JP5248903B2 - ライン照明装置およびライン照明方法および光学検査装置および光加工装置 - Google Patents

ライン照明装置およびライン照明方法および光学検査装置および光加工装置 Download PDF

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Description

この発明は、ライン照明装置およびライン照明方法および光学検査装置および光加工装置に関する。
「ライン状の照明光」は、物体の寸法測定、物体表面の傷の検査、物体の色識別、物体の欠陥検査あるいはスキャナー用の走査光、さらには物体表面の改質等の光加工などに広く利用されている。
「ライン状の照明光を実現する方法」は、従来から種々の方法が知られ、また実施されている。
出願人は先に、長手方向に実質的に均一な光強度分布をもつライン照明を実現できるライン照明装置およびライン照明方法を提案した(特許文献1)。
特許文献1記載の発明では、例えば、レーザ光源のような「発散性の光束を放射する単一の光源」からの発散光束を、共軸レンズにより集光光束に変換し、集光途上の集光光束をシリンダレンズアレイに入射させ、光軸レンズと個々のシリンダレンズとを「1単位のライン像結像系」として、アレイ配列した複数個のシリンダレンズと同数のライン像を相互に重畳させて「長手方向に略均一な光強度分布を持つライン像」を結像させ、このライン像によりライン照明を行う。
特許文献1記載のライン照明装置の場合、被照明物は「長手方向に均一な強度分布」でライン状に照明されるが、ライン状の照明部は、上記の如く「アレイ配列した複数個のシリンダレンズと同数のライン像を相互に重畳」させて実現しているため、ライン状の照明部に結像している光線の向きがランダムであり、「ライン状の照明部を目視する場合」や、被照明物を透過した光や、被照明物で反射した光を「結像光学系で結像させる場合」には問題ないが、上記透過光や反射光をCCDラインセンサ等で「直接に受光」する場合「被照明部の位置に応じた情報」を取り出すことが困難である。
また、光源としてレーザ光源のような「コヒーレント光を放射する光源」を用いる場合には、ライン状の照明部に「スペックル」が発生し、光学検査を行う場合にノイズ発生の原因となる。
特開2007−179823号公報
この発明は、レーザ光を用いるライン照明において、長手方向に所望の光強度分布を持つと共に照射光の光線の方向が揃っており、なおかつ、スペックルを有効に軽減することを課題とする。
この発明のライン照明装置は「平面状の照明領域を、長手方向に所望の強度分布でライン状に照明するライン照明装置」であって、光源部と、光拡散部材と、第1結像光学系および第2結像光学系と、レーザラインジェネレータレンズと、変位手段とを有する。
「光源部」は、微小な光放射部から発散性のレーザ光束を放射させる。
「光拡散部材」は、光放射部に近接もしくは合致して配置され、光放射部から放射される発散性のレーザ光束を透過させ、レーザ光束のコヒーレント性を低減させるとともに、レーザ光束の主光線に直交する面内でレーザ光束に対して変位する。
「第1結像光学系」は、光拡散部材を透過した発散性の光束を、点像もしくは線像として結像させる。
「レーザラインジェネレータレンズ」は、第1結像光学系による結像光束を入射され、結像光束の主光線方向を保ちつつ、所定の方向において、所望の強度分布で発散角を拡張する。即ち、第1結像光学系による結像光束の主光線は、レーザラインジェネレータレンズを直進的に透過する。
「レーザラインジェネレータレンズ」の詳細については後述する。
「第2結像光学系」は、レーザラインジェネレータレンズにより発散角を拡張された光束を「上記所定の方向に直交する方向」において集束させてライン像を形成するアナモフィックな結像光学系である。
「変位手段」は、光拡散部材を変位させる手段であり、ライン像におけるスペックルノイズを解消させるように、光拡散部材の「レーザ光束に対する変位」を行う。
請求項1記載のライン照明装置における第1結像光学系は「共軸結像系であって、光拡散部材を透過した発散性の光束を点像として結像させるもの」であることもできるし(請求項2)、「所定の方向とこの所定の方向に直交する方向とで異なる正のパワーを持つアナモフィックな光学系」であることもできる(請求項3)。
請求項1〜3の任意の1に記載のライン照明装置は「光源部における発光源」として、半導体レーザ、ファイバレーザ、ガスレーザ、固体レーザの何れかのレーザ光源を用いることができる(請求項4)。
