JP5243059B2 - 化粧料容器 - Google Patents

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本発明は、コンパクト等の化粧料容器に関するものである。
従来から、ファンデーション等の固形化粧料を収容するレフィル容器等の各種化粧料容器では、これを床上等に落下させてしまうと、この落下時の衝撃によって、化粧料容器内の固形化粧料がひび割れたり、損傷したりするため、化粧料容器の容器本体と、固形化粧料を収容する中皿との間に緩衝材を設け、この緩衝材で落下時の衝撃を和らげるようにしたものが多く出回っている。
このような化粧料容器として、例えば、図13に示す衝撃吸収機能付きコンパクト容器が提案されている。このコンパクト容器は、中皿収納部31aおよび化粧用具収納部31bが形成された容器本体31と、蓋体32と、化粧料34が充填された中皿33とを備え、上記中皿収納部31a内に設けられたシート状の衝撃吸収部材35を介して、上記中皿33が保持されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の例として、図14に示すように、凹部41aが形成された容器本体41と、蓋42と、固化化粧料44が充填された化粧料充填中皿43と、この化粧料充填中皿43を装着する中皿収容部45とを備えたコンパクト容器において、上記凹部41aの四隅に球状シリコーンゲル46を配設し、これら4個の球状シリコーンゲル46で上記中皿収容部45をフローティング状に支受するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−75542号公報 特開2007−29234号公報
しかしながら、図13に示すコンパクト容器では、衝撃吸収部材35が、中実に形成されたゲル素材のシートで構成されているため、コンパクト容器の落下時の衝撃が、衝撃吸収部材35のゲル素材に吸収されると同時に、内部(中実部)を通って中皿33にも伝達されるため、充分な緩衝効果を得ることができない。しかも、上記ゲル素材は、中実であるため、撓み量が小さく、この点においても緩衝効果に劣る。さらに、上記衝撃吸収部材35を、容器本体31の形状や中皿33の形状,配置等の異なる様々なコンパクト容器(例えば、容器本体31内に複数の中皿33を組み合わせて並べるタイプのコンパクト容器)に用いる場合、各中皿33の形状,配置等に対応させて衝撃吸収部材35の形状,配置等を変更することができず、中皿33の形状,配置等に応じた最善の緩衝効果を得ることができない。また、中皿33に充填される化粧料も、その処方により、ひび割れしやすい固形化粧料、崩れやすい粉状化粧料や、適度の粘性があるためひび割れしにくい化粧料等、物性の異なる各種のものが用いられるが、上記衝撃吸収部材35の構成では、上記の各種化粧料に応じた最適な保持の仕方で中皿33を保持することができない。
一方、図14に示すコンパクト容器も、球状シリコーンゲル46が、中実に形成された球状体で構成されており、中実に形成されている点において、図13のコンパクト容器の衝撃吸収部材35と同様であるため、図13のコンパクト容器と同様の課題を有する。すなわち、コンパクト容器の落下時の衝撃が球状シリコーンゲル46の内部(中実部)を通って中皿収容部45に伝達され、充分な緩衝効果を得ることができない。しかも、球状シリコーンゲル46は、撓み量が小さく、この点でも緩衝効果に劣る。さらに、球状シリコーンゲル46では、その直径を変化することにより、その大きさを変更することができるだけであるため、球状シリコーンゲル46を、中皿33の形状,配置等の異なる様々なコンパクト容器に用いる場合には、球状シリコーンゲル46を各中皿33の形状,配置等に対応させることができず、緩衝効果に劣る。また、化粧料の処方に応じた最適の保持の仕方で、中皿収容部45を保持することもできない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、緩衝効果に優れ、しかも、中皿の形状,配置や化粧料の処方に応じてその都度最適なパターンで緩衝材を配置することができ、化粧料容器の設定条件に最適な緩衝効果を持たせることのできる化粧料容器の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の化粧料容器は、化粧料が充填された中皿と、上記中皿を収容するための中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体を蓋する蓋体とを備え、上記中皿収容凹部の底面に配設された接着剤層により、上記中皿の底面がこの接着剤層に剥離可能に貼着されてなる化粧料容器であって、上記容器本体の中皿収容凹部の底面の接着剤層の周囲の領域に、緩衝材を嵌合固定するための凸部もしくは溝部が形成され、この凸部もしくは溝部に、可撓性を有する紐状中空体からなる緩衝材が上記底面に沿って配置されて固定され、この緩衝材を介して、上記中皿が中皿収容凹部内に収容されるようになっているという構成をとる。
