JP5239758B2 - 積層シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、積層シートの製造方法に関する。
フッ素樹脂は、耐熱性、耐候性、耐薬品性、離型性、表面潤滑性(低摩擦性)、難燃性、電気特性など多くの有用な特性を有する高機能樹脂であるため、多種多様な用途に利用されている。しかし、フッ素樹脂は、一般に高温下でも安定ではあるものの、高温下における強度や寸法安定性などの熱に対する機械的特性については、他の耐熱性樹脂に比べて劣っている。
そこで、フッ素樹脂の熱に対する機械的特性を向上させ、用途や使用環境を広げるために、フッ素樹脂と耐熱材料とを複合させることが行われている。具体的には、熱に対する機械的特性に優れるフィルムとフッ素樹脂とを積層した積層シートが知られている。しかし、該積層シートは、前記フィルムとフッ素樹脂との接着性や、前記フィルム自体の耐候性が、長期使用や屋外使用に適用するには不充分であった。
一方、繊維からなる布や、不織布を補強材として、該補強材とフッ素樹脂とを積層した積層シートが示されている(例えば、特許文献1〜3)。特許文献1の積層シートは、補強材の繊維間、もしくは糸間にフッ素樹脂が入り込んでいるために、該補強材とフッ素樹脂とが一体化しており、優れた接着性を有している。また、該補強材は、長期にわたる使用や屋外での使用に対して充分な耐候性を有している。
国際公開第08/105298号パンフレット 特開2001−225423号公報 特開平6−170978号公報
しかし、特許文献1、2のような積層シートは、各々の積層シートをその都度積層するバッチ式で製造されているため、生産性に劣っていた。また、特許文献3の積層シートの製造方法は、溶融したフッ素樹脂を帯状の補強材上に供し、これを上下からエンドレスベルトで加圧して連続的に製造する方法である。しかし、該製造方法には特殊な装置を必要とするため、加熱ロールを用いる一般的な既存設備にそのまま適用することができなかった。
加熱ロールを用いて積層シートを連続的に積層する方法としては、帯状のフッ素樹脂フィルムと補強材とを加熱ロールにより加熱加圧しながら積層していく方法が挙げられる。この場合、フッ素樹脂フィルムと補強材とを充分な接着強度で積層するには、フッ素樹脂フィルムをその融点以上まで加熱した状態で積層する必要がある。しかし、フッ素樹脂フィルムは融点以上まで加熱すると強度がなくなるため、フィルムの破断や加熱ロールからの離型不良などが生じ、連続的に積層していくことが困難である。特殊な装置を用いればこの問題を解決できると考えられるが、それでは既存設備に適用できない。
以上の理由から、既存設備をそのまま用いることができ、高い接着強度で補強材とフッ素樹脂フィルムとが積層された積層シートを連続的に製造できる方法が望まれている。
そこで本発明では、既存の製造設備にも適用することができ、補強材であるガラス繊維網状体とフッ素樹脂フィルムとを高い接着強度で連続的に積層することができる積層シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の積層シートの製造方法は、フッ素樹脂フィルムと、バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定したガラス繊維網状体とが積層された積層シートを製造する方法であって、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムAと、前記ガラス繊維網状体と、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムBと、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムCとを、この順に重ねた状態で、前記フッ素樹脂フィルムCに接する金属製の第1のロール(温度T(℃))、および前記第1のロールと対向して前記フッ素樹脂フィルムAに接する、ロール表面がゴム製の第2のロール(温度T(℃))により、T>T>T、かつT>T>Tの条件で連続的に加熱加圧して、前記ガラス繊維網状体の開口部において前記フッ素樹脂フィルムAと前記フッ素樹脂フィルムBとを溶融接着するとともに、前記フッ素樹脂フィルムBを前記フッ素樹脂フィルムCに溶融接着して積層することを特徴とする方法である。
また、本発明の積層シートの製造方法は、フッ素樹脂フィルムと、バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定したガラス繊維網状体とが積層された積層シートを連続的に製造する方法であって、融点がTのフッ素樹脂フィルムAと、前記ガラス繊維網状体と、融点がTのフッ素樹脂フィルムBを融点がTのフッ素樹脂フィルムCに溶融接着させた積層フィルムとを、前記フッ素樹脂フィルムCが外側になるようにこの順に重ねた状態で、前記フッ素樹脂フィルムCに接する金属製の第1のロール(温度T(℃))、および前記第1のロールと対向して前記フッ素樹脂フィルムAに接する、ロール表面がゴム製の第2のロール(温度T(℃))により、T>T>T、かつT>T>Tの条件で連続的に加熱加圧して、前記ガラス繊維網状体の開口部において前記フッ素樹脂フィルムAと前記フッ素樹脂フィルムBとを溶融接着して積層することを特徴とする方法である。
