材110の外部に突出している。
第一調整ブロック254・254(図7では、一方の第一調整ブロック254のみを図示)は直方体形状の部材である。第一調整ブロック254・254の下端部は所定の間隔を空けて基準板23の上側の板面(加工基準面23a)に着脱可能に固定される。第一調整ブロック254・254の上端面には溝が形成され、第一調整軸253の両端部はそれぞれ第一調整ブロック254・254の上端面に形成された溝に嵌合した状態で第一調整ブロック254・254に支持される。
第一調整軸253の両端部がそれぞれ第一調整ブロック254・254に支持された状態では、加工基準面23aとベース部材110のベース上面110aとの成す角度、すなわち第一角度θは保持される。
また、上下方向の長さ(高さ)が異なる複数の第一調整ブロック254・254・・・を予め用意しておき、その中からいずれかの第一調整ブロック254・254を基準板23の上側の板面に固定することにより、第一調整軸253の両端部がそれぞれ第一調整ブロック254・254に支持されたときの第一角度θを調整(変更)することが可能である。
第二角度調整機構260は本発明に係る第二角度調整機構の実施の一形態であり、第二角度φを調整するものである。
第二角度調整機構260は第二支点ブラケット261、第二調整ベース262、第二支点軸263、第二調整ブロック264・264、第二調整ブラケット265・265および第二調整軸266を備える。
第二支点ブラケット261・261(図7では、一方の第二支点ブラケット261のみを図示)は直方体形状の部材である。第二支点ブラケット261・261の下端部は所定の間隔を空けて回転テーブル121の加工面121aに固定される。
第二調整ベース262は板状の部材である。第二調整ベース262の上面には固定部材140が固定される。
第二支点軸263は略円柱形状の部材である。第二支点軸263は第二調整ベース262に形成された貫通孔262aに回転可能に貫装される。第二支点軸263の両端部はそれぞれ第二支点ブラケット261・261に固定される。
このように構成することにより、第二支点軸263を中心として固定部材140を回転テーブル121に対して回動することが可能である。
第二調整ブロック264・264(図7では、一方の第二調整ブロック264のみを図示)は直方体形状の部材である。第二調整ブロック264・264の上端部は所定の間隔を空けて第二調整ベース262の下面に着脱可能に固定される。第二調整ブロック264・264の下端面には溝が形成される。
第二調整ブラケット265・265(図7では、一方の第二調整ブラケット265のみを図示)は直方体形状の部材である。第二調整ブラケット265・265の下端部は所定の間隔を空けて回転テーブル121の加工面121aに固定される。
第二調整軸266は略円柱形状の部材である。第二調整軸266の両端部はそれぞれ第二調整ブラケット265・265の上端部に固定される。
第二調整ブロック264・264の下端面には溝が形成され、当該溝が嵌合した状態で第一調整ブロック254・254が第二調整軸266により支持される。
第二調整ブロック264・264が第二調整軸266に支持された状態では、固定部材140に保持された燃料噴射装置用ノズル10の軸線10aと回転テーブル121の加工面121aとの成す角度、すなわち第二角度φは保持される。
また、上下方向の長さ(高さ)が異なる複数の第二調整ブロック264・264・・・を予め用意しておき、その中からいずれかの第二調整ブロック264・264を第二調整ベース262の下面に固定することにより、第二調整ブロック264・264が第二調整軸266に支持されたときの第二角度φを調整(変更)することが可能である。
以上の如く、孔加工治具200は、
第一角度θを調整する第一角度調整機構250を具備する。
このように構成することにより、燃料噴射装置用ノズル10に形成される燃料噴射孔11a・11a・・・のテーパ角度ψを容易かつ精度良く調整(変更)することが可能である。
また、孔加工治具200は、
第二角度φを調整する第二角度調整機構260を具備する。
このように構成することにより、燃料噴射装置用ノズル10の噴射角度を容易かつ精度良く調整(変更)することが可能である。
10 燃料噴射装置用ノズル(加工対象物)
10 軸線(加工対象物の軸線)
11 胴体部
11a 燃料噴射孔(孔)
21 電極(加工工具)
21a 加工線
23 加工基準板
23a 加工基準面
100 孔加工治具(第一実施形態)
120 回転部材
121a 加工面
122a 回転軸線
140 固定部時
200 孔加工治具(第二実施形態)
250 第一角度調整機構
260 第二角度調整機構

Claims (3)

  1. 加工対象物に対して加工工具により加工線に沿って孔を加工する際に用いられる孔加工治具であって、
    前記加工工具の加工線に対して垂直な加工基準面に対して第一角度θだけ傾斜した加工面を有するとともに前記加工面に対して垂直かつ前記加工線に交差する回転軸線を中心に回転駆動される回転部材と、
    加工対象物の軸線が前記回転軸線を含む面上にあり、前記加工対象物の軸線が前記加工面に対して第二角度φだけ傾斜し、かつ、前記加工対象物における加工部位が前記加工線と前記回転軸線との交差点に配置された状態を保持しつつ、前記加工対象物を前記回転部材に固定する固定部材と、
    を具備する孔加工治具。
  2. 前記第一角度θを調整する第一角度調整機構を具備する請求項1に記載の孔加工治具。
  3. 前記第二角度φを調整する第二角度調整機構を具備する請求項1または請求項2に記載の孔加工治具。
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