以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器が内蔵する部品の分解斜視図である。図2は、図1に示される部品のうちカバーを除く部品が互いに組み合わされた状態を示す斜視図である。図3は図1に示す部品が互いに組み合わされた状態を示す斜視図である。図4は電子機器が備える上フレーム20と冷却ファン40の斜視図である。図5は電子機器の上フレーム20と、冷却ファン40と、ヒートシンク61,62の平面図である。図6は電子機器が備えるカバー50内に形成される空気流路S1,S2を説明する為の図であり、同図ではカバー50の水平断面が示されている。以下の説明では、図1に示すX1−X2が左右方向であり、Y1−Y2が前後方向である。
図1に示すように、電子機器は回路基板10を有している。回路基板10には複数の電子部品が実行されている。回路基板10には複数(この例では2つ)のICチップ11,12が実装されている。電子機器は例えばゲーム装置やオーディオビジュアル装置などのエンタテインメント装置である。ICチップ11,12は、電子機器の全体を制御するマイクロプロセッサや、マイクロプロセッサから出力される情報に基づいて動画像データを生成する画像処理プロセッサである。
この例の回路基板10には複数のコネクタ13a〜13eが実装されている。これらのコネクタ13a〜13eは、電子機器が内蔵する他の装置と回路基板10とを電気的に接続するためのコネクタや、周辺機器に繋がったケーブルが接続されるコネクタである。
図1に示すように、電子機器は回路基板10を覆う板状の上フレーム20を有している。この説明では、上フレーム20は回路基板10の上面を覆っている。この例の上フレーム20は回路基板10に対応したサイズを有している。すなわち、上フレーム20の前後方向の幅と左右方向の幅はそれぞれ回路基板10の前後方向の幅と左右方向の幅に対応している。この例では、上フレーム20は概ね矩形である。一方、回路基板10は矩形の一部(図1においてAの示す部分)が切り欠かれた形状を有している。切り欠かれた部分Aには、ハードディスクなどの他の装置が配置される。
上フレーム20のサイズは必ずしも、以上説明したものに限定されず、回路基板10のサイズよりも大きくてもよい。すなわち、上フレーム20の前後方向の幅と左右方向の幅のいずれか一方又は双方が、回路基板10よりも大きくてもよい。また、上フレーム20と回路基板10の形状は、以上説明したものに限られない。例えば、回路基板10も矩形でよい。
上フレーム20は1枚の金属の板材からプレス加工や曲げ加工などによって形成された部材である。回路基板10は、例えばボルトや螺子などの締結部材(不図示)によって上フレーム20に固定されている。そのため、上フレーム20は回路基板10の剛性を確保する部材として機能する。また、上フレーム20は回路基板10上に実装された部品に対する放熱用の部材として機能する。回路基板10と上フレーム20とには、互いに対応する位置に、締結部材が差し込まれる穴が形成されている。また、上フレーム20は、電子機器が内蔵する装置を収容するハウジング(不図示)にも固定される。そのため、上フレーム20はハウジングの剛性を確保するための部材としても機能する。また、後において詳説するように、上フレーム20はICチップ11,12などからでる不要輻射を遮蔽する部材としても機能する。なお、上フレーム20や、図1に示す冷却ファン40、カバー50等はハウジング内に配置される。
この例の電子機器は、図1に示すように、回路基板10を挟んで上フレーム20とは反対側に位置する下フレーム30を有している。下フレーム30は回路基板10の下面を覆っている。上フレーム20と回路基板10と下フレーム30は、共通の締結部材によってハウジングに固定される。上フレーム20と回路基板10と下フレーム30とハウジングは、互いに対応する位置に、締結部材が差し込まれる穴が形成されている。なお、回路基板10と上フレーム20とを固定する構造は、これに限定されず、共通の締結部材は用いられなくてもよい。
図1及び図2に示すように、電子機器は上フレーム20上に配置される冷却ファン40を備えている。すなわち、冷却ファン40は上フレーム20を挟んで回路基板10とは反対側に配置されている。また、電子機器は、冷却ファン40から排出される空気が通る空気流路S1,S2(図6参照)を上フレーム20上に有している。図1及び図3に示すように、電子機器は、この空気流路S1,S2を覆う形状を有するカバー50を有している。カバー50は上フレーム20上に配置され、上フレーム20とともに空気流路S1,S2を規定している。すなわち、カバー50の内側に空気流路S1,S2が形成され、上フレーム20とカバー50は空気流路S1,S2の壁として機能している。また、カバー50の内側には、後述するヒートシンク61,62が配置されている。このような構造によれば、上フレーム20が受けたヒートシンク61,62やICチップ11,12の熱は、上フレーム20を介してカバー50の外側にも広がるので、上フレーム20を放熱用の部材として有効に利用できる。
この例では、図2に示すように、冷却ファン40は回路基板10に対して垂直な回転中心線Cを有している。冷却ファン40のこのような配置により、上フレーム20上に、冷却ファン40の外周を取り囲む大きな空気流路S1,S2を形成できる。その結果、空気流路S1,S2を流れる空気で冷却される領域を、上フレーム20において増やすことができる。
カバー50は上フレーム20に向かって開いた略箱状であり、その底面が上フレーム20によって閉じられるようにして上フレーム20に取り付けられている。空気流路S1,S2を規定する壁は、カバー50と上フレーム20とによって、閉じた断面形状を有している。ここで断面形状は、空気流路S1,S2内を流れる空気の流通方向に対して垂直な面を切断面とする壁の断面形状である。
カバー50は、図3に示すように、回路基板10の厚さ方向において上フレーム20と対向する上壁部52を有している。また、カバー50は、上壁部52の縁から上フレーム20に向けて下がる側壁部51を有している。すなわち、側壁部51は、上フレーム20上で立ち空気流路S1,S2の側壁として機能している。側壁部51の下縁は上フレーム20に当っている。なお、カバー50の下流端、すなわち、空気流路S2の下流端は、空気の流通方向(図6においてDの示す方向)に開いている。
この例の側壁部51は冷却ファン40の外周を取り囲む形状を有している。具体的には、図6に示すように、側壁部51は冷却ファン40の外周を囲むよう湾曲する湾曲壁部51aを有している。また、側壁部51は、湾曲壁部51aの一方の端部51b(以下において終端部)から空気の流通方向(図6においてDの示す方向、この例では後方)に延びる第1側壁部51cを有している。さらに、側壁部51は、湾曲壁部51aの他方の端部51d(以下において開始部)から空気流通方向Dに延びる第2側壁部51eを有している。湾曲壁部51aと第1側壁部51cと第2側壁部51eは、上壁部52の縁から上フレーム20に向けて下がっている。
カバー50は冷却ファン40の上側を避けながら、冷却ファン40の周りの空気流路S1,S2を覆っている。すなわち、図3に示すように、上壁部52には、冷却ファン40の上側に位置するとともに、冷却ファン40の径に対応した大きさの開口52aが形成されている。冷却ファン40の回転駆動により、開口52aを通して空気が空気流路S1,S2に導入される。カバー50の形状については後において詳説する。
カバー50は上フレーム20に取り付けられている。そのため、電子機器の製造工程において、上フレーム20と冷却ファン40とカバー50とを一体的に取り扱うことが可能となり、作業効率を向上できる。
