図1は、本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す部分斜視図であり、ディスク挿入を待機する状態を示している。図2ないし図5は、切換え動作を示すディスク装置の部分平面図である。図6はディスクのクランプが完了した状態を示すディスク装置の全体構造を示す部分斜視図である。ただし、図6は、ディスクDの図示を省略している。図7は、ディスク装置の断面図であり、ディスク挿入を待機する状態を示している。
図中、X1側が右方、X2側が左方、Y1側が前方、Y2側が後方、Z1側が上方、Z2側が下方である。
図7に示すように、ディスク装置1は車載用であり、1DINサイズまたは1/2DINサイズの筐体10を有している。筐体10は金属板を折り曲げて形成されており、Y1方向に向く前面にはスリット状の挿入口11が開口している。前記前面には液晶表示パネルや各種スイッチ類を有するノーズ部が設けられ(図示せず)、前記ノーズ部に挿入口11に通じるスリット状の挿入口が設けられている。
図1に示す機構ユニット2は筐体10の内部に設けられている。直径が12cmのDVD(デジタルバーサタイルディスク)などのディスクDは、挿入口11から筐体10の内部に供給されて、機構ユニット2に装填される。
図1に示すように、機構ユニット2はドライブベース8を有している。ドライブベース8は、弾性支持部材70,70,70を介して筐体10の内部に弾性支持されている。弾性支持部材70はオイルダンパーである。なお、図1においては、2箇所に設けられた弾性支持部材70が図示されている。
図7に示すように、ドライブベース8の上方にはクランプベース9が対向している。クランプベース9のY2側の端部は、図1に示すように、ドライブベース8に設けられた支持軸18を支点として回動自在に支持されている。また、クランプベース9は、図示しないクランプばねによって、図7において反時計回りに付勢されている。
ドライブベース8のY1側の先部には回転駆動部4が設けられている。回転駆動部4では、ドライブベース8の上にスピンドルモータが固定されており、このスピンドルモータの回転軸にターンテーブル7が固定されている。ドライブベース8にはヘッド部Hが設けられ、ターンテーブル7に載置されたディスクDの記録面に沿って移動可能となっている。ドライブベース8には、ヘッド部HをディスクDの半径方向へ移動させるスレッド駆動機構が設けられている。
図7に示すように、クランプベース9のY1側の先部の下面には、ターンテーブル7に対向するクランパ6が回転自在に設けられている。クランプベース9がクランプばねの付勢力で反時計方向へ回動させられると、クランパ6がターンテーブル7に圧接するクランプ姿勢となり、クランプベース9が持ち上げられると、クランパがターンテーブル7から離れるクランプ解除姿勢となる。
図1に示すように、機構ユニット2の左後方にはモータMが設けられ、機構ユニット2の左側方には、第1の切換え部材である左側方スライダ3Aが、右側方には、第2の切換え部材である右側方スライダ3Bが設けられている。モータMは筐体10の下面上に固定されており、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bは、筐体10のX1側とX2側に位置する側板の内側に支持されている。
図1と図6に示すように、左側方スライダ3AにはY1−Y2方向に直線的に延びる案内長穴33Aが2箇所に形成されており、筐体10の側板に固定された支持軸に案内長穴33Aが挿通され、左側方スライダ3AがY1−Y2方向へ直線的に移動できるように支持されている。同様に、右側方スライダ3BにもY1−Y2方向に直線的に延びる案内長穴33Bが2箇所に形成されて、筐体10の側板に設けられた支持軸に挿通され、右側方スライダ3BがY1−Y2方向へ直線的に移動できるように支持されている。
