ところで、上記特許文献2の水の浄化方法を上記特許文献1の加湿装置に適用した場合、水の容器内にオゾンが充満してしまう。その結果、給水および排水のため容器を取り出す際に不快な臭いが出たり、金属や樹脂等の容器部材がオゾンによって劣化するという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、加湿用の水容器の貯留水をオゾンで浄化する手段を備えた調湿装置において、水容器内にオゾンが溜まるのを防止することである。
第1の発明は、空気通路(14)に設けられ、該空気通路(14)を流れる空気に水容器(41)内の貯留水を付与して上記空気を加湿する加湿手段(40)を備えた調湿装置を前提としている。そして、本発明の調湿装置は、上記空気通路(14)に設けられ、該空気通路(14)を流れる空気を浄化すると共にオゾン除去処理機能を有した空気浄化手段(20)と、放電によってオゾンを生成する放電処理部(33)を有し、該放電処理部(33)で生成されたオゾンを上記水容器(41)内の貯留水に供給して該貯留水を浄化処理する水浄化手段(30)と、上記水容器(41)内の浄化処理後のオゾンを除去するオゾン除去手段(50)とを備え、上記オゾン除去手段(50)は、上記水容器(41)内から浄化処理後のオゾンを含む空気を上記空気通路(14)における上記空気浄化手段(20)の上流側に排出するための排出通路(51,・・・)を備えているものである。
上記の発明では、水浄化手段(30)によってオゾンが水容器(41)内の貯留水(加湿水)に供給されると、貯留水に含まれる有害物質等がオゾンによって分解除去され貯留水が浄化される。浄化処理後のオゾンは水容器(41)内にそのまま溜まるが、そのオゾンがオゾン除去手段(50)によって除去される。
さらに、上記の発明では、空気通路(14)を流れる空気が加湿だけでなく清浄化される。水容器(41)内に溜まった浄化処理後のオゾンは、排出通路(51,・・・)を通って空気浄化手段(20)の上流側に排出される。そして、空気中のオゾンは空気浄化手段(20)によって除去され、清浄化および加湿された空気と共に室内等へ吹き出す。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記空気通路(14)に設けられる送風手段(18)を備えている。一方、上記オゾン除去手段(50)の排出通路(51,・・・)は、上記空気通路(14)における上記空気浄化手段(20)の上流側で且つ上記送風手段(18)の上流側に連通しているものである。
上記の発明では、空気通路(14)における空気浄化手段(20)の上流側で送風手段(18)の上流側が水容器(41)内より負圧の領域となる。したがって、送風手段を別途設けなくても、水容器(41)内からオゾンを含む空気が排出通路(51,・・・)を通って空気浄化手段(20)の上流側等に導入される。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記水浄化手段(30)は、上記放電処理部(33)が途中に設けられ、上記空気通路(14)における上記加湿手段(40)の上流側の空気の一部を上記水容器(41)内の貯留水へ導入する導入通路(31)を備えているものである。
上記の発明では、加湿される前の空気が導入通路(36)へ分流し、放電処理部(33)で生成されたオゾンと共に水容器(41)内へ供給される。そして、浄化処理後のオゾンを含む空気は、空気浄化手段(20)やオゾン処理部(54)でオゾンが除去される。ここで、空気浄化手段(20)やオゾン処理部(54)が触媒等でオゾンを分解除去する構成である場合、供給される空気が加湿される前のものなので、触媒のオゾン分解能力が高く維持される。つまり、触媒は湿気が高いとその活性作用が抑制されオゾンの分解能力が低下してしまうが、本発明ではその分解能力の低下が防止される。