この例では、図3に示すように、側壁部51は、その下縁に、上フレーム20と平行な方向に張り出す張り出し部54,55を有している。張り出し部54,55は、その端部に、上フレーム20に向かって延びる取付部54a,55aを有している。この取付部54a,55aが螺子やボルトなどの締結部材によって上フレーム20に固定される。図2に示すように、上フレーム20はカバー50と冷却ファン40とが載せられる設置プレート部21を有している。設置プレート部21は段差21aで囲まれており、上フレーム20の他の部分より高い位置に位置している。すなわち、設置プレート部21は回路基板10から上方に離れて位置している。側壁部51の下縁から離れた位置に取付部54a,55aを形成することで、段差21aの位置の自由度を増すことができる。段差21aには複数の通気穴21bが形成されている。なお、側壁部51の下縁には、図3に示すように、張り出し部54,55に加えて、複数の取付部53が形成されている。この取付部53も締結部材によって、上フレーム20に取り付けられている。
なお、この例では、冷却ファン40とカバー50は、上フレーム20において、左右方向における一方側に寄せて配置されている。また、冷却ファン40とカバー50は、上フレーム20において、前後方向における一方側に寄せて配置されている。上フレーム20の残りの領域には、電子機器が内蔵する他の装置が固定される。例えば、電源回路や記録媒体の読み取り装置が固定され得る。
図1に示すように、電子機器はヒートシンク61,62を有している。この例の電子機器は2つのヒートシンク61,62を有している。上述したように、ヒートシンク61,62はカバー50の内側に配置されている。ヒートシンク61,62はカバー50の内側に形成される空気流路S2上に位置している(図6参照)。
図7はヒートシンク61,62の斜視図である。同図に示すように、ヒートシンク61,62は、その下部に、板状の受熱ブロック61a,62aをそれぞれ有している。受熱ブロック61a,62aの下面は回路基板10に実装されたICチップ11,12にそれぞれ接触する。受熱ブロック61a,62aは上フレーム20よりも回路基板10側に位置している。また、ヒートシンク61,62は、その上部に、互いに間隔を空けて形成される複数のフィン61b,62bを有している。フィン61b,62bは上フレーム20よりも上方に位置し、カバー50内に形成される空気流路S2に位置している。この例では、各フィン61b,62bは前後方向(図6においてDの示す空気流通方向)に沿って配置されている。
受熱ブロック61aとフィン61bは一体的に形成され、受熱ブロック62aとフィン62bも一体的に形成されている。例えば、受熱ブロック61aとフィン61bはフィン61bと平行な方向に材料を押し出す押し出し加工によって形成される。同様に、受熱ブロック62aとフィン62bはフィン62bと平行な方向に材料を押し出す押し出し加工によって形成される。なお、受熱ブロック61a,62aとフィン61b,62bの形成方法はこれに限れない。例えば、フィン61b,62bは板材をかしめることによって形成されてもよい。また、受熱ブロック61a,62aとフィン61b,62bは鋳造によって形成されてもよい。上フレーム20はヒートシンク61,62を避ける形状を有している。この例では、上フレーム20の設置プレート部21には、ヒートシンク61,62の形状に対応した穴23,29が形成されている。上フレーム20のこの形状により、受熱ブロック61a,62aとフィン61b,62bとを一体的に形成することができている。このような構造によれば、受熱ブロック61a,62aとフィン61b,62bとを別体に形成し、受熱ブロック61a,62aを上フレーム20の下面に固定し、フィン61b,62bを上フレーム20の上側に配置する構造に比べて、電子機器の冷却構造が簡素化できる。
図4に示すように、上フレーム20の設置プレート部21には、ヒートシンク61,62の形状に対応した穴23,29が形成されている。ヒートシンク61,62はそれぞれ穴23,29の内側に配置されている。この構造によれば、上フレーム20の外縁の一部を切り欠いて、その切り欠かれた部分にヒートシンク61,62を配置する構造に比べて、上フレーム20の強度を確保できる。
また、ヒートシンク61,62は穴23,29の内側に配置され、上フレーム20によって位置決めされている。上述したように、回路基板10と上フレーム20は互いに固定されている。そのため、回路基板10に実装されたICチップ11,12とヒートシンク61,62との相対位置のずれを抑えることができる。
この例では、ヒートシンク62は、図7に示すように、受熱ブロック62aに、上方に突出する複数の突部62cを有している。図4に示すように、上フレーム20の穴29の縁には、突部62cが嵌る穴29aが形成されている。この突部62cと穴29aとによりヒートシンク62は位置決めされている。ヒートシンク61の位置決め構造については後において詳説する。
ヒートシンク61,62はICチップ11,12に押し付けられている。この例では、下フレーム30の下側に配置された図示しない板バネによって、受熱ブロック61a,62aは下側に引っ張られており、これによりICチップ11,12に押し付けられている。
図4に示すように、上フレーム20には上述した段差21aが形成されている。段差21aはカバー50の側壁部51の外側に位置し、下縁に沿って形成されている。段差21aには、当該段差21aの延伸方向に並ぶ複数の通気穴21bが形成されている。この通気穴21bを通して、カバー50や冷却ファン40が載せられる設置プレート部21と、回路基板10との間に空気が流れ込む。なお、設置プレート部21には、冷却ファン40の下側に位置する部分に、複数の通気穴21eが形成されている。冷却ファン40が回転駆動した時に回路基板10と設置プレート部21との間に通気穴21bを通して空気が流れ込む。そして、その空気は通気穴21eと冷却ファン40とを通過して、カバー50の内側の空気流路S1,S2に流れる。
冷却ファン40とカバー50とを上フレームとは別体のプレートに取り付ける従来の構造では、プレートと上フレームとの境が生じるために、カバー50の側壁部51の下縁の近くに段差21aを形成することが難しい。ここで説明する電子機器では、カバー50と冷却ファン40は上フレーム20に取り付けられているので、段差21aをカバー50の側壁部51の下縁の近くに、当該側壁部51の下縁に沿って形成することが容易となる。
冷却ファン40の取付構造について説明する。図8は冷却ファン40の底面図である。
図4に示すように、冷却ファン40はロータ41と複数のフィン43とを有している。ロータ41は円筒状であり、複数のフィン43はロータ41の外周面から半径方向に突出している。複数のフィン43は回転中心線Cを中心とする周方向に等間隔で並んでいる。冷却ファン40は、図8に示すように、取付穴42aを有している。取付穴42aは螺子などの締結部材によって上フレーム20に取り付けられる。取付穴42aは複数のフィン43よりも回転中心線C側に位置している。複数のフィン43の外側に取付穴を有する構造では、取付穴を形成するための部位を複数のフィン43の外側に設ける必要が有る。そのような部位は、カバー50内の空気流と上フレーム20との直接的な接触を阻害し、上フレーム20の放熱性能を低減する要因となる。ここで説明する電子機器では、取付穴42aは複数のフィン43よりも回転中心線C側に位置している。そのため、複数のフィン43の外側に位置する取付穴の数を減らすことができ、複数のフィン43の外側に設ける部位の数やサイズを小さくできる。その結果、上フレーム20(具体的には設置プレート部21)の表面において空気流と直接的に接触する部分を拡大でき、上フレーム20の放熱性能の向上を図ることができる。