左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bは、図示しないリンク機構によって連結され、同期して同じY1方向および同じY2方向へ一緒に移動させられる。図1と図2に示すディスク挿入を待機する状態では、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3BがともにY2方向へ移動させられており、図5と図6に示すディスクの搬入およびクランプが完了した状態では、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3BはともにY1方向へ移動させられている。
図1に示すように、左側方スライダ3Aには、クランプベースを持ち上げるクランプ持ち上げ部31が一体に形成されており、図6に示すように、右側方スライダ3Bには、クランプベースを持ち上げるクランプ持ち上げカム32が一体に形成されている。クランプ持ち上げカム32は、Y1側に向けてZ1側に位置する持ち上げ部32aと、Y2側に位置する逃げ穴32bを有している。
図1に示す状態では、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bの双方がY2方向へ移動しており、クランプ持ち上げ部31がクランプベース9の持ち上げ片の下方に入り込み、持ち上げ片を上方へ押圧する。また、図7に示すように、クランプベース9のY1側の端部に設けられた制御ピン5が、クランプ持ち上げカム32の持ち上げ部32a内に位置する。よって、クランプベースは持ち上げられ、クランパがターンテーブル7の上方へ離れたクランプ解除姿勢である。
図1に示す状態からモータMが駆動されると、後に説明する動力伝達部を介して左側方スライダ3AがY1方向へ移動させられ、これに連動して右側方スライダ3Bの双方がY1方向へ移動させられる。このとき、クランプ持ち上げ部31がクランプベースの持ち上げ片から離れ、制御ピン5が、クランプ持ち上げカム32の持ち上げ部32a内から脱して逃げ穴32b内に移動する。よって、クランプベース9の持ち上げが解除され、クランプばねの弾性力によって、クランプベース9が前記クランプ姿勢へ回動する。
図1、図6および図7に示すように、機構ユニット2のY1側にはディスク搬送機構20が設けられている。ディスク搬送機構20はローラブラケット21と、ローラブラケット21に支持された搬送ローラ22を有している。なお、図1では、搬送ローラ22のX1側の部分のみを図示している。
ローラブラケット21は、搬送ローラ22を保持する保持部材として機能し、図7に示すように、側面からみると略L字形状をしている。ローラブラケット21は、一対の第1の腕部21a,21aと、一対の第2の腕部21b,21bを有し、第2の腕部21bと21bの間には、左右方向に広がる連結平板部21cが設けられており、第2の腕部21bと21bは連結平板部21cを介して連結されている。
第1の腕部21a,21aの先端には、支持凸部21a1,21a1がX1方向およびX2方向に突出形成されており、この支持凸部21a1,21a1が筐体10の側板に支持されて、ローラブラケット21が、支持凸部21a1,21a1を支点として、α1−α2方向に回動可能になっている。
図1と図7に示すように、第2の腕部21b,21bのY2側の端部には、ローラ支持穴21b1,21b1が形成されており、このローラ支持穴21b1,21b1にローラ軸23の両端部が回転自在に支持されている。ローラ軸23の外周には搬送ローラ22が設けられている。搬送ローラ22は合成ゴムなどの軟質で摩擦係数の高い材料で形成されており、この搬送ローラ22の中心穴内にローラ軸23が挿通されている。
図7に示すように、搬送ローラ22の上方には低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されたガイド部材24が固定されて設けられている。図1および図7に示すように、ローラブラケット21の連結平板部21cの前方側には、連結平板部21cと連続して掛け止め部21dが設けられている。図7に示すように、掛け止め部21dには、引っ張りコイルばねである弾性部材47の一端が掛けられ、ローラブラケット21にα1方向への回動付勢力が与えられている。この回動付勢力が与えられているとき、ディスクDは、ガイド部材24と搬送ローラ22とで挟持される。
