JP5248004B2 - 床材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1記載の発明の第一の目的は、注意深い配慮と且つ多大な時間を必要とした塗装工程を簡略化することにある。第二の目的は温湿度の変化による芯材の動きとか、接着剤水分の移動拡散による芯材の伸縮が塗膜平滑性を劣化させることを防ぐことにある。第三の目的は塗膜平面から芯材内部に湿気が侵入し拡散伝達するのを防ぎ、もって塗膜の平滑性を保つことにある。
MDFは合板に比べ吸水厚さ膨張率(JIS A5905)が2倍以上高いので吸水吸湿をすると膨張し乾燥しても元に戻らない。床材雌実上側突出部、雄実突出部のMDFが吸水吸湿すると反って変形し雌実、雄実の嵌合がうまくいかない事が起こる。又床材施工後も吸水吸湿すると床材どうしの突き付け部に段差を生じることがあり改良が望まれている。
また、本発明の目的は、そのような床材を、層間の剥離を抑制して効率的且つ経済的に製造することができる床材の製造方法を提供することにある。
本発明の床材の製造方法によれば、そのような床材を、層間の剥離を抑制して効率的に製造することができる。
図1は、本発明の床材の一実施形態であるフローリング用の床材1を示す断面図である。
本実施形態の床材1においては、紙に、メラミン系樹脂、フェノール樹脂又はジアリルフタレート樹脂を主要成分とする熱硬化性樹脂を含浸させた後、硬化させて得られる樹脂含浸紙2が、木質系基材3の一方の面に接着剤を介して接合されており、該樹脂含浸紙2における木質系基材3側とは反対側の面に、天然木単板又は化粧紙を主体とする意匠層4が設けられている。
熱硬化性樹脂を含浸させる紙としては、クラフト紙、チタン紙、及び建材用プリント原紙等を用いることができ、その坪量は60〜280g/m2 であることが好ましい。これらの紙の中でもクラフト紙が好ましく、特に、樹脂が浸透し紙の中の空気が抜け易くした含浸用クラフト紙が好ましい。
含浸用クラフト紙は、長繊維のパルプの量を増して紙力を高めてあり、また、水が浸透し易くするためサイズ剤を用いていない。含浸用クラフト紙は、透気抵抗度(ガーレー,JIS P8117:1998、以下、透気抵抗度と記載する。)が、厚みにより異なるが、10秒/100ml前後と空気が抜けやすい。
メラミン樹脂を主体とした熱硬化性樹脂としては、メラミン樹脂単体、メラミン・尿素共縮合樹脂、メラミン樹脂液と尿素樹脂液を混合したもの、及びこれらの樹脂の各種変性品等を用いることができる。
熱硬化性樹脂の含浸に用いる含浸機は、浸漬方式、スクイーズ方式、及びこの両者を組み合わせたもの等を用いることができる。
熱硬化性樹脂の含浸させた後の紙は、加熱手段により加熱し、熱硬化性樹脂を硬化させることで、樹脂含浸紙が得られる。
含浸機で用いる樹脂濃度は30〜50%ぐらいで、pH4.5〜pH5.5ぐらいであることが好ましい。pHが低すぎると含浸紙が劣化するおそれがあり、中性に近すぎると樹脂の硬化が不充分となる。
含浸樹脂量は原紙重量の50%から120%(乾燥重量換算)が好ましく、50%以下では硬さが十分ではなく、120%を越すと、次第に含浸紙が硬くなり割れやすくなる。あるいは含浸紙表面が樹脂で詰まり、接着剤浸透が不充分となり、接着不良等、接着性に問題が出てくる。
樹脂含浸紙と木質系基材側との接合による含浸紙一体化基材の製造及び含浸紙一体化基材に対する意匠層の形成は、例えば以下のようにして行われる。
樹脂含浸紙と一体化させる木質系基材としては、床材等の内装建材に従来用いられている各種の材を用いることができ、例えば、合板(単板の繊維配向方向が交差したもの)、単板積層材(LVL、単板の繊維配向が揃っているもの)、パーティクルボード(OSB)、表面がMDFで中芯層がOSBの3層構造の一体成型複合ボード(例えば、商品名「Triboad」として市販されているもの)、PSL(parellel Strand Lumber)、LSL(Laminated Strand Lumber,例えば、商品名「Timber Strand」として市販されているもの)等が挙げられる。これらの中でも合板やLVLが好ましい。
