JP5250991B2 - セキュリティデバイス及びその検証方法並びに印刷物 - Google Patents
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Description
また、特殊インキを用いることにより潜像を形成する方法として、熱をかけることにより可逆的に発色もしくは消色し、しばらく放置すると元の状態に戻る可逆性感熱発色インキ(サーモクロミックインキ)を用いた方法などがある。しかし、これらの方法はインキの耐性という点において問題がある。
また、近年では潜像の形成に液晶を用いた方法が提案されている。この方法では、液晶の一部に配向性を与えることにより潜像を形成しており、偏光子を用いることによって潜像が視認可能となる。
特許文献1において、OVD形成層上に潜像形成層として液晶層を重ね、液晶の一部を配向させることにより、目視では潜像画像が全く視認できず、通常のOVDとしか認識できないが、円偏光子を重ねることにより潜像画像が鮮明に出現することが可能となることが確認されている。
請求項3の発明は、請求項1または2記載のセキュリティデバイスにおいて、少なくとも一方の面に凹凸を有する基材を備え、前記反射層は、前記基材の一方の面に金属薄膜を形成することによって構成されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1記載のセキュリティデバイスにおいて、前記反射層は微小な凹凸を有する一層または多層の誘電体膜であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1また2記載のセキュリティデバイスにおいて、前記中間層の膜厚は0.1〜100μmであることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1記載のセキュリティデバイスにおいて、前記配向層に形成される前記凹凸パターンは該凹凸パターンを形成する凹凸のパターン角度が異なる、少なくとも2つの領域を有することを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項1または7乃至9の何れか1項に記載のセキュリティデバイスにおいて、前記配向層に形成される前記凹凸パターンが回折格子もしくは一方向性拡散パターンであることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項11に記載のセキュリティデバイスにおいて、前記配向層に設けられる実質的に深さの等しい領域の深さは、0.1〜5μmであることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項13に記載のセキュリティデバイスにおいて、前記配向層に設けられる深さの異なる領域の深さは、0.1〜5μmであることを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項1項に記載のセキュリティデバイスにおいて、前記潜像形成層の前記配向層と反対の面に耐性を向上させる保護層が形成されていることを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項1項に記載のセキュリティデバイスにおいて、前記潜像形成層の前記配向層に臨む側と反対側に偏光子層が形成されていることを特徴とする。
図1は本発明にかかるセキュリティデバイスの一例を示す断面図であり、図2は本発明にかかるセキュリティデバイスの他の例を示す断面図である。
また、図2に示すセキュリティデバイスは、基材1と、この基材1の一方の面に形成された反射層2と、この反射層2の基材1と反対の面に形成された中間層3と、この中間層3の反射層2と反対の面に形成され凹凸パターンからなる配向層4と、この配向層4の中間層3と反対の面に形成された潜像形成層5と、この潜像形成層5の配向層4と反対の面に形成された保護層6とを含んで構成されている。
この実施の形態における反射層2は微小な凹凸を有する金属反射膜であることとする。すなわち、反射層2は偏向を乱さない金属反射膜に微小な凹凸によって散乱性を付与することで提供される。
このような散乱性金属反射層は、例えば、微小な表面凹凸構造にアルミニウム等の金属を蒸着・スパッタなどにより薄膜形成することによって得られる。一例としては、基材1の表面に凹凸加工を施し、アルミニウムを蒸着することにより作製される。
また、表面に凹凸加工を施す基材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアセテート、ポリスチレン、エポキシ樹脂などのフィルムが挙げられる。
特に、PETは機械的強度、寸法安定性、耐溶剤性、加工適性に優れ、価格も比較的安価であるという点から基材として非常に優秀である。しかし、光学的異方性があるため、偏光を利用し、かつ基材を光が通過するデバイスには用いることができない。しかるに、本実施の形態においては、基材の一方の面に金属薄膜が形成されていることにより基材を光が通過しないため、用いることが可能となる。
このような散乱性誘電体層は、例えば、微小な表面凹凸構造に硫化亜鉛等の高屈折率材料とフッ化マグネシウム等の低屈折率材料を多層蒸着することによって得られる。
中間層3を形成する材料としては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系樹脂塩化ビニル系、スチレン系、セルロース系、ポリアセテート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリオレフィン系、ポリカーボネート系、ポリスチレン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、フェノール系、メラミン系の樹脂などが挙げられる。