この例では、図8に示すように、取付穴42aは回転中心線C上に位置している。そのため、冷却ファン40を上フレーム20に安定的に固定できる。図4に示すように、上フレーム20には、取付穴42aに対応する位置に、締結部材が差し込まれる取付穴21gが形成されている。冷却ファン40は、円筒状のロータ41の内側に、円柱状のステータを有している。ステータは、図8に示すように、円盤状の底部42を有している。取付穴42aはこの底部42に形成されている。
底部42には、取付穴42aから離れた位置に、突部42bが形成されている。この例では、底部42には2つの突部42bが形成されている。突部42bは取付穴42aを挟んで互いに反対側に位置している。一方、上フレーム20には、図4に示すように、突部42bに対応する位置に、穴21hが形成されている。突部42bは穴21hに嵌っている。これによって上フレーム20上での冷却ファン40の回転方向への位置ずれが抑えられる。
この例のロータ41の形状は上端が閉じた円筒であり、ロータ41は図2に示すように上壁部41aを有している。ステータはロータ41に下側から嵌められている。換言すると、ロータ41はステータに上側から被さるように配置されている。このようなロータ41とステータとの配置によれば、電子機器の使用時にロータ41の位置はロータ41の自重により下方にさがる。その結果、ロータ41とステータとの上下方向の位置を適正化するための構造が簡単になる。
冷却ファン40は、図4及び図8に示すように、その底部に、上フレーム20と平行なファンプレート部44を有している。ファンプレート部44は、複数のフィン43の外径よりも半径方向の外方に張り出している。上述したように、上フレーム20は空気流路S1,S2の底面を構成する設置プレート部21を有している。ファンプレート部44は、設置プレート部21の外縁(図5において破線Bで示す部分)よりもさらに外側に位置している。ファンプレート部44は設置プレート部21とともに空気流路の底面を構成している。冷却ファン40にこのようなファンプレート部44を設けることにより、上フレーム20における冷却ファン40の位置についての自由度を増すことができる。
図4、図5及び図8に示すように、ファンプレート部44は、その一部に、張り出し部44aを有している。この張り出し部44aが、複数のフィン43の外径よりも半径方向の外方に広がり、且つ、設置プレート部21の外縁Bよりも外側に位置している。張り出し部44aは、冷却ファン40の外周に形成される空気流路(より具体的には後述する第1空気流路S1(図6参照))に対応した形状を有している。この例では、第1空気流路S1の幅W1は、回転中心線Cを中心とする周方向に向かって(空気流路S1の下流に向かって)徐々に大きくなっている。そのため、張り出し部44aの幅Wpも、図4に示すように、空気流路の下流に向かって徐々に大きくなっている。張り出し部44aのこのような形状により、無駄な張り出しを抑えながら、カバー50の内側に、閉じた断面形状の壁で規定される第1空気流路S1を形成できている。
なお、この例では、ファンプレート部44は、ステータの底部42と同一平面上に形成されている。また、ファンプレート部44は、図8に示すように、底部42を囲む略環状である。ファンプレート部44と底部42は、底部42から半径方向に延びる複数のブリッジ44bによって互いに連結されている。張り出し部44aは、ファンプレート部44の外周部の一部から張り出している。なお、複数のブリッジ44bのうち1つのブリッジ44bには、冷却ファン40に電力を供給する電線45が配置されている。
冷却ファン40は、図5に示すように、張り出し部44aからさらに外方に張り出す取付プレート部44cを有している。取付プレート部44cには穴44eが形成されており、取付プレート部44cは穴44eに嵌められる螺子によって上フレーム20に取り付けられている。この穴44eはカバー50の外側に位置している。そのため、穴44eに嵌められる螺子が空気流の障害となること抑えることができる。
さらに、取付プレート部44cは穴44fが形成されている。張り出し部44aの縁には穴44gが形成されている。これらの穴44f,44gにはカバー50の側壁部51の下縁に形成された突部が嵌る。これにより、冷却ファン40とカバー50との位置ずれが抑えられる。
上述したように、上フレーム20は、冷却ファン40の下側の位置に、複数の通気穴21eを有している(図4参照)。また、上述したように、カバー50の上壁部52には、冷却ファン40の上側の位置に、冷却ファン40の径に対応した大きさの開口52aが形成されている(図3参照)。冷却ファン40が回転駆動した時、開口52aと通気穴21eとを通して冷却ファン40に向けて空気が導入される。この空気は冷却ファン40から半径方向に空気流路S1,S2に向けて流れ出る。
図4に示すように、冷却ファン40はその外周部に板状の上環状部43aを有している。上環状部43aは、複数のフィン43の上縁の端部を互いに連結している。上環状部43aの径は、上壁部52の開口52aの径に対応しており、上環状部43aは開口52aの内縁に近接して配置される。この構造により、冷却ファン40が回転駆動したときに、無駄な空気流が生じることを抑えることができる。つまり、冷却ファン40の回転駆動によりカバー50内に導入された空気が、開口52aの内縁とフィン43の上縁との間を通ってカバー50の外側に流れ出ることを抑えることができる。この例では、上環状部43aと開口52aの内周部は、それらの間に僅かなクリアランスを空けた状態で、上下方向において互いに対向している。
また、図4に示すように、この例の冷却ファン40は、さらに板状の下環状部43bを有している。下環状部43bは複数のフィン43の下縁の端部を互いに連結している。下環状部43bの径は、ステータの底部42に連結されたファンプレート部44の径に対応している。上環状部43aと下環状部43bとによって、フィン43の変形を抑えることができる。
[カバー内に形成される空気流路]
図6を参照して、カバー50の形状及びカバー50によって形成される空気流路について説明する。
上述したように、カバー50は冷却ファン40の外周に形成される空気流路S1,S2を覆っている。カバー50の側壁部51は、上述したように、冷却ファン40の外周の一部を囲み、冷却ファン40の外周との間に第1空気流路S1を形成する湾曲壁部51aを有している。また、側壁部51は、湾曲壁部51aの一方の端部である終端部51bからさらに伸びる第1側壁部51cを有している。第1側壁部51cは、第1空気流路S1の下流の流路である第2空気流路S2の側壁として機能する。さらに、側壁部51は、第1側壁部51cと対向する第2側壁部51eを有している。第2側壁部51eは、第2空気流路S2の第1側壁部51cとは反対側の側壁として機能する。
湾曲壁部51aは、第1空気流路S1の流路断面積が下流に向けて徐々に大きくなるように、湾曲している。すなわち、湾曲壁部51aは冷却ファン40の回転中心線Cからの距離Rが空気流路の下流に向かって徐々に大きくなるように湾曲している。湾曲壁部51aと冷却ファン40の回転中心線Cとの距離Rは、湾曲壁部51aの開始部51d、すなわち湾曲壁部51aの上流端部で最も小さい。開始部51dは冷却ファン40の外周から半径方向に離れて位置している。距離Rは終端部51bに向けて徐々に大きくなっている。
この例では、湾曲壁部51aは冷却ファン40の回転中心線Cを中心とする対数螺旋(等角螺旋)に沿って湾曲している。湾曲壁部51aが描く対数螺旋を表す関数は、開始部51dの位置と終端部51bの位置の双方を通る曲線として求められる。
すなわち、対数螺旋は下記式(1)で表される。
R=a×e^bθ・・・式(1)
aは湾曲壁部51aの開始部51dと回転中心線Cとの距離である。eは自然対数である。θは湾曲壁部51a上の各点と回転中心線Cとを結ぶ直線と、開始部51dと回転中心線Cとを結ぶ直線との角度である。bは係数であり、例えば、終端部51bと回転中心線Cとを結ぶ直線と、開始部51dと回転中心線Cとを結ぶ直線との角度と、終端部51bと回転中心線Cとの距離とから得られる。