この請求項4記載のライン照明装置において、1以上のレーザ光源からのレーザ光を、1本の光ファイバにカップリングして光ファイバの射出端から射出させるようにし「光ファイバの射出端を微小な光放射部」とすることができる(請求項5)。微小な光放射部はまた「半導体レーザの発光部」とすることもできる。
あるいはまた、請求項4記載のライン照明装置において、レーザ光源からのレーザ光をレンズ系により集光させ「集光部を微小な光放射部とする」こともできる(請求項6)。
請求項1〜6の任意の1に記載のライン照明装置における光拡散部材としては、フロスト型拡散板(所謂「摺りガラス」)、オパールガラス、回折光学素子、ホログラム素子の何れかを用いることができ、この光拡散部材を変位手段により「回転的もしくは併進的」に変位させることができる(請求項7)。「回転的な変位」を行わせるには、変位手段として適宜のモータを用いればよく、「併進的な変位(微小な往復変位)」を行わせるには圧電素子等を用いればよい。
この発明のライン照明方法は、上記請求項1〜7の任意の1に記載のライン照明装置を用いるライン照明方法である(請求項8)。
この発明の光学検査装置は「被検体をライン状に照明し、被検体による反射光もしくは被検体を透過した透過光を受光手段により受光して、被検体を光学的に検査する光学検査装置」であり、ライン照明装置と、受光手段と、移動手段とを有する(請求項9)。
「ライン照明装置」は、被検体をライン状に照明する照明装置であって、上記請求項1〜7の何れか一つに記載のものが用いられる。
「受光手段」は、被検体による反射光もしくは被検体を透過した透過光を受光する。
「移動手段」は、ライン照明装置によるライン状の照明部の長手方向に交わる方向において、ライン状の照明位置と被検体とを、相対的に移動させる手段である。
この発明の光加工装置は「被加工体をライン状に照明しつつ、ライン状の照明部と被加工体を、照明部に交わる方向に相対的に移動させ、被加工体を光加工する光加工装置」であり、ライン照明装置と、移動手段とを有する(請求項10)。
「ライン照明装置」は、被加工体をライン状に照明する照明装置であって、上記請求項1〜7の何れか一つに記載のものが用いられる。
「移動手段」は、ライン照明装置によるライン状の照明部の長手方向に交わる方向において、ライン状の照明位置と被加工体とを、相対的に移動させる。この移動手段としては、機構的には請求項7における移動手段と同種のものを用いることができる。
若干、説明を捕捉する。
請求項1記載のライン照明装置では、ライン状の照明部の長手方向(前記「所定の方向」)に直交する方向から見た場合、光源部の微小な光放射部から放射された光線は、第1結像光学系で点像もしくは線像として結像され、次いで、レーザラインジェネレータレンズにより発散角を拡張されて照明領域に入射するので、光線の方向が恰も上記「微小な光放射部」を点光源として放射されたように揃っている。「光線の方向が揃っている」とは光線相互が平行であるというのではなく、光線の向きがランダムでないことを意味する。上記ライン状の照明部の「長手方向に直交する方向」においても同様である。
この発明のライン照明装置では光源部から「発散性のレーザ光束」が放射されるが、レーザ光束は「コヒーレント性が高い」ので、微小な光放射部から放射されるレーザ光をそのままライン照明に用いた場合には、ライン状の照明部に「レーザ光のコヒーレント性によるスペックルノイズ」が現れ、目視や分析による検査や加工に支障が生じる。
この発明のライン照明装置では、このスペックルノイズの問題を解消するために、発散性のレーザ光束が放射される「微小な光放射部」に近接もしくは合致させて光拡散部材を配置し、この光拡散部材による「レーザ光」の拡散により、レーザ光のコヒーレント性を低下させる。すなわち光拡散部材は「ランダム位相板」の機能を有する。
光拡散部材は、光源部の「微小な光放射部」から離して設置すると、光拡散部材によるレーザ光束の滲みにより、照明光の持つべき「点光源光束(点光源から放射される光束)の有する、光線の向きがランダムでないという性質」が損なわれて、実質的な光源の大きさが拡大し、ライン像を構成する光線の向きが不揃い(ランダム)になる。このため、光拡散部材は「その拡散面が微小な光放射部に合致する」ことが理想であるが、光源部の構造上、拡散面を微小な光放射部に合致させることができない場合には、光放射部にできるだけ近接させて配置するのである。請求項4のライン照明装置のように「レーザ光源からのレーザ光をレンズ系により集光させ、集光部を微小な光放射部とする」場合には、光拡散部材の拡散面を微小な光放射部に合致させることができる。