また、配向層4に形成される凹凸パターンは、回折格子のように周期的な構造であってもよく、一方向性拡散パターンのようにある程度ランダムであってもよい。ただし、一方向性拡散パターンとは、凹凸構造の長手方向がある程度ランダムでありながらも平均的には一方向に配置されている構造のことである。また、凹凸パターンの溝に関して、ピッチが0.1〜10μm、深さが0.05〜1μmであることとする。
また、配向層4は入射される光に対して散乱性を与えて射出する特徴を有するものであっても良い。
また、配向層4は入射される光の偏光性を維持して射出する特徴を有するものであっても良い。
また、潜像形成層5に含まれる液晶分子は、流動性が高く配向が容易であり、且つ配向した液晶分子を光照射により配向を保ったまま硬化させることが可能である光重合性のネマティック液晶であることが望ましい。
潜像形成層5に膜厚の異なる領域を与えたい場合には、配向層4に深さの異なる領域を与えることによって膜厚の異なる領域を得ることが可能となる。このとき、配向層4に与える深さの異なる領域の深さは0.1〜5μmである。
保護層6は潜像形成層5上に形成され、潜像形成層5を劣化から保護し、セキュリティデバイスの耐性を向上させるものである。
セキュリティデバイスの検証に際しては、偏光子8を介して像を確認し、かつ本発明のセキュリティデバイスを傾けて観察する際の色変化を確認する。すなわち、セキュリティデバイスが延在する仮想平面に対して傾斜した方向から偏光子8を介して観察した際に現れる潜像を確認することで真贋判定を行う。
具体的には、偏光子8を介して正面方向から観察すると、領域7a、7bが潜像として観察でき、次にセキュリティデバイスを傾けて観察すると、例えば7aが赤、7bが緑というように、それぞれ異なる色に見える。尚このとき、偏光子8の透過軸は45°方向とする。
セキュリティデバイスの検証に際しては、偏光子8を介して像を確認し、かつ本発明のセキュリティデバイスを傾けて観察する際の色変化を確認し、かつ偏光子8を水平に90°回転させたときの色変化を観察する。
すなわち、本発明のセキュリティデバイスが延在する仮想平面に対して傾斜した方向から偏光子8を介して観察した際に現れる潜像を確認し、かつ、その状態を維持しつつセキュリティデバイスを前記仮想平面と直交する仮想軸回りに回転させた際に生じる潜像の色変化を確認することで真贋判定を行う。
この場合観察される像は、独特の色を呈しており、かつ回転させることで色変化が起こる。これは、本発明のセキュリティデバイスを回転させることで、液晶分子の配向方向が回転したのと同じ効果が生まれるためである。観察される色は、液晶分子の配向方向に由来しているため、配向方向が異なると観察される色も変わる。
これは、セキュリティデバイスを90°回転させることによって潜像形成層5に含まれる液晶分子の配向方向が90°回転したのと同じ効果が出るためである。
また、これらの観察される色は、潜像形成層5に含まれる液晶分子の配向方向および膜厚、偏光子8の透過軸方向などにより制御可能である。
また、偏光子8をあらかじめ偏光子層として構成した場合においても、同様な効果が得られる。
この図5に示すセキュリティデバイスは、基材1と、この基材1の一方の面に形成された反射層2と、この反射層2の基材1と反対の面に形成された中間層3と、この中間層3の反射層2と反対の面に形成され凹凸パターンからなる配向層4と、この配向層4の中間層3の反対の面に形成された潜像形成層5とを含んで構成されている。また、配向層4に深さが等しく、パターン角度がそれぞれ0°と90°の凹凸パターンで形成されている2つの領域が形成されている。
この場合、本セキュリティデバイスに関して、偏光子8を介しかつ傾けて観察すると、パターン角度が異なる2つの領域において、液晶の配向方向の違いに由来する色の違いが観察される。
この図6に示すセキュリティデバイスは、基材1と、この基材1の一方の面に形成された反射層2と、この反射層2の基材1と反対の面に形成された中間層3と、この中間層3の反射層2と反対の面に形成され凹凸パターンからなる配向層4と、この配向層4の中間層3の反対の面に形成された潜像形成層5とを含んで構成されている。また、配向層4に深さが異なり、パターン角度が共に90°の凹凸パターンで形成されている2つの領域が形成されている。
この場合、本セキュリティデバイスに関して、偏光子8を介しかつ傾けて観察すると、配向層4の深さが異なる2つの領域において、潜像形成層に含まれる液晶の膜厚が違うことに由来する色の違いが観察される。
これは、液晶の複屈折によって生じる位相差が膜厚および波長に依存するためであり、以下の式より明らかである。
Re=Δnd
(Δn=ne−no)
I=I0sin2(2θ)sin2(Reπ/λ)
ただし、Re:位相差、Δn:複屈折、d:液晶の膜厚、ne:常光線の屈折率、no:異常光線の屈折率、I:入射される光強度、I0:透過光強度、θ:液晶の配向方向と偏光板の透過軸の角度、λ:波長である。
凹凸パターンの形成方法としては、二光束干渉法によってホログラムパターンを記録する方法の他、例えば電子ビームによって回折格子パターンを描画する方法、バイト切削等により回折格子パターンを形成する方法等がある。
このように形成した凹凸パターンを、電鋳によって金属版に起こすなどして原版を作製し、その原版から熱可塑性樹脂にエンボス成形法でパターンを転写することで、大量に凹凸パターンを複製できる。また、熱可塑性樹脂にエンボス成形法で転写する代わりに、紫外線硬化樹脂を用いる成形法によってパターンを転写してもよい。
