JP2024062621A - 電子源及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期エミッション時において安定度の高い電子源及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】電子放出面を有する電子放出材と、該電子放出材を被覆する被覆層と、を有し、前記被覆層は、前記電子放出面の周囲を被覆するものであり、前記電子放出材の熱膨張率C1と前記被覆層の熱膨張率C2との差|C1-C2|が、2.5×10-6/K以下である、電子源。【選択図】図1A

Description

本発明は、電子源及びその製造方法に関する。
電子源は、例えば、電子ビームリソグラフィ装置、電子ビーム描画装置、多電子ビームシステム、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、電子線マイクロアナライザー、マイクロフォーカスX線装置などの様々な装置において利用されている。これら装置に使用する電子源として、例えば、特許文献1には、陰極の寿命を長くするとともに円錐部表面からの放出電子を減らすように構成した電子源が開示されている。
特開2005-228741号公報
しかしながら、従来の電子源は長期エミッション時において、電流変動が発生しやすく、安定した電子ビームを形成できないことが分かってきた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、長期エミッション時において安定度の高い電子源及びその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
電子放出面を有する電子放出材と、該電子放出材を被覆する被覆層と、を有し、
前記被覆層は、前記電子放出面の周囲を被覆するものであり、
前記電子放出材の熱膨張率C1と前記被覆層の熱膨張率C2との差|C1-C2|が、2.5×10-6/K以下である、
電子源。
〔2〕
前記電子放出材が、ホウ化ランタン、ホウ化セリウム、及びイリジウムセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つ以上を含む、
〔1〕に記載の電子源。
〔3〕
前記被覆層の融点が、前記電子放出材の融点よりも大きい、
〔1〕又は〔2〕に記載の電子源。
〔4〕
前記電子放出材が、錐台部を有し、
前記錐台部の小径面が前記電子放出面を含み、
前記被覆層が、前記錐台部の側面を被覆する、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の電子源。
〔5〕
熱電界放出型である、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の電子源。
〔6〕
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の電子源を製造する方法であって、
電子放出材の表面に被覆層を形成する被覆工程と、
前記被覆層の一部ととともに前記電子放出材の一部を研削することにより、前記電子放出材の電子放出面を露出させるとともに、前記電子放出面の周囲を被覆する被覆層を構成する研削工程と、を有する、
電子源の製造方法。
本発明によれば、長期エミッション時において安定度の高い電子源及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態の電子源の斜視図である。 本実施形態の電子源の断面斜視図である。 本実施形態の電子源の製造工程を示す図である。 実施例1の熱安定性試験の結果を示す図である。 実施例2の熱安定性試験の結果を示す図である。 比較例1の熱安定性試験の結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1.電子源
本実施形態の電子源は、電子放出面を有する電子放出材と、該電子放出材を被覆する被覆層と、を有し、被覆層は、電子放出面の周囲を被覆するものであり、電子放出材の熱膨張率C1と被覆層の熱膨張率C2との差|C1-C2|が、2.5×10-6/K以下である。
このような構成を有することにより、長期エミッション時において、電子放出材から被覆層が剥離することが抑制され、構造安定性がより向上する。また、電子放出面の周囲を被覆する被覆層の剥離抑制の向上に伴い、長期エミッション時において電流安定度を高く維持することが可能となる。これにより、本実施形態においては、長期エミッション時において構造面と電流面共に安定度の高い電子源を提供することができる。
