しかしながら、特許文献1、2のような内視鏡装置では、反射ミラーよりも先端側に回転駆動手段が設けられていることで、被検体に形成されている穴の先端が閉塞している場合には、回転駆動手段が設置されているスペース分だけ反射ミラーを先端側まで挿入することができず、穴の先端部分を観察することができなくなってしまう課題があった。また、被検体の穴に挿入される挿入部及びアダプタの外径は、回転駆動手段の大きさに支配的となり、これにより小径の穴に挿入することが困難となってしまう課題があった。さらに、反射ミラーは、外部から入光する光が反射するとともに、照明手段からの照明光も反射することとなる。このため、反射ミラーに付着した汚れや傷によって照明ムラが発生して観察に影響を及ぼし、また、ハレーションが発生してしまう課題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、直視型の内視鏡の挿入部に装着して、被検体に形成された小径の穴の内部でも先端側まで全周にわたって好適に観察することが可能とさせる側視用アタッチメント及び内視鏡装置を提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、先端側を観察可能な観察手段を先端に有する内視鏡の挿入部に外装させて、前記観察手段によって側方の観察を行わせるための側視用アタッチメントであって、前記挿入部が基端側から挿入される略筒状のシースと、該シースの基端側に設けられて、該シースを軸回りに回転させる回転駆動手段と、前記シースの先端側に該シースとともに軸回りに回転可能に設けられ、前記挿入部が前記シースに挿入された状態で、前記挿入部の前記観察手段による観察方向を先端側から側方に変換させる観察方向変換部材と、前記シースの先端側に該シースとともに軸回りに回転可能に設けられ、前記観察方向変換部材によって変換される前記観察手段の観察方向に向かって照明光を発光可能な発光部を有する照明手段とを備えることを特徴としている。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、シースを内視鏡の挿入部に外装させれば、シースの先端側に設けられた観察方向変換部材によって挿入部の観察手段による観察方向を先端側から側方に変換させることができ、これにより被検体の内部において側方の観察対象を観察することができる。また、照明手段において、シースの先端側に設けられた発光部から照明光を発光させることで、観察方向変換部材よって変換された観察手段の観察方向を照明することができる。ここで、発光部からの照明光は、上記のように観察手段による観察方向を直接照明することとなり、これにより照明光が観察方向変換部材に直接照射されて照明ムラが発生し、また、ハレーションが発生することを防止して、照明手段による照明下のもと好適に観察手段によって被検体内部における観察対象の観察を行うことができる。
また、回転駆動手段を駆動することで、挿入部に外装されているシースは軸回りに回転することとなり、シースの先端側に設けられた観察方向変換部材及び照明手段の発光部も軸回りに回転することとなる。このため、回転駆動手段によるシースの回転角度に応じて観察手段による観察方向、及び照明手段の発光部のよる照明光の照射方向も軸回りに変化させることができ、被検体の内部を全周にわたって好適に観察することができる。ここで、回転駆動手段がシースの基端側に設けられていて、被検体の内部に挿入する必要はないことから、被検体の内部に挿入される内視鏡の挿入部の径方向外側並びに軸方向先端側の構造を最小限とすることができ、これにより被検体に形成された小径の穴の内部でも先端側まで全周にわたって好適に観察することができる。
さらに、前記照明手段は、前記シースに沿って該シースとともに軸回りに回転可能に配設され、基端側から先端側へ照明用のエネルギーを伝達させるエネルギー伝達部材を有し、前記発光部が該エネルギー伝達部材から伝達されたエネルギーによって発光する。
このため、シースに沿って配設されたエネルギー伝達部材によって伝達される照明用のエネルギーによって発光部が発光することにより、シースの先端側にエネルギー源を設ける必要がない。このため、被検体の内部に挿入される内視鏡の挿入部の径方向外側並びに軸方向先端側の構造をより簡易なものとすることができる。
さらに、前記照明手段は、前記シースの基端側に設けられて照明光を発する光源と、前記エネルギー伝達部材として前記シースに沿って配設され、前記光源から発せられた照明光を伝達して先端側に形成された端面を前記発光部として照明光を発光させる導光部材とを有する。
このため、照明手段において、光源から発せられた照明光は、光エネルギーとして、シースとともに軸回りに回転する導光部材に入光し、先端側まで伝達される。そして、導光部材の先端側に形成された端面を発光部として伝達された照明光が発せられることで、観察方向変換部材によって変換された観察手段の観察方向を好適に照明することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記照明手段の前記導光部材は、内部に前記観察方向変換部材が配設されているとともに、前記挿入部が配設される筒状の部材であることがより好ましいとされている。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、光源から発せられた照明光は、筒状の導光部材に入光し、断面環状の内部において反射しながら拡散することなる。