JP5241580B2 - クラッチ付き複合歯車 - Google Patents
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Description
そのため、歯車が変位するための空間を確保する必要があり、複合歯車が大型化してしまうという問題がある。
第1歯車とラチェット部材部材とを一体に形成する場合、本体部の外周面が第1歯車の外周よりも第1軸側にオフセットしており、ラチェット部材の腕部が、第1歯車の外周よりも第1軸側の内側から延びているので、スライド型が必要になり、金型が複雑になる。
別体に形成することで、第1歯車用の金型とラチェット部材用の金型とを、単純な上下型で構成することができ、スライド型が必要とならないので、クラッチ機構の作製コストの低減が可能になる。
よって、ラチェット部材の全体が対向面に当接している場合に比べて、ラチェット部材が回転する際の摺動面積が小さくなるので、ラチェット部材の回転を妨げないようにするために摺動面の総てを精度良く平滑に形成しなくても良く、ラチェット部材や第2歯車の形成が容易になる。
さらに、摺動面に不適合箇所が存在しても、不適合箇所によりラチェット部材の回転が阻害されて摺動ロスが大きくなるというリスクも小さくなる。よって、クラッチ機構全体での摺動ロスを減らすことができる。
このようにすると、クラッチ機構の軸方向の大きさの短縮が可能になる。
よって、クラッチ機構を設けるために複合歯車を軸方向に大型化する必要がないので、クラッチ機構を備える複合歯車の薄型化が可能になる。
また、ラチェット部材の本体部の外周を、第1歯車の外周よりも径方向内側の第1軸側に位置させたので、本体部から伸びる腕部の少なくとも基端側は、第1歯車の外周よりも内径側に位置している。よって、腕部が変位するための空間が、第1歯車と第2歯車との間にも確保できるので、クラッチ機構全体の径方向の大きさを小さくできると共に、腕部の設計の自由度が向上するので、腕部の強度確保、所望の弾性の付与が可能になる。
実施形態にかかるクラッチ付き複合歯車を適用したモータ式駆動装置1は、例えば洗濯機の排水弁の開閉に用いられている。
このモータ式駆動装置1では、モータMの回転が、減速歯車列Gを介して、出力車70に伝達されて、出力車70に連結された出力部材80の連結部82が、支持軸S6回りに一方向に回転駆動されるようになっており、回転駆動される連結部82に連結された図示しない排水弁が、返戻付勢力に抗して開作動させられるようになっている。
ロータ10は、円環ブロック形状の永久磁石11と、外周面に永久磁石11が外挿固定された軸部材12とから構成される。
軸部材12は、仕切壁6を貫通して設けられており、仕切壁6よりも先端側は縮径されて縮径部12bが形成されている。この縮径部12bの仕切壁6寄りの位置の外周面には、モータピニオン13が全周に亘って形成されている。
ステータ20の径方向外側には、絶縁性材料で形成された糸巻き形状のボビン22が位置しており、ボビン22に対してワイヤが巻き回されてコイル21が構成されている。
第1ピニオン32は、第1歯車31の蓋部5側の上面から軸方向に延出して設けられており、第1歯車31と一体に形成されている。
第1歯車31の外周面に形成された歯部31aは、モータピニオン13に噛合しており、第1ピニオン32の外周面に形成された歯部32aは、第2歯車41の歯部41aに噛合している。
支持軸S3の軸方向における第2歯車41と第2ピニオン42との間には後記するクラッチ機構100が設けられており、第2歯車41と第2ピニオン42との間の回転伝達が、クラッチ機構100を介して行われるようになっている。
第2ピニオン42の外周面に形成された歯部42aは、第3歯車51の歯部51aに噛合しており、クラッチ機構100を介して第2ピニオン42に伝達されたモータMの回転が、第2ピニオン42を介して、第3車50に伝達されるようになっている。
第3ピニオン52は、第3歯車51の仕切壁6に対向する下面から軸方向に延出して設けられており、第3歯車51と一体に形成されている。
第3歯車51の外周面に形成された歯部51aは、第2ピニオン42の歯部42aに噛合しており、第3ピニオン52の外周面に形成された歯部52aは、第4歯車61の歯部61aに噛合している。
