JP5239670B2 - 音場支援装置、音場支援方法およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、音響空間の音響特性を制御する技術に関する。
音響空間における既存の音響特性をベースとし、その音響空間における残響効果や初期反射音を含む反射音特性を増強、補正して音響特性を制御する音場支援システムがある。この音場支援システムは、音響空間の天井や側壁に固定されたマイクロホンおよびスピーカとそれらに接続された音場支援装置とにより構成される。
この種の音場支援システムの音場支援装置は、マイクロホンから収音信号が入力されると、FIRフィルタによってその収音信号へ所望の音響空間の残響効果等を付与するためのフィルタ係数列を畳み込み、この結果得られた信号をスピーカから放音するとともに放音した音の一部をマイクロホンへ帰還する、という処理を繰り返すことにより、音響空間における残響効果などを増強する。FIRフィルタに用いるフィルタ係数列の設定の如何によっては、狭小な音響空間でありながらあたかもコンサートホールなどの大きな音響空間で演奏しているかのような残響効果を創出することができる。
ところで、この種の音場支援システムにおいては、音響空間→マイクロホン→音場支援装置→スピーカ→音響空間という閉ループを音が循環する。そして、この閉ループの伝達関数(周波数応答)の振幅特性に鋭いピークが表れると、カラーレーションなどの聴感上の問題を引き起こすことがある。このような音響空間を含む閉ループの伝達関数(周波数応答)の振幅特性に鋭いピークが発生するのを抑えこむための仕組みを開示した文献として、たとえば、特許文献1が挙げられる。同文献に開示された音場支援装置は、当該音場支援装置を経由して音を帰還させる前の状態において、音響空間そのものの伝達関数である開ループ伝達関数を測定し、測定した開ループ伝達関数の逆特性を求める。そして、この逆特性のインパルス応答をサンプリングし、FIRフィルタに用いるフィルタ係数列を得る。
特開平07−240993号公報
特許文献1に開示された手順により得たフィルタ係数列を残響効果付与のためのFIRフィルタに設定すれば、そのフィルタ係数列を収音信号へ畳み込むことによって得られる残響音信号の周波数軸上に鋭いピークは発生し難くなる。しかし、本来であれば所望の音響空間のインパルス応答をサンプリングしたフィルタ係数列を設定するFIRフィルタにこのような全く異なる手順で得たフィルタ係数列を設定した場合、そのフィルタ係数列を入力信号に畳み込んで得られる残響音信号が狙いとするものから乖離してしまい、意図した通りの残響効果が得られない。
このため、音場支援装置の多くは、所望の音響空間のインパルス応答をサンプリングしたフィルタ係数列を入力信号に畳み込んで残響音信号を出力するFIRフィルタの後段に、PEQ(Parametric Equalizer)を設け、PEQにおいて、FIRフィルタから出力される残響音信号における鋭いピークを含む帯域のゲインを低下させる、という構成をとっているのが実情である。
ここで、FIRフィルタによる畳み込みを経た出力信号に現れるピークは、細く急峻なものであることも多い。しかしながら、PEQによってこのような細く急峻なピークを除去しようとすると、残響音信号における他の重要な帯域の成分の振幅まで減衰させてしまい、十分な残響効果が得られないという問題があった。また、そのピークを含む狭帯域の成分だけをノッチフィルタを用いて減衰させるという方策も採り得るところであるが、この場合、音響空間の環境変動(空気の伝搬特性や観客等の吸音特性の変動)によりピークの周波数が僅かでも変動すると効果が半減するため、有効な解決策とは言い難い。
本発明は、このような背景の下に案出されたものであり、FIRフィルタによる残響効果を損なうことなく、カラーレーションを引き起こすような細く急峻なピークの発生を抑えることを目的とする。
本発明は、音響空間の伝達関数の振幅特性を取得する振幅特性取得手段と、前記音響空間において収音された音を示す収音信号を遅延させた複数の遅延オーディオ信号を発生し、発生した複数の遅延オーディオ信号と前記音響空間の音響特性を制御するためのフィルタ係数列との積和演算を行い、前記積和演算の結果を示す残響音信号を生成するディジタルフィルタ処理手段と、前記フィルタ係数列から求められる伝達関数の振幅特性と前記音響空間の伝達関数の振幅特性との和がフラットな特性となるように、前記フィルタ係数列における少なくとも一部のフィルタ係数について、当該フィルタ係数を乗算する遅延オーディオ信号の前記収音信号からの遅延時間を調整するフィルタ係数列調整手段とを具備する音場支援装置を提供する。
この発明によると、フィルタ係数列調整手段は、フィルタ係数列との積和演算を行うための複数の遅延オーディオ信号を得るための遅延時間を、そのフィルタ係数列から求められる伝達関数の振幅特性と音響空間の伝達関数の振幅特性の和がフラットな特性となるように調整する。よって、音響空間内における残響効果を損なうことなく、カラーレーションを引き起こすような細く急峻なピークの発生を抑えることができる。