光拡散部材により「レーザ光束のコヒーレント性を低下させる」ことにより、スペックルノイズは軽減されるが、コヒーレント性を低下させすぎる(すなわち、拡散効果が大きすぎる)と、ライン照明に用いるレーザ光束の点光源光束としての性質が弱まり、この場合も「ライン像を構成する光線の向きが不揃い(ランダム)になる」副作用を生じる。このような「副作用を抑える程度にコヒーレント性を低下」させた場合、スペックルノイズを完全に除去することはできない。
そこで、この発明においては、微小な光放射部から放射されるレーザ光のコヒーレント性を光拡散部材により低下させて「スペックルノイズをある程度低減」しつつ、点光源光束としての「照明部を照射する光線の向きがランダムにならない性質」を維持し、除去しきれないスペックルノイズを「光拡散部材のレーザ光束に対する変位」により解消するのである。
即ち、光拡散部材による拡散は、光拡散部材の「レーザ光を透過させる位置」ごとにランダムであるので、光拡散部材をレーザ光束に対して変位させると、ライン状の照明部に現れるスペックルノイズのパターンは、光拡散部材の変位に応じて変化するので「ライン状に照明された照明領域」を目視で観察する場合であれば「スペックルノイズの変化が視認できないような速さ」となるように光拡散部材を変位させればよく、被検体による反射光もしくは被検体を透過した透過光を受光手段により受光する場合であれば、受光手段における露光時間で露光されないような速さで「スペックルノイズの変化」を生じるように光拡散部材を変位させればよい。これが「ライン像におけるスペックルノイズを解消させるように、光拡散部材をレーザ光束に対して変位」を行うという意味である。
このように、「ライン状の照明部におけるスペックルノイズ」は、光拡散部材によりレーザ光におけるコヒーレント性を「ある程度低下」させて軽減し、残存するスペックルノイズを光拡散部材の変位により解消するのである。
請求項1における第2結像光学系は「アナモフィックな光学系」であるが、このアナモフィックな光学系には「1方向に正のパワーを持つシリンダレンズやシリンダミラー」を用いることができる。また、請求項3のように、第1結像光学系をアナモフィックな光学系とする場合は「共軸レンズ系と、シリンダレンズやシリンダミラーとの複合系」を用いることができる。
第1・第2結像光学系に「1方向に正のパワーを持つシリンダミラー」が用いられる場合、第1・第2結像光学系の結像機能が作用する「所定の方向」は、光源部から射出される発散性のレーザ光束の「主光線の光路」を直線状に展開した状態において定義される。
「レーザラインジェネレータレンズ」はパウエルレンズなる名称によっても知られるシリンダレンズの1種であり、射出面が平面で、入射面が2つの平面による屋根形をなし、屋根形の稜線近傍の部分が「稜線に直交する面内」において非円弧形状をなし、この非円弧形状が上記稜線の方向に一様な形状となっている。
この非円弧形状は、光軸方向の座標:Z、光軸直交方向の座標:X、光軸近傍の近軸曲率半径(上記稜線に直交するXZ面内での近軸曲率半径):Rx、楕円定数:k、高次の係数:A、B、C、D・・を用いて、数式としては、
Z=(X/Rx)2/[1+√{1−(k+1)/(Rx)2}X2]
+A・X4+B・X6+C・X8+D・X10+・・ (1)
で表され、Rx、k、A、B、・・を与えることにより形状として特定される。
レーザラインジェネレータレンズが、その機能を発揮するのは、上記稜線部近傍の「非円弧形状」の部分であるので、第1結像光学系による結像光束は、所定の方向に直交する方向(上記レーザラインジェネレータレンズにおける「稜線の方向」)から見た状態では、上記非円弧形状の部分に入射するようにする。
レーザラインジェネレータレンズは、第1結像光学系による結像光束を入射されると、この結像光束の主光線方向を保ちつつ「所定の方向(稜線の方向)」に直交する方向に射出光束の発散角を拡張する。従って、結像光束はレーザラインジェネレータレンズに入射するときの「所定の方向(稜線の方向)に直交する方向」における集束角よりも大きな発散角に拡大されて射出する。このとき、上記「発散角の拡張」の程度も、発散角内の各方向における光強度の分布も上記非円弧形状の設計により調整できる。
