JP5250995B2 - 走行支援装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両と障害物の衝突を回避するための走行支援装置に関する。
従来より、自車両と対向車の衝突の可能性を推定し、推定結果に基づき対向車との衝突を回避するように自車両の操向手段又は制動手段を制御する走行安全装置が知られている(特許文献1参照)。
特開2006−298294号公報
従来の走行安全装置は、対向車との衝突可能性に基づいて衝突回避制御を行っており、運転者による自車両の衝突回避操作の状況を考慮していない。このため、従来の走行安全装置によれば、走行安全装置の動作中に運転者が対向車との衝突を回避するために意図的に衝突回避操作を行った場合において、走行安全装置による衝突回避操作が運転者の衝突回避操作と異なる際、走行安全装置による衝突回避制御に対し運転者が違和感を感じることがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、衝突回避制御に対する運転者の違和感を低減可能な走行支援装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明に係る走行支援装置は、運転者が行った衝突回避操作が意図的である場合に、運転者の操作に近い或いは等しい制御量を決定し、且つ、運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作が反射的である場合に、前記回避経路候補算出手段にて算出された各回避経路の候補から、障害物との衝突を回避する上で最適な回避経路を選択し、更に、回避操作状態判定手段の判定結果に基づき、障害物との衝突を回避するための自車両の制御量を決定し、決定された制御量に従って障害物との衝突を回避するように自車両の走行を制御する。
本発明に係る走行支援装置によれば、運転者の衝突回避操作状況を考慮して衝突回避動作を実行するので、衝突回避制御に対する運転者の違和感を低減することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る走行支援装置が適用された車両の構成と走行支援処理(衝突回避動作)の流れについて説明する。
〔車両の構成〕
始めに、図1,図2を参照して、本発明に係る走行支援装置が適用された車両1の構成について説明する。
本発明に係る走行支援装置が適用された車両1は、図1に示すように、駆動系として、ブレーキペダル2、ブースタ3、マスタシリンダ4、各車輪毎に設けられたホイールシリンダ5a,5b,5c,5d、アクセルペダル6、及びステアリング7を備える。マスタシリンダ4は、ブースタ3が増幅出力したブレーキペダル2の踏込量に応じて制動液圧を昇圧し、ホイールシリンダ5a,5b,5c,5dに制動液圧を供給する。ホイールシリンダ5a,5b,5c,5dは、マスタシリンダ4から供給された制動液圧に応じて各車輪の制動制御を行う。アクセルペダル6は踏込量に応じたアクセル開度情報を出力する。
車両1は、図1に示すように、検出系として、レーザレーダ8,カメラ9,操舵角センサ10,及び車速センサ11を備える。レーザレーダ8は、車両前方にレーザ光を発射し、障害物からの反射光を受光系で受光してレーザ発射時点と反射光の受光時点との時間差を検出することにより、車両1と障害物との間の距離や障害物の位置を測定する。カメラ9は、車両1前方の画像を撮像し、周囲車両や道路環境等の周囲環境情報を検出する。操舵角センサ10はステアリング7の操舵角や操舵角速度を検出する。車速センサ11は車両1の速度を検出する。なお、車両1は、運転者の視線の動き,瞳孔径,姿勢,身体各部の筋電,心拍波形等の運転者の運転状態値を検出する検出装置を備えてもよい。また車両1は、車両1のヨー角や前後左右Gを検出する検出装置を備えてもよい。
車両1は、図1に示すように、制御系として、ブレーキコントロールユニット12,ステアコントロールユニット13,及びメインコントロールユニット14を備える。ブレーキコントロールユニット12はホイールシリンダ5a,5b,5c,5dに供給される制動液圧を制御する。ステアコントロールユニット13はステアリング7の操舵角とトルクを制御する。メインコントロールユニット14は、マイクロコンピュータにより構成され、検出系により検出された情報に基づいて駆動系を制御する。
本実施形態では、メインコントロールユニット14は、内部のCPUが制御プログラムを実行することにより、図2に示すように、衝突回避限界時間算出手段21,障害物回避実施判定手段22,回避経路候補算出手段23,回避操作検出手段24,回避操作順序検出手段25,回避操作間反応時間算出手段26,回避操作状態判定手段27,回避支援量決定手段28,及び障害物回避終了判定手段29として機能する。
このような構成を有する交差点状況検出装置では、メインコントロールユニット14が以下に示す走行支援処理を実行することにより車両1が障害物に衝突することを回避する。以下、図3に示すフローチャートを参照してこの走行支援処理を実行する際のメインコントロールユニット14の動作について説明する。