すなわち、本発明の化粧料容器では、緩衝材として、可撓性を有する紐状中空体を用いているため、化粧料容器の落下時の衝撃が、上記緩衝材を構成する紐状中空体に作用しても、この紐状中空体の内部空間により紐状中空体が変形しやすく、この変形によって上記衝撃が吸収されて紐状中空体以外には殆ど伝達されず、緩衝効果に優れる。しかも、上記内部空間のため、撓み量が大きく、この点においても緩衝効果に優れる。さらに、上記緩衝材が、可撓性を有する紐状中空体で構成されているため、この紐状中空体を所望の長さに調整したうえで、中皿収納凹部の底面に沿って所望の形状に曲げることができる。したがって、上記緩衝材を、容器本体の形状や中皿の形状,配置等の異なる様々なコンパクト容器(例えば、容器本体内に複数の中皿を組み合わせて並べるタイプのコンパクト容器)に用いる場合に、中皿の形状,配置等に対応させて、上記緩衝材を、中皿収納凹部の底面に所望の配置で固定することができ、より良い緩衝効果が得られる。そのうえ、化粧料の処方により、各種の化粧料が用いられるが、その都度各種化粧料に対応させて、上記衝撃材の形状,配置を工夫して緩衝効果に強弱を設ける等することで、各種化粧料に応じた最適のパターンで中皿を保持することができる。なお、上記紐状中空体の内部空間は、外部に連通していてもしていなくてもよいが、外部に連通していると、内部空間中の気体の流出,流入が行われ、一層緩衝効果に優れる。さらに、本発明の化粧料容器は、上記容器本体の中皿収容凹部の底面の接着剤層の周囲の領域に、緩衝材を嵌合固定するための凸部もしくは溝部が形成され、この凸部もしくは溝部に、上記可撓性を有する紐状中空体が配設されているため、上記凸部もしくは溝部を利用して、上記紐状中空体を素早く位置決めし、簡単かつ容易にこれを固定することができる。
また、本発明において、上記緩衝材が、上記中皿収容凹部の底面に沿ってリング状に配置されている場合には、一連にリング状に繋がる緩衝材により、緩衝材の形状を保持しやすくなる。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるわけではない。
図1は本発明の化粧料容器の一実施の形態を示している。図において、1は上面に中皿収容凹部1aが形成された容器本体で、2は上記容器本体1の上面を開閉自在に蓋する蓋体で、上記容器本体1の後端部1bと蓋体2の後端部2aとが連結ピン3により回動自在に連結されている。
上記容器本体1の中皿収容凹部1aには、図2および図3に示すように、その底面1cの中央部に円柱形状の突部11が突設されており、この突部11の周側面に緩衝材12が取付けられている。この緩衝材12は、可撓性を有する軟質塩化ビニル(PVC)製のチューブ(紐状中空体)12aの両端開口部12b同士を接合して環状に連結したもので、上記チューブ12aの下面を中皿収容凹部1aの底面1cに当接させた状態で、上記突部11の周側面に外嵌固定されている。
なお、上記チューブ12aの直径は、図4に示すように、上記突部11の高さより大きく形成されており、上記チューブ12aの上面が突部11の上面より上方に突出するようになっている。したがって、このチューブ12aの上面によって、固形化粧料5が充填された中皿4(図1参照)が、弾力的に保持される。
上記緩衝材12の作製は、例えば、市販のチューブ12aを準備し、ついで、これを所定の長さ(円環状に曲げたときに、その内径が上記突部11の外径と略同じにもしくはやや小径となる長さ)に切断したのち、円環状に曲げてその両端開口部12b同士を接合することを行う。この接合に際しては、上記両端開口部12b同士を溶着したり、接着剤等で接着したり、接着テープを巻回したりすることができる。このようにして作製された緩衝材12は、上記突部11の周側面に外嵌される。この外嵌は、上記緩衝材12の内径が上記突部11の外径と略同じにもしくはやや小径に設定されているために可能である。なお、上記嵌着後にチューブ12aを突部11の周側面に接着剤等で接着してもよい。
上記チューブ12aは、円管状に形成され、円環状等、湾曲状に曲げやすいことが好ましく、その硬度(ショアA硬度)を、10〜15の範囲内に設定することが好適である。また、上記チューブ12aの外径を1〜5mmの範囲内に設定し、その肉厚を、0.2〜1.5mmの範囲内に設定することが好適である。