請求項1において「所望の強度分布で発散角を拡張する」とは、上記の如くにレーザラインジェネレータレンズが設計されていることを意味する。
上記の如く、この発明のライン照明装置で照明されるライン状の照明部において「照明光の光線の向きがランダムでない」ので、請求項9記載の光学検査装置において「被検査体による反射光もしくは被検査体を透過した光を受光する受光手段」としては、例えばCCDラインセンサを用い、上記透過光または反射光をCCDラインセンサで「直接受光する」ことができ、上記反射光・透過光を結像光学系により受光手段の受光面に結像させる必要はない。
以上に説明したように、この発明によれば、レーザ光を用いるライン照明において、長手方向に所望の光強度分布を持つと共に照射光の光線の方向が揃っており(ランダムでなく)、なおかつ、スペックルを有効に軽減したライン照明を実現できる。
以下、実施の形態を説明する。
図1はライン照明装置の実施の1形態を示している。
図1(a)、(b)において、符号10は「光源部の一部」をなす光ファイバ、符号12は「光拡散部材」である拡散板、符号14は「変位手段」としてのモータ、符号16は第1結像光学系、符号18はレーザラインジェネレータレンズ、符号20は第2結像光学系、符号Sは「平面状の照明領域」を示している。
光ファイバ10は図示されない「1以上のレーザ光源」からのレーザ光をカップリングされて導光し、その一端部11から「発散性のレーザ光束」として放射させる。即ち、光ファイバ10の射出端11は「光源部の微小な光放射部」をなす。
光拡散部材としての拡散板12はフロスト型拡散板(所謂「摺りガラス」)で円板状であり、その中心部をモータ14に軸支されて回転駆動される。拡散板12は射出端11に面する側が拡散面であり、この拡散面を射出端11に極く近接させ、拡散面が射出端11から放射される発散性のレーザ光束の主光線に直交するように配置される。
図1において図示の如くX、Y、Z方向を定める。Z方向について、射出端11から放射される発散性のレーザ光束の主光線に合致させてZ軸を定める。X方向は照明領域11に結像するライン像の長手方向(前記「所定の方向」)、Y方向は「この長手方向に直交する方向(前記「所定の方向に直交する方向」)」である。
第1結像光学系16は「共軸レンズ系」で、光軸をZ軸に合致させ、図1(a)、(b)に示すように「微小な光放射部である射出端11から放射されて、拡散板12によりコヒーレント性を低減された発散性のレーザ光束」を点像として結像させる。
レーザラインジェネレータレンズ18は、図1(a)、(b)に示すように射出側が「XY面に平行な平面」であり、入射側は「2つの平面による屋根形」をなしている。この屋根形の稜線部はY方向に平行である。
図18(c)は、レーザラインジェネレータレンズ18を説明図的に示している。入射側の「屋根形の稜線」の近傍部分(図1(c)の符号18Aで示す部分)は、XZ面内で前述の非円弧形状をなしている。非円弧形状はY方向には一様である。
図1(c)は、レーザラインジェネレータレンズ18の稜線の近傍部分18Aに、XZ面内において平行な光束がZ方向に入射したとき、入射光線が非円弧形状により屈折されて大きな発散角を与えられて射出する状態を示している。この図では、説明の簡単のために入射光束を平行光束としたが、図1(a)、(b)に示すような集束性の光束を入射される場合にも作用は同様であり、発散角が入射光束の集束角に対して拡張される。なお、市販されているレーザラインジェネレータレンズでは「XZ面内で平行な光束を入射させたときの発散角」を種々の値に設定されている。レーザラインジェネレータレンズ18はY方向にはパワーを持たない。
前述の式(1)で特定される非円弧形状は、光軸をZ軸に合致させ、非円弧形状の部分とZ軸との交点を原点としてX軸、Y軸を設定するとき、XZ面内の形状である。
第2結像光学系20は「Y方向に正のパワーを有するシリンダレンズ」である。
図1(a)、(b)に示すように、第1結像光学系による「点像」は、レーザラインジェネレータレンズ18の稜線の近傍部分に結像する。そして、結像光束は、XY面内における発散角を拡張されて第2結像光学系20に入射し、XZ面内では「拡張された発散角」を保って進行し、YZ面内においては第2結像光学系20の「Y方向の正のパワー」により集束し、照明領域S上に「X方向に長いライン像」を形成し、照明領域Sをライン照明する。
ライン照明装置の実施の他の形態を図2、図3に示す。繁雑を避けるため、混同の虞が無いと思われるものについては、図1におけると同一の符号を用い、これらについての説明は図1についての説明を援用する。
