JP5236814B2 - 電子銃用フィラメント及びその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば溶解炉や蒸着装置において加熱源として利用される電子銃に設けられ、電子ビームの発生源であるカソード電極を加熱する電子銃用フィラメントおよびその製造方法に関する。
従来から、電子ビームを発する電子銃の1つとして、例えば特許文献1に記載のようなピアス式電子銃が知られている。一般に、ピアス式電子銃では、交流電流のジュール熱によって発熱したフィラメントから熱電子が放出され、フィラメントに対し正の電圧が印加されたカソード電極がフィラメントからの熱電子と熱輻射とによって加熱される。これにより、カソード電極から熱電子が放出される。そして、このカソード電極から放出された熱電子が、カソード電極と同電位のウェーネルト電極、及びこれらカソード電極とウェーネルト電極とに対して正の電圧が印加されたアノード電極によって形成される電界により集束されて、電子ビームとして放出される。
このような電子銃を構成する上記フィラメントの製造方法では通常、図1(a)に示されるように、例えばタングステンやタングステンの合金等からなる直線状のワイヤWが原材料として用いられている。そして、このワイヤWの長手方向における中央部分に曲げ加工が施されることによって、熱電子を放出するための屈曲部100aが凹凸曲線状に成形される(図1(b)参照)。またこの屈曲部100aを挟んだ両側にも曲げ加工が施されることによって、フィラメント100を支持する部材に固定される脚部100bが成形される。
ここで上述するカソード電極の加熱源としてこうしたフィラメント100が利用されると、電子ビームが放出される期間においては、上記屈曲部100aに常に交流電流が供給され続けて、カソード電極が熱電子を放出するに足る程の熱量を同屈曲部100aによってカソード電極に供給する。そのため、屈曲部100aは凡そ2000Kから3000Kといった高温に保持され続けることとなる。こうして、曲げ加工が施された屈曲部100aへの加熱が繰り返されるとなれば、その熱に起因して、屈曲部100aに残留する加工歪みに戻り力が生じ、フィラメント100が変形しやすくなってしまう。そればかりか、こうした変形に伴ってフィラメント100とカソード電極とが接触し、若しくは、フィラメント100の中心とカソード電極の中心とにずれが生じ、電子銃から放出される電子ビームの出力が不安定になる虞がある。
そこで、上記熱変形による諸問題を解消するために、a.予めフィラメントとカソード電極とを、フィラメントが変形したとしてもこれらが接触しない程度に離間させること、b.上記加熱による変形を抑制するために、ワイヤWを曲げて先の図1(b)に示すような形状のフィラメントとした後、更にアニール処理を行うこと、といった方策が考えられている。
特開平7−201297号公報
しかしながら、上記a.の方法では確かに、フィラメントとカソード電極との接触を回避することは可能ではあるものの、これらの間の距離が大きくなるとなれば、フィラメントからの熱電子が自ずとカソード電極に到達し難くなってしまう。こうした状況下において定量のビーム出力を確保するべく熱電子をカソード電極に引き込むためのカソード電圧を高くすると、電子ビームの制御を不安定化させるとともに、異常放電が生じやすくなるといった新たな問題が誘起されかねない。また定量のビーム出力を確保するべくフィラメントの温度をより高くすると、カソード電極の加熱に作用しない余分な熱エネルギーが、フィラメント、カソード電極、ウェーネルト電極、及びアノード電極等の電子銃の構成部材を含む電子ビーム発生部内に放出されて、これら電子銃の構成部材から放出されるガスが多くなってしまい、これによっても異常放電が生じるといった新たな問題が誘起される。
また、上記b.の方法では、アニール処理によってフィラメントの歪みが軽減されて曲げ戻りが抑えられることになる反面、フィラメントを構成する結晶粒の各々が粗大化してフィラメントが脆化するため、フィラメントをそれを支持する支持部材に取り付ける際に破損させる虞がある。なお、この脆化したフィラメントの破損を抑制する手段として、上述のようなアニール処理が施されたフィラメントをこれの形状を保持可能な絶縁物に予め取付け、フィラメントを、この絶縁物と共々フィラメントユニットとして上記支持部材に取り付けることも考えられる。だがこうした方法では、絶縁物が別途必要となるために、フィラメントの維持に係る費用が増大することになる。
このように、上記フィラメントの加熱に起因した変形そのもの、あるいはこの変形により生じる諸問題を解決する方策には、未だ改善の余地が残されている。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電子銃に搭載されるフィラメントが、電子銃の使用に際して加熱により変形することを抑制可能な電子銃用フィラメント、およびその製造方法を提供することにある。
本発明の第一の態様は、電子銃が備えるカソード電極の加熱に用いられるフィラメントを製造する方法である。当該方法は、金属材料からなる板材を準備すること、少なくとも1つの屈曲を有する前記フィラメントの線材を前記板材から切り出すこと、前記線材の両端部の各々に、前記屈曲の全体を含む平面の法線方向に沿って延び、前記電子銃に取り付けられる脚部を折り曲げ形成することを備える。前記板材を準備することは、タンタル金属板とタングステン金属板とからなる金属積層板を準備すること、及び、前記カソード電極と対向することとなる金属板を前記タンタル金属板とすることを含む。前記脚部は、前記電子銃にて、前記カソード電極と対向する前記平面に対して前記カソード電極とは反対側に向けて延びる。
この方法によれば、少なくとも1つの屈曲を有するフィラメントの線材が金属材料からなる板材から切り出される。このため、屈曲を有するようにワイヤに曲げ加工を施すことによって形成された従来のフィラメントと比較して、フィラメントの屈曲の箇所に残留する加工歪みが抑制される。従って、電子銃の使用に際して、フィラメントが加熱されることがあっても、屈曲の曲がりに戻りが生じることが抑制される。即ち、加熱に起因して屈曲の形状が変化し、それによって、フィラメントが変形することが抑制される。