木質系基材として用いる合板あるいはLVLとしては、広葉樹系と針葉樹系があり、広葉樹系合板としてはラワン材、シナ材、ユーカリ材、ファルカタ材等を用いることができ、針葉樹系合板としてはラジアータパイン材、杉材、カラマツ材等を用いることができる。その他、ラワン材と針葉樹材を複合したもの、同行合板等が有る。合板の単板積層数は厚さにより増していくが、3プライ、5プライ、7プライのもの等、特に制限なく用いることができる。
なお、合板の表面には、開口した割れ、欠け又は虫孔等があり、パテ補修を複数回施した後サンドペーパー又はワイドベルトサンダーにて平滑にすることが好ましい。
ホットプレス法は生産性が良いが高温で貼着すると床材となってから反りが発生する危険があるが、熱盤温度100℃以下、圧締時間40秒から90秒、圧締圧力3kgf/cm 2から4.5kgf/cm 2で貼着することでこの危険を回避することができる。
コールドプレス法は貼着に時間がかかることが欠点であるが、床材となってから反りが発生する危険が少ないという利点がある。
含浸紙一体化基材と天然木単板又は化粧紙との接合に用いる接着剤としては、樹脂含浸紙を合板等に貼着する場合に用いるものと同じものを使用できるが、耐水性はJAS規格タイプIに合格するものが好ましい。
さらに、天然木単板を貼る場合には単板に接着剤がにじみ上がる場合があるので、小麦粉を20重量%から30重量%混入することも可能である。
ピアノ・オルガンの塗装は美観を重要視し、鏡面に近い平滑性をいつまでも保つことにあるが、床材の塗装は実用上、水雑巾等で拭いたとき汚れが落ち易く、又、靴、スリッパ等による擦り傷が入り難くするために実施するものである。塗料は、ウレタン系塗料、ポリエステル系塗料が好ましく水系塗料も使用される。紫外線硬化法、熱風乾燥法或は電子線硬化法で塗装し、塗膜厚みは30μmから100μmくらいが適当である。
また、木質系基材と樹脂含浸しとを一体化する第1接合圧と、含浸紙一体化基材と天然木単板又は化粧紙とを一体化する第2接合工程とは、順次行うのに代えて、同時に行うことができる。
(実施例1)
坪量60g/m2 のチタン原紙に浸漬方式でメラミン樹脂(濃度45%、pH3.5)を含浸し、更に70℃〜130℃の熱風で10分間乾燥硬化させ含浸樹脂量60g/m2 (乾燥重量)、厚み143μm、バーコル硬度30度の含浸紙を得た。厚み5.5mm、3プライ合板にエチレン酢ビ共縮合樹脂接着剤を70g/m2 塗付しこの含浸紙をホットプレスにて貼着しバーコル硬度35°の含浸紙貼り合板(含浸紙一体化基材)を得る。
ホットプレス条件:熱盤温度80℃ 圧締圧力 4.0kgf/cm2 、圧締時間45秒
ホットプレス条件: 熱盤温度 90℃、圧締圧力 5.0kgf/cm2 、圧締時間 90秒
意匠層にウレタン樹脂塗料をロールコーターにて塗付、熱風乾燥で硬化させ、塗膜厚み40μmの床材を得た。
実施例1において、含浸紙を貼着せずに直接ホワイトオーク単板を合板に貼着した以外は、実施例1と同様にして、床材を得た。
得られた床材について、評価試験を行い、それらの結果を表1に示した。
1.床材の色差
ミノルタ(株)製色彩色差計CR−200を使用し、床材の色差(ΔE)を測定した。
具体的には、L* a* b* 表色系にて、各々試験片のL* a* b*の値を測定し、各々の組み合わせの中で、最大の色差(ΔE)を示す組み合わせを選び、その床材の色差(ΔE)とした。
回転型ナイロンキャスターを使用し、意匠層の杢目に直行して、200mmの直線を20kgの荷重で10,000回往復させた。試験片を前後に動かし、1往復毎に1回程度キャスターに回転を加えた。出来た凹みの最も大きな箇所をダイヤルデプスゲージで測定し、6試験体測定の平均値をキャスターによる凹みとして表1に示した。
キャスター:ナイロン強化フェノール樹脂製シングルキャスター(ハンマートン社製 品番420G−MC50)