図2において、符号16Aで示す第1結像光学系は「共軸レンズ系とシリンダレンズの合成系」として構成されたアナモフィックな結像レンズであり、Y方向の正のパワーに対し、X方向の正のパワーが「より大きく」設定されている。
第2結像光学系20Aは「Y方向にのみ正のパワーを持つシリンダレンズ」である。
第1結像光学系16Aは、射出端11から放射され、拡散板12を透過した発散性のレーザ光束を、図2(b)に示すようにYZ面内では「平行光束」に変換し、図2(a)に示すようにXZ面内では、レーザラインジェネレータレンズ18の稜線の近傍部分に集光する集束光束に変換する。
従って、YZ面内では、結像光束はレーザラインジェネレータレンズ18をそのまま透過し、第2結像光学系20Aにより集光されて照明領域S上に集光する。
XZ面内では、レーザラインジェネレータレンズ18により発散角を拡張され、発散しつつ照明領域Sに至る。従って、照明領域SにはX方向を長手方向とするライン像が結像し、照明領域Sをライン照明する。
図3において、符号16Bで示す第1結像光学系は「共軸レンズ系とシリンダレンズの合成系」として構成されたアナモフィックな結像レンズであり、X方向の正のパワーに対し、Y方向の正のパワーが「より大きく」設定されている。
第2結像光学系20Bは「Y方向にのみ正のパワーを持つシリンダレンズ」である。
第1結像光学系16Bは、射出端11から放射され、拡散板12を透過した発散性のレーザ光束を、図3(a)に示すようにXZ面内では、レーザラインジェネレータレンズ18の稜線の近傍部分に集光する集束光束に変換するが、図3(b)に示すように、YZ面内では第1結像光学系16Bとレーザラインジェネレータレンズ18との間の位置Pに集光させる。
即ち、第1結像光学系16Bによる結像光束は位置Pに「X方向に平行な線像」を結像し、レーザラインジェネレータレンズ18の稜線の近傍部分には「Y方向に平行な線像」を結像する。
従って、YZ面内では光束は発散性を保ったままレーザラインジェネレータレンズ18を透過し、第2結像光学系20Aにより集光されて照明領域S上に集光する。XZ面内では、レーザラインジェネレータレンズ18により発散角を拡張され、発散しつつ照明領域Sに至る。従って、照明領域Sには「X方向を長手方向とするライン像」が結像し、照明領域Sをライン照明する。
上述した図1〜図3の実施の形態において、射出端11から放射された発散性のレーザ光束は、拡散板12を透過する際に「コヒーレント性」を低減される。このコヒーレント性の低減は「ライン状の照明部を照射する光線の向きがランダムにならない」程度に行われ、これによりスペックルノイズが「ある程度低減」される。そして残像するスペックルノイズを拡散板12の回転により解消する。
また、照明領域Sを照明するライン像における「X方向の強度分布」は、レーザラインジェネレータレンズ18を「所望の強度分布」を実現するように設計することにより実現する。
図1〜図3に即して実施の形態を説明したライン照明装置は、平面状の照明領域Sを、長手方向に所望の強度分布でライン状に照明するライン照明装置において、微小な光放射部11から発散性のレーザ光束を放射させる光源部と、光放射部11に近接して配置され、光放射部11から放射される発散性のレーザ光束を透過させ、レーザ光束のコヒーレント性を低減させるとともに、レーザ光束の主光線に直交する面内でレーザ光束に対して変位する光拡散部材12と、光拡散部材を透過した発散性の光束を、点像もしくは線像として結像させる第1結像光学系16、16A、16Bと、この第1結像光学系による結像光束を入射され、結像光束の主光線方向を保ちつつ、所定の方向(X方向)において、所望の強度分布で発散角を拡張するレーザラインジェネレータレンズ18と、このレーザラインジェネレータレンズにより所定の方向において発散角を拡張された光束を、所定の方向に直交する方向(Y方向)において集束させ、所定の方向(X方向)に長いライン像を形成するアナモフィックな第2結像光学系20、20A、20Bと、光拡散部材12を変位させる変位手段14とを有し、この変位手段14が、ライン像におけるスペックルノイズを解消させるように、光拡散部材12のレーザ光束に対する変位を行うライン照明装置(請求項1)である。