湾曲壁部51aが湾曲する構造では、湾曲壁部51aの接線の角度変化に起因して湾曲壁部51aに沿って流れる空気が抵抗を受ける。対数螺旋上の任意の点での接線と、当該点と回転中心線Cとを結ぶ直線がなす角度は一定である。そのため、湾曲壁部51aを対数螺旋に沿って湾曲させる構造では、湾曲壁部51aに沿って流れる空気に対して、接線の角度変化に起因する抵抗が生じにくい。そのため、湾曲壁部51aに沿った空気は減速しにくく、第1空気流路S1を流れる空気量を増やすことができる。
なお、湾曲壁部51aは第1空気流路S1の流路断面積が第2空気流路S2に向けて徐々に大きくなるように、冷却ファン40の回転中心線Cを中心とするインボリュート曲線に沿って湾曲してもよい。この場合においても、湾曲壁部51aが描くインボリュート曲線を表す関数は、回転中心線Cに対する開始部51dの位置と回転中心線Cに対する終端部51bの位置の双方を通る曲線として求められる。インボリュート曲線に沿って湾曲した湾曲壁部51aの湾曲形態は、対数螺旋に沿って湾曲した湾曲壁部51aと近くなる。そのため、湾曲壁部51aをインボリュート曲線に沿って湾曲させた場合であっても、湾曲壁部51aに沿った空気が減速しにくく、第1空気流路S1を流れる空気量を増やすことができる。
第2空気流路S2は第1空気流路S1の下流端よりも大きな流路断面積を有している(ここで、第1空気流路S1の下流端は湾曲壁部51aの終端部51bに対応する部分である)。すなわち、第2空気流路S2の幅W2は、第1空気流路S1の下流端の幅Weよりも大きい。特にこの例では、幅W2は第1空気流路S1の下流端から下流に向かって徐々に大きくなっている。この説明において、幅W2は第2空気流路S2内の空気流通方向Dに対して垂直な方向での距離である。また、第2空気流路S2内の空気流通方向Dは、第2空気流路S2内を流れる空気の巨視的な流通方向である。空気流通方向Dは、ヒートシンク61,62のフィン61b,62bの姿勢や、第1側壁部51c及び第2側壁部51eの延伸方向、第1空気流路S1の下流端の開口方向によって規定される。この説明では空気流通方向Dは後方向である。
ヒートシンク61,62は第2空気流路S2に配置されている。換言すると、ヒートシンク61,62は第1空気流路S1の下流端よりも下流に配置されている。上述したように、第2空気流路S2は第1空気流路S1の下流端よりも大きな流路断面積を有するよう形成さている。そのため、ヒートシンク61,62が空気流の速度低下の要因となり難く、高い冷却性能が得られる。
この例の第1側壁部51cは直線部51fを有している。直線部51fは湾曲壁部51aの終端部51bから、終端部51bの接線方向(この例では空気流通方向D)に直線的に伸びている。そのため、湾曲壁部51aに沿って流れた空気は、その速度を大きく低下させることなく、第1側壁部51cに沿って直線的に流れ得る。
また、この例の第1側壁部51cは直線部51fからさらに延びる傾斜部51gを有している。傾斜部51gは、空気流通方向Dに対して垂直な方向における外方に傾斜している(この例では、傾斜部51gはX2で示される方向に傾斜している)。これにより、第2空気流路S2内の下流部分では、傾斜部51gによってその流路断面積が拡大される。その結果、直線部51fに沿って流れる空気が、円滑に第2空気流路S2を通過できる。
第1側壁部51cの上流部分、すなわち、直線部51fの湾曲壁部51aに近い部分は、空気流通方向Dに対して垂直な方向において、冷却ファン40の後半部と重なっている。したがって、第2空気流路S2の上流部分は冷却ファン40の外周と第1側壁部51cとの間に形成されている。第2空気流路S2の上流部分の流路断面積は、冷却ファン40の後半部の外形で規定される増加率で、下流に向けて大きくなっている。
第1側壁部51cと対向する第2側壁部51eは、空気流通方向Dに対して垂直な方向において第1側壁部51cから大きく離れている。具体的には、後において説明するように、第2側壁部51eは、流路方向Dを通る直線L2を挟んで、第1側壁部51cとは反対側に位置している。第2空気流路S2の下流部分は第1側壁部51cと第2側壁部51eとの間に形成されている。
湾曲壁部51aの開始部51dは第2側壁部51eに繋がっている。そのため、冷却ファン40の回転駆動によって形成される空気流を有効利用できる。また、開始部51dは冷却ファン40の外周から半径方向に離れて位置している。そのため、第1空気流路S1の上流端(開始部51dに対応する部分)に円滑に空気が流れ込む。なお、開始部51d(第2側壁部51eとの連結部分)と、終端部51b(第1側壁部51cとの連結部分)との間の全範囲が対数螺旋又はインボリュート曲線に沿って湾曲している。
開始部51dは、冷却ファン40の回転中心線Cを通り空気流通方向Dに沿った直線L2を挟んで、終端部51bとは反対側に位置している。すなわち、図6を参照すると、開始部51dは、空気流通方向Dに対して垂直な方向に直線L2から離れて位置している。この例では、終端部51bは、回転中心線Cを中心とする周方向に180度よりも大きく270度より小さい角度θcだけ、開始部51dから離れている。この構造により、空気流を第2空気流路S2に効率的に流すことができる。つまり、回転中心線Cから空気流通方向Dに離れた位置、この例では回転中心線Cに対して真後ろの位置には、空気流F1が形成される。回転するフィン43により外側に押し出される空気は冷却ファン40の半径方向に対して斜めの方向に冷却ファン40から排出される。そのため、空気流F1は図6に示すように斜め後方に向いており、空気流通方向Dの速度成分を有している。この速度成分を持つ空気を、第1空気流路S1を経由することなく、直接的に第2空気流路S2に供給できる。すなわち、空気流F1が有する空気流通方向Dの速度成分を有効に利用できる。
第2側壁部51eは、空気流通方向Dに対して斜めの方向に、開始部51dから伸びている。そのため、空気流F1が第2側壁部51eに沿って円滑に流れ得る。
また、この例では、第1側壁部51cは空気流通方向Dに沿って形成されており、第2側壁部51eは第1側壁部51cに対して傾斜している。そのため、第1側壁部51cと第2側壁部51eとの間において、第1側壁部51cと第2側壁部51eとの間においても、第2空気流路S2の流路断面積は下流に向かって徐々に大きくなっている。なお、第2側壁部51eの下流部分は空気流通方向Dに沿った方向に延びている。
第2側壁部51eは、その端部に、湾曲部51hを有している。すなわち、第2側壁部51eは、空気流通方向Dに対して垂直な方向の外側に向けて開始部51dから湾曲し、その後に、空気流通方向Dに対して斜めの方向に延びている。そのため、冷却ファン40の外周に形成される空気流が、第2側壁部51eに沿った空気流F2と、第1空気流路S1に流れ込む空気流F3とに円滑に分かれ得る。
上述したように、この例の電子機器は2つのヒートシンク61,62を有している。以下の説明ではヒートシンク61を第1ヒートシンクとし、ヒートシンク62を第2ヒートシンクとする。第2ヒートシンク62は第1ヒートシンク61よりも下流に配置されている。
第1ヒートシンク61は第1側壁部51cに沿って配置されている。そのため、湾曲壁部51aに沿って流れた空気は、大きく速度を落とすことなく、第1ヒートシンク61に流れ込むことができる。
第1ヒートシンク61は、上述したように、複数のフィン61bを有している。フィン61bは第1側壁部51c(より具体的には直線部51f)に沿って配置されている。すなわち、フィン61bは第1側壁部51cと平行に配置されている。また、フィン61bは第1空気流路S1の下流端の開口方向(この例では後方向)と平行に配置されている。そのため、第1空気流路S1から流れ出た空気が円滑にフィン61bの間を通過し得る。
