JP5241683B2 - 地震衝撃力の測定システムおよび測定方法 - Google Patents
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ところで地下埋設物の地震被害の程度については、目視等によっては知ることが難しく、そこで基礎杭として埋設された鉄筋に導線を接続し該導線を電気抵抗測定器に接続して、通常時における電気抵抗値を予め測定しておき、地震が発生した場合は地震後の電気抵抗値を測定して前記通常時の測定値と比較し、異なる測定値を得た場合には基礎杭が破壊若しくは損傷を受けたと評価するように構成したもの(特許文献1)や、地下埋設物に振動装置で振動を与え、該振動によって発生する反射波の状態を地震前と地震後とで比較することによって基礎杭の破壊の有無や程度を評価するようにしたものが提唱されている(特許文献2)。しかしながらこれらのものは、地下埋設物の破壊の有無や程度を評価するものであって、構造物がどれ程の衝撃力を受けたかを知るものではない。
また、受けた外力によって生じる応力に比例して発光する応力発光材料を用い、該応力発光材料の発光状態を観測することで応力測定をするようにしたもの(特許文献3)や、二液反応により発光する発光前駆体を、所定の応力で破壊される脆性材料に封入して基礎杭内部に挿入し、地震により基礎杭に生じた応力によって脆性材料が破壊されると二液が反応して発光するよう構成し、該発光の有無を観測することで所定以上の応力を受けたか否かを検知するようにしたものが知られている(特許文献4)。
請求項2の発明は、感圧発色体は、シート状であることを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項3の発明は、カプセルは、破壊強度順に配されるとともに、カプセルを白色不透明とし、カプセルに封入される染料または顔料の色相を白色以外にしたことを特徴とする請求項1または2記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項4の発明は、カプセルは、並列状に配設されていることを特徴とする請求項3記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項5の発明は、カプセルは、同心円状に配設されていることを特徴とする請求項3記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項6の発明は、カプセルは、所定角度を存して周回り方向に配設されていることを特徴とする請求項3項記載の地震衝撃力の測定システムである。
請求項7の発明は、被検体が地震によって受ける衝撃力を可視化して測定する地震衝撃力の測定方法であって、該地震衝撃力の測定方法は、破壊強度の異なる複数種類のカプセルに破壊強度別に色相の異なる染料或いは顔料を封入し、該各カプセルを破壊強度別に配した感圧発色体を前記被検体の衝撃力測定部位に設け、被検体が受けた地震衝撃力に応じてカプセルが破壊されることで発現した染料或いは顔料の色相により、被検体が受けた地震衝撃力を測定するにあたり、前記感圧発色体を長尺の硬性部材である発色体取付けプレートに貼着するとともに、該発色体取付けプレートを前記衝撃力測定部位に設けられる担体に形成された溝部に抜き差し自在に取付けるようにすることで新たな感圧発色体を担持させることができるようにしたことを特徴とする地震衝撃力の測定方法である。
しかも、該感圧発色体は、衝撃力が最大となった時に該最大の衝撃力に応じてマイクロカプセルが破壊され、染料或いは顔料が発現することから、発現した色相を調べれば衝撃力の最大値を知ることが出来て、構造物が受けた最大衝撃力を簡単に測定することが出来る。
そして、本発明によれば、既に発色している染料或いは顔料をカプセルに封入すれば良いため、染料前駆体を発色させるための顕色剤を必要とせず、材料点数の削減を図ることが出来る。
