JP5241051B2 - 重合反応制御方法 - Google Patents

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Description

この発明は、重合反応御方法に係り、特に、溶存酸素量を操作し、重合率変化パターンをコントロールする技術に関する。
従来、ポリマーを合成する方法としては、槽内の重合温度を一定に保つようにしている。
つまり、槽内のモノマーに温度分布のバラツキが生じると、ポリマーの分子量の分布にバラツキが生じ、目標とする分子量分布をもったポリマーを合成することができないからである。
そこで上述の方法を実施するために、次の方法が実施されている。
第1の方法は、重合反応開始前は、予め定められた重合開始温度にするために、槽内に投入されたモノマーに熱を加える。このとき、槽の外周に付設した温度調節用手段であるジャケットに温度調節用流体として温水を循環させる。逆に重合反応が開始したときは、この重合反応に伴い発生した熱量を除去するためにジャケットに冷却水を循環して槽内の重合温度を一定に保っている。そして、重合反応が進行している間は、モノマーとポリマーからなる溶液中に含まれる重合反応の阻害要因としての溶存酸素を窒素で置換している。
また、第2の方法は、製造するポリマーの種類の応じて、冷却水や溶液などを槽内に直接滴下して重合反応によって発生する熱量を調節しながら重合温度を一定に保つようにしている。
発明が解決しようとする課題
しかしながら、これら従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、第1の方法では、ジャケットを循環する温度調節用流体で重合温度を調整しているため、重合熱を発する溶液から間接的に熱量を奪うことになっている。つまり、ジャケットによる温度調節では、時定数が大きいために十分に熱量を除去するだけの効果を得ることができず、重合温度を一定に保つことすら困難であり、重合温度をコントロールすることはできなかった。結果、目標とする分子量分布のポリマーを製造することができないといった問題がある。
また、第2の方法では、滴下できる冷却水などの量が槽容積によって制限されるため、十分に熱量を抑えることができないといった問題がある。また、滴下する冷却水などの量が多すぎると、ポリマーの分子量分布に直接影響を与え、目標とするポリマーを製造できないといった問題もある。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、重合反応を精度よくコントロールする重合反応制御方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
先ず、従来の第1および第2の方法では重合反応をコントロールすることは困難であることから、他の好適な方法を試行錯誤した結果、従来から重合反応の阻害要因として窒素と置換されていた溶存酸素が重合反応に影響を与えることについて本発明者は着眼した。
そこで、溶存酸素の量に応じて重合反応に与える影響についての実験を、本発明者は行った。
実験には、エマルジョン重合の粘着剤を製造する場合について行われ、モノマーとして、例えば、ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(AA)を使用した。また、適時に開始剤と乳化剤を使用した。
先ず、重合温度を58℃に設定し、溶存酸素量を4mg/L(リットル)と6mg/Lの場合について実験を行った。
その結果、溶存酸素量が4mg/Lの場合における重合率の変化は、図4のA線(点線)で示すように、開始剤投入後の重合開始ゼロ時点からt1の間、右上がりの直線的な変化となり、B線(実線)で示す6mg/Lの重合率の変化率(傾斜角)よりも大きくなっている。また、A線およびB線は、時点t1およびt2のように時間差はあるが、それぞれの時点を境にほぼ同じ重合率変化を示している。
すなわち、t1およびt2の時点までは溶存酸素が存在し、重合反応速度に影響を与えていることを示す。そして、溶存酸素量が多い程、重合反応速度を阻害することとなり、重合反応が安定する時点(溶存酸素が除去される時点)を遅延させている。そして、各線の傾きが重合反応速度を示していることにもなる。
