特許文献1に記載のベンチは、座部が鍵などによって、土台部に固定されていない。したがって、収容されている防災関連用品が盗まれる可能性がある。したがって、このようなベンチにおいては、盗難の危険性を回避することが必要となる。
一方、特許文献2又は非特許文献1に記載のベンチは、座部と土台部とが南京錠などで固定されている。したがって、防災関連用品が盗まれる可能性は低くなる。
しかし、実際に災害が発生した場合、不特定の者が、ベンチに収納されている防災関連用品を使用できなければ、初動時の救援遅延という問題を解決することはできない。特許文献2又は非特許文献1に記載のベンチでは、鍵を所有するものしか、防災関連用品を取り出すことができず、不特定の者が防災関連用品を使用するという要求を満たすことができない。
それゆえ、本発明の目的は、平常時には、防災関連用品等の物品の盗難を防止し、かつ、災害発生時には、不特定の者が防災関連用品等の物品を取り出すことができる収納スペースを有するベンチを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。
本発明は、物品を収納することができるベンチであって、側面の一部が少なくとも1枚の木製板によって形成されており、内部に物品を収納するための収納スペースを有する土台筐体と、土台筐体の上部に取り付けられた座面部とを備える。土台筐体は、物品を収納する際に、錠によって開け閉めされる物品収納口を含む。当該木製板は、収納スペース側に、当該木製板全体の厚みに比べて厚みを薄くするための窪み部を有する。
このように、本発明によれば、災害時に備えて、物品を収納スペースに備えることができる。錠付きの物品収納口から物品が収納されるので、平常時には、物品が盗難されるのを防止することができる。災害発生時には、窪み部が設けられた木製板を破壊することによって、収納スペースに備えられた物品を取り出すことができる。したがって、災害時には、不特定の者が災害関連用品等の物品を取り出すことができる収納スペースを有するベンチが提供されることとなる。
座面部は、土台筐体から取り外し可能であり、物品収納口は、土台筐体の上部の開口部である。
このように、座面を土台筐体から取り外し可能にすれば、簡単に、物品を収納スペースに収納することができる。
座面部の下面には、複数の車輪が取り付けられている。
これにより、座面部を災害時の負傷者運搬や物品の運搬、テーブル等に使うことができる。
座面部は、隠し錠を介して、土台筐体に取り付けられている。
隠し錠によって、座面部が土台筐体に取り付けれらているので、平常時、錠が視認できない状態となっている。そのため、公衆は、座面部が取り外し可能であるということを認識できない。よって、内部の物品をいたずらしようとか、盗難しようとかいった思考を巡らすことを防止することができ、結果的に、いたずらや盗難の防止が図られる。
土台筐体は、さらに、外側面の一部にスライド可能に取り付けられているスライド板部と、スライド板部に対向するように収納スペース側に固定的に取り付けられており、隠し錠を有する隠し錠部とを含む。スライド板部は、隠し錠の鍵穴を出現させるための鍵穴出現孔を有する。土台筐体は、スライド板部がスライドされたときに、鍵穴出現孔を隠すための隠蔽部をさらに含む。
これにより、通常は、鍵穴が視認できないようにスライド板部の鍵穴出現孔を隠蔽しておき、座面部を取り外すときには、スライド板部をスライドさせて、隠し錠の鍵穴を出現させ、隠し錠を鍵で開けることが可能となる。この隠し錠構造は、簡易であり、錠自体は、市販の錠を使用することができるので、安価に、本発明に係るベンチを提供することができ、実用面において、非常に有効である。
スライド板部は、スライド時に、指を引っかけるための凹部をさらに有する。
これにより、凹部を利用して、スライド板部を簡単にスライドさせることができる。
土台筐体は、外側面を形成するようにスライド板部に対して並べて取り付けられた一以上の側面板部をさらに含む。一以上の側面板部は、凹部と同一の形状を有するダミー凹部を有する。
ダミー凹部を有することによって、公衆は、デザインとして、凹部が設けてあると認識して、凹部をスライドさせれば、鍵穴が現れるということに気付きにくい。これにより、さらなる盗難防止効果が期待できる。
スライド板部は、遮蔽部を構成するために土台筐体に設けられた切り込み部に挿入されており、座面部が取り外されたときに、土台筐体から抜き取ることができる。
これにより、何らかの理由でスライド板部に不具合が生じた場合、簡単に、スライド板部を交換することができる。
土台筐体は、さらに、外側面の一部に固定的に取り付けられた最外板部と、最外板部に対向するように、収納スペース側にスライド可能に取り付けられているスライド板部と、スライド板部に対向するように、収納スペース側に固定的に取り付けられており、隠し錠を有する隠し錠部とを含む。最外板部は、隠し錠の鍵穴を出現させるための第1の鍵穴出現孔と、スライド板部をスライドさせるための棒を挿入するための第1の挿入孔とを有する。スライド板部は、隠し錠の鍵穴を出現させるための第2の鍵穴出現孔と、第1の挿入孔から挿入された棒を挿入するための第2の挿入孔とを有する。第1及び第2の挿入孔に挿入された棒をスライドさせることによって、第1及び第2の鍵穴出現孔が鍵穴を出現させるように連通する。