第4の発明は、空気通路(14)に設けられ、該空気通路(14)を流れる空気に水容器(41)内の貯留水を付与して上記空気を加湿する加湿手段(40)を備えた調湿装置を前提としている。そして、本発明の調湿装置は、放電によってオゾンを生成する放電処理部(33)を有し、該放電処理部(33)で生成されたオゾンを上記水容器(41)内の貯留水に供給して該貯留水を浄化処理する水浄化手段(30)と、上記水容器(41)内の浄化処理後のオゾンを除去するオゾン除去手段(50)とを備えている。さらに、上記オゾン除去手段(50)は、上記水容器(41)内の浄化処理後のオゾンを含む空気を外部へ排出するための排出通路(51,・・・)と、該排出通路(51,・・・)の途中に設けられ、オゾンを除去処理するオゾン処理部(54)とを備え、上記水浄化手段(30)は、上記放電処理部(33)が途中に設けられ、上記空気通路(14)における上記加湿手段(40)の上流側の空気の一部を上記水容器(41)内の貯留水へ導入する導入通路(31)を備えているものである。
上記の発明では、水浄化手段(30)によってオゾンが水容器(41)内の貯留水(加湿水)に供給されると、貯留水に含まれる有害物質等がオゾンによって分解除去され貯留水が浄化される。浄化処理後のオゾンは水容器(41)内にそのまま溜まるが、そのオゾンがオゾン除去手段(50)によって除去される。
さらに、上記の発明では、水容器(41)内のオゾンを含む空気が排出通路(51,・・・)へ流入し、オゾン処理部(54)でオゾンが除去される。オゾンが除去された空気は室内等へ吹き出す。
さらに、上記の発明では、加湿される前の空気が導入通路(36)へ分流し、放電処理部(33)で生成されたオゾンと共に水容器(41)内へ供給される。そして、浄化処理後のオゾンを含む空気は、空気浄化手段(20)やオゾン処理部(54)でオゾンが除去される。ここで、空気浄化手段(20)やオゾン処理部(54)が触媒等でオゾンを分解除去する構成である場合、供給される空気が加湿される前のものなので、触媒のオゾン分解能力が高く維持される。つまり、触媒は湿気が高いとその活性作用が抑制されオゾンの分解能力が低下してしまうが、本発明ではその分解能力の低下が防止される。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記空気通路(14)に設けられる送風手段(18)を備えている。一方、上記オゾン除去手段(50)の排出通路(51,・・・)は、上記空気通路(14)における上記送風手段(18)の上流側に連通しているものである。
上記の発明では、排出通路(51,・・・)が送風手段(18)の上流側に連通しているので、送風手段を別途設けなくても、水容器(41)内のオゾンを含む空気が排出通路(51,・・・)へ導入される。導入された空気は、オゾン処理部(54)でオゾンが除去された後、空気浄化手段(20)の上流側等に導入され、空気通路(14)の空気と共に室内等へ吹き出す。
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1の発明において、上記水浄化手段(30)の放電処理部(33)は、ストリーマ放電を行うように構成されているものである。
上記の発明では、水浄化手段(30)の放電処理部(33)において、電極に所定の電圧が印可されるとストリーマ放電が生じる。このストリーマ放電の生起に伴い、オゾンが生成される。
以上のように、第1および第4の発明によれば、オゾン除去手段(50)を設けるようにしたので、水容器(41)内にオゾンが特に高濃度に蓄積されるのを防止することができる。したがって、水容器(41)内の貯留水(加湿水)の汚染を防止しつつ、水容器(41)内にオゾンが蓄積されることによる不快な臭いや容器部材の劣化を防止することができる。その結果、信頼性の高い調湿装置(10)を提供することができる。
さらに、第1の発明によれば、加湿手段(40)以外に空気浄化手段(20)をも有する調湿装置(10)において、水容器(41)内のオゾンを含む空気を空気浄化手段(20)の上流側に排出する排出通路(51,・・・)を設けるようにした。したがって、水容器(41)から排出させたオゾンを空気浄化手段(20)のオゾン除去機能を利用して除去処理することができる。そのため、オゾン除去手段(50)として、水容器(41)内からオゾンを排出させる手段以外に、オゾンを吸着や分解等する手段を別途設ける必要がなくなる。よって、調湿装置(10)の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、第2の発明によれば、オゾン除去手段(50)の排出通路(51,・・・)を空気通路(14)における空気浄化手段(20)の上流側で且つ送風手段(18)の上流側(即ち、吸込み側)に連通させるようにした。したがって、送風手段を別途設けることなく、水容器(41)内のオゾンを空気浄化手段(20)の上流側に導入することができる。その結果、一層の小型化および低コスト化を図ることができる。