次に、先の実験方法に対して、重合温度を+(プラス)5℃上げた63℃に設定し、重合反応を積極的に促進させる実験を行った。実験の結果、図5に示すように、溶存酸素量が4mg/Lと6mg/Lと条件が異なっていても、重合率の変化(t1´,t2´の位置)がほぼ近似した結果を得ることができた。すなわち、設定重合温度を高く設定することによって、ラジカルの発生量を多くし、溶存酸素量の除去効率を上げることができるのである。
すなわち、溶存酸素量を多くすれば重合反応速度を遅延させることができ、ひいては重合温度も低下させて重合率をコントロールすることができること、および、重合温度を所定の重合温度よりも高く設定することによって重合反応の初期段階で溶存酸素によって起因する誤差の要因を回避することができるという知見を、本発明者は得ることができた。
そこで、この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、槽内で重合反応させてポリマーを合成する過程において、
重合反応過程の重合率をモニタリングし、予め決めた目標重合率を超えるとき、冷却水に混合する酸素量を調整し、調整後の当該冷却水を槽内に滴下し、槽内の内容物に含まれる溶存酸素量を操作しながら重合反応を制御するものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の重合反応制御方法において、前記重合反応は、予め決めた目標とする重合率変化パターンに基づいて制御することを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の重合反応制御方法において、前記重合率変化パターンは、時間の経過とともに求まる重合反応速度を参照して重合率を制御することを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の重合反応制御方法において、さらに、重合温度も操作して重合反応を制御することを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の重合反応制御方法において、重合反応の開始前および重合反応を開始した時点から槽内のモノマーとポリマーからなる溶液に含まれる溶存酸素が除去されるまでの段階の重合温度を、その後の重合反応における所定の重合温度よりも高く設定するものである。
なお、本明細書は、次のような解決手段も開示している。
(1)槽内で重合反応させてポリマーを合成する過程において、
重合反応が開始した初期段階の重合温度を、その後の重合反応における所定の重合温度よりも高く設定したことを特徴とする重合反応制御方法。
重合反応の開始した初期段階の重合温度を、その後の重合反応における所定の重合温度よりも高く設定することによって、槽内の溶液中に含まれる重合反応の阻害要因である溶存酸素を速やかに除去させることができる。すなわち、複数ロットにわたって同じポリマーを製造したとき、初期段階で溶存酸素を速やかに除去することによって、後段の重合反応を安定させることができる、結果、ロット間の重合反応のバラツキが抑制され、全てのロットにおいて分子量分布が均一なポリマーを製造することができる。
作用
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
すなわち、重合反応の阻害要因である槽内に投入された内容物の溶存酸素量を操作することによって重合反応が制御される。つまり、内容物に含まれる溶存酸素量を減らすことによって重合反応を促進させ、逆に溶存酸素量を増加させることによって重合反応速度が遅延させられる。このように、溶存酸素量を操作して重合反応が制御される結果、重合率が制御される。
また、請求項2に記載の発明によれば、重合率変化パターンを制御することによって、請求項1の方法が好適に実施される。
また、請求項3に記載の発明によれば、重合率変化パターンは、時間の経過とともに求まる重合反応速度に応じて調節される。つまり、溶存酸素量の調節によって重合反応速度が制御され、ひいては重合率変化パターンが予測制御される。
また、請求項4に記載の発明によれば、溶存酸素量を操作することによって重合反応を遅延させ、逆に重合温度を操作することによって、重合反応が促進される。
また、請求項5に記載の発明によれば、開始剤の投入後の一定時間は所定の重合温度よりも高く設定することによって、ラジカルが多く発生して内容物に含まれる既存の溶存酸素が早く除去される。つまり、重合反応の阻害要因である溶存酸素を早く除去することによって、目標とする重合率変化パターンとの誤差を早く無くすことができる。また、一定時間経過後は槽内の溶存酸素が除去されるので、重合反応を操作するために投入する酸素量をコントロールし易くなる。