これにより、スライド板部は、側面の内部に設けられ、棒などを第1及び第2の挿入孔に挿入させてスライドしない限り、鍵穴は出現してこない。すなわち、鍵穴を出現させるための難易度がさらに上がっており、盗難防止効果をさらに期待することができる。
土台筐体は、さらに、弾性力を有し、座面部を係止めするための留め金具と、留め金具を固定するための留め金具固定部とを含む。留め金具固定部は、留め金具に対して、押圧力を加えるための棒を差し込むための第1の金具用挿入孔を有する。
これにより、より簡素な構造で、土台筐体と座面部とを固定することができる。
土台筐体は、留め金具固定部に対向するように、外側面の一部にスライド可能に取り付けられているスライド板部をさらに含む。スライド板部は、スライド後に、第1の金具用挿入孔と連通する第2の金具用挿入孔を有する。土台筐体は、スライド板部がスライドされたときに、第2の金具用挿入孔を隠すための隠蔽部を有する。
このように、スライド板部をスライドさせない限り、金具用挿入孔が出現しないので、盗難防止効果が期待できる。
スライド板部は、側面の一部が金属板で覆われている。
これにより、スライド板部の反りや収縮等を防止することができる。
さらに、本発明のベンチは、座面部が土台筐体から取り外された場合に作動する警報装置を備える。
これにより、座面部が土台筐体から取り外された場合に、ブザーやベル等の警報装置が作動して、収納されている物品が盗難されるおそれを知らせてくれることができる。これにより、物品の盗難を防止することが期待できる。なお、警報装置は、電気式のものに限らず、ゼンマイ式など、機械仕掛けであってもよい。
土台筐体及び座面部は、木製であり、土台筐体及び座面部には、寸法安定処理及び/又は防腐処理が施されている。
これにより、長期間に渡り本発明のベンチの利用が可能となる。
窪み部は、上下方向に設けられた断面V字状の溝である。
これにより、側面の木製板を容易に破壊することができるようになる。
断面V字状の溝の深さは、木製板の厚さの65%以上75%以下である。
このような深さの限定によって、ベンチの強度と木製板の破壊しやすさとが両立することとなる。
好ましくは、複数の車輪は、折り畳み可能な複数の脚部に取り付けられているとよい。
これにより、土台筐体内の収納スペースを広く確保することができ、より多くの物品を収納することができる。また、複数の脚部を立脚させた際、座面部を高い位置にすることができるので、担架やテーブル等として、座面部を活用することが可能となる。逆に、複数の脚部を折り畳んだ場合、座面部を台車等に利用することができる。
好ましくは、隠し錠は、カマ錠であることとよい。
これにより、隠し錠の構造をより簡易なものとすることができ、製造コストの低減が期待できる。
以上、本発明によれば、平常時には、防災関連用品等の物品の盗難を防止し、かつ、災害発生時には、不特定の者が防災関連用品等の物品を取り出すことができる収納スペースを有するベンチが提供されることとなる。
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るベンチ1の斜視図である。図1において、ベンチ1は、土台筐体2と、座面部50とを備える。座面部50は、土台筐体2の上部に取り付けられている。土台筐体2の内部には、防災関連用品等の物品を収納することができる。
土台筐体2は、四隅に設けられた柱11,12,15等と、側面に設けられた柱13,14等とによって支えられている。土台筐体2は、略直方形である。土台筐体2の短手方向の一側面は、柱11と柱12との間に設けられたスライド板部21及び側面板部22,23によって、形成されている。短手方向の一方の側面も、当該短手方向の一側面と同様の構成を有する。
土台筐体2の長手方向の一側面は、柱12と柱13との間に設けられた側面板部41,42,43と、柱13と柱14との間に設けられたスライド板部31及び側面板部32,33と、柱14と柱15との間に設けられた側面板部44,45,46とによって、形成されている。土台筐体2の長手方向の一方の側面も、当該長手方向の一側面と同様の構成を有する。
ベンチ1を構成する柱や板材は、木製である。ベンチ1を構成する木材には、反りや歪み等の寸法ずれを防止するために、専用薬剤によって、寸法安定処理が施されている。また、寸法安定処理と一緒に又は単独で、当該木材には、防腐処理が施されている。たとえば、当該木材に、ポリアクリ酸亜鉛及びジメチロールエチレン尿素樹脂などを浸透させる処理を施すことによって、寸法安定処理及び/又は防腐処理を実現することができる。寸法安定処理及び防腐処理については、特許第1832900号等に詳しく記載されている。当然、これ以外の寸法安定処理及び防腐処理であってもよい。
図2は、図1におけるA面で切り取ったときの断面図である。図2において、図1と同一の部分については、同一の参照符号を付す。図2に示すように、土台筐体2は、内部に、側面の板材及び底面の板材によって得られる収納スペース3を有する。収納スペース3に、防災関連用品等の物品が収納される。長手方向の側面を形成する側面板部41,44,47,48は、収納スペース3側に、断面V字の溝状に切り欠かれた窪み部71,72,73,74を有する。窪み部71,72,73,74と同様の溝状の切り欠けが、側面板部41,44,47,48の下方に設けられた側面板部にも形成されている。窪み部71,72,73,74は、ベンチ1に対して、上下方向(縦方向)に形成されている。