また、本発明のセキュリティデバイスを備える、有価証券、銀行券、身分証明書、クレジットカードなどのセキュリティ性の求められる印刷物は、通常の印刷とは異なる目視効果を備え、かつコピーなどによる偽造を防止でき、かつ本発明のセキュリティデバイスの検証機能により真贋判定が可能である。
Claims (20)
- 少なくとも一方の面に凹凸を有し光に対して散乱性を与えると共に光の偏光性を維持して反射する反射層と、
前記反射層の凹凸を有する面に形成され、光の偏光性を維持する透明あるいは半透明の中間層と、
前記中間層の前記反射層と反対の面に形成され、配向を行う凹凸パターンを有する配向層と、
前記配向層の前記中間層と反対の面に形成され、液晶分子を含み、前記液晶分子が前記配向層の凹凸パターンに沿って配向し、偏光子を介して潜像を視認することが可能な潜像形成層とを備え、
前記中間層が前記界面の凹凸を吸収する、
ことを特徴とするセキュリティデバイス。 - 前記中間層は、前記反射層及び前記配向層と密着する接着性もしくは粘着性を有することを特徴とする請求項1記載のセキュリティデバイス。
- 少なくとも一方の面に凹凸を有する基材を備え、前記反射層は、前記基材の一方の面に金属薄膜を形成することによって構成されることを特徴とする請求項1または2記載のセキュリティデバイス。
- 前記基材はポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項3記載のセキュリティデバイス。
- 前記反射層は微小な凹凸を有する一層または多層の誘電体膜であることを特徴とする請求項1記載のセキュリティデバイス。
- 前記中間層の膜厚は0.1〜100μmであることを特徴とする請求項1また2記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層が延在する平面上に延在する基準線に対して、前記凹凸パターンを形成する凹凸の長手方向がなす角度をパターン角度とし、前記凹凸パターンを形成する領域全体において前記パターン角度が実質的に同一であることを特徴とする請求項1記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に形成される前記凹凸パターンは該凹凸パターンを形成する凹凸のパターン角度が異なる、少なくとも2つの領域を有することを特徴とする請求項1記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に形成される前記凹凸パターンは該凹凸パターンを構成する凹部と凸部のうちの凹部のピッチが0.1〜10μmであり、深さが0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1、7または8記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に形成される前記凹凸パターンは回折格子もしくは一方向性拡散パターンであることを特徴とする請求項1または7乃至9の何れか1項に記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に実質的に深さの等しい少なくとも二つの領域を設け、これにより、前記潜像形成層の膜厚が等しい少なくとも2つの領域が形成されることを特徴とする請求項1または7乃至10の何れか1項に記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に設けられる実質的に深さの等しい領域の深さは、0.1〜5μmであることを特徴とする請求項11に記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に深さの異なる少なくとも2つの領域を設け、これにより、前記潜像形成層の膜厚が異なる少なくとも2つの領域が形成されることを特徴とする請求項1または7乃至12の何れか1項に記載のセキュリティデバイス。
- 前記配向層に設けられる深さの異なる領域の深さは、0.1〜5μmであることを特徴とする請求項13に記載のセキュリティデバイス。
- 前記液晶分子は光重合性のネマティック液晶であり、前記配向層に形成される前記凹凸パターンに沿って配向し、重合によって固定されることを特徴とする請求項1記載のセキュリティデバイス。
- 前記潜像形成層の前記配向層と反対の面に耐性を向上させる保護層が形成されていることを特徴とする請求項1項に記載のセキュリティデバイス。
- 前記潜像形成層の前記配向層に臨む側と反対側に偏光子層が形成されていることを特徴とする請求項1項に記載のセキュリティデバイス。
- 請求項1または7乃至17の何れか1項に記載のセキュリティデバイスを、該セキュリティデバイスが延在する仮想平面に対して傾斜した方向から偏光子或いは前記偏光子層を介して観察した際に現れる潜像を確認することで真贋判定を行うことを特徴とするセキュリティデバイスの検証方法。
- 請求項1または7乃至17の何れか1項に記載のセキュリティデバイスを、該セキュリティデバイスが延在する仮想平面に対して傾斜した方向から偏光子或いは前記偏光子層を介して観察した際に現れる潜像を確認し、且つその状態を維持しつつ該セキュリティデバイスを前記仮想平面と直行する仮想軸周りに回転させた際に生じる前記潜像の色変化を確認することで真贋判定を行うことを特徴とするセキュリティデバイスの検証方法。
- 請求項1または7乃至17の何れか1項に記載のセキュリティデバイスを備えることを特徴とする印刷物。
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