以下、図面を参照して本発明の重合反応制御方法の一実施形態について説明する。なお、本実施例では、ポリマーとしてエマルジョン重合の粘着剤(以下、適宜「粘着剤」という)を製造するときの重合率を制御する場合を例に採って図を参照しながら説明する。エマルジョン重合に使用されるモノマーには、例えば、ブチルアクリレート(BA)、アクリル酸(AA)を使用した。その他に開始剤と乳化剤も適時に使用した。
図1は本発明の方法を利用して求まる重合率変化パターンを示した図、図2は実施例装置の全体構成を示した図である。
本実施例では、図1の点線に示すように、粘着剤を製造する過程で、理論演算や実験などによって求めた目標重合率の変化パターンを予めモニタなどに表示し、この目標重合率の変化パターンに実線で示す実測により求まった重合率を重畳表示する。そして、実測により求まった実測重合率の変化パターンをモニタリングしながら、目標重合率の変化パターンと一致するように、図2に示す攪拌機1に付設し、温度調節流体を循環させるジャケット3の温度や、冷却水または酸素を混合した冷却水を槽内に直接滴下して重合反応速度をコントロールするようになっている。以下、具体的な方法について説明する。
先ず、粘着剤の製造過程で重合反応の開始前および開始した時点から10分経過するまでの初期段階では、重合温度を所定の58℃よりも+(プラス)5℃高い63℃に設定し、10分経過後は所定の重合温度(58℃)に徐々に下げてゆくように予め設定する。また、実験などにより求まった重合率の目標値と、重合反応速度の目標値とが予め設定入力される。これら目標値は、図1に示すように、目標重合率の変化パターンとして予めモニタに表示しておくことができ、この目標重合率の変化パターンに実測で求まる重合率を重畳表示する。
なお、初期段階で所定の重合温度よりも高く設定することによって、重合反応速度を促進させてラジカルの発生量を多くし、モノマーとポリマーの混合からなる溶液に含まれる溶存酸素を速やかに除去するようになっている。したがって、溶液に含まれる溶存酸素によって発生する初期段階での重合反応の遅延による誤差が防止できるようになっている。
次に、図1に示すように、2時間35分時点で開始剤がモノマーに滴下され、重合反応が開始する。そして、重合反応開始と同時に実測によって求まる重合率を目標重合率の変化パターンに重畳表示してゆく。
このとき、逐次求まる実測重合率と、予め設定入力された重合率の目標値および重合反応の目標値とが比較され、重合率の目標値からの偏差(conv)と重合反応速度の目標値との偏差(Δconv)とが求められる。重合反応速度の偏差(Δconv)は、重合率変化パターンの傾斜角の比較により求められる。
なお、目標重合率は、例えば、粘度と重合率との相関関係(相関式)を予め所定の粘着剤(ポリマー)ごとに実験によって求めておく。そして、粘着剤の製造過程で粘度計によって検出された粘度と相関式から重合率を求める。ただし、実測による重合率を求める方法は、この形式に限定されるものではない。
次に、求まった各偏差(conv,Δconv)に基づいて槽内の溶液温度の目標値(Tr)と、溶液中の溶存酸素濃度の目標値(c1)とを求める。この関係は次式(1)で表すことができる。
(Tr,c1)=f1(conv,Δconv) … (1)
そして、式(1)で求まった溶液温度の目標値(Tr)と、溶存酸素濃度の目標値(c1)に応じて、ジャケット温度の目標値(Tj)と、滴下冷却水温度の目標値(Tw)と、冷却水の量の目標値(m)、および冷却水中の溶存酸素濃度の目標値(c2)のそれぞれを求めるようになっている。この関係は、次式(2)で表すことができる。
(Tj,Tw,m,c2)=f2(Tr,c1) … (2)
そして、式(1)および式(2)を利用して逐次求まった各目標値(Tj,Tw,m,c2)に応じて操作量でジャケット温度、冷却水温度、冷却水の量、溶存酸素濃度などを適宜に操作することによって重合率の変化パターンが制御される。
例えば、モニタに予め表示された目標重合率の変化パターンに、実測により求まる実測重合率を重畳表示させ、図1の点Hに示すように、重合反応開始から10分間の初期段階で重合率が目標値よりも高くなるような場合、ジャケット3に冷却水を循環させて除熱を行うとともに、冷却水のみを攪拌槽2内に直接滴下する。このとき、ジャケット3への冷却水の循環の選択と、滴下冷却水温度および量の調節については、式(2)で求まった各目標値によって決められる。