そして、発光部となる先端では、観察方向変換部材の外側を囲むように環状として、観察方向変換部材によって変換された観察手段の観察方向を照明することとなり、観察手段による観察範囲全体を均一に照明することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記照明手段の前記光源は、前記導光部材と対応して環状に複数配置されていることがより好ましいとされている。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、複数の光源から発せられた照明光は、それぞれ導光部材の基端から入光され、内部において反射、拡散し、均一化されて先端の発光部から照射されることとなる。このため、発光部から、均一かつ大光量の照明光を観察手段の観察方向に向かって発することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記照明手段の前記導光部材は、前記シースに内部に配設されているとともに、先端側で前記シースから突出し、外部に露出していることがより好ましいとされている。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、導光部材がシースの内部に配設されていることで、挿入時に導光部材が内部で被検体と接触して損傷してしまうことを防止することができる。また、導光部材を伝達する照明光が外部に漏れ出してしまうことを防止し、損失を抑えることができ、観察手段による観察方向を好適に照明することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記照明手段の前記導光部材は先端側の一部が前記シースから突出し、外部に露出していることがより好ましいとされている。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、導光部材の先端側がシースから突出し、外部に露出していることで、当該露出している部分から漏れ出す照明光の一部によって被検体の内部において観察対象近傍を全体的に照明することができる。このため、発光部から発せられる照明光とともに、観察対象をより好適に照明し観察することができる。
また、本発明は、先端側を観察可能な観察手段を先端に有する内視鏡の挿入部に外装させて、前記観察手段によって側方の観察を行わせるための側視用アタッチメントであって、前記挿入部が基端側から挿入される筒状のシースと、該シースの基端側に設けられて、該シースを軸回りに回転させる回転駆動手段と、前記シースの先端側で該シースとともに軸回りに回転可能に設けられ、前記挿入部が前記シースに挿入された状態で、前記挿入部の前記観察手段による観察方向を先端側から側方に変換させる観察方向変換部材と、前記シースの先端側で該シースとともに軸回りに回転可能に設けられ、前記観察方向変換部材によって変換される前記観察手段の観察方向に向かって照明光を発光可能な発光部を有する照明手段とを備え、前記照明手段は、電源と接続された固定子、及び、前記シースとともに軸回りに回転可能であるとともに、前記固定子から電気エネルギーが伝達される回転子を有する電力伝達部と、前記エネルギー伝達部材として、該電力伝達部の前記回転子と基端で接続されて先端側に電気エネルギーを伝達する電気配線と、前記発光部として前記シースの先端側に該シースと軸回りに回転可能に設けられるとともに、前記電気配線の先端と電気的に接続され、該電気配線から供給される電気エネルギーによって発光する光源とを有する。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、照明手段において、電源から電力伝達部の固定子、さらに電力伝達部において固定子から回転子に伝達された電気エネルギーは、エネルギー伝達部材としてシースに沿って配設された電気配線によって基端側から先端側へ伝達されることとなる。そして、電気配線によって伝達された電気エネルギーが発光部である光源に供給されることで、光源からは照明光が発せられ、これにより観察方向変換部材によって変換された観察手段の観察方向を好適に照明することができる。
さらに、前記照明手段の前記光源は、前記観察方向変換部材によって変換される前記観察手段の観察方向に沿う軸回りに環状に複数配列されている。
このため、複数の光源から発せられた照明光は、観察方向変換部材の外側を囲むようにして環状に観察手段による観察方向を照明することとなり、観察手段による観察範囲全体を大光量で均一に照明することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記シースは、筒状の外シースと、該外シースの内部に挿入された筒状の内シースとで構成されていて、前記エネルギー伝達部材が前記外シースと前記内シースとの間に配設されているとともに、前記内視鏡の前記挿入部が前記内シースの内部に挿入されることがより好ましいとされている。
この発明に係る側視用アタッチメントによれば、エネルギー伝達部材は、外シースの内部に配設されていることにより、被検体と接触して損傷してしまうことを防止することができる。さらに、エネルギー伝達部材と内部に挿入される内視鏡の挿入部との間には、内シースが配設されることとなり、これにより挿入部をシース内に好適に挿脱することができるとともに、挿脱時にエネルギー伝達部材と挿入部とが互いに接触して損傷してしまうことを防ぐことができる。