図3は、一例として、側面板部41,42,43に形成された窪み部71を示す斜視図である。なお、図3と同様の構造が、側面板部44,47,48の下方の側面板部にも設けられている。
たとえば、窪み部71に対して、土台筐体2の外側から、衝撃を加えれば、容易に、側面板部41,42,43を破壊することができる。災害時、何人も、側面板部41,42,43を破壊すれば、収納スペース3に収納されている物品を取り出すことができ、取り出した物品を使って救援活動等を行うことができる。
なお、側面板部41,42,43の破壊を容易にする共に、ベンチ1自体の強度を確保するためには、好ましくは、窪み部71の溝の深さは、側面板部41,42,43の厚みに対して、65%以上75%以下であるとよい。また、窪み部71の溝の最大幅は、側面板部41,42,43の厚みに対して、10%程度であるとよい。
土台筐体2の短手方向の両側面には、隠し錠構造が設けられている。また、土台筐体2の長手方向の両側面中央部分にも、隠し鍵構造が設けられている。
柱11及び12には、収納スペース3側に、断面L字状の切り込み部が設けられている。この切り込み部の間に、スライド板部21が挿入されている。スライド板部21の長さは、柱11と柱12とに設けられた切り込み部の間の長さよりも短くなっている。そのため、スライド板部21は、柱11及び/又は柱12に設けられた空きスペースを利用して、スライドすることができる。このように、スライド板部21は、土台筐体2の外側面の一部にスライド可能に取り付けられている。
スライド板部21に対向するように、収納スペース3側に、隠し錠611を含む隠し錠部61が固定的に取り付けられている。隠し錠611は、鍵穴612と、デッドボルト613とを有する。隠し錠611は、一般に入手可能な錠を利用すればよいので、その詳しい内部構造についての説明は省略する。座面部50に取り付けられたフック501(後述の図5参照)を収納するためのフック収納部614が、隠し錠部61のデッドボルト613付近に彫り込まれている。デッドボルト613及びフック501によって、座面部50は、土台筐体2に取り付けられる。
スライド板部21には、鍵穴出現孔211が穿孔されている。スライド板部21の中央部に設けられた凹部21aに指を添えて、スライド板部21をスライドさせることによって、鍵穴出現孔211が視認可能となる。スライド板部21を柱12側に完全にスライドさせた場合、鍵穴出現孔211から、鍵穴612を視認することができる。すなわち、柱11の切り込み部は、スライド板部21を柱11側にスライドさせたときに、鍵穴出現孔211を隠蔽するための隠蔽部11aとして機能する。
図4(a)は、スライド板部21をスライドさせたときに、鍵穴出現孔211から鍵穴612が視認できるようになった様子を示す拡大断面図である。図4(b)は、図1に示すB方向から、スライド板部21を含む側面を見たときの図である。図4(a),(b)に示すように、スライド板部21をスライドさせることによって、鍵穴視認孔211から鍵穴611を視認することができる。さらに、鍵穴視認孔211から、鍵穴611に対して、鍵を挿入することができる。なお、本発明のベンチ1は、公共の場に設置される場合があるので、鍵穴視認孔211の径は、指などが挟まらないように考慮された大きさであるとよい。
図4(b)に示すように、スライド板部21に対して並べて取り付けられた側面板部22,23は、スライド板部21と同一の形状及び同一の位置関係を有するダミー凹部22a,23aを有する。スライド板部21を柱11側にスライドさせた場合、凹部21aとダミー凹部22a,23aとは、あたかも一連に彫り込まれたかのように表面が段差無く連続的に繋がる。これにより、ベンチ1の短手方向の側面部分に、一連の彫り込み溝が形成されているかのような印象を与えることができ、スライド板部21を柱12側にスライドさせて、鍵穴611を出現させようとする意識を働かせないようにすることができ、いたずらや盗難を防止することができる。なお、スライド板部21と並べて取り付けられている側面板部22,23は、少なくとも一枚であればよい。また、凹部21a,22a,23aは、図示した以外の形状であってもよい。たとえば、円形の穴が凹部21a,22a,23aとして設けられていても良い。さらに、スライド板部21をスライドさせるために、スライド板部21に凸部を設け、同一形状及び同一位置関係に、側面板部22,23にも凸部が設けられていても良い。
スライド板部21及び隠し錠部61と同様の構成が、土台筐体2の短手方向他側面、長手方向両側面中央部に設けられている。すなわち、短手方向他側面には、スライド板部24と、隠し錠部63とによって、隠し錠構造が形成されている。スライド板部24は、凹部24aと、鍵穴出現孔241とを含む。また、隠し錠部63は、鍵穴632及びデッドボルト633を有する隠し錠631と、座面部50に取り付けられたフックを収納するためのフック収納部634とを含む。柱15,16には、それぞれ、スライド板部24を挿入するための断面L字状の切り込み部が設けられている。柱15に設けられた当該切り込み部が、鍵穴出現孔241を隠すための隠蔽部15aとして機能する。