また、本発明の積層シートの製造方法は、前記フッ素樹脂フィルムAの融点Tと前記フッ素樹脂フィルムBの融点Tの差が15℃以下であることが好ましい。
また、前記フッ素樹脂フィルムCの融点Tと前記フッ素樹脂フィルムBの融点Tの差(T−T)が10〜100℃であることが好ましい。
また、前記ガラス繊維ヤーンの太さが200〜2000デニールであり、かつ前記ガラス繊維網状体における互いに平行なガラス繊維ヤーン同士の間隔が3〜100mmであることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、補強材であるガラス繊維網状体とフッ素樹脂フィルムとが高い接着強度で積層された積層シートを連続的に製造することができる。また、本発明の製造方法は、既存の製造設備にも適用することができる。
本発明の積層シートの製造方法は、フッ素樹脂フィルムと、バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定したガラス繊維網状体とが積層された積層シートを連続的に製造する方法である。
以下、本発明の製造方法の実施形態の一例について詳細に説明する。
[第1実施形態]
本実施形態の積層シートの製造方法は、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムAと、ガラス繊維網状体と、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムBと、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムCとを、この順に重ねた状態で、フッ素樹脂フィルムCに接する温度Tの第1のロール、および該第1のロールと対向してフッ素樹脂フィルムAに接する温度Tの第2のロールにより連続的に加熱加圧して積層する方法である。
ただし、本発明において第1のロールの温度Tおよび第2のロールの温度Tとは、それぞれのロールの表面温度を意味する。
図1に、本実施形態の製造方法に用いることができる製造装置の一例を示す。
製造装置1は、図1に示すように、フッ素樹脂フィルムAを収容するボビン21と、フッ素樹脂フィルムBを収容するボビン22と、フッ素樹脂フィルムCを収容するボビン23と、ガラス繊維網状体Xを収容するボビン24と、フッ素樹脂フィルムA〜Cとガラス繊維網状体Xを加熱加圧して積層させる第1のロール11(以下、「ロール11」という。)および第2のロール12(以下、「ロール12」という。)と、得られた積層シートYを収容するボビン25とを有している。また、フッ素樹脂フィルムA〜C、ガラス繊維網状体X、積層シートYを搬送する搬送ロール13を有している。
フッ素樹脂フィルムA、フッ素樹脂フィルムBおよびフッ素樹脂フィルムCに用いることができるフッ素樹脂は特に限定されず、例えば、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、EPE(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、ECTFE(クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリビニルフルオライド)、THV(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体)、VDF−HFP(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、TFE−P(フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体)が挙げられる。なかでも、成型加工性や汎用性に優れる点から、ETFE、PVDF、PVFが好ましく、強度や耐候性の点からETFEが特に好ましい。
フッ素樹脂フィルムA〜Cの融点は、例えば、条件を満たす市販品のフッ素樹脂フィルムから適宜選択することで調整することができる。
フッ素樹脂フィルムAとフッ素樹脂フィルムBは、フィルム同士が融着して一体化しやすいために界面剥離をなくすことが容易になる点から、溶融接着し得るフッ素樹脂同士を選択することが好ましく、同じモノマー種からなるフッ素樹脂(モノマーの割合は異なっていてもよい。)を選択することがさらに好ましく、同じモノマー種かつ同じモノマー割合からなるフッ素樹脂を選択することが特に好ましい。
また、フッ素樹脂フィルムCとフッ素樹脂フィルムBは、フッ素樹脂フィルムBが融着してフッ素樹脂フィルムCと一体化し、界面剥離をなくすことが容易になる点から、溶融接着し得るフッ素樹脂同士を選択することが好ましく、同じモノマー種からなるがモノマー割合は異なるフッ素樹脂を選択することがさらに好ましい。
また、フッ素樹脂としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を用いても構わないが、PTFEは前述のフッ素樹脂に比べて成型加工性に劣る。そのため、特にフッ素樹脂フィルムAとフッ素樹脂フィルムBについては、PTFEを用いずにETFE、PVDF、PVFを用いることがより好ましい。