また、本発明の内視鏡装置は、上記の側視用アタッチメントと、該側視用アタッチメントの前記シースに挿入された前記挿入部を有する前記内視鏡とを備えることを特徴としている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、側視用アタッチメントの照明手段によって照明しながら、挿入部の観察手段によって被検体の内部を全周にわたって好適に観察することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記回転駆動手段による前記シースの回転角度を制御する制御部を備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、制御部によって回転駆動手段を駆動させてシースを回転させることで、観察手段による観察方向を軸回りの所望の向きに自動的に設定して観察することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、制御部は、前記側視用アタッチメントの前記回転駆動手段による前記シースの回転角度に基づいて前記観察手段で取得された画像の向きを補正する画像補正手段を有することがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、側視用アタッチメントの回転駆動手段を駆動させて観察方向変換手段を回転させることで、観察手段による観察方向を軸回りに回転させることができるが、この際、観察手段で取得される画像は観察方向変換手段の回転角度に応じて回転することとなる。ここで、制御部の画像補正手段によって、観察手段によって取得される画像の向きを回転駆動手段のよる回転角度に基づいて補正することで、観察手段による観察方向の軸回りの向きに係らず、画像の向きを略一定とすることができ、当該画像に基づいて被検体の内部において観察対象をより好適に観察することができる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、制御部は、前記観察手段で取得された画像と、予め記憶された基準画像とを比較し、比較結果を表示する表示手段を有することがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、制御部の表示手段によって観察手段で取得された画像と予め記憶された基準画像を比較し、比較結果を表示することで、観察対象の欠陥の有無を容易に認識することが可能となる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記観察手段で取得された画像と、予め記憶された基準画像とを比較して、前記観察手段で観察された観察対象の欠陥の有無を検知する検知手段を有することがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、制御部の検知手段によって観察手段で取得された画像と予め記憶された基準画像を比較することで、観察対象の欠陥の有無を検知することができ、観察手段が被検体の内部を全周にわたって観察することで、被検体の内部全体で欠陥の有無を自動的に判定することが可能となる。
また、上記の側視用アタッチメントにおいて、前記内視鏡の前記挿入部及び前記側視用アタッチメントを一体として軸方向に進退させる軸方向移動手段を備えることがより好ましいとされている。
この発明に係る内視鏡装置によれば、軸方向移動手段によって内視鏡の挿入部及び側視用アタッチメントを一体として軸方向に進退させることで、観察手段による観察位置を軸方向にも調整することができる。
本発明の側視用アタッチメントによれば、シースの基端側に回転駆動手段が設けられているとともに、シースの先端側に観察方向変換部材と照明手段の発光部がシースとともに軸回りに回転可能に設けられていることで、装着する直視型の内視鏡の挿入部によって、被検体に形成された小径の穴の内部でも先端側まで全周にわたって好適に観察させることができる。
また、本発明の内視鏡装置によれば、上記の側視用アタッチメントを備えることで、被検体に形成された小径の穴の内部でも先端側まで全周にわたって好適に観察することができる。
図1から図4は、この発明に係る実施形態を示している。図1及び図2に示すように、この実施形態の内視鏡装置1は、医療分野や工業分野などの分野において、被検体の内部に挿入される挿入部2aを有する内視鏡2と、内視鏡2に接続された制御部であるパーソナルコンピュータ(以下、PC3と称す)3と、挿入部2aに外装される側視用アタッチメント10と、挿入部2a及び側視用アタッチメント10を軸方向に進退させる軸方向移動手段4とを備える。内視鏡2は、所謂直視型であり、挿入部2aの先端に軸方向先端側を観察方向として観察可能な観察手段5が設けられている。
図2及び図3に示すように、観察手段5は、挿入部2aの先端に露出する対物レンズ5aと、挿入部2aの内部に配設されたイメージガイドファイバ5bと、挿入部2aの基端でカメラアダプタ5c(図1)によって固定されてイメージガイドファイバ5bと光学的に接続されたカメラ5dと、カメラ5dと信号ケーブルで接続されて制御を行うカメラコントロールユニット5eと、カメラコントロールユニット5eと接続された映像キャプチャデバイス5fとで概略構成される。対物レンズ5aから入光し、集束された外光は、イメージガイドファイバ5bによって基端側のカメラ5dまで導光される。このため、カメラ5dは、カメラコントロールユニット5eによる制御のもと、挿入部2aの先端側を撮像することが可能となっている。カメラ5dによって撮像され、出力された撮像信号は、映像キャプチャデバイス5fによって画像信号として生成される。そして、映像キャプチャデバイス5fから出力された画像信号は、PC3に入力される。なお、観察手段としては、上記のようなイメージガイドファイバによるものに限るものでは無く、CCDやC−MOSであっても良い。