〔走行支援処理〕
図3に示すフローチャートは、レーザレーダ8とカメラ9によって車両1の前方に障害物が検出されたタイミングで開始となり、走行支援処理はステップS1の処理に進む。
ステップS1の処理では、衝突回避限界時間算出手段21が、レーザレーダ8により検出された車両1と障害物との間の距離と車速センサ11により検出された車両1の速度を用いて、障害物を検出してから車両1が障害物に衝突するまでの時間を衝突回避限界時間Txとして算出する。なお、車両1の速度の代わりに障害物に対する車両1の相対速度を用いて衝突回避限界時間Txを算出してもよい。また本実施形態では、障害物が検出された時点の衝突回避限界時間Txを算出するが、運転者が最初の衝突回避操作を実行した時点(詳しくは後述)の衝突回避限界時間Txを算出してもよい。これにより、ステップS1の処理は完了し、走行支援処理はステップS2の処理に進む。
ステップS2の処理では、障害物回避実施判定手段22が、ステップS1の処理により算出された衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下であるか否かを判別することにより車両1が障害物に衝突することを回避するための制御(障害物回避制御)を実施する必要性があるか否かを判別する。そして判別の結果、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以上である場合、障害物回避実施判定手段22は、車両1が障害物に衝突するまでに時間的な余裕があり、障害物回避制御を実施する必要性はないと判断し、走行支援処理を終了する。一方、障害物回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下である場合には、障害物回避実施判定手段22は、車両1が障害物に衝突するまでに時間的な余裕がなく、障害物回避制御を実施する必要性があると判断し、走行支援処理をステップS3の処理に進める。
ステップS3の処理では、回避経路候補算出手段23が、カメラ9により検出された周囲車両や道路環境等の周囲環境情報とレーザレーダ8により検出された障害物の位置情報を参照して障害物との衝突を回避するための回避経路の候補を複数算出し、各候補について経路追従のために必要な制動液圧及び操舵角度の値を推奨操作量として出力する。これにより、ステップS3の処理は完了し、走行支援処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、回避操作検出手段24が障害物との衝突を回避するために運転者が行った衝突回避操作の内容を検出し(回避操作検出処理)、回避操作順序検出手段25が衝突回避操作の実行順序を検出する。なお、回避操作検出処理の詳細については図4に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS4の処理は完了し、走行支援処理はステップS5の処理に進む。
ステップS5の処理では、回避操作間反応時間算出手段26が、図5に示すように、車両1の前方に障害物が検出された時点から運転者が衝突回避操作を実行するまでの時間を各衝突回避操作毎に算出し、算出された時間を利用して衝突回避操作間の時間を回避操作間反応時間として算出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、走行支援処理はステップS6の処理に進む。
ステップS6の処理では、回避操作状態判定手段27が、衝突回避限界時間Tx,衝突回避操作の実行順序,及び回避操作間反応時間を利用して、運転者が行った衝突回避操作が反射的又は意図的な回避操作のどちらであるかを判定する(回避操作判定処理)。なお、この回避操作判定処理の詳細については図6に示すフローチャートを参照して後述する。これにより、ステップS6の処理は完了し、走行支援処理はステップS7の処理に進む。
ステップS7の処理では、回避操作状態判定手段27が、ステップS6の処理結果に基づき運転者が行った衝突回避操作が反射的又は意図的な回避操作のどちらであるかを判別する。そして判別の結果、運転者が行った衝突回避操作が反射的な回避操作である場合、回避操作状態判定手段27は走行支援処理をステップS8の処理に進める。一方、運転者が行った衝突回避操作が意図的な回避操作である場合には、回避操作状態判定手段27は走行支援処理をステップS9の処理に進める。
ステップS8の処理では、回避支援量決定手段28が、ステップS3の処理により算出された回避経路の中から障害物との衝突を回避する上で最適な回避経路を選択し、車両1の操作量が選択した回避経路に対応する推奨操作量に近く又は等しくなるようにブレーキコントロールユニット12及びステアコントロールユニット13を制御する。これにより、ステップS8の処理は完了し、走行支援処理はステップS10の処理に進む。
ステップS9の処理では、回避支援量決定手段28が、車両1の操作量が運転者の操作量に近く又は等しくなるようにブレーキコントロールユニット12及びステアコントロールユニット13を制御する。これにより、ステップS9の処理は完了し、走行支援処理はステップS10の処理に進む。