第4ピニオンは、第4歯車61の蓋部5に対向する上面から軸方向に延出して設けられており、第4歯車61と一体に形成されている。
第4歯車61の外周面に形成された歯部61aは、第3ピニオン52の歯部52aに噛合しており、第4ピニオン62の外周面に形成された歯部62aは、出力歯車71の歯部71aに噛合している。
ボス部72には、出力歯車71の支持軸S6を挿入するための挿入孔71bと同軸に、ボルト挿入孔72bが設けられている。
ボス部72の上端側の縮径部72aには、出力部材80の厚肉円筒部81が外挿されており、出力部材80とボス部72とは、ボス部72のボルト挿入孔72bに螺入されたボルトB2により、一体回転可能に連結されている。
なお、出力部材80の厚肉円筒部81よりも径方向外側の上端には、図示しない排水弁が連結される連結部82が設けられている。
図2は、第2車40を仕切壁6側から見た分解斜視図であり、図3の(a)は、第2車40を仕切壁6側から見た平面図であり、(b)は、(a)におけるX−X断面図である。図4の(a)は、ラチェット部材110を第2ピニオン42側から見た平面図であり、(b)は、(a)におけるX−X断面図であり、図5は、図4の部分拡大図である。
係合孔111cもまた、本体部111を厚み方向(軸方向)に貫通して設けられており、ラチェット部材110の回転中心O回りで120°間隔で3箇所設けられている。
腕部112の内周面112dのうち、先端112a側と基端112b側を除く大部分は、回転中心Oを中心とする仮想円B上に位置しており、腕部112の外周面112eのうち、先端112a側と基端112b側を除く大部分は、仮想円C上に位置している。
そのため、軸方向から見て腕部112の径方向幅Wは、先端112a側と基端112b側を除いた大部分の範囲で同じ幅となっている。
なお、爪部113の各々が歯溝121cに同時に落ち込まないようにされている場合であっても、ラチェット部材110が時計回り方向に回転する際には、爪部113の各々が係合歯部121の歯溝121cに噛合して、駆動力が、第2歯車41に伝達されるようになっている。
また、各腕部112の周方向長さL1〜L3は、上述の実施の形態のものに限定されるものではなく、爪部113の各々が係合歯部121の歯溝121cに同時に落ち込むような長さであっても良い。
そのため、図3に示すように、爪部113が係合歯部121の傾斜面121bと当接する位置にある場合には、腕部112の先端112a側は、常に径方向内側に弾性変形させられた状態となり、爪部113はこの弾性変形により生ずる反力により、係合歯部121側に付勢されて弾性係合した状態となっている。
図6に示すように、第2歯車41は、軸方向から見てリング形状を有しており、外周面には、第1ピニオン32の歯部32a(図1参照)が噛合する歯部41aが設けられている。
収容部120の回転中心Oを所定間隔で囲む内周面には、係合歯部121が全周に亘って設けられており、係合歯部121で囲まれた空間内に、ラチェット部材110が配置収容される。
円板形状の歯車部43の外周面には、第3歯車51が噛合する歯部42aが全周に亘って形成されている(図7の(a)参照)。ボス部44は、中央の開口42bを囲むように歯車部43から軸方向に延出しており、円筒形状を有している。
図7の(a)に示すように、縮径部45は、歯車部43の直径R1よりも短い直径R2を有しており、外周面45bは、全周に亘って、歯車部43の外周の歯部42aよりも径方向内側の回転中心O側に位置している。また、縮径部45は、ラチェット部材110の本体部111と略同一の平面形状を有している。
これにより、第2ピニオン42がラチェット部材110に組み付けられた状態において、本体部111から伸びる腕部の基端112bは、第2ピニオン42の外周の歯部42aよりも内径側に位置するようになっている(図3の(a)参照)。
係合凸部46は、縮径部45の中央に位置する開口42bから径方向外側に所定距離離間した位置に設けられており、第2ピニオン42の回転中心O回りで120°間隔で3箇所設けられている。