図1Aに、本実施形態の電子源の斜視図を示し、図1Bに図1Aに示したS面で切断した断面斜視図を示す。図1A及び図1Bに示すように、電子源10は、電子放出面11aを有する電子放出材11と、被覆層12と、を有する。被覆層12が電子放出面11aの周囲を被覆することで、電子放出面11aの周囲からの余剰電流が抑制される。
本実施形態の電子源は、加熱した電子源に電界をかけて、ショットキー効果により電子を放出させる熱電界放出型の電子源であってもよい。熱電界放出型電子源は、ショットキー型電子源ともいう。熱電界放出型の電子源は、電流安定度が高く、寿命に優れる傾向にある。
1.1.電子放出材
電子放出材は、電子放出面11aを有し、加熱と電界の印加によって電子放出面11aから電子を放出する材料である。電子放出材としては、特に限定されないが、例えば、LaB6などのホウ化ランタン、CeB6などのホウ化セリウム、及びIr5Ceなどのイリジウムセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つ以上が挙げられる。このなかでも、ホウ化ランタンが好ましい。このような電子放出材を用いることにより、電流安定度や寿命がより向上する傾向にある。
電子放出材は、仕事関数が低く電子を放出しやすい結晶方位が電子放出面の電子放出方向に一致するよう構成された単結晶体であってもよい。電子放出面の形状は、特に制限されず、円形であってもよいし、多角形であってもよい。
電子放出材の熱膨張率C1は、好ましくは、6.0×10-6/K~9.0×10-6/Kであり、6.5×10-6/K~8.5×10-6/Kであり、7.0×10-6/K~8.0×10-6/Kである。熱膨張率C1が上記範囲内であることにより、長期エミッション時における安定度がより向上する傾向にある。
電子放出材の融点M1は、好ましくは、1900~3000℃であり、2000~2800℃であり、2200~2600℃である。融点M1が上記範囲内であることにより、長期エミッション時における安定度がより向上する傾向にある。
電子放出材11の形状は、特に限定されないが、例えば、錐台状であってもよいし、柱状であってもよいし、錐台部11bと柱部11cとを有する形状であってもよい(図1A及び図1B参照)。ここで、錐台状は、円錐台、多角錐台を含む。また、柱状は、円柱、多角柱を含む。
このなかでも、電子放出材11は錐台部11bを有することが好ましく、錐台部11bの小径面11dが電子放出面11aを含むことが好ましい。このような錐台部11bを有することにより、電子放出面11aに高電界を印加できるため、電子ビームを大電流化することができる。
錐台部11bの小径面11dと側面11eとのなす鋭角θは、好ましくは、15~85°であり、30~80°であり、45~75°であり、50~70°である。鋭角θが上記範囲内であることにより、電子放出面11a(小径面11d)に、より高い電界を印加でき、電子ビームを大電流化することができる。
また、電子放出材11は、支持部材(不図示)に保持された状態で、支持部材を介して加熱用フィラメントに間接的に接続されていてもよいし、加熱用フィラメントに直接接続されていてもよい。例えば、柱部11cを有する場合、柱部11cにおいて電子放出材11は加熱用フィラメントに直接接続されていてもよい。これにより、加熱消耗によって電子放出材11と支持部材との接続具合が変化し、それによる電流安定度の低下を抑制することが可能となり、長期エミッション時における安定度がより向上する傾向にある。
なお、電子放出材11において、支持部材又は加熱用フィラメントと接続されるか所においては、被覆層12は設けられなくてもよい。
1.2.被覆層
電子放出面11aの周囲からの余剰電子が電子放出面11aからの電子と合わさると、結果として、面内の電子ビームの強度分布の均一性が低下する。これに対して、本実施形態においては、図1A及び図1Bに示すように、被覆層12は少なくとも電子放出面11aの周囲を被覆する。これにより、電子放出面11aの周囲からの余剰電子が抑制される。その結果として、面内において電子ビームの強度分布の均一性が向上する。
また、図1A及び図1Bに示すように、被覆層12は、電子放出面11aの周囲以外にも、電子放出材11の側面を被覆してもよい。例えば、電子放出材11が柱状の場合には、その側面を被覆してもよい。また、電子放出材11が錐台部11bを有する場合には、被覆層12は錐台部11bの側面11eを被覆してもよい。これにより、電子放出面11aの周囲からの余剰電流が抑制されるほか、側面11eからの余剰電流が抑制される傾向にある。