フッ素樹脂フィルムA〜Cには、無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤や、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤などの添加剤が添加されていてもよい。
フッ素樹脂フィルムBおよびフッ素樹脂フィルムCの厚みは、10〜300μmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。これらのフッ素樹脂フィルムの厚みが10μm以上であれば、製造装置1における搬送時に該フィルムにシワが発生することを抑えやすく、取り扱い性により優れる。また、これらのフッ素樹脂フィルムの厚みが300μm以下であれば、該フィルムの剛性が高くなりすぎて取り扱い難くなることを抑制しやすい。
フッ素樹脂フィルムAの厚みは、ガラス繊維網状体Xを介してフッ素樹脂フィルムBおよびフッ素樹脂フィルムCと対になるため、積層シートYのバランスの点からそれらのフィルムの厚みの合計と同等とすることが好ましい。フッ素樹脂フィルムAの厚みとしては、20〜600μmであることが好ましく、30〜400μmであることがより好ましい。
ガラス繊維網状体Xは、バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定したものである。
ガラス繊維ヤーンに用いられるガラス繊維としては、例えば、Eガラス(電気用無アルカリガラス)、Sガラス(高強度ガラス)、Dガラス、石英ガラス、シリカガラス(低誘電ガラス)、Cガラスなどが挙げられる。
ガラス繊維の太さは、2〜15μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましい。ガラス繊維の太さが2μm以上であれば、ガラス繊維が折れ難く取り扱い性が向上し、かつ安価に入手できる。また、ガラス繊維の太さが15μm以下であれば、ガラス繊維ヤーンの剛性が高くなりすぎて取り扱いが困難になることを抑制しやすい。
ガラス繊維ヤーンの太さは、200〜2000デニールであることが好ましく、300〜1500デニールであることがより好ましい。ガラス繊維ヤーンの太さが200デニール以上であれば、機械的強度に優れた積層シートYが得られやすい。また、ガラス繊維ヤーンの太さが2000デニール以下であれば、得られる積層シートYの厚みが厚くなりすぎることを抑制しやすい。
ガラス繊維網状体Xにおいて、ガラス繊維ヤーンを網目状に配置する形態としては、例えば、縦方向および横方向にガラス繊維ヤーンをそれぞれ平行に配置して網目状とした形態(形態(1))、縦方向と、該縦方向となす角がα、β(0°<α<90°、−90°<β<0°)の斜め2方向との3方向に、ガラス繊維ヤーンをそれぞれ平行に配置して網目状とした形態(形態(2))、縦方向および横方向と、該縦方向となす角がα、β(0°<α<90°、−90°<β<0°)の斜め2方向との4方向に、ガラス繊維ヤーンをそれぞれ平行に配置して網目状とした形態(形態(3))が挙げられる。
ガラス繊維網状体Xにおける互いに平行なガラス繊維ヤーンの間隔は、3〜100mmであることが好ましく、4〜50mmであることがより好ましく、5〜30mmであることがよりさらに好ましい。前記間隔が3mm以上であれば、各ガラス繊維ヤーンにより形成されるガラス繊維網状体Xの開口部を大きくして、該開口部におけるフッ素樹脂フィルムAとフッ素樹脂フィルムBとの接着性を向上させることが容易になる。
ガラス繊維網状体Xにおけるガラス繊維ヤーンの間隔は、必ずしも等間隔でなくてもよいが、接着強度が均一な積層シートYが得られやすい点から、等間隔であることが好ましい。
また、縦方向、横方向、および斜め方向にそれぞれ平行に配置されたガラス繊維ヤーンの間隔は、各々異なる間隔であってもよい。
ガラス繊維ヤーンを網目状に固定(目止め)するバインダーは、ガラス繊維ヤーン同士を充分に固定できるものを用いることができる。すなわち、ガラス繊維網状体Xを搬送ロールにより搬送することができ、ロールによる加熱においても目止め部分が保たれて目ズレを生じず、変色しないものを用いることができる。
バインダーとしては、例えば、アクリル系やフッ素系のバインダーが挙げられる。
アクリル系バインダーとしては、例えば、アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
フッ素系バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレンとビニルエーテルの共重合体が挙げられる。フッ素系バインダーとしては、接着性や耐熱性の点から、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレンとビニルエーテルの共重合体が好ましい。
アクリル系バインダーは、汎用性に優れ種類も豊富である。また、安価に入手しやすい材料の一つであり、その中でも比較的優れた耐熱性や耐候性を有しているため、積層シートYに特に高い耐候性が要求されない場合に好適に使用できる。これに対し、積層シートYが屋外で使用されるために特に優れた耐候性が要求される場合には、フッ素系バインダーを用いることが好ましい。