ィラメントの板材に用いられる金属材料は結晶粒の集合体であり、個々の結晶粒は加熱により成長する。この加熱の条件が高温化、あるいは長期化等すると、結晶粒の粗大化が進行し、これに起因して板材が脆化することとなる。この脆化を抑える一つの方法として、上記のように複数の金属板の積層板をフィラメントの板材として用いることが考えられる。この方法では、単一の金属板を用いる場合と比較して、金属板の1枚あたりの厚さを薄くすることができる。これにより、金属板の厚さ方向における結晶粒の粗大化が自ずと抑制され、ひいては電子銃用フィラメントの強度及び寿命も向上されることになる。
の方法では、複数の金属板を同一金属材料から構成した場合と比較して、各金属板の結晶粒が、金属板同士の境界面を超えて粗大化することが抑制される。つまり、各金属板の結晶粒が、それぞれの金属板の厚みを超えて粗大化することが抑えられる。その結果、積層板の厚さ方向における結晶粒の粗大化を、該結晶粒が属する金属板の厚さに限定することが可能となる。
周知のように、仕事関数とは、ある物質の表面から1つの電子を取り出す際に必要とされる最小エネルギーのことである。つまり、ある物質の表面から1つの熱電子を放出させようとした場合、該物質を加熱してこの仕事関数以上のエネルギーを物質内の電子に与える必要がある。故に、仕事関数が大きい物質ほど、熱電子を放出させるためにはより高温となるまで加熱する、換言すればより大きい電流を流す必要がある。この点を考慮して、フィラメントの板材に金属積層板を用いる場合には、複数の金属板のうちで、電子銃のカソード電極に対向する金属板の仕事関数が、他の金属板のそれよりも小さいものであってもよい。これにより、カソード電極に近い金属板においては、他の金属板よりも低い温度で熱電子の放出が起こることになる。従って、従来の方法のように単一材料からなる線材を折り曲げ形成したフィラメントに比べて、カソード電極に対向する金属板の温度を低下させることができる。ひいては、他の金属板の温度も低下させることができるようになるため、フィラメントがカソード電極側に変形することを抑制することができる。
タングステンは、金属材料のうちで最も融点が高いため、高温での使用にあってもその形状が安定に保たれやすい。また、タングステンは、比較的大きな電気抵抗を有するため、それに電流が流れたときの発熱量も大きくなる。すなわち、タングステンは、熱に対する安定性と、多量の発熱とを要求される部材の形成材料に適したものであると言える。この点を考慮すると、フィラメントの板材としては、タングステン、及びタングステンを含む合金のうちの少なくとも一方の金属板によって形成されることが好ましい。
ンタルはタングステンよりも低い温度で熱電子を放出する。したがって、単一材料の線材を折り曲げることによって形成される従来のフィラメントや、単一のタングステン板から線材を切り出すことによって形成されるフィラメントに比べて、フィラメント自体の温度上昇を抑制することができる。よって、加熱によるフィラメントの変形を抑制することができるとともに、フィラメントの平均寿命も延ばすことができる。
上記方法では、前記タンタル金属板と前記タングステン金属板とは各々圧延形成され、前記タンタル金属板と前記タングステン金属板とは各金属板の圧延方向が互いに交差するように積層されてもよい。
圧延形成された金属薄板では、通常、その圧延率が高いほど、圧延方向とその他の方向とで機械的強度が異なるようになる。例えば、弾性率、降伏強さ、引張強さ等の特性は、圧延方向と垂直な方向において最大、且つ圧延方向と平行な方向において最小となる傾向を有する。他方、伸び特性は、圧延方向と垂直な方向において最小、且つ圧延方向と平行な方向において最大となる傾向を有する。この点を考慮し、圧延形成されたタンタル金属板とタングステン金属板とを使用する場合には、各金属板の圧延方向が互いに交差するようにタンタル金属板とタングステン金属板とを積層してもよい。この方法では、各金属板の機械的な特性が相補され、積層板の機械的強度が向上する。ひいては、この積層板から切り出された線材にて構成されるフィラメントの機械的強度が向上される。
上記方法では、前記電子銃用フィラメントの線材を前記板材から切り出すことは、ワイヤ放電加工によって前記板材から前記線材を切り出すことを含むものであってもよい。
ワイヤ放電加工とは一般に、工具電極であるワイヤと被加工体との間の放電を利用して被加工体の一部を除去することにより、同被加工物を所望の形状に加工する方法である。そのため、被加工体が導体であれば、その硬度によらず加工を施すことが可能である。また、ワイヤの位置制御により被加工物を所望の形状に加工することも可能である。そのため、板材からの線材の切り出しにワイヤ放電加工を用いるようにすれば、フィラメントの形成材料の選択の幅が拡大されるとともに、同フィラメント形状に係る精度を向上させることができる。
本発明の第二の態様は、電子銃が備えるカソード電極の加熱に用いられるフィラメントである。当該フィラメントは、金属材料により形成され、少なくとも1つの屈曲を有する線材を備えており、当該線材が断面矩形状を有している。前記線材が、タンタル金属板とタングステン金属板との積層板からなり、前記線材の両端部の各々には、前記電子銃に取り付けられる脚部が、前記屈曲の全体を含む平面の法線方向に沿って折り曲げ形成されている。前記脚部は、前記電子銃にて、前記カソード電極と対向する前記平面に対して前記カソード電極とは反対側に向けて延び、前記線材では、前記タンタル金属板と前記タングステン金属板とが、前記カソード電極側から順に積層されている。
この構成によれば、ワイヤに曲げ加工を施すことによって形成された従来のフィラメント、即ち、断面円形状のワイヤを用いた従来のフィラメントと比較して、フィラメントの屈曲の箇所に残留する加工歪みが抑制される。従って、電子銃の使用に際してフィラメントが加熱されることがあっても、屈曲の曲がりに戻りが生じることが抑制される。即ち、加熱に起因して屈曲の形状が変化し、それによって、フィラメントが変形することが抑制される。
の構成では、単一の金属板を用いる場合と比較して、金属板の1枚あたりの厚さを薄くすることができる。これにより、金属板の厚さ方向における結晶粒の粗大化が自ずと抑制され、ひいては電子銃用フィラメントの強度及び寿命も向上されることになる。
の構成では、各金属板の結晶粒が、それぞれの金属板の厚みを超えて粗大化することが抑えられる。その結果、積層板の厚さ方向における結晶粒の粗大化を、該結晶粒が属する金属板の厚さに限定することが可能となる。
の構成では、単一材料の線材を折り曲げることによって形成される従来のフィラメントや、単一のタングステン板から線材を切り出すことによって形成されるフィラメントに比べて、フィラメント自体の温度上昇を抑制することができる。よって、加熱によるフィラメントの変形を抑制することができるとともに、フィラメントの平均寿命も延ばすことができる。