また、長手方向側面中央部には、それぞれ、スライド板部31,34と、隠し錠部62,64とによって、隠し錠構造が形成されている。スライド板部31,34は、それぞれ、凹部31a,34aと、鍵穴出現孔311,341とを含む。また、隠し錠部62,64は、それぞれ、鍵穴622,642及びデッドボルト623,643を有する隠し錠621,641と、座面部50に取り付けられたフックを収納するためのフック収納部624,644とを含む。柱13,14には、それぞれ、スライド板部31を挿入するための断面L字状の切り込み部が設けられている。柱13に設けられた当該切り込み部が、鍵穴出現孔311を隠すための隠蔽部13aとして機能する。柱17,18には、それぞれ、スライド板部34を挿入するための断面L字状の切り込み部が設けられている。柱17に設けられた当該切り込み部が、鍵穴出現孔341を隠すための隠蔽部17aとして機能する。
デッドボルト613,623,633,643によって、座面部50のフックが固定され、座面部50が土台筐体2に取り付けられることとなる。隠し錠611,621,631,641が開けられることによって、座面部50が上方向に取り外すことが可能となる。
図5(a),(b),(c)は、図4(a)におけるC−C面における断面図である。図5(a)に示すように、座面部50には、L字状のフック501が取り付けられている。フック501は、フック収納部614に収納されている。鍵穴出現孔211を介して挿入された鍵が鍵穴612に挿入されて、隠し錠611のデッドボルト613が開けられると、図5(b)に示すように、ロック状態が解除される。全ての隠し錠611,621,631,641のロック状態か解除された段階で、座面部50を上方向に持ち上げると、座面部50を土台筐体2から取り外すことができる(図5(c)参照)。このように、座面部50は、隠し錠611,621,631,641を介して、土台筐体2に取り外し可能に取り付けられている。座面部50が上方向に取り外された場合、土台筐体2の上部の開口部が、物品を収納するための物品収納口4aとして機能する(図2参照)。これにより、物品収納口4aから、防災関連用品等の物品を収納スペース3に収納することができる。
座面部50が土台筐体2から取り外された場合、スライド板部21,24,31,34を各柱に設けられた切り込み部から抜き取ることができる。したがって、スライド板部21,24,31,34が何らかの理由により、劣化した場合、新しいスライド板部21,24,31,34に容易に取り替えることができる。
図6は、鍵の一例を示す図である。鍵穴出現孔211等は、細長い穴であるので、棒状の部材に、一般的な鍵を取り付けることによって、鍵を鍵穴612にまで届かせることができる。
図7は、取り外された座面部50の斜視図である。図7に示すように、座面部50には、フック収納部614,624,634,644に対応する位置に、4つのフック501が取り付けられている。さらに、座面部50には、フック501による固定の邪魔にならず、かつ土台筐体2に収納可能な位置に、複数の車輪79が取り付けられている。収納スペース3には、隠し錠611,621,631,641を開けるための合い鍵が収納されている。災害時、側面板部41等を破壊し、収納スペース3から、合い鍵を取り出して、座面部50を取り外せば、座面部50を負傷者の運搬や各種物品の運搬、テーブル等に利用することができる。
このように、本発明の第1の実施形態によれば、隠し錠を設けることによって、平常時には、防災関連用品等の収納されている物品の盗難を防止することができる。側面板部に窪み部が設けられているので、災害発生時には、側面板部を破壊して、収納されている物品を不特定の者が取り出すことができる。
なお、図3に示した窪み部71の構造は、あくまでも一例である。窪み部71は、上下方向に複数本形成されていてもよい。また、窪み部71は、断面V字状の溝に限られるものではない。たとえば、断面台形状であってもよい(図8(a)参照)。また、上下方向(縦方向)に溝が形成されていることに限定されるものではない。たとえば、斜め方向に彫り込まれた溝が窪み部71を構成してもよいし(図8(b)参照)、それらの溝が複数本設けられていてもよい。また、格子状に彫り込まれた溝が窪み部71を構成してもよい。左右方向に彫り込まれた溝が窪み部71を構成してもよい(図8(c)参照)。その他、不連続に彫り込まれた窪み部71であってもよいし(図8(d)参照)、円形又は多角形状に彫り込まれた窪み部71であってもよい(図8(e)参照)。すなわち、側面の一部を構成する木製板には、収納スペース3側に、当該木製板を破壊容易にするために、当該木製板の全体の厚みに比べて厚さを薄くするための窪み部が設けられていればよい。当該窪み部を如何なる形状にすべきか、窪み部をいくつ設けるかなどは、ベンチ全体の強度と破壊のしやすさとを考慮して、決定されるべきである。
なお、第1の実施形態では、ベンチ1は、全て木製であるとしたが、側面板部が破壊できるようになっていればよいので、全てが木製であることに限定されず、少なくとも側面の一部が木製板によって形成されており、当該木製板に、窪み部71が形成されていればよい。
なお、第1の実施形態では、スライド板部21,24,31,34を柱に設けられた切り込み部に挿入することとしたが、これに限られるものではない。スライド可能にスライド板部が取り付けられているのであれば、柱以外の部分に切り込み部が設けられていて、その切り込み部にスライド板部が挿入されていてもよい。また、その他のあらゆる形態が適用できる。
(第2の実施形態)