バインダーは、溶液や水分散液(エマルジョン、ディスパージョンなど)のバインダー液として用いることが好ましい。また、バインダー液には、必要に応じて、バインダーの液特性を改善するための添加剤(増粘剤、減粘剤、消泡剤など)、紫外線吸収剤、着色剤(有機顔料、無機顔料など)が添加されていてもよい。
バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、網目状に配置したガラス繊維ヤーンに、グラビアコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティングなどによりバインダー液を塗布し、ロールスクイズ法やエアナイフ法などで余分な液を掻き落とした後、熱風や加熱ロールにより乾燥し、ガラス繊維ヤーンを固定する方法が挙げられる。
バインダーの塗布量は、ガラス繊維ヤーンの太さ、ガラス繊維ヤーン間のピッチや配置方向によっても異なるが、1〜20g/mであることが好ましい。バインダーの塗布量が1g/m以上であれば、目止めによりしっかりと固定されたガラス繊維網状体Xが得られやすい。バインダーの塗布量が20g/m以下であれば、過剰な量のバインダーが付着して、ガラス繊維網状体Xの開口部を塞ぐことを防ぎやすい。
ロール11は金属製のロールである。ロール11としては、例えば、金属表面に硬質クロムメッキを施した鏡面ロールであって、誘電ヒーター、熱媒などによりロールを加熱する加熱機構を有するロールが挙げられる。
ロール12は表面がゴム製のロールである。ロール12としては、例えば、金属ロールの表面に、弾性を有しかつ耐熱性に優れたシリコンゴムやフッ素ゴムが貼り付けられたロールが挙げられる。また、ロール12を加熱する場合には、誘電ヒーター、熱媒などによりロールを加熱する加熱機構を用いることができる。
得られる積層シートYは、フッ素樹脂フィルムA、ガラス繊維網状体X、フッ素樹脂フィルムB、フッ素樹脂フィルムCがこの順に積層された積層体である。
積層シートYの厚みは、50〜1000μmであることが好ましく、100〜800μmであることがより好ましい。ただし、積層シートの厚みとは、積層シートのうち、ガラス繊維ヤーンが存在せずフィルムのみの部分、および1本のガラス繊維ヤーンが存在する部分(ガラス繊維ヤーン同士の交点部分は除く)の厚みを、複数の箇所で偏りなく測定した値の平均値である。
積層シートYの厚みが50μm以上であれば、充分な機械的強度を有する積層シートYが得られやすい。また、積層シートYの厚みが1000μm以下であれば、積層シートYの剛性が高くなりすぎて取り扱いが困難になることを抑制しやすい。
積層シートYは、高強度かつ高弾性なガラス繊維網状体Xが積層されているため、破断強度および破断伸度が共に向上し、クリープの小さい積層シートとなる。
具体的には、例えばフッ素樹脂としてETFEを用いた場合、ETFE樹脂単体フィルムは破断強度が50〜70MPa、破断伸度350〜400%である(いずれについてもJIS K7127に準拠した方法による測定)のに対し、本発明の積層シートYは、より薄い厚みで同等以上の破断強度と高い弾性率が得られる。
以下、本実施形態の製造装置1を用いた製造方法における作用について説明する。
ボビン21、22、23および24からフッ素樹脂フィルムA〜Cおよびガラス繊維網状体Xをロール11およびロール12へと供給し、フッ素樹脂フィルムA、ガラス繊維網状体X、フッ素樹脂フィルムB、フッ素樹脂フィルムCの順に重ねた状態で、フッ素樹脂フィルムCに接するロール11とフッ素樹脂フィルムAに接するロール12により加熱加圧して溶融接着することにより積層し、得られる積層シートYをボビン25に収容する。
この積層シートの製造方法では、前述のフッ素樹脂フィルムA、ガラス繊維網状体X、フッ素樹脂フィルムBおよびフッ素樹脂フィルムCを、T>T>T、かつT>T>Tの条件を満たすようにして、ロール11およびロール12により加熱加圧して溶融接着することにより積層することを特徴とする。
フッ素樹脂フィルムCの融点Tはロール11の温度Tおよびロール12の温度Tよりも高いため、ロール11およびロール12により加熱加圧する際にフッ素樹脂フィルムCは溶融しない。そのため、積層において、フッ素樹脂フィルムCがロール11から離型せずに付着してしまうことを防止できる。
一方、フッ素樹脂フィルムBの融点Tはロール11の温度Tよりも低いため、ロール11およびロール12により加熱加圧した際にフッ素樹脂フィルムBが溶融する。溶融したフッ素樹脂フィルムBはガラス繊維網状体Xの開口部に押し込まれてフッ素樹脂フィルムAと接着し、それと同時にフッ素樹脂フィルムCとも接着する。
また、フッ素樹脂フィルムAの融点Tはロール11の温度Tよりも低いため、ロール11およびロール12により加熱加圧する際、フッ素樹脂フィルムAのロール11側の表面が溶融する。これにより、フッ素樹脂フィルムAにおいて溶融したロール11側の表面がガラス繊維網状体Xの開口部に押し込まれ、同じく該開口部に押し込まれた溶融しているフッ素樹脂フィルムBと接着することで、高い接着強度で積層された積層シートYが得られる。
一方、フッ素樹脂フィルムAの融点Tはロール12の温度Tよりも高いため、フッ素樹脂フィルムAのロール12との接触面は溶融しない。これにより、フッ素樹脂フィルムAがロール12から離型せずに付着してしまうことを防止できる。