また、第4の発明によれば、例えば加湿手段(40)のみを有する調湿装置(10)においては、オゾン除去手段(50)の排出通路(51,・・・)にオゾン処理部(54)を設けるようにしたため、確実に水容器(41)内からオゾンを排出させて除去することができる。したがって、オゾンが室内等へ供給されるのを確実に防止でき、室内等の清浄度が損なわれるのを防止することができる。
さらに、第5の発明によれば、オゾン除去手段(50)の排出通路(51,・・・)を送風手段(18)の上流側(即ち、吸込み側)に連通させるようにした。したがって、送風手段を別途設けなくても、水容器(41)内のオゾンを排出通路(51,・・・)に導入させることができる。そして、オゾン処理部(54)でオゾンを除去した後、空気通路(14)の空気と共に室内等へ供給することができる。よって、オゾン除去手段(50)として送風手段が不要となるため、調湿装置(10)の小型化および低コスト化を図ることができる。
また、第3および第4の発明によれば、加湿手段(40)の上流側の空気の一部を水容器(41)内に供給するようにしたため、加湿される前の空気と共にオゾンを供給することができる。したがって、空気浄化手段(20)やオゾン処理部(54)における触媒の活性作用を高く維持することができる。つまり、加湿された後の空気を水容器(41)内へ供給する場合に比べて、空気浄化手段(20)やオゾン処理部(54)における触媒のオゾン分解能力を高く維持することができる。これにより、オゾンの除去能力が向上し、より信頼性の高い調湿装置(10)を提供することができる。
また、第6の発明によれば、水浄化手段(30)の放電処理部(33)ではストリーマ放電によってオゾンを生成するようにしたため、例えばコロナ放電の場合に比べて、オゾンを高密度に発生させることができる。これにより、水容器(41)内において貯留水に対する浄化処理能力が向上する。一方、水容器(41)内においては、浄化処理後のオゾンが高濃度に蓄積されるが、そのオゾンを確実に除去することができ、不快な臭いや容器部材の劣化を確実に抑えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態1の調湿装置(10)は、加湿機能と浄化機能を備えた空気処理装置である。図1〜図3に示すように、上記調湿装置(10)は、ケーシング(11)を有し、該ケーシング(11)内に、空気浄化手段(20)と、水浄化手段(30)と、加湿手段としての加湿ユニット(40)と、オゾン除去手段(50)とを備えている。
上記調湿装置(10)は、ケーシング(11)を有している。ケーシング(11)は、前後に扁平な矩形状に形成されている。ケーシング(11)には、その前側(図1における左側)に前面パネル(11a)が形成されている。前面パネル(11a)には、空気をケーシング(11)内に導入するための吸込口(12)が形成されている(図2を参照)。吸込口(12)は、例えば前面パネル(11a)の左右側方にそれぞれ形成されている。また、ケーシング(11)には、その上部後方寄りの部位にケーシング(11)内の空気を吹き出すための吹出口(13)が形成されている。そして、ケーシング(11)の内部には、吸込口(12)から吹出口(13)に亘って空気が流通する空気通路(14)が形成されている。
図2および図3に示すように、上記空気通路(14)には、空気流れの上流側から下流側に向かって順に、プレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)、脱臭部材(24)、水浄化手段(30)、加湿ユニット(40)および遠心ファン(18)(送風手段)が設けられている。
〈空気浄化手段の構成〉
図2に示すように、上記空気浄化手段(20)は、上述したプレフィルタ(21)、イオン化部(22)、プリーツフィルタ(23)および脱臭部材(24)を有しており、空気を浄化するためのものである。