以下、図面を参照し、この発明の実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態である音場支援装置40を含む音場支援システムの全体構成を示す図である。この音場支援システムは、音響空間1内における音響特性を制御する。本実施形態における音響特性の制御とは、初期反射音のレベル、時間構造、到来方向などの特性を含む反射音特性や、残響特性を制御することを意味する。この音場支援システムは、マイクロホン10−k(k=1〜8)、スピーカ20−m(m=1,2…M)、マイクアンプ部31、パワーアンプ部32、および音場支援装置40を有する。マイクロホン10−k(k=1〜8)とスピーカ20−m(m=1,2…M)は、音響空間1の側壁や天井に間隔を空けて固定される。
音場支援装置40は、音響空間1内で楽器などにより発生した音が、マイクロホン10−k(k=1〜8)、当該音場支援装置40、およびスピーカ20−m(m=1,2…M)を経由して音響空間1へ帰還する状態(「音響帰還状態」という)を作り出し、音が当該音場支援装置40を経由する際に、音響空間1の残響や初期反射音に関する音響特性を目標とする別の音響空間(「目標音響空間」という)の音響特性に近づけるような信号処理を施す。この信号処理の詳細は、後述する。
図2は、音場支援装置40の構成を示す図である。この音場支援装置40において、音を収音したマイクロホン10−k(k=1〜8)からマイクアンプ部31を介して入力される8チャネルのアナログ信号は、A/D変換器(不図示)にてディジタル形式に変換され、ミキサ51およびEMR(Electronic Microphone Rotator)52を経由した後、4系統の収音信号としてFIR(Finite impulse response)フィルタ53−i(i=1〜4)へ入力される。ここで、EMR52は、当該EMR52に入力される4系統の信号と当該EMR52から出力される4系統の信号との接続関係を電気的に時々刻々切り換えることにより、システムの周波数特性を平坦化する役割を果たす。
FIRフィルタ53−i(i=1〜4)は、EMR52から入力された収音信号を遅延時間t(j=1,2…g)だけ遅延させた信号(「遅延オーディオ信号s(j=1,2…g)」という)を発生し、これらの遅延時間t(j=1,2…g)の各々に対応したフィルタ係数値h(j=1,2…g)を遅延オーディオ信号s(j=1,2…g)に乗算し、その乗算結果の各々を加算する積和演算を行い、その積和演算結果を残響効果等の付与された信号(「残響音信号」という)として出力する。
FIRフィルタ53−i(i=1〜4)には、残響パターンが設定される。残響パターンは、目標音響空間のインパルス応答(時間応答)に相当するフィルタ係数値h(j=1,2…g)と遅延時間t(j=1,2…g)の各対をフィルタ係数ht(j=1,2…g)とし、これらのフィルタ係数ht(j=1,2…g)を時間軸順に並べたものである。フィルタ係数ht(j=1,2…g)におけるインパルス応答(時間応答)をフーリエ変換すると、目標音響空間の周波数応答が求められる。そして、このフーリエ変換によって求められる周波数応答は、目標音響空間における振幅特性と位相特性とを含む。
以降は、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)に予め設定されている残響パターンを適宜「デフォルト残響パターン」と呼ぶ。
図3(A)は、残響パターンのフィルタ係数ht(j=1,2…g)をなすフィルタ係数値h(j=1,2…g)と遅延時間t(j=1,2…g)の一例を示す図である。ここで、デフォルト残響パターンは、目標音響空間のインパルス応答波形から振幅値のより大きなg個のローカルピークj(j=1,2…g)を検出し、その検出結果を用いて以下のように決定する。まず、目標音響空間のインパルス応答波形におけるローカルピークj(j=1,2…g)の各々の振幅値を求め、それらの振幅値を、フィルタ係数ht(j=1,2…g)におけるフィルタ係数値h(j=1,2…g)とする。次に、上述のローカルピークj(j=1,2…g)の各々の発生時刻を求め、それらの発生時刻を、フィルタ係数ht(j=1,2…g)における遅延時間t(j=1,2…g)とする。より具体的には、目標音響空間内の音源位置で単位インパルスを発生させたときの単位インパルスの発生時刻を、その目標音響空間のインパルス応答波形における時間軸の基準時(t=0)とし、その基準時からローカルピークj(j=1,2…g)の各々までの時間を、遅延時間t(j=1,2…g)とする。
図2において、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)が出力した残響音信号は、PEQ(Parametric Equalizer)54−i(i=1〜4)によるイコライジングとコンプレッサ55−i(i=1〜4)によるダイナミックレンジ圧縮とを経た後、スイッチ56−i(i=1〜4)および加算器57−i(i=1〜4)を経由してレベル・ディレイマトリックス58へ入力される。スイッチ56−i(i=1〜4)は、音響帰還状態のオンとオフとを切り換える役割を果たす。また、加算器57−i(i=1〜4)は、ノイズジェネレータ64から信号が出力されている場合に、その出力信号をレベル・ディレイマトリックス58へ供給する役割を果たす。このノイズジェネレータ64の出力信号については、後述する。