搬送ローラ22とガイド部材24とでディスクDが挟持されている状態で搬送ローラ22が駆動されると、ローラ軸23と搬送ローラ22との摩擦により搬送ローラ22が回転し、ディスクDに移動力が与えられる。また、ディスクDが外力で止められると、ディスクDとの摩擦で停止した搬送ローラ22の中心穴内でローラ軸23がスリップ回転する。
本実施の形態では、搬送ローラ22とガイド部材24が、ディスクDを挟持する搬送部材である。
図6に示すように、右側方スライダ3BのY1側にはローラ制御カム34Bが形成されている。ローラ軸23の右側端部23aは、ローラブラケット21のローラ支持穴21b1内に挿通され、さらに、ローラ制御カム34B内に挿通されている。同様に、左側方スライダ3Aにもローラ制御カム34Aが形成されており、ローラ軸23の左側端部、ローラ制御カム34A内に挿通されている。
図1に示す状態では、右側方スライダ3BがY2方向へ移動しており、ローラ軸23の右側端部23aが、ローラ制御カム34Bの持ち上げ部34B1内にあり、同様に、左側方スライダ3AもY2方向へ移動しており、ローラ軸23の左側端部が、ローラ制御カム34Aの持ち上げ部34A1内にある。持ち上げ部34A1,34B1の上下の内幅寸法は、ローラ軸23の右側端部23aおよび左側端部の直径よりも十分に大きく、右側端部23aおよび左側端部が持ち上げ部34A1,34B1内で上下に動くことができる。よって、搬送ローラ22が弾性部材47の弾性力により上方へ押され、搬送ローラ22とガイド部材24とで、ディスクDを弾性力で挟持することができる。
左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bの双方がY1方向へ移動すると、ローラ制御カム34Bがローラ軸23の右側端部23aを摺動し、ローラ制御カム34Aがローラ軸23の左側端部を摺動する。そして、図6に示すように、ローラ軸23の右側端部23aがローラ制御カム34Bの下方規制部34B2に保持され、ローラ軸23の左側端部がローラ制御カム34Aの下方規制部34A2に保持される。この間、図6に示すように、ローラブラケット21は弾性部材47の弾性力に対抗してα2方向へ回動させられる。
図1ないし図7の各図に示すように、機構ユニット2のX2側の底面側には、モータMの動力を、左側方スライダ3Aの移動力に変換する動力伝達機構が設けられている。また、この動力伝達機構によって、ローラブラケット21を付勢する弾性部材47の弾性力を調整するための弾性力調整機構も動作させられる。
動力伝達機構には伝達歯車41が設けられている。伝達歯車41は、上方に大歯車41Aが、その下方に小歯車41B(図示せず)が一体に形成されている。モータMの出力軸にはウオーム歯車M1が固定されており、このウオーム歯車M1が大歯車41Aに噛み合っており、モータMが動作すると、伝達歯車41が一緒に回転させられる。
機構ユニット2の奥側には検知部材14が設けられている。検知部材14は、上下方向に延びる検知ピン14Aと、検知ピン14Aを支持する支持板14Bを有している。検知ピン14AはディスクDの搬入経路を横切って立設されている。支持板14Bは、図2に示すように、筐体10内に固定された支持軸14aにて回動可能に支持されている。また、検知部材14には、図示しないばねにより、図示時計回り方向に付勢力が与えられている。
伝達歯車41と検知部材14との間にはトリガー駆動歯車42が設けられている。トリガー駆動歯車42は、その外周が歯部となっているが、図2ないし図5に示すように、外周の一部は欠歯部42aとなっている。トリガー駆動歯車42の歯部は、伝達歯車41の小歯車41Bと噛み合い可能となっているが、欠歯部42aが小歯車41Bに対向しているときに、伝達歯車41とトリガー駆動歯車42との噛み合いが断たれる。トリガー駆動歯車42の上面側には溝カムである上側カム42bが形成され、下面側には溝カムである下側カムが設けられている。検知部材14の支持板14Bには、支持軸14aを挟んで検知ピン14Aと反対側に延びるアーム14Cが設けられ、このアーム14Cに設けられた摺動凸部が前記下側カムに摺動自在に挿入されている。