この例では、第1ヒートシンク61は第1側壁部51cと第2側壁部51eとの間に位置する下流部61Bを有している。また、第1ヒートシンク61は下流部61Bから上流に向かって延びており、第1側壁部51cと冷却ファン40の外周との間に位置する上流部61Aを有している。第1ヒートシンク61が上流部61Aを有しているので、第1空気流路S1から流れ出た速度の速い空気が接触する部分が第1ヒートシンク61において大きくできる。この例では、第1ヒートシンク61の上流端は、第1空気流路S1の下流端に位置している。
第1のヒートシンク61は、第1空気流路S1の下流端に対して後方に位置する部分だけでなく、冷却ファン40の後方、すなわち冷却ファン40に対して空気流通方向Dに位置する部分をも有している。そのため、冷却ファン40から直接、空気流通方向Dに流れ出る空気と、第1空気流路S1から流れ出る空気の双方で第1ヒートシンク61を冷却できる。特にこの例では、第1ヒートシンク61の上流部Aと下流部Bの端部(第2側壁部51e寄りの端部)は、冷却ファン40の回転中心線Cに対して、空気流通方向Dに位置している。
また、この例の第1ヒートシンク61は冷却ファン40の外周の一部を囲む形状を有している。すなわち、複数のフィン61bの前縁は冷却ファン40に沿って湾曲した線上で並んでいる。そのため、第1ヒートシンク61を冷却ファン40に近接して配置することが可能となっている。その結果、冷却ファン40から流れ出た空気が、その速度を大きく落とす前に、第1ヒートシンク61に流れ込む。
上述したように、湾曲壁部51aの開始部51dには第2側壁部51eが繋がっている。開始部51dは、冷却ファン40の周方向に、第1ヒートシンク61の下流部61Bから離れて位置している。第2側壁部51eも空気流通方向Dに対して垂直な方向に下流部61Bから離れて位置している。そのため、下流部61Bと第2側壁部51eとの間にはスペースS2aが形成される。その結果、空気流は、第2側壁部51eと開始部51dとの連結部分で乱れることなく、スペースS2aに向かう空気流F2と、第1空気流路S1に向かう空気流F3とに円滑に分かれ得る。
また、第2側壁部51eは、第1ヒートシンク61のフィン61bと第2側壁部51eとの距離が下流に向かって徐々に大きくなるように、傾斜している。そのため、スペースS2aの流路断面積は下流に向かって徐々に大きくなる。その結果、空気流F2がさらに円滑になる。
第1ヒートシンク61は第2側壁部51eから第1側壁部51cに寄せて配置されている。すなわち、第2側壁部51eと第1ヒートシンク61の下流部61Bとの距離は、第1側壁部51cと下流部61Bとの距離よりも大きい。そのため、第1空気流路S1の上流端に空気を円滑に流れ込ませることが可能となるとともに、第1空気流路S1から流れ出た直後の速度の速い空気を第1ヒートシンク61で受けることができる。
上述したように、第1ヒートシンク61の下流には第2ヒートシンク62が配置されている。第2ヒートシンク62も空気流通方向Dに対して垂直な方向に第2側壁部51eから離れて位置している。そのため、第2ヒートシンク62と第2側壁部51eとの間に円滑な空気流が形成され得る。第1ヒートシンク61と第2側壁部51eとの間に形成される空気流路(すなわちスペースS2a)は、カバー50の下流端50aまで続いている。
第2ヒートシンク62は空気流通方向Dに対して垂直な方向において、第1側壁部51cから離れて位置している。この例では、第1側壁部51cは傾斜部51gを有している。第2ヒートシンク62は傾斜部51gから離れて位置している。
[ヒートシンクの位置決め及び不要輻射対策]
上述したように、上フレーム20は回路基板10を覆うように配置されており、回路基板10から放出される電磁波を遮蔽するシールドとして機能している。以下、上フレーム20による第1ヒートシンク61の位置決め構造と、第1ヒートシンク61からでる電磁波を低減するために第1ヒートシンク61と上フレーム20との電気的接触を得るための構造について説明する。図9は上フレーム20の拡大斜視図であり、同図では第1ヒートシンク61が配置される部分が示されている。図10は図9に示す部分の裏側の斜視図である。図11は上フレーム20の底面図である。なお、これらの図において、図4を参照して説明した通気穴21eは省略されている。
上述したように、第1ヒートシンク61は回路基板10上に配置されている。より具体的には、第1ヒートシンク61はICチップ11上に配置されている。上フレーム20は第1ヒートシンク61を避ける形状を有している。この例では、上フレーム20には第1ヒートシンク61に対応した形状の穴23が形成されている。第1ヒートシンク61は穴23の内側に配置され、上フレーム20は第1ヒートシンク61の全外周を取り囲む縁(すなわち穴23の内縁)を有している。穴23の内側に第1ヒートシンク61を配置することにより、以下説明するように、前後方向及び左右方向の双方における第1ヒートシンク61の位置を上フレーム20によって規定することが可能となっている。
上フレーム20は、図4及び図9に示すように、第1ヒートシンク61の外周を取り囲む縁(すなわち穴23の内縁)として、第1の縁23aと、第2の縁23bと、第3の縁23cと、第4の縁23dとを有している。第1の縁23aと第2の縁23bは、第1ヒートシンク61を挟んで互いに反対側に位置する縁である。この例では、第1の縁23aと第2の縁23bは、第2空気流路S2の空気流通方向Dに対して垂直な方向において対向する縁である。第3の縁23cと第4の縁23dも、第1ヒートシンク61を挟んで互いに反対側に位置する縁である。この例では、第3の縁23cと第4の縁23dは、第2空気流路S2の空気流通方向Dにおいて対向する縁である。
この例では、第1の縁23aは、第1ヒートシンク61の形状に合わせて直線的に形成されている。一方、第2の縁23bには第1ヒートシンク61の形状に合わせて、段差23i,23iが形成されている。また、第3の縁23cと第4の縁23dには、第1ヒートシンク61の形状に合わせて、段差23j,23kがそれぞれ形成されている。なお、これらの縁23a,23b,23c,23dの形状は、第1ヒートシンク61の形状に合わせて適宜変更されてよい。
上フレーム20は、図9に示すように、第1の縁23aに、第2の縁23bに向けて、すなわち空気流通方向Dに対して垂直な方向(X1の示す方向)に、第1ヒートシンク61を押すバネ部24を有している。また、上フレーム20は、第2の縁23bに、第1ヒートシンク61が押し付けられる位置決め部25を有している。これにより、空気流通方向Dに対して垂直な方向において第1ヒートシンク61の位置が規定されると同時に、上フレーム20と第1ヒートシンク61とが電気的に接触する。上フレーム20は電気的に接地されている。そのため、フィン61bからの輻射が抑えられる。この例では、上フレーム20は複数(この例では、5つ)のバネ部24を有している。この例の位置決め部25は板状の部位である。空気流通方向Dに対して垂直な方向において、バネ部24と位置決め部25は互いに反対方向に向いている。
また、上フレーム20は、図10に示すように、第3の縁23cに、第4の縁23dに向けて、すなわち空気流通方向Dに第1ヒートシンク61を押すバネ部26を有している。また、上フレーム20は、第4の縁23dに、第1ヒートシンク61が押し付けられる位置決め部27,28を有している。これにより、空気流通方向Dにおいて第1ヒートシンク61の位置が規定されると同時に、上フレーム20と第1ヒートシンク61とが電気的に接触する。この例では、後において説明するように、上フレーム20は複数(この例では2つ)のバネ部26を有している。この例の位置決め部27,28は板状の部位である。空気流通方向Dにおいて、バネ部26と位置決め部27,28は互いに反対方向に向いている。