また、図1のライン照明装置は、第1結像光学系16が「共軸結像系」であって、光拡散部材12を透過した発散性の光束を点像として結像させるものであり(請求項2)。図2、図3のライン照明装置は、第1結像光学系16A、16Bが、所定の方向(X方向)と所定の方向に直交する方向(Y方向)とで異なる正のパワーを持つアナモフィックな光学系である(請求項3)。
上記ライン照明装置は、光源部における発光源として「1以上のレーザ光源」が用いられ(請求項4)、1以上のレーザ光源からのレーザ光を、1本の光ファイバ10にカップリングして光ファイバの射出端11から射出させるようにし、光ファイバの射出端11を微小な光放射部としたものである(請求項5)。また、光拡散部材12はフロスト型拡散板であって、変位手段14により回転的に変位される(請求項7)。
従って、上記図1〜図3に実施の形態を示したライン照明装置を用いて「ライン照明方法」を実施できる(請求項8)。
なお、光源部としては、請求項6記載のように「レーザ光源からのレーザ光をレンズ系により集光させ、集光部を微小な光放射部とする」構成のものを用いることができ、この場合には光拡散部材の拡散面を上記集光部に合致させることができる。
図4に「ライン照明装置を用いる光学検査装置」の2例を説明する。
図4において、符号40はライン照明装置、符号50、50Aは被検体、符号60は受光手段を示す。ライン照明装置40は、構造的には図1〜図3の何れかに示した如きものである。被検体50は「透過光により表面や内部の状態を検査する光透過性の検査対象」であり、具体的には、透明な基板ガラスや樹脂シート、透明フィルム等である。被検体50Aは「反射光により表面状態を検査する検査対象」であり、具体的には透明な基板ガラスや樹脂シート、透明フィルム等の「均一平面基材」である。
受光手段60は「微小な受光素子を1方向に配列したもの」であり、具体的にはCCDラインセンサ等である。
図4(a)に示す例では、ライン照明装置40により被検体50をライン照明し、被検体50を透過したレーザ光を受光手段60により受光する。前述の如く、ライン照明装置40によるライン照明では、照明部に入射する光線の向きがランダムでなく、点光源光束としての性質を有するので、受光手段60の受光部は、被検体50の「ライン照明された部分」の状態が「影絵的に拡大された状態」を受光する。このときライン像はスペックルノイズを除去されている。
被検体50を「適宜の移動手段」により、矢印方向へ変位させつつ受光手段50の出力をモニタ上にイメージ情報として表示して観察し、あるいは演算処理することにより、被検体50の2次元的な領域を光学検査することができる。
図4(b)に示す例では、ライン照明装置40により斜め方向から被検体50Aをライン照明し、被検体50により反射されたレーザ光を受光手段60により受光する。ライン照明装置40によるライン照明では、照明部に入射する光線の向きがランダムでなく、点光源光束としての性質を有するので、受光手段60の受光部は、被検体50Aの「ライン照明された表面部分」の状態が影絵的に拡大された状態を受光する。このときライン像はスペックルノイズを除去されている。
被検体50Aを「適宜の移動手段」により、矢印方向へ変位させつつ受光手段50の出力をモニタ上にイメージ情報として表示して観察し、あるいは演算処理することにより、被検体50の2次元的な領域を光学検査することができる。
例えば、図4(c)に示すように、ライン照明装置40からのライン像の長手方向における光束の発散の起点からライン照明部までの距離を「a」、上記起点から受光手段60の受光部までの距離を「b」とした場合、被検体50の表面又は内部、あるいは被検体50Aの表面に「大きさ:ηの欠陥」があり、受光手段60の出力における受光素子配列方向の受光量が、欠陥に対応して図4(d)の如きものであったとすれば、図4(d)における距離:ξは、上記a、b、ηと、
η=b・ξ/a
の関係を有するので、上記ξを計測することにより「欠陥の大きさ:η」を知ることができる。
図5は、ライン照明装置を用いる光加工装置の実施の1形態を説明図的に示している。
被加工体70を適宜の移動手段により矢印方向へ送りつつ、ライン照明装置40により被加工体70の表面を、その移動方向に交わる方向にライン照明し、ライン照明部に熱エネルギを集中して被加工体70の表面を改質(表面平滑性の改善等)することができる。あるいは被加工体70を「相互に熱融着する2以上の材料をシート状にして重ねた構成」とすれば、上記熱エネルギの集中により、これらを相互に熱融着加工することができる。
図2に実施の形態を示したライン照明装置の具体的な数値構成例を示す。