試験体寸法:幅150mm 長さは試験機固定台に合わせる。
バーコル硬度計(BARBERCOLMAN社製 品番「GYZJ−936」)を用いて測定した。床材表面30点づつを測定し平均値を採った(含浸紙貼り合板測定の場合も同様)。
測定は、バネで一定力に支えられた針を差し込む。差し込まれた針の深さを表現する。
バーコル硬度は、数値が小さい方が、針が深く刺さったことを示す。
JAS衝撃A試験に従って測定した。落下重すいで出来た床材表面の凹みをダイヤルデプスゲージで測定し、5試験体の平均値を測定値とした。
それに対して、比較例1は、基材合板の色のバラツキ(暗褐色系、黄色系、赤系と淡色系)の影響を受け、暗褐色系合板に貼ったものと淡色系のものの差が最大となりΔE=1.0となった。
キャスター試験、バーコル硬度及び耐衝撃性の試験結果から、実施例の床材は、比較例の床材に比べて、凹凸や傷が付きにくいものであることがわかる。
坪量80g/m2 の含浸用クラフト紙に浸漬方式でメラミン・尿素共縮合樹脂(濃度40%、pH4.8)を含浸し、更に80℃〜120℃の熱風で10分間乾燥硬化させ含浸樹脂量90g/m2 (乾燥重量)、バーコル硬度39度、厚み206μmの含浸紙を得た。
厚み12mm、7プライのラジアータパイン合板に酢酸ビニル樹脂接着剤にイソシアネート系架橋剤2.5重量%混合した接着剤を70g/m2 塗付し、含浸紙をホットプレスにて貼着し、バーコル硬度43度の含浸紙貼りラジアータパイン合板を得る。
ホットプレス条件:熱盤温度85℃、圧締圧力4.2kgf/cm2、圧締時間60秒
ホットプレスの条件;熱盤温度90℃、圧締圧力5.0kgf/cm2、圧締時間90秒
意匠層にポリエステル系塗料を塗付、UV硬化させ、塗膜厚み80μの含浸紙貼り床材を得た。
実施例2において、実施例2の作業工程から含浸紙貼着のみを省略した以外は、実施例2と同様にして床材を得た。
尚、実施例2以下の各試験方法とその測定器は、実施例1場合と同様である。又、各実施例に対するその比較例の作成方法も実施例1の場合と同様である。
坪量140g/m2 の含浸用クラフト紙に浸漬方式で、メラミン樹脂(濃度45%)と尿素樹脂(濃度50%)と水を5部:5部:1部の割合で混合した樹脂(樹脂濃度43.2%、pH4.5)を含浸し、更に70℃〜120℃の熱風で15分間乾燥硬化させ、含浸樹脂量145g/m2 (乾燥重量)、バーコル硬度43度、厚み350μm、透気抵抗度13〜16秒/100mLの含浸紙を得た。この含浸紙を厚み12mm、7プライのラワン合板にタイプIの耐水力のあるエチレン酢ビ共縮合樹脂接
着剤を80g/m2 塗付し、コールドプレスにて貼着しバーコル硬度47°の含浸紙貼り合板を得た。
コールドプレス条件:室温 25℃、圧締圧力 4.5kgf/cm2、圧締時間 45分
ホットプレス条件: 熱盤温度 90℃、圧締圧力 5.5kgf/cm2、圧締時間 90秒
意匠層にポリエステル系塗料を塗付しUV硬化させ塗膜厚み80μmの含浸紙貼り床材を得た。
実施例3において、実施例3の作業工程から、含浸紙貼着のみを省略した以外は、実施例3と同様にして床材を得た。
実施例3で得られた含浸紙貼り合板にタイプI仕様のエチレン酢ビ共縮合樹脂接着
剤を70g/m2 塗付しフロアー用プレコート化粧紙(坪量70g/m2 、厚み50μm、褐色コルク柄)をホットプレスで貼着し、含浸紙貼り床材を得た。
ホットプレス条件: 熱盤温度 80℃、 圧締圧力3.5kgf/cm2、圧締時間60秒
実施例4において、実施例4の作業工程から含浸紙貼着のみを省略した以外は同様にして床材を作成した。実施例4と比較例4で得られた床材について、実施例1と同様にして評価を行い、結果を表4に示した。