本実施形態では、金属製のロール11および表面がゴム製のロール12を用いることで、ロール12の弾性面による加圧によって、加熱により溶融したフッ素樹脂フィルムAおよびBのフッ素樹脂をガラス繊維網状体Xの開口部に充分に押し込むことができ、また加圧の際に積層部分に空気が巻き込まれることを防止できるため、高い接着強度で溶融接着された積層シートが得られる。さらに、表面がゴム製のロール12を用いると、金属製のロール同士で加熱加圧を行う場合に比べて、装置上機械的に要求される精度があまり高くなりすぎず、操業条件(圧力、回転速度など)が広がる。
フッ素樹脂フィルムAの融点Tとフッ素樹脂フィルムBの融点Tは、フッ素樹脂フィルムAおよびフッ素樹脂フィルムBを同程度に溶融させて高い接着強度で接着させやすい点から、その差が15℃以下であることが好ましく、10℃以下であることがより好ましく、5℃以下であることがさらに好ましく、融点Tと融点Tは同じであることが特に好ましい。
融点Tと融点Tが異なる温度である場合は、どちらが高くてもよい。
フッ素樹脂フィルムCの融点Tは、フッ素樹脂フィルムBの融点Tより10〜100℃高いことが好ましい。すなわち、フッ素樹脂フィルムCの融点Tとフッ素樹脂フィルムBの融点Tの差(T−T)は、10〜100℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。差(T−T)が10℃以上であれば、ロール11およびロール12により加熱加圧してフッ素樹脂フィルムBが融点Tに達しても、フッ素樹脂フィルムCにフィルムとして充分な強度を維持せた状態で積層を行うことが容易になる。また、差(T−T)が100℃以下であれば、フッ素樹脂フィルムCは積層時に軟化状態となり、該フィルムとフッ素樹脂フィルムBとの接着強度が得られやすい。
ロール11の温度Tは、フッ素樹脂フィルムBの融点Tより5〜50℃高く設定することが好ましい。すなわち、ロール11の温度Tとフッ素樹脂フィルムBの融点Tとの差(T−T)は、5〜50℃であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましい。差(T−T)が5℃以上であれば、フッ素樹脂フィルムBを溶融させやすく、高い接着強度で接着された積層シートYが得られやすい。また、差(T−T)が50℃以下であれば、フッ素樹脂フィルムBを熱劣化温度以下で積層することが容易になる。
ロール11の温度Tは、フッ素樹脂フィルムCの融点Tより5〜50℃低く設定することが好ましい。すなわち、フッ素樹脂フィルムCの融点Tとロール11の温度Tとの差(T−T)は、5〜50℃であることが好ましく、10〜30℃であることがより好ましい。差(T−T)が5℃以上であれば、フッ素樹脂フィルムCにフィルムとして充分な強度を維持させやすく、該フィルムが溶融してロール11から離型せずに付着してしまうことを抑制しやすい。また、差(T−T)が50℃以下であれば、フッ素樹脂フィルムCが軟化してフッ素樹脂フィルムBとの接着強度が得られやすい。
ロール11の温度Tは、フッ素樹脂フィルムAの融点Tより5〜100℃高く設定することが好ましい。すなわち、ロール11の温度Tとフッ素樹脂フィルムAの融点Tとの差(T−T)は、5〜100℃であることが好ましく、10〜80℃であることがより好ましく、20〜50℃であることがさらに好ましい。差(T−T)が5℃以上であれば、フッ素樹脂フィルムAのロール11側を溶融させやすい。また、差(T−T)が100℃以下であれば、フッ素樹脂フィルムAのロール12との接触面が溶融することを抑制しやすい。
ロール12の温度Tは、フッ素樹脂フィルムAの融点Tより5〜100℃低く設定することが好ましい。すなわち、フッ素樹脂フィルムAの融点Tとロール12の温度Tとの差(T−T)は、5〜100℃であることが好ましく、10〜80℃であることがより好ましく、20〜70℃であることがさらに好ましい。差(T−T)が5℃以上であれば、フッ素樹脂フィルムAのロール12との接触面が溶融することを抑制しやすい。また、差(T−T)が100℃以下であれば、ロール12によりフッ素樹脂フィルムAのロール11側の溶融が不充分になることを抑制しやすい。
また、ロール12の温度Tは、フッ素樹脂フィルムBの融点Tより高くても低くてもよく、同じであってもよい。ただし、ロール12の温度Tは、フッ素樹脂フィルムBの融点Tより低いことが好ましい。
ロール11およびロール12によりフッ素樹脂フィルムA〜Cおよびガラス繊維網状体Xを加熱加圧する際の圧力は、10〜100kN/mであることが好ましく、30〜100kN/mであることがより好ましい。圧力が10kN/m以上であれば、溶融したフッ素樹脂フィルムAおよびBのフッ素樹脂をガラス繊維網状体Xの開口部へと押し込み、フッ素樹脂フィルムとガラス繊維網状体Xとを一体化させやすく、高い接着強度で積層された積層シートYを得ることが容易になる。圧力が100kN/m以下であれば、高圧に耐えうる特殊な構造の装置を用いる必要がなく、またフィルムやガラス繊維ヤーンが変形することを抑制しやすい。