図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係る隠し錠構造を有するベンチの短手方向外側面を示す正面図である。図9(b)は、第2の実施形態に係るベンチの図1でのA面対応の断面図である。図9(c)は、スライド後の断面図である。図9(a)に示すように、第2の実施形態において、柱111と柱112との間に、最外板部25と、側面板部26,27とが設けられている。最外板部25及び側面板部26,27は、スライドしない。図9に示した構造は、各隠し錠構造部分に適用されおり、それ以外の構造は、第1の実施形態と同様であり、適宜、第1の実施形態の参照符号を援用する。
図9(b)を参照して、内部構造を詳細に説明する。柱111,112には、少なくとも2枚分の板厚のL字状の切り込み部が設けられている。当該切り込み部に、最外板部25と、スライド板部616とが挿入されている。最外板部25は、スライドしないように、ベンチの外側面の一部である柱111と柱112とに固定的に取り付けられている。最外板部25に対向するように、収納スペース3側に、スライド板部616がスライド可能に取り付けられている。スライド板部616に対向するように、収納スペース3側に、隠し錠部615が側面板部41,47に固定的に取り付けられている。最外板部25は、第1の鍵穴出現孔251と、第1の挿入孔252とを含む。スライド板部616は、第2の鍵穴出現孔617と、第2の挿入孔618とを含む。隠し錠部615は、第1の実施形態と同様の構造を有する。
スライド板部616が柱111側にスライドされた状態において、第2の挿入孔618は、第1の挿入孔252から視認可能に位置される。一方、スライド板部616が柱111側にスライドされた状態において、第2の鍵穴出現孔617は、第1の鍵穴出現孔251からは視認できないように隠れる。スライド板部616は、第1の挿入孔252を介して、第2の挿入孔618に挿入された棒(図示せず)を利用して、柱112側にスライドされる。スライド板部616が柱112側にスライドされると、図9(c)に示すように、第2の鍵穴出現孔617と第1の鍵穴出現孔251とが連通し、鍵穴612が出現し視認可能となる。このようにして、出現した鍵穴612に対して、第1の実施形態と同様に、棒の先に取り付けられた鍵(図6参照)を、第1及び第2の鍵穴出現孔251,617を介して、挿入し、隠し鍵611のロックを解除することによって、座面部50が取り外し可能となる。
このように、第2の実施形態に示すような隠し錠構造であっても、本発明を実現することができる。第2の実施形態に示すような隠し錠構造では、第1の実施形態と異なり、第1及び第2の挿入孔252,618に棒を挿入しない限り、スライド板部616を容易にスライドさせることができない。したがって、隠し錠の存在がより秘密に保たれることとなる。よって、平常時は、いたずらや盗難をより防止することができる。その他は、第1の実施形態と同様であるので、災害時は、側面板部を破壊して、内部の物品を取り出すことができる。
なお、第2の実施形態においても、図10に示すように、ダミー鍵穴出現孔251a,251b及びダミー挿入孔252a,252bを側面板部に設けることによって、これらの孔が意匠面で施されているとの印象をあたえ、いたずらや盗難をより防止することが期待できる。なお、第2の実施形態に係るベンチが公共の場に設置される場合、これらの孔は、指を詰めないように、安全のために、適当な大きさに選択されているとよい。
また、第1の実施形態と同様に、スライド板部616は、座面部50を取り外せば、抜き取り可能となるので、劣化等すれば、新しいものと容易に取り替えることができる。
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係るベンチの短手方向外側面の断面図である。第3の実施形態に係るベンチの短手方向外側面図は、見かけ上は、第1の実施形態と同様であるので、図1及び図4(b)を援用する。また、第1の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を援用することとする。
図11に示すように、第3の実施形態において、柱11と柱12との間に、スライド板部21dが設けられている。スライド21dの設置方法は、第1の実施形態と同様である。スライド板部21dに対向するように収納スペース3側に、留め金具固定部81が固定的に取り付けられている。留め金具固定部81には、留め金具91が固定されている。留め金具91は、弾性力を有する金具であり、座面部51(後述の図13参照)を係止めすることができる。留め金具固定部81には、第1の金具用挿入孔811が穿孔されている。スライド板部21dには、第2の金具用挿入孔211dが穿孔されている。
スライド板部21dを柱11側にスライドさせると、第2の金具用挿入孔211dが、柱11の隠蔽部11aに隠れる。逆に、スライド板部21dを柱12側にスライドさせると、第1の金具用挿入孔811と第2の金具用挿入孔211dとが連通する。この連通した孔に、棒などの細長い部材を挿入して、留め金具91に押圧力を加えることによって、留め金具91の弾性力に反発力を加えることができ、これによって、座面部51の係止めを解除し、座面部51を取り出すことができる。すなわち、留め具91が錠の役割をする。