図9及び図10に示すように、位置決め部25,27,28とバネ部24,26は上フレーム20と一体的に形成されている。すなわち、位置決め部25,27,28とバネ部24,26は、上フレーム20の元となる板材を曲げ加工により部分的に屈曲させることで形成されている。この例の位置決め部25,27,28は回路基板10側に折り曲げられた板状の部位である。
第2の縁23bに形成された位置決め部25は、それとは反対側のバネ部24に比して高い剛性を有している。すなわち、バネ部24は弾性変形可能であるものの、位置決め部25は穴23の外側へ広がる方向への弾性変形が制限される形状である。例えば、位置決め部25の基部(第2の縁23bと位置決め部25との連結部分)の幅W5(図9参照)が、位置決め部25が変形し難いように設定される。また、位置決め部25と第1ヒートシンク61とが当る部分(後述する突部25a)と位置決め部25の基部との距離が、位置決め部25が変形し難いように設定される。そのため、第1ヒートシンク61の位置は、位置決め部25によって、空気流通方向Dに対して垂直な方向において規定される。
同様に、第4の縁23dに形成された位置決め部27,28は、それとは反対側のバネ部26に比して高い剛性を有している。すなわち、バネ部26は弾性変形可能であるものの、位置決め部27,28は穴23の外側へ広がる方向への弾性変形が制限される形状である。例えば、位置決め部27,28の基部(第4の縁23dと位置決め部27,28との連結部分)の幅W7,W8(図10参照)が、位置決め部27,28が変形し難いように設定される。また、位置決め部27,28と第1ヒートシンク61とが当る部分(後述する突部27a,28a)と位置決め部27,28の基部との距離が、位置決め部27,28が変形し難いように設定される。そのため、空気流通方向Dにおける第1ヒートシンク61の位置は位置決め部27,28によって規定される。
図9に示すように、第1の縁23aに形成されたバネ部24は第1の縁23aから上方に突出している。すなわち、バネ部24は上フレーム20に対して回路基板10が配置される方向とは反対方向に延びている。そして、バネ部24は第1ヒートシンク61の複数のフィン61bのうち端部に位置するフィン61bを押している。そのため、バネ部24の長さ(高さ)を確保することが容易となっている。
この例では、各バネ部24は上方に延びる2つの支柱部24bを有している。2つの支柱部24bは、第1の縁23aに沿った方向(この例では、空気流通方向D)において離れた2つの位置から、上方に延びている。また、各バネ部24は2つの支柱部24bの間に位置する、板バネ状の接触アーム部24aを有している。この接触アーム部24aがフィン61bに押し当てられている(図2参照)。この構造により、接触アーム部24aを支柱部24bによって保護できる。例えば電子機器の製造工程によって接触アーム部24aに外力が作用することを抑えることができる。
この例では、2つの支柱部24bの上端は互いに連結されている。接触アーム部24aは支柱部24bの上端から下方に延び、且つ、フィン61bに向かって傾斜している。接触アーム部24aは、その下部において、フィン61bに接触している。接触アーム部24aは、その基部(上端)を起点として弾性変形可能となっている。これにより、接触アーム部24aは2つの支柱部24bに取り囲まれ、接触アーム部24aが2つの支柱部24bによって、より効果的に保護され得る。
後述するように、位置決め部25は上フレーム20の第2の縁23bから回路基板10に向けて形成されている。一方、支柱部23bは上フレームの第1の縁23aから上方に延び、接触アーム部24aは、上述したように、支柱部23bの上端から下方に、すなわち上フレーム20に向かって延びている。そして、接触アーム部24aの下部、すなわち、上フレーム20に近い部分が、フィン61bと接触している。そのため、接触アーム部24aが上方に延び、その上部においてフィン61bと接触する構造に比べて、接触アーム部24aがフィン61bに接触する位置と、位置決め部25が第1ヒートシンク61に接触する位置との高さの差が低減され、第1ヒートシンク61に生じるモーメントを抑えることができる。
上述したように、第1の縁23aには複数のバネ部24が形成されている。そのため、第1ヒートシンク61を位置決め部25に押し付ける力が増している。この例の第1の縁23aは空気流通方向Dと平行である。複数のバネ部24はフィン61bと平行な方向、すなわち空気流通方向Dに並んでいる。そのため、これらバネ部24が空気抵抗となることを抑えることができている。なお、上述したように、カバー50の第1側壁部51cはフィン61bに沿って形成されている。そのため、複数のバネ部24はこの第1側壁部51cにも沿って並んでいる。
図9に示すように、位置決め部25は第2の縁23bから回路基板10に向けて形成されている。すなわち位置決め部25は回路基板10に向けて屈曲している。そのため、位置決め部25が空気流の妨げとなることを抑えることができている。特にこの例では、位置決め部25が第1ヒートシンク61と第2側壁部51eとの間のスペースS2a(図6参照)を流れる空気の妨げとなることを抑えることができている。なお、位置決め部25の上下方向の高さは、上フレーム20(この例では設置プレート部21)と回路基板10との距離に対応している。
図10に示すように、バネ部26は第3の縁23cから回路基板10に向けて形成されている。また、位置決め部27,28も第4の縁23dから回路基板10に向けて形成されている。すなわちバネ部26と位置決め部27,28は回路基板10に向けて屈曲している。このように、バネ部26と位置決め部27,28の双方が上フレーム20に対して同一の側に折り曲げられているので、第1ヒートシンク61に生じるモーメントを抑えることができている。また、バネ部26と位置決め部27,28とが空気流路とは反対側に屈曲しているので、これらが空気流の妨げとなることを防ぐことができている。なお、バネ部26と位置決め部27,28の上下方向の高さは、上フレーム20(この例では設置プレート部21)と回路基板10との距離に対応している。
第1ヒートシンク61の受熱ブロック61aは上フレーム20に対して回路基板10側に配置されている。位置決め部25には受熱ブロック61aの側面が押し付けられている。受熱ブロック61aは金属の塊であるためフィン61bに比べて高い剛性を有する。そのため、位置決め部25がフィン61bに当る場合に比して、第1ヒートシンク61の位置精度を向上できる。同様に、位置決め部27,28にも受熱ブロック61aの側面が押し付けられている。第1ヒートシンク61の製造工程では、受熱ブロック61aの外周に切削などの機械加工を施す場合がある。機械加工は一般的に高い加工精度を得ることができる。そのため、位置決め部25,27,28に受熱ブロック61aの側面が押し付けられることで、さらに高い位置精度を得ることができる。
図10に示すように、バネ部26は回路基板10に向けて折り曲げられた基部26aを有している。バネ部26は、基部26aから回路基板10と平行な方向に延びる板バネ状である。バネ部26は、その基部26aから受熱ブロック61aの側面に沿って伸びている。バネ部26はその基部26aを起点として弾性変形可能となっている。この例の上フレーム20は、共通の基部26aから互いに反対方向に延びる2つのバネ部26を有している。2つのバネ部26はその端部によって受熱ブロック61aの側面に当っている。このため、受熱ブロック61aを押す力を増すことができるとともに、受熱ブロック61aの側面の広い範囲を押すことができるので、穴23の内側での第1ヒートシンク61の回転を抑えることができる。なお、2つのバネ部26はそれらの共通の基部26aを介して第3の縁23cに繋がっている。