ロール11およびロール12の回転速度は、用いるフッ素樹脂フィルムの種類(融点)や厚み、ロール11およびロール12の温度によっても異なるが、0.1〜5m/分であることが好ましく、0.5〜3m/分であることがより好ましい。回転速度が0.1m/分以上であれば、積層シートYの生産性が向上する。また、回転速度が5m/分以下であれば、ロール11およびロール12の前後に、フッ素樹脂フィルムAおよびBを予熱する予熱装置(炉、ロールなど)や、得られる積層シートYを冷却する冷却装置(炉、ロールなど)を設けずに積層シートYを製造することが容易になる。
[第2実施形態]
以下、本発明の積層シートの製造方法の他の実施形態例について説明する。
本実施形態の製造方法は、融点がTのフッ素樹脂フィルムAと、前述のガラス繊維網状体と、融点がTのフッ素樹脂フィルムBを融点がTのフッ素樹脂フィルムCに溶融接着させた積層フィルム(以下、「積層フィルムD」という。)とを、前記フッ素樹脂フィルムBがガラス繊維網状体側になるようにこの順に重ねた状態で、前記フッ素樹脂フィルムCに接するT(℃)の第1のロール、および前記フッ素樹脂フィルムAに接する温度T(℃)の第2のロールにより連続的に加熱加圧し、溶融接着して積層する方法である。
すなわち、フッ素樹脂フィルムBとフッ素樹脂フィルムCとを予め積層して積層フィルムDとすること以外は、第1実施形態と同様にして積層を行う方法である。第2実施形態は、第1実施形態に比べてロール11およびロール12における積層工程を簡素化することができる。
図2に、本実施形態の製造方法に用いることができる製造装置の一例を示す。
製造装置2は、図2に示すように、フッ素樹脂フィルムAを収容するボビン21と、ガラス繊維網状体Xを収容するボビン24と、積層フィルムDを収容するボビン26と、フッ素樹脂フィルムA〜Cとガラス繊維網状体Xを加熱加圧して積層するロール11およびロール12と、積層して得られた積層シートYを収容するボビン25とを有している。また、フッ素樹脂フィルムA〜C、ガラス繊維網状体X、積層シートYを搬送する搬送ロール13を有している。
フッ素樹脂フィルムA〜C、ガラス繊維網状体X、ロール11、ロール12、積層シートYについては第1実施形態のものと同じであるので同符号を付して説明を省略する。
フッ素樹脂フィルムBとフッ素樹脂フィルムCとを予め積層して積層フィルムDとする方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、2層共押ダイを用いた共押しフィルム成型、押出ラミネート、加熱加圧ラミネートなどが挙げられる。なかでも、フィルムの成型工程数の点から、共押しによる積層フィルム成型が好ましい。
以下、本実施形態の製造装置2を用いた製造方法における作用について説明する。
本実施形態では、ボビン21、24および26からフッ素樹脂フィルムA、積層フィルムDおよびガラス繊維網状体Xをロール11およびロール12へと供給し、フッ素樹脂フィルムA、ガラス繊維網状体X、積層フィルムD(フッ素樹脂フィルムB、フッ素樹脂フィルムCの順)の順に重ねた状態で、積層フィルムDのフッ素樹脂フィルムCに接するロール11とフッ素樹脂フィルムAに接するロール12により加熱加圧して溶融接着することにより積層し、得られる積層シートYをボビン25に収容する。
フッ素樹脂フィルムAの融点T、フッ素樹脂フィルムBの融点T、フッ素樹脂フィルムCの融点T、ロール11の温度T、ロール12の温度Tの関係については、第1実施形態と同様にT>T>T、かつT>T>Tの条件を満たす関係であり、好ましい態様も第1実施形態と同じである。これにより、第1実施形態と同じ理由から、ロール11およびロール12からフィルムが離型せずに付着することが防止され、フッ素樹脂フィルムとガラス繊維網状態とが高い接着強度で溶融接着して積層された積層フィルムYが得られる。
以上説明した本発明の製造方法は、補強材であるガラス繊維網状体とフッ素樹脂フィルムとを高い接着強度で積層した積層シートを連続的に製造することができる。また、特別な構造を有する装置を必要としないため、既存の設備を用いて積層シートを連続的に製造することが可能である。
尚、本発明の積層シートの製造方法は、図1および図2に例示した製造装置を用いる方法には限定されない。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
本実施例における積層シートの評価は、以下に示す外観、積層状態、引張破断強度、引張破断伸度を評価することにより行った。
[外観]
得られた積層シートは、目視により外観を確認し、以下の基準に従って評価した。
○:積層シートの表面に傷などの不具合がなく、外観が優れている。
×:積層シートの表面に傷などの不具合が見られ、外観が劣っている。
[積層状態]
得られた積層シートの積層状態は、目視により積層しているかどうかを確認した後、さらに積層シートのフッ素樹脂フィルムがしっかりと接着しているかどうかを手で確認することにより行った。フッ素樹脂フィルムとガラス繊維網状体がしっかりと積層されているものを「○」、積層されていないものを「×」とした。
[引張破断強度および引張破断伸度]
引張破断強度(MPa)および引張破断伸度(%)は、幅25mm、チャック間距離100mmの短冊状の試験片を用いた以外は、JIS K7127(試験速度:50mm/分)に準拠して測定を行った。引張方向は、フィルムのMD方向(流れ方向)とした。