また、係合凸部46の直径d1は、図4に示すラチェット部材110の係合孔111cの直径d2よりも若干小さくなっている。
これにより、モータの回転がラチェット部材110の第2ピニオン42に噛合する歯車列を介して出力部材側に伝達される。
すなわち、実施形態にかかるラチェットでは、ラチェット部材110は第2歯車41に対して一方向にのみ回転可能とされる。
さらに、図1に示すように、第2ピニオン42を重力方向の下方側に配設すると共に、ラチェット部材110を重力方向の上方側に配設した場合、係合凸部46の先端46aは、本体部111から僅かに突出しているので、本体部111と第2歯車41の収容部120の底面120aとの間にも隙間C2が確保されている。なお、第2ピニオン42を重力方向の上方側に配設すると共に、ラチェット部材110を重力方向の下方側に配設した場合には、本体部111と縮径部45との間に隙間C2に相当する隙間が形成されることになる。
よって、これら隙間C1、C2により、ラチェット部材110が反時計回り方向に回転する際に、腕部112の基端112bを支点とした弾性変形が阻害されないようになっている。
これにより、支持軸S3の径方向で弾性係合する爪部113と、ラチェット部材110の係合歯部121とでクラッチ機構100が構成されているので、従来例にかかる複合歯車のように、第2ピニオン42と第2歯車41のうちの一方を軸方向に変位させずに、回転の伝達/非伝達を切り換えることができる。
よって、クラッチ機構100を設けるために複合歯車を軸方向に大型化する必要がないので複合歯車の薄型化が可能になる。
また、ラチェット部材110の本体部111の外周面111aを、第2ピニオン42の外周の歯部42aよりも径方向内側の支持軸S3側に位置させたので、本体部111から伸びる腕部の基端112bは、第2ピニオン42の外周の歯部42aよりも内径側に位置する。
これにより、第2ピニオン42と第2歯車41との間に腕部112が弾性変形するための空間を確保でき、腕部112の断面積の確保や、腕部112の弾性変形を可能にするための長さを確保ができるので、腕部112の設計の自由度が向上し、腕部112の強度確保、所望の弾性の付与が可能になる。さらに、クラッチ機構100全体の径方向の大きさを小さくすることができる。
さらに、クラッチ機構100を設けるために、複合歯車の減速比を変更する必要が生じることもない。
第2ピニオン42とラチェット部材110とを一体に形成する場合には、本体部111の外周面111aが第2ピニオン42の外周よりも径方向内側の支持軸S3側に位置しており、ラチェット部材110の腕部112が、第2ピニオン42の外周よりも支持軸S3側である内側から延びているので、金型としてスライド型が必要になり、金型が複雑になるが、別体に形成することで、スライド型が不要になり、クラッチ機構100の作製コストの低減が可能になる。
このように構成すると、簡単な構成で、第2ピニオン42とラチェット部材110とを係合させることができるので、第2ピニオン42とラチェット部材110とを確実に一体回転させることができる。
このように構成すると、第2ピニオン42とラチェット部材110とが一体に回転する際に、係合凸部46の先端46aのみが底面120aを摺動する。
よって、ラチェット部材110の全体が底面120aに当接している場合に比べて、ラチェット部材110が回転する際の摺動面積が小さくなるので、ラチェット部材110の回転を妨げないようにするために摺動面の総てを精度良く平滑に形成しなくても良く、ラチェット部材110や第2歯車41の形成が容易になる。
さらに、摺動面に不適合箇所が存在しても、不適合箇所によりラチェット部材110の回転が阻害されて摺動ロスが大きくなるというリスクも小さくなる。よって、クラッチ機構100全体での摺動ロスを減らすことができる。
これにより、ラチェット部材110の腕部112が、第2ピニオン42の外周よりも径方向内側の支持軸S3側から延びていても、爪部113を有する腕部112の径方向への変位が、第2ピニオン42により阻害されない。
これにより、ラチェット部材110の腕部112を第2ピニオン42の外周から大きく径方向外側に突出させて設けずに済むようになるので、クラッチ機構100の径方向の大きさの短縮が可能になる。