ステップS10の処理では、障害物回避終了判定手段29が、衝突回避限界時間が所定の閾値以下であるか否か若しくは車両1の車速がゼロであるか否かを判別することにより、障害物との衝突回避操作が終了したか否かを判別する。判別の結果、障害物との衝突回避操作が終了していない場合、障害物回避終了判定手段29は走行支援処理をステップS7の処理に戻す。一方、障害物との衝突回避操作が終了した場合には、障害物回避終了判定手段29は一連の走行支援処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の走行支援処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作が意図的又は反射的な衝突回避操作のどちらであるかを判定し、回避支援量決定手段28が、回避操作状態判定手段27の判定結果に基づき障害物との衝突を回避するための自車両の制御量を決定し、決定した制御量に従って障害物との衝突を回避するようにブレーキコントロールユニット12及びステアコントロールユニット13を制御するので、運転者の操作状態に応じた衝突回避制御を実現し、衝突回避制御に対する運転者の違和感を低減することができる。
なお、上記ステップS8,S9の処理において車両1の操作量を推奨操作量又は運転者の操作量に近づける際、衝突回避限界時間、及び衝突回避状況の複雑度(例えば障害物に衝突するまでの時間の短さや障害物との衝突を回避するための回避経路の複雑さ)に応じてブレーキコントロールユニット12及びステアコントロールユニット13の制御量に重み付けをしてもよい。このような処理によれば、衝突回避環境や緊急度も考慮して衝突回避制御を実施することができる。
〔回避操作検出処理〕
次に、図4に示すフローチャートを参照して、上記ステップS4の回避操作検出処理を実行する際の回避操作検出手段24の動作について説明する。
図4に示すフローチャートは、上記ステップS3の処理が完了したタイミングで開始となり、回避操作検出処理はステップS11の処理に進む。
ステップS11の処理では、回避操作検出手段24が、アクセルペダル6の踏込量又は踏込速度が所定の閾値以上であるか否かを判別する。判別の結果、アクセルペダル6の踏込量又は踏込速度が所定の閾値以上である場合、回避操作検出手段24は、ステップS12の処理として障害物との衝突を避けるために運転者は衝突回避操作としてアクセルペダル6を踏み込む加速回避操作を行ったと判定した後、回避操作検出処理をステップS13の処理に進める。一方、アクセルペダル6の踏込量又は踏込速度が所定の閾値以上でない場合には、回避操作検出手段24は回避操作検出処理をステップS13の処理に進める。
ステップS13の処理では、回避操作検出手段24が、アクセル開度がゼロ又はアクセルオフ速度が所定の閾値以上であるか否かを判別する。判別の結果、アクセル開度がゼロ又はアクセルオフ速度が所定の閾値以上である場合、回避操作検出手段24は、ステップS14の処理として障害物との衝突を避けるために運転者は衝突回避操作としてアクセルから足を離すアクセルオフ回避操作を行ったと判定した後、回避操作検出処理をステップS15の処理に進める。一方、アクセル開度がゼロ又はアクセルオフ速度が所定の閾値以上でない場合には、回避操作検出手段24は回避操作検出処理をステップS15の処理に進める。
ステップS15の処理では、回避操作検出手段24が、ブレーキペダル2の踏込量又は踏込速度が所定の閾値以上であるか否かを判別する。判別の結果、ブレーキペダル2の踏込量又は踏込速度が所定の閾値以上である場合、回避操作検出手段24は、ステップS16の処理として障害物との衝突を避けるために運転者は衝突回避操作としてブレーキペダル2を踏み込む制動回避操作を行ったと判定した後、回避操作検出処理をステップS17の処理に進める。一方、ブレーキペダル2の踏込量又は踏込速度が所定の閾値以上でない場合には、回避操作検出手段24は回避操作検出処理をステップS17の処理に進める。
ステップS17の処理では、回避操作検出手段24が、操舵角度がゼロでない又は操舵角速度が所定の閾値以上であるか否かを判別する。判別の結果、操舵角度がゼロである又は操舵角速度が所定の閾値以上でない場合、回避操作検出手段24は一連の回避操作検出処理を終了する。一方、操舵角度がゼロでない又は操舵角速度が所定の閾値以上である場合には、回避操作検出手段24は、ステップS18の処理として障害物との衝突を避けるために運転者は衝突回避操作としてステアリング7を操舵する操舵回避操作を行ったと判定した後、一連の回避操作検出処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の回避操作検出処理では、回避操作検出手段24は、アクセルペダル6の踏込量又は踏込速度、アクセルペダル6の踏込量又は踏込速度、アクセル開度又はアクセルオフ速度、ブレーキペダル2の踏込量又は踏込速度、及びステアリング7の操舵角又は操舵角速度を利用して、運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作の内容を判定するので、運転者の衝突回避操作に応じた衝突回避制御を実行することができる。
