JP5237765B2 - 半導体素子の製造方法 - Google Patents
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Description
成長用基板を用意する。本実施例では、MOCVD法(有機金属気相成長法)によりAlxInyGazN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)からなる半導体膜を形成することができるC面サファイア基板10を成長用基板として用いた。半導体膜20を構成する各層は、MOCVD法によりウルツ鉱型結晶構造のC軸方向に沿ってサファイア基板10上に積層される。
次に、p−GaN層23上に金属支持体30を形成する。金属支持体30は、半導体膜20を支持するとともに動作時において半導体膜20から発せられる熱を放熱する役割を担う。本実施例では、金属支持体として比較的熱伝導率の高い銅を用いることとした。銅膜からなる金属支持体30は、例えば電解めっき法により形成することができる。具体的には、シアン化銅若しくは硫酸銅ベースのめっき浴中にサファイア基板10上に半導体膜20を積層した積層構造体を浸漬し、p−GaN層23上に膜厚約120μmの銅めっき膜を成長させることにより金属支持体30を形成する。この際、銅めっき膜の剛性や平坦性等の機械的特性を調整するために添加剤として有機物ベースの平滑材・光沢剤を用いることとしてもよい(図2(b))。
次に、サファイア基板10を半導体膜20から剥離する。サファイア基板10の剥離には、LLO(レーザリフトオフ)法等の公知の手法を用いることができる。LLO法においては、照射されたレーザがサファイア基板10上に形成されているGaN層を金属GaとN2ガスに分解する。このため、n−GaN層21又は下地GaN層内で上記分解が起り、サファイア基板10を剥離した面には、n-GaN層21又は下地GaN層が表出する。サファイア基板10の剥離後に表出したn-GaN21層の表面には、レーザの走査ラインに沿って形成されたレーザ痕や結晶成長時に発生した貫通転位に起因するピットが多数存在し、深さ40〜50nm程度の凹凸を有する表面状態となっている(図2(c))。
次に、サファイア基板10を剥離することによって表出したn−GaN層21の表面に例えばリフトオフ加工により電極パッド40を形成する。具体的にはn−GaN層21上に目的とする電極パターンとは逆パターンのレジストマスクを形成等し、その上にTiAl等の金属膜を真空蒸着法により堆積させる。その後、不用部分を金属、レジストマスクと共に除去し、所望のパターンを有する電極パッド40を形成する。その後、電極−半導体膜間にオーミックコンタクトを形成するため、500℃、20秒間の高速熱アニール処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)を施す。尚、n−GaN層21の表面のほぼ全域にITO(酸化インジウムスズ)からなる透光性導電膜を形成した後、このITO膜上にTiAl等からなる電極パッドを形成することとしてもよい(図2(d))。
ストリート形成工程は、半導体素子をチップ状態に分割するレーザスクライブ工程に先立って、素子分割ラインに沿って半導体膜20を除去し、金属支持体30を露出させる工程である。ストリートは、ウエハ表面に格子状に配列された金属支持体30に達する半導体膜20に形成された複数の溝によって構成され、半導体膜20を複数の矩形領域に区画する。ストリート形成工程は、ドライエッチング(RIE:反応性イオンエッチング)により半導体膜20表面から金属支持体30に達しない深さの溝を形成する第1エッチング工程(ステップS52)と、ウェットエッチングにより上記第1エッチング工程で形成した溝をさらにエッチングして金属支持体30を露出させ、ストリートを完成させる第2エッチング工程(ステップS54)と、を含む。さらに、第1および第2エッチング工程の前にはそれぞれエッチング処理を施す半導体膜表面を平坦化する第1および第2平坦化工程(ステップS51、S53)が行われる。以下にストリート形成工程の詳細について図5を参照しつつ説明する。
金属支持体30が形成されたウエハをRIE装置に搬入し、半導体膜20に例えばAr等の希ガスプラズマを用いた物理的ドライエッチングを行い、サファイア基板10を剥離することによって表出したn-GaN層21の表面平坦化処理を行う。上記したように、LLOにより成長用基板10を剥離した後のn-GaN層21の表面には、レーザ痕や貫通転位に起因する複数のピットが形成され、深さ40〜50nm程度の凹凸を有する表面状態となっている。すなわち、LLO後のn−GaN層21の表面は、あらゆる結晶面が不均一に分布しており、化学的エッチングに対して安定な結晶面と不安定な結晶面が不均一に混在した表面状態となっている(図5(a))。このような表面状態では、後のドライエッチング工程においてエッチング残りが生じやすい。そこで、半導体膜20にArプラズマによるドライエッチングを行いn−GaN層21の表面を平坦化させることにより、化学的エッチングが進行し易い結晶面が表面に均一に分布するようにして、エッチング残りが生じるのを防止する。Arエッチングの条件は、プロセス圧力を1.0Pa、AntPowerを200W、BiasPowerを50W、Ar流量を50sccm、処理時間を840秒とした。本条件で半導体膜20のエッチングレートはほぼゼロに近く、半導体膜20の膜厚は殆ど減少せず、n−GaN層21の表面に形成されたレーザ痕やピット等からなる凹凸面が平坦化される(図5(b))。
次に、ウエハをRIE装置から取り出し、平坦化されたn−GaN層21表面にフォトリソグラフィ等を用いてストリート形成部に開口を有するレジストマスク(図示せず)を形成する。その後、ウエハを再びRIE装置に搬入し、半導体膜20にCl2プラズマによるドライエッチング処理を施すことにより半導体膜20に金属支持体30に達しないストリートを構成する溝50(以下ストリート溝と称する)を形成する。本工程では、Cl2プラズマを用いることにより、イオンによるスパッタリングと、エッチングガスの化学反応が同時に起こるRIE(反応性イオンエッチング)となり、ウェットエッチングのみでストリートを形成する場合と比較して、処理時間を大幅に短縮することが可能となる。また、このドライエッチング処理は、ストリート溝50が金属支持体に到達する前に終了するため、金属支持体30がプラズマに曝されず、金属粒子が処理雰囲気中に飛散することはない。
