JP5244327B2 - スパッタリングターゲット - Google Patents
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Description
このような金属複合酸化物からなる酸化物半導体膜の中で最も普及しているものは、IGZOと呼ばれている酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛からなる酸化物半導体膜である。この他に、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)、酸化錫に酸化亜鉛を添加したもの(ZTO)、又は酸化インジウム−酸化亜鉛−酸化スズに酸化ガリウムを添加したもの等が知られている。これらは、製造の容易さ、価格、特性等それぞれ異なるので、その用途に応じて適宜使用されている
従って、上記工程を1つでも省略することが望ましいが、今まで工程の改善がなされておらず、従来通りの製造工程が踏襲されているのが現状である。
1.InGaZnO4で表される化合物を主成分とし、正四価以上の金属元素を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
2.前記正四価以上の金属元素の含有量が、スパッタリングターゲット中の全金属元素に対して100ppm〜10000ppmであることを特徴とする1記載のスパッタリングターゲット。
3.前記正四価以上の金属元素の含有量が、スパッタリングターゲット中の全金属元素に対して200ppm〜5000ppmであることを特徴とする1記載のスパッタリングターゲット。
4.前記正四価以上の金属元素の含有量が、スパッタリングターゲット中の全金属元素に対して500ppm〜2000ppmであることを特徴とする1記載のスパッタリングターゲット。
5.バルク抵抗が、1×10−3Ωcm未満であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
6.前記正四価以上の金属元素が、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム、セリウム、ニオブ、タンタル、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される1種以上の元素であることを特徴とする1〜5のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
さらに、ターゲットの製造工程において、ターゲットのバルク抵抗を下げるための還元工程を省略することが可能である。従って、生産性が高く製造コストを削減できる。
尚、InGaZnO4で表される化合物(結晶)を主成分とするとは、X線回折分析において、InGaZnO4以外の構造が確認されないか、又は確認されてもInGaZnO4の強度に比べて小さい場合を意味する。
尚、バルク抵抗は抵抗率計を使用し、四探針法により測定した値である。
正四価以上の金属元素を含む材料としては、例えば、金属単体や酸化物が使用できる。尚、正四価以上の金属元素としては、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム、セリウム、ニオブ、タンタル、モリブデン及びタングステンから1種又は複数種を適宜選択すればよい。
尚、酸化インジウム粉の比表面積と酸化ガリウム粉の比表面積が、ほぼ同じである粉末を使用することが好ましい。これにより、より効率的に粉砕混合できる。具体的には、比表面積の差を3m2/g以下にすることが好ましい。比表面積が違いすぎると、効率的な粉砕混合が出来ず、焼結体中に酸化ガリウム粒子が残る場合がある。
正四価以上の金属元素を含む材料の配合量は、上述したとおり、ターゲット中の全金属元素に対して100ppm〜10000ppmであることが好ましく、酸化インジウム粉、酸化ガリウム粉及び酸化亜鉛粉の使用量にあわせて適宜調整する。
尚、酸化インジウム粉、酸化ガリウム粉、酸化亜鉛粉及び正四価以上の金属元素を含む材料を含有する混合粉体を使用する限り、スパッタリングターゲットの特性を改善する他の成分を添加してもよい。
尚、原料混合粉体の比表面積の増加分が1.0m2/g未満又は粉砕後の原料混合粉の平均メジアン径が1μmを超えると、焼結密度が十分に大きくならない場合がある。一方、原料混合粉体の比表面積の増加分が3.0m2/gを超える場合又は粉砕後の平均メジアン径が0.6μm未満にすると、粉砕時の粉砕器機等からのコンタミ(不純物混入量)が増加する場合がある。
また、焼結は酸素を流通することにより酸素雰囲気中で焼結するか、加圧下にて焼結するのがよい。これにより亜鉛の蒸散を抑えることができ、ボイド(空隙)にない焼結体が得られる。
このようにして製造した焼結体は、密度が6.0g/cm3以上と高いため、使用時におけるノジュールやパーティクルの発生が少ないことから、膜特性に優れた酸化物半導体膜を作製することができる。
得られた焼結体中には、InGaZnO4が主成分として生成している。これは、X線回折による結晶構造の同定により確認できる。
得られたスパッタリングターゲットをバッキングプレートへボンディングすることにより、スパッタ装置に装着して使用できる。
エアーブローや流水洗浄の他に、超音波洗浄等を行なうこともできる。超音波洗浄では、周波数25〜300KHzの間で多重発振させて行なう方法が有効である。例えば周波数25〜300KHzの間で、25KHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて超音波洗浄を行なうのがよい。
本発明のターゲットより得られる酸化物薄膜は非晶質膜であり、添加された正四価以上の金属元素はドーピング効果(キャリヤー発生の効果)を示さないことから、電子密度が低減された膜として十分に良いものとなる。そのため、酸化物半導体膜として利用した場合、安定性が高く、また、Vthシフトが抑えられることから、半導体としての作動も安定したものになる。
原料粉として比表面積が6m2/gである酸化インジウム粉と比表面積が6m2/gである酸化ガリウム粉と比表面積が3m2/gである酸化亜鉛粉を重量比で45:30:25となるように秤量し、さらに、正四価の金属元素としてSnO2を、全金属元素に対するSn元素の含有率[Sn/(In+Ga+Zn+Sn):重量比]が600ppmになるように添加した。
原料の混合粉を湿式媒体撹拌ミルにて混合粉砕した。媒体には1mmφのジルコニアビーズを使用した。粉砕後の比表面積を原料混合粉の比表面積より2m2/g増加させた後、スプレードライヤーで乾燥させた。
粉砕後の混合粉を金型に充填し、コールドプレス機にて加圧成形した。さらに、酸素を流通させながら酸素雰囲気中1550℃で8時間焼結した。これによって、仮焼工程を行うことなく焼結体密度6.12g/cm3であるIGZOスパッタリングターゲット用焼結体を得た。
尚、焼結体の密度は、一定の大きさに切り出した焼結体の重量と外形寸法より算出した。
この焼結体のバルク抵抗を、抵抗率計(三菱油化製、ロレスタ)を使用し四探針法により測定した結果、0.95×10−3Ωcmであった。
正四価以上の金属元素を含む金属酸化物(酸化スズ)を添加しなかった他は、実施例1と同様にして焼結体を製造した。
その結果、この焼結体の密度は5.98g/cm3であった。また、X線回折による分析の結果、InGaZnO4の結晶が存在すること、及びInGaZnO4以外の金属酸化物のピークが観察されないことから、InGaZnO4を主成分とする焼結体が得られたことが確認できた。
この焼結体のバルク抵抗は、0.018Ωcmであった。
正四価以上の金属元素を含む金属酸化物として、酸化スズに代えて表1に示す酸化物を所定量使用した他は、実施例1と同様にして焼結体を製造した。焼結体のバルク抵抗値を表1に示す。
Claims (5)
- InGaZnO4で表される化合物を主成分とし、正四価以上の金属元素を、スパッタリングターゲット中の全金属元素に対して100ppm〜10000ppm含むことを特徴とするスパッタリングターゲット。
- 前記正四価以上の金属元素の含有量が、スパッタリングターゲット中の全金属元素に対して200ppm〜5000ppmであることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- 前記正四価以上の金属元素の含有量が、スパッタリングターゲット中の全金属元素に対して500ppm〜2000ppmであることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
- バルク抵抗が、1×10−3Ωcm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
- 前記正四価以上の金属元素が、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム、セリウム、ニオブ、タンタル、モリブデン及びタングステンからなる群より選択される1種以上の元素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
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