の構成では、複数の金属板のうち、カソード電極に近い金属板においては、他の金属板よりも低い温度で熱電子の放出が起こることになる。従って、単一材料からなる線材を折り曲げ形成した従来のフィラメントに比べて、カソード電極に対向する金属板の温度を低下させることができる。ひいては、他の金属板の温度も低下させることができるようになるため、フィラメントがカソード電極側に変形することを抑制することができる。
上記フィラメントでは、熱電子放射密度が0.4A/cm 以上の状態で使用されることが好ましい。
(a)は従来の電子銃用フィラメントに用いられるワイヤを示す斜視図、(b)は従来の電子銃用フィラメントの製造工程を示す斜視図。 本発明の一実施の形態に係る電子銃用フィラメントの概略構造を示す斜視図。 (a)〜(d)は図2の電子銃用フィラメントの製造工程を概略的に示す模式図。 図2の電子銃用フィラメントが適用される電子銃の構成を示す概略図。 図2の電子銃用フィラメントへの投入電力と電子ビーム出力との関係を示すグラフ。 カソード電極への投入電力と電子ビーム出力との関係を示すグラフ。 カソード電圧を変更したときの電子銃用フィラメントへの投入電力と電子ビーム出力との関係を示すグラフ。 (a)(b)は電子ビームの安定性を評価した結果を示すグラフ。 図2の電子銃用フィラメントの耐用時間を示すグラフ。 図2の電子銃用フィラメントの材料に適用可能なタングステンとタンタルの熱電子放射密度の比較を示すグラフ。 図2の電子銃用フィラメントにタングステン金属板とタンタル金属板とのW−Ta積層板を使用した実施例2の電子銃用フィラメントの概略構成図。 タングステン金属板のみを用いた実施例1のフィラメントの寿命と、W−Ta積層板を用いた実施例2のフィラメントの寿命とを示すグラフ。
以下、本発明に係る電子銃用フィラメント1の製造方法を具現化した一実施の形態について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、本実施の形態の製造方法によって製造された電子銃用フィラメント1の斜視構造を示したものである。同図2に示されるように、電子銃用フィラメント1は、4つの面によって外周面が構成されたタングステン等の高融点金属からなる断面矩形状の線部材である。この電子銃用フィラメント1は、上記外周面を構成する1つの面(カソード対向面1s)を含んだ仮想平面Pi上において3カ所の連続した屈曲1cからなる凹凸曲線状の屈曲部1aを有する。この屈曲部1aにおいて上記3カ所の屈曲1cが連なる方向の両端部には、カソード対向面1sの法線方向に延びる直線状の一対の脚部1bが折曲げ形成されている。つまり断面矩形状の線材である電子銃用フィラメント1は、その外周面をなす4つの面のいずれか一つに沿うように屈曲されることによって、フィラメント1の周方向に沿った捻れを有しないように構成されている。
図3は、こうした電子銃用フィラメント1の製造工程を示したものである。
図3(a)に示されるように、上記電子銃用フィラメント1の製造に際してはまず、この線材の構成材料である、例えばタングステンからなる金属板Pが用意される。なお、本実施の形態では金属板Pとして、上記カソード対向面1s(仮想平面Pi)を加工面Psとして有して例えば厚さが0.5mmであるタングステン板を用いるようにしている。
次いで、図3(b)に示されるように、周知のワイヤ放電加工装置WEにより金属板Pの加工が行われる。より詳細には、金属板Pの加工面Psと直交するように配置されたタングステン等からなる工具ワイヤ電極WE1と被加工体である金属板Pとに、加工電源WE2から例えば60V〜300V程度の電圧が印加される。そして、これも周知であるNC(Numerical Control)装置WE3により金属板Pの位置が制御されつつ、上記カソード対向面1s上の3カ所の屈曲1cの形状、すなわち当該電子銃用フィラメント1における屈曲部1aの2次元的な凹凸曲線の形状に従い、金属板Pが上下、あるいは左右に移動される。ちなみに、このときの金属板Pの移動速度である、いわゆる加工送り速度は一般に、1分間あたり5mm程度である。これにより、工具ワイヤ電極WE1と金属板Pとの距離が数十μm程度になると、これらの間で火花放電が発生する。このとき、工具ワイヤ電極WE1及び金属板Pの温度が数千度にまで加熱され、金属板Pの一部が溶解するとともに、この溶解された金属が、金属板Pの冷却と加工粉の除去を目的として供給された加工液の体積膨張によって金属板P上から飛散する。なお、加工液としては、水やケロシン等の絶縁液が用いられる。また、工具ワイヤ電極WE1は、こうした加熱による溶解や破断を回避するために図示しないワイヤ供給機構及びワイヤ巻き取り機構によりその供給及び巻き取りが行われている。こうして溶解金属が飛散することにより、金属板Pには加工溝が形成されることになる。また、上記NC装置WE3により金属板Pの位置制御が行われつつ、このような加工溝の形成工程が繰り返されることにより、電子銃用フィラメント1を形成するための線材P1が、屈曲部1aを含むかたちで切り出されることになる。
このように、線材P1の切り出しに際して、上記ワイヤ放電加工装置WEによるワイヤ放電加工を用いるようにすれば、導体である限りその硬度に限らず当該電子銃用フィラメント1として加工できるようになるため、電子銃用フィラメント1の形成材料に係る選択の幅が拡大される。また、ワイヤ放電加工装置WEが備えるNC装置WE3により、電子銃用フィラメント1の2次元形状に対応して金属板Pの位置制御が精度よく行われるため、同電子銃用フィラメント1の形状に係る精度を向上させることができる。
こうしてワイヤ放電加工装置WEにより切り出された線材P1は、図3(c)に示されるように、長手方向の中心部に屈曲部1aを有し、且つ加工面Ps(カソード対向面1s)に垂直な断面が矩形となるかたちに形成される。その後、図3(d)に示されるように、上記線材P1の長手方向の両端部が、加工面Ps(カソード対向面1s)の法線方向に折り曲げられることで、電子銃用フィラメント1が製造される。
このような電子銃用フィラメント1の製造方法では、先の図1に示される従来のフィラメント100の製造方法のように、線材としてのワイヤWに外力を加えて曲げることにより屈曲部100aを所望の形状とするのではなく、ワイヤ放電加工装置WEを用いて屈曲部1aを含むかたちで線材P1を金属板Pから切り出すようにしている。これにより、製造された電子銃用フィラメント1の屈曲部1aには加工による歪みが抑制され、電子銃用フィラメント1が電子銃に搭載されたときの加熱に起因する、該電子銃用フィラメント1、特にその屈曲部1aの変形を抑制することができるようになる。