また、大地震が発生した場合、リアルタイムでの測定は困難である場合も多いが、該感圧発色体は時間が経過しても変色や退色が少ない上、仮令変色や退色があったとしても、一度発現した染料或いは顔料は未発現のものとは明瞭に異なる色相を呈するため、発現と未発現とを見間違うことはなく、地震発生の後に測定を行っても正確な測定データを得ることが出来る。従って、停電等の事故が発生した場合であってもデータが消失してしまうといったようなトラブルがなく、確実に衝撃力を測定することが出来る。
さらにこの発明によれば、衝撃力測定部位に感圧発色体を設けるだけで衝撃力測定を行うことが出来て、地震による衝撃力の測定を簡単なシステムで行うことが出来る。しかも、どのような場所でも簡単に設置することができるため、測定地点を広範囲に設けることができて、より正確な地震衝撃力の測定を行うことが出来る。
また、感圧発色体を取り出すにあたって、担体に担持されている感圧発色体を地中から抜き出すだけで良く、感圧発色体を地中から取り出すために掘削したりする必要がない。従って、感圧発色体を簡単に地中から取出せるものにすることが出来る。
請求項2の発明とすることにより、感圧発色体を被検体に直接貼付したり、被検体の周囲に設けた支持部材に貼付するだけの簡単な作業で取付けることが出来るため、任意の場所での衝撃力測定が可能であり、従って計測箇所を多数設けることも容易に出来る。
請求項3の発明とすることにより、感圧発色体に発現した色相を全て確認しなくても、カプセルが白色不透明であることによって、カプセルが未破壊の部分の感圧発色体は白色となり、カプセルが破壊されることによって発現する染料或いは顔料の色相は、未破壊のカプセルが形成する白色との対比によって明確に識別される。そして、カプセルが破壊強度順に配されることから、未破壊のカプセルによって形成される白色に隣接して発現した色相を調べるだけで、地震衝撃力を知ることができる。つまり、感圧発色体における白色の有無、白色以外の色相の有無、そして白色と白色以外の色相ががある場合は、白色に隣接する色相だけを判別することによって、容易に地震の衝撃力の大きさを測定することができる。
請求項4の発明とすることにより、感圧発色体が正方形状或いは長方形状であったような場合、カプセルをレイアウトし易く、視覚的にも白色と隣接する色相を見つけ出し易いものとすることが出来る。
請求項5または6の発明とすることにより、感圧発色体が円形状或いは楕円形状のようなものであった場合、カプセルをレイアウトし易く、視覚的にも白色と隣接する色相を見つけ出し易いものとすることが出来る。
図1に示すように、1は被検体である構造物であって、該構造物の土台を構成する地下埋設物である地下杭(基礎杭)2の側面には、長尺の板材である担体3が、長尺方向が上下となるように地下杭2に沿って垂直状に埋設されている。該担体3は、例えば熱硬化性プラスチック或いはステンレス板等の硬性部材によって形成されており、図2(A)に示すように、担体3の表面中央部位には、担体3の上端部3aから下端部3bに至る溝部3cが形成されている。そして、該溝部3cの左右両側面には、それぞれ上端部3aから下端部3bに至る凹溝3d、3eが対向して形成されている。
そして、各カプセル層7a−1、7a−2、7a−3、・・・、7a−nは、含有されるマイクロカプセル8のうち、カプセル層7a−1に含有されるマイクロカプセル8の破壊強度が最も弱く、カプセル層7a−nに向かって段階的に破壊強度が強くなり、カプセル層7a−nに含有されるマイクロカプセル8の破壊強度が最も強くなるように配設されている。例えば、測定する衝撃力(kN/cm2)を、5kN/cm2から250kN/cm2までの範囲に設定したとすると、各カプセル層7a−1、7a−2、7a−3、・・・、7a−nに含有されるマイクロカプセルの破壊強度は、カプセル層7a−1に含有されるマイクロカプセル8が圧縮応力(kN/cm2)5kN/cm2で破壊されるものとし、カプセル層7a−nに含有されるマイクロカプセルが圧縮応力250kN/cm2で破壊されるものとして、カプセル層7a−1からカプセル層7a−nまでは、例えば5kN/cm2或いは10kN/cm2等任意の強度差でもって段階的にマイクロカプセルの破壊強度が増すように配設されている。
尚、カプセル層7には、マイクロカプセル8の保護材料として、アラビアゴムやゼラチン、でんぷん粒子等が配合されている。