なお、初期段階で冷却水のみを滴下する理由は、この段階で重合反応の阻害要因である溶存酸素が既存しているので、酸素を混合した冷却水を槽内に滴下しすぎると、重合反応を必要以上に阻害してしまう可能性があるからである。そのため、初期段階では酸素を混合しない冷却水のみを滴下することが好ましい。
冷却水を滴下した後、実測重合率と目標重合率との偏差が小さくなる方向、つまり、図1に示す実測重合率の変化パターンが目標重合率に近づく方向にあればそのままの状態で重合反応を維持させる。
逆に、冷却水を滴下したにも関わらず、重合率が低下しない場合、酸素を混合した冷却水を槽内に直接滴下する。つまり、重合反応速度を積極的に遅延させて重合反応を阻害し、目標重合率の変化パターンと一致するように実測重合率を低下させる。
なお、初期段階の経過後は、槽内の酸素および溶液中の溶存酸素が除去された状態となるので、この時点を境に冷却水に混合する酸素濃度の調節をしやすくなる、結果、重合率変化のパターンを制御しやすくなる。
また、図1の点Lに示すよう、重合率が目標値よりも低くなるような場合は、次のような方法をとる。
例えば、重合率の低下が確認された場合に、その時点からしばらく重合反応状態(重合率の変化パターン)をモニタリングする。そして、実測による重合率が目標値に近づく方向にあれば、そのままの重合反応を維持させる。
逆にモニタリングした結果、実測による重合率が目標値から遠ざかる方向にある場合は、ジャケット3に温水を循環させ、重合反応を積極的に促進させるようにする。
なお、本実施例の方法では、初期段階で所定の重合温度に対して+5℃高く設定しているが、この温度範囲は条件に応じて+5℃以内の範囲で適時に設定変更される。+5℃以内の範囲であれば、所定の重合温度に戻し易いからである。逆に+5℃を越えると、所定の重合温度に戻し辛くなるからである。
上述の操作を適宜に繰り返すことによって、実測重合率を目標重合率と一致するように制御することができる、結果、目標とする分子量分布の粘着剤を製造することができる。
次に、上述の実施例方法を実施するための装置構成について図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、本実施例装置は、大きく分けて攪拌機1と、重合温度をコントロールする重合温度制御系と、攪拌機内に滴下する冷却水に混合する酸素の濃度をコントロールする溶存酸素制御系と、重合温度制御系と溶存酸素制御系をコントロールする重合率コントローラ6と、各種条件を設定入力する操作部14と、種々の情報類を表示するモニタ15とから構成されている。
攪拌機1は、攪拌槽2と、攪拌槽2の中心部の上下部を貫通した回転軸4に取り付けられた攪拌翼5(図2では「格子翼」)とを備えるとともに、攪拌槽2の外周側には温度調節用流体を循環させるための温度調節用手段としてのジャケット3が付設されている。なお、回転軸4の上部には、図示しないが回転駆動手段が連接されている。
また、攪拌槽2には、攪拌槽内の温度を検出する温度計S1と、溶液の溶存酸素濃度を検出する溶存酸素計S2と、重合率を求めるために必要な粘度を検出する粘度計S3とが挿通されている。
温度計S1は、槽内の溶液温度を逐次検出し、重合温度コントローラ7に送るようになっている。
溶存酸素計S2は、検出した槽内の溶存酸素濃度を冷却水溶存酸素コントローラ13Bに送るようになっている。
粘度計S3は、槽内の溶液の粘度を検出し、重合率コントローラ6に送るようになっている。
次に、重合温度制御系は、重合温度コントローラ7を備え、さらにその後段にジャケット温度コントローラ8からなる系統と、冷却水温度コントローラ13Aからなる系統とから構成されている。なお、図面では説明の便宜上、冷却水温コントローラ13Aと、冷却水溶存酸素コントローラ13Bとが一体構成となっている。
重合温度コントローラ7は、重合率コントローラ6から入力された溶液温度の目標値と、温度計S1によって検出された溶液温度とを比較し、温度偏差をジャケット温度コントローラ8と冷却水温度コントローラ13Aに送るようになっている。
ジャケット温度コントローラ8は、温度調節流体の温水または冷却水をジャケット3に供給するための配管システムを備えている。