なお、このようにワイヤ放電加工によって切り出されたフィラメント1では、上述のように、その屈曲部1aを含むカソード対向面1sに垂直な断面の形状が矩形状である。加えて、電子銃用フィラメント1の外周面を構成する一対の対向する面、具体的には、屈曲部1aを含むカソード対向面1sに垂直な一対の面には、ワイヤ放電加工による加工痕が形成されることとなる。この加工痕は、ワイヤ放電加工時の上記工具ワイヤ電極WE1の進行方向、すなわち電子銃用フィラメント1の線材P1の長手方向に垂直な筋状の痕、いわゆる条痕が所定間隔毎に形成されることとなる。よって、当該電子銃用フィラメント1は、その断面形状が矩形であること、及び上記一対の面に所定間隔毎に条痕が形成されていることにより、従来のようにワイヤW(図1)を屈曲させて形成したフィラメント100と識別可能である。
次に、上記電子銃用フィラメント1を搭載する電子銃、いわゆるピアス式電子銃10について図4を参照して説明する。図4は、例えば蒸着装置に適用されるピアス式電子銃10の概略構成を示している。同図4に示されるように、ピアス式電子銃10は、交流電流のジュール熱により発熱して熱電子を放出する電子銃用フィラメント1を搭載している。この電子銃用フィラメント1のカソード対向面1sに対する法線方向(照射方向D)には、カソード電極2、ウェーネルト電極3、アノード電極4、フローレジスタ5がこの順に配置されている。また、照射方向Dとは反対方向において電子銃用フィラメント1の隣には、イオンコレクタ8が配置されている。
電子銃用フィラメント1の屈曲部1aとカソード電極2とは照射方向Dにおいて対向するように配置されている。図4に一点鎖線にて示されるように、電子銃用フィラメント1とカソード電極2との各々の中心は、照射方向Dに延びる光軸A上に配設されている。この光軸A周りにおけるカソード電極2の周囲は、ウェーネルト電極3によって囲繞されている。照射方向Dにおいてウェーネルト電極3の隣には、円錘筒状をなし、上記カソード電極2の一つの面(照射方向Dに垂直な面)と対向する貫通孔を有するアノード電極4が配置されている。このアノード電極4は、アノード電極4の貫通孔と照射方向Dに連続する貫通孔を有したフローレジスタ5と連結されている。フローレジスタ5の外周には、上記アノード電極4に近い位置から順に集束コイル6と揺動コイル7とが設けられている。集束コイル6及び揺動コイル7の各々は、磁場を発生させて、アノード電極4を通過した電子ビームEBを照射対象(本例では蒸着材料31)上に集束させる、あるいは蒸着材料31上で揺動させる機能を有する。
なお、これら電子銃用フィラメント1、各種電極2〜4、各種コイル6,7、及びイオンコレクタ8は、開口を有する筐体9内に搭載されている。筐体9の開口は、電子ビームEBの照射口として設けられ、上記アノード電極4及びフローレジスタ5の各々の貫通孔に連結されている。また、筐体9の開口の周りにはフランジ9aが設けられており、このフランジ9aは、電子ビームEBの照射対象である蒸着材料31が配された蒸着室30に固定されている。蒸着室30は、このフランジ9aを介して、電子銃10を構成する筐体9の開口と連通している。
上記電子銃用フィラメント1には、該電子銃用フィラメント1に交流電流を供給するフィラメント電源21が接続されており、また、カソード電極2及びウェーネルト電極3には、これらに直流電圧を印加するカソード電源22が接続されており、そして、アノード電極4には、該アノード電極4に直流電圧を印加する加速電源23が接続されている。これらカソード電極2、ウェーネルト電極3及びアノード電極4には、電子銃用フィラメント1の電位が最も低く、且つアノード電極4の電位が最も高くなるように、カソード電源22及び加速電源23からの入力電圧が印加される。
こうしたピアス式電子銃10ではまず、フィラメント電源21からの交流電流が電子銃用フィラメント1に供給され、電子銃用フィラメント1が2000K〜3000Kに加熱されて、熱電子を放出する。そして、カソード電源22により電子銃用フィラメント1に対して正の電位が印加されたカソード電極2が、該電子銃用フィラメント1からの熱電子と熱輻射とによって加熱されることにより、同じく熱電子を放出する。このカソード電極2により放出された熱電子は、該カソード電極2と同電位であるウェーネルト電極3と、これらカソード電極2とウェーネルト電極3とに対して正の電位が印加されているアノード電極4との間の電位差によって加速されつつ、上記光軸Aに沿って飛行するようになる。そして、アノード電極4の貫通孔とこれに連結されたフローレジスタ5とを通過した熱電子は、筐体9の開口から蒸着室30に向かって電子ビームEBとして放出される。
この際、カソード電極2から放出される熱電子の一部が筐体9内及び蒸着室30内において残留気体に衝突すると、この残留気体が陽イオン化される。この陽イオンは、上記カソード電極2とアノード電極4との間の電圧により加速される。この加速された陽イオンがカソード電極2に衝突すると、これに起因してカソード電極2に穴が形成される。よって、こうした陽イオンが長期間にわたり放出されるとなれば、この穴が大きくなってカソード電極2に貫通孔が形成される虞がある。こうした状況を考慮して、カソード電極2に隣接して照射方向Dの反対方向に上記イオンコレクタ8が配置されている。この構成では、カソード電極2に貫通孔が形成された場合であっても、このカソード電極2の貫通孔を通じて電子銃用フィラメント1へと放出された陽イオン、すなわちイオンビームがイオンコレクタ8により吸収される。従って、イオンビームによる電子銃10の損傷が抑制されることとなる。
ここで、本実施の形態に係る電子銃用フィラメント1は上述のように、従来のフィラメント100(図1参照)と比較して加工歪みが少ないために、従来のフィラメント100よりもその熱変形が抑制される。つまり、電子銃用フィラメント1に交流電流が供給される際に、該電子銃用フィラメント1がカソード電極2側へ変位することが従来のフィラメント100よりも抑制されることとなる。よって、電子銃用フィラメント1とカソード電極2との距離(以下、F−C距離という)を短縮することが可能になる。それゆえに、従来と同様の電子ビームEBの出力を得る上においては、F−C距離が短縮される分だけ電子銃用フィラメント1の加熱条件がより緩慢なものとなる。したがって、加工歪みが少ないことのみならず、それによって加熱条件が緩慢なものとなることからも、電子銃用フィラメント1の熱変形がより確実に抑制可能となる。ひいては、電子銃用フィラメント1とカソード電極2とのF−C距離がより一定値に維持されるとともに、電子銃用フィラメント1の中心とカソード電極2の中心とが初期の位置に好適に維持される。結果、電子銃10から放出される電子ビームEBの出力の安定性が向上される。