被覆層12の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、金属タンタル、金属チタン、金属ジルコニウム、金属タングステン、金属モリブデン、金属レニウム、炭化タンタル、炭化チタン及び炭化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つ以上が挙げられる。
被覆層12は、一層で構成されてもよいし、構成材料の異なる2層以上の多層で構成されていてもよい。また、一つの層は、一つの構成材料から構成されてもよいし、複数の構成材料を組み合わせて構成されてもよい。例えば、被覆層12は、電子放出材11との密着に優れる下層と電子の放出抑制に優れる上層とを有してもよい。この場合、下層は電子放出材11と上層との間に位置する。
被覆層の熱膨張率C2は、好ましくは、5.0×10-6/K~7.5×10-6/Kであり、5.5×10-6/K~7.0×10-6/Kであり、6.0×10-6/K~6.5×10-6/Kである。
電子放出材の熱膨張率C1と被覆層の熱膨張率C2との差|C1-C2|は、2.50×10-6/K以下であり、好ましくは、2.25×10-6/K以下であり、好ましくは、2.00×10-6/K以下であり、1.75×10-6/K以下であり、1.50×10-6/K以下であり、1.25×10-6/K以下である。差|C1-C2|が2.50×10-6/K以下であることにより、長期エミッション時において、電子放出材から被覆層が剥離することが抑制され、構造安定性がより向上するとともに、剥離抑制に伴い、長期エミッション時において電流安定度を高く維持することが可能となる。
また、差|C1-C2|は、0×10-6/K以上であってもよく、0.25×10-6/K以上であってもよく、0.50×10-6/K以上であってもよく、0.75×10-6/K以上であってもよく、1.00×10-6/K以上であってもよい。
なお、上記差|C1-C2|は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つとを組み合わせることによって、数値範囲を画定してもよい。
さらに、電子放出材の熱膨張率C1は、被覆層の熱膨張率C2よりも大きいことが好ましい。被覆層の熱膨張率C2のほうが大きい場合、加熱時において被覆層が大きく熱膨張することで、電子放出材と被覆層との間に隙間が生じ、余剰電流の抑制効果が低下し、電流安定度が低下し得る。これに対して、電子放出材の熱膨張率C1が被覆層の熱膨張率C2よりも大きいことにより、余剰電流がより抑制され、電流安定度がより向上する傾向にある。
また、被覆層12を多層で構成する場合、各層の熱膨張率C2それぞれと電子放出材の熱膨張率C1とが、上記差|C1-C2|における関係を満たすことが好ましい。また、電子放出材の熱膨張率C1は、被覆層の各層の熱膨張率C2それぞれよりも大きいことが好ましい。
さらに、被覆層12を多層で構成する場合、熱膨張率が最も高い層の熱膨張率C2maxと、熱膨張率が最も低い層の熱膨張率C2minとの差|C2max-C2min|は、好ましくは、1.00×10-6/K以下であり、0.75×10-6/K以下であり、0.50×10-6/K以下であり、0.25×10-6/K以下である。また、差|C2max-C2min|の下限は、0×10-6/K以上であってもよい。
被覆層12の融点M2は、好ましくは、2400~3800℃であり、2600~3600℃であり、2800~3400℃である。融点M2が上記範囲内であることにより、被覆層12の熱安定性が高い傾向にあるため、長期エミッション時における電流安定度がより向上し得る。
被覆層12の厚さは、好ましくは、0.1~3.0μmであり、0.3~2.0μmであり、0.5~1.5μmである。被覆層の厚さが0.1μm以上であることにより、電子放出材11からの予期しない電子の放出をより制限でき、長期エミッション時における安定度がより向上する傾向にある。また、被覆層の厚さが3.0μm以下であることにより、被覆層12の安定性がより向上する傾向にある。なお、被覆層12の厚さは、被覆層12が一層の場合にはその層の厚さをいい、被覆層12が多層の場合には、その多層の全体の厚さを言う。