この例では、第3の縁23cは第4の縁23dよりも空気流路の下流側に位置する縁である。そのため、バネ部26は第1ヒートシンク61を上流に向けて押している。そのため、バネ部26が第1ヒートシンク61を下流に向けておす構造に比べて、第1ヒートシンク61の受熱ブロック61aと、上流側の縁である第4の縁23dとの間に生じる隙間を少なくできる。その結果、第2空気流路S2に流れ込みフィン61bに当った空気が、その隙間を通して上フレーム20の裏側に流れることを抑えることができる。
バネ部26の先端には、受熱ブロック61aの側面に向けて突出し、当該受熱ブロック61aの側面に当る突部26bが形成されている。この構造によれば、このような突部26bがない構造に比べて、受熱ブロック61aとバネ部26bとの接触位置が安定するので、第1ヒートシンク61と上フレーム20との電気的な接続安定性を向上できる。
図9に示すように、位置決め部25には、第1ヒートシンク61に向けて、すなわち受熱ブロック61aの側面に向けて突出する突部25aが形成されている。突部25aに受熱ブロック61aの側面が当っている。図10に示すように、第4の縁23dに形成された位置決め部27,28にも、受熱ブロック61aの側面に向けて突出する突部27a,28aが形成されている。突部27a,28aに受熱ブロック61aの側面が当っている。これらの構造によれば、板状の位置決め部25,27,28の全体が受熱ブロック61aの側面に接触する場合に比して、受熱ブロック61aと位置決め部25,27,28との接触位置が安定するので、第1ヒートシンク61の位置精度、及び第1ヒートシンク61と上フレーム20との電気的な接続安定性の向上を図ることができる。
図9に示すように、上フレーム20は位置決め部25から回路基板10と平行な方向に延びる、換言すると、受熱ブロック61aの側面に沿って延びる板バネ状のバネ部25cを有している。バネ部25cは、その端部に、受熱ブロック61aの側面に押し当てられる突部25dを有している。また、図10に示すように、上フレーム20は位置決め部27から回路基板10と平行な方向に延びる、換言すると、受熱ブロック61aの側面に沿って延びる板バネ状のバネ部27cを有している。バネ部27cは、その端部に、受熱ブロック61aの側面に押し当てられる突部27dを有している。バネ部25c,27cにより、穴23の内側での第1ヒートシンク61のがたつきや、第1ヒートシンク61の回転が抑えられる。なお、バネ部25cの弾性力は、それとは反対側に形成された複数のバネ部24の接触アーム部24aの弾性力よりも小さい。そのため、第1ヒートシンク61は接触アーム部24aによって位置決め部25の突部25aに押し付けられる。また、バネ部27cはそれとは反対側に形成されたバネ部26の弾性力よりも小さい。そのため、第1ヒートシンク61はバネ部26によって位置決め部27,28の突部27a,28aに押し付けられる。
上述したように、第1の縁23aには複数のバネ部24が形成されている。図9及び図11に示すように、複数のバネ部24のうち両端に位置する2つのバネ部24の間の位置の反対側に、位置決め部25の突部25aは位置している。この構造により、複数のバネ部24の弾性力によって第1ヒートシンク61にモーメントが生じることを、抑えることができる。特にこの例では、複数のバネ部24の中間位置とは反対側の位置に突部25aが位置している。すなわち、複数のバネ部24の中間位置と突部25aとが空気流通方向Dに対して垂直な共通の直線上に位置している。
図10及び図11に示すように、2つのバネ部26の間の位置の反対側に、位置決め部28の突部28aは位置している。この構造により、バネ部26の弾性力によって第1ヒートシンク61にモーメントが生じることを抑えることができる。特にこの例では、2つのバネ部26の突部26bの中間位置とは反対側の位置に突部28aが位置している。換言すれば、バネ部26の突部26bの中間位置と突部28aは、空気流通方向Dに沿った共通の直線上に位置している。
上述したように、第4の縁23dには、2つの位置決め部27,28が形成されている。図10及び図11に示すように、位置決め部27,28は空気流通方向Dに対して垂直な方向において互いに離れている。この構造によれば、穴23の内側における第1ヒートシンク61の位置が安定する。この例では、位置決め部28は第4の縁23dの一方の端部に形成され、位置決め部27は他方の端部に形成されている。位置決め部27は、第3の縁23cに形成された2つのバネ部26よりも、空気流通方向Dに対して垂直な方向に位置している。
図10に示すように、第3の縁23cには、2つのバネ部26に加えて、補助壁23eが形成されている。補助壁23eには受熱ブロック61aの側面に向かって突出する突部23fが形成されている。また、第3の縁23cに形成された2つのバネ部26の共通の基部26aにも、突部26cが形成されている。この構造によれば、製造誤差により第1ヒートシンク61が第3の縁23c寄りに配置された場合であっても、受熱ブロック61aの側面と上フレーム20との接触位置が安定する。その結果、第1ヒートシンク61と上フレーム20との電気的接続の安定性が向上できる。
図9に示すように、第2の縁23bには上側に折り曲げられた、すなわち、回路基板10とは反対側に折り曲げられた壁部23gがさらに形成されている。この壁部23gにより、上フレーム20における壁部23gに近い部分の強度を増すことができる。また、製造時に、上フレーム20の下側から第1ヒートシンク61を穴23に入れる作業が容易となる。
図9に示すように、第4の縁23dと第2の縁23bとには、穴23の内方に向けて延び、上フレーム20と概ね平行に配置される細長いプレート23hが形成されている。上フレーム20の下側から第1ヒートシンク61を穴23に入れる際に、第1ヒートシンク61が穴23から上方に抜け出ることを防ぐことができる。
[ヒートシンクのフィンの防振構造]
ここで、第1ヒートシンク61のフィン61bの振動を低減するための構造について説明する。図12は第1ヒートシンク61の変形例である第1ヒートシンク161の斜視図である。図13は第1ヒートシンク161の拡大正面図である。なお、以下の説明において、これまで説明した箇所と同一箇所には同一符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。なお、第1ヒートシンク161の電子機器における配置は、上述した第1ヒートシンク61と同様である。
図12に示すように、第1ヒートシンク161は、上述の第1ヒートシンク61と同様に、板状の受熱ブロック(ベース)61aと、受熱ブロック61aから上方に延びる複数のフィン61bとを含んでいる。複数のフィン61bは受熱ブロック61aに沿った方向において、すなわち、空気流通方向Dに垂直な方向に間隔を空けて並んでいる。
また、第1ヒートシンク161は、受熱ブロック61aやフィン61bとは別体の連結部材163を備えている。連結部材163は複数のフィン61bの縁に掛け渡されている。換言すると、連結部材163はフィン61bの縁に取り付けられている。この例では、連結部材163は受熱ブロック61aから上方に離れて位置し、複数のフィン61bの上縁、すなわち受熱ブロック61aとは反対側の縁に掛け渡されている。これにより、冷却ファン40から受けた空気流によるフィン61bの振動を低減できる。また、フィン61bの上縁に連結部材163が掛け渡されているので、連結部材163が空気流を阻害することを抑えることができる。