(実施例)
以下、本発明にかかる電子銃用フィラメント1の実施例1を製造例とともに説明する。
厚さが0.5mmのタングステン板を金属板Pとして用意し、上記ワイヤ放電加工装置WEを用いたワイヤカット加工を施すことによって、上記屈曲部1aを含む線材P1を当該タングステン板から切り出した。そしてタングステン板から切り出された線材P1の長さ方向における両端部に折曲げ加工を施して脚部1bを形成することによって、実施例1の電子銃用フィラメント1を得た。また、直径が0.5mmのタングステン線材、即ち断面円形状のワイヤに対して折曲げ加工を施すことによって、上記屈曲部1aに対応する屈曲部100aと上記脚部1bに対応する100bとを有する比較例のフィラメント100を得た。
そして実施例1の電子銃用フィラメント1を搭載した電子銃10と比較例のフィラメント100を搭載した電子銃10とを下記の照射条件にて駆動し、実施例1の電子銃用フィラメント1のカソード電極2側への変形量と、比較例のフィラメント100のカソード電極2側への変形量とを計測した。なお、計測に用いた電子銃10は、フィラメントが異なる点以外は同一構成である。
・電子ビームの出力:17kW・加速電圧:20kV
・カソード電圧:1.2kV
・F−C距離:4.2mm
なお電子銃10からの電子ビームEBの出力を制御する方法としては、いわゆるフィラメント制御とカソード制御とが知られている。これらのうち、フィラメント制御とは、フィラメント1とカソード電極2との間に印可する電圧すなわちカソード電圧を一定とし、フィラメント1に投入する電力を調整することにより電子ビームEBの出力を制御する方法である。一方、カソード制御とは、フィラメント1に投入する電力を一定とし、上記カソード電圧を調整する方法である。以下では、これら2つの制御方法のうち、主にフィラメント制御により各電子銃10を駆動して得られた結果を示す。
上述する変形量を測定した結果、実施例1の電子銃用フィラメント1のカソード電極2側への変形量が比較例のフィラメント100のカソード電極2側への変形量よりも1.6mmだけ小さいことが認められた。つまり比較例のフィラメント100を用いた場合には、F−C距離の最小値として4.2mmが必要であるのに対し、実施例1の電子銃用フィラメント1を用いることによって、F−C距離の最小値が2.6mmにまで短縮可能であることが認められた。
次いで、実施例1の電子銃用フィラメント1を搭載した電子銃10から照射される電子ビーム出力の照射条件依存性を計測した。図5は、下記の照射条件において照射される電子ビーム出力と電子銃用フィラメント1への投入電力との関係を2種類のF−C距離について示す図である。また図6は、同じく下記の照射条件において照射される電子ビーム出力とカソード電極2への投入電力との関係を2種類のF−C距離について示す図である。そして図7は、F−C距離を2.6mmとしたときの電子ビーム出力と電子銃用フィラメント1への投入電力との関係を3種類のカソード電圧について示す図である。なお、カソード電極2への投入電力とは、上記カソード電圧と、フィラメント1とカソード電極2との間に流れる電流との積である。
ここで、図5及び図6では、F−C距離を2.6mmとして得られた結果を黒丸にて、他方、F−C距離を4.2mmとして得られた結果を黒四角にてそれぞれ示している。また図7では、カソード電圧を1.0kVとして得られた結果を黒菱形にて、そして、カソード電圧を1.2kVとして得られた結果を黒丸にて、さらに、カソード電圧を1.4kVとして得られた結果を黒三角にて、それぞれ示している。
・電子ビームの最大出力:30kW
・加速電圧:20kV
・カソード電圧:1.2kV
・F−C距離:2.6mm,4.2mm
ちなみに、F−C距離として設定された2.6mmと4.2mmのうち、4.2mmは、先の図1に示す従来の製造方法にて製造された比較例のフィラメント100を用いた場合に、F−C距離として設定可能な最小値である。これに対し、2.6mmは、先の図3に示した本実施の形態に係る製造方法にて製造した実施例1の電子銃用フィラメント1を用いた場合に、上記F−C距離として設定可能な最小値である。ここで、本実施の形態に係る製造方法にて製造されたフィラメント1が、カソード電極2との距離をより短く設定可能である理由は、上述の通りである。
図5に示されるように、電子ビームEBの出力を17kVで得る場合、フィラメント1への投入電力は、上記F−C距離が2.6mmのときには凡そ83.6Wであるのに対して、上記F−C距離が4.2mmのときには凡そ93.1Wである。従って、上記F−C距離を短縮することにより、フィラメント1への投入電力が凡そ10%低減できることが認められた。また、電子ビームEBの出力を17kVとする場合に限らず、図5に示されるように、0.84kW、2.8kW、5.6kW、あるいは11.2kWとした場合にもほぼ同様の傾向が得られた。これは、F−C距離が短縮された分だけ、フィラメント1から放出された熱電子がカソード電極2に引き込まれやすくなること、及び熱輻射に係る形態係数、すなわちフィラメント1から輻射される熱がカソード電極2に到達する割合が大きくなることによるものと考えられる。
図6に示されるように、電子ビームEBの出力を17kVとするときのカソード電極2への投入電力は、上記F−C距離を4.2mmとしたとき932.4Wであるのに対し、F−C距離を2.6mmとしたとき560Wである。従って、上記F−C距離を短縮することにより、カソード電極2への投入電力が凡そ40%低減されることが分かった。また図6に示されるように、電子ビームEBの出力を0.84kW、2.8kW、5.6kW、及び11.2kWのいずれに設定しても、上記17kWに設定した場合ほどではないにしろ、カソード電極2への投入電力が低減されることが分かった。これも上述のように、F−C距離が短縮された分だけ、電子銃用フィラメント1から放出された熱電子がカソード電極に引き込まれやすくなること、及び熱輻射に係る形態係数、すなわちフィラメント1から輻射される熱がカソード電極2に到達する割合が大きくなることによるものと考えられる。また、空間電荷の量が制限されることから、F−C距離が大きい程、高いカソード電圧が必要になることも、大きなカソード電極投入電力が必要になる一因であると考えられる。