上記プレフィルタ(21)は、空気中に含まれる比較的大きな塵埃を物理的に捕捉する集塵用のフィルタを構成している。
上記イオン化部(22)は、空気中の塵埃を帯電させる塵埃荷電手段を構成している。イオン化部(22)には、例えば線状の電極と、この線状の電極に対向する板状の電極とが設けられている。イオン化部(22)では、両電極に電源から電圧が印加されることで、両電極の間でコロナ放電が行われる。このコロナ放電により、空気中の塵埃が所定の電荷(正または負の電荷)に帯電される。
上記プリーツフィルタ(23)は、波板状の静電フィルタを構成している。つまり、プリーツフィルタ(23)では、イオン化部(22)で帯電された塵埃が電気的に誘引されて捕捉される。なお、プリーツフィルタ(23)に光触媒等の脱臭用の材料を担持させるようにしてもよい。
上記脱臭部材(24)は、ハニカム構造の基材の表面に空気を脱臭するための脱臭剤が担持されて構成されている。脱臭剤は、空気中の被処理成分(臭気物質や有害物質)を吸着する吸着剤や、該被処理成分を酸化分解するための触媒等が用いられる。本実施形態では、これら吸着剤や触媒等は、被処理成分として少なくともオゾンを処理可能なものが用いられる。つまり、本実施形態の空気浄化手段(20)は、空気通路(14)の空気を浄化すると共に、オゾン除去処理機能を有している。
〈加湿ユニットの構成〉
図5に示すように、上記加湿ユニット(40)は、水(加湿水)を貯留するための水タンク(41)と、水タンク(41)の水を汲み上げる水車(42)と、水車(42)によって汲み上げられた水を空気中へ付与する加湿ロータ(43)と、加湿ロータ(43)を回転駆動するための駆動モータ(44)とを備えている。
上記水タンク(41)は、上側が開口する横長の水容器を構成している。水タンク(41)は、ケーシング(11)内の下部の空間に設置され、ケーシング(11)の引出口(11b)を通じて出し入れ自在に構成されている(図1を参照)。これにより、ユーザー等は水タンク(41)内に加湿用の水を適宜補充することができる。また、水タンク(41)の底面には、水車(42)を回転自在に保持するための軸受部材(41a)が立設している。
上記水車(42)は、前後に扁平な略円板状に形成され、その軸心部に回転軸(42a)が突設されている。回転軸(42a)は、軸受部材(41a)の上端に枢支されている。水車(42)は、水タンク(41)の水中に一部(下端部を含む所定部位)が浸漬するように回転自在に設けられており、回転部材を構成している。
上記水車(42)には、その後側の側面(加湿ロータ(43)に面する側面)の軸周りに複数の後側凹部(42b)が形成されている。後側凹部(42b)は、加湿水を加湿ロータ(43)側へ汲み上げるための加湿用凹部を構成している。複数の後側凹部(42b)は、径方向外側に向かうに連れて幅が拡大されるような略台形状の開口を有している。また、後側凹部(42b)の開口の周方向の幅は、該後側凹部(42b)の内部空間の周方向の幅よりも狭くなっている。さらに、後側凹部(42b)の径方向内側の内壁は、開口端に向かうに連れて徐々に軸心側に近づくように傾斜している。各後側凹部(42b)は、水車(42)の径方向外側端部において周方向に等間隔で配列されている。回転動作中の水車(42)では、後側凹部(42b)が水タンク(41)の水中に浸漬する位置と、水中から引き出される位置とに交互に変位する。
また、上記水車(42)の後側の側面には、その軸心寄りの部位に歯車(42c)が一体的に形成されている。歯車(42c)は、後述する加湿ロータ(43)の従動歯車(43a)と噛み合うように構成されている。
上記加湿ロータ(43)は、環状の従動歯車(43a)と、この従動歯車(43a)に内嵌して保持される円板状の吸湿部材(43b)とを有している。吸湿部材(43b)は、吸水性を有する不織布によって構成されている。加湿ロータ(43)は、水タンク(41)の満水時の水位よりも高い位置において、回転軸を介して回転自在に保持されている。また、加湿ロータ(43)は、その下端を含む所定部位が水車(42)と実質的に接触するように配置されている。つまり、加湿ロータ(43)は、水車(42)の後側凹部(42b)と軸方向に一致する部位を有している。これにより、加湿ロータ(43)には、水車(42)の後側凹部(42b)によって汲み上げられた加湿水が吸湿部材(43b)に吸収可能に構成されている。