13は上記突部11の上面に設けられた、ホットメルト接着剤からなる接着剤層で、この接着剤層13の上面に、中皿4の底面が剥離可能に接着されている。14は上記中皿収容凹部1aの底壁に形成された棒状体挿入用貫通穴で、15は上記容器本体1の前端部に形成された凹部で、この凹部15の奥面に突設された係合凸部15aに、上記蓋体2の前端部から突設された係合爪2bが着脱自在に係合している(図1参照)。また、図1において、16は上記蓋体2の裏面に固定された鏡である。
上記の構成によれば、化粧料容器の落下時の衝撃が容器本体1の底壁を介して、上記緩衝材12を構成するチューブ12aに作用する。このチューブ12aは、その内部空間のため変形しやすく、この変形によって上記衝撃が吸収されてチューブ12a以外には殆ど伝達されない。したがって、上記衝撃があまり中皿33に伝達されず、優れた緩衝効果を奏する。しかも、上記内部空間のため、撓み量が大きく、この点でも緩衝効果に優れる。
上記のように、この実施の形態では、上記緩衝材12が、可撓性を有するチューブ12aで構成されているため、緩衝効果に優れる。しかも、上記チューブ12aは、その長さ方向に所望の長さに切断して所望の形状に曲げることができるため、これを中皿4の形状や配置等に対応させて、中皿収納凹部1aの底面1cに沿わせて所望の位置(この実施の形態では、中央部)に配置することができ、より良い緩衝効果が得られる。さらに、化粧料5(この実施の形態では、固形化粧料5)によってその都度、上記チューブ12aの形状や配置を工夫することができ、これにより、最適のパターンで中皿4を保持することができる。
図5は上記容器本体1の変形例を示している。この例では、上記容器本体1の中皿収容凹部1aの底面1cに、湾曲形に形成された4つの溝部21が、1つの仮想円周22上に略等間隔をあけて設けられており、図6(この図6には、1つの溝部21しか図示せず)に示すように、上記各溝部21に、湾曲形に形成されたチューブ12aからなる緩衝材12が内嵌状に固定されている。これら各チューブ12aは、市販のチューブ12aを、上記各溝部21に収まる長さに切断したものであり、その両端は開口している。また、上記各チューブ12aの直径は、上記各溝部21の深さより大きく形成されており、これにより、上記各チューブ12aの上面が上記各溝部21の上面開口より上方に突出している。そして、これら各チューブ12aの上面に中皿4(図1参照)が載置されている。また、上記中皿収容凹部1aの底面1cの中央部に接着剤層13が設けられている。それ以外の部分は上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、上記実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
図7は上記容器本体1の他の変形例を示している。この例では、上記容器本体1の中皿収容凹部1aの底面1cに、U字状に形成された溝部21が設けられており、この溝部21に、U字状に曲げられたチューブ12aからなる緩衝材12が内嵌状に固定されている。それ以外の部分は、図5および図6に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図5および図6に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
図8は上記容器本体1のさらに他の変形例を示している。この例では、上記容器本体1の中皿収容凹部1aの底面1cに、S字状に形成された溝部21が設けられており、この溝部21に、S字状に曲げられたチューブ12aからなる緩衝材12が内嵌状に固定されている。また、上記中皿収容凹部1aの底面1cの左右両側部に接着剤層13が設けられている。それ以外の部分は、図5および図6に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図5および図6に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
図9は上記容器本体1のさらに他の変形例を示している。この例では、上記容器本体1の中皿収容凹部1aの底面1cに、渦巻き状に形成された溝部21が設けられており、この溝部21に、渦巻き状に曲げられたチューブ12aからなる緩衝材12が内嵌状に固定されている。また、上記中皿収容凹部1aの底面1cに2つの接着剤層13が設けられている。それ以外の部分は、図5および図6に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図5および図6に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