レベル・ディレイマトリックス58は、加算器57−i(i=1〜4)に繋がる4本の入力信号線(不図示)の各々とパワーアンプ部32へ繋がるMチャネル分の出力信号線(不図示)の各々とを交差させ、交差位置の各々にゲイン調整用可変抵抗(不図示)と遅延素子(不図示)とを配した装置である。このレベル・ディレイマトリックス58に入力される4系統の残響音信号は、各々の入力信号線と1〜Mの各チャネルの出力信号線との交差位置においてゲイン調整や位相調整が施され、Mチャネルに分割される。そして、分割されたMチャネルの残響音信号の各々は、D/A変換器(不図示)にてアナログ信号に変換され、変換されたアナログ信号はパワーアンプ部32による増幅を経てスピーカ20−m(m=1,2…M)へ出力される。
CPU61は、当該音場支援装置40の制御中枢であり、RAM62をワークエリアとして利用しつつ、ROM63に記憶された制御プログラムを実行する。制御プログラムは、デフォルト残響パターンであるフィルタ係数ht(j=1,2…g)の遅延時間t(j=1,2…g)を調整する処理をCPU61に実行させるプログラムである。ノイズジェネレータ64は、CPU61による指示に従い、テスト音であるピンクノイズの信号を発生する。操作部65は、各種入力操作を受け付けるタッチパネルである。
次に、本実施形態の動作を説明する。図4は、本実施形態の処理を示すフローチャートである。図4に示す一連の処理は、制御プログラムの働きによりCPU61が実行する処理である。CPU61は、フィルタ係数ht(j=1,2…g)の設定の指示が操作部65によって下されると、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)の各々を残響パターンの設定対象として1つずつ選択し、残響パターンの設定対象としたFIRフィルタ53−iについて図4に示す一連の処理を実行する。
図4において、CPU61は、スイッチ56−i(i=1〜4)をオフ状態に切り換え(S100)、音響帰還状態を解消する。
CPU61は、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)を、その入力信号がFIRフィルタ53−iの内部を経由せずに出力される状態(「バイパススルー状態」という)に切り換える(S110)。
CPU61は、ノイズジェネレータ64によるピンクノイズの信号の発生を開始させる(S120)。このピンクノイズの信号は、音響空間1の伝達関数(周波数応答)を計測するための信号である。ノイズジェネレータ64の出力信号は、CPU61へ供給されるとともに、加算器57−i(i=1〜4)、レベル・ディレイマトリックス58、およびパワーアンプ部32を経由し、スピーカ20−m(m=1,2…M)から音響空間1へテスト音として放射される。そして、その音響空間1におけるテスト音の応答音がマイクロホン10−k(k=1〜8)によって収音され、その収音信号が、マイクアンプ部31、ミキサ51、EMR52を介してCPU61へ供給される。
CPU61は、予め設定されたピンクノイズの出力時間(たとえば、2秒間)が経過すると(S130:Yes)、ピンクノイズの信号の発生を停止させる(S140)。
ステップS120においてピンクノイズの信号の発生が始まってからステップS140においてその発生が停止されるまでの間に、CPU61は、テスト音であるピンクノイズそのものの信号(「テスト信号」という)と、音響空間1におけるそのテスト音の応答音の収音信号(「応答信号」という)とを取得する。
CPU61は、このテスト信号と応答信号とを用いて、音響空間1の伝達関数(周波数応答)の振幅特性(「振幅特性R(ω)」と記す)を求める(S150)。より詳細に説明すると、まず、テスト信号に対して、窓幅を32768サンプル、オーバーラップ率を95%とするFFT(Finite Fourier Transform)処理を施し、パワースペクトル(分布の時間平均)を求める。次に、応答信号に対しても同様のFFT処理を施し、パワースペクトル(分布の時間平均)を求める。そして、前者のパワースペクトルから後者のパワースペクトルを減算した結果を振幅特性R(ω)とする。
次に、CPU61は、振幅特性簡略化処理を行う(S160)。振幅特性簡略化処理は、ステップS150で求めた振幅特性R(ω)を、その特徴をより起伏の少ない包絡曲線によって簡略化した振幅特性(「簡略振幅特性R’(ω)」という)へと変換する処理である。図5は、ある振幅特性R(ω)に、振幅特性簡略化処理を経てその振幅特性R(ω)から得られる簡略振幅特性R’(ω)を重ね合わせた図である。
図6は、振幅特性簡略化処理のサブルーチンを示すフローチャートである。振幅特性簡略化処理を実行するにあたり、CPU61は、次式に示すガウス関数GFの形状を決定づけるパラメータaおよびbのセットを記憶するための領域(「ガウス関数記憶領域」という)と変換途中の振幅特性を記憶するための領域(「振幅特性記憶領域」という)とをRAM62に確保し、これらの記憶領域の記憶内容を更新しつつ、図6に示す一連の処理を実行する。
GF=b・exp(−(x−a)/2c)…(1)
この式におけるパラメータaはガウス関数GFのピーク周波数を示し、パラメータbはそのピーク周波数における振幅を示す。また、cはガウス関数の幅を示す定数である。
振幅特性簡略化処理において、CPU61は、ステップS150で求めた振幅特性R(ω)を振幅特性記憶領域に記憶した後、その振幅特性記憶領域から最大ピークの周波数を検出する(S161)。CPU61は、最大ピークの周波数をパラメータaにするとともに、その周波数における振幅をパラメータbとし、両パラメータa,bのセットをガウス関数記憶領域に記憶する(S162)。CPU61は、それまでにガウス関数記憶領域にセットとして記憶したパラメータa,bを上記式に入力し、その入力によって得られるガウス関数GFを重ね合わせた曲線(「フィット曲線」という)を求める(S163)。