さらに、ラチェット部材110と第2ピニオン42とを一体に形成するようにしても良い。
また、実施形態では第2車40にクラッチ機構100を設けたが、減速歯車列Gを構成する他の歯車(第3車50など)に設けるようにしても良い。
2 ケース
3 本体部
4 カバー
5 蓋部
6 仕切壁
10 ロータ
11 永久磁石
20 ステータ
21 コイル
22 ボビン
30 第1車
40 第2車
41 第2歯車
41a 歯部
42 第2ピニオン(第1歯車)
42a 歯部
43 歯車部
44 ボス部
45 縮径部
45a 面
45b 外周面
46 係合凸部
46a 先端
50 第3車
60 第4車
70 出力車
71 出力歯車
80 出力部材
82 連結部
100 クラッチ機構
110 ラチェット部材
111 本体部
112 腕部
113 爪部
120 収容部
121 係合歯部
121a 当接面
121b 傾斜面
121c 歯溝
G 減速歯車列
M モータ
S1〜S6 支持軸
Claims (6)
- 第1歯車と第2歯車とが第1軸上で同軸に設けられており、第1歯車と第2歯車との間の回転の伝達がクラッチ機構を介して行われるクラッチ付き複合歯車であって、
クラッチ機構は、
第1軸の軸方向で前記第1歯車と前記第2歯車との間に設けられており、
前記第1歯車と同軸に設けられて前記第1歯車と一体回転する本体部、および前記本体部の外周から延出し、係合爪を有する先端側が前記第1軸の径方向に変位可能な腕部を備えるラチェット部材と、
前記第2歯車に設けられて、前記径方向で前記係合爪が弾性係合する係合部と、を備え、
前記本体部の外周を、前記第1歯車の外周よりも前記径方向の内側に位置させ、
前記ラチェット部材と第1歯車とを別体に形成し、
前記本体部に、前記軸方向に貫通する貫通孔を設け、前記貫通孔に、前記第1歯車から前記本体部側に突出する突出部を係合させて、前記ラチェット部材と前記第1歯車とを一体回転可能とし、
前記突出部の先端は、前記本体部から突出して、第2歯車の前記ラチェット部材との対向面に当接しており、前記ラチェット部材と前記対向面との間に隙間が確保されていることを特徴とするクラッチ付き複合歯車。 - 第1歯車と第2歯車とが第1軸上で同軸に設けられており、第1歯車と第2歯車との間の回転の伝達がクラッチ機構を介して行われるクラッチ付き複合歯車であって、
クラッチ機構は、
第1軸の軸方向で前記第1歯車と前記第2歯車との間に設けられており、
前記第1歯車と同軸に設けられて前記第1歯車と一体回転する本体部、および前記本体部の外周から延出し、係合爪を有する先端側が前記第1軸の径方向に変位可能な腕部を備えるラチェット部材と、
前記第2歯車に設けられて、前記径方向で前記係合爪が弾性係合する係合部と、を備え、
前記本体部の外周を、前記第1歯車の外周よりも前記径方向の内側に位置させ、
前記第1歯車の前記第2歯車との対向面には、前記第1歯車よりも径の小さい縮径部が設けられており、前記本体部は前記縮径部に取り付けられて、前記第1歯車と前記腕部との間に隙間が形成されていることを特徴とするクラッチ付き複合歯車。 - 前記ラチェット部材と第1歯車とを別体に形成したことを特徴とする請求項2に記載のクラッチ付き複合歯車。
- 前記本体部には、前記軸方向に貫通する貫通孔が設けられており、前記貫通孔に、前記第1歯車から前記本体部側に突出する突出部を係合させて、前記ラチェット部材と前記第1歯車とを一体回転可能にしたことを特徴とする請求項3に記載のクラッチ付き複合歯車。
- 前記突出部の先端は、前記本体部から突出して、第2歯車の前記ラチェット部材との対向面に当接しており、前記ラチェット部材と前記対向面との間に隙間が確保されていることを特徴とする請求項4に記載のクラッチ付き複合歯車。
- 前記第2歯車の前記ラチェット部材との対向面には、前記ラチェット部材を収容する収
容部が形成されており、前記ラチェット部材は前記収容部内に配置されていることを特徴
とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のクラッチ付き複合歯車。
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