フッ素樹脂フィルムの引張破断強度および引張破断伸度の測定は、通常、JIS K7127(試験速度:50mm/分、試験片:タイプ5)に従って行われる。しかし、該測定方法は試験片の幅が10mmと狭く、本発明のような目開きのあるガラス繊維網状体を積層した積層シートの測定方法として適切ではない。従って、前述のような幅25mmの試験片を用いて測定を行った。
また、積層シートの厚みは、以下の方法により測定した。
[厚み]
積層シートの厚みは、ガラス繊維ヤーンの有無によって異なるため、最も薄い箇所(ガラス繊維網状体の開口部、フッ素樹脂フィルムのみの部分)と、ガラス繊維ヤーン同士の交点を除くガラス繊維ヤーンが1本のみの部分との厚さを各3点ずつ測定し、それらを平均した値を用いた。ETFE樹脂のみのフィルムの厚さは、3点測定の平均値とした。厚みの測定は、マイクロメーター(SPM2−25MJ、ミツトヨ社製:測定子径2mm)を用いた。
<ガラス繊維網状体の製造>
[製造例1]
繊維径9μmのEガラスからなる太さ600デニールのガラス繊維ヤーンを、縦方向および横方向に、それぞれ5mm間隔に平行に配置して粘着テープで固定し、これをアクリル系エマルジョン(バインダー)に浸漬した後、ロールにて余分な液を掻き落とし、150℃の熱風乾燥炉において乾燥してガラス繊維網状体を得た。得られたガラス繊維網状体は、バインダーにより目止めを施しているため、粘着テープを剥がしてもその形態が保持されていた。塗布されたバインダーの量は、5g/mであった。前記バインダーの量は、目止めを施したガラス繊維網状体を100mm角に切り出し、400℃に設定した加熱炉に2時間入れ、バインダーを熱分解させ、その質量減により測定した。
[製造例2]
製造例1で用いたガラス繊維ヤーンを、縦方向、および該縦方向となす角が±60°の斜め2方向との3方向に、それぞれ5mm間隔に平行に配置したものを用いた以外は、製造例1と同様にしてガラス繊維網状体を得た。
[製造例3および4]
用いたガラス繊維ヤーンの太さを300デニール(製造例3)、1200デニール(製造例4)とした以外は、製造例2と同様にしてガラス繊維網状体を得た。
以下、実施例および比較例について説明する。
[実施例1]
フッ素樹脂フィルムAとして融点Tが225℃のETFE樹脂フィルム(厚さ50μm、アフレックス50LM、旭硝子社製)、製造例1で得られたガラス繊維網状体、フッ素樹脂フィルムBとして融点Tが225℃のETFE樹脂フィルム(厚さ25μm、アフレックス25LM、旭硝子社製)、フッ素樹脂フィルムCとして融点Tが255℃のETFE樹脂フィルム(厚さ25μm、アフレックス25N、旭硝子社製)を用い、図1に例示した製造装置1にて、フッ素樹脂フィルムA、ガラス繊維網状体、フッ素樹脂フィルムB、フッ素樹脂フィルムCがこの順に溶融接着して積層された積層シートを得た。
加熱加圧条件は、ロール11の温度Tを235℃、ロール12の温度Tを160℃、プレス圧を40kN/m、ロール回転速度を0.5m/分とした。ロール11およびロール12の温度T、Tは、温度計測器(HFT−50E、安立計器社製)と表面温度センサー(N−234E−00、安立計器社製)により測定した。
得られた積層シートについて、外観、積層状態、引張破断強度、引張破断伸度を評価した。
[実施例2〜4]
用いたガラス繊維網状体を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。得られた積層シートについて、外観、積層状態、引張破断強度、引張破断伸度を評価した。
[実施例5]
フッ素樹脂フィルムBとして融点Tが225℃のETFE樹脂フィルム(フルオンETFE LM−720AP、旭硝子社製)、フッ素樹脂フィルムCとして融点Tが255℃のETFE樹脂フィルム(フルオンETFE C−88AXP、旭硝子社製)を用いて、2層共押しダイにてフッ素樹脂フィルムBが25μm、フッ素樹脂フィルムCが25μmの積層フィルムDを作製した。
次に、フッ素樹脂フィルムAとして融点Tが225℃のETFE樹脂フィルム(厚さ50μm、アフレックス50LM、旭硝子社製)、製造例1で得られたガラス繊維網状体、および前記積層フィルムDを用い、図2に例示した製造装置2にて、フッ素樹脂フィルムA、ガラス繊維網状体、積層フィルムD(フッ素樹脂フィルムB、フッ素樹脂フィルムCの順)がこの順に溶融接着して積層された積層シートを得た。
加熱加圧条件は、ロール11の温度Tを235℃、ロール12の温度Tを160℃、プレス圧を40kN/m、ロール回転速度を0.5m/分とした。
得られた積層シートについて、外観、積層状態、引張破断強度、引張破断伸度を評価した。
[比較例1]
フッ素樹脂フィルムCを用いない以外は、実施例1と同様にして積層を行い、外観、積層状態、引張破断強度、引張破断伸度を評価した。
[比較例2]
フッ素樹脂フィルムCを用いず、ロール11の温度Tを215℃に変更した以外は、実施例1と同様にして積層を行い、外観、積層状態、引張破断強度、引張破断伸度を評価した。
[参考例1]
得られた積層シートとの比較対象として、ETFE樹脂フィルム(厚さ200μm、アフレックス200NJ、旭硝子社製)について、引張破断強度、引張破断伸度を評価した。