配管システムは、温度調節用流体をジャケット3に供給・排出循環させるための配管R1を備えている。この配管R1には、攪拌槽2内の温度を上げるために配管R1、およびジャケット3を流通する温度調節用流体の温度を上昇させる配管加熱部9が設けられている。また、配管R1には、攪拌槽2を冷却するために配管R1を循環する温水を排出するための調節バルブV2が備えられているとともに、調節バルブV2を開放して温水を排出したときに冷却水を供給するための配管R3が調節バルブ3を介して連通接続されている。
また、配管加熱部9には、配管R1が貫通している。また、その内部に蒸気が供給されるように調節バルブV1を備えた配管R2が連通接続されている。つまり、調節バルブV1を開放して配管加熱部9の内部に蒸気を供給することによって配管R1を流通する温度調節用流体の温度が上げられるようになっている。
また、ジャケット3の温度調節用流体の排出側には温度センサS4が取り付けられており、ジャケット3を流通した温度調節用流体の温度変化を逐次検出するようになっている。そして、検出された結果は、ジャケット温度コントローラ8に送られるようになっている。
ジャケット温度コントローラ8は、温度センサS4で検出された温度と重合温度コントローラ7から入力されたジャケット温度の目標値とから温度偏差を求め、求まった温度に応じて流体(温水または冷却水)を選択してジャケット3に循環させるようになっている。
冷却水温度コントローラ13Aは、後述する冷却水の供給槽10に蓄積された冷却水の温度を、温度計S6によって逐次検出された温度に基づいて調節している。つまり、ジャケット11を循環させる温度調節流体の温度を適時に調節して冷却水の温度をコントロールするようになっている。なお、本実施例の場合、冷却水温度を10℃の一定に保っている。
次に、溶存酸素制御系は、冷却水を蓄えた供給槽10と、冷却水に酸素を供給する酸素供給系と、冷却水に酸素を混合するスタティックミキサ12と、冷却水への酸素の混合を制御する冷却水溶存酸素コントローラ13Bとから構成されており、これらの構成を総括的にコントロールする溶存酸素コントローラ13を備えている。
供給槽10には、冷却水を冷却・保持するためのジャケット11が外周側に付設されている。また、冷却水および槽内の溶存酸素を脱気するために、槽の上下方向に連通接続されたそれぞれの配管から窒素(N)が供給されるようになっており、置換された酸素は、排気管から排気されるようになっている。なお、槽内に挿通された溶存酸素計S5によって槽内の酸素量が逐次管理されており、本実施例では、溶存酸素量が2mg/Lに調節されている。
また、供給槽10には温度計S6が挿通されている。ただし、この温度計S6からの検出結果は、溶存酸素制御系ではなく、重合温度制御系の冷却水温度コントローラ13Aに入力されるようになっている。
供給槽10から供給される冷却水と酸素供給系から供給される酸素(O)は、各配管に連接された調節バルブV4およびV5のそれぞれを冷却水溶存酸素コントローラ13Bで開閉操作されることによって、それぞれ所定の量がスタティックミキサ12に供給されるようになっている。
スタティックミキサ12は、供給されてきた冷却水と酸素を攪拌・混合して冷却水中に酸素を溶存させるようになっている。そして、酸素が混合された冷却水は、攪拌槽2内に直接滴下されるようになっている。
なお、酸素と、冷却水および酸素が混合された冷却水は、各配管に取り付けられた流量計F1およびF2によってそれぞれの流量が逐次測定され、冷却水溶存酸素コントローラ13Bにフィードバックされるようになっている。
なお、本実施例の装置構成図では、図面が複雑化するために攪拌機内の酸素を窒素に置換する構成を省略している。
次に、上述の実施例装置を、図3に示すブロック図を用いて一巡の動作を説明する。
先ず、重合率の目標値と、重合反応速度の目標値のそれぞれが重合率コントローラ6に入力される。また、それぞれの目標値と、重合反応開始と同時に実測により求まる重合率とが微分器に入力され、重合率の目標値との偏差(conv)と、重合反応速度の目標値との偏差(Δconv)とが求められ、これら偏差も重合率コントローラ6に入力される。そして、重合率コントローラ6から後段は、重合温度制御系と、溶存酸素量制御系の2つに分岐され、それぞれが適時に同時制御されるようになっている。