しかも、本実施の形態によれば、カプセル層7aはマイクロカプセル8の破壊強度順に配設されていることから、破壊されたマイクロカプセル8のうち、色相が未発現のカプセル層7aに隣接したカプセル層7aの色相のみを確認すれば地震の衝撃力を知ることができて、発現した染料或いは顔料の全ての色相を調べる必要がない。従って、迅速な地震の衝撃力の測定を行うことが出来る。
そして、染料或いは顔料の色相は時間の経過によって退色してしまうことはあっても完全に消失してしまうようなことはないため、地震や余震が確実に治まってから感圧発色体5を地中から取出して測定すれば良いことになって、安全を確保した上での測定が出来る。
また、本実施の形態のものでは、既に発色している染料或いは顔料がマイクロカプセル8に封入されているため、染料前駆体を発色させるための顕色剤を必要とせず、部品点数の削減を図ることが出来る。
その上、感圧発色体5は、シート体であるため、容易に着脱することが出来て交換も簡単である。また、貼着する場所を選ばないため、広範囲での測定が可能となり、測定地点を増やすことで正確な測定結果を得ることが出来る。
また、図5(B)に示す第三の実施の形態のように、円形状の感圧発色体5の各カプセル層7aの区分を、所定角度を存して周回り方向に順次配設したものとしているが、この場合に、最も破壊強度の弱いカプセル層7a−1から最も破壊強度の強いカプセル層7a−nへと段階的に強くなるよう各カプセル層を周回り方向に並ぶように配して構成しても良い。
このように構成することで、感圧発色体5を円形状に形成した場合、破壊強度の異なるマイクロカプセル8が効率的に区分されて配設されたカプセル層7とすることが出来る。
2 地下杭
5 感圧発色体
7 発色層
8 マイクロカプセル
Claims (7)
- 被検体が地震によって受ける衝撃力を可視化して測定する地震衝撃力の測定システムであって、該地震衝撃力の測定システムは、破壊強度の異なる複数種類のカプセルに破壊強度別に色相の異なる染料或いは顔料を封入し、該各カプセルを破壊強度別に配した感圧発色体を前記被検体の衝撃力測定部位に設け、被検体が受けた地震衝撃力に応じてカプセルが破壊されることで発現した染料或いは顔料の色相により、被検体が受けた地震衝撃力を測定するにあたり、前記感圧発色体は長尺の硬性部材である発色体取付けプレートに貼着されるとともに、該発色体取付けプレートは前記衝撃力測定部位に設けられる担体に形成された溝部に抜き差し自在に取付けられることで新たな感圧発色体を担持させることができるようにしたことを特徴とする地震衝撃力の測定システム。
- 感圧発色体は、シート状であることを特徴とする請求項1記載の地震衝撃力の測定システム。
- カプセルは、破壊強度順に配されるとともに、カプセルを白色不透明とし、カプセルに封入される染料または顔料の色相を白色以外にしたことを特徴とする請求項1または2記載の地震衝撃力の測定システム。
- カプセルは、並列状に配設されていることを特徴とする請求項3記載の地震衝撃力の測定システム。
- カプセルは、同心円状に配設されていることを特徴とする請求項3記載の地震衝撃力の測定システム。
- カプセルは、所定角度を存して周回り方向に配設されていることを特徴とする請求項3項記載の地震衝撃力の測定システム。
- 被検体が地震によって受ける衝撃力を可視化して測定する地震衝撃力の測定方法であって、該地震衝撃力の測定方法は、破壊強度の異なる複数種類のカプセルに破壊強度別に色相の異なる染料或いは顔料を封入し、該各カプセルを破壊強度別に配した感圧発色体を前記被検体の衝撃力測定部位に設け、被検体が受けた地震衝撃力に応じてカプセルが破壊されることで発現した染料或いは顔料の色相により、被検体が受けた地震衝撃力を測定するにあたり、前記感圧発色体を長尺の硬性部材である発色体取付けプレートに貼着するとともに、該発色体取付けプレートを前記衝撃力測定部位に設けられる担体に形成された溝部に抜き差し自在に取付けるようにすることで新たな感圧発色体を担持させることができるようにしたことを特徴とする地震衝撃力の測定方法。
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