さらに、CPU61は、振幅特性記憶領域に記憶されている振幅特性からステップS163で求めたフィット曲線を減算し、その残りの振幅特性における各周波数の振幅の最大値が閾値THを下回るか否かを判断する(S164)。この閾値THは0よりも僅かに大きな値とする。そして、閾値THを下回らない場合(S164:No)、その残りの振幅特性によって振幅特性記憶領域を更新し(S165)、ステップS161以降の処理を繰り返す。
CPU61は、ステップS164において、振幅特性における各周波数の振幅の最大値が閾値THを下回ると判断した場合(S164:Yes)、それまでにガウス関数記憶領域に記憶したパラメータa,bの各セットにより得られるフィット曲線を、簡略振幅特性R’(ω)とする(S166)。
この一連の処理について、図7を参照してさらに具体的に説明する。図7は、ステップS161からステップS165のループのn回の繰り返しによって、簡略振幅特性R’(ω)が求まるまでの様子を示す図である。図7の例では、ステップS150で求めた振幅特性R(ω)を振幅特性R(ω)と記す。この例における1回目のループでは、振幅特性R(ω)からフィット曲線Fcを減算することにより、振幅特性R(ω)が得られる。このフィット曲線Fcは、振幅特性R(ω)の最大ピークPの周波数をパラメータaとし、最大ピークPの振幅をパラメータbとして上記式に入力したガウス関数GFである。振幅特性R(ω)における各周波数の振幅の最大値が閾値THを上回る場合、2回目のループに入る。2回目のループでは、振幅特性R(ω)からフィット曲線Fcを減算することにより、振幅特性R(ω)が得られる。フィット曲線Fcは、振幅特性R(ω)の最大ピークPの周波数をパラメータaとし、最大ピークPの振幅をパラメータbとして上記式に入力したガウス関数GFを、1回目のループで求めたガウス関数GFに重ね合わせたものである。このようなループをn回繰り返し、そのn回の繰り返しを経て得られた振幅特性R(ω)における各周波数の振幅の最大値が閾値THを下回ると、それまでのn個のガウス関数GFを重ね合わせたフィット曲線Fcを簡略振幅特性R’(ω)とする。
この振幅特性簡略化処理を実行するCPU61は、「音響空間の伝達関数の振幅特性を取得する振幅特性取得手段」を構成する。
図4において、CPU61は、フィルタ係数列調整処理を実行する(S170)。
フィルタ係数列調整処理は、ステップS160で求めた簡略振幅特性R’(ω)とFIRフィルタ53−iの伝達関数(周波数応答)の振幅特性(「振幅特性G(ω)」と記す)の和がフラットな特性となるように、FIRフィルタ53−iにデフォルト残響パターンとして設定されているフィルタ係数ht(j=1,2…g)における少なくとも一部の遅延時間tを調整する処理である。ここで、振幅特性がフラットであるとは、その振幅特性における振幅値の最大値と平均値の差が十分に小さいことを意味する。
図8(A)は、フラットでない振幅特性の一例を示す図であり、図8(B)はフラットな振幅特性の一例を示す図である。両図における振幅特性の振幅値(dB)の平均値LAVEとその最大値LMAXの差を比較すると、前者より後者のほうがその差が4dB程度小さくなっていることが分かる。これは、前者よりも後者のほうがカラレーションを発生させにくい特性であることを意味する。
図9は、フィルタ係数列調整処理のサブルーチンを示すフローチャートである。このフィルタ係数列調整処理では、デフォルト残響パターンをなすフィルタ係数ht(j=1,2…g)を調整対象として1つずつ選択し、調整対象としたフィルタ係数htにおける遅延時間tを時間軸の正負方向の所定範囲内(例えば、±10msとする)で所定時間長(例えば、1msとする)ずつ伸縮した場合における振幅特性G(ω)を個別に求め、この求めた振幅特性G(ω)とステップS166で求めた簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットな特性に最も近づくような遅延時間tをフィルタ係数htごとに決定していく。
フィルタ係数列調整処理を実行するにあたり、CPU61は、フィルタ係数列調整処理を終えるまでの間にその調整途中のフィルタ係数ht(j=1,2…g)を記憶しておくための領域(「残響パターン記憶領域」という)と、その間に算出される振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和の特性を一時的に記憶しておくための領域(「振幅特性記憶領域」という)とをRAM62に確保し、これらの記憶領域の記憶内容を更新しつつ、図9に示す一連の処理を実行する。
フィルタ係数列調整処理において、CPU61は、残響パターンの設定対象として選択しているFIRフィルタ53−iから、そのFIRフィルタ53−iにデフォルト残響パターンとして設定されているフィルタ係数ht(j=1,2…g)を読み出し、読み出したフィルタ係数ht(j=1,2…g)を残響パターン記憶領域に記憶する(S171)。
CPU61は、残響パターン記憶領域に記憶されているフィルタ係数ht(j=1,2…g)のうち、最も大きなフィルタ係数値hを有するフィルタ係数htを調整対象として選択する(S172)。