これら図5、図6の結果から明らかなように、上記F−C距離を短縮することにより、電子銃用フィラメント1への投入電力やカソード電極2への投入電力を低減しつつも、所望とする電子ビームEBの出力が得られるようになる。
図7に示されるように、電子ビームEBの出力を0.84kW、2.8kW、5.6kW、11.2kW、及び17kWのいずれに設定しても、カソード電圧が高い程、フィラメント1への投入電力が小さい値であった。これは、カソード電圧が高い分だけ、フィラメント1から放出された熱電子がカソード電極2に引き込まれやすくなるためと考えられる。しかしながら、電子ビームEBの出力の制御性は、図7に示される各グラフの傾きからも分かるように、カソード電圧が低いほど向上する。この理由は、カソード電圧が低いほど、フィラメント1への投入電力を所定値だけ大きくする、あるいは小さくしたときの電子ビームEBの出力変化度合いが緩慢化されるためである。従って、電子ビームEBの出力制御に係る精度が向上されると言える。
こうした図7の結果から明らかなように、上述のフィラメント制御にて電子銃10を駆動する場合、カソード電圧はより低い値とした方が電子ビームEBの出力制御に係る精度を向上させることはできるものの、所望とする電子ビームEBの出力を得るためには、電子銃用フィラメント1への投入電力をより大きくする必要がある。この点、上述するように、実施例1の電子銃用フィラメント1であれば、F−C距離を短縮させることが可能であるために、所望とする電子ビームEBの出力を得る上において電子銃用フィラメント1への投入電力が低減可能となる。そのため、電子ビームEBの出力制御に係る精度を向上させる際に必要とされる電子銃用フィラメントへの投入電力の増加分を、F−C距離の短縮による減少分によって相殺することも可能となる。つまり屈曲部1aにおける加工の歪みが押さえられた電子銃用フィラメント1であれば、該電子銃用フィラメント1への投入電力を大きくさせることなく、電子ビームEBの出力制御に係る精度が向上可能になる。
次いで、実施例1の電子銃用フィラメント1を搭載した電子銃10と比較例のフィラメント100を搭載した電子銃10とを下記の照射条件にて駆動したときのビーム電流の経時的な安定性能を計測した。なお計測に用いた電子銃10は、フィラメントが異なる点以外は同一構成である。図8(a)は実施例1の電子銃用フィラメント1のビーム電流の変動度合いを、また図8(b)は比較例の電子銃用フィラメント100のビーム電流の変動度合いを示したものである。これら図8(a)及び図8(b)においては、1時間あたりのビーム電流の最大値が実線Lmaxにて、またその最小値が実線Lminにて、そして1時間あたりのビーム電流の平均値が破線Lavにてそれぞれ示されるとともに、1時間あたりのビーム電流の変動幅としてのこれら最大値と最小値との差が棒グラフにて示されている。
・電子ビームの出力:17kW
・加速電圧:20kV
・ビーム電流:850mA
・カソード電圧:1.2kV(実施例1),1.4kV(比較例)
・F−C距離:2.6mm(実施例1),4.2mm(比較例)
・照射時間:90時間
図8(a)に示す実施例1では、上述のようにF−C距離を2.6mmに設定可能であることから、上記照射条件を満たすカソード電圧として1.2kVが設定可能となる。こうした照射条件下にてビーム電流の値を凡そ90時間に渡り測定したところ、1時間あたりのビーム電流の平均値と最大値との差が最大で5mAであり、また、同平均値と最小値との差が最大で3mAであった。これに対し、図8(b)に示す比較例では、フィラメントとカソード電極との距離は4.6mmに設定されることから、上記照射条件を満たすカソード電圧として1.4kVが設定されることになる。こうした照射条件下にてビーム電流の値を凡そ90時間に渡り測定したところ、1時間あたりのビーム電流の平均値と最大値との差が最大で10mAであり、また、同平均値と最小値との差が最大で4mAであった。
このように、比較例のフィラメント100を用いた場合の変動幅に比べて、実施例1の電子銃用フィラメント1を用いた場合の変動幅を、1/1.75に低減することができる。このように変動幅が低減されるのは、実施例1の電子銃用フィラメント1では、比較例のフィラメント100と比較して、加熱による熱変形を抑制できることから、通電に起因するF−C距離の変動を低減できるとともに、F−C距離を短縮することができ、その結果、カソード電圧を低く設定して電子ビームEBの出力制御性を向上できたためと考えられる。
次いで、実施例1の電子銃用フィラメント1を搭載した電子銃10と比較例のフィラメント100を搭載した電子銃10とを、先の図8(a)(b)のときと同一の照射条件にて駆動したときの耐用時間であるフィラメント寿命を計測した。なお、ここで言う耐用時間とは、フィラメントへの通電を開始してからこれが断線するまでの時間である。また、実施例1の電子銃用フィラメント1と比較例のフィラメント100とのそれぞれについて25個体の耐用時間を測定している。
図9に示されるように、比較例のフィラメント100の耐用時間に係る平均が371時間であるのに対し、実施例1の電子銃用フィラメント1の耐用時間に係る平均は700時間であった。つまり、実施例1の電子銃用フィラメント1の平均耐用時間が、比較例のフィラメント100の平均耐用時間の1.9倍であることが分かった。このように平均耐用時間が長くできるは、実施例1の電子銃用フィラメント1では、加熱による変形が抑制されるため、該電子銃用フィラメント1における機械的な劣化を抑制できるとともに、F−C距離を短縮できることから、電子銃用フィラメント1への投入電力が低減可能となる、すなわち、電子銃用フィラメント1の温度を低下させることができたためと考えられる。加えて、比較例のフィラメント100では、最長の耐用時間と最短の耐用時間との差が約300時間であるのに対し、実施例1の電子銃用フィラメント1では、その最長の耐用時間と最短の耐用時間との差が約200時間となり、電子銃用フィラメント1個体間での耐用時間のばらつきも抑制可能であることが認められた。
以上説明したように、本実施の形態における電子銃用フィラメント1の製造方法によれば、以下に列挙する効果が得られるようになる。