図1及び図2に示すように、PC3は、映像キャプチャデバイス5fから入力した画像信号を補正する画像補正手段3aと、画像補正手段3aによって補正された画像信号を画像として表示するモニタ3bと、後述する軸方向移動手段4の直動用モータ4f及び側視用アタッチメント10において回転駆動手段13の回転用モータ13aの駆動を制御する駆動制御手段3cとを備える。画像補正手段3aによる画像補正の詳細、並びに、駆動制御手段3cによる軸方向移動手段4及び回転駆動手段13の制御の詳細については後述する。
図1及び図2に示すように、軸方向移動手段4は、例えばネジ穴Sが形成された被検体であるワークWの表面に固定される台座部4aと、台座部4aによってネジ穴Sの軸方向に支持されるガイド部4bと、ネジ穴Sと同軸として挿入部2aの基端側を支持するともに、ガイド部4bによってネジ穴Sの軸方向に案内されるアーム4cとを備える。ガイド部4bは、ボールネジ4dと、ボールネジ4dに内部で螺合されるとともにアーム4cが固定された螺合部4eと、螺合部4eを回転させるDCモータである直動用モータ4fとを有する。このため、直動用モータ4fを駆動させれば、螺合部4e及びアーム4cを介して挿入部2aを軸方向に進退させることが可能となっている。ここで、直動用モータ4gは、PC3の駆動制御手段3cとモータドライバ6を介して接続されており、駆動制御手段3cによる制御のもと駆動する。また、直動用モータ4fには、直動用エンコーダ4gが接続されており、直動用エンコーダ4gから出力された検出信号は、カウンタ7を介して軸方向位置データとしてPC3の画像補正手段3aへ出力される。
図2及び図3に示すように、側視用アタッチメント10は、挿入部2aが基端側から挿入された略筒状のシース11と、シース11の基端側を回転可能に支持した筐体12と、筐体12の内部に設けられシース11を軸回りに回転させる回転駆動手段13と、挿入部2aの観察手段5によって側方を観察させる観察方向変換部材であるプリズム14と、観察手段5による観察方向を照明する照明手段15とを備える。以下、詳細を説明する。
筐体12の一面には、第一の貫通孔12aが形成されていて、シース11の基端側が内部に挿入されている。ここで、本実施形態では、シース11は、略筒状の外シース11aと、外シース11aの内部に同軸で配設された内シース11bとの二重構造となっている。内シース11bは、後述するように照明手段15の導光部材18を介して外シース11aと一体となっている。そして、第一の貫通孔12aにおいて外シース11aとの間には第一の軸受12bが介装されている。また、筐体12の内部において外シース11aの基端側には筐体12に固定された第二の軸受12cが外嵌されている。これにより、シース11は、第一の軸受12b及び第二の軸受12cによって筐体12に軸回りに回転可能に支持されている。また、筐体12の一面と対向する他面側には、シース11と同軸上で第二の貫通孔12dが形成されている。第二の貫通孔12dには、挿入部2aが挿通されており、シース11おいて内シース11bの内部に挿入されている。ここで、筐体12において、第二の貫通孔12dには、コレットチャック構造を有するチャック部12eが設けられており、これによりシース11に挿入された挿入部2aの基端側を筐体12に対して固定している。
また、回転駆動手段13は、筐体12に固定された回転用モータ13aと、回転用モータ13aの出力軸13bに同軸で回転可能に固定された第一のギア13cと、シース11において外シース11aに外嵌固定されて同軸上で回転可能であるとともに、第一のギア13cに噛合された第二のギア13dとを有する。回転用モータ13aは、DCモータであるモータ本体13eと、減速ギア13fとで構成されている。そして、回転用モータ13aを駆動させることで第一のギア13c及び第二のギア13dを介してシース11を軸回りに回転させることが可能となっている。ここで、図2に示すように、回転用モータ13aは、PC3の駆動制御手段3cと前述のモータドライバ6を介して接続されており、駆動制御手段3cによる制御のもと駆動する。また、回転用モータ13aには、回転用エンコーダ13gが接続されており、回転用エンコーダ13gから出力された検出信号は、カウンタ7を介して回転位置データとしてPC3の画像補正手段3aへ出力される。
本実施形態において、観察方向変換部材であるプリズム14は、断面略三角形状に形成されており、支持部材16によって支持されている。プリズム14は、第一面14aがシース11の中心軸に略直交して交差するようにして内シース11bに挿入された挿入部2aの対物レンズ5aと対向するように、また、第二面14bがシース11の中心軸に対して略45度傾斜して交差するように、さらに、第三面14cがシース11の中心軸に対して略平行となるようにして、シース11の先端側に配設されている。このため、シース11の側方からプリズム14の第三面14cに入射してくる外光は、第二面14bに反射し第一面14aから出射して挿入部2aの先端面に露出する対物レンズ5aに入射することが可能であり、これにより直視型の挿入部2aによる観察手段5の観察方向を、軸方向先端側(観察方向A1)から軸方向と略直交する側方(以下、変換後の観察方向A2と称する)に変換させて観察を行うことが可能となっている。プリズム14と支持部材16とは例えば接着接合されており、支持部材16は、後述する照明手段15の導光部材18に接着接合することで、導光部材18を介してシース11と一体として軸回りに回転可能となっている。