〔回避操作判定処理〕
次に、図6乃至図8に示すフローチャートを参照して、上記ステップS6の回避操作状態判定処理を実行する際の第1乃至第3の実施形態となる回避操作状態判定手段27の動作について説明する。
〔第1の実施形態〕
始めに、図6に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態となる回避操作状態判定手段27の動作について説明する。
図6に示すフローチャートは、上記ステップS5の処理が完了したタイミングで開始となり、回避操作状態判定処理はステップS21の処理に進む。
ステップS21の処理では、回避操作状態判定手段27が、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下であるか否かを判別する。そして判別の結果、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下でない場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS28の処理に進める。一方、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下である場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS22の処理に進める。
ステップS22の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者が最初に行った衝突回避操作がアクセルオフ操作であるか否かを判別する。そして判別の結果、運転者が最初に行った衝突回避操作がアクセルオフ操作である場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS28の処理に進める。一方、運転者が最初に行った衝突回避操作がアクセルオフ操作でない場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS23の処理に進める。
ステップS23の処理では、回避操作状態判定手段27が、アクセルオフ回避操作を行ってから操舵回避操作が開始するまでの時間Tasとアクセルオフ回避操作を行ってから制動回避操作が開始するまでの時間Tabを算出する。これにより、ステップS23の処理は完了し、回避操作状態判定処理はステップS24の処理に進む。
ステップS24の処理では、回避操作状態判定手段27が、ステップS23の処理により算出されたアクセルオフ回避操作を行ってから操舵回避操作が開始するまでの時間Tasが所定の閾値Tas0以下であるか否かを判別する。そして判別の結果、アクセルオフ回避操作を行ってから操舵回避操作が開始するまでの時間Tasが所定の閾値Tas0以下である場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS26の処理に進める。一方、アクセルオフ回避操作を行ってから操舵回避操作が開始するまでの時間Tasが所定の閾値Tas0以下でない場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS25の処理に進める。
ステップS25の処理では、回避操作状態判定手段27が、ステップS23の処理により算出されたアクセルオフ回避操作を行ってから制動回避操作が開始されるまでの時間Tabが所定の閾値Tab0以下であるか否かを判別する。そして判別の結果、アクセルオフ回避操作を行ってから制動回避操作が開始されるまでの時間Tabが所定の閾値Tab0以下である場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS26の処理に進める。一方、アクセルオフ回避操作を行ってから制動回避操作が開始されるまでの時間Tabが所定の閾値Tab0以下でない場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS27の処理に進める。
ステップS26の処理では、回避操作状態判定手段27が、障害物の出現状況が緊急な状況であり、運転者が行った衝突回避操作は反射的な回避操作であると判定する。これにより、ステップS26の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。
ステップS27の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者が行った衝突回避操作は意図的であると判定する。これにより、ステップS27の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。