(1)電子銃用フィラメント1に形成される屈曲部1aを構成する線材P1が金属板Pから切り出される。これにより、例えばワイヤWのような線材に折曲げ加工を施すことによって形成された屈曲部100aを有する従来のフィラメント100と比較して、電子銃用フィラメント1では、屈曲部1aの内部に残留する加工歪みを抑制することができる。その結果、電子銃10の使用に際して、電子銃用フィラメント1が加熱されることがあっても、屈曲部1aの内部に残留する加工歪みが極めて小さいので、屈曲部1aの曲がりに戻りが生じることが抑制される。よって、屈曲部1aの形状に変化を起こすこと、すなわち、フィラメント1が加熱に起因して変形することが抑制される。
(2)電子銃用フィラメント1の熱変形が抑制されるため、電子銃用フィラメント1とカソード電極2との距離(F−C距離)を短縮することができる。その結果、電子銃10への投入電力、例えばフィラメント1への投入電力やカソード電極2への投入電力を低減しつつも、所望とする電子ビームEBの出力を得ることができる。
(3)電子銃用フィラメント1の熱変形が抑制されるため、通電に起因するF−C距離の変動を低減できるとともに、F−C距離を短縮することができる。その結果、カソード電圧を低く設定して電子ビームEBの出力制御性を向上することができる。こうした出力制御性の向上によって、従来のフィラメント100を用いた場合の電子ビームEBの出力変動幅に比べて、本実施の形態の電子銃用フィラメント1を用いた場合の電子ビームEBの出力変動幅を約1/1.75に低減することができる。
(4)電子銃用フィラメント1の熱変形が抑制されるため、該電子銃用フィラメント1における機械的な劣化を抑制できるとともに、F−C距離を短縮することができる。その結果、電子銃用フィラメント1へ投入する電力を低減して、該電子銃用フィラメント1の温度上昇を抑制することができる。これにより、従来のフィラメント100に比較して、電子銃用フィラメント1の平均耐用時間を約1.9倍に延ばすことができる。
(5)従来のフィラメント100では、最長の耐用時間と最短の耐用時間との差が凡そ300時間であるのに対し、本実施の形態に係る電子銃用フィラメント1では、その最長の耐用時間と最短の耐用時間との差が凡そ200時間である。よって、電子銃用フィラメント1の個体間での耐用時間のばらつきも抑制される。
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更して実施することも可能である。
・電子銃10は上記構成に限らない。例えば、集束コイル及びフローレジスタを更に備える構成としてもよい。
・電子銃用フィラメント1の屈曲部1aを構成する屈曲1cの個数や屈曲部1aの形状は上記の個数及び形状に限らない。例えば屈曲部1aを構成する屈曲の数は任意に設定可能であるとともに、屈曲部1aの形状は線材P1の長手方向と交差する方向に延びる凹凸曲線状であってもよい。また、屈曲部1aの形状をいわゆる渦巻型としてもよい。
・金属板の厚さを0.5mmとしたが、これに限らず、例えば電子銃10で得る出力等に応じて任意に変更可能である。
・ワイヤ放電加工の条件、例えば工具ワイヤ電極WE1と金属板Pとの間に印加する電圧の大きさや、金属板Pの移動速度である加工送り速度等は、フィラメントの形状やワイヤ放電加工装置WEの性能等に応じて任意に設定可能である。
・電子銃用フィラメント1の金属板Pからの切り出しはワイヤ放電加工によって行うこととした。これに限らず、例えばウォータジェット法等、他の加工方法を採用してもよい。なお、ウォータジェット法とは、0.1mm〜1.0mm程の孔を介して例えば300MPa程度に加圧された水を用いて上記金属板P等の切断加工を行う方法であり、例えば水流は500m/s〜800m/sに設定される。
・また、加圧された水流に研磨材を混入して、これにより加工を行うアブレシブジェット法を採用してもよい。
・金属板Pの形成材料、つまりフィラメント1の形成材料をタングステンとした。これに限らず、タングステンを含む合金をフィラメントの形成材料として用いてもよい。あるいは、タングステンの代わりにタンタルなどの他の金属材料をフィラメント材料として用いてもよい。タンタル(Ta)の仕事関数はタングステン(W)のそれよりも小さいことから、タンタルはタングステンよりも低い温度で、それと同じ量の熱電子を放出することができる。例えば、図10に示されるように、1.2A/cmの熱電子を得る温度は、タンタルでは約2500Kであり、タングステンでは約2640Kである。したがって、タングステンの代わりにタンタルを用いることで、フィラメント1の温度を約140K、低くすることができる。
・上記電子銃用フィラメント1の構成材料である金属材料は一般に結晶粒の集合体であり、こうした結晶粒は加熱によって粒径を拡大させる。この加熱の条件が高温化、あるいは長期化等すると、電子銃用フィラメント1において結晶粒の粗大化が進行してしまい、これに起因してフィラメント1が脆化する虞がある。そこで上記金属板Pとしては、単一の板材からなるものを採用したが、これを変更して、複数の金属板からなる金属積層板を用いてフィラメントを形成してもよい。こうした構成であれば、以下のような効果が得られる。すなわち、
(6)単一の金属板からなる板材を用いる場合と比較して、金属板1枚あたりの厚さを薄くすることができ、金属板の厚さ方向における結晶粒の粗大化が自ずと抑制され、ひいては電子銃用フィラメントの強度及び寿命も向上されることになる。
・金属薄板のように圧延にて形成された材料は通常、その圧延率が高いほど、圧延方向とその他の方向とで機械的な特性である機械的強度が異なるようになる。例えば、弾性率、降伏強さ、及び引張強さ等は、上記圧延方向とは垂直な方向において最大、且つ圧延方向と平行な方向において最小であり、他方、伸びは圧延方向とは垂直な方向において最小、且つ圧延方向と平行な方向において最大となる傾向を有する。そのため、単一の板材からなる金属板によって電子銃用フィラメント1が形成されるとなれば、特定の方向においてその機械的強度が所望とする程度に維持されない虞がある。そこで上記積層板を用いる際には、各金属板の圧延方向が互いに交差するように複数の金属板が積層されることが望ましい。こうした構成であれば、上記(6)に加えて、
(7)積層板を構成する金属板それぞれの機械的な特性が相補されるようになり、積層板としての機械的強度が向上され、ひいてはこの積層板から切り出された線材にて構成される当該電子銃用フィラメントの機械的強度も向上されるようになる。
といった効果が得られるようになる。
ちなみに、(7)の効果は、互いに隣接する金属板同士を、それらの圧延方向が垂直をなすように積層したときに最も顕著となる。