また、照明手段15は、シース11の基端側において同軸上で、シース11に挿入された挿入部2aに外装されるように配設されたLEDユニット17と、内シース11bと外シース11aの間に配設されたエネルギー伝達部材である略筒状の導光部材18とを有する。LEDユニット17は、略環状の基板17aと、基板17a上において導光部材18の基端面18aと対向して略環状に配置された複数のLED光源17bとを有する。基板17aは、筐体12に固定され、図示しない外部電源と接続されていて、これにより各LED光源17bから所定の光量の照明光Lを発することが可能となっている。
図3及び図4に示すように、導光部材18は、ポリカーボネイトやアクリルなどの透明な材質で形成されている。このため、LED光源17bから発光し基端面18aから入光した光エネルギーである照明光Lを内面反射させながら、先端側へ導光させることが可能である。ここで、導光部材18は、外シース11aの内部に配設されていることから、照明光Lが内部から外部へ漏れ出すことを防いで損失を抑え、効率良く導光することができる。また、導光部材18は、外シース11aの内部に配設されている範囲において、外シース11aと内シース11bとに接着接合されている。また、導光部材18は、一部がシース11の先端から突出していて、先端部が閉塞されている。そして、プリズム14は、シース11の先端から突出した導光部材18の内部に嵌合され、接着接合されている。これにより、シース11、導光部材18及びプリズム14は、一体となってシース11の軸回りに回転可能であり、シース11が回転することによってプリズム14による変換後の観察方向A2をシース11の軸回りに回転させることが可能である。
ここで、導光部材18において、プリズム14の第三面14cと対応する位置には、開口部18bが形成されている。このため、開口部18bに形成された端面18cを発光部19としてプリズム14の外側を囲むようにして、導光部材18の内部を導光された照明光Lを変換後の観察方向A2に向かって発光させることが可能である一方、外光を開口部18bからプリズム14に直接入射可能としている。ここで、発光部19である開口部18bに形成された各端面18cは、変換後の観察方向A2に沿うプリズム14の中心軸に向くようにして、観察方向A2に対して略45度傾斜している。
次に、この実施形態の内視鏡装置1及び側視用アタッチメント10の作用、並びに、PC3による制御の詳細について説明する。図1に示すように、内視鏡装置1によって、被検体であるワークWに形成された穴、例えば先端が閉塞されたネジ穴Sについて、観察対象となる内周面S1のネジ山の欠陥の有無を検査する場合について説明する。
まず、図1に示すように、内視鏡2の挿入部2aを側視用アタッチメント10のシース11の内部に挿入して一体とさせる。ここで、導光部材18と内部に挿入される内視鏡2の挿入部2aとの間には、内シース11bが配設されることとなり、これにより滑り性を良好なものとして挿入部2aをシース11内に好適に挿脱することができるとともに、挿脱時に導光部材18と挿入部2aとが互いに接触して損傷してしまうことを防ぐことができる。そして、内視鏡2の挿入部2aと側視用アタッチメント10を一体とした後に、挿入部2aを軸方向移動手段4のアーム4cに固定する。
次に、軸方向移動手段4の台座部4aをネジ穴Sが形成されたワークWの表面に固定して、アーム4cに固定された内視鏡2の挿入部2a及びシース11がネジ穴Sと同軸となるように配設させる。そして、まず、PC3による制御のもと、軸方向移動手段4の直動用モータ4fを駆動させて、挿入部2a及びシース11について、軸方向の所定の初期位置となるように設定する。この状態で、観察者がPC3に入力することで、観察が開始される。ここで、PC3には、ネジ穴Sの深さが記憶されている。
そして、PC3は、軸方向移動手段4を駆動させて、記憶されたネジ穴Sの深さ以下となる範囲の挿入量で、挿入部2a及びシース11をネジ穴Sに自動的に挿入させる。この際、照明手段15の導光部材18は、先端側の一部を除いて外シース11aで覆われていることで、ネジ穴Sの内周面S1と接触して損傷することを防ぐことができる。
そして、PC3は、この状態で内視鏡2の観察手段5及び側視用シース11の照明手段15を駆動させる。すなわち、観察手段5による観察方向A1は、プリズム14によって側方となる観察方向A2に変換され、これにより被検体であるワークWのネジ穴Sにおいて、観察対象となる内周面S1に形成されたネジ山について観察することが可能となる。また、照明手段15において、LEDユニット17に電源を供給し、各LED光源17bから照明光Lを発光させる。各LED光源17bからの照明光Lは、導光部材18の基端面18aに入射し、導光部材18に導光され、先端側端面18cの発光部19から変換後の観察方向A2に沿って照射されることとなる。