CPU61は、調整対象としたフィルタ係数htの遅延時間tを±10msの範囲で1msずつ短くしまたは長くした場合におけるフィルタ係数ht(j=1,2…g)の振幅特性G(ω)〜G20(ω)を算出する(S173)。
CPU61は、ステップS173で求めた20通りの振幅特性G(ω)〜G20(ω)の各々と簡略振幅特性R’(ω)との和を求め、それらの振幅特性G(ω)〜G20(ω)のなかに簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットな振幅特性になるものがあるかを判定する(S174)。より具体的には、振幅特性G(ω)〜G20(ω)の各々と簡略振幅特性R’(ω)との和の特性に現れる振幅値の最大値と平均値の差を求め、振幅値の最大値と平均値の差が閾値TH以内に収まる場合はフラットであるとみなし、閾値TH以内に収まらない場合はフラットでないとみなす。
CPU61は、ステップS174において、振幅特性G(ω)〜G20(ω)のなかに簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性がフラットになるものが1つもないと判定した場合(S174:No)、それらの振幅特性G(ω)〜G20(ω)のうち簡略振幅特性R’(ω)との和の特性がフラットに最も近い振幅特性G(ω)を選択する(S175)。
次に、CPU61は、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性が、振幅特性記憶領域に記憶されている振幅特性よりもフラットに近づいたかを判定する(S176)。ここで、当該フィルタ係数列調整処理が開始された当初は、振幅特性記憶領域に比較対象となる振幅特性が記憶されていない。この場合、ステップS176では、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性が、振幅特性記憶領域に記憶されている振幅特性よりもフラットに近づいたとみなす。
CPU61は、ステップS176において、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性が振幅特性記憶領域に記憶されている振幅特性よりもフラットに近づいたと判定した場合(S176:Yes)、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和の振幅特性を振幅特性記憶領域に上書きした後(S177)、残響パターン記憶領域に記憶されたフィルタ係数ht(j=1,2…g)の振幅特性がステップS175で選択した振幅特性G(ω)となるように、調整対象のフィルタ係数htを書き換える(S178)。
より詳細に説明すると、CPU61は、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)が、残響パターン記憶領域のフィルタ係数ht(j=1,2…g)における調整対象のフィルタ係数htの遅延時間tをある時間T(−10≦T≦+10)だけ長くしたものの振幅特性G(ω)であった場合、調整対象のフィルタ係数htの遅延時間tを、その遅延時間tに時間Tを加えた値に書き換える。また、CPU61は、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)が、フィルタ係数ht(j=1,2…g)における調整対象のフィルタ係数htの遅延時間tをある時間T(−10≦T≦+10)だけ短くしたものの振幅特性G(ω)であった場合、調整対象のフィルタ係数htの遅延時間tを、その遅延時間tから時間Tを減じた値に書き換える。
CPU61は、ステップS176において、ステップS175で選択した振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性が振幅特性記憶領域に記憶されている振幅特性よりもフラットに近づいていないと判定した場合(S176:No)、ステップS177およびステップS178を実行することなく、次のステップに進む。
次に、CPU61は、残響パターン記憶領域におけるフィルタ係数ht(j=1,2…g)のすべてを調整対象としたかを判定する(S179)。具体的には、それまでに調整対象としたフィルタ係数htの数がg個になった場合には、フィルタ係数ht(j=1,2…g)のすべてを調整対象としたとみなし、g個未満である場合は、未だ調整対象となっていないものがあるとみなす。
ステップS179において、未だ調整対象となっていないフィルタ係数htがあると判定した場合(S179:No)、未だ調整対象となっていないフィルタ係数htのうち最も大きなフィルタ係数値hを有するフィルタ係数htを新たな調整対象として選択した後(S180)、ステップS173に戻り、その新たな調整対象となったフィルタ係数htについて、以降の処理を行う。
CPU61は、ステップS179において、残響パターン記憶領域におけるフィルタ係数ht(j=1,2…g)のすべてを調整対象としたと判定した場合(S179:Yes)、フィルタ係数列調整処理を終了する。