・さらに、上記積層板を用いる場合には、複数の金属板が互いに異なる金属材料で形成されてもよい。これにより、
(8)積層板において隣接する金属板同士が互いに異なる金属材料からなるため、同一金属材料からなる複数の金属板を積層した積層板に比べて、一つの金属板を構成している結晶粒が、他の金属板との境界面を超えて粗大化することが抑制される。つまり、結晶粒が、その結晶粒からなる金属板の厚みを超えて粗大化することが抑制される。ひいては、積層板の厚さ方向における結晶粒の粗大化を、各結晶粒が属する金属板の厚さに制限することが可能となる。
といった効果が得られるようになる。
・また、異なる金属板を用いて積層板を形成する際には、電子銃用フィラメント1の上記カソード電極2に対向する側に配置される金属板を、その他の金属板よりも仕事関数の小さい材料からなるようにしてもよい。例えば、タングステン(W)金属とタンタル(Ta)金属とからなる金属積層板を用いてフィラメントを形成してもよい。図11は、タンタル金属板42とタングステン金属板43とのW−Ta積層板を用いて形成された実施例2のフィラメント41の構成を概略的に示す。このフィラメント41を用いた電子銃10では、タンタル金属板42がカソード電極2と対向して配置され、タングステン金属板43がカソード電極2と反対側に配置される。即ち、タンタル金属板42がカソード対向面1sを含む。フィラメント41は、タングステン金属板43にタンタル金属板42を接合してW−Ta積層板を得た後、W−Ta積層板から線材を切り出すことによって形成される。なお、金属板42,43を接合することに代えて、タングステン金属板43にタンタル金属を溶射することによって、あるいはタンタル金属板42にタングステン金属を蒸着することによって、W−Ta積層板を形成することもできる。換言すれば、タングステン金属板43からタングステン線材を切り出し、該タングステン線材にタンタル金属を溶射することによってフィラメント41を形成してもよい。あるいは、タンタル金属板42からタンタル線材を切り出し、該タンタル線材にタングステン金属を蒸着することによってフィラメント41を形成してもよい。上記したように、タンタルは、タングステンよりも低い温度で、それと同じ量の熱電子を放出することができる(図10参照)。このため、実施例2では、実施例1のフィラメント1に比べて、フィラメント41の温度上昇を抑えて平均耐用時間(平均寿命)を延ばすことができる。図12は、実施例1のフィラメント寿命と実施例2のフィラメント寿命とを示すグラフである。図12に示すように、実施例1のフィラメント1の平均寿命は700時間であるのに対して、実施例2のフィラメント41の平均寿命は838時間である。よって、実施例2では、実施例1よりも平均寿命を約1.2倍延ばすことができる。ここで、タンタルは、低い温度で熱電子を効率的に放出することができる反面、高温ではタングステンよりも引張強度の点において劣る。このため、W−Ta積層板を用いた場合には、フィラメント41の十分な強度を確保しつつ、同フィラメント41の温度上昇を抑えることができる。要約すれば、実施例2のフィラメント41は、以下の利点を有する。
(9)フィラメント41は、タンタル金属板42とタングステン金属板43とのW−Ta積層板を用いて形成される。フィラメント41を電子銃10に配置した場合、タンタル金属板42はカソード電極2に対向して配置される。タンタルはタングステンよりも低い温度で熱電子を放出する。したがって、単一材料の線材を折り曲げることによって形成された従来のフィラメント100や、単一金属板から線材を切り出すことによって形成された実施例1のフィラメント1に比べて、カソード電極2に対向する金属板(即ちタンタル金属板42)の温度上昇が抑制される。ひいては、タングステン金属板43の温度上昇が抑制され、フィラメント41自体の温度上昇が抑制される。よって、実施例1に比べて、フィラメント41がカソード電極2側に変形することを抑制することが可能となる。
・異なる仕事関数を有する3つ以上の金属(又は金属板)を用いてフィラメントを形成してもよい。この場合、最も仕事関数の低い金属が電子銃のカソード電極に対向して配置されるように、フィラメントを形成することが望ましい。

Claims (5)

  1. 電子銃が備えるカソード電極の加熱に用いられる電子銃用フィラメントの製造方法であって、
    金属材料からなる板材を準備すること、
    少なくとも1つの屈曲を有する前記フィラメントの線材を前記板材から切り出すこと、
    前記線材の両端部の各々に、前記屈曲の全体を含む平面の法線方向に沿って延び、前記電子銃に取り付けられる脚部を折り曲げ形成すること、
    を備え
    前記板材を準備することは、タンタル金属板とタングステン金属板とからなる金属積層板を準備すること、及び、前記カソード電極と対向することとなる金属板を前記タンタル金属板とすることを含み、
    前記脚部は、前記電子銃にて、前記カソード電極と対向する前記平面に対して前記カソード電極とは反対側に向けて延びる電子銃用フィラメントの製造方法。
  2. 前記タンタル金属板と前記タングステン金属板とは各々圧延形成され、前記タンタル金属板と前記タングステン金属板とは各金属板の圧延方向が互いに交差するように積層されている、請求項に記載の電子銃用フィラメントの製造方法。
  3. 前記電子銃用フィラメントの線材を前記板材から切り出すことは、ワイヤ放電加工によって前記板材から前記線材を切り出すことを含む、請求項1又は2に記載の電子銃用フィラメントの製造方法。
  4. 電子銃が備えるカソード電極の加熱に用いられるフィラメントであって、
    金属材料により形成され、少なくとも1つの屈曲を有する線材を備え、前記線材が断面矩形状を有し
    前記線材が、タンタル金属板とタングステン金属板との積層板からなり、
    前記線材の両端部の各々には、
    前記電子銃に取り付けられる脚部が、前記屈曲の全体を含む平面の法線方向に沿って折り曲げ形成され、
    前記脚部は、前記電子銃にて、前記カソード電極と対向する前記平面に対して前記カソ
    ード電極とは反対側に向けて延び、
    前記線材では、
    前記タンタル金属板と前記タングステン金属板とが、前記カソード電極側から順に積層されているフィラメント。
  5. 熱電子放射密度が0.4A/cm 以上の状態で使用される請求項4に記載のフィラメント。
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