重合率コントローラ6では、入力された重合率の目標値との偏差(conv)と、重合反応速度の目標値との偏差(Δconv)とに基づいて上記式(1)より求まる溶液温度の目標値(Tr)が重合温度制御系へ出力され、溶液中の溶存酸素濃度の目標値(c1)が溶存酸素制御系に出力される。このとき、槽2内に滴下する冷却水の量の目標値(m)も求められるようになっている。
重合温度制御系は、重合温度コントローラ7と、その後段に、さらにジャケット3の温度をコントロールするジャケット温度コントローラ8と、槽内に滴下する冷却水の温度をコントロールする冷却水温度コントローラ13Aとを備えた構成となっている。そして、ジャケット温度コントローラ8と冷却水温度コントローラ13Aは、重合温度コントローラ7によって適時に同時制御されるようになっている。
先ず、重合温度コントローラ7では、重合率コントローラ6から入力された溶液温度の目標値(Tr)と、槽2に挿通された温度計S1によって検出され、フィードバックされた槽内(溶液温度)の温度とが比較され、ジャケット温度の目標値(Tj)が求められる。求まった目標値(Tj)は、ジャケット温度コントローラ8に入力される。
そして、ジャケット温度コントローラ8は、第1プロセスP1でジャケット3に循環させる温度調節用流体を選択し、配管システムを操作して流体の温度・量などを調節する。
同時に溶液温度の目標値(Tr)と、温度計S6によって検出された供給槽10内の冷却水の温度とが比較され、滴下冷却水温度の目標値(Tw)が求められる。求まった目標値(Tw)は、冷却水温度コントローラ13Aに入力される。
そして、冷却水温度コントローラ13Aは、第2プロセスP2で供給槽10の冷却水の温度を10℃に保つようにし、調節バルブV4を操作して冷却水の量を調節しながら槽内に冷却水のみを滴下する。なお、本実施例の場合、冷却水温度は、10℃となるように保たれており、滴下量のみが調節されるようになっているが、冷却水の温度も適宜に調節することがより好ましい。
そして、第1プロセスP1および第2プロセスP2を同時処理することによって第3プロセスP3で槽内の溶液温度が調節される。また、第3プロセスP3で温度計S1によって検出された溶液温度は、逐次重合率コントローラ6にフィードバックされる。
溶存酸素制御系は、上手から順に、溶存酸素コントローラ13と、冷却水溶存酸素コントローラ13Bとを備えている。
先ず、溶存酸素コントローラ13では、重合率コントローラ6から入力された溶液中の溶存酸素の目標値(c1)と、槽2に挿通された溶存酸素計S2によって検出され、フィードバックされた溶存酸素濃度とが比較され、冷却水中の溶存酸素濃度(c2)が求められる。求まった溶存酸素濃度(c2)は、冷却水溶存酸素コントローラ13Bに入力される。
そして、冷却水溶存酸素コントローラ13Bは、調節バルブV4,V5の開閉操作を行って冷却水の量と、混合する酸素量を調節してスタティックミキサ12に供給する。そして、第4プロセスP4においてスタティックミキサ12内で冷却水に酸素を混合して槽2内にこの冷却水を滴下する。
そして、第5プロセスP5で槽2内の溶液の溶存酸素濃度が調節される。また、第5プロセスP5で溶存酸素計S2によって検出された溶存酸素濃度は、逐次溶存酸素コントローラ13にフィードバックされる。
上述のように、重合温度制御系と溶存酸素制御系の両方を適時に同時制御することによって、第6プロセスP6で実測重合率が目標重合率と一致するように調節されることになる。そして、この第6プロセスP6で粘度計S3によって逐次検出された粘度は重合率コントローラ6にフィードバックされ、相関式により実測の重合率が求められる。
本発明は、上記実施の形態に限られることなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上記実施例では、エマルジョン重合を例に採って説明したが、この形態に限定されるものはなく、溶液重合にも適用できる。この場合、槽内に滴下するものは冷却水ではなく溶液を滴下して溶液温度コントロールするようにすればよい。
(2)上記実施例では、攪拌槽2の上下に貫通した回転軸4に格子翼5を備えた形態のものを使用しているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、回転軸は上方に片持ちされた形態であってもよいし、翼5も平板翼などであってもよい。
発明の効果