ステップS28の処理では、回避操作状態判定手段27が、障害物の出現状況が緊急な状況ではなく、運転者は衝突回避を行っていないと判定する。これにより、ステップS28の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態となる回避操作状態判定処理では、回避操作検出手段24が、運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作の内容を検出し、回避操作順序検出手段25が、回避操作検出手段24により検出された衝突回避操作の実行順序を検出し、回避操作間反応時間算出手段26が、回避操作検出手段24により検出された衝突回避操作間の時間を回避操作間反応時間として算出し、回避操作状態判定手段27は、運転者が最初に行った衝突回避操作の内容、及び回避操作間反応時間に応じて、運転者が行った衝突回避操作が意図的又は反射的な回避操作のどちらであるかを判定するので、運転者の衝突回避操作の内容と実行タイミングに応じた衝突回避制御を実行することができる。
またこの回避操作状態判定処理では、回避操作状態判定手段27は、運転者が最初に行った衝突回避操作がアクセルオフ回避操作、且つ、アクセルオフ回避操作を行ってから操舵回避操作が開始するまでの時間Tas若しくはアクセルオフ回避操作を行ってから制動回避操作が開始するまでの時間Tabが所定時間以下である場合、運転者が実行した操作は反射的な衝突回避操作であると判定するので、障害物出現時の緊急度を考慮した衝突回避制御を実行することができる。
〔第2の実施形態〕
次に、図7に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態となる回避操作状態判定手段27の動作について説明する。
図7に示すフローチャートは、上記ステップS5の処理が完了したタイミングで開始となり、回避操作状態判定処理はステップS31の処理に進む。
ステップS31の処理では、回避操作状態判定手段27が、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下であるか否かを判別する。そして判別の結果、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下でない場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS35の処理に進める。一方、衝突回避限界時間Txが所定の閾値Tx0以下である場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS32の処理に進める。
ステップS32の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者の視線の動き,瞳孔径,姿勢,身体各部の筋電,心拍波形等の運転者の運転状態値を検出する。これにより、ステップS32の処理は完了し、回避操作状態判定処理はステップS33の処理に進む。
ステップS33の処理では、回避操作状態判定手段27が、ステップS32の処理により検出された運転状態値が運転状態毎に予め設定された所定の閾値以上であるか否かを判別する。そして判別の結果、運転状態値が所定の閾値以上でない場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS35の処理に進める。一方、運転状態値が所定の閾値以上である場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS34の処理に進める。
ステップS34の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者が行った衝突回避操作は反射的な回避操作であると判定する。これにより、ステップS34の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。
ステップS35の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者が行った衝突回避操作は意図的な回避操作であると判定する。これにより、ステップS35の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態となる回避操作状態判定処理では、回避操作状態判定手段27は、運転者の運転状態値に応じて運転者が障害物との衝突を回避するために行った操作の内容を判定するので、運転者の精神状態及び生理状態に応じた衝突回避制御を実現することができる。
なお、本実施形態では、各運転状態値が閾値以上であるか否かを判別することにより運転者が行った衝突回避操作が反射的又は意図的の回避操作のどちらであるかを判別したが、重回帰分析により得られる関数式のような複数の運転状態値により表される関数、換言すれば統合的な運転状態を表す関数を予め用意し、この関数の値が所定の閾値以下であるか否かを判別することにより運転者が行った衝突回避操作が反射的又は意図的の回避操作のどちらであるかを判別してもよい。
〔第3の実施形態〕
次に、図8に示すフローチャートを参照して、第3の実施形態となる回避操作状態判定手段27の動作について説明する。
図8に示すフローチャートは、上記ステップS5の処理が完了したタイミングで開始となり、回避操作状態判定処理はステップS41の処理に進む。なお、ステップS41乃至ステップS45の処理は上記ステップS1乃至ステップS5の処理と同じであるので、以下ではステップS46の処理から説明を始める。