上記駆動モータ(44)は、駆動歯車(44a)を有している。駆動歯車(44a)は、ピニオン(45)を介して加湿ロータ(43)の従動歯車(43a)と歯合している。すなわち、駆動モータ(44)が駆動歯車(44a)を回転駆動させると、ピニオン(45)および従動歯車(43a)が回転し、さらに従動歯車(43a)と歯合する水車(42)が回転する。
〈水浄化手段の構成〉
上記水浄化手段(30)は、水タンク(41)の加湿水を浄化するためのものである。図2に示すように、水浄化手段(30)は、導入配管(31)と、送風ポンプ(32)と、放電処理部(33)とを備えている。
上記導入配管(31)の一端は、脱臭部材(24)と加湿ロータ(43)との間の空気通路(14)に開口し、流入端を構成している。導入配管(31)の他端は、水タンク(41)内に貫通して加湿水に浸漬され、流出端を構成している。なお、この導入配管(31)は、本発明に係る水浄化手段(30)の導入通路を構成している。
上記送風ポンプ(32)は、導入配管(31)の途中に設けられている。送風ポンプ(32)を駆動することで、空気通路(14)を流れる空気の一部が導入配管(31)に流入し、水タンク(41)の加湿水中に流出する。つまり、本実施形態の水浄化手段(30)は、脱臭部材(24)から加湿ロータ(43)へ流れる空気の一部を取り込んで水タンク(41)に供給するように構成されている。
上記放電処理部(33)は、導入配管(31)における送風ポンプ(32)の下流側に設けられている。放電処理部(33)には、棒状あるいは線状の電極(34)と、平板状の電極(35)とが設けられている。両電極(34,35)は、互いに平行に配置されている。電源から両電極(34,35)に電圧が印加されると、棒状の電極(34)の先端から平板状の電極(35)に向かってストリーマ放電が生起される。このストリーマ放電により、空気中にはオゾンを含む活性種が発生する。なお、オゾン以外の活性種として、ラジカル、高速電子、励起分子等が挙げられる。このオゾン等の活性種を含んだ空気が水タンク(41)内に供給される。そして、活性種が水中の被処理成分と反応し、この被処理成分が酸化分解される。これにより、加湿水が浄化される。
なお、上記放電処理部(33)では、棒状あるいは線状の電極(34)が正極側となり、平板状の電極(35)が負極(若しくはアース極)側を構成している。そして、電源から放電処理部(33)へは、直流の高電圧が供給されることが好ましく、さらには放電処理部(33)の放電電流が一定となるような、いわゆる定電流制御を行うことが好ましい。
〈オゾン除去手段の構成〉
上記オゾン除去手段(50)は、水タンク(41)内のオゾンを除去するためのものである。上述したように水浄化手段(30)によって水タンク(41)内に供給されたオゾン等の活性種は、加湿水を浄化した後、水タンク(41)内に溜まる。このままでは、水の補給のために水タンク(41)を引き出した際に不快な臭いが出たり、金属製や樹脂製のタンク部材がオゾンによって劣化する虞がある。本実施形態では、オゾン除去手段(50)によって水タンク(41)内のオゾンが除去されるので、その不快な臭い等が防止される。
図2に示すように、上記調湿装置(10)は、オゾン除去手段(50)として、排出配管(51)、返送通路(52)および案内通路(53)を備えている。なお、これら排出配管(51)、返送通路(52)および案内通路(53)は、本発明に係るオゾン除去手段(50)の排出通路を構成している。
上記排出配管(51)の一端(流入端)は、水タンク(41)内に貫通して気層部に開口している。つまり、排出配管(51)は、水タンク(41)内において水面の上方空間に開口している。一方、排出配管(51)の他端(流出端)は、返送通路(52)の一端(流入端)に接続されている。返送通路(52)は、空気通路(14)と区画され、ケーシング(11)の前後方向に延びる空間を構成している。返送通路(52)の他端(流出端)は、プレフィルタ(21)の上流側に繋がっている。