以下の記載において、S0〜S12は光学面、S13は照明領域、Dは面間距離、RxはX方向の曲率半径、RyはY方向の曲率半径、Ndはd線に対する屈折率、νdはアッベ数を表す。長さの次元を持つものの単位は「mm」である。
Rx Ry D Nd νd
光ファイバ端面 S0 ∞ ∞ 0.0
拡散板 S1 ∞ ∞ 2.0 1.516 64.1
S2 ∞ ∞ 13.3
球面レンズ1 S3 ∞ ∞ 5.6 1.516 64.1
S4 -15.57 -15.57 0.1 1.516 64.1
球面レンズ2 S5 51.9 51.9 3.9 1.516 64.1
S6 -51.9 -51.9 0.1
シリンダレンズ1 S7 36.33 ∞ 4.0 1.516 64.1
S8 ∞ ∞ 58.8 1.516 64.1
LLGR S9 * ∞ 10.0 1.516 64.1
S10 ∞ ∞ 9.2 1.516 64.1
シリンダレンズ2 S11 ∞ 259.5 4.0 1.516 64.1
S12 ∞ ∞ 500
照明領域 S13 ∞ 。
上において、球面レンズ1、2とシリンダレンズ1とは「第1結像光学系」を構成し、シリンダレンズ2は「第2結像光学系」を構成する。「LLGR」は、レーザラインジェネレータレンズである。「*」はレーザラインジェネレータレンズの「稜線近傍の非円弧形状」であり、前述の式(1)においてRx=―0.48、k=3.0、A=B=C=D=・・=0として定まる形状である。これから分るようにレーザラインジェネレータレンズの稜線近傍の非円弧形状は「光源部側に向って凹」の形状である。レーザラインジェネレータレンズとしては、エドモンドオプティクス製の市販のもので放射角;30度のものを用いた。また、光源部の発光源は「波長:405nmのレーザ光源」を用いた。
光拡散部材としての拡散板12は「摺りガラス」であって「砂番:No.1500のフロスト型拡散板」を用い、拡散面を光源側に向け、拡散面と光ファイバ10の射出端11から0.3mmの位置に近接させて配置した。光ファイバ10はファイバコア径:φ=100μmのものである。従って、微小な光放射部(射出端11)は直径:100μmの円形状であり極めて小さい。
このような光学配置で、照明領域におけるライン状の照明部における光強度分布を、Y方向において、Y=0mm、1.0mm、2.0mm、4.0mmの位置に対してシミュレーションにより算出した結果を図6に示す。X方向に略300mm、Y方向に略8mmのライン状の領域が略均一にライン照明されることが分る。
図7は、上記光学配置によりライン照明を行ったときの「X方向の光強度の分布の実測値」を示す。長手方向(X方向)に略均一なライン照明が実現されている。
拡散板12は「半径:12mmの円板状」とし、中心をモータ14の回転軸に固定し、モータによる回転中心から10mmはなれた部分が、光ファイバ10の射出端に上記の如く近接対向するようにした。モータ14により光拡散板12を毎分略38回転(38rpm)で回転させ、拡散板12がレーザ光に対して略40mm/秒で変位するようにした。
拡散板を回転させない状態ではライン状の照明部にスペックルノイズが見られたが、上記の如く、拡散板を光ファイバ端面に対して、40mm/secの速さとなるように回転させたところ、スペックルノイズは目視では全く観察されなかった。
上記具体的な光学配置において、第1結像光学系を構成する球面レンズ1、2、シリンダレンズ1、シリンダレンズ2の相対的な位置関係を調整して倍率を変化させることにより、ライン状の照明部の長さ方向における光強度分布を調整することもできる。光強度分布の調整はまた「レーザラインジェネレータレンズの光軸方向の変位」によっても可能である。
ライン照明装置の実施の1形態を説明するための図である。 ライン照明装置の実施の別形態を説明するための図である。 ライン照明装置の実施の他の形態を説明するための図である。 光学検査装置の実施の形態を説明するための図である。 光加工装置の実施の形態を説明するための図である。 ライン照明装置の実施例における照明領域の光強度分布のシミュレーション結果である。 ライン照明装置の実施例における照明領域の光強度分布の実測例である。
符号の説明
10 光ファイバ
12 光拡散部材
14 モータ(変位手段)
16 第1結像光学系
18 レーザラインジェネレータレンズ
20 第2結像光学系
S 平面状の照明領域

Claims (10)

  1. 平面状の照明領域を、長手方向に所望の強度分布でライン状に照明するライン照明装置において、