ステップS46の処理は、ステップS45の処理においてアクセルオフ回避操作を行ってから制動回避操作が開始するまでの時間Tabが所定の閾値Tab0以下でないと判定された場合において開始となり、本処理においては、回避操作状態判定手段27が運転者の運転状態値を検出する。これにより、ステップS46の処理は完了し、回避操作状態判定処理はステップS47の処理に進む。
ステップS47の処理では、回避操作状態判定手段27が、ステップS46の処理により検出された運転者の運転状態値が運転状態毎に予め設定された所定の閾値以上であるか否かを判別する。そして判別の結果、運転者の運転状態値が所定の閾値以上でない場合、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS48の処理に進める。一方、運転者の運転状態値が所定の閾値以上である場合には、回避操作状態判定手段27は回避操作状態判定処理をステップS49の処理に進める。
ステップS48の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者は意図的に衝突回避操作を行っていると判定する。これにより、ステップS48の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。
ステップS49の処理では、回避操作状態判定手段27が、運転者はパニックに陥ることによって何も操作できない状態にあると判定する。これにより、ステップS49の処理は完了し、一連の回避操作状態判定処理は終了する。なお、ステップS50の処理は上記ステップS34と同じ処理であり、ステップS51の処理は運転者は回避操作を行っていないと判定する。
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態となる回避操作状態判定処理では、回避操作状態判定手段27は、運転者の運転状態値が所定の閾値以上であるか否かに応じて運転者が何も操作できない状態と意図的に回避操作を行っている状態のどちらの状態にあるかを判定するので、運転者の状態に応じた衝突回避制御をより確実に行うことができる。
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば図9に示すように、運転者に予め割り当てられた固有の個人IDを特定する個人ID特定手段31と、検出された衝突回避限界時間,衝突回避操作の順番,及び回避操作間反応時間のデータを回避行動データとして運転者の個人IDと関連づけして記憶する回避行動データ蓄積手段32を設け、回避行動パターン特定手段33が、個人ID特定手段31により特定された個人IDに対応する回避行動データを読み出し、読み出されたデータに基づき緊急時における運転者の衝突回避操作が操舵のみによる回避操作、制動のみによる回避操作、及び操舵と制動の双方による回避操作のいずれであるかを特定し、特定された回避操作に応じて車両1の走行を支援してもよい。このような構成によれば、各運転者毎の回避行動パターンを考慮して運転者の回避操作状態に応じて車両1の走行を支援できるので、回避可能性をより高めた走行支援装置を提供することができる。このように、この実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
本発明に係る走行支援装置が適用された車両の構成を示す模式図である。 図1に示すメインコントロールユニットの内部構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態となる走行支援処理の流れを示すフローチャート図である。 図3に示す回避操作検出処理の流れを示すフローチャート図である。 障害物を検出してから運転者による衝突回避操作を検出するまでの時間と衝突回避限界時間を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態となる回避操作判定処理の流れを示すフローチャート図である。 本発明の第2の実施形態となる回避操作判定処理の流れを示すフローチャート図である。 本発明の第3の実施形態となる回避操作判定処理の流れを示すフローチャート図である。 図1に示すメインコントロールユニットの応用例の内部構成を示すブロック図である。
符号の説明
1:車両
2:ブレーキペダル
3:ブースタ
4:マスタシリンダ
5a,5b,5c,5d:ホイールシリンダ
6:アクセルペダル
7:ステアリング
8:レーザレーダ
9:カメラ
10:操舵角センサ
11:車速センサ
12:ブレーキコントロールユニット
13:ステアコントロールユニット
14:メインコントロールユニット
21:衝突回避限界時間算出手段
22:障害物回避実施判定手段
23:回避経路候補算出手段
24:回避操作検出手段
25:回避操作順序検出手段
26:回避操作間反応時間算出手段
27:回避操作状態判定手段
28:回避支援量決定手段
29:障害物回避終了判定手段

Claims (8)