図3に示すように、搬入されるディスクDの周縁部で検知ピン14Aが押され、検知部材14が反時計方向へ回動すると、アーム14Cに設けられた摺動凸部が前記下側カムを摺動し、トリガー駆動歯車42が時計方向へ回動させられる。このとき、欠歯部42aが小歯車41Bから外れ、トリガー駆動歯車42の外周の歯が小歯車41Bと噛み合って、伝達歯車41からトリガー駆動歯車42に駆動力が与えられる。
伝達歯車41よりも前方側には連結歯車43が設けられている。図7にも示すように、連結歯車43は、回転中心部に上方へ突出する駆動小歯車43Aと、その下側に位置する大歯車43Bを有している。駆動小歯車43Aと大歯車43Bは一体に形成され、一緒に回転する。
図1と図2などに示すように大歯車43Bには上面から下向きに窪む連続溝で形成された連結カム43aが設けられている。大歯車43Bの外周には連続する歯部が設けられているとともに、外周部の一部に欠歯部43bが形成されている。大歯車43Bの歯部は、伝達歯車41の小歯車41Bの歯部と噛み合っているが、欠歯部43bが小歯車41Bに対向しているときは、伝達歯車41から小歯車41Bへの動力の伝達が断たれる。
トリガー駆動歯車42と連結歯車43との間には、補助連結部材45が設けられている。この補助連結部材45は、筐体10内に固定された支持軸45aに回転自在に支持されている。図7に示すように、補助連結部材45のY2側の腕部の先端には下方に向けて突出する摺動凸部45bが形成されており、この摺動凸部45bがトリガー駆動歯車42の上側カム42b内に摺動可能に挿通されている。
補助連結部材45のY1側の腕部の先端にも下方に向けて突出する摺動凸部が形成されており、この摺動凸部が、連結歯車43の大歯車43Bに形成された連結カム43a内に摺動可能に挿通されている。
連結歯車43の前方には、回転部材44が設けられ、図7にも示すように、回転部材44は、筐体10内に設けられた支持軸44aに回動自在に支持されている。回転部材44は、支持軸44aに支持されている保持部材44Aと、保持部材44Aから側方へ張り出す動力変換部44Bとが一体化されたものである。図7に示すように、動力変換部44Bは、保持部材44AよりもZ1側に重ねられて一体化された形状である。保持部材44Aには、Y1方向へ突出する保持突起44Cが一体に形成されている。
動力変換部44Bは外形が扇形であり、そのY2側の側面には歯部44Dが形成されている。歯部44Dは、支持軸44aの軸心を中心とする円弧軌跡の一部に沿って設けられている。動力変換部44Bの歯部44Dは、連結歯車43の駆動小歯車43Aに形成された歯部と常に噛み合っている。よって、連結歯車43が時計方向へ回転すると、回転部材44が反時計方向へ回転させられる。
図1ないし図6に示すように、左側方スライダ3Aには、X1方向に突出する駆動片36が形成されている。駆動片36には駆動カム37が形成されており、駆動カム37は非移動部37aと移動部37bからなっている。
図2に示すように、左側方スライダ3AがY2方向へ移動しているとき、非移動部37aは、回転部材44の軸44aを中心とする円弧形状の一部に沿って形成されており、移動部37bは、X1−X2方向に延びる直線形状となっている。回転部材44の動力変換部44BのX2側の端部には、上方に向けて突出する駆動軸44bが設けられており、この駆動軸44bが、駆動カム37内に摺動可能に挿通されている。
図1ないし図6に示すように、搬送ローラ22よりも下方には、調整部材である調整レバー46が設けられており、回転部材44の保持部材44Aと調整レバー46とで、弾性部材47の弾性力を変える弾性力調整機構が構成されている。
調整レバー46は、軸46aを中心としてb1−b2方向に回動自在に支持されている。調整レバー46の一方の腕部46Aには、その先端部に当接部46A1がY2方向に突出して形成されているとともに、当接部46A1に連続して、それよりも回動中心側にY1方向に向けて窪んだ凹部46A2が形成されている。調整レバー46の他方の腕部46Bの先端には、上方に突出する掛け止め部46B1が形成されている。図7に示すように、腕部46Aは、他方の腕部46BよりもZ1方向へ離れた位置に形成されている。