    微小な光放射部から発散性のレーザ光束を放射させる光源部と、
    上記光放射部に近接もしくは合致して配置され、上記光放射部から放射される発散性のレーザ光束を透過させ、上記レーザ光束のコヒーレント性を低減させるとともに、上記レーザ光束の主光線に直交する面内で上記レーザ光束に対して変位する光拡散部材と、
    上記光拡散部材を透過した発散性の光束を、点像もしくは線像として結像させる第1結像光学系と、
    この第1結像光学系による結像光束を入射され、上記結像光束の主光線方向を保ちつつ、上記所定の方向において、所望の強度分布で発散角を拡張するレーザラインジェネレータレンズと、
    このレーザラインジェネレータレンズにより上記所定の方向において発散角を拡張された光束を、上記所定の方向に直交する方向において集束させ、上記所定の方向に長いライン像を形成するアナモフィックな第2結像光学系と、
    上記光拡散部材を変位させる変位手段とを有し、
    この変位手段が、上記ライン像におけるスペックルノイズを解消させるように、上記光拡散部材の上記レーザ光束に対する変位を行い、
    上記レーザラインジェネレータレンズは、射出面が平面で、入射面が2つの平面による屋根形をなし、屋根形の稜線近傍の部分が、稜線に直交する面内において非円弧形状をなし、この非円弧形状が上記稜線の方向に一様な形状であり、
    上記第1結像光学系により結像される点像もしくは線像は、上記非円弧形状の形成された稜線近傍の部分に結像されることを特徴とするライン照明装置。
  2. 請求項1記載のライン照明装置において、
    第1結像光学系が共軸結像系であって、光拡散部材を透過した発散性の光束を点像として結像させるものであることを特徴とするライン照明装置。
  3. 請求項1記載のライン照明装置において、
    第1結像光学系が、所定の方向と上記所定の方向に直交する方向とで異なる正のパワーを持つアナモフィックな光学系であることを特徴とするライン照明装置。
  4. 請求項1ないし3の任意の1に記載のライン照明装置において、
    光源部における発光源として半導体レーザ、ファイバレーザ、ガスレーザ、固体レーザの何れかのレーザ光源が用いられることを特徴とするライン照明装置。
  5. 請求項4記載のライン照明装置において、
    1以上のレーザ光源からのレーザ光を、1本の光ファイバにカップリングして上記光ファイバの射出端から射出させるようにし、上記光ファイバの射出端を微小な光放射部としたことを特徴とするライン照明装置。
  6. 請求項4記載のライン照明装置において、
    レーザ光源からのレーザ光をレンズ系により集光させ、集光部を微小な光放射部としたことを特徴とするライン照明装置。
  7. 請求項1〜6の任意の1に記載のライン照明装置において、
    フロスト型拡散板、オパールガラス、回折光学素子、ホログラム素子の何れかを光拡散部材とし、この光拡散部材を変位手段により回転的もしくは併進的に変位させることを特徴とするライン照明装置。
  8. 請求項1〜7の任意の1に記載のライン照明装置を用いるライン照明方法。
  9. 被検体をライン状に照明し、被検体による反射光もしくは上記被検体を透過した透過光を受光手段により受光して上記被検体を光学的に検査する光学検査装置において、
    被検体をライン状に照明するライン照明装置と、
    上記被検体による反射光もしくは上記被検体を透過した透過光を受光する受光手段と、
    上記ライン照明装置によるライン状の照明部の長手方向に交わる方向において、ライン状の照明位置と上記被検体とを、相対的に移動させる移動手段とを有し、
    上記ライン照明装置として請求項1〜7の任意の1に記載のライン照明装置を用いることを特徴とする光学検査装置。
  10. 被加工体をライン状に照明しつつ、ライン状の照明部と上記被加工体を、上記照明部に交わる方向に相対的に移動させ、上記被加工体を光加工する光加工装置において、
    被加工体をライン状に照明するライン照明装置と、
    上記ライン照明装置によるライン状の照明部の長手方向に交わる方向において、ライン状の照明位置と上記被加工体とを、相対的に移動させる移動手段とを有し、
    上記ライン照明装置として請求項1〜7の任意の1に記載のライン照明装置を用いることを特徴とする光加工装置。
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