実施例および比較例、ならびに参考例についての各評価結果、積層シートの厚みの測定結果を表1に示す。
尚、参考例1のETFE樹脂フィルムについてJIS K7127に準拠した方法で引張破断強度と引張破断伸度を測定したところ、引張破断強度は53MPa、引張破断伸度は427%である。
Figure 0005239758
表1に示すように、実施例1〜5の積層シートは、外観が良好であり、フッ素樹脂フィルムがガラス繊維網状体に溶融密着して一体化し、高い接着強度で積層されていた。また、この積層シートは、参考例1のETFE樹脂フィルムと比較して、引張破断強度の値が高く、引張破断伸度の値が低くなっており、強度および伸度に優れていた。
一方、フッ素樹脂フィルムCを用いなかった比較例1では、フッ素樹脂フィルムBがロール11から離型せずに付着が発生し、積層シートが得られなかった。また、フッ素樹脂フィルムCを用いず、ロール11の温度TをTよりも低くした比較例2では、フッ素樹脂フィルムBがロール11に付着することはなかったが、フッ素樹脂フィルムAおよびフッ素樹脂フィルムBが共に溶融せず、ガラス繊維網状体と積層することができなかった。
本発明の製造方法は、補強材であるガラス繊維網状体とフッ素樹脂フィルムとを高い接着強度で積層した積層シートを連続的に製造することができ、既存の設備にも適用できる。そのため、農業用温室の被覆材、大規模温室やアトリウムなどの屋根材、運動施設の外壁、屋根材などの広範囲な用途の積層シートの製造方法として好適に用いることができる。
本発明の製造方法に使用できる積層シートの製造装置の一実施形態例を示した概念図である。 本発明の製造方法に使用できる積層シートの製造装置の他の実施形態例を示した概念図である。
符号の説明
1、2 製造装置 11 第1のロール 12 第2のロール A フッ素樹脂フィルムA B フッ素樹脂フィルムB C フッ素樹脂フィルムC D 積層フィルムD X ガラス繊維網状体

Claims (5)

  1. フッ素樹脂フィルムと、バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定したガラス繊維網状体とが積層された積層シートを製造する方法であって、
    融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムAと、前記ガラス繊維網状体と、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムBと、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムCとを、この順に重ねた状態で、前記フッ素樹脂フィルムCに接する金属製の第1のロール(温度T(℃))、および前記第1のロールと対向して前記フッ素樹脂フィルムAに接する、ロール表面がゴム製の第2のロール(温度T(℃))により、
    >T>T、かつT>T>Tの条件で連続的に加熱加圧して、前記ガラス繊維網状体の開口部において前記フッ素樹脂フィルムAと前記フッ素樹脂フィルムBとを溶融接着するとともに、前記フッ素樹脂フィルムBを前記フッ素樹脂フィルムCに溶融接着して積層することを特徴とする積層シートの製造方法。
  2. フッ素樹脂フィルムと、バインダーでガラス繊維ヤーンを網目状に固定したガラス繊維網状体とが積層された積層シートを連続的に製造する方法であって、
    融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムAと、前記ガラス繊維網状体と、融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムBを融点がT(℃)のフッ素樹脂フィルムCに溶融接着させた積層フィルムとを、前記フッ素樹脂フィルムBが前記ガラス繊維網状体側になるようにこの順に重ねた状態で、前記フッ素樹脂フィルムCに接する金属製の第1のロール(温度T(℃))、および前記第1のロールと対向して前記フッ素樹脂フィルムAに接する、ロール表面がゴム製の第2のロール(温度T(℃))により、
    >T>T、かつT>T>Tの条件で連続的に加熱加圧して、前記ガラス繊維網状体の開口部において前記フッ素樹脂フィルムAと前記フッ素樹脂フィルムBとを溶融接着して積層することを特徴とする積層シートの製造方法。
  3. 前記フッ素樹脂フィルムAの融点Tと前記フッ素樹脂フィルムBの融点Tの差が15℃以下である、請求項1または2に記載の積層シートの製造方法。
  4. 前記フッ素樹脂フィルムCの融点Tと前記フッ素樹脂フィルムBの融点Tの差(T−T)が10〜100℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シートの製造方法。
  5. 前記ガラス繊維ヤーンの太さが200〜2000デニールであり、かつ前記ガラス繊維網状体における互いに平行なガラス繊維ヤーン同士の間隔が3〜100mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シートの製造方法。
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