図4に示すように、上記プレフィルタ(21)の前側には、返送通路(52)の他端と接続する上記案内通路(53)が形成されている。案内通路(53)は、例えば前面パネル(11a)の背面側に形成される仕切部材等によって区画形成されている。案内通路(53)は、プレフィルタ(21)の幅方向一端から中央まで延びる通路と、該中央を上下方向に延びる通路とで形成されている。
上記案内通路(53)は、返送通路(52)から流出した空気(オゾンを含む)をプレフィルタ(21)の中央から左右側方に流出させてプレフィルタ(21)側へ送るように構成されている(図4の矢印を参照)。
このように、本実施形態のオゾン除去手段(50)では、返送通路(52)や案内通路(53)が遠心ファン(18)の上流側(吸込み側)に連通している。したがって、遠心ファン(18)の吸込作用により案内通路(53)が負圧領域となるため、水タンク(41)内のオゾン等を含む空気が排出配管(51)に流入し返送通路(52)を介して案内通路(53)に導入される。そして、案内通路(53)からプレフィルタ(21)側へ送られたオゾン等を含む空気は、吸込口(12)から流入した空気と共に空気通路(14)を流れる。つまり、オゾン等を含んだ空気がイオン化部(22)とプリーツフィルタ(23)と脱臭部材(24)とを順に通過する。ここで、脱臭部材(24)では、オゾン等の活性種が脱臭剤によって吸着または酸化分解されて除去される。以上により、水タンク(41)内に溜まったオゾンが除去処理される。このように、本実施形態の脱臭部材(24)は、吸込口(12)から吸い込んだ空気の清浄化手段と、オゾン除去手段(50)のオゾン処理手段とを兼用している。
なお、上記遠心ファン(18)および送風ポンプ(32)は、ケーシング(11)内に設けられた制御部(17)により、それぞれ独立に送風動作が制御可能に構成されている。これにより、遠心ファン(18)を停止させた状態でも送風ポンプ(32)の送風動作を行うことができる。このため、長期間、空気浄化を行わない場合でも、送風ポンプ(32)を独立して運転させることにより、水タンク(41)内の加湿水を浄化して菌の増殖を防止することができる。
−運転動作−
本実施形態に係る調湿装置(10)は、上述したように、室内の空気の清浄化と加湿とを同時に行うように構成されている。
具体的に、まず、駆動モータ(44)によって加湿ロータ(43)および水車(42)が回転駆動される。また、遠心ファン(18)および送風ポンプ(32)が運転される。さらに、電源からは放電処理部(33)の電極(34,35)に高電圧が印加される。さらに、電源からはイオン化部(22)の電極に電圧が印加される。
図2および図3に示すように、遠心ファン(18)が運転されると、室内の空気が吸込口(12)を通じて空気通路(14)内に導入される。空気通路(14)に流入した空気は、プレフィルタ(21)を通過して塵埃が捕捉された後、イオン化部(22)を通過する。イオン化部(22)では、電極間でコロナ放電が行われており、空気中の塵埃が帯電される。イオン化部(22)を流出した空気は、プリーツフィルタ(23)を通過する。プリーツフィルタ(23)では、帯電した塵埃が電気的に誘引されて捕捉される。プリーツフィルタ(23)を流出した空気は、脱臭部材(24)を通過する。脱臭部材(24)では、空気中に含まれる被処理成分が吸着剤に吸着され、あるいは触媒によって酸化分解される。
脱臭部材(24)を通過した空気は、加湿ロータ(43)へ流入する。ここで、加湿ユニット(40)では、水車(42)が回転することで、水タンク(41)内の加湿水が加湿ロータ(43)の吸湿部材(43b)に適宜供給される。具体的に、水車(42)では、水タンク(41)に貯留された加湿水に後側凹部(42b)が浸漬する。これにより、加湿水が後側凹部(42b)内に侵入して保持される。加湿水を保持した状態の後側凹部(42b)は、加湿水中から引き上げられてさらに上方へ変位する。この後側凹部(42b)が加湿ロータ(43)に徐々に近接していくと、後側凹部(42b)内に保持された加湿水も自重により徐々に後側凹部(42b)内から流出する。そして、後側凹部(42b)が最上端位置に変位する際には、後側凹部(42b)内の加湿水が概ね全量流出することとなる。
後側凹部(42b)から流出した加湿水は、該後側凹部(42b)と近接する加湿ロータ(43)と接触し、吸湿部材(43b)に吸収される。このような動作により、加湿ユニット(40)では、加湿ロータ(43)に加湿水が連続的に供給される。