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、溶存酸素量を操作することによって、重合反応速度を制御することができる。つまり、溶存酸素は重合反応の阻害要因として作用するので、槽内の溶存酸素の量を減らせば効率よく重合反応を促進することができる。逆に槽内の溶存酸素量を増やせば重合反応速度を遅延させることができ、結果、重合温度を低下させることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、重合率変化パターンを操作して予め求められた所定の重合率変化パターンと一致させることによって、目標とする分子量が分布したポリマーの再現性の向上を図ることができる。すなわち、ポリマーの製造歩留まりの向上を図ることができる。
また、重合率変化パターンを任意に操作することができるので、分子量分布の異なった複数種類のポリマーを容易に再現することができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、時々刻々に変化する重合率変化パターンをモニタなどに表示し、重合率変化パターンの傾きを参照することによって、現時点以降の重合率変化パターンを推測することができる、結果、制御精度の向上を図ることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、溶存酸素量を操作することによって重合反応を遅延させることができ、逆に重合温度を操作することによって、重合反応を促進させることができる。したがって、重合率変化パターンを任意に操作することができる。
さらに、請求項5に記載の発明によれば、開始剤の投入後の一定時間は所定の重合温度よりも高く設定することによって、ラジカルが多く発生して内容物に含まれる既存の溶存酸素を早く除去することができる。つまり、重合反応の阻害要因である溶存酸素を早く除去することによって、目標とする重合率変化パターンとの誤差を早く無くすことができる。
また、一定時間経過後は槽内の溶存酸素が除去されるので、重合反応を操作するために投入する酸素量を容易にコントロールすることができる。
実施例方法によって求まる重合率変化パターンを示した図である。 実施例装置の全体構成を示した図である。 実施例装置の全体構成を示したブロック図である。 実験により求まった重合率変化パターンを示した図である。 実験により求まった重合率変化パターンを示した図である。
1 … 攪拌機
6 … 重合率コントローラ
7 … 重合温度コントローラ
8 … ジャケット温度コントローラ
10 … 供給槽(冷却水)
12 … スタティックミキサ
13 … 溶存酸素コントローラ
13A… 冷却水温度コントローラ
13B… 冷却水溶存酸素コントローラ
S1 … 温度計(攪拌機用)
S2 … 溶存酸素計(攪拌機用)
S3 … 粘度計
S4 … 温度センサ
S5 … 溶存酸素計(供給槽用)
S6 … 温度計(供給槽用)
R1〜5 … 配管
F1,2 … 流量計
V1〜5 … 調節バルブ
P1〜6 … プロセス

Claims (5)

  1. 槽内で重合反応させてポリマーを合成する過程において、
    重合反応過程の重合率をモニタリングし、予め決めた目標重合率を超えるとき、冷却水に混合する酸素量を調整し、調整後の当該冷却水を槽内に滴下し、槽内の内容物に含まれる溶存酸素量を操作しながら重合反応を制御することを特徴とする重合反応制御方法。
  2. 請求項1に記載の重合反応制御方法において、
    前記重合反応は、予め決めた目標とする重合率変化パターンに基づいて制御することを特徴とする重合反応制御方法。
  3. 請求項2に記載の重合反応制御方法において、
    前記重合率変化パターンは、時間の経過とともに求まる重合反応速度を参照して重合率を制御することを特徴とする重合反応制御方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の重合反応制御方法において、
    さらに、重合温度も操作して重合反応を制御することを特徴とする重合反応制御方法。
  5. 請求項4に記載の重合反応制御方法において、
    重合反応の開始前および重合反応を開始した時点から槽内のモノマーとポリマーからなる溶液に含まれる溶存酸素が除去されるまでの段階の重合温度を、その後の重合反応における所定の重合温度よりも高く設定する
    ことを特徴とする重合反応制御方法。
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