調整レバー46の掛け止め部46B1と、ローラブラケット21の掛け止め部21dとの間に、前記弾性部材47が掛けられている。図2に示すように、調整レバー46がb2方向に回動し、当接部46A1が保持突起44Cに当たって保持されているとき、調整レバー46が第1の姿勢である。このとき、弾性部材47が伸び、ローラブラケット21をα1方向へ回動させようとする大きな第1の弾性力が設定される。次に、図4に示すように、調整レバー46がb1方向へ回動し、凹部46A2が保持突起44Cに当たって保持されているときが第2の姿勢である。このとき、弾性部材47への引張り力が弱められ、ローラブラケット21をα1方向へ回動させようとする弾性力が、やや弱められた第2の弾性力に設定される。
図7に示すように、連結歯車43の下には、連結歯車43とは別に中継歯車53が重ねられて設けられている。連結歯車43と中継歯車53は、筐体10内に設けられた共通の支持軸52に回転自在に支持されている。連結歯車43と中継歯車53は互いに独立して回転でき、連結歯車43の大歯車43Bと中継歯車53は、歯車のピッチ円の半径が同じである。そして、中継歯車53の外周の歯部は、大歯車43Bの歯部とともに、伝達歯車41の小歯車41Bと噛み合っている。
図1と図6に示すように、中継歯車53は、その前方に位置する平歯車48と常に噛み合っている。平歯車48よりもY1側には平歯車49aと傘歯歯車49bとが一体化された複合歯車が回転自在に設けられ、平歯車49aが平歯車48と噛み合っている。前記複合歯車の上方には、ローラ駆動用の平歯車50aと傘歯歯車50bとが一体化された横向き複合歯車が回転自在に設けられている。筐体10の側板に固定された支持軸が、左側方スライダ3Aに形成された案内長穴33Aに挿通されているが、前記横向き複合歯車は、この支持軸に回転自在に支持されている。そして、傘歯歯車49bと傘歯歯車50bは常に噛み合っている。
ローラ軸23の左端部にはピニオン歯車51が固定されている。そして、図7に示すように、ローラブラケット21がα1方向へ回動して、搬送ローラ22とガイド部材24とでディスクDを挟持できる状態になると、ピニオン歯車51が、ローラ駆動用の平歯車50aと噛み合う。
次に、ディスク装置1におけるディスク搬入時の動作を説明する。
図1と図2に示すように、ディスクDが装置内部に搬入される前のディスク挿入待機状態では、検知部材14の支持板14Bは、図示しない弱いばねの力によって図2に示すように時計方向に回動させられている。また、トリガー駆動歯車42は、反時計方向への回転終端にあり、その欠歯部42aが伝達歯車41の小歯車41Bに対向している。一方、連結歯車43も反時計方向への回動終端にあり、大歯車43Bに形成された欠歯部43bが伝達歯車41の小歯車41Bに対向している。よって、伝達歯車41の動力は、トリガー駆動歯車42と連結歯車43に伝達されない。なお、前述のように、小歯車41Bは大歯車41Aの下側に一体に設けられたものであって、各図には現れていない。
一方、図7に示すように、連結歯車43の下方に重ねられて設けられた中継歯車53は欠歯部を有しておらず、外周の歯部が伝達歯車41の小歯車41Bと常に噛み合っている。
ディスク挿入待機状態では、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bの双方がY2方向へ移動しており、クランプベース9が持ち上げられ、クランパ6がターンテーブル7の上方へ離れたクランプ解除姿勢となっている。
また、右側方スライダ3BがY2方向へ移動しているため、ローラ軸23の右側端部23aがローラ制御カム34Bの持ち上げ部34B1内にあり、同様に、左側方スライダ3AもY2方向へ移動しているため、ローラ軸23の左側端部がローラ制御カム34Aの持ち上げ部34A1内にある。よって、ローラブラケット21は、引っ張りコイルばねである弾性部材47の弾性力によって、最もα1方向に回動させられており、搬送ローラ22とガイド部材24とでディスクDを挟持できるようになっている。また、ローラ軸23の左端部に固定されたピニオン歯車51が、横向き複合歯車の平歯車50aと噛み合っている。