ここで、各LED光源17bから発せられた照明光Lは、断面略環状の導光部材18の内部において内面反射しながら拡散することなる。このため、複数のLED光源17bからの照明光Lを均一なものとして大光量で発光部19から照射させることができる。また、発光部19からの照明光Lは、上記のように変換後の観察方向A2を直接照明することとなり、これにより照明光Lがプリズム14に入光し反射することで照明ムラが発生し、また、ハレーションが発生することを防止して、照明手段15による照明下のもと好適に観察手段5によってネジ穴Sの内周面S1の観察を行うことができる。また、発光部19となる端面18cでは、プリズム14の外側を囲むように環状として、変換後の観察方向A2に照明することとなり、観察手段5による観察範囲全体を均一に照明することができる。特に、発光部19となる端面18cが変換後の観察方向A2に対して略45度傾斜していることから、環状に発せられた照明光Lが観察手段5による観察範囲の中心に向かうようにして照明され、より好適にネジ穴Sの内周面S1を観察することができる。また、導光部材18の先端側の一部がシース11から突出し、外部に露出していることで、当該露出している部分から漏れ出す照明光Lの一部によってネジ穴Sの内部を全体的に照明することができる。このため、発光部19から発せられる照明光Lとともに、内周面S1をより好適に照明し観察することができる。
そして、PC3は、観察方向A2となる軸回りの一方向についてカメラコントロールユニット5eを駆動して、カメラ5dによって当該方向での撮影を行う。カメラ5dによって取得された画像は、撮像データとして映像キャプチャデバイス5fへ出力され、映像キャプチャデバイス5fでは、画像データを生成してPC3の画像補正手段3aに出力する。これにより、画像補正手段3aを介して生成された画像データと対応する画像がモニタ3bに表示される。このため、観察者は、モニタ3bに表示される観察像に基づいて、ネジ穴Sの内周面S1について欠陥の有無を好適に判定することができる。
PC3は、軸回りの一方向について画像を取得したことを確認したら、次に、回転駆動手段13を駆動して所定角度だけシース11を回転させる。ここでは、例えば90度ずつ回転させるものとする。なお、シース11の回転角度の制御は、回転用エンコーダ13gからカウンタ7を介して駆動制御手段3cに入力される回転位置データをフィードバックさせることによって行われる。ここで、シース11に挿入された挿入部2a、照明手段15のLEDユニット17は筐体12に固定されている。そして、回転駆動手段13によってシース11、プリズム14及び照明手段15の導光部材18のみがシース11の軸回りに一体的に90度回転することとなる。このため、改めて軸回りに90度回転した他の方向について、照明手段15において導光部材18の端面18cとなる発光部19から発せられた照明光Lによってネジ穴Sの内周面S1を照明し、その反射光によって観察手段5のカメラ5dによって画像を取得することができる。
そして、これを繰り返すことで、例えば本実施形態では回転駆動手段13によって90度ずつ回転させて4回行うことで、ネジ穴Sの内周面S1の全周にわたって画像を自動的に取得し観察することができる。また、ネジ穴Sの軸方向の一位置において全周にわたって画像を取得したら、PC3は、軸方向移動手段4を駆動して、挿入部2a及びシース11を軸方向へ所定量進出させる。そして、PC3は、再度回転駆動手段13を駆動させて、当該軸方向の位置でも全周にわたって画像を取得させる。これによりネジ穴Sの軸方向全体で内周面S1の画像を取得し、観察者は、モニタ3bに表示される画像に基づいてネジ穴Sの内周面S1全体について欠陥の有無を判定することができる。
ところで、上記のようにネジ穴Sの軸方向の一位置において、回転駆動手段13によって軸回りに観察方向A2を変えて撮像した場合、カメラ5dによって取得される画像は、回転する毎に前回の画像に対して相対的に回転角度分だけ回転して向きの異なる画像となる。ここで、画像補正手段3aには、回転駆動手段13によって軸回りにシース11を回転させる毎に、回転用エンコーダ13gで検出された回転用モータ13aの回転角度が回転位置データとして入力されていて、この回転位置データに基づいてシース11の回転角度が算出されている。そして、画像補正手段3aは、映像キャプチャデバイス5fから出力された画像の向きを、算出したシース11の回転角度の分だけ逆回転させる。例えば、回転駆動手段13によってシース11を90度ずつ回転させながら0度、90度、180度、270度の各方向で観察手段5のカメラ5dで撮影した場合、画像補正手段3aは、各画像をそれぞれ0度、−90度、−180度、−270度と回転させる。これにより、モニタ3bに表示される画像は、モニタ3bに対して画像の向きが補正されるので、常に回転されない画像をモニタ3b上に表示させることができる。さらに、プリズム14による反射によって観察手段5の観察方向を変換することにより鏡像反転する画像の向きを補正し、取得される画像の上下方向を被検体であるワークWのネジ穴Sの軸方向に一致させることができるので、観察者は、モニタ3bに表示される画像によって、常に同じ向きでネジ穴Sの内周面S1を観察することができ、より好適に欠陥の有無を判定することができる。
以上のように、本実施形態の内視鏡装置1によれば、プリズム14によって観察手段5の観察方向を変換することで、側方となる観察方向A2への観察を行うことができ、また、回転駆動手段13によってシース11を軸回りに回転することで、ネジ穴Sを全周にわたって観察することができる。ここで、回転駆動手段13がシース11の基端側に設けられていて、ネジ穴Sの内部に挿入する必要はない。また、シース11に沿って配設された導光部材18によって照明光Lを導光させて先端側の端面18cである発光部19から発光させることにより、シース11の先端側に発光させるための複雑な構造を設ける必要がない。このため、被検体であるワークWのネジ穴Sの内部に挿入される内視鏡2の挿入部2aの径方向外側並びに軸方向先端側の構造を最小限とすることができ、これにより小径のネジ穴の内部でも先端側まで全周にわたって好適に観察することができる。