加湿ロータ(43)では、水分が補給された部位を空気が流通する。その結果、吸湿部材(43b)に含まれた加湿水が空気中へ放出され、これにより空気の加湿が行われる。以上により、清浄化および加湿された空気が吹出口(13)を通じて室内へ供給される。
一方、調湿装置(10)では、送風ポンプ(32)が運転されることで、脱臭部材(24)を通過した空気の一部が導入配管(31)に流入し、放電処理部(33)を流れる。放電処理部(33)では、ストリーマ放電に伴いオゾン等の活性種が発生する。このオゾン等を含んだ空気は、水タンク(41)の加湿水中に供給される。これにより、加湿水中に存在する有害物質がオゾン等の活性種によって酸化分解されて除去される。よって、加湿水が殺菌浄化される。有害物質を酸化分解したオゾン等の活性種は、水タンク(41)内に溜まる。
水タンク(41)内のオゾン等を含む空気は、排出配管(51)および返送通路(52)を通って案内通路(53)に導入され、プレフィルタ(21)の上流側に送られる。このオゾンを含んだ空気は、吸込口(12)から流入した空気と共に、上述したように空気通路(14)を流れる。その際、オゾン等の活性種は、脱臭部材(24)において吸着あるいは酸化分解され除去される。したがって、吹出口(13)から室内へ供給される空気にオゾンが含まれることはない。以上により、水タンク(41)内のオゾンが除去および処理される。
なお、本実施形態の調湿装置(10)では、加湿ユニット(40)の加湿動作を実質的に停止させる一方、イオン化部(22)や放電処理部(33)で所定の放電を行うことで、空気の浄化のみを行う空気清浄運転を行うことも可能である。この運転の場合でも、送風ポンプ(32)を運転させることで、水タンク(41)内にオゾンを供給して加湿水を浄化することができ、また水タンク(41)内からオゾンを除去(排出)して脱臭部材(24)で処理することができる。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、オゾンを含む活性種を水タンク(41)に供給して加湿水を浄化する手段を備えた調湿装置(10)において、オゾン除去手段(50)を設けて水タンク(41)内のオゾンを除去(排出)するようにした。したがって、水タンク(41)にオゾンが特に高濃度に蓄積するのを防止することができる。その結果、水タンク(41)の加湿水の汚染を防止しつつ、オゾンによる不快な臭いや水タンク(41)の劣化を防止することができる。
さらに、本実施形態によれば、水タンク(41)内のオゾンを室内へ排出させずに、空気浄化手段(20)の脱臭部材(24)で処理(吸着あるいは酸化分解)するようにした。したがって、室内の清浄度が損なわれてしまうことも回避できる。その結果、調湿装置(10)の信頼性が向上する。
また、上述したように、空気浄化手段(20)の脱臭部材(24)を利用してオゾンを処理するようにしたため、オゾン除去手段(50)としてオゾンの処理手段を別途設ける必要がない。したがって、調湿装置(10)の小型化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施形態のオゾン除去手段(50)によれば、排出配管(51)と返送通路(52)と案内通路(53)によって、水タンク(41)内とプレフィルタ(21)の上流側とを連通させるようにした。つまり、本実施形態では、水タンク(41)内をそれよりも負圧となる領域に連通させるようにした。したがって、送風ポンプ等の排出手段を設けることなく、水タンク(41)内のオゾンを除去(排出)させることができる。その結果、調湿装置(10)の小型化および低コスト化を一層図ることができる。
また、本実施形態では、加湿ユニット(40)の上流側の空気の一部を水浄化手段(30)の導入配管(31)に分流させるようにした。これにより、加湿される前の空気を水タンク(41)からプレフィルタ(21)の上流側に導入させることができる。したがって、脱臭部材(24)において触媒等の活性作用が湿気によって抑制されるのを防止することができ、その結果オゾン分解能力の低下を防止することができる。よって、水タンク(41)内のオゾンを確実に除去処理することができ、調湿装置(10)の信頼性が向上する。