ディスク挿入待機時における弾性力調整機構の状態は、図2に示すように、回転部材44が最もa2方向に回転して停止している。そして、回転部材44の保持部材44Aから延びる保持突起44Cの先端と、調整レバー46の当接部46A1とが当接しており、調整レバー46はb2方向へ回動させられた第1の姿勢で保持されている。よって、弾性部材47が最も伸びており、このときの弾性部材47の第1の弾性力によって、搬送ローラ22が最も大きな力でZ1方向へ付勢されている。
挿入口11の内側には光学検知器などの挿入検知部材が設けられている。挿入口11からディスクDが挿入されたことが検知されると、モータMが始動する。モータMの動力は、ウオーム歯車M1から伝達歯車41の大歯車41Aに伝達され、大歯車41Aと小歯車41Bとが一体となって図2において反時計方向に回転する。
このとき、欠歯部42aと欠歯部43bが小歯車41Bに対向しているため、伝達歯車41の回転力が、トリガー駆動歯車42と連結歯車43に伝達されることはなく、小歯車41Bの回転力が、図7に示すように、連結歯車43の下に重ねられた中継歯車53のみに伝達され、中継歯車53が時計方向へ回転する。
中継歯車53の回転力は、平歯車48から平歯車49aに伝達され、さらに傘歯歯車49bから傘歯歯車50bに伝達されて、ローラ駆動用の平歯車50aが図1において反時計方向へ回転する。よって、平歯車50aと噛み合っているピニオン歯車51が回転し、ローラ軸23が図7において時計方向へ回転させられる。
よって、挿入口11から挿入されたディスクDは、搬送ローラ22とガイド部材24とで挟持され、搬送ローラ22の回転力によってY2方向に搬入される。
図2に示すように、ディスクDの中心穴Daがターンテーブル7にクランプ可能な位置よりも少しY1側の位置となるまでディスクDが搬入されると、ディスクDの搬入側に向く外周縁が検知ピン14Aに当たる。その後、ディスクDが搬入されると、図3に示すように、ディスクDの外周縁によって検知ピン14AがY2方向へ押され、検知部材14が反時計方向へ回動させられる。
図2から図3に示すように、検知部材14が反時計方向へ回動するときに、検知部材14のアーム14Cに設けられた摺動凸部が、トリガー駆動歯車42の下面に設けられた下側カム内を摺動し、この摺動により、トリガー駆動歯車42が時計方向へ回動させられる。そして、トリガー駆動歯車42の欠歯部42aが伝達歯車41の小歯車41Bと対向する位置から外れ、トリガー駆動歯車42の外周に設けられた歯部が小歯車41Bと噛み合う。したがって、モータMの動力が伝達歯車41からトリガー駆動歯車42に伝達され、トリガー駆動歯車42が時計方向へ回転し始める。
欠歯部42aが小歯車41Bから外れて、伝達歯車41によってトリガー駆動歯車42が時計方向へ駆動され始めた直後に、トリガー駆動歯車42の下面に設けられた前記下側カムによって、検知部材14が図3に示す姿勢において動かないように保持される。よって、搬入されてきたディスクDは、図3に示す位置にある検知ピン14Aによって位置決めされ、このときディスクDの中心穴Daが、ターンテーブル7にクランプ可能な位置に至る。
図7に示すように、ディスクDが搬送ローラ22とガイド部材24とで挟持されてY2方向へ搬送され始めてから、図2に示すように、ディスクDの外周縁が検知ピン14Aに当たるまでの間、さらには、ディスクDの外周縁で検知ピン14Aが図3に示す位置へ押されるまでの間、図2と図3に示すように、調整レバー46の当接部46A1と保持部材44Aの保持突起44Cが当たり続け、調整レバー46がb2方向へ回動させられた第1の姿勢に保持される。そのため、弾性部材47からローラブラケット21に与えられる弾性力が大きく設定されたままである。
よって、搬送ローラ22とガイド部材24とでディスクDを強い力で挟持でき、ディスクDは搬送ローラ22の回転力によってY2方向へ確実に送り出される。そのため、ディスクDが図2の位置に至るまでの間に、機構内で摩擦力を受けても、ディスクDが停止することを防止しやすい。さらに、ディスクDによって、検知ピン14Aを図3に示す位置まで確実に押し込めるようになる。