また、CPU61は、ステップS174において、振幅特性G(ω)〜G20(ω)のなかに簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性がフラットになるものがあると判定した場合(S174:Yes)、簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットになると判定した振幅特性G(ω)を選択する(S181)。ここで、ステップS174の判定において、簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットになる振幅特性G(ω)が複数に及ぶ場合がある。この場合、CPU61は、それらの複数の振幅特性G(ω)のなかから、簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性に現れる振幅値の最大値と平均値の差が最も小さい1つを選択する。
さらに、CPU61は、フィルタ係数ht(j=1,2…g)の振幅特性がステップS181で選択した振幅特性G(ω)となるように、調整対象のフィルタ係数htを書き換え(S182)、フィルタ係数列調整処理を終了する。ステップS182におけるフィルタ係数htの書き換えの手順の詳細は、ステップS178において説明したところと同様である。
図3(B)は、図3(A)に示すフィルタ係数ht(j=1,2…g)のうちの一部のフィルタ係数htの遅延時間tをフィルタ係数列調整処理により調整したものを示した図である。図3(A)と図3(B)とを比較すると、フィルタ係数値h(j=1,2…g)の個数および順序は両者とも同じであるのに対し、一部のフィルタ係数値h(j=1,2…g)と対をなす遅延時間t(j=1,2…g)が異なっている。
このフィルタ係数列調整処理を実行するCPU61は、「フィルタ係数列から求められる伝達関数の振幅特性と音響空間の伝達関数の振幅特性との和がフラットな特性となるように、フィルタ係数列における少なくとも一部のフィルタ係数について、当該フィルタ係数を乗算する遅延オーディオ信号の収音信号からの遅延時間を調整するフィルタ係数列調整手段」を構成する。
図4において、CPU61は、フィルタ係数列調整処理を終えると、その時点において残響パターン記憶領域に記憶されているフィルタ係数ht(j=1,2…g)を、デフォルト残響パターンに代わる新たな残響パラメータとして該当のFIRフィルタ53−iに設定する(S190)。
FIRフィルタ53−i(i=1〜4)の各々は、当該FIRフィルタ53−iに新たな音響パラメータが設定され、当該FIRフィルタ53−iと同じ信号線上のスイッチ56−iがオン状態に切り換えられると、以後にEMR52から入力される収音信号を新たな残響パラメータの遅延時間t(j=1,2…g)だけ遅延させた遅延オーディオ信号s(j=1,2…g)を発生し、発生した遅延オーディオ信号s(j=1,2…g)とフィルタ係数値h(j=1,2…g)を積和演算し、その積和演算結果である残響音信号を出力する。
以上説明した本実施形態によると、音場支援装置40のCPU61は、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)にデフォルト残響パターンとして設定されているフィルタ係数ht(j=1,2…g)の遅延時間t(j=1,2…g)を、そのFIRフィルタ53−i(i=1〜4)の伝達関数の振幅特性G(ω)と音響空間1の伝達関数の簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットな振幅特性となるように調整する。よって、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)の信号処理によって音響空間1内に与えられる残響効果を損なうことなく、カラーレーションを引き起こすような細く急峻なピークの発生を抑えることをができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態があり得る。例えば、以下の通りである。
(1)上記実施形態の振幅特性簡略化処理において、音場支援装置40のCPU61は、ガウス関数GFの形状を決定づける3つのパラメータa,b,cのうちのパラメータcを固定値とし、音響空間1の伝達関数の振幅特性R(ω)の最大ピークの周波数をパラメータaとし、その周波数における振幅をパラメータbとしたガウス関数GFの重ね合わせによってフィット曲線を表現した。しかし、操作部65によってこのパラメータcの値を任意に設定できるようにしてもよい。振幅特性R(ω)は、温度や湿度などの空間環境によって変化する。このため、フィルタ係数列調整処理によってデフォルト残響パターンをなすフィルタ係数ht(j=1,2…g)の遅延時間t(j=1,2…g)を調整したとしても、以降の空間環境の僅かな変化の影響によって振幅特性R(ω)に予期しないピークが発生することがある。周知のように、ガウス関数GFは、このパラメータcを小さくするほと幅の狭い形状になる一方、大きくするほど幅の広い形状になる。よって、急峻なピークの発生の抑制を重視する場合はパラメータcを小さくし、空間環境の変化への対応を重視する場合はパラメータcを大きくするとよい。
(2)上記実施形態の振幅特性簡略化処理において、音場支援装置40のCPU61は、ガウス関数GFの重ね合わせによってフィット曲線を表現した。しかし、上に凸の2次曲線や三角波といったような、上に凸(1つの極大をもつ)の別の関数の重ね合わせによってフィット曲線を表現してもよい。