現行床材はJAS普通合板の規格「表面の品質基準」による2等以上の合板が使われている。代表的欠点を挙げると、開口した割れは幅4mm以下、虫穴は円状のもので直径1.5mm以下、線状のもので長径10mm以下、抜け節又は穴は抜け落ちた部分の長径が5mm以下であること等である。以上の欠点の深さは概ね表層原板の厚さであり1mm程である。パテ補修は原則として上記欠点全部に実施される。大きな欠点は2回〜3回小さな欠点でも1回〜2回の丁寧なパテ詰めをした後補修部にサンダーを当て平らにしなければならない。
本発明によれば一番厚さの薄い(143μm)実施例1の含浸紙貼り合板を用いた場合で幅1mm深さ1mmの開口した割れ、幅1mmの線状の虫穴で深さ1mm長さ10mmのもの、それと長径1.5mmの抜け節は各々パテ補修をしなくてもホワイトオーク単板は平滑に貼れた。又上記欠点より大きなものでも1回のパテ詰を省略してホワイトオーク単板は平滑に貼れた。この補修部分にキャスター試験、JAS衝撃試験を実施しても補修の痕跡は現ず実施例の測定値の範囲であった。これは含浸紙貼りの接着剤(塗布量70g/m2)が開口した割れ、虫穴、抜け節に流入硬化して開口部を狭めたり埋めるとともに厚み143μmの含浸紙が開口部を覆った為である。従ってパテ補修の作業負担が軽くなった。
吸水吸湿をするとMDFが膨張し雌実、雄実の嵌合がうまくいかなくなったり、施工後も床材どうしの突き付け部に段差を生ずることが有り種々解決法が提案されている(例えば、特開2003−27731、特開平10−121707、特開平11−50647、特開2005−335204)
実施例3の床材(12mm、7プライラワン合板)で雌実上側突出部の上下方向厚さを4.5mm、長さ6mm、凹部(切り欠き部)の上下方向の幅4mmとする(下側突出部の上下方向厚さは3.5mmとなる)。雄実突出部の上下方向厚さを4mm、長さ5.5mmとし嵌合部とする。雌実、雄実部分を含んだ吸水厚さ膨張率(JIS A5905)試験片を各々10枚づつ作成する。同様にして比較例3の試験片も10枚づつ作成する。試験結果を表5に示す。
床材に多く使用されているラワン系合板の密度は0.5g/cm3 くらいであり、MDFは、0.7g/cm3 くらいである。ラワン系合板で、厚さ1.2cm、幅30cm、長さ180cmくらいの床材1枚の重量は約3.3kgとなるが、MDFの複合合板で厚さ1.4cm(9mm厚さ合板に上下2.5mmMDFを貼着)、幅30cm、長さ180cmの床材1枚の重量は約4.3kgとなり、重くなることが明らかである。
含侵紙の厚さは最大でも600μmであり薄く、且つ淡い褐色なのでV溝で現れても合板の色に溶け込み意匠層の色がなんでも違和感を与えることはない。図1には、V溝加工によるV溝を符号7で示してある。
2 樹脂含浸紙
3 木質系基材
4 意匠層
5 雄実
6 雌実
7 V溝
Claims (1)
- 原紙に、メラミン系樹脂を主要成分とする熱硬化性樹脂を含浸させ、硬化させて得られた樹脂含浸紙と、木質系基材とを、
前記木質系基材と前記樹脂含浸紙との間に接着剤を介在させて圧締して、含浸紙一体化基材を得る第1接合工程、及び
前記含浸紙一体化基材と天然木単板又は化粧紙とを、該含浸紙一体化基材における樹脂含浸紙と該天然木単板又は該化粧紙との間に接着剤を介在させて接合する第2接合工程を具備し、
第2接合工程は、第1接合工程後に行う、床材の製造方法であって、
第1接合工程において得る含浸紙一体化基材のバーコル硬度が35〜52度であり、
第1接合工程における圧締を、熱盤温度80〜100℃のホットプレス法により行い、
前記原紙は、坪量60〜280g/m 2 、透気抵抗度(JIS P8117)10〜500秒/100mLのクラフト紙又はチタン紙であり、前記樹脂含浸紙は、厚みが120〜750μmであり、樹脂含浸量(乾燥重量)が前記原紙の重量の50〜120%であり、
前記樹脂含浸紙は、原紙に前記熱硬化性樹脂を含浸させた後、70〜130℃の熱風で2〜15分間乾燥させて硬化させたものであり、
製造する床材は、前記木質系基材の両面のうちの床の表面側に向けられる面側に前記樹脂含浸紙を備えている、床材の製造方法。
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