被覆層12の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは、0.01~1.50μmであり、0.03~1.00μmであり、0.05~0.75μmであり、0.05~0.50μmであり、0.05~0.25μmである。算術平均粗さRaが1.50μm以下であることにより、被覆層がより均一な厚さを有し、剥離しやすい薄い部分が少なくなり、剥離が抑制される傾向にある。また、これに伴い、長期エミッション時において電流安定度を高く維持することが可能となる。さらに、電子放出面11aの周囲を被覆する被覆層12の表面の算術平均粗さRaが上記範囲であることにより、電子放出面11aへの電界のかかり方がより均一となり、電流安定度がより向上する傾向にある。
算術平均粗さRaは、被覆層の成型方法によって調整することができる。例えば、ペーストを用いて成形した被覆層の算術平均粗さRaはおよそ2.00~3.50μmとなる傾向にあり、蒸着(CVD/PVD)により成形した被覆層の表面粗さRaは上記で例示した範囲となる傾向にある。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601:2013に従って測定することができる。
また、被覆層12の表面の十点平均粗さRzは、好ましくは、0.01~2.50μmであり、0.03~1.50μmであり、0.05~1.00μmであり、0.05~0.75μmである。十点平均粗さRzが2.50μm以下であることにより、被覆層がより均一な厚さを有し、剥離しやすい薄い部分が少なくなり、剥離が抑制される傾向にある。また、これに伴い、長期エミッション時において電流安定度を高く維持することが可能となる。さらに、電子放出面11aの周囲を被覆する被覆層12の表面の十点平均粗さRzが上記範囲であることにより、電子放出面11aへの電界のかかり方がより均一となり、電流安定度がより向上する傾向にある。
十点平均粗さRzは、被覆層の成型方法によって調整することができる。例えば、ペーストを用いて成形した被覆層の十点平均粗さRzはおよそ8.00~15.00μmとなる傾向にあり、蒸着(CVD/PVD)により成形した被覆層の表面粗さRaは上記で例示した範囲となる傾向にある。なお、十点平均粗さRzは、JIS B 0601:2013に従って測定することができる。
1.3.用途
本実施形態の電子源の用途は、特に限定されないが、例えば、電子ビームリソグラフィ装置、電子ビーム描画装置、多電子ビームシステム、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、電子線マイクロアナライザー、マイクロフォーカスX線装置、金属3Dプリンター、人工衛星などが挙げられる。
2.電子銃
本実施形態の電子銃は、特に限定されないが、例えば、上記電子源と、電子源を加熱する加熱用フィラメントと、電子源に対向して設けられた引出電極と、電子源から発生する電子ビームを加速する電圧を印加する加速電極と、熱電子を抑制するサプレッサ電極と、を有してもよい。
加熱用フィラメントは、電子源と直接または間接的に接続されてもよい。加熱用フィラメントは加熱用電源に接続され、加熱用電源から電流が流れることで加熱される。加熱用フィラメントに流す電流は、例えば、電子源が1800K程度となるように設定してもよい。加熱用フィラメントとしては、タングステンや黒鉛のフィラメント、カーボンヒーターを用いてもよい。
引出電極は引出電源に接続され、引出電極に引出電圧が印加されることで、電子が放出される。加速電極は加速電源に接続され、加速電極に印加された加速電圧によって、所定のエネルギーの電子線が得られる。また、サプレッサ電極は、エミッタから放出される熱電子を抑制するためマイナスの電圧が印加される。
3.電子源の製造方法
本実施形態の電子源の製造方法は、電子放出材の表面に被覆層を形成する被覆工程と、被覆層の一部ととともに電子放出材の一部を研削することにより、電子放出材の電子放出面を露出させるとともに、電子放出面の周囲を被覆する被覆層を構成する研削工程と、を有する。図2に、本実施形態の電子源の製造工程を示す。
3.1.加工工程
本実施形態の電子源の製造方法は、被覆工程前に、電子放出材を所望の形状にする加工工程を含んでもよい。加工工程としては、機械加工工程と放電加工工程が挙げられる。機械加工工程では、公知の研削技術によって、電子放出材を所望の形状に加工する方法が挙げられる。
放電加工工程では、例えば、絶縁性の加工液(脱イオン水や石油など)に電子放出材を沈め、電子放出材と電極との間にパルス電圧を印加し、アーク放電を生じさせ、この放電現象により発生する熱を利用して、電子放出材を所望の形状に溶かしてもよい。
3.1.被覆工程