(3)上記実施形態のフィルタ係数列調整処理において、音場支援装置40のCPU61は、調整対象となったフィルタ係数htにおける遅延時間tを時間軸の正負方向の所定範囲内(±10ms)で所定時間長(1ms)ずつ伸縮した場合における20通りの振幅特性G(ω)〜G20(ω)を求め、これらの振幅特性G(ω)〜G20(ω)の各々と簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットであるかを判定した。しかし、「遅延時間の伸縮範囲を設定する設定手段」としての役割を操作部65に与え、CPU61は、調整対象となったフィルタ係数htにおける遅延時間tをこの操作部65により設定された伸縮範囲内で伸縮した場合における複数の振幅特性G(ω)を求めるようにしてもよい。この実施形態において、たとえば、操作部65によって設定される遅延時間t(j=1,2…g)の伸縮範囲の時間長をTとした場合、Tを大きくすると、急峻なピークをより確実に抑制することができるものの、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)が出力する残響音信号の波形は狙いとする残響音のものから遠ざかる。よって、狙いとする残響音のものに近い残響音信号を出力することにより急峻なピークの発生の抑制を重視する場合(物理特性重視)はTを大きくし、急峻なピークの発生の抑制を重視することにより狙いとする残響音のものに近い残響音信号を出力することを重視する場合(聴感特性重視)はTを小さくするとよい。
(4)上記実施形態のフィルタ係数列調整処理において、音場支援装置40のCPU61は、調整対象となったフィルタ係数htにおける遅延時間t(j=1,2…g)の調整後の振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性がフラットになり、またはフラットに近づくように、その遅延時間t(j=1,2…g)を調整した。しかし、フラットでない所望の振幅特性C(ω)を目標特性とし、簡略振幅特性R’(ω)−振幅特性C(ω)+振幅特性G(ω)がフラットになるようにフィルタ係数ht(j=1,2…g)の遅延時間t(j=1,2…g)を調整してもよい。たとえば、音響空間1内の伝達関数の振幅特性を低音が強調されるようなものにした場合、高域になるほどゲインが小さくなるような振幅特性C(ω)を目標特性として上述した調整を行うとよい。また、このような遅延時間t(j=1,2…g)の調整において、目標とする振幅特性C(ω)を数パターン用意し、操作部65の操作を通じてそれらのうち1つを選択できるようにしてもよい。
(5)上記実施形態において、音場支援装置40のCPU61は、音響空間1へテスト音を放射させ、そのテスト音そのものの信号であるテスト信号と、音響空間1におけるそのテスト音の応答音の収音信号である応答信号とを取得し、テスト信号と応答信号のパワースペクトルの差を基に簡略振幅特性R’(ω)を算出した。しかし、このような実測結果を用いた算出に代えて、所望の音響空間の形状からその音響空間のインパルス応答を割り出すシミュレータを用いて簡略振幅特性R’(ω)を求めてもよい。また、ROM63に記憶された制御プログラムをそのようなシミュレータにインストールし、簡略振幅特性R’(ω)と振幅特性G(ω)の和がフラットな振幅特性になるような遅延時間t(j=1,2…g)の調整をそのシミュレータが行い、調整後のフィルタ係数ht(j=1,2…g)の遅延時間t(j=1,2…g)を画面に表示させてもよい。
(6)上記実施形態において、音場支援装置40のCPU61は、FIRフィルタ53−i(i=1〜4)に設定されているフィルタ係数ht(j=1,2…g)の伝達関数(周波数応答)の振幅特性や、フィルタ係数ht(j=1,2…g)うちの一部のフィルタ係数htの遅延時間tを伸縮した場合における伝達関数(周波数応答)の振幅特性を算出せず、当該音場支援装置40とは別の装置にその算出を行わせてもよい。たとえば、フィルタ係数ht(j=1,2…g)の伝達関数(周波数応答)の振幅特性を算出するプログラムを実装したコンピュータと音場支援装置40をネットワークを介して接続し、音場支援装置40のCPU61が、フィルタ係数ht(j=1,2…g)をこの通信インターフェースを介して送信し、コンピュータから返信されてくる振幅特性の算出結果のデータを用いて、フィルタ係数列調整処理を行うようにするとよい。
(7)上記実施形態のフィルタ係数調整処理では、音場支援装置40のCPU61は、フィルタ係数htの遅延時間tを伸縮させた場合における振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性の最大ピークの振幅値と閾値THを比較し、最大ピークの振幅値が閾値TH以内に収まる場合には、その振幅特性Gと簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性がフラットであるとみなした。しかし、遅延時間t(j=1,2…g)を伸縮させた場合における振幅特性G(ω)と簡略振幅特性R’(ω)との和である振幅特性がフラットか否かの判定に用いる閾値THを、可変としてもよい。たとえば、残響パラメータ記憶領域に記憶されたフィルタ係数ht(j=1,2…g)のうちから調整対象として選択したフィルタ係数htにおけるフィルタ係数値hが大きいほど、その遅延時間tを伸縮させた場合における振幅特性Gと簡略振幅特性R’(ω)との和がフラットであるか否かの判定に用いる閾値THを大きくしてもよい。