図9乃至図11を参照して説明したように、受熱ブロック61b及びフィン61aはシャーシ20に当っている。すなわち、受熱ブロック61b及びフィン61aはバネ部24,26及び位置決め部25,27,28に当っている。フィン61bの振動を抑えることにより、シャーシ20を介してシャーシ20に設置される他の装置、例えば、記憶媒体の読み取り再生装置や、図1に示す領域Aに配置される外部記憶装置に振動が伝わることを抑えることができる。
第1ヒートシンク161の複数のフィン61bは電子機器内に配置される他の部材やフィン61bとの間、或いはフィン61b間に共振を生じさせるものとなっている。すなわち、第1ヒートシンク161に求められる冷却性能を得ることができるよう設定されたフィン61bの厚さや大きさ、形状が、2つのフィン61bの間に共振を生じさせたり、フィン61bと上フレーム20との間に共振を生じさせたり、上フレーム20に取り付けられた他の装置とフィン61bとの間に共振を生じさせるものとなっている。このようなフィン61bに連結部材161を掛け渡すことで、そのような共振の発生を低減できる。
連結部材161はフィン61bの振動を低減できる、緩衝機能を有する材料で形成されている。例えば、連結部材161は、エラストマーなどの弾性を有する樹脂によって形成される。また、連結部材161はプラスチックなど剛性を有する樹脂によって形成されてもよい。さらに、連結部材161は発泡スチロールや、ダンボールなどの紙材でもよい。なお、連結部材161は絶縁性の材料でもよいし、不要輻射を抑えることのできる導電性を有する材料(導電性ゴム)でもよい。
連結部材163は複数のフィン61bを連結する形状を有している。この例では、連結部材163はフィン61bが並ぶ方向(左右方向)に細長い部材であり、その下面には、図13に示すように、複数の溝163aが形成されている。複数の溝163aはフィン61bの並び方向に並んでおり、溝163aの位置はそれぞれフィン61bの位置に対応している。そして、フィン61bの上縁はこの溝163aに嵌められている。これにより、フィン61bの上縁が互いに連結されている。この例では、溝163aの幅はフィン61bの厚さに相応している。これにより、フィン61bの振動がさらに効果的に防止され得る。
なお、フィン61bを連結する形状はこれに限られない。例えば、フィン61bの縁に突起が形成され、各突起が嵌る穴が連結部材163に形成されてもよい。また、溝163aの内面、或いは、連結部材163の下面の全体に接着剤が塗布されてもよい。これにより、フィン61bの振動の発生をより確実に抑えることができる。
複数のフィン61bは、複数のフィン61bに沿った方向、すなわち空気流通方向Dにおいて、互いに異なる長さを有する複数のフィン61bを含んでいる。連結部材163は長さの異なるフィン61aに掛け渡されている。この例では、第1ヒートシンク161は、上述の第1ヒートシンク61と同様に、冷却ファン40に近接して配置される。冷却ファン40の後方に位置する部分では、複数のフィン61bの前縁は、冷却ファン40の外周に合わせて湾曲した曲線上で並んでいる(図6参照)。そのため、冷却ファン40の後側に位置する複数のフィン61bの長さは、端部のフィン61bに向かって、すなわち、冷却ファン40の回転中心線Cを通る直線L2(図6参照)に向かって、徐々に短くなっている。連結部材163は、このような長さの異なる複数のフィン61bに掛け渡される。フィン61bはその長さに応じた固有振動数を有している。連結部材163によって互いに異なる固有振動数を有する複数のフィン61bを連結することにより、連結部材163自体の振動が生じにくくなり、より効果的にフィン61bの振動を抑えることができる。また、長さの異なる複数のフィン61bの全てに連結部材163が掛け渡されるので、いずれの固有振動数を有するフィン61bが大きく振動するか不明な場合であっても、確実にフィン61bの振動を低減できる。この例では、連結部材163は、図12に示すように、一方の端に位置するフィン61bの上縁から他方の端に位置するフィン61bにまで延びており、全てのフィン61bに連結部材163が掛け渡されている。
なお、連結部材163の幅(空気流通方向Dでの幅)はいずれのフィン61bの幅(フィン61bの沿った方向での長さ)よりも短い。そのため、連結部材163が熱の拡散を阻害することを抑えることができている。
図12に示すように、連結部材163は、その上面に、複数(この例では3つ)の突部163bを有している。このような突部163bを形成することにより、連結部材163によって解消できない振動がある場合であっても、その振動が連結部材163を介して伝わり難くなる。
また、第1ヒートシンク161は、上述した第1ヒートシンク61と同様に、カバー50の内側に配置される。突部163bはカバー50の上壁部52(図3参照)の下面に押し当てられてもよい。これにより、連結部材163とフィン61bとの密着性が増し、より効果的に振動を低減できる。また、突部163bの存在により、連結部材163と上壁部52との間に確実にクリアランスが生じる。その結果、連結部材163の上方に空気流を形成でき、連結部材163の温度が高くなることを抑えることができる。なお、突部163bは必ずしも設けられていなくてもよい。
図14は、第1ヒートシンク61のさらに他の例を示す図であり、同図では第1ヒートシンク261が示されている。なお、ここでは、第1ヒートシンク161と異なる点について説明し、その他の点は上述の第1ヒートシンク61,161と同様である。
この例の第1ヒートシンク261は帯状の連結部材263を有している。連結部材263は、複数のフィン61bの縁、具体的には上縁に接着される面を有している。すなわち、連結部材263の下面には接着剤が塗布されている。これにより、フィン61bの振動が低減される。また、この例の連結部材263は連結部材163と同様に、一方の端のフィン61bから他方の端のフィン61bにまで延びている。連結部材263の端部は各端部のフィン61bの側面に貼り付けられている。
連結部材263の上面にはクッション材が設けられてもよい。こうすることで、フィン61bの振動をより効果的に抑えることができる。
[効果]
以上説明したように、第1ヒートシンク161(261)は、板状の受熱ブロック(ベース)61aと、受熱ブロック61aからそれぞれ上方に延び、間隔を空けて並ぶ複数のフィン61bと、複数のフィン61bに掛け渡され、フィン61bの振動を低減可能な材料からなる連結部材163(263)を備えている。このようなヒートシンクによれば、フィン61bの振動を低減できる。
また、連結部材163(263)は樹脂によって形成されている。これにより、フィン61bと連結部材163(263)との接触による音の発生を抑えることができる。
また、連結部材163(263)はフィン61bの上縁に掛け渡されている。このため、連結部材163(263)が空気流を阻害することを抑えることができる。
また、連結部材163(263)が掛け渡される複数のフィン61bはフィン61bに沿った方向において、異なる長さを有している。フィン61bは、その長さに応じた固有振動数を有している。そのため、連結部材163が固有振動数の異なるフィン61bに掛け渡されることにより、連結部材163自体の振動を抑制でき、より効果的にフィン61bの振動を低減できる。
また、複数のフィン61bの一部(以上の説明では冷却ファン40の後側の部分)の長さは、複数のフィン61bが並ぶ方向に向かって徐々に短くなっている。そして、連結部材163(263)は、長さが徐々に短くなる当該複数のフィン61bに掛け渡されている。この構造によれば、いずれの固有振動数のフィン61bの振動が特に大きいか不明な場合であっても、フィン61bの振動を確実に低減できる。
また、連結部材163は複数のフィン61bの縁を互いに連結する形状を有している。これによれば、簡単な構造でフィン61bの振動を低減できる。
また、連結部材263は複数のフィン61bの縁に接着される面を有している、これによれば、簡単な構造でフィン61bの振動を低減できる。