図3に示すように、伝達歯車41の動力でトリガー駆動歯車42が時計方向へ回動し始めると、その直後に、補助連結部材45のY2側に設けられた摺動凸部45b(図7参照)が、トリガー駆動歯車42の上側カム42bの保持部42b1から、傾斜部42b2を経て、それよりも回転中心側にある逃げ部42b3に導かれる。よって、補助連結部材45が反時計方向へ回動させられる。
補助連結部材45が半時計方向へ回動すると、補助連結部材45のY1側に設けられた摺動凸部が、連結歯車43に形成されている連結カム43aの保持部43a1からそれよりも回転中心から離れて形成された逃げ部43a2内へ摺動する。このときの摺動力によって、連結歯車43が時計方向へ回動させられる。そして、連結歯車43の大歯車43Bに設けられた欠歯部43bが伝達歯車41の小歯車41Bから外れ、大歯車43Bの歯部が小歯車41Bと噛み合って、その後は、伝達歯車41の回転動力によって連結歯車43が時計方向へ回動させられる。
トリガー駆動歯車42の上側カム42bに形成された逃げ部42b3は、トリガー駆動歯車42の回転中心からの半径が一定となる軌跡で形成されている。同様に、連結歯車43に形成されている連結カム43aの逃げ部43a2も、連結歯車43の回転中心からの半径が一定となる軌跡で形成されている。よって、図3に示すように、伝達歯車41の動力によって、トリガー駆動歯車42と連結歯車43が時計方向へ回転する間、補助連結部材45の姿勢は変わらない。
連結歯車43が時計方向へ回転すると、連結歯車43の駆動小歯車43Aから、回転部材44の扇状の歯部44Dに回転動力が伝達され、回転部材44が反時計方向へ回転し始める。
図3および図4に示すように、回転部材44が反時計方向へ回動し始めた直後は、回転部材44の動力変換部44Bに設けられた駆動軸44bが、駆動カム37の非移動部37a内を摺動する。非移動部37aは、回転部材44の軸44aを中心とする円弧軌跡に沿って形成されているため、この時点では、未だ、回転部材44から左側方スライダ3Aに駆動力が与えられず、左側方スライダ3AはY1方向へ始動しない。
駆動軸44bが非移動部37a内を摺動しているときに、図4に示すように、回転部材44の保持突起44Cがa1方向へ回転し、保持突起44Cの先端部が調整レバー46の当接部46A1から外れる。このとき、調整レバー46は、弾性部材47の力でb1方向へ回動させられるが、図4に示すように、その直後に保持突起44Cが調整レバー46の凹部46A2に当たるため、調整レバー46は、図4に示す第2の姿勢で保持される。
調整レバー46が、図4に示す第2の姿勢となることで、弾性部材47の設定長が短くなり、弾性部材47の弾性力が少し弱められて第2の弾性力が設定される。その結果、ローラブラケット21のα1方向への回動付勢力も弱められて、搬送ローラ22とガイド部材24とによるディスクDの挟持力が弱められる。
回転部材44が図4の姿勢からさらに反時計方向へ回動すると、回転部材44に設けられた駆動軸44bが、駆動カム37の非移動部37aから移動部37bに至る。そして、回転部材44の回転力によって、左側方スライダ3AがY1方向へ移動させられ、図5に示す位置に至る。また、左側方スライダ3AのY1方向への移動に伴って、右側方スライダ3Bが左側方スライダ3Aと同期してY1方向へ移動する。
この間、左側方スライダ3Aのローラ制御カム34Aがローラ軸23の左側端部をZ2方向へ押し下げ、右側方スライダ3Bのローラ制御カム34Bがローラ軸23の右側端部23aをZ2方向へ押し下げるため、ローラブラケット21がα2方向へ回動させられる。ローラブラケット21に支持された搬送ローラ22が下降し始めた直後に、搬送ローラ22とガイド部材24とによるディスクDの挟持が解除され、その後は、図6と図7に示すように、搬送ローラ22が筐体10の底面方向へ下降させられる。
これと同時に、左側方スライダ3Aに設けられたクランプ持ち上げ部31がクランプベース9から外れ、クランプベース9に設けられた制御ピン5が右側方スライダ3Bに設けられたクランプ持ち上げカム32の逃げ穴32bに至る。よって、クランプばねによってクランプベース9が回動させられ、クランパ6が下降してディスクDの中心穴Daがターンテーブル7とクランパ6との間にクランプされる。そして、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bが、図4と図6に示す位置まで至ったことが、図示しないリミットスイッチで検知されると、モータMが停止する。