また、水浄化手段(30)の放電処理部(33)ではストリーマ放電によってオゾン等の活性種を発生させるようにしたので、例えばコロナ放電の場合に比べて、活性種を高密度に発生させることができる。これによって、水タンク(41)内の貯留水の浄化能力が向上する。一方、水タンク(41)内には浄化処理後のオゾンが高濃度に蓄積されるが、そのオゾンをオゾン除去手段(50)によって確実に除去することができる。
《実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。図6および図7に示すように、本実施形態2の調湿装置(10)は、上記実施形態1において水浄化手段(30)およびオゾン除去手段(50)の構成を変更したものである。ここでは、上記実施形態1と異なる点について説明する。
本実施形態の水浄化手段(30)は、上記実施形態1で説明した構成に加えて、導入通路(36)を備えるようにしたものである。この導入通路(36)は、一端(流入端)がプレフィルタ(21)の上流側に連通し、他端(流出端)が導入配管(31)の一端(流入端)に繋がっている。導入通路(36)は、空気通路(14)と区画され、ケーシング(11)の前後方向に延びる空間を構成している。なお、本実施形態では、オゾン除去手段(50)の返送通路(52)は設けられていない(省略されている)。
この水浄化手段(30)では、送風ポンプ(32)が運転されることで、吸込口(12)から流入した空気の一部が導入通路(36)を通って導入配管(31)に流入する。この流入した空気は、上記実施形態1と同様に、放電処理部(33)で発生したオゾン等の活性種と共に水タンク(41)内へ供給される。これにより、水タンク(41)の加湿水が殺菌浄化される。
本実施形態のオゾン除去手段(50)は、返送通路(52)に代えて接続通路(55)を備えている。この接続通路(55)は、空気通路(14)と区画され且つ水浄化手段(30)の導入通路(36)と区画された空間を構成している。接続通路(55)は、一端(流入端)が排出配管(51)に繋がっており、他端(流出端)が遠心ファン(18)の吹出側に開口している。つまり、接続通路(55)は、吹出口(13)と遠心ファン(18)との間の空間に連通している。なお、本実施形態では、排出配管(51)および接続通路(55)が本発明に係るオゾン除去手段(50)の排出通路を構成している。
上記オゾン除去手段(50)の排出配管(51)には、途中にオゾン処理部としてのオゾン分解部(54)が設けられている。オゾン分解部(54)は、オゾンを酸化分解するための触媒等が設けられている。なお、本実施形態では、空気浄化手段(20)の脱臭部材(24)は上記実施形態1のようにオゾン除去処理機能を有していなくてもよい。
このオゾン除去手段(50)では、水浄化手段(30)の送風ポンプ(32)による吹出作用によって、水タンク(41)内のオゾン等を含む空気が排出配管(51)に流入する。流入したオゾンを含む空気は、オゾン分解部(54)においてオゾンが酸化分解されて除去される。オゾンが除去された空気は、接続通路(55)から流出して遠心ファン(18)による吹出空気と共に室内へ供給される。
以上のように、本実施形態においても、水タンク(41)内のオゾンを除去(排出)することができる。また、オゾン分解部(54)によってオゾンを処理しているため、室内の清浄度が損なわれることもない。
《その他の実施形態》
上述した各実施形態については以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態2において、空気浄化手段(20)を省略するようにしてもよい。その場合、吸込口(12)から流入し加湿ロータ(43)を通過する前の空気の一部が水浄化手段(30)によって水タンク(41)内へ導入される。
また、上記各実施形態において、水浄化手段(30)の放電処理部(33)ではストリーマ放電以外の放電方法(例えば、コロナ放電)によってオゾン等の活性種を発生させるようにしてもよいことは勿論である。
また、上記各実施形態の放電処理部(33)は、少なくともオゾンを生成するように構成されていればよく、勿論オゾンのみを生成するものであってもよい。