被覆工程では、電子放出材の表面に被覆層を形成する。被覆方法は、特に限定されないが、例えば、物理蒸着(PVD)と化学蒸着(CVD)が挙げられる。この中でも、これにより、算術平均粗さRaや十点平均粗さRzの小さい被覆膜が得られる。
3.1.研削工程
研削工程では、被覆層の一部ととともに電子放出材の一部を研削することにより、電子放出材の電子放出面を露出させるとともに、電子放出面の周囲を被覆する被覆層を構成する。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
電子放出材料として、六ホウ化ランタン単結晶を<100>方向を長軸とした0.75×0.75mmの角柱を作製し、一方の端部を機械加工でθ=60°のテーパー状に加工して、六ホウ化ランタンチップを得た(加工工程)。
次に、イオンプレーティング法を用い、この六ホウ化ランタンチップの表面にタンタル膜を膜厚0.5μmとなるように均一に形成した(被覆工程)。そして、ホウ化ランタンチップの先端を直径160μmの電子放出面が露出するように研磨して、電子源を得た(研削工程)。得られたタンタル膜の算術平均粗さRaは、0.145μmであり、十点平均粗さRzは0.554μmであった。
〔実施例2〕
被覆工程において、六ホウ化ランタンチップの表面にタンタル膜を膜厚0.02μmとなるように均一に形成したあと、さらに、タンタル膜の上にレニウム膜を膜厚0.48μm(全体の膜厚として0.5μm)となるように均一に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子源を作成し、安定性試験を行った。その結果を、図3Bと表1に示す。
〔比較例1〕
被覆工程において、六ホウ化ランタンチップの表面にタングステン膜を膜厚0.5μmとなるように均一に形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電子源を作成し、安定性試験を行った。その結果を、図3Cと表1に示す。
〔安定性試験〕
得られた電子源をカーボンヒーターで挟み込み、碍子に配置した一対の導電支柱で把持することで電子銃を作製した。その後、真空度10-7Pa環境下で、電子源の温度が1650Kになるようエミッタを10日間通電加熱して、被覆層の状態を走査型電子顕微鏡で観察した。また、安定性試験において、通電加熱から3日目の走査型電子顕微鏡写真を図3A~図3Cに示す。
(評価基準)
A:通電加熱から10日経っても被覆層の剥がれ破れが認められなかった。
B:通電加熱から6日~9日で被覆層の剥がれ破れが認められた。
C:通電加熱から4日~6日で被覆層の剥がれ破れが認められた。
D:通電加熱から3日以内で被覆層の剥がれ破れが認められた。
※ 比較例1では、熱膨張差に起因して被覆層にひび割れが発生し、それに起因して剥がれが認められた。
本発明は、電子銃に用いる電子源として産業上の利用可能性を有する。
10…電子源、11…電子放出材、11a…電子放出面、12…被覆層。

Claims (6)

  1. 電子放出面を有する電子放出材と、該電子放出材を被覆する被覆層と、を有し、
    前記被覆層は、前記電子放出面の周囲を被覆するものであり、
    前記電子放出材の熱膨張率C1と前記被覆層の熱膨張率C2との差|C1-C2|が、2.5×10-6/K以下である、
    電子源。
  2. 前記電子放出材が、ホウ化ランタン、ホウ化セリウム、及びイリジウムセリウムからなる群より選ばれる少なくとも一つ以上を含む、
    請求項1に記載の電子源。
  3. 前記被覆層の融点が、前記電子放出材の融点よりも大きい、
    請求項1に記載の電子源。
  4. 前記電子放出材が、錐台部を有し、
    前記錐台部の小径面が前記電子放出面を含み、
    前記被覆層が、前記錐台部の側面を被覆する、
    請求項1に記載の電子源。
  5. 熱電界放出型である、
    請求項1に記載の電子源。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の電子源を製造する方法であって、
    電子放出材の表面に被覆層を形成する被覆工程と、
    前記被覆層の一部ととともに前記電子放出材の一部を研削することにより、前記電子放出材の電子放出面を露出させるとともに、前記電子放出面の周囲を被覆する被覆層を構成する研削工程と、を有する、
    電子源の製造方法。
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