  1. 自車両の走行経路に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
    前記障害物検出手段で検出された障害物の位置情報に基づいて、該障害物との衝突を回避するための回避経路の候補を複数算出する回避経路候補算出手段と、
    前記障害物検出手段により検出された障害物に自車両が衝突するまでの時間を衝突回避限界時間として算出する衝突回避限界時間算出手段と、
    前記衝突回避限界時間が所定の閾値以下であるか否かを判別することにより自車両が障害物に衝突することを回避するための制御を実施するか否かを判定する障害物回避実施判定手段と、
    前記障害物回避実施判定手段が自車両が障害物に衝突することを回避するための制御を実施すると判定した場合で、運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作が意図的である場合に、運転者の操作に近い或いは等しい制御量を決定し、且つ、運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作が反射的である場合に、前記回避経路候補算出手段にて算出された各回避経路の候補から、障害物との衝突を回避する上で最適な回避経路を選択し、更に、回避操作状態判定手段の判定結果に基づき、障害物との衝突を回避するための自車両の制御量を決定する回避支援量決定手段と、
    前記回避支援量決定手段により決定された制御量に従って障害物との衝突を回避するように前記自車両の走行を制御する制御手段と
    を備えることを特徴とする走行支援装置。
  2. 請求項1に記載の走行支援装置において、
    運転者が障害物との衝突を回避するために行った衝突回避操作の内容を検出する回避操作検出手段と、
    前記回避操作検出手段により検出された衝突回避操作間の時間を回避操作間反応時間として算出する回避操作間反応時間算出手段と、
    運転者が最初に行った衝突回避操作の内容、及び前記回避操作間反応時間に応じて、運転者が行った衝突回避操作が意図的又は反射的な回避操作のどちらであるかを判定する回避操作状態判定手段と、
    を更に備えたことを特徴とする走行支援装置。
  3. 請求項に記載の走行支援装置において、前記回避操作状態判定手段は、運転者が最初に行った衝突回避操作が自車両のアクセルペダルを開放する操作、且つ、自車両のアクセルペダルを開放する操作を実行してから自車両のステアリングを操舵する操作を実行するまでの時間若しくは自車両アクセルペダルを開放する操作を実行してから自車両のブレーキペダルを踏み込む操作を実行するまでの時間が所定時間以下である場合、運転者が実行した操作は反射的な衝突回避操作であると判定することを特徴とする走行支援装置。
  4. 請求項に記載の走行支援装置において、
    運転者の運転状態値を検出する状態検出手段を更に備え、
    前記回避操作状態判定手段は、運転者が最初に行った衝突回避操作の内容、前記回避操作間反応時間、及び前記運転状態値に応じて、運転者が行った衝突回避操作が意図的又は反射的な回避操作のどちらであるかを判定すること
    を特徴とする走行支援装置。
  5. 請求項2乃至請求項4のうち、いずれか1項に記載の走行支援装置において、前記回避操作検出手段は、自車両のアクセルペダルの踏込量又は踏込速度、自車両のアクセル開度又はアクセルオフ速度、自車両のブレーキペダルの踏込量又は踏込速度、及び自車両のステアリングの操舵角又は操舵角速度を利用して、運転者が障害物との衝突を回避するために行った操作の内容を判定することを特徴とする走行支援装置。
  6. 請求項乃至請求項のうち、いずれか1項に記載の走行支援装置において、
    前記自車両が障害物を回避するための回避経路と当該回避経路を走行するために必要な自車両の操作量を算出する回避経路検出手段を備え、
    運転者が行った衝突回避操作が反射的な回避操作である場合、前記回避支援量決定手段は、前記複数の回避経路候補のうち、最適な回避経路に応じた操作量に等しく又は近づくように制御量を決定すること
    を特徴とする走行支援装置。
  7. 請求項乃至請求項6のうち、いずれか1項に記載の走行支援装置において、前記回避支援量決定手段は、前記衝突回避限界時間及び衝突回避状況の複雑度に応じて、前記制御量に重み付けを行うことを特徴とする走行支援装置。
  8. 請求項に記載の走行支援装置において、
    前記衝突回避限界時間、及び前記回避操作間反応時間を自車両の運転者固有の識別情報と関連づけして記憶する回避行動データ蓄積手段と、
    前記回避行動データ蓄積手段が記憶する情報を参照して、障害物との衝突を回避するための運転者の回避行動パターンを特定する回避行動パターン特定手段とを備え、
    前記回避支援量決定手段は、前記回避行動パターン特定手段により特定された運転者の回避行動パターンに基づき、障害物との衝突を回避するための自車両の制御量を決定すること
    を特徴とする走行支援装置。
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