図11に示す錠構造は、第1の実施形態と同様、四方の側面に設けられているので、全ての留め金具91に対して、押圧力を同時に加え、同時に係り止めを解除しなければ、うまく座面部51を取り外すことができない。したがって、容易に、座面部51を取り外すことができないので、いたずらや盗難を効果的に防止することができる。なお、図11で示した錠構造以外は、第1の実施形態と同様である。
図12は、留め金具91の構造の一例を示す図である。図12において、留め金具91は、L字状金具915と、ヒンジ部911と、取り付け部914とを含む。ヒンジ部911は、ねじりコイルバネ912,913を有する。ねじりコイルバネ912,913によって、L字金具915を元の状態に戻す弾性力が加えられる。
図13は、図11におけるD−D線での断面構造を示し、座面部51の係止め状態が解除される様子を示す図である。図13(a)に示すように、座面部51は、留め金具固定部81の上方に、留め金具91のL字金具915を収納するための空隙512と、L字金具915を係止めするための係止め部511とを備える。ねじりコイルバネ912,913が加える弾性力によって、L字金具915は、空隙512に収納される。そして、L字金具915が係止め部511に係止めされ、座面部51が保持筐体に取り付けられることになる。
図13(a)に示すように、第1の金具用挿入孔811と第2の金具用挿入孔211dとが連通したら、図13(b)に示すように、棒52をこの連通孔に挿入して、留め金具91に対して、押圧力を加えることができる。これによって、L字金具915がヒンジ部911を中心に回動し、図13(c)に示すように、係止め状態が解除され、座面部51が取り外し可能となる。このように、留め金具91によって、錠構造が実現される。
図14は、他の留め金具92を用いたときのD−D線での断面構造を示し、座面部51の係止め状態が解除される様子を示す図である。留め金具92のヒンジ部921には、ねじりコイルバネが含まれていない。その代わりに、図14(a)に示すように、コイルバネ924,926によって、L字金具925と留め金具固定部81とが連結されている。コイルバネ924,926は、第1の金具挿入孔811の上下に設けられている。固定部923が留め金具固定部81に固定されることによって、コイルバネ924,926が、L字金具925に弾性力を与えることができる。なお、少なくとも1つのコイルバネによってL字金具925と留め金具固定部81とが連結されているだけでも、L字金具925に弾性力を与えることができる。
図14(b),(c)に示すように、棒52を第1の金具用挿入孔811と第2の金具用挿入孔211とによって得られる連通孔に挿入して、押圧力をL字金具925に加えることによって、座面部51を取り外しすることができる。このように、留め金具92によって、錠構造が実現される。
図15は、他の留め金具93を用いたときのD−D線での断面構造を示し、座面部53の係止め状態が解除される様子を示す図である。図16は、図15に示した構造で用いられる留め金具93及び座面部用金具531の構造を示す図である。図15及び図16に示すように、留め金具93は、留め金具固定部81に固定されている留め金具支持部94に断面L字状に切り込まれた部分に、ねじりコイルバネ932,933を含むヒンジ部931を中心として、L字金具935と固定部934とがL字状に折れ曲がるように、固定されている。なお、留め金具93の固定方法は、図15の例に限られるものではない。図16に示す例では、座面部53に取り付けられた座面部用金具531に特徴がある。座面部用金具531は、U字状係止めフック532を有する。ねじりコイルバネ932,933の弾性力によって、L字金具935がU字状係止めフック532に係止めされることによって、座面部53が固定される。図15(a),(b),(c)に示すように、棒52を連通孔に挿入して、係止め状態を解除し、座面部53を取り外すことができる。このように、留め金具93によって、錠構造が実現される。なお、ここでは、留め金具固定部81と留め金具支持部94とは別であるとしたが、留め金具固定部81及び留め金具支持部94は、一体となって、留め金具93を固定するための留め金具固定部として機能している。
このように、第3の実施形態によれば、座面部を係り止めすることができる金具を用いて、座面部を取り外すことができる。加えて、座面部を取り外すには、スライド板部をスライドさせて、適切なサイズの棒を挿入して、複数の係止め状態を同時に解除しなければならない。このような解除は、知っている者でなければ、できないと予想される。よって、平常時において、収納されている物品の盗難を防止することができるベンチが提供される。その他は、第1の実施形態と同様であるので、災害時に、側面を破壊して、収納されている物品を取り出すことができる。
また、ベンチの4面すべてが第3の実施形態のような構造である必要ななく、一部が第3の実施形態のような構造であればよい。また、第1、第2、第3の実施形態の隠し錠構造を組み合わせて、座面部の取り付け構造を実現してもよい。複数の構造を組み合わせることによって、盗難防止効果は、より向上すると考えられる。
(第4の実施形態)
図17は、本発明の第4の実施形態に係るベンチの断面構造を示す図である。図17に示すように、小型のベンチに対しては、短手方向の外側面にのみ、隠し錠構造を採用してもよい。小型のベンチであれば、短手方向の外側面に隠し錠構造を用いるだけでも、座面部の固定強度は十分に維持できると期待できるからである。