(8)上記実施形態では、音場支援装置40のFIRフィルタ53−i(i=1〜4)にデフォルト残響パターンが設定されており、CPU61は、このデフォルト残響パターンにおける一部のFIRフィルタ53−iの遅延時間tを調整してから該当のFIRフィルタ53−iに設定し直した。しかし、CPU61は、残響パターンを外部の装置から受信し、その残響パターンにおける一部のFIRフィルタ53−iの遅延時間tを調整した上で該当のFIRフィルタ53−iに設定するようにしてもよい。
本発明の一実施形態である音場支援装置を含む音場支援システムの全体構成を示す図である。 図1の音場支援システムにおける音場支援装置の構成を示す図である。 図2の音場支援装置のFIRフィルタに設定される音響パターンの一例を示す図である。 図2の音場支援装置のCPUが実行する処理を示すフローチャートである。 振幅特性G(ω)の包絡曲線を示す図である。 図2の音場支援装置のCPUが実行する振幅特性簡略化処理を示すフローチャートである。 簡易振幅特性G’(ω)を特定するまでの振幅特性簡略化処理の具体的な内容を示す図である。 フラットでない振幅特性とフラットである振幅特性の一例を示す図である。 図2の音場支援装置のCPUが実行するフィルタ係数列調整処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1…音響空間、10…マイクロホン、20…スピーカ、31…マイクアンプ部、32…パワーアンプ部、40…音場支援装置、51…ミキサ、52…EMR、53…FIRフィルタ、54…PEQ、55…コンプレッサ、56…スイッチ、57…加算器、58…レベル・ディレイマトリックス、61…CPU、62…RAM、63…ROM、64…ノイズジェネレータ、65…操作部。

Claims (6)

  1. 音響空間の伝達関数の振幅特性を取得する振幅特性取得手段と、
    前記音響空間において収音された音を示す収音信号を遅延させた複数の遅延オーディオ信号を発生し、発生した複数の遅延オーディオ信号と前記音響空間の音響特性を制御するためのフィルタ係数列との積和演算を行い、前記積和演算の結果を示す残響音信号を生成するディジタルフィルタ処理手段と、
    前記フィルタ係数列から求められる伝達関数の振幅特性と前記音響空間の伝達関数の振幅特性との和がフラットな特性となるように、前記フィルタ係数列における少なくとも一部のフィルタ係数について、当該フィルタ係数を乗算する遅延オーディオ信号の前記収音信号からの遅延時間を調整するフィルタ係数列調整手段と
    を具備することを特徴とする音場支援装置。
  2. 前記振幅特性取得手段は、スピーカから前記音響空間にテスト信号をテスト音として放射させ、マイクにより前記音響空間から前記テスト音の応答音を応答信号として取得し、前記テスト信号のパワースペクトルと前記応答信号のパワースペクトルとから前記音響空間の伝達関数の振幅特性を求めることを特徴とする請求項1に記載の音場支援装置。
  3. 前記フィルタ係数列調整手段は、前記フィルタ係数列の中から値の大きい順にフィルタ係数を選択し、前記遅延時間の調整を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の音場支援装置。
  4. 前記フィルタ係数列調整手段は、前記音響空間の伝達関数の振幅特性と前記フィルタ係数列の伝達関数の振幅特性との和である特性に表れる振幅値の最大値と平均値との差が閾値以内に収まるか否かにより前記フラットな特性か否かの判定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の音場支援装置。
  5. 音響空間の伝達関数の振幅特性を取得する振幅特性取得過程と、
    前記音響空間において収音された音を示す収音信号を遅延させた複数の遅延オーディオ信号を発生し、発生した複数の遅延オーディオ信号と前記音響空間の音響特性を制御するためのフィルタ係数列との積和演算を行い、前記積和演算の結果を示す残響音信号を生成するディジタルフィルタ処理過程と、
    前記フィルタ係数列から求められる伝達関数の振幅特性と前記音響空間の伝達関数の振幅特性との和がフラットな特性となるように、前記フィルタ係数列における少なくとも一部のフィルタ係数について、当該フィルタ係数を乗算する遅延オーディオ信号の前記収音信号からの遅延時間を調整するフィルタ係数列調整過程と
    を有する音場支援方法。
  6. コンピュータを、
    音響空間の伝達関数の振幅特性を取得する振幅特性取得手段と、
    前記音響空間において収音された音を示す収音信号を遅延させた複数の遅延オーディオ信号を発生し、発生した複数の遅延オーディオ信号と前記音響空間の音響特性を制御するためのフィルタ係数列との積和演算を行い、前記積和演算の結果を示す残響音信号を生成するディジタルフィルタ処理手段と、
    前記フィルタ係数列から求められる伝達関数の振幅特性と前記音響空間の伝達関数の振幅特性との和がフラットな特性となるように、前記フィルタ係数列における少なくとも一部のフィルタ係数について、当該フィルタ係数を乗算する遅延オーディオ信号の前記収音信号からの遅延時間を調整するフィルタ係数列調整手段と
    を実現させるプログラム。
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