特に、上記のような照明手段15により変換後の観察方向A2を効果的に照明して好適に観察を行うことができる。また、画像補正手段3aによってシース11を回転させる毎に画像を補正することで、画像の向きを略等しくしてより好適にネジ穴Sの観察を行うことができる。
また、本実施形態の内視鏡装置1は、直視型の挿入部2aを有する一般的な内視鏡2において、挿入部2aに側視型アタッチメント10を装着する構造である。このため、既存の内視鏡を有しているユーザにとっては、新たにネジ山検査専用の検査機器一式を購入する必要が無く、追加機構として側視型アタッチメント10を用意するだけで検査域を広げることができるという利点を有する。また、これにより低コストで対応することが可能である。一方、内視鏡を有していないユーザの場合、内視鏡2と、側視型アタッチメント10とを用意する必要があるが、この場合にも既存の内視鏡2をネジ山検査に適用しているに過ぎないため、側視型アタッチメント10を取り外すことで、ネジ山検査以外の通常の内視鏡検査にも使用することができるという利点を有する。
なお、本実施形態では、観察方向変換部材として、一回の内部反射を行うプリズム14を選択したが、これに限るものではなく、反射ミラーを利用したり、プリズムにおいて、複数回内部反射する構造のものとしてもよい。例えば、二回反射のプリズムを使用すれば、観察手段5で取得される画像について鏡像反転補正を行う必要がなくなる。また、本実施形態では、LED光源17bから発せられる照明光Lの光量は略一定としたが、これに限るものでは無く、例えばシース11の回転角度に応じて光量を変化させるものとしても良い。また、本実施形態では、照明手段15において、LED光源17bなど照明光を発する光源は、導光部材18の基端面18aに照明光を直接入射可能に設けられるものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、筐体12の外部に光源を設けて、該光源から発せられる照明光をライトガイドファイバで導光し、導光部材18の基端面18aに入光させるものとしても良い。
また、本実施形態では、軸方向移動手段4の台座部4aは、ネジ穴Sが形成されたワークWの表面に固定されたものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、台座部に走行手段が設けられているものとしても良い。そして、PC3には、ワークWの複数のネジ穴Sの位置データが記憶されているものとすれば、PC3による制御のもと上記走行手段を駆動させて軸方向移動手段4に固定されている内視鏡2及び側視用アタッチメント10を移動させれば、複数のネジ穴Sを連続して観察することも可能である。
図5は、本実施形態の第一の変形例である内視鏡装置20を示している。本変形例の内視鏡装置20では、軸方向移動手段4の直動用モータ21及び回転駆動手段13の回転用モータ22についてステッピングモータを使用している。このため、各モータについてエンコーダを搭載する必要なく、駆動制御手段3cからモータドライバ6に出力される回転指令値に基づいて正確に挿入部2a及びシース11の軸方向の位置、及び、シース11の回転角度を制御することができる。また、この回転指令値を画像補正手段3aに入力することで、同様に各モータについてエンコーダを搭載する必要なく、シース11が回転した分だけ画像を回転させて、各画像の向きを略一定として観察することができる。
図6は、本実施形態の第二の変形例である内視鏡装置30を示している。本変形例の内視鏡装置30において、PC31は、画像補正手段に代わって記憶部32と、観察手段5で取得された画像に映し出されたネジ穴Sの内周面S1の欠陥の有無を検知する検知手段33とを有している。記憶部32には、予め欠陥の無い理想的なネジ穴Sの画像が基準画像として記憶されている。そして、検知手段33は、画像補正手段同様に映像キャプチャデバイス5fから出力された画像データについて、回転用エンコーダ13gからカウンタ7を介して入力される回転位置データに基づいて画像の補正を行う。そして、検知手段33は、記憶部32から当該画像と対応する基準画像を読み出し、補正後の画像と比較し、欠陥の有無を検知する。具体的には、例えば、基準画像と補正後の画像とでパターンマッチングを行い、相関値が一定以下である場合には、欠陥があるとして検知信号を出力し、モニタ3bに欠陥が検出されたことを表示させる。
本変形例のように、検知手段33を備えることで、観察者がモニタ3b等によって被検体であるワークWに形成されたネジ穴Sを直接観察することなく、自動的に欠陥の有無の判定を行うことができる。なお、上記においては、検知手段33が、入力される回転位置データに基づいて観察手段5によって取得された画像を補正するものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、基準画像が、対応する周方向の位置毎に回転した状態で記憶部33に記憶されている場合には、検知手段33は、基準画像と観察手段5で取得した画像をそのまま比較することができる。また、上記においては、検知手段33で欠陥の存在が検出された場合にはモニタ3bに表示させるものとしたが、単にブザー等で報知するものとしても良い。