なお、第4の実施形態のように、短手方向にのみ隠し錠構造を採用することは、第2及び第3の実施形態においても採用できることは言うまでもない。
(第5の実施形態)
図18(a)は、本発明の第5の実施形態に係る隠し錠構造の断面図である。図18(b)は、第5の実施形態に係る隠し錠構造の断面分解図である。図19は、図18(a)におけるE−E線での断面分解図である。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の参照符号を援用する。
第5の実施形態では、スライド板部21の表面の一部に金属板21mが取り付けられている。柱11の表面の一部には、金属板11mが取り付けられている。柱12の表面の一部には、金属板12mが取り付けられている。隠し錠部61とスライド板部21との間に、中間板28が取り付けられている。中間板28は、隠し錠部61に固定されている。中間板28は、鍵穴612に繋がるように、孔281を有する。中間板28の表面の一部には、金属板28mが取り付けられている。側面板部22には、金属板22mが取り付けられている。座面部50には、金属板50mが取り付けられている。
各金属板は、それぞれが対向するような位置に取り付けられている。具体的には、スライド板部21の金属板21mは、柱11,12の金属板11m,12m、座面部50の金属板50m、側面板部22の金属板22m、及び中間板28の金属板28mに対向するように取り付けられている。スライド板部21に取り付けられた金属板21mによって、スライド板部21自体の反りや収縮を防止することができる。また、対向するように金属板が設けられているので、スライド板部21のスライドを滑らかにすることができる。さらに、対向するように金属板が設けられているので、スライド面の木材がすり減ることによる不具合を防止することができる。このように、スライド板部21の少なくとも一部が金属板によって覆われていれば、反りや収縮、滑らかなスライド、木材のすり減り等を防止することができる。なお、同様の構造が、スライド板部21以外のスライド板部に適用されていても良い。
なお、第5の実施形態に示すように、スライド板部の少なくとも一部を金属板で覆う構造は、第2〜4の実施形態においても適用できる。
なお、第1〜5の実施形態では、スライド板部を設けて錠を隠し錠とすることにしたが、鍵穴が常に視認できる状態であったとしても難防止の効果は図れるので、隠し錠にすることに限定されるものではない。
なお、第1〜第5の実施形態において、座面部が土台筐体から取り外された場合に作動する警報装置が、ベンチに取り付けられていてもよい。たとえば、座部に磁石が取り付けられ、当該磁石に対応するようにリードスイッチが土台筐体に取り付けられていて、座面部が取り外されることによって当該磁石がリードスイッチから離れた場合に警報装置が作動して、防犯ブザーや防犯ベルなどを鳴らすようにするとよい。その他、通信装置を介して、防犯センターや公園管理事務所等に通報するようにしてもよい。電源は、外部から供給されていてもよいし、ベンチに内蔵されているバッテリーや太陽電池から供給されてもよい。なお、座面部が土台筐体から取り外されたことと検知するための手段は、上記に限らず、あらゆるスイッチやセンサ等を使用することができる。また、警報装置は電気式のものに限らず、ゼンマイ仕掛け等によって、座面部が土台筐体から離れたら、機械式に防犯ベルがなるようにしてもよい。なお、災害発生時やメンテナンス時に警報装置が作動しては困るので、当該警報装置には、ベル等の音を鳴らなくするような解除手段が設けられている。
(第6の実施形態)
図20は、本発明の第6の実施形態に係るベンチを示す図である。第1の実施形態では、座面部50が取り外されることによって、土台筐体2に物品を収納するための物品収納口4aが設けられることとした。第6の実施形態では、座面部54は取り外すことができない変わりに、土台筐体2gの短手方向の側面部2hが、開閉することによって、物品を収納することができるようにしている。それ以外は、第1の実施形態と同様で、長手方向の側面に窪み部71が設けられており、側面の木製板が破壊できるようになっている。
側面の木製板が破壊できるのであれば、物品を収納するための物品収納口は、第1の実施形態のように、座面部50が取り外されることによって、土台筐体の上部の開口が物品収納口4aになっても良いし、第6の実施形態のように、側面部2hが開閉することによって、物品収納口4bが設けられても良い。側面部54は、収納されている物品の盗難を防止するために、南京錠690で通常は開かないようになっている。
第6の実施形態に示すように、物品を収納するための物品収納口が土台筐体に含まれていれば、どのような形態で物品収納口が構成されていてもよい。ただし、いたずらや盗難を防止するために、物品収納口が錠によって開け閉めされる構造になっている必要がある。
なお、第6の実施形態に示すように、短手方向の側面が開閉する場合に対しても、隠し錠構造を適用することができる。
(第7の実施形態)
図21は、本発明の第7の実施形態に係るベンチにおける隠し錠の構造を示す断面図である。図21(a)は、施錠時の状態を示す図である。図21(b)は、解錠時の状態を示す図である。図22は、第7の実施形態で用いるカマ錠の斜視図である。図21は、第1の実施形態における図5に相当する図である。