Cl2プラズマを使用したドライエッチングのエッチングレートは、Arプラズマを使用したドライエッチングのそれに比べて極めて高く、半導体膜の除去に適している。しかし、Cl2プラズマによるドライエッチングは、化学的エッチングを含むため、異方性ウェットエッチングの場合と同様、比較的安定でエッチングレートの遅い結晶面が部分的に現れ、その結果、ストリート溝50の底面は、深さ数百nm程度の凹凸を多数有する表面状態となる。ストリート溝50の底面において多数の凹凸が形成された状態で、後の第2エッチング工程においてウェットエッチングを行うと、エッチング残りが発生する可能性が高い。そこで、Cl2プラズマドライエッチングに引き続き、再度Arプラズマを用いた物理的ドライエッチングを行い、ストリート溝50の底面を平坦化することでエッチング残りを防止する。具体的な処理条件は、プロセス圧力を1.0Pa、AntPowerを200W、BiasPowerを50W、Ar流量を50sccm、処理時間を840秒とした。
次に、ストリート溝50の底面において露出している半導体膜20に対してウェットエッチングを施してストリート形成領域に残った膜厚1μm程度の半導体膜20を除去する。これにより、ストリート溝50の底面において金属支持体30を露出させ、個々の半導体素子を区画するストリートを完成させる。具体的にはエッチャントとして5M−KOHを使用し、処理温度90℃、処理時間120minとした。
半導体膜20に形成されたストリート溝50に沿って金属支持体30を例えばYAG結晶(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)をレーザ媒質として用いたレーザスクライブ法により切断し、半導体素子を個片化する。本実施例では、レーザ照射条件が互いに異なる2段階のレーザ照射(ステップS61、S62)により金属支持体30の両面から互いに形状の異なる分割溝を形成することにより素子分割を行う。以下に素子分割工程の詳細について説明する。
ストリートが形成された半導体膜20の表面に粘着テープ60を貼り付けてウエハを保持する。その後、金属支持体30の裏面側(半導体膜20が形成されている面とは反対側の面)から素子分割ラインに沿って(すなわち、ストリート溝50に沿って)レーザスクライブ法により金属支持体30を貫通しない(すなわち、金属支持体内部で終端している)、断面が台形状又は矩形状の第1分割溝51を形成する。レーザスクライブ法においては分割溝の形状、深さおよび幅は、照射するレーザの諸条件により制御することが可能である。
次に、第1分割溝51が形成された金属支持体30の表面に粘着シート61を貼り付け、半導体膜20側の粘着シート60を剥がす。その後、半導体膜20に形成されたストリート溝50の底面において露出している金属支持体30に素子分割ラインに沿って(すなわち、ストリート溝50に沿って)、レーザスクライブ法により第1分割溝51の底面にまで達する断面がV字型の(先端鋭角形状の)第2分割溝52を形成することにより素子分割を行う。すなわち、第2分割溝52は、第1分割溝51が形成された面とは反対側の半導体膜20が形成されている側の面から形成され、第1分割溝51が形成されたことにより膜厚が薄くなっている部分の金属支持体30を貫通するように形成される。
20 半導体膜
21 n−GaN層
22 活性層
23 p−GaN層
30 金属支持体
40 電極パッド
50 ストリート溝
51 第1分割溝
52 第2分割溝
Claims (6)
- 金属支持体と、前記金属支持体上に形成された半導体膜と、を含む半導体素子の製造方法であって、
成長用基板上に前記半導体膜をエピタキシャル成長させる半導体膜成長工程と、
前記半導体膜の表面に金属膜を積層して前記金属支持体を形成する金属支持体形成工程と、
前記成長用基板を前記半導体膜から剥離する成長用基板剥離工程と、
前記成長用基板を剥離することによって表出した前記半導体膜を素子分割ラインに沿ってエッチングして前記半導体膜に前記金属支持体に達するストリート溝を形成するストリート形成工程と、
前記金属支持体の前記半導体膜と接する面とは反対側の面に前記素子分割ラインに沿ってレーザ光を照射して、前記金属支持を貫通しない底面が平坦な第1分割溝を形成する第1レーザスクライブ工程と、
前記ストリート溝の底面において露出している前記金属支持体にレーザ光を照射して、前記第1分割溝の底面に達する先端鋭角形状の第2分割溝を形成する第2スクライブ工程と、を含むことを特徴とする半導体素子の製造方法。 - 前記第1分割溝の断面形状は、矩形又は台形であることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記第2分割溝の幅は前記第1分割溝の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記第2分割溝を形成する際のレーザ出力は、前記第1分割溝を形成する際のレーザ出力よりも小であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記第2分割溝を形成する際のレーザの発振周波数は、前記第1分割溝を形成する際のレーザの発振周波数よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法。
- 前記第2レーザスクライブ工程前の前記第1分割溝形成部における前記金属支持体の膜厚が30μm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の半導体素子の製造方法。
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