なお、上記においては、欠陥の有無を表示または報知するものとしたが、比較表示手段として、単に比較結果として、モニタ3bに基準画像と観察手段5で取得した画像を並べて表示する、あるいは、重ねて、差分を表示するものとしても良い。この場合にも、観察者は、モニタ3bの表示から容易に欠陥を認識することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図7に示すように、この実施形態の内視鏡装置40において、側視用アタッチメント41は、挿入部2aが基端側から挿入された略筒状のシース42と、筐体12と、回転駆動手段13と、観察方向変換部材であるプリズム14と、観察手段5による観察方向を照明する照明手段43とを備える。シース42は、略筒状の外シース42aと、外シース42aの内部に配設される内シース42bとを有し、挿入部2aは、内シース42bの内部に挿入されている。外シース42a及び内シース42bは先端が閉塞されているとともに、先端側外周面に開口部42c、42dが形成されていて、内シース42bの内部に固定されたプリズム14の第三面14cが露出している。
また、照明手段43は、シース42の基端側に設けられて外部電源と接続された電力伝達部44と、シース42に沿って配設され、エネルギー伝達部材として電気エネルギーを伝達させる電気配線45と、シース42の先端開口部42c、42dに固定され、電気配線45の先端が電気的に接続されたLEDユニット46とを有する。電力伝達部44は、所謂スリップリングであり、シース42と同軸上で挿入部2aに外装された状態で筐体12に固定された略環状の固定子44aと、固定子44aと接触配置されシース42において外シース42aと内シース42bとの間に嵌合された略環状の回転子44bとを有する。固定子44aは外部の直流電源と接続されていて、また、回転子44bには電気配線45の基端が接続されている。これにより、外部の直流電源から供給される電力を、電力伝達部44において、固定子44aから回転子44bへ、さらに、回転子44bから電気配線45へ供給することが可能となっている。
また、LEDユニット46は、プリズム14によって変換される観察手段5の観察方向A2に沿う軸回りでプリズム14の外側を囲むように配設された略環状の基板46aと、基端46a上で略環状に配置された発光部である複数のLED光源46bとを有する。基板46aは、電気配線45と電気的に接続されており、これにより電気配線45から供給される電力によって各LED光源46bを発光させ、変換後の観察方向A2に向かって照明光Lを照射することが可能となっている。
この実施形態では、電力伝達部44の回転子44b及びLEDユニット46はシース41に固定され、また、電気配線45は、シース42の内部で電力伝達部44の回転子44bとLEDユニット46に接続されている。このため、シース42を回転駆動手段13によって回転させると、電力伝達部44の回転子44b、電気配線45及びLEDユニット46も回転することとなる。一方、電力伝達部44の固定子44aは、筐体12に固定されてシース42とともに回転しないが、回転子44bと接触状態に保たれるため、シース42を回転させながら固定子44a側に電力を供給することができる。これにより、シース42を回転させて観察手段5による観察方向A2及び照明手段43による照明方向を回転させながら、ネジ穴Sを全周にわたって好適に観察することができる。
また、この実施形態では、エネルギー伝達部材として電気配線45を配設し、エネルギーとして電気エネルギーをシース42の基端側から先端側へ伝達させており、先端側のLEDユニット46で照明光Lを発生させている。このため、第一の実施形態のように導光部材18で照明光Lを導光するのと比較して照明光Lの損失をさらに抑えて効果的に照明することができる。また、本実施形態でも発光部であるLED光源46bが観察方向A2に沿う軸回りに環状に複数配列されていることから、環状に観察手段5による観察方向A2を照明することとなり、観察手段5による観察範囲全体を大光量で均一に照明することができる。
図8は、この実施形態の変形例を示している。図8に示すように、この変形例の内視鏡装置50の側視用アタッチメント51において、電力伝達部52は、固定子である第一のコイル52aと、回転子である第二のコイル52bとを備えている。第一のコイル52aは、略環状の鉄心に導線が螺旋状に巻かれたものであり、導線は、外部の交流電源に接続されている。そして、第一のコイル52aは、シース42に挿入された挿入部2aに外装された状態で筐体12に固定されている。また、固定子である第二のコイル52bも略環状の鉄心に導線が螺旋状に巻かれたものであり、導線は、電気配線45に接続されている。そして、第二のコイル52bは、第一のコイル52aと間隔を有して外シース42aに嵌合固定されており、シース42とともに軸回りに回転可能となっている。
また、電気配線45の先端と接続されてシース42の先端側に固定されたLEDユニット53は、略環状の基板53aと基板53a上で略環状に複数配置された発光部であるLED光源53bとで構成されていて、LED光源53bは、交流駆動式である。
この変形例の内視鏡装置50においては、外部の交流電源から電気伝達部52の第一のコイル52aに供給すれば、相互誘導により第二のコイル52bに交流電圧を発生させることができる。これによりLED光源52bに交流電力を供給し、照明光Lを観察方向A2に照射させることができる。なお、本変形例では、電気伝達部52に対して交流駆動式のLED光源53bを搭載したが、これに限るものでは無く、電気伝達部52とLEDユニット53との間にAC−DCコンバータを設けるものとして直流駆動式のLED光源を搭載するものとしても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。