座面部50には、錠用側面部502が取り付けられている。錠用側面部502には、穴部502aが堀込まれている。穴部502aには、O字状金具504が取り付けられている。側面板部47には、側面板部503が取り付けられている。側面板部503には、O字状金具505及びカマ錠506が埋め込まれている。鍵穴507に所定の鍵を差し込んで、鍵を回転させることによって、O字状金具504,505に設けられた穴511,512をスライドしてラッチ部512が上下するのに併せて、ラッチ部512の内部から、カマ金具508及び509が開閉する。カマ金具508及び509がO字状金具504に引っかかることによって、施錠される。カマ錠は、隠し錠になっている。隠し錠にするための構造は、本明細書に記載した他の実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、隠し錠としてのカマ錠が設けられる位置は、特に限定されるものではない。なお、ここで示したカマ錠は、一例であって、周知のあらゆるカマ錠を用いることができる。
このように、第7の実施形態によれば、隠し錠の構造をより簡易なものとすることができ、製造コストの低減が期待できる。
(第8の実施形態)
図23は、本発明の第8の実施形態に係る座面部50を示す側面図である。図23(a)は、脚部520を開いた状態の側面図である。図23(b)は、脚部520を閉じた状態の側面図である。図24は、座面部50に取り付けられる脚部520を含む部材一式の構造を示す正面図である。第8の実施形態においては、第7の実施形態と同様にカマ錠を用いることとするため、錠用側面部502が座面部50に取り付けられていることとしているが、これに限定されるものではない。
脚部520の一端は、蝶番524によって、座面部50に取り付けられている。脚部520の他端には、車輪526が取り付けられている。脚部520の一端から四分の一程度の長さの箇所に、ヒンジ部525を介して、支持金具521が回動可能に取り付けられている。図24に示すように、脚部520は、2本組になっている。2本の脚部520同士は、補強金具520aで連結されている。支持金具521も、2本組になっている。支持金具521におけるヒンジ部525とは逆の端部には、固定用金具521aが連結されている。固定用金具521bには、複数の穴521bが穿孔されている。穴521bに蝶ボルト523が挿入されて、固定用金具521bと座面部50とが固定される。これによって、脚部520が所定の角度で固定されることとなる。これにより、座面部50は、担架やテーブルなとどして使用することができる。なお、車輪526は、固定状態と開放状態とを選ぶことができるものであるとよい。
脚部520を折り畳む場合、蝶ボルト523を外し、蝶番524を中心に脚部520を座面部50側に回動させる。脚部520は、たとえば、図示しないベルトなどで座面部50に固定される。図23(b)に示すように、脚部520を折り畳んだ場合、車輪526が突出する。これによって、座面部50を台車などとして使うことも可能となる。なお、脚部520の折り畳み構造は、図23及び24に示した例に限られるものではなく、一端に車輪が取り付けられた折り畳み可能な脚部を用いるのであれば、特に限定されるものではない。
2本の支持金具521の中程辺りには、L字状金具522が取り付けられている。L字状金具は、断面がL字状である。L字状金具522の高さは、脚部520を折り畳んだ際の蝶番524の厚さと略同一である。これにより、図23(b)に示したように、脚部520を折り畳んだ際、L字状金具522の一端が座面部50と接触することとなる。これによって、脚部520を折り畳んで使用する際、蝶番524にかかる荷重を軽減することができる。よって、蝶番524の故障を防止することが可能である。なお、図24に示すように、座面部50を支える面積を大きくするために、L字状金具522は、2本の支持金具521と交差するように取り付けられているが、たとえば、脚部520の一部分だけなどにL字状金具522が取り付けられていても良い。すなわち、車輪を取り付けるための部材のいずれかにL字状金具522が取り付けられていればよい。なお、ここでは、L字状金具としたが、形状はL字状に限るものではなく、H字状、U字状、矩形状など、あらゆる形状の部材(荷重分散部材)を取り付けて、座面部50の荷重を分散させるとよい。
このように、第8の実施形態では、複数の車輪が折り畳み可能な複数の脚部に取り付けられているので、土台筐体内の収納スペースを広く確保することができ、より多くの物品を収納することができる。また、複数の脚部を立脚させた際、座面部を高い位置にすることができるので、担架やテーブル等として、座面部を活用することが可能となる。逆に、複数の脚部を折り畳んだ場合、座面部を台車等に利用することができる。
さらに、荷重分算部材を車輪を取り付けるための部材(脚部520や支持金具523)に取り付けることによって、脚部520と座面部50との接続部分にかかる加重負担を軽減することができる。
なお、上記第1〜第8の実施形態で示した、スライド構造や、錠構造は、あくまでも一例であって、これらに限定されるものではない。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。