図10は上記容器本体1のさらに他の変形例を示している。この例では、上記容器本体1の中皿収容凹部1aの底面1cに、L字状に形成された4つの溝部21が略等間隔をあけて相対向状に設けられており、図11(この図11には、1つの溝部21しか図示せず)に示すように、上記各溝部21に、L字状に形成されたチューブ12aからなる緩衝材12が内嵌状に固定されている。これら各チューブ12aは、断面形状四角形の角管であり、市販のものが用いられている。また、上記各チューブ12aの高さは、上記各溝部21の深さより大きく形成されており、これにより、上記各チューブ12aの上面が上記各溝部21の上面開口より上方に突出している。そして、これら各チューブ12aの上面に中皿4(図1参照)が載置されている。また、上記中皿収容凹部1aの底面1cの中央部に接着剤層13が設けられている。それ以外の部分は、図5に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図5に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
図12は上記容器本体1のさらに他の変形例を示している。この例では、上記容器本体1の中皿収容凹部1aの底面1cに、直線状に形成された2つの溝部21が相対向状に設けられており、これら両溝部21に、直線状に形成されたチューブ12aからなる緩衝材12が内嵌状に固定されている。これら各チューブ12aは角管であり、市販のものが用いられている。それ以外の部分は、図10および図11に示す実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この実施の形態でも、図10および図11に示す実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
なお、上記各実施の形態では、上記チューブ12aを構成する材料として、塩化ビニルを用いているが、可撓性を有する材料であればよく、シリコーン樹脂等の各種の合成樹脂材料や、各種のゴム材料,エラストマー材料が用いられる。また、上記チューブ12aとしては、円管や、断面形状四角形の角管に限定するものではなく、断面形状三角形や(五角形以上の)多角形の角管を用いてもよいし、円管や角管以外のものを用いてもよい。
また、図1〜図4に示す実施の形態において、上記チューブ12aに、その内部空間を外部に連通する空気出入口を設けてもよいし、図5〜図12に示す実施の形態において、上記チューブ12aの両端開口を閉塞してもよい。ただし、上記内部空間を外部に連通する方が好ましい。
本発明の化粧料容器の一実施の形態を示す断面図である。 容器本体の断面図である。 上記容器本体の平面図である。 上記容器本体の要部の断面図である。 上記容器本体の変形例を示す平面図である。 上記容器本体の要部の断面図である。 上記容器本体の他の変形例を示す平面図である。 上記容器本体のさらに他の変形例を示す平面図である。 上記容器本体のさらに他の変形例を示す平面図である。 上記容器本体のさらに他の変形例を示す平面図である。 上記容器本体の要部の断面図である。 上記容器本体のさらに他の変形例を示す平面図である。 従来例を示す説明図である。 他の従来例を示す断面図である。
1 容器本体
1a 中皿収容凹部
1c 底面
2 蓋体
4 中皿
5 固形化粧料
12 緩衝材
12a チューブ

Claims (2)

  1. 化粧料が充填された中皿と、上記中皿を収容するための中皿収容凹部が形成された容器本体と、この容器本体を蓋する蓋体とを備え、上記中皿収容凹部の底面に配設された接着剤層により、上記中皿の底面がこの接着剤層に剥離可能に貼着されてなる化粧料容器であって、上記容器本体の中皿収容凹部の底面の接着剤層の周囲の領域に、緩衝材を嵌合固定するための凸部もしくは溝部が形成され、この凸部もしくは溝部に、可撓性を有する紐状中空体からなる緩衝材が上記底面に沿って配置されて固定され、この緩衝材を介して、上記中皿が中皿収容凹部内に収容されるようになっていることを特徴とする化粧料容器。
  2. 上記緩衝材が、上記中皿収容凹部の底面に沿ってリング状に配置されている請求項1記載の化粧料容器。
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