上記のように、搬入するディスクDの移動力で検知ピン14Aが図3に示す位置まで移動させられ、トリガー駆動歯車42の下側カムで検知部材14が図3の位置で保持された直後に、図4に示すように、調整レバー46がb1方向へ回動した第2の姿勢になって、弾性部材47の弾性力が第2の弾性力に弱められ、搬送ローラ22とガイド部材24によるディスクDの挟持力が弱められる。その後、回転部材44が反時計方向へ回動し、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3BとがY1方向へ移動することで、搬送ローラ22とガイド部材24とによるディスクDの挟持が解除されるが、この挟持解除までの間は、搬送ローラ22とガイド部材24によってディスクDが比較的弱い力で挟持されることになる。
その間は、モータMによってローラ軸23に搬入方向への回転力が与えられ続けるが、ディスクDが動かないため、搬送ローラ22とローラ軸23との間でスリップが生じる。ただし、ディスクDに対する挟持力が弱められているため、大きなスリップ音の発生を抑制でき、また、ローラ軸23から搬送ローラ22に与えられるトルクが比較的小さいため、搬送ローラ22とディスクDとの滑りを防止しやすくなり、ディスクDへの損傷を防止しやすい。
ただし、弾性力47の弾性力がゼロになるわけではなく、搬送ローラ22とガイド部材24によって、比較的弱い挟持力であっても、ディスクDの挟持を継続できるため、前記挟持が解除されるまでの間、図3に示すように、ディスクDが検知ピン14Aに当たって位置決めされている状態を維持でき、クランプ動作が開始されるまでの間に、ディスクDがY1方向へ動くことを規制しやすくなる。
また、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3BがY1方向へ移動する間に、図5に示すように、トリガー駆動歯車42の下面に形成された下側カムによって検知部材14が反時計方向へ回動させられ、検知ピン14AがクランプされているディスクDの外周縁から離れる。
また、図5に示すように、回転部材44が反時計方向へ大きく回転するため、保持突起44Cがa1方向へ大きく回動し、保持突起44Cが調整レバー46から完全に離れる。よって、搬送ローラ22とガイド部材24とによるディスクDの保持が解除された後に、弾性部材47からローラブラケット21に与えられる弾性力が大きく低下する。あるいは、調整レバー46が図4に示す姿勢よりも時計方向(b1方向)へ回動しないようにストッパを設けて、保持突起44Cが調整レバー46から離れても、調整レバー46が第2の姿勢から動かないようにしてもよい。
ディスク装置1では、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3Bに設けられたローラ制御カム34によって、ローラブラケット21を弾性部材47の弾性力に対抗してα2方向へ回動させる際に、弾性部材47による弾性力が弱くなるため、左側方スライダ3Aと右側方スライダ3BがY1方向へ移動する際の負荷も低減できる。
本発明は、上記実施の形態のように、ディスクDによって検知ピン14Aが図3に示す位置まで確実に押し込まれるまで、弾性部材47の弾性力が最大に設定されていることが好ましい。しかし、動力伝達機構のタイミングの公差などによって、検知ピン14Aが図2の位置から図3の位置へ移動する途中まで弾性部材47の弾性力が最大に設定され、検知ピン14Aが図3に示す位置に至る直前で、弾性部材47の弾性力が低下するものであってもよい。
また、弾性部材47の弾性力を弱くするタイミングは、検知ピン14Aが図3の位置に移動したのと同時であることが好ましいが、機構の動作タイミングなどにより、検知ピン14Aが図3に示す位置まで移動した後に、少し時間を経てから弾性